(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
連続する第1シートと連続する第2シートとを、互いの連続方向を揃えつつ重ね合わせて固定して吸収性物品に係るシート状部材を製造する方法であって、
前記第1シートには、前記第1シートの連続方向に前記吸収性物品に対応させて所定の第1ピッチが設定されており、
前記第2シートの連続方向に当該第2シートが巻き取られてシートロールの状態にされる前に、前記第2シートには、前記連続方向に前記第1ピッチよりも小さい第2ピッチで表示要素が形成されており、
前記シートロールから前記第2シートを繰り出し装置が繰り出すことと、
繰り出されて前記連続方向を搬送方向として搬送される前記第2シートを、前記第1シートの搬送経路の合流位置へ送り出し装置が送り出すことと、を有し、
前記繰り出すことにおいては、前記搬送方向の前記送り出し装置よりも上流側の定位置で回転可能に支持された3本のロールに前記第2シートを掛け回した状態で、前記3本のロールのうちの真ん中のロールに対して前記第2シートから付与される力に応じた値を第1のセンサーが出力するとともに、前記値に基づいて前記繰り出し装置は前記シートロールからの前記第2シートの繰り出し動作を行い、
前記送り出すことにおいては、前記搬送方向に搬送される前記第2シートの前記表示要素が前記第1ピッチで並ぶように、且つ前記第1ピッチに基づいて定まる前記第1シート上の前記表示要素の配置目標位置に前記表示要素が位置するように、前記送り出し装置が前記第2シートの前記搬送方向の伸長状態を変更することを特徴とする吸収性物品に係るシート状部材の製造方法である。
【0014】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、上記の3本のロールのうちの真ん中のロールに第2シートから付与される力に応じた値が第1のセンサーから出力される。そして、当該値に基づいて繰り出し装置がシートロールからの第2シートの繰り出し動作を行うが、かかる力は、第2シートの張力の増減に連動して増減する力であるので、当該張力の代替指標となり得る力である。よって、上述のように当該力に応じた値に基づいて繰り出し動作を行えば、送り出し装置による第2シートの伸長状態の変更に伴って生じ得る第2シートの張力の変動を縮小することができる。そして、これにより、張力の変動が抑制された第2シートを送り出し装置へ送ることができる。
また、上記の3本のロールは定位置に支持されていて、これらロールは回転する以外はほぼ移動しない。すなわち、基本的に並進移動はしない。よって、これらロールのうちの少なくとも一つのロールが並進移動する場合に起こり得る前述の問題、すなわち、並進移動に伴って前述のロールの慣性起因の力により第2シートに新たな張力の変動が発生するという問題を概ね回避することができて、その結果、第2シートを、上述の張力の変動が抑制された状態で送り出し装置へ送ることができる。そして、これにより、送り出し装置は、第2シートの伸長状態の変更を高い精度で行うことができて、その結果、上記の送り出すことにおいて、送り出し装置は、第2シートの表示要素が第1ピッチで並ぶように、且つ第1ピッチに基づいて定まる第1シート上の表示要素の配置目標位置に表示要素が位置するように、高い精度で第2シートを第1シートに重ね合わせて固定可能となる。
【0015】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記繰り出し装置は、回転軸部と、前記回転軸部に連結されて前記回転軸部に回転力を付与して当該回転軸部を駆動回転する駆動源と、を有し、
前記シートロールが中心部に有する貫通孔に前記回転軸部が挿入されて当該回転軸部で前記シートロールを支持した状態で、前記回転軸部が前記第1のセンサーの前記値に基づいて駆動回転することにより、前記繰り出し動作が行われるのが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、シートロールの中心部の貫通孔に挿入された回転軸部を駆動回転することによって、シートロールから第2シートを繰り出す。そのため、例えば、シートロールの外周面に当接するベルト部材を駆動周回することによりシートロールから第2シートを繰り出す構成の場合に起こり得る不具合、すなわち、シートロールの外周面をベルト部材が擦ってしまって外周面に位置する第2シートの部分に皺を生じさせてしまったり同部分を弛ませてしまう等の不具合を確実に回避することができる。そして、これにより、繰り出し装置は、ほぼ皺や弛みが抑制された状態で第2シートを送り出し装置へ向けて繰り出すことができて、このことも、上述の送り出し装置が行う配置目標位置への表示要素の位置合わせの精度向上に寄与する。
【0017】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記第1のセンサーの前記値が示す張力に係る値が、規定の第1の目標値に近づくように、前記繰り出し装置の前記繰り出し動作が行われるのが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、上記第1のセンサーの値が示す張力に係る値が、規定の第1の目標値に近づくように、繰り出し装置の繰り出し動作が行われる。よって、送り出し装置による第2シートの伸長状態の変更に伴って生じ得る第2シートの張力の変動を、繰り出し装置の繰り出し動作によって確実に縮小可能となる。
【0019】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記送り出し装置で伸長状態を変更後の前記第2シートの伸長倍率よりも、前記真ん中のロールの位置での前記第2シートの前記搬送方向の伸長倍率の方が大きくなるように、前記第1の目標値が設定されているのが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、シートロールが内在し得る第2シートの伸縮性のばらつきを、繰り出す際に小さくすることができて、これにより、送り出し装置は、第2シートの伸長状態の変更を高い精度で行えるようになる。詳しくは次の通りである。一般に、第2シートを巻き取ってシートロールの状態にする際には、連続方向に張力を付与して第2シートを伸長しながら巻き取るが、その際には、巻き取り性向上の観点から、通常張力の値たる張力値は、巻き取り処理に適した値に適宜変更されて、その結果、当該張力値は一定ではなくなっている。そのため、シートロールの状態においては、第2シートの連続方向の各位置に応じて同シートの伸長状態が異なっていて、このように異なった伸長状態で暫く放置されると、その間に、第2シートの伸縮性がばらついてしまい得る。すなわち、第2シートは、伸縮し易い部分と伸縮し難い部分とを連続方向に関して有した状態となってしまい得る。
そして、このように伸縮性のばらつきを有した状態のまま、上記の送り出し装置で第2シートの伸長状態を変更すると、当該変更に、ばらつきの影響が及び得て、その結果、当該伸長状態の変更を高い精度で行うことができなくなる恐れがある。
この点につき、この製造方法では、送り出し装置で伸長状態を変更後の第2シートの伸長倍率よりも、繰り出すことに係る上記の真ん中のロールの位置での第2シートの伸長倍率の方が大きくなるように、上記第1の目標値が設定されている。よって、上記の繰り出すことにおいては、シートロールから繰り出される第2シートにおいて表示要素の並ぶピッチが上記の第1ピッチよりも大きくなるように第2シートを伸長することができる。そして、これにより、その後に送り出し装置が第2シートの伸長状態を変更する際には、少なくとも上記の表示要素が並ぶピッチが上記の第1ピッチになるまでの範囲においては、第2シートの伸縮性のばらつきが小さい状態となっている。つまり、当該ばらつきが平滑化された状態となっている。そのため、送り出し装置は、伸縮性のばらつきの影響を軽減した状態で第2シートの搬送方向の伸長状態を変更することができて、これにより、当該変更を高い精度で行うことができる。
【0021】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記送り出し装置から前記合流位置へと前記第2シートは平面視で所定方向に沿って搬送され、
前記3本のロールの配置位置では、前記第2シートは、平面視で前記所定方向と交差する交差方向に沿って搬送され、
前記搬送方向において前記3本のロールと前記送り出し装置との間の位置に配された棒状部材に前記第2シートが掛け回されることによって、前記第2シートの前記搬送方向が前記交差方向から前記所定方向へと変更されるのが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、上記の棒状部材によって、第2シートの搬送方向を平面視で上記交差方向から上記所定方向へと変更することができる。よって、送り出し装置と合流位置とを結ぶ上記所定方向と平面視で交差する上記交差方向に関して上記送り出し装置とはずれた位置に上記の3本のロールを配置することができる。そして、これにより、この製造方法に供する装置群の全長寸法を上記所定方向に関して短くすることができて、その結果、当該装置群のコンパクト化を図れる。
一方、かかる搬送方向の変更機能を有した上記の棒状部材を設けると、当該棒状部材の位置で第2シートの張力の変動が生じた場合に、第2シートが棒状部材に引っ掛かったり棒状部材との間の摺動抵抗が過大になる等、トラブルをより誘発し易くなる。しかし、この点につき、この製造方法によれば、前述したように3本のロールの慣性起因の力による新たな張力の変動の発生の問題が概ね回避される等、第2シートの張力の変動は抑制されている。そのため、上記のトラブルの誘発も有効に防ぐことができる。
【0023】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記搬送方向において前記3本のロールと前記送り出し装置との間の位置には、前記第2シートの前記搬送方向の張力を調整する張力調整装置が配置されており、
前記張力調整装置は、定位置で回転可能に支持された3本のロールと、前記3本のロールのうちの真ん中のロールよりも前記搬送方向の上流側に配置された駆動ロールであって、前記第2シートに接触して当該第2シートを前記搬送方向の下流に送り出すために駆動回転する前記駆動ロールと、を有し、
前記張力調整装置の前記3本のロールに前記第2シートが掛け回された状態で、前記3本のロールのうちの真ん中のロールに対して前記第2シートから付与される力に応じた値を第2のセンサーが出力するとともに、前記値に基づいて前記駆動ロールが駆動回転することによって、前記第2シートの前記搬送方向の張力が調整されるのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、送り出し装置による第2シートの伸長状態の変更に伴って生じ得る第2シートの張力の変動を、繰り出し装置の繰り出し動作によって縮小するよりも前に、上記の張力調整装置で縮小することができる。よって、より即時的に張力の変動を縮小可能であり、その結果、送り出し装置は、第2シートの伸長状態の変更をより高い精度で行えるようになる。
また、上記の3本のロールは定位置に支持されていて、これらロールは回転する以外はほぼ移動しない。すなわち、基本的に並進移動はしない。よって、これらロールのうちの少なくとも一つのロールが並進移動する場合に起こり得る前述の問題、すなわち、並進移動に伴って前述のロールの慣性起因の力により第2シートに新たな張力の変動が発生するという問題を概ね回避することができて、その結果、第2シートを、上述の張力の変動が抑制された状態で送り出し装置へ送ることができる。そして、これにより、送り出し装置は、第2シートの伸長状態の変更を高い精度で行うことができる。
【0025】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記第2シートの搬送経路における前記張力調整装置の前記3本のロールの配置位置及び前記駆動ロールの配置位置は、前記繰り出し装置が前記シートロールから前記第2シートを繰り出す繰り出し位置よりも前記送り出し装置が前記第2シートを送り出す送り出し位置の方に近いのが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、上述の張力調整装置を送り出し装置に近接して配置することができる。よって、送り出し装置による第2シートの伸長状態の変更に伴って生じ得る第2シートの張力の変動を、より即時的に縮小可能であり、その結果、送り出し装置は、第2シートの伸長状態の変更をより一層高い精度で行えるようになる。
【0027】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記第2のセンサーの前記値が示す張力に係る値が、規定の第2の目標値に近づくように、前記駆動ロールの駆動回転が制御され、
前記張力調整装置の前記真ん中のロールの位置での前記第2シートの前記搬送方向の伸長倍率が、前記繰り出すことに係る前記真ん中のロールの位置での前記第2シートの前記搬送方向の伸長倍率及び前記送り出し装置で伸長状態を変更後の前記第2シートの前記搬送方向の伸長倍率の両者よりも小さくなるように、前記第2の目標値は設定されているのが望ましい。
【0028】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、張力調整装置での伸長倍率は、繰り出すことに係る上記真ん中のロールの位置での第2シートの伸長倍率及び上記送り出し装置で伸長状態を変更後の第2シートの伸長倍率の両者よりも小さくなっている。よって、前述の伸縮性のばらつきを小さくすべく、上記の繰り出し装置にて第2シートに付与した大きな伸長倍率を維持したまま同シートを送り出し装置へと搬送する場合に同シートに生じ得る幅縮みや縦皺、折れ返り等の不具合を防ぐことができる。そして、これにより、送り出し装置は、第2シートの伸長状態の変更を高い精度で行えるようになる。ちなみに、ここで言う「幅縮み」とは、第2シートにおける搬送方向と交差する幅方向の寸法が過度に縮小する現象のことであって、「ネッキング」とも言われるものである。また、「縦皺」とは、搬送方向たる連続方向に沿った皺のことであり、「折れ返り」とは、第2シートの幅方向の各端部が幅方向の内側に折れ曲がることである。
【0029】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記送り出し装置は、前記第2シートを前記搬送方向の下流に送り出すべく前記第2シートに接触して駆動回転する送り出しロールと、前記表示要素の位置を検出して検出信号を出力する検出センサーと、前記検出信号に基づいて前記送り出しロールの回転動作を制御するコントローラと、を有し、
前記第2シートにおける前記表示要素が前記配置目標位置よりも前記搬送方向の上流側にずれていることを、前記検出信号が示している場合には、前記コントローラは、前記検出信号に基づいて前記送り出しロールの周速値を大きくするとともに、前記張力調整装置は、前記検出信号に基づく前記周速値を大きくする方向の変更量と前記第2のセンサーから出力される前記値とに基づいて、前記駆動ロールの周速値を変更し、
前記第2シートにおける前記表示要素が前記配置目標位置よりも前記搬送方向の下流側にずれていることを、前記検出信号が示している場合には、前記コントローラは、前記送り出しロールの前記周速値を小さくするとともに、前記張力調整装置は、前記検出信号に基づく前記周速値を小さくする方向の変更量と、前記第2のセンサーから出力される前記値とに基づいて、前記駆動ロールの周速値を変更するのが望ましい。
【0030】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、張力調整装置の駆動ロールの周速値の変更は、当該張力調整装置の第2のセンサーから出力される値だけでなく、上記の表示要素の位置を検出して検出センサーから出力される検出信号に基づく上記変更量も加味して行われる。よって、送り出し装置による伸長状態の変更の影響が、第2シートの張力の変動として上流側に遡っていって張力調整装置の上記第2のセンサーで検知されるよりも前に、当該張力調整装置の駆動ロールは、上記の張力の変動が小さくなるように回転することができる。よって、より早期に第2シートの張力の変動を抑制可能となる。
【0031】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記シートロールから前記第2シートを繰り出す前記繰り出し装置が少なくとも二つ設けられており、
前記搬送方向において前記繰り出し装置と前記送り出し装置との間の位置には、前記第2シートをループの形態で蓄積可能な蓄積装置が配置されており、
前記二つの前記繰り出し装置のうちの一方の繰り出し装置から他方の繰り出し装置へと前記繰り出し動作を切り替えるべく、前記一方の繰り出し装置による前記第2シートの繰り出し動作が停止に移行していくと、前記蓄積装置が前記ループを小さくすることによって当該蓄積装置は前記送り出し装置へと前記第2シートを供給するとともに、前記一方の繰り出し装置での繰り出し動作が停止された前記第2シートが、前記他方の繰り出し装置に支持された前記シートロールの前記第2シートに接続されて、しかる後に、前記他方の繰り出し装置が前記シートロールからの前記第2シートの繰り出し動作を開始した後に、前記他方の繰り出し装置から繰り出される前記第2シートを、前記蓄積装置は前記ループを大きくすることによって蓄積し、
前記蓄積装置は、定位置に配された複数の固定ローラーと、前記固定ローラーに対して前記第2シートの前記ループの大きさを変更可能な方向に往復移動可能に案内された移動ローラーと、前記方向を移動方向として前記移動ローラーを往復移動させるアクチュエータと、を有するとともに、前記固定ローラーと前記移動ローラーとに前記第2シートが掛け回されることによって前記ループが形成され、
前記移動ローラーが前記固定ローラーに近づく方向に前記アクチュエータが前記移動ローラーを移動することによって、前記ループが小さくなって、蓄積されていた前記第2シートが前記送り出し装置へと供給され、
前記移動ローラーが前記固定ローラーから離れる方向にアクチュエータが前記移動ローラーを移動することによって、前記ループが規定の長さまで大きくなって前記第2シートが蓄積され、
次の前記繰り出し動作の切り替えまでの間には、前記移動方向における所定位置から前記移動ローラーが移動しないように、前記アクチュエータが前記移動ローラーを保持する期間が含まれているのが望ましい。
【0032】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、次の繰り出し動作の切り替えまでの間のうちの上記期間では、移動ローラーは、移動方向における所定位置から移動しないように同位置にアクチュエータにより保持される。よって、当該期間においては、移動ローラーが移動した場合に移動ローラーの慣性起因の力によって生じ得る第2シートの張力の変動を効果的に抑制可能となる。
【0033】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記ループを小さくする場合には、前記第1のセンサーの前記値が示す張力に係る値が、規定の第3の目標値に近づくように、前記アクチュエータが制御されるのが望ましい。
【0034】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、ループを小さくする際に生じ得る第2シートの張力の変動を抑制することができて、これにより、第2シートを、張力の変動が抑制された状態で送り出し装置へ送ることができる。
【0035】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記ループを大きくすべく、前記アクチュエータが前記移動ローラーを前記規定の長さに対応する位置まで移動する際には、前記第1のセンサーの前記値が示す張力に係る値が、規定の第4の目標値に近づくように、前記他方の繰り出し装置の前記繰り出し動作が行われるのが望ましい。
【0036】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、ループを大きくする際に生じ得る第2シートの張力の変動を抑制することができて、これにより、第2シートを、張力の変動が抑制された状態で送り出し装置へ送ることができる。
【0037】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記ループを小さくする場合には、前記アクチュエータは、前記移動方向において前記ループが小さくなる方向の力を前記移動ローラーに付与することにより前記移動ローラーを前記方向に移動し、
前記ループを大きくする場合には、前記アクチュエータは、前記移動方向において前記ループが大きくなる方向の力を前記移動ローラーに付与することにより前記移動ローラーを前記方向に移動するのが望ましい。
【0038】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、ループを小さくする場合及び大きくする場合のどちらでも、移動ローラーの慣性起因の力をアクチュエータが受けて負担することができて、これにより、当該慣性起因の力が第2シートに作用することを防ぐことができる。そして、その結果、当該力により新たな張力の変動が、第2シートに生じることを有効に防ぐことができて、これにより、第2シートを、上述のように張力の変動が抑制された状態で確実に送り出し装置へ送ることができる。
【0039】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記シートロールから前記第2シートを繰り出す繰り出し装置が少なくとも二つ設けられており、
前記二つの繰り出し装置のうちの一方の繰り出し装置から他方の繰り出し装置へと前記繰り出し動作を切り替える際には、前記一方の繰り出し装置での前記第2シートの繰り出し速度値と同じ値まで、前記他方の繰り出し装置に支持された前記シートロールの周速値が加速したことを検出した後に、前記一方の繰り出し装置から繰り出される前記第2シートに、前記他方の繰り出し装置に支持された前記シートロールの前記第2シートを接続するのが望ましい。
【0040】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、他方の繰り出し装置のシートロールの周速値が、一方の繰り出し装置での第2シートの繰り出し速度値まで加速したことを検出した後に、一方の繰り出し装置から繰り出される第2シートに、他方の繰り出し装置に支持されたシートロールの第2シートを接続する。よって、一方の繰り出し装置から他方の繰り出し装置への切り替えの際に当該一方の繰り出し装置の繰り出し動作を停止せずに済む。そして、これにより、この停止起因で必須構成となっていた第2シートの蓄積装置を省略することができて、その結果、装置構成の簡素化を図れる。
【0041】
かかる吸収性物品に係るシート状部材の製造方法であって、
前記一方の繰り出し装置から前記他方の繰り出し装置へと前記繰り出し動作を切り替える際には、
前記一方の繰り出し装置で繰り出される前記第2シートの前記表示要素における所定位置と、前記他方の繰り出し装置に支持された前記シートロールの前記第2シートの前記表示要素において前記所定位置に相当する位置との間の前記搬送方向のずれ量が前記表示要素の前記第2ピッチの±5%以内に収まるように位置合わせしながら、前記一方の繰り出し装置で繰り出された前記第2シートに、前記他方の繰り出し装置に支持された前記シートロールの前記第2シートを接続するのが望ましい。
【0042】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造方法によれば、一方の繰り出し装置で繰り出された第2シートと、他方の繰り出し装置に支持されたシートロールの第2シートとは、互いの表示要素の搬送方向のずれ量が上記第2ピッチの±5%以内に収まるような位置精度で接続される。よって、繰り出し動作の切り替えにおける第2シートの連続性は、表示要素の並び状態についても概ね担保される。そして、これにより、表示要素の並び状態の非連続度合いが大きい場合に送り出し装置で行う必要が生じ得る伸長状態の過大な変更を行わずに済んで、このことも、送り出し装置が第2シートの伸長状態の変更を高い精度で行うことに有効に寄与する。
【0043】
また、
連続する第1シートと連続する第2シートとを、互いの連続方向を揃えつつ重ね合わせて固定して吸収性物品に係るシート状部材を製造する装置であって、
前記第1シートには、前記第1シートの連続方向に前記吸収性物品に対応させて所定の第1ピッチが設定されており、
前記第2シートの連続方向に当該第2シートが巻き取られてシートロールの状態にされる前に、前記第2シートには、前記連続方向に前記第1ピッチよりも小さい第2ピッチで表示要素が形成されており、
前記シートロールから前記第2シートを繰り出す繰り出し装置と、
繰り出されて前記連続方向を搬送方向として搬送される前記第2シートを、前記第1シートの搬送経路の合流位置へ送り出す送り出し装置と、
前記搬送方向における前記繰り出し装置と前記送り出し装置との間の定位置で回転可能に支持された3本のロールと、
前記3本のロールに前記第2シートを掛け回した状態で、前記3本のロールのうちの真ん中のロールに対して前記第2シートから付与される力に応じた値を出力する第1のセンサーと、を有し、
前記繰り出し装置は、前記値に基づいて前記シートロールからの前記第2シートの繰り出し動作を行い、
前記送り出し装置は、前記第2シートを送り出しながら、前記搬送方向に搬送される前記第2シートの前記表示要素が前記第1ピッチで並ぶように、且つ前記第1ピッチに基づいて定まる前記第1シート上の前記表示要素の配置目標位置に前記表示要素が位置するように、前記第2シートの前記搬送方向の伸長状態を変更することを特徴とする吸収性物品に係るシート状部材の製造装置である。
【0044】
このような吸収性物品に係るシート状部材の製造装置によれば、前述した製造方法の場合と同様の作用効果を奏することができる。
【0045】
===本実施形態===
本実施形態のシート状部材の製造方法では、当該シート状部材の一例として、使い捨ておむつの吸収性本体の連続体1aを製造する。そして、製造された吸収性本体の連続体1aは、下工程のカッター装置80(
図4を参照)へ送られて、同カッター装置80で搬送方向に製品ピッチP3で分断されて、これにより、吸収性本体1が生成される。
【0046】
図2Aは、吸収性本体1を非肌側から見た概略平面図であり、
図2Bは、
図2A中のB−B断面図である。吸収性本体1は、互いに直交する長手方向と幅方向と厚さ方向とを有した平面視略矩形状のシート状部材であり、液体を吸収する吸収体4と、吸収体4を厚さ方向の肌側から覆って配されたトップシート3と、吸収体4を厚さ方向の非肌側から覆って配されたバックシート5と、を有する。そして、かかる吸収性本体1に、おむつの外装をなす平面視略砂時計形状の外装シート(不図示)等が積層固定されると、おむつがほぼ完成する。
【0047】
吸収体4は、パルプ繊維や高吸収性ポリマー(所謂SAP)などの液体吸収性素材を平面視略砂時計形状等の所定形状に成形してなる吸収性コア4cと、同コア4cの外面を略全面に亘って被覆するティッシュペーパー等の液透過性のコアラップシート(不図示)と、を有している。なお、コアラップシートについては省略しても良い。
【0048】
トップシート3は、吸収体4よりも平面サイズが大きい液透過性のシートである。そして、その素材としては、エアスルー不織布等を例示できて、ここでは、これが使用されているが、液透過性のシートであれば、何等これに限らない。
【0049】
バックシート5も、吸収体4よりも平面サイズが大きいシートであるが、液不透過性のシートである。そのため、その素材例としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂フィルムを挙げることができて、ここでは、PEフィルムが使用されているが、液不透過性のシートであって所定の伸縮性を有していれば、何等これに限らない。
【0050】
また、
図2Aに示すように、バックシート5の非肌側面には、表示要素の一例として花のイラストILが印刷されている。詳しくは、同イラストILは、複数の花の図柄G,G…を有し、これら複数の図柄G,G…が組み合わされて一つのイラストILが形成されている。そして、これにより、バックシート5の略全面に亘ってイラストILが印刷されている。なお、このように略全面に亘ってイラストILが印刷されていることは、後述する吸収性本体の連続体1aの製造ラインLMでなされるトップシートの連続シート3aに対するイラストILの位置合わせの精度に関係し、これについては後述する。また、イラストILの印刷方法としては、グラビア印刷やフレキソ印刷、インクジェット印刷等を例示することができる。
【0051】
図3は、このような吸収性本体1の元となる吸収性本体の連続体1aの概略平面図である。吸収性本体の連続体1aは、複数の吸収性本体1,1…が長手方向に連続したものである。詳しくは、同連続体1aは、複数のトップシート3,3…が長手方向に連続してなるトップシートの連続シート3a(第1シートに相当)と、複数のバックシート5,5…が長手方向に連続してなるバックシートの連続シート5a(第2シートに相当)と、これら連続シート3a,5a同士の間に、長手方向に製品ピッチP3(第1ピッチに相当)で並んで介挿された複数の吸収体4,4…と、を有し、そして、これら各部材3a,5a,4は、それぞれ、隣り合う部材とホットメルト接着剤等で接合されている。
【0052】
かかる吸収性本体の連続体1aは、
図4の概略側面図に示す製造ラインLMで製造される。製造ラインLMは、トップシートの連続シート3aの処理系統L3aと、バックシートの連続シート5aの処理系統L5aと、を有する。そして、バックシートの連続シート5aの処理系統L5aは、トップシートの連続シート3aの処理系統L3aに、同系統L3aの合流位置Pjで合流するようになっている。
【0053】
なお、この製造ラインLMには、同ラインLMの幅方向としてCD方向(
図4中では、紙面を貫通する方向)が設定されている。そして、この例では、CD方向は水平方向を向いているが、何等これに限らない。また、この例では、CD方向と直交する二方向として鉛直な上下方向と水平な前後方向とが設定されていて、これにより、トップシート及びバックシートの各連続シート3a,5aの搬送方向は、それぞれ、当該搬送方向の位置に応じて、上下方向と前後方向との両者で規定される方向を向いている。そして、トップシート及びバックシートの各連続シート3a,5aの幅方向は、それぞれCD方向と平行である。また、CD方向及び搬送方向と直交する方向をZ方向と定義した場合には、当該Z方向は、それぞれ、トップシート及びバックシートの各連続シート3a,5aの厚さ方向と平行である。
【0054】
<<<トップシートの連続シート3aの処理系統L3a>>>
トップシートの連続シート3aの処理系統L3aは、トップシートの連続シート3aを搬送方向に沿って搬送する搬送装置11と、上記の合流位置Pjに対応して配された接合装置15と、を有する。ここで、この搬送装置11で搬送される時点では、既にトップシートの連続シート3aには、搬送方向に製品ピッチP3で吸収体4,4…が固定された状態になっている。また、この搬送動作は、同期信号に基づいてなされる。同期信号は、製品ピッチP3の各搬送動作に対応した単位信号が繰り返し出力されてなる信号であり、この例では、当該単位信号として、0°〜360°の各回転角度値で構成される回転角度信号が出力される。そして、かかる同期信号は、搬送装置11の駆動源となるサーボモータ(不図示)のアンプ(不図示)に送信される。よって、単位信号が出力される度に、搬送装置11は、トップシートの連続シート3aを搬送方向に製品ピッチP3だけ搬送する。
【0055】
かかる搬送装置11としては、ベルトコンベアや搬送ローラーを例示することができて、ここでは、主にベルトコンベアが使用されている。ベルトコンベアの一例としては、駆動周回する無端ベルトを搬送面として有した通常のベルトコンベアや、無端ベルトの外周面に吸着機能を有したサクションベルトコンベア等を挙げることができる。
【0056】
また、同期信号の生成は、例えば、吸収性本体の連続体1aを搬送方向に製品ピッチP3で分断して吸収性本体1を生成する前述のカッター装置80によって行うことができる。すなわち、カッター装置80は、外周面にカッター刃82を有して搬送方向に沿って回転するカッターロール81cと、外周面でカッター刃82を受けながら搬送方向に沿って回転するアンビルロール81aとを有しているが、カッターロール81cのCD方向の端部には、カッターロール81cの回転動作を検出する回転検出器の一例としてロータリー式エンコーダ(不図示)が設けられている。そして、このエンコーダが、カッターロール81cの回転動作に連動して、カッター刃82が製品ピッチP3分だけ回転する度に上記の単位信号を出力するようになっている。
【0057】
接合装置15は、例えば上下一対のベルトコンベア15u,15dを有している。そして、上下一対のベルトコンベア15u,15d同士の間には、吸収体4が固定済みのトップシートの連続シート3aの搬送経路が形成されている。また、この搬送経路の上流側の位置に前述の合流位置Pjが設定されていて、この合流位置Pjにおいて、バックシートの連続シート5aの処理系統L5aからバックシートの連続シート5aが送り込まれて合流する。そして、トップシートの連続シート3aとバックシートの連続シート5aとが厚さ方向に重ね合わせられた状態で当該一対のベルトコンベア15u,15dの搬送経路を両シート3a,5aが移動する間に、これら両シート3a,5aは当該一対のベルトコンベア15u,15dによって厚さ方向に挟圧されて、これにより、重ね合わせられた状態にホットメルト接着剤等で強固に接合される。
【0058】
なお、この接合装置15をなす一対のベルトコンベア15u,15dの搬送動作も、上述の同期信号に基づいて行われており、つまり、同期信号の単位信号が出力される度に、ベルトコンベア15u,15dは、トップシートの連続シート3aとバックシートの連続シート5aとを、搬送方向に製品ピッチP3だけ搬送する。
【0059】
<<<バックシートの連続シート5aの処理系統L5a>>>
一方、バックシートの連続シート5aの処理系統L5aは、シートロール5arからバックシートの連続シート5aを繰り出すための繰り出し装置21と、繰り出されたバックシートの連続シート5aを搬送方向に搬送しながら同連続シート5aの搬送方向の張力を計測する張力計測装置31と、張力計測装置31を通過したバックシートの連続シート5aを、トップシートの連続シート3aの処理系統L3aの合流位置Pjへ送り出す送り出し装置51と、を有している。そして、合流位置Pjでは、前述したように、既述の接合装置15によって、バックシートの連続シート5aとトップシートの連続シート3aとが重ね合わせられて固定されて、これにより、吸収性本体の連続体1aが生成される。
【0060】
なお、ここで、このバックシートの連続シート5aが連続方向に巻き取られて上記のシートロール5arの状態にされる前に、当該バックシートの連続シート5aには、予め別の工場等で、連続方向に所定の印刷ピッチP5(第2ピッチに相当)で前述のイラストIL,IL…が印刷されている(
図6を参照)。そして、この印刷ピッチP5は、トップシートの連続シート3aに設定された上記の製品ピッチP3よりも小さいピッチとされている。よって、前述の合流位置Pjの接合装置15では、基本的に、印刷ピッチP5で製品ピッチP3を除算して得られる伸長倍率Ms(=P3/P5)でバックシートの連続シート5aを伸長した状態で、当該連続シート5aが、トップシートの連続シート3aに重ねられて固定されることにより、
図3のようにトップシートの連続シート3aにおける適正位置にイラストILが配された状態となる。
ちなみに、ここで言う伸長倍率とは、伸長状態の連続シート5aの連続方向(搬送方向)の全長Ltが、伸長前の自然長Ln(外力が作用していない状態での長さ)の何倍まで伸びているかを示すものであり、例えば、伸長状態の全長Ltを自然長Lnで除算した除算値(=Lt/Ln)として求めることができる。
また、この例では、例えば印刷ピッチP5を「1」とした場合に、製品ピッチP3は「1.026」とされており、これにより、接合装置15でのバックシートの連続シート5aの伸長倍率Msは、1.026倍となっている。そして、かかる伸長倍率Msへの伸長は、送り出し装置31と接合装置15との間でなされることから、当該伸長倍率Msは、上述のように接合装置15での伸長倍率Msと言うこともできるし、或いは、送り出し装置51での伸長倍率Msと言うこともできる。
以下、バックシートの連続シート5aの処理系統L5aに係る各装置21,31,51について説明する。
【0061】
(1)繰り出し装置21
図5の概略拡大側面図に示すように、繰り出し装置21は、回転軸部21aと、回転軸部21aに連結されて当該回転軸部21aに回転力を付与して同回転軸部21aを駆動回転する不図示の駆動源と、上記の張力計測装置31から出力される張力値に基づいて上記駆動源を制御するコントローラ21cと、を有する。そして、シートロール5arが中心部に有する貫通孔に上記回転軸部21aが挿入されて当該回転軸部21aでシートロール5arを支持した状態で、同回転軸部21aが上記の張力値に基づいて駆動回転することにより、シートロール5arからバックシートの連続シート5aが繰り出される。
回転軸部21aは、例えばCD方向に沿った軸部材である。そして、当該回転軸部21aは、製造ラインLMに設けられた適宜な軸受け部材(不図示)によって回転可能に支持されている。
【0062】
駆動源は、例えばサーボモータである。そして、この例では、サーボモータと回転軸部21aとの連結方式としてダイレクトドライブ方式が採用されている。すなわち、サーボモータの駆動回転軸部(不図示)と上記回転軸部21aとは、適宜な軸継手(不図示)によって互いに同軸に連結されている。そして、これにより、サーボモータに供給される電力に基づいて駆動回転する駆動回転軸部からは、回転力が直接的に上記回転軸部21aに入力される。よって、バックラッシ等の問題無く、高い応答性でもって繰り出し動作を行うことができる。但し、何等これに限らない。すなわち、この応答性が多少低くても問題無い場合には、例えば、サーボモータの駆動回転軸部と上記回転軸部21aとの間に介挿された複数の歯車或いはタイミングベルト等を経由して駆動回転軸部の回転力を回転軸部21aに伝達しても良い。
【0063】
コントローラ21cは、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やシーケンサー等の適宜なコンピュータであり、プロセッサとメモリとを有する。そして、プロセッサは、メモリに格納されたプログラムを読み出して実行することにより、回転軸部21aの繰り出し動作を制御する。すなわち、張力計測装置31から出力される張力値(N)(「張力に係る値」に相当)が規定の張力目標値(「第1の目標値」に相当)に揃うように、回転軸部21aの繰り出し速度値Vunw(m/秒)を制御する。
【0064】
より詳しくは、かかる制御は、例えば次の処理を所定の制御周期で繰り返し行うことでなされる。先ず、張力目標値からの張力値のずれ量を、後者から前者を減算することで求める。次に、このずれ量に所定の制御ゲインを乗算して制御量を算出するとともに、当該制御量を現状の繰り出し速度値Vunw(m/秒)の指令値に加算して新たな指令値を求める。そして、この新たな指令値で回転軸部21aを回転する。よって、当該張力値が張力目標値よりも大きい場合には、繰り出し速度値Vunw(m/秒)は現状値よりも制御量の絶対値分だけ大きくされて、これにより、張力値は張力目標値に近づくように小さくなる一方、張力値が張力目標値よりも小さい場合には、繰り出し速度値Vunw(m/秒)は現状値よりも制御量の絶対値分だけ小さくされて、これにより、張力値は張力目標値に近づくように大きくなる。
【0065】
そして、このようして張力値が張力目標値に揃うように、繰り出し速度値Vunwが変更されれば、仮に、搬送方向の下流に位置する
図4の送り出し装置51がバックシートの連続シート5aの伸長状態を変更した際に同シート5aの張力が変動して、この変動が搬送方向の上流側に遡った場合でも、当該変動を、上記の繰り出し速度値Vunwの変更で縮小することができる。そして、これにより、繰り出し装置21は、張力の変動が抑制されたバックシートの連続シート5aを送り出し装置51へ送ることができて、その結果、送り出し装置51は、バックシートの連続シート5aの伸長状態の変更を高い精度で行えるようになる。
ちなみに、上述の繰り出し速度値Vunw(m/秒)とは、例えばシートロール5arの外周面の周速値(m/秒)のことであり、より狭義には、シートロール5arからバックシートの連続シート5aが離れる位置(繰り出し位置に相当)でのシートロール5arの外周面の周速値(m/秒)のことである。
【0066】
ところで、上記の張力目標値は、この繰り出し装置21で伸長すべき伸長倍率Munwに対応する値に設定されている。すなわち、この張力目標値は、バックシートの連続シート5aの荷重−変位曲線を予め計測するとともに、この伸長倍率Munwに相当する変位に対応する荷重値から求められて、当該荷重値に設定されている。また、ここで、この伸長倍率Munwの値は、
図4の送り出し装置51で伸長状態を変更後のバックシートの連続シート5aの伸長倍率Msよりも大きくされている。例えば、この例では、当該伸長倍率Munwは1.05倍とされていて、これにより、前述の送り出し装置31での伸長倍率Msの1.026倍よりも大きくなっている。
よって、この繰り出し装置21では、シートロール5arから繰り出されるバックシートの連続シート5a上においてイラストIL,IL…が搬送方向に並ぶピッチが前述の製品ピッチP3よりも大きくなるように、予めバックシートの連続シート5aを伸長する。そして、これにより、この後に送り出し装置51がバックシートの連続シート5aの伸長状態を変更する際には、少なくとも上記のイラストIL,IL…が搬送方向に並ぶピッチが製品ピッチP3になるまでの範囲においては、バックシートの連続シート5aの伸縮性のばらつきを小さくすることができる。つまり、当該ばらつきを平滑化することができる。そのため、送り出し装置51は、伸縮性のばらつきの影響が軽減された状態で同連続シート5aの搬送方向の伸長状態を変更することができて、このことも、当該伸長状態の変更を高い精度で行うことに有効に寄与する。
【0067】
また、この
図4の例では、繰り出し装置21で付与される伸長倍率Munwが、1.05倍であるのに対して、別の工場でイラストILが印刷されたバックシートの連続シート5aをシートロール5arの状態に巻き取る際に同シート5aに付与される伸長倍率Mwは、それよりも小さい1.005〜1.03倍の範囲とされている。つまり、繰り出し装置21で伸長する際の伸長倍率Munwの方が、巻き取り用の伸長倍率Mwよりも大きくなっている。
よって、この巻き取り用の伸長倍率Mwで伸長されながらシートロール5arの状態に巻き取られて放置されることで生じ得るバックシートの連続シート5aの伸縮性のばらつきを、この繰り出し装置21での大きな伸長によって確実に平準化することができる。そして、その結果、送り出し装置51は、バックシートの連続シート5aを合流位置Pjへ送り出す際に、同シート5aの伸長状態の変更を高い精度で行うことができる。
【0068】
更に、
図2Aを参照して前述したように単票状のバックシート5の非肌側面には、略全面に亘ってイラストILが印刷されている。すなわち、
図6のバックシートの連続シート5aの状態においては、印刷ピッチP5に相当する領域A5を連続方向に4等分して4つの領域A5p,A5p…に区画した場合に、イラストILは、これら4つの領域A5p,A5p…の全ての領域A5p,A5p…に存在した状態になっている。
よって、
図7に示すように、仮にイラストILaがワンポイント的に狭い範囲に存在する場合と比べて、
図6の例では、イラストILの存在起因で生じ得る同連続シート5aの伸縮性のばらつきを平準化することができる。そして、このことも、送り出し装置51がバックシートの連続シート5aの伸長状態の変更を高い精度で行うことに有効に寄与する。
【0069】
(2)張力計測装置31
図4に示すように、張力計測装置31は、先ず、繰り出し装置21よりも搬送方向の下流側且つ送り出し装置21よりも搬送方向の上流側の定位置において回転可能に支持された互いに平行な3本のロール31u,31m,31dを有し、また、同装置31は、これら3本のロール31u,31m,31dに山形形状にバックシートの連続シート5aを掛け回した状態で、これら3本のロール31u,31m,31dのうちの真ん中のロール31mに対してバックシートの連続シート5aから付与される力F5a(
図5)に応じた値をリアルタイムで出力する第1のセンサー31s(
図5)を有し、更に、同装置31は、第1のセンサー31sから出力された上記値を張力値に換算する換算器31kを有している。
【0070】
3本のロール31u,31m,31dは、それぞれ、CD方向に沿った回転軸回りに回転可能に支持されている。すなわち、
図5に示すように、各ロール31u,31m,31dのCD方向の端部には、それぞれ軸受け部材Brgが製造ラインLMの定位置に移動不能に設けられていて、これにより、各ロール31u,31m,31dは当該軸受け部材Brgによって回転可能且つ並進移動不能に両端支持されている。また、3本のロール31u,31m,31dのうちの真ん中のロール31mの各軸受け部材Brgには、それぞれ、上記の第1のセンサー31sの一例として歪みゲージ31sが設けられていて、当該歪みゲージ31sは、バックシートの連続シート5aから当該ロール31mに付与される力F5aに応じた値をリアルタイムで出力する。すなわち、ロール31mに作用するロール31mの半径方向を向いた力F5aに応じた値をリアルタイムで出力する。そして、この力F5aは、バックシートの連続シート5aの張力の増減に連動して増減する力である。よって、当該張力の代替指標となり得る力であり、つまり、上記の値から、張力の値たる張力値を算出可能である。そのため、歪みゲージ31sからの出力値は、上記の換算器31kに入力されて、この換算器31k内で適宜な係数等が乗算されることにより、バックシートの連続シート5aの張力値に換算される。そして、当該張力値は、前述の繰り出し装置21のコントローラ21cにリアルタイムで入力されて、これにより、コントローラ21cでは、この張力値と張力目標値とのずれ量が演算される等、前述した繰り出し装置21の繰り出し速度値Vunwの制御に供される。
【0071】
また、これら3本のロール31u,31m,31dは、上述のように定位置に支持されていて、これにより、回転する以外はほぼ移動しない。すなわち、基本的に並進移動はしない。よって、これらロール31u,31m,31dのうちの少なくとも一つのロールが並進移動する場合に起こり得る前述の問題、すなわち、並進移動に伴って前述のロールの慣性起因の力によりバックシートの連続シート5aに新たな張力の変動が発生するという問題を概ね回避することができて、その結果、同連続シート5aを、当該変動が抑制された状態で送り出し装置51へ送ることができる。そして、これにより、当該送り出し装置51は、同連続シート5aの伸長状態の変更を高い精度で行うことができて、その結果、送り出し装置51は、同連続シート5aのイラストIL,IL…が搬送方向に製品ピッチP3で並ぶように、且つ製品ピッチP3に基づいて定まるトップシートの連続シート3a上のイラストIL,IL…の配置目標位置に各イラストILが位置するように、高い精度でバックシートの連続シート5aをトップシートの連続シート3aに重ね合わせて固定可能となる。
【0072】
なお、この例では、
図5に示すように、3本のロール31u,31m,31dに掛け回されたバックシートの連続シート5aは、上方に突出した山形形状とされているが、何等これに限らない。すなわち、同連続シート5aが下方に突出した谷形形状となるように、3本のロール31u,31m,31dを配置しても良い。
【0073】
(3)送り出し装置51
図4に示すように、送り出し装置51は、トップシートの連続シート3aの処理系統L3aへの合流位置Pjへバックシートの連続シート5aを送り出す。そして、この送り出す際には、バックシートの連続シート5aの搬送方向の伸長状態を適宜変更して、これにより、バックシートの連続シート5aのイラストILが前述の製品ピッチP3で並ぶように、且つ製品ピッチP3に基づいて定まるトップシートの連続シート3a上のイラストILの配置目標位置に同イラストILが位置するようにする。
【0074】
かかる送り出し装置51は、例えば、送り出しロールの一例としての一対のニップロール52a,52bと、一対のニップロール52a,52bの回転動作を制御するコントローラ55と、バックシートの連続シート5aのイラストILの位置を検出する検出センサー57と、を有する。
【0075】
一対のニップロール52a,52bは、それぞれCD方向に沿った回転軸C52a,C52b回りに回転可能に支持されている。そして、各ロール52a,52bは、駆動源としてのサーボモータ(不図示)から駆動回転力を得て、バックシートの連続シート5aを挟み込みながら回転し、これにより、同連続シート5aを合流位置Pjへと送り出す。
【0076】
コントローラ55は、PLCやシーケンサー等の適宜なコンピュータである。そして、検出センサー57から出力されるイラストILの検出信号に基づいてニップロール52a,52bの回転動作を制御することにより、ニップロール52a,52bと接合装置15との間のバックシートの連続シート5aの伸長状態を変更する。
【0077】
検出センサー57は、例えば、撮像装置57cと、撮像装置57cから送信される画像データを画像処理する画像処理装置57ipと、を有している。撮像装置57cは、例えばCCDカメラとプロセッサとメモリとを有し、同カメラは、例えば、ニップロール52a,52bと接合装置15との間の搬送経路を移動中のバックシートの連続シート5aを撮像する。
【0078】
撮像動作は、前述の同期信号に基づいてなされる。すなわち、撮像装置57cは常時同期信号を受信していて、当該同期信号の回転角度値が、撮像装置57cのメモリ内に予め格納された規定の回転角度値と一致したことを検出した際に、撮像装置57cは撮像動作を行う。上記規定の回転角度値は、例えば、画像データが示す画像内に、イラストILが収まるような値に設定される。そして、同期信号の回転角度値が規定の回転角度値と一致する度に、撮像装置57cは撮像動作を繰り返す。そのため、この例では、イラストIL毎に撮像動作が行われて画像データが生成される。そして、新たな画像データの生成の度に、当該新たな画像データは、画像処理装置57ipへと送信される。
【0079】
画像処理装置57ipは、適宜なコンピュータを本体とし、プロセッサとメモリとを有する。かかる画像処理装置57ipは、撮像装置57cからの画像データの送信の都度、送信される画像データに基づいて、画像処理の一例として二値化処理を行う。そして、二値化処理によって、画像データの画像におけるイラストILの撮像部分の画素を抽出して当該画素の位置座標を求める。詳しくは次の通りである。
先ず、画像データの画像は、X方向及びY方向の両方向に二次元的に並ぶ複数の画素によって構成されている。そして、画像は、例えばCD方向をX方向とし、搬送方向をY方向として撮像されている。また、画像データは、各画素に対応させてそれぞれ色情報を有している。この例では、画像データはグレースケールであるため、画素毎に色情報として明度のみを有している。また、イラストILを示す画素の明度は、バックシートの連続シート5aを示す画素の明度よりも低い値となっている。よって、所定の閾値以上の明度の画素を白画像に割り振り、閾値未満の明度の画素を黒画像に割り振るという二値化処理を行えば、画像におけるイラストILの撮像部分を黒画像として抽出することができる。そして、かかるイラストILの撮像部分が黒画像として抽出されれば、かかる黒画像を構成する全ての画素の位置座標の相加平均値を、上述のイラストILの撮像部分の画素の位置座標を代表する位置座標として用いることができる。
【0080】
一方、画像処理装置57ipの上記メモリには、比較用の位置座標のデータが予め格納されている。ここで、この比較用の位置座標は、上記の合流位置Pjにおいて、トップシートの連続シート3a上に規定された配置目標位置に正しくイラストILが配置される場合に、当該画像においてイラストILの画素が位置すべき位置座標を示している。また、かかる位置座標のうちのY座標が、搬送方向の座標を示している。
【0081】
従って、この比較用の位置座標のY座標の値から、二値化処理で抽出して求められたイラストILの撮像部分の画素の位置座標のY座標の値を減算することによって、画像処理装置57ipはイラストILの搬送方向のずれ量を算出することができる。そして、かかるずれ量の算出の都度、算出されたずれ量のデータを、前述の検出信号として上述のコントローラ55へ送信する。
【0082】
すると、コントローラ55は、かかるデータに基づいてニップロール52a,52bの回転動作を制御する。例えば、このデータが示すずれ量に規定のゲインを乗算して変更量ΔVを算出するとともに、当該変更量ΔVを現状の周速値(m/秒)の指令値に加算して新たな指令値を求め、そして、この新たな指令値でニップロール52a,52bのサーボモータのアンプ53a,53bを制御する。そして、このようにしていれば、データが「搬送方向の上流側にイラストILがずれている」ことを示している場合には、周速値(m/秒)は現状値よりも変更量ΔVの絶対値分だけ大きくされて、これにより、イラストILの上流側へのずれ量が小さくされる。一方、データが「搬送方向の下流側にイラストILがずれている」ことを示している場合には、周速値(m/秒)は現状値よりも変更量ΔVの絶対値分だけ小さくされて、これにより、イラストILの下流側へのずれ量が小さくされる。
【0083】
ちなみに、この例では、かかる変更操作を、上記のデータがコントローラ55に送信される度に行うように構成されている。そして、これにより、バックシートの連続シート5aにおいておむつとなる各部分の全数に対して、ずれ量を小さくする調整がなされるが、何等これに限らない。例えば、複数回の送信に対して一回の割合で、上記の変更操作を行うようにしても良い。
【0084】
ところで、
図8Aの概略平面図に示すように、上記の製造ラインLMを平面視で見た際のCD方向に沿う方向のことを「X1方向」と定義するとともに、CD方向と直交する方向のことを「Y1方向」と定義すると、上述の例では、バックシートの連続シート5aの処理系統L5aの全長に亘って同連続シート5aの搬送方向は、Y1方向を向いている。そのため、繰り出し装置21に係る回転軸部21aの配置位置及び張力計測装置31に係る3本のロール31u,31m,31dの各配置位置の何れの位置でも、バックシートの連続シート5aの搬送方向はY1方向に沿っていたが、何等これに限らない。例えば、
図8Bの概略平面図に示すようにしても良い。
すなわち、同
図8Bに示すように、上記回転軸部21a及びロール31u,31m,31dの各配置位置においては、連続シート5aの搬送方向を、平面視でY1方向と交差する交差方向に沿わせて設定しても良く、より詳しくは、この
図8Bの例では、上記各配置位置での連続シート5aの搬送方向がX1方向に設定されている。但し、その場合には、張力計測装置31に係る3本のロール31u,31m,31dの配置位置と送り出し装置51の配置位置との間の位置で、連続シート5aの搬送方向をX1方向からY1方向に変更する必要がある。そのため、この例では、例えば直径25.4mmの丸棒製のターンバーTB(棒状部材に相当)が、上記位置に配置されている。詳しくは、ターンバーTBは、その長手方向がX1方向及びY1方向の両方向からそれぞれ45°だけ傾いた方向を向いた状態で移動不能且つ回転不能に配置されている。よって、このターンバーTBにバックシートの連続シート5aが掛け回されることにより、同連続シート5aの搬送方向がX1方向からY1方向へと変更される。
そして、かかるターンバーTBを有した構成によれば、
図8Bに示すように、X1方向(つまり、送り出し装置51と合流位置Pjとを結ぶY1方向と平面視で交差する方向)に関して、送り出し装置51とはずれた位置に張力計測装置31に係る3本のロール31u,31m,31d及び繰り出し装置21に係る回転軸部21aを配置することができる。よって、この製造ラインLMの全長寸法をY1方向に関して短くすることができて、その結果、当該製造ラインLMのコンパクト化を図れる。
【0085】
但し、このターンバーTBを設けると、当該ターンバーTBの位置でバックシートの連続シート5aの張力の変動が生じた場合に、当該連続シート5aが非回転のターンバーTBに引っ掛かったり同ターンバーTBとの間の摺動抵抗が過大になる等、トラブルをより誘発し易くなる。しかし、この点につき、この例では、前述したように3本のロール31u,31m,31dの慣性起因の力による新たな張力の変動の発生の問題が概ね回避される等、バックシートの連続シート5aの張力の変動は抑制されている。そのため、上記のトラブルの誘発も有効に防ぐことができる。
【0086】
図9は、本実施形態の第1変形例の製造ラインLMの概略側面図である。
前述の実施形態(
図4)との主な相違点は、同
図9に示すように、バックシートの連続シート5aの処理系統L5aにおける張力計測装置31に係る3本のロール31u,31m,31dと送り出し装置51に係るニップロール52a,52bとの間の位置に、同連続シート5aの搬送方向の張力を調整する張力調整装置41が追設されている点にある。そして、これ以外の構成は、概ね前述の実施形態と同じである。よって、以下では、この相違点について主に説明し、同様の構成については同じ符号を付してその説明については省略する。
【0087】
張力調整装置41は、上述の張力計測装置31の3本のロール31u,31m,31dと同構造の3本のロール41u,41m,41dを有し、また、同装置41は、これら3本のロール41u,41m,41dに山形形状にバックシートの連続シート5aを掛け回した状態で、これら3本のロール41u,41m,41dのうちの真ん中のロール41mに対してバックシートの連続シート5aから付与される力に応じた値をリアルタイムで出力する第2のセンサー(不図示)を有し、更に、同装置41は、上記真ん中のロール41mよりも搬送方向の上流側に配置された駆動ロール41kであって、同連続シート5aに接触して当該連続シート5aを搬送方向の下流に送り出すべくサーボモータ(不図示)で駆動回転する駆動ロール41kを有し、また、同装置41は、上記の第2のセンサーから出力される値に基づいて上記の駆動ロール41kを制御するPLCやシーケンサー等のコントローラ41cを有している。
【0088】
そして、3本のロール41u,41m,41dは、それぞれ、CD方向に沿った回転軸回りに回転可能に支持されている。すなわち、各ロール41u,41m,41dのCD方向の端部には、それぞれ不図示の軸受け部材が製造ラインLMの定位置に移動不能に設けられていて、これにより、各ロール41u,41m,41dは軸受け部材によって回転可能且つ並進移動不能に両端支持されている。また、3本のロール41u,41m,41dのうちの真ん中のロール41mの各軸受け部材には、それぞれ、上記の第2のセンサーの一例として歪みゲージ(不図示)が設けられていて、当該歪みゲージは、バックシートの連続シート5aから当該ロール41mに付与される力に応じた値をリアルタイムで出力する。すなわち、ロール41mに作用するロール41mの半径方向を向いた力に応じた値をリアルタイムで出力する。そして、かかる歪みゲージからの出力値は、上記のコントローラ41cに入力されて、このコントローラ41c内で適宜な係数等が乗算されることにより、バックシートの連続シート5aの張力値(N)(「張力に係る値」に相当)に換算される。そして、当該張力値が、規定の張力目標値(「第2の目標値」に相当)に揃うように、コントローラ41cは、駆動ロール41kの周速値(m/秒)を制御する。
【0089】
より詳しくは、かかる制御は、例えば次の処理を所定の制御周期で繰り返し行うことでなされる。先ず、張力目標値からの張力値のずれ量を、後者から前者を減算することで求める。次に、このずれ量に所定の制御ゲインを乗算して制御量を算出するとともに、当該制御量を現状の周速値(m/秒)の指令値に加算して新たな指令値を求める。そして、この新たな指令値で駆動ロール41kを回転する。よって、当該張力値が張力目標値よりも大きい場合には、周速値(m/秒)は現状値よりも制御量の絶対値分だけ大きくされて、これにより、張力値は張力目標値に近づくように小さくなる一方、張力値が張力目標値よりも小さい場合には、周速値(m/秒)は現状値よりも制御量の絶対値分だけ小さくされて、これにより、張力値は張力目標値に近づくように大きくなる。
【0090】
そして、このようして張力値が張力目標値に揃うように駆動ロール41kの周速値が変更されれば、仮に、搬送方向の下流に位置する送り出し装置51がバックシートの連続シート5aの伸長状態を変更した際に同連造シート5aの張力が変動して、この変動が搬送方向の上流側に遡った場合でも、当該変動を、上記駆動ロール41kの周速値の変更で縮小することができる。そして、これにより、張力調整装置41は、張力の変動が抑制されたバックシートの連続シート5aを送り出し装置51へ送ることができて、その結果、送り出し装置51は、バックシートの連続シート5aの伸長状態の変更を高い精度で行えるようになる。
また、これら3本のロール41u,41m,41dは、上述のように定位置に支持されていて、これにより、回転する以外はほぼ移動しない。すなわち、基本的に並進移動はしない。よって、これらロール41u,41m,41dのうちの少なくとも一つのロールが並進移動する場合に起こり得る前述の問題、すなわち、並進移動に伴って前述のロールの慣性起因の力によりバックシートの連続シート5aに新たな張力の変動が発生するという問題を概ね回避することができて、その結果、同連続シート5aを、当該変動が抑制された状態で送り出し装置51へ送ることができる。そして、これにより、当該送り出し装置51は、同連続シート5aの伸長状態の変更を高い精度で行うことができる。
【0091】
更に、この張力調整装置41を設けた場合には、上記の送り出し装置51起因の連続シート5aの張力の変動を、繰り出し装置21の繰り出し動作で縮小するよりも前に、当該張力調整装置41で縮小することができる。よって、より即時的に張力の変動を縮小可能であり、その結果、送り出し装置51は、連続シート5aの伸長状態の変更をより高い精度で行えるようになる。
【0092】
なお、かかる即時性の観点からは、張力調整装置41を送り出し装置51に近接して配置するのが望ましい。そして、そのためには、バックシートの連続シート5aの搬送経路における張力調整装置41の上記3本のロール41u,41m,41dの配置位置及び上記駆動ロール41kの配置位置が、繰り出し装置21がシートロール5arから同連続シート5aを繰り出す繰り出し位置よりも、送り出し装置51が同連続シート5aを送り出す送り出し位置の方に近いと良い。
【0093】
更に、かかる即時性の観点からは、この張力調整装置41のコントローラ41cは、駆動ロール41kの回転動作の制御を、前述の第2のセンサーの張力値だけでなく、前述の送り出し装置51の画像処理装置57ipが生成するイラストILの検出信号(つまり、イラストILの搬送方向のずれ量のデータ)も加味して行うのが望ましい。例えば、画像処理装置57ipからコントローラ41cへと、上記の検出信号を入力するとともに、当該コントローラ41cでは、この検出信号が示すイラストILの搬送方向のずれ量に規定のゲインを乗算して変更量ΔVを算出する。そして、この変更量ΔVと、前述の第2のセンサーの張力値に係る制御量とを、駆動ロール41kの現状の周速値の指令値に加算して新たな指令値を求め、そして、当該新たな指令値で駆動ロール41kを回転すると良い。
【0094】
そして、このようにすれば、送り出し装置51による伸長状態の変更の影響が、バックシートの連続シート5aの張力の変動として上流側に遡っていって張力調整装置41の上記第2のセンサーで検出されるよりも前に、当該張力調整装置41の駆動ロール41kは、上記の張力の変動が小さくなるように回転することができる。よって、より早期に同連続シート5aの張力の変動を抑制可能となる。
【0095】
また、かかる張力調整装置41は、繰り出し装置21で大きくなった連続シート5aの伸長状態を緩和する緩和装置としても機能する。すなわち、当該張力調整装置41では、繰り出し装置21で伸長した連続シート5aの伸長倍率Munwよりも小さくなるように、同連続シート5aの伸長状態を緩和する。そして、このように伸長状態を緩和した場合には、当該張力調整装置41から送り出し装置51まで搬送される間に同連続シート5aに生じ得る幅縮みや縦筋、折れ返り等の不具合を有効に防止することができる。また、この防止効果をより高める観点からは、望ましくは、張力調整装置41で緩和後の連続シート5aの伸長倍率Mrが、送り出し装置51で変更後の連続シート5aの伸長倍率Msよりも小さくなるようにすると良く、この例では、そのようにすべく、当該伸長倍率Mrを1.017倍にしている。かかる伸長倍率の設定は、上記のコントローラ41c内において、前述の張力目標値を、伸長倍率Mrに対応する値に設定することでなされ、かかる張力目標値の求め方は、前述の繰り出し装置21で説明した方法と同じであるので、その説明については省略する。
【0096】
図10は、本実施形態の第2変形例の製造ラインLMの概略側面図である。
前述の第1変形例との主な相違点は、(1)繰り出し装置21,21が二つ設けられていること、(2)搬送方向における繰り出し装置21の回転軸部21aと張力計測装置31の3本のロール31u,31m,31dとの間に資材継ぎ装置25が設けられていること、(3)資材継ぎ装置25と張力調整装置41の3本のロール41u,41m,41dとの間に、バックシートの連続シート5aをループの形態で蓄積可能な蓄積装置35が配置されていることの3点にある。そして、これら以外の構成は、概ね前述の実施形態と同じである。よって、以下では、これらの相違点について主に説明し、同様の構成については同じ符号を付してその説明については省略する。
【0097】
二つの繰り出し装置21,21は、それぞれ回転軸部21a,21aを有する。そして、各回転軸部21aの構成及び動作は、本実施形態のところで説明した内容と同じである。例えば、各回転軸部21a,21aは、それぞれ、駆動源としてのサーボモータで駆動回転されるとともに、各回転軸部21a,21aは、それぞれ、シートロール5ar,5arが中心部に有する貫通孔に挿入される。そして、当該回転軸部21aでシートロール5arを支持した状態で、同回転軸部21aが、基本的に第1のセンサー31s(
図5)からの出力値由来の前述の張力値に基づいて駆動回転することにより、シートロール5arからバックシートの連続シート5aを繰り出す。
但し、これら二つの繰り出し装置21,21は、交互に切り替えて使用される。すなわち、一方の繰り出し装置21がバックシートの連続シート5aを繰り出している間は、他方の繰り出し装置21は概ね待機状態にあり、そして、一方の繰り出し装置21のバックシートの連続シート5aが無くなりそうになったら、これに代えて、待機状態の他方の繰り出し装置21がバックシートの連続シート5aの繰り出し動作を開始する。
【0098】
資材継ぎ装置25は、一方の繰り出し装置21で繰り出されるバックシートの連続シート5aに、他方の繰り出し装置21に支持されて待機中のシートロール5arのバックシートの連続シート5aを接続する装置である。そして、これにより、途切れることなく連続してバックシートの連続シート5aを繰り出すことができる。
【0099】
かかる資材継ぎ装置25は、周知構成であり、例えば、クランプ機構(不図示)と、カッター機構(不図示)と、を有する。そして、次のようにして接続処理がなされる。先ず、他方の繰り出し装置21で待機中のシートロール5arのバックシートの連続シート5aの先端部5aeを、クランプ機構の一方の挟圧部材に載置にするとともに、同先端部5aeに両面テープを取り付ける。次に、一方の繰り出し装置21がバックシートの連続シート5aの繰り出し動作を停止している間に、当該連続シート5aに対向する他方の挟圧部材の方へと、一方の挟圧部材を移動して、これら一対の挟圧部材同士で、同連続シート5aと両面テープと先端部5aeとの三者を挟圧し、これにより、一方の繰り出し装置21で繰り出し停止中の連続シート5aと他方の繰り出し装置21で待機中のシートロール5arの連続シート5aとを接続する。そうしたら、この挟圧状態の間に、カッター機構で、一方の繰り出し装置21の連続シート5aを、両面テープで接続された部分よりも搬送方向の上流側の位置で切断する。そして、しかる後に、一対の挟圧部材の挟圧状態を解除すれば、一方の繰り出し装置21のシートロール5arから他方の繰り出し装置21のシートロール5arへと、バックシートの連続シート5aを繰り出すシートロール5arが切り替えられる。
【0100】
蓄積装置35は、繰り出し装置21から繰り出されたバックシートの連続シート5aを搬送方向の下流へ供給可能に蓄積する装置である。かかる蓄積装置35は、定位置に配された複数の固定ローラー35s,35s…からなる固定ローラー群G35sと、バックシートの連続シート5aの上記ループの大きさを変更可能な方向として上下方向に往復移動可能に案内された複数の移動ローラー35m,35mからなる移動ローラー群G35mと、移動ローラー群G35mを上下方向に往復移動させるアクチュエータ(不図示)と、このアクチュエータを制御するPLC等のコントローラ(不図示)と、を有している。
【0101】
そして、バックシートの連続シート5aは、固定ローラー群G35sに属する各固定ローラー35sと移動ローラー群G35mに属する各移動ローラー35mとに交互に掛け回されていて、これにより、バックシートの連続シート5aのループが形成されている。よって、移動ローラー群G35mが固定ローラー群G35sから離れる方向(
図10の例では下方)に移動すれば、ループが大きくなってバックシートの連続シート5aが蓄積される一方、上下方向において移動ローラー群G35mが固定ローラー群G35sに近づく方向(
図10の例では上方)に移動すれば、ループが小さくなって、蓄積されていた連続シート5aが送り出し装置51へと供給される。
【0102】
ここで、前述のように繰り出し動作を一方の繰り出し装置21から他方の繰り出し装置21へと切り替える際には、一方の繰り出し装置21による連続シート5aの繰り出し速度値Vunwが徐々に小さくなっていって、これにより、繰り出し動作が停止に移行していくが、その場合には、蓄積装置35は、ループを小さくすることにより、送り出し装置51へとバックシートの連続シート5aを供給する。よって、送り出し装置51は、上記の繰り出し動作の停止の影響無く、伸長状態を変更しながらの送り出し動作を継続して行うことができる。また、この蓄積装置35の供給動作は、前述の資材継ぎ装置25による連続シート5aの接続処理が終了するまで継続されるが、当該接続処理が終了して、他方の繰り出し装置21での繰り出し動作が可能な状態になると、他方の繰り出し装置21から繰り出される連続シート5aを、蓄積装置35は、ループを大きくすることによって蓄積する。そして、かかるループが規定の長さになった際には、次の繰り出し動作の切り替えまで、上記の規定の長さに対応する上下方向の定位置から移動ローラー群G35mが移動しないように、アクチュエータは移動ローラー群G35mを保持する。よって、移動ローラー群G35mが移動した場合に各移動ローラー35mの慣性起因の力によって生じ得る連続シート5aの張力の変動を抑制することができる。
【0103】
ここで、かかるアクチュエータとしては位置制御可能なものが使用され、この例では、リニアサーボモータが使用されている。リニアサーボモータは、ベース部材と、ベース部材に対して上下方向に往復移動可能に案内されたスライダ部材と、スライダ部材の上下方向の実績位置を計測するリニア式エンコーダと、を有する。そして、スライダには、移動ローラー群G35mの各移動ローラー35mが、それぞれ不図示の軸受け部材を介して回転可能に支持されている。また、上記のようにリニアサーボモータはスライダを位置制御に基づいて上下方向に移動する。すなわち、同モータは、リニア式エンコーダから出力されるスライダの実績位置と、コントローラから送信される制御信号が示す上下方向の指令位置との偏差が小さくなるようにスライダを移動する。よって、当該コントローラが、指令位置として上記の定位置を含む制御信号を同モータに送信することによって、上記のような定位置での移動ローラー群G35mの保持を実現することができる。
【0104】
一方、繰り出し動作の切り替えの際に蓄積装置35が行う連続シート5aの供給動作は、例えば次のようにしてなされる。先ず、張力計測装置31から出力される張力値は、常時上記のコントローラに入力されている。一方、上記切り替えを行うべく一方の繰り出し装置21の繰り出し動作を停止へ移行すると、当該一方の繰り出し装置21からは連続シート5aが繰り出されなくなるが、それにもかかわらず、下流の送り出し装置51の方へは連続シート5aが送られるので、張力計測装置31から出力される張力値が大きくなり得る。但し、このときには、同コントローラは、当該張力値が規定の張力目標値(第3の目標値に相当)に揃うように、上記のリニアサーボモータを制御している。すなわち、コントローラは、張力値が張力目標値と揃うような指令位置を演算して求め、当該指令位置を含む制御信号を同モータに送信することによって同モータを制御している。よって、同モータは、大きくなろうとする張力値が張力目標値に戻るようにスライダを移動する。つまり、ループが小さくなるように移動ローラー群G35mを上昇して、その結果、蓄積装置35から連続シート5aが下流の送り出し装置51へと止まること無く供給される。
【0105】
また、接続処理の終了後に蓄積装置35が行う連続シート5aの蓄積動作は、例えば次のようにしてなされる。先ず、この時点は、繰り出し動作の切り替え直後であることから、当該時点では、既に他方の繰り出し装置21の繰り出し動作が開始されている。また、当該繰り出し動作は、前述したのと同様に、張力計測装置31から出力される張力値に基づいてなされている。すなわち、当該張力値が張力目標値(第4の目標値に相当)に揃うように他方の繰り出し装置21から連続シート5aが繰り出されている。そのため、コントローラが、リニアサーボモータを位置制御して移動ローラー群G35mを上述の定位置まで下降すれば、下流の送り出し装置51の方へ送るべき連続シート5aの必要量よりも上記の下降分だけ余計に連続シート5aが繰り出し装置21から繰り出される。そして、その結果、送り出し装置51へと連続シート5aを送る状態を維持しながらも、ループが大きくされて蓄積装置35には連続シート5aが蓄積される。
【0106】
なお、ここで望ましくは、ループを小さくする場合に、リニアサーボモータは、上下方向においてループが小さくなる方向たる上方の力を移動ローラー群G35mに付与することにより、移動ローラー群G35mを上方へ移動すると良く、同様に、ループを大きくする場合も、同リニアサーボモータは、上下方向においてループが大きくなる方向たる下方の力を移動ローラー群G35mに付与することにより、移動ローラー群G35mを下方に移動すると良い。
【0107】
そして、このようにしていれば、移動ローラー群G35mの慣性起因の力をリニアサーボモータが受けて負担することができて、これにより、当該慣性起因の力が連続シート5aに作用することを防ぐことができる。そして、その結果、当該力により新たな張力の変動が、連続シート5aに生じることを有効に防ぐことができて、これにより、当該連続シート5aを、上述のように張力の変動が抑制された状態で確実に送り出し装置51へ送ることができる。
【0108】
図11は、本実施形態の第3変形例の製造ラインLMの概略側面図である。また、
図12A乃至
図12Eは、この第3変形例でなされる接続処理を説明するための概略側面図である。
前述の第2変形例では、
図10の資材継ぎ装置25は、一方の繰り出し装置21による連続シート5aの繰り出し動作を停止した状態で、当該連続シート5aに対して、他方の繰り出し装置21で待機中のシートロール5arの連続シート5aを接続していたが、この
図11の第3変形例では、一方の繰り出し装置21による連続シート5aの繰り出し動作を停止せずに、この繰り出し中の連続シート5aに対して、他方の繰り出し装置21で待機中のシートロール5arの連続シート5aを接続する。そして、これにより、この第3変形例では、繰り出し動作の停止に起因して必要であった蓄積装置35が省略されている。なお、これら以外の点は、概ね第2変形例と同じである。そのため、第2変形例と同じ構成については同じ符号を付してその説明については省略する。
【0109】
図12Aに示すように、二つの繰り出し装置21,21の各回転軸部21a,21aは、それぞれ、例えば矩形の周回軌道TR21aをボックスモーションするようになっている。そして、この周回軌道TR21aには、回転軸部21aが大半の繰り出し動作を行う繰り出し動作実行位置Peと、繰り出し動作の終了間際の回転軸部21aが一時退避する一時退避位置Phと、繰り出し動作を終了した回転軸部21aが次の繰り出し動作まで待機する待機位置Prと、が設定されている。そして、一方の回転軸部21aから他方の回転軸部21aへの繰り出し動作の切り替えは、例えば次のようにしてなされる。
【0110】
同
図12Aに示すように、先ず、繰り出し動作実行位置Peには、一方の回転軸部21aが位置していて、当該回転軸部21aはサーボモータ(不図示)で駆動回転することにより、シートロール5arからバックシートの連続シート5aを繰り出している。そして、繰り出し動作の終了間際になると、
図12Bに示すように、当該回転軸部21aは、繰り出し動作を維持したまま、繰り出し動作実行位置Peから上方の一時退避位置Phへと移動する。そして、同位置Phへの移動後も、そのまま繰り出し動作を継続する。
【0111】
一方、この移動と同時並行又はその後に、
図12Cに示すように、他方の回転軸部21aが待機位置Prから繰り出し動作実行位置Peへと移動する。なお、このとき、他方の回転軸部21aには、待機位置Prで既に新しいシートロール5arが取り付けられている。そして、繰り出し動作実行位置Peに移動したら、当該他方の回転軸部21aは、サーボモータ(不図示)によって駆動回転されて、これにより、同他方の回転軸部21aのシートロール5arの外周面の周速値(m/秒)が加速されていくが、ここで、ロータリー式エンコーダなどの適宜なセンサーにより、この周速値が一時退避位置Phの上記一方の回転軸部21aの連続シート5aの繰り出し速度値Vunw(m/秒)と同値になったことを検出すると、当該周速値は、この繰り出し速度値Vunwと同値に維持される。
【0112】
そうしたら、
図12Dに示すように、一時退避位置Phの一方の回転軸部21aから繰り出される連続シート5aが、往復移動可能なロール状の押圧部材28pによって押圧されて、これにより、同連続シート5aは、繰り出し動作実行位置Peの他方の回転軸部21aのシートロール5arの外周面の方へと近づいていって同外周面に押し付けられる。すると、当該外周面おいて上記連続シート5aが押し付けられた位置に予め設けられた両面テープ等の接着部材(不図示)を介して同連続シート5aは当該外周面に接続される。そして、当該連続シート5aが上記接着部材と一方の回転軸部21aとの間で切断されて、これにより、一方の回転軸部21aの古いシートロール5arから他方の回転軸部21aの新しいシートロール5arへと繰り出し動作が切り替えられる。
【0113】
そうしたら、
図12Eに示すように、一方の回転軸部21aは、待機位置Prへと移動する。そして、この待機位置Prで待機中に、当該一方の回転軸部21aに対して、古いシートロール5arの取り外し処理及び新しいシートロール5arの取り付け処理がなされる。
【0114】
ここで、望ましくは、一方の回転軸部21a1(21a)から他方の回転軸部21a2(21a)へと繰り出し動作を切り替える際には、
図13の概略平面図に示すように、一方の回転軸部21a1で繰り出されるバックシートの連続シート5aのイラストILにおける所定位置Paj(
図13の例では、イラストILの図心位置PIL)と、他方の回転軸部21a2に支持されたシートロール5arのバックシートの連続シート5aのイラストILにおいて上記の所定位置Pajに相当する位置Pajsとが搬送方向に関して揃うように位置合わせすると良い。詳しくは、前者の位置Pajと後者の位置Pajsとの間の搬送方向のずれ量ΔPajがイラストILの印刷ピッチP5(
図6)の±5%以内に(望ましくは±1%以内に)収まるように位置合わせしながら、一方の回転軸部21a1で繰り出された連続シート5aに、他方の回転軸部21a2に支持されたシートロール5arの連続シート5aを接続すると良い。
【0115】
そして、このようにすれば、繰り出し動作の切り替えにおける連続シート5aの連続性は、イラストILの並び状態についても概ね担保される。そして、これにより、イラストILの並び状態の非連続度合いが大きい場合に送り出し装置51で行う必要が生じ得る伸長状態の過大な変更を行わずに済んで、このことも、送り出し装置51が連続シート5aの伸長状態の変更を高い精度で行うことに有効に寄与する。
【0116】
なお、このような位置合わせは、前述の送り出し装置51で用いた検出センサー57(
図4)と類似構成のセンサー29(
図14)を用いることで実現可能である。
図14は、その説明用の概略側面図である。同
図14に示すように、センサー29は、二つの撮像装置57c,57cと、これら二つの撮像装置57c,57cから送信される各画像データを画像処理する画像処理装置57ipと、を有している。二つの撮像装置57c,57cのうちの一方の撮像装置57cは、一時退避位置Phに対応させて設けられていて、同位置Phで古いシートロール5arから前述の繰り出し速度値Vunwで繰り出される連続シート5aのイラストILを検出する。また、もう一方の撮像装置57cは、繰り出し動作実行位置Peに対応させて設けられていて、同位置Peで、上記の繰り出し速度値Vunwと同じ周速値まで加速されて当該周速値で回転される新しいシートロール5arのイラストILを検出する。そして、どちらの撮像装置57c,57cも、前述の同期信号に基づいて撮像動作をする。例えば、同期信号の回転角度値が規定の回転角度値と一致する度に、2つの撮像装置57c,57cは撮像動作を行う。
【0117】
一方、画像処理装置57ipは、二つの撮像装置57c,57cからの各画像データの送信の都度、送信される各画像データに対して二値化処理等を行って、これにより、各画像データの画像におけるイラストILの撮像部分の画素を抽出して、それぞれ、当該画素の位置座標を求める。そして、古いシートロール5arの連続シート5aのイラストILの位置座標のY座標の値から新しいシートロール5arのイラストILの位置座標のY座標の値を減算して、これにより、減算値を求める。そして、この減算値を、回転軸部21a,21aの回転動作を制御するコントローラ21cに送信する。
【0118】
ここで、上述のような位置合わせ状態となる減算値の範囲、つまり、搬送方向のずれ量ΔPajがイラストILの印刷ピッチP5の±5%以内に収まるような位置合わせ状態となる減算値の範囲は、予め実験等でわかっていて、かかる範囲は、上記のコントローラ21cのメモリに予め格納されている。よって、コントローラ21cのプロセッサは、画像処理装置57ipから送信される減算値が、上記範囲に入っていない場合には、減算値に所定の制御ゲインを乗算して加速度値(m/秒
2)を求め、この加速度値で繰り出し動作実行位置Peに位置する回転軸部21aを加速するとともに、この加速後に当該加速の略逆動作で減速してシートロール5arの周速値を加速前の周速値に戻す。そして、これにより、当該新しいシートロール5arの周速値を、上述の繰り出し速度値Vunwと同値に維持しながらも、当該新しいシートロール5arのイラストILの位置を、古いシートロール5arの連続シート5aのイラストILの位置に対して相対的に搬送方向の下流に移動して、これにより、前者の位置を後者の位置に近付けることができる。そして、この処理を上述の撮像動作の度に繰り返し行うことによって、上記の位置合わせが実現される。
【0119】
ちなみに、前述の第2変形例(
図10)においても、上述の位置合わせ、つまり、搬送方向のずれ量ΔPajがイラストILの印刷ピッチP5の±5%以内に収まるようにする位置合わせを行っても良い。但し、この第2変形例の資材継ぎ装置25は、古いシートロール5arの連続シート5aと新しいシートロール5arの連続シート5aとを接続する際に、新しいシートロールからの繰り出し動作を停止状態にするだけでなく、古いシートロール5arからの繰り出し動作も停止状態にする。そのため、この場合には、かかる位置合わせ作業を作業者の手作業で行うことができる。そして、当該手作業については、これ以上説明しなくてもわかるものと考えられるので、その説明については省略する。
【0120】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0121】
上述の実施形態等では、第1シートとしてトップシートの連続シート3aを例示し、第2シートとしてバックシートの連続シート5aを例示したが、何等これに限らない。例えば、第1シートが、おむつの外装をなす外装シートの連続シートであるとともに、第2シートが、外装シートの肌側面に接合されて同シートを透かして視認可能なイラストシートの連続シートであるか、或いは、イラストILが印刷された防漏シートの連続シートであっても良い。
【0122】
上述の実施形態等では、表示要素の一例としてイラストILを例示し、同イラストILは、複数の図柄G,G…が組み合わされて構成されていたが、何等これに限らない。例えば、
図7に示すようにイラストILは一つの図柄Gだけを有していても良い。また、イラストILは、花などの動植物やキャラクター以外の図柄で構成されていても良く、例えば、文字や幾何学模様等の図柄で構成されていても良い。更に言えば、表示要素の形成は、何等印刷に限らない。例えば、第2シートたるバックシートの連続シート5aを厚さ方向に押圧して複数のドット状凹部或いは複数の線状凹部を形成することにより、表示要素の図柄を形成しても良い。
【0123】
上述の実施形態等では、同期信号の単位信号を0°〜360°の回転角度値で示される信号としていたが、何等これに限らない。例えば、同期信号の単位信号が、0〜8191等のデジタル値で構成されていても良い。また、上述の説明では、
図4のカッター装置80に設けられたロータリー式エンコーダが同期信号を生成していたが、何等これに限らない。例えば、PLC等の適宜なコントローラ(不図示)が生成しても良い。すなわち、コントローラは、プロセッサとメモリとを有し、メモリには、同期信号を生成するプログラムが予め格納されていて、プロセッサが、上記プログラムをメモリから読み出して実行することにより、同期信号の単位信号を繰り返し生成しても良い。更には、同期信号の生成を、上記のプログラムを読み出したプロセッサではなく、適宜な電気回路が行うようにしても良い。
【0124】
上述の実施形態等では、送り出し装置51に係る検出センサー57として、撮像装置57cと画像処理装置57ipとを有した装置を例示したが、何等これに限らない。すなわち、前述のイラストILを検出して、その搬送方向のずれ量を取得可能なセンサーであれば使用可能である。例えば、光電管を有したセンサーを用いても良い。すなわち、光電管の位置をイラストILが通過したことを検出して光電管から検出信号が出力された時刻と、メモリに予め格納された前述の規定の回転角度値を同期信号が出力した時刻との差に基づいて、送り出し装置51のニップロール52a,52bの回転動作を制御しても良い。
【0125】
上述の実施形態等では、吸収性物品の一例として使い捨ておむつを例示したが、着用対象者の排泄液を吸収する物品であれば、何等これに限るものではなく、例えば吸収性物品が生理用ナプキンや尿取りパッド等であっても良い。
【0126】
上述の実施形態等では、表示要素としてイラストILを例示し、そして、
図6に示すように、バックシートの連続シート5aにおいて連続方向に印刷ピッチP5で隣り合うイラストIL,IL同士を全く同じ構成にしていたが、何等これに限らない。すなわち、
図15に示すように、構成が互いに異なるイラストIL1,IL2にしても良い。但し、この場合には、構成が互いに異なるイラストIL1,IL2の搬送方向の各図心位置PIL1,PIL2同士が、印刷ピッチP5に相当する各領域内において互いに同じ位置になるように各イラストIL1,IL2は印刷される。そして、これにより、前述の検出センサー57は、これらイラストIL1,IL2同士の構成が互いに異なる場合でも、各イラストIL1,IL2の搬送方向のずれ量を正しく算出することができる。
【0127】
上述の実施形態等では、
図4に示すように、繰り出し装置21の一例として、シートロール5arの中心部の貫通孔に挿入されて同シートロール5arを回転可能に支持する回転軸部21aと、この回転軸部21aに連結されて当該回転軸部21aに回転力を付与して同回転軸部21aを駆動回転する駆動源と、を有した構成を開示したが、何等これに限らない。例えば、
図1中に示すように、シートロール5arの外周面に当接して配されたベルト部材21’を駆動回転することによって、シートロール5arからバックシートの連続シート5aを繰り出しても良い。但し、この構成の場合には、シートロール5arの外周面をベルト部材21’が擦ってしまって外周面に位置するバックシートの連続シート5aの部分に皺を生じさせてしまったり同部分を弛ませてしまう等の不具合が生じ得て、これにより、同連続シート5aは、皺や弛みが生じた状態で送り出し装置51へ向けて繰り出されてしまい得る。そのため、望ましくは、かかる不具合が生じないように上述の実施形態の繰り出し装置21を用いると良い。
【0128】
上述の実施形態等では、「第1のセンサーの前記値が示す張力に係る値」の一例として「張力値」を例示したが、何等これに限らない。すなわち、張力値と連動して増減するような値であれば、張力値以外の値でも良い。例えば、張力値に対して所定の定数(分数を含む)を乗算した値でも良いし、又は、所定の第2の定数(負値を含む)を加算した値でも良いし、更には、これらを組み合わせた値でも良い。そして、その場合には、請求項に係る「第1、第3、及び第4の目標値」に相当する各張力目標値は、それぞれ、上記の値に対応して設定されるのは言うまでもない。
【0129】
上述の第1変形例乃至第3変形例では、「第2のセンサーの前記値が示す張力に係る値」の一例として「張力値」を例示したが、何等これに限らない。すなわち、張力値と連動して増減するような値であれば、張力値以外の値でも良い。例えば、張力値に対して所定の定数(分数を含む)を乗算した値でも良いし、又は、所定の第2の定数(負値を含む)を加算した値でも良いし、更には、これらを組み合わせた値でも良い。そして、その場合には、請求項に係る「第2の目標値」としての張力目標値は、上記の値に対応して設定されるのは言うまでもない。
【0130】
上述の第2変形例では、
図10に示すように、蓄積装置35を、張力計測装置31よりも搬送方向の下流側の位置に配置していたが、何等これに限らない。例えば、蓄積装置35を、張力計測装置31よりも搬送方向の上流側の位置に配置しても良い。より詳しくは、当該蓄積装置35を、資材継ぎ装置25と張力計測装置31との間に配置しても良い。
【0131】
上述の実施形態等では、第1センサー31sの一例として歪みゲージを例示したが、何等これに限らない。例えばロードセルでも良い。
【0132】
上述の第1乃至第3変形例では、第2センサーの一例として歪みゲージを例示したが、何等これに限らない。例えば、ロードセルでも良い。
【0133】
上述の第2変形例では、繰り出し動作が停止していく際の蓄積装置35の供給動作を、張力計測装置31から出力される張力値に基づいてコントローラがリニアサーボモータを制御して移動ローラー群G35mを上昇することで行っていたが、何等これに限らない。例えば、繰り出し動作が停止していく際に下流の送り出し装置51へと送り出すべき連続シート5aの単位時間当たりの必要量(m)を時間軸との関係で予測できる場合には、当該繰り出し動作が停止していく際に連続シート5aを弛ませず且つ大きく引っ張ること無く移動ローラー群G35mを上昇させるための上昇動作パターン(上昇速度(m/秒)と時間(秒)との関係のグラフ)についても算出可能である。よって、当該動作パターンを予めプログラムの形態でコントローラのメモリに格納しておき、コントローラのプロセッサが、当該プログラムに基づいてリニアサーボモータを位置制御することにより上記の供給動作を実現しても良い。
【0134】
上述の第2変形例では、蓄積装置35は、連続シート5aの供給動作を行った後の比較的早い時点で、規定の長さまで連続シート5aを蓄積し、そして、しかる後に、次の繰り出し動作の切り替えまで、上記の規定の長さに対応する上下方向の定位置から移動ローラー群G35mが移動しないように、リニアサーボモータは移動ローラー群G35mを位置制御で保持していたが、何等これに限らない。例えば、供給動作を行った蓄積装置35は、蓄積動作を、次の繰り出し動作の切り替えの直前で行っても良い。そして、その場合には、当該蓄積装置35は、蓄積動作の開始時点まで、連続シート5aのループを上記の供給動作直後の小さいループの状態に維持することになるが、このときには、望ましくは、このループに対応する上下方向の位置から移動ローラー群G35mが移動しないように、リニアサーボモータが移動ローラー群G35mを位置制御で保持すると良い。そして、このようにすれば、概ね供給動作の終了時点から蓄積動作の開始時点までの期間に亘って、移動ローラー35mが移動した場合に同ローラー35mの慣性起因の力によって生じ得る連続シート5aの張力の変動を効果的に抑制可能となる。
【課題】第2シートの表示要素が第1ピッチで並ぶように且つ第1ピッチに基づく第1シート上の配置目標位置に表示要素がなるよう高精度で第2シートを第1シートに重合せ固定。
【解決手段】第1シート連続方向に第1ピッチを設定し第2シート連続方向に第2シート5aが巻取シートロール状態前に第2シート連続方向に第1ピッチより小さい第2ピッチで表示要素形成されシートロールから第2シートを繰出し連続方向を搬送方向とし搬送する第2シートを第1シート搬送経路合流位置へ送出繰出で搬送方向の上流側位置で回転可能に支持された3本のロールに第2シートを掛回状態で真ん中ロールに対し第2シートから力に応じ第1センサー31aが出力値に基づきシートロールから第2シートの繰出動作し送出で搬送方向に搬送する第2シートの表示要素が第1ピッチで第1シート上の配置目標に表示要素が位置する送出装置が第2シート搬送方向の伸長状態を変更。