特許第5990909号(P5990909)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5990909片末端官能基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5990909
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】片末端官能基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/20 20060101AFI20160901BHJP
   C08G 77/38 20060101ALI20160901BHJP
   C08G 77/08 20060101ALI20160901BHJP
   C08F 290/06 20060101ALN20160901BHJP
   C08F 299/08 20060101ALN20160901BHJP
【FI】
   C08G77/20
   C08G77/38
   C08G77/08
   !C08F290/06
   !C08F299/08
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2011-287717(P2011-287717)
(22)【出願日】2011年12月28日
(65)【公開番号】特開2013-136662(P2013-136662A)
(43)【公開日】2013年7月11日
【審査請求日】2014年1月24日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】後藤 智幸
(72)【発明者】
【氏名】萩原 守
(72)【発明者】
【氏名】峯村 正彦
【審査官】 前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−031199(JP,A)
【文献】 特公昭45−001070(JP,B1)
【文献】 特開平05−017577(JP,A)
【文献】 特開平08−239479(JP,A)
【文献】 特開平09−025283(JP,A)
【文献】 特表2014−530205(JP,A)
【文献】 特開平09−025411(JP,A)
【文献】 特開平08−003450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00− 77/62
C08F 2/00−299/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(2):
【化1】

(式中、Aは下記式(3)−3
−Si(CH32−(CH2b−(OCO)C(R8)=CH2: (3)−3
(式中、R8は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、bは2〜10の整数である。)
で示される基、Xは炭素数1〜12のアルキル基、アリール基又はR3(CH32SiO−基(R3は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基)であり、R1は炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、R2はメチル基又はフェニル基であり、nは1〜1000の数である。)
で示される構造を有する片末端官能基含有オルガノポリシロキサン。
【請求項2】
下記式(1):
【化2】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、R2はメチル基又はフェニル基である。)
で表されるシクロトリシロキサンをアニオンリビング重合した後、重合末端を下記式(5)−3
YSi(CH32−(CH2b−(OCO)C(R8)=CH2: (5)−3
(式中、R8は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、Yはハロゲン原子である。bは2〜10の整数である。)
で示される官能基含有ケイ素化合物にてキャップすることを特徴とする片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項3】
前記アニオンリビング重合が、アルキルリチウム又はリチウムシラノレートを開始剤に用いて行われる請求項2に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項4】
前記アルキルリチウムがn−ブチルリチウムである請求項3に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項5】
前記アニオンリビング重合が、ケイ素五配位化合物を触媒とし、R’3SiOH(R’は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。)で表されるシラノールを開始剤に用いて行われる請求項2に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【請求項6】
前記ケイ素五配位化合物が、下記式(4)で示されるものである請求項5に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【化3】

(式中、R9は置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基、MはLi、Na、K、NH4又はC65CH2N(CH33 である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のオルガノポリシロキサン化合物及びその製造方法に関する。詳しくは、分子鎖片末端に官能性を有するオルガノポリシロキサン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分子鎖片末端に官能性基を有するオルガノポリシロキサンは、その官能性基の反応性を利用して、オルガノポリシロキサン鎖を枝とするグラフト型有機ポリマーの原料となっている。該オルガノポリシロキサンを組み込んだ有機ポリマーは、撥水性、防汚性、非接着性、耐熱性、耐摩耗性、生体適合性及び酸素透過性等の高い機能が得られる。
【0003】
従来、このような分子鎖片末端に官能性基を有するオルガノポリシロキサンは、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを開環重合し、重合後、反応末端を各種官能基含有の末端停止剤によってキャップすることにより合成できることが知られている。
例えば、特開昭59−78236号公報(特許文献1)では、リチウムトリメチルシラノレートを重合開始剤に用いて、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを開環重合させた後、3−(2−(メタ)アクリロキシエトキシ)プロピルジメチルクロロシランで反応末端をキャップすることにより、片末端(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサンを合成する方法が提案されている。
【0004】
また、特開平2−92933号公報(特許文献2)において、リチウム(3−メタクリロキシ)プロピルジメチルシラノレートを重合開始剤として用い、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを開環重合し、トリメチルクロロシランで反応を停止することにより、片末端に(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサンを合成する方法が提案されている。
【0005】
更に、トリメチルシラノール又は3−メタクリロキシプロピルジメチルシラノールを開始剤として用い、五配位ケイ素触媒の存在下、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを開環重合し、次いでそれぞれ3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン又はトリメチルクロロシランで反応を停止することにより、片末端に(メタ)アクリル基を有するオルガノポリシロキサンを合成する方法も公知である。
【0006】
しかし、上記の方法では、主鎖のオルガノポリシロキサンは分岐した構造をとっておらず、酸素透過性、滑り性、離型性等が十分ではなかった。
【0007】
一方、オルガノポリシロキサン鎖が極度に分岐した構造を有する分子鎖片末端官能性のオルガノポリシロキサン化合物として、特許第4236342号公報(特許文献3)及び特許4270593号公報(特許文献4)において、デンドリマー構造を有する化合物が提案されている。該化合物を用いたものは、被膜形成性に優れているものの、合成の出発原料が特殊である上に、工程も煩雑で製造方法に問題があった。
【0008】
また、分岐したオルガノポリシロキサン鎖を有する別の化合物としては、特許第3124910号公報(特許文献5)において、下記式
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基又はアルケニル基であり、R2はメチル基又はフェニル基である。)
の構造を有する化合物を出発原料としたオルガノポリシロキサンの合成が例示されている。
しかし、本特許では、低温特性の改善を目的とした無官能性のオルガノポリシロキサンの記載があるのみであり、分子鎖片末端に官能性を有するオルガノポリシロキサン化合物については、全く言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭59−78236号公報
【特許文献2】特開平2−92933号公報
【特許文献3】特許第4236342号公報
【特許文献4】特許第4270593号公報
【特許文献5】特許第3124910号公報
【特許文献6】特公昭45−1070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、分子鎖片末端に官能性を有する新規なオルガノポリシロキサン化合物、詳しくは、主鎖が極度に分岐したオルガノポリシロキサン鎖を有する分子鎖片末端官能性のオルガノポリシロキサン化合物及びその簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、下記式(1):
【化2】

(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、R2はメチル基又はフェニル基である。)
で表されるシクロトリシロキサンをアニオンリビング重合し、重合末端を官能基含有ケイ素化合物にてキャップすることによって、目的とする片末端官能基含有オルガノポリシロキサンが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
従って、本発明は、下記片末端官能基含有オルガノポリシロキサン及びその製造方法を提供する。
〈1〉 下記式(2):
【化3】

(式中、Aは下記式(3)−3
−Si(CH32−(CH2b−(OCO)C(R8)=CH2: (3)−3
(式中、R8は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、bは2〜10の整数である。)
で示される基、Xは炭素数1〜12のアルキル基、アリール基又はR3(CH32SiO−基(R3は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基)であり、R1は炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、R2はメチル基又はフェニル基であり、nは1〜1000の数である。)
で示される構造を有する片末端官能基含有オルガノポリシロキサン。
〈2〉 下記式(1):
【化4】
(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、R2はメチル基又はフェニル基である。)
で表されるシクロトリシロキサンをアニオンリビング重合した後、重合末端を下記式(5)−3
YSi(CH32−(CH2b−(OCO)C(R8)=CH2: (5)−3
(式中、R8は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、Yはハロゲン原子である。bは2〜10の整数である。)
で示される官能基含有ケイ素化合物にてキャップすることを特徴とする片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
〈3〉 前記アニオンリビング重合が、アルキルリチウム又はリチウムシラノレートを開始剤に用いて行われる〈2〉に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
〈4〉 前記アルキルリチウムがn−ブチルリチウムである〈3〉に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
〈5〉 前記アニオンリビング重合が、ケイ素五配位化合物を触媒とし、R’3SiOH(R’は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基である。)で表されるシラノールを開始剤に用いて行われる〈2〉に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
〈6〉 前記ケイ素五配位化合物が、下記式(4)で示されるものである〈5〉に記載の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの製造方法。
【化5】

(式中、R9は置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基、MはLi、Na、K、NH4又はC65CH2N(CH33 である。)
【発明の効果】
【0013】
本発明の化合物は、主鎖が極度に分岐したオルガノポリシロキサン鎖を有する新規片末端官能性オルガノポリシロキサンであり、該オルガノポリシロキサン構造を各種有機ポリマーに組み込むことにより、撥水性、防汚性、非接着性、耐熱性、耐摩耗性、生体適合性、酸素透過性等の高い機能が付与され、被膜形成剤や樹脂の原料として好適であり、各種フィルム、プラスチック、ゴム、ワックスなどの高分子や電子材料用コーティング剤、紙、ガラス等の表面処理剤、シャンプー、リンス、ヘアーセット剤等の化粧料(化粧品用被膜形成剤)やコンタクトレンズ材料、塗料など幅広い分野において有用である。また、本発明の製造方法によれば、かかる新規片末端官能性オルガノポリシロキサンを簡便に合成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の第一の発明は、下記式(1):
【化8】

(式中、R1は炭素数1〜12、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基、R2はメチル基又はフェニル基である。)
で表されるシクロトリシロキサンをアニオンリビング重合し、重合末端を官能基含有ケイ素化合物にてキャップして得られる片末端官能基含有オルガノポリシロキサンである。
【0015】
前記式(1)で示される化合物の合成は、特許第3124910号公報に準じて行うことができる。
前記R1で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられ、さらに代表的なものはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基であり、特にメチル基が好ましい。
【0016】
前記R1のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が挙げられ、これらの中では特にフェニル基が好ましい。
前記R1のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等が挙げられ、ベンジル基、フェニルプロピル基が好ましい。
前記R1のハロゲン化アルキル基としては、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0017】
上記式(1)で示されるシクロトリシロキサンの具体例としては、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)−1,3,5,5−テトラメチルシクロトリシロキサン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)−5,5−ジフェニル−1,3−ジメチルシクロトリシロキサン等が挙げられる。
【0018】
本発明の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンとしては、下記式(2):
【化9】

(式中、Aは分子内にヒドロシリル基、重合性不飽和基含有シリル基又はアルコキシシリル基を含む基、Xは炭素数1〜12、好ましくは1〜8のアルキル基、アリール基又はR3(CH32SiO−基(R3は炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基)であり、R1は炭素数1〜12、好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、R2はメチル基又はフェニル基であり、nは1〜1000、好ましくは1〜300、より好ましくは2〜200、特に好ましくは3〜100の数である。)
で示される構造を有する片末端官能基含有オルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0019】
ここで、下記式
【化10】

の構造は、一部下記の構造を含んでもよい。
【化11】
【0020】
前記式(2)中で示されるR1及びR2は、前記式(1)のR1及びR2に由来するものである。
【0021】
前記Xのアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられ、さらに代表的なものはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基であり、特にメチル基又はブチル基が好ましい。
前記Xのアリール基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基が挙げられ、これらの中では特にフェニル基が好ましい。
前記R3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、特に好ましくはメチル基である。
【0022】
前記Aの分子内にヒドロシリル基を含む基としては、下記式(3)−1
−SiHR45 : (3)−1
(式中、R4及びR5は、各々独立に炭素数1〜10、特に1〜8の一価炭化水素基である。)
の構造であることが好ましい。
【0023】
前記式(3)−1中で示されるR4、R5の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられるが、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基であり、更に好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0024】
前記Aの分子内にアルコキシシリル基を含む基としては、下記式(3)−2
−SiR6a(OR73-a : (3)−2
(式中、R6及びR7は、各々独立に炭素数1〜10、好ましくは1〜6の一価炭化水素基であり、aは0〜2の整数である。)
の構造であることが好ましい。
【0025】
前記式(3)−2中で示されるR6の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル基等のハロゲン化アルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基が挙げられるが、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ビニル基、アリル基であり、更に好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0026】
前記R7の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基が挙げられるが、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基であり、更に好ましくは、メチル基、エチル基である。
【0027】
前記aは0〜2の整数であるが、好ましくは0もしくは1であり、更に好ましくは0である。
【0028】
前記Aの分子内に重合性不飽和基含有シリル基を含む基としては、下記式(3)−3
−Si(CH32−(CH2b−(OCO)cC(R8)=CH2 : (3)−3
(式中、R8は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、bは0〜10の整数、cは0又は1である。但し、cが1のとき、bは2〜10の整数である。)
の構造であることが好ましい。
【0029】
前記(3)−3中のR8は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であるが、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が、アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等が挙げられ、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0030】
前記bは0〜10の整数であるが、特に好ましくは0〜5の整数であり、cは0又は1である。但し、cが0のとき、bは2〜10の整数であり、特に好ましくは2〜5の整数である。
【0031】
本発明の第二の発明は、下記式(1):
【化12】

(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基であり、R2はメチル基又はフェニル基である。)
で表されるシクロトリシロキサンをアニオンリビング重合した後、重合末端を官能基含有ケイ素化合物にてキャップして片末端官能基含有オルガノポリシロキサンを得る製造方法である。
【0032】
前記アニオンリビング重合を行う一つの形態としては、アルキルリチウム又はリチウムシラノレートを開始剤に用いる方法が好ましい。
【0033】
ここで、アルキルリチウム又はリチウムシラノレートは、一般式:R(R2SiO)mLiで示され、式中Rは各々独立な炭素数1〜12、好ましくは1〜8のアルキル基又はアリール基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基が挙げられるが、特に好ましくはメチル基、フェニル基である。また、上記式中、mは0以上の整数であり、好ましくは0〜5の整数であり、特に好ましくは0〜3の整数である。
【0034】
mが0の場合、上記一般式は、商業上入手可能な有機リチウム化合物であり、具体的にはn−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム,tert−ブチルリチウム,メチルリチウム、フェニルリチウム等が挙げられるが、取扱い及び入手の容易さから、特にn−ブチルリチウムであることが好ましい。
【0035】
mが1以上の整数である場合、上記一般式は、オルガノシランもしくはオルガノポリシロキサンのリチウム塩である。該オルガノポリシロキサンのリチウム塩は、一般的に公知なものであり、ヒドロキシジオルガノシランもしくは分子鎖片末端のみがヒドロキシジオルガノシロキシ基で封鎖されたオルガノポリシロキサンに、商業上入手可能な有機リチウム化合物を添加することにより調製され、具体的には、リチウムトリメチルシラノレート、リチウムトリエチルシラノレート、リチウムブチルジエチルシラノレート、リチウムトリフェニルシラノレート等のオルガノシランもしくはオルガノシロキサンのリチウム塩が挙げられるが、調製の容易さから、特にリチウムトリメチルシラノレートが好ましい。
また、アルキルリチウム又はリチウムシラノレートの添加量は特に限定されず、アニオンリビング重合を行うのに十分な量であればよい。
【0036】

前記アニオンリビング重合を行うもう一つの形態としては、ケイ素五配位化合物を触媒とし、R’3SiOH(R’は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基又はフェノール基である。)で表されるシラノールを開始剤に用いる方法が好ましい。このシラノールの使用量は、式(1)で示されるシクロトリシロキサン1モルに対し、0.0001〜1モル、特に0.001〜0.5モルであることが好ましい。
【0037】
前記ケイ素五配位化合物としては、下記式(4)
【化13】

(式中、R9は置換又は非置換の炭素数1〜12、好ましくは1〜8の一価炭化水素基、MはLi、Na、K、NH4又はC65CH2N(CH33である。)
の構造で示される化合物が好ましい。
9としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基、クロロメチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0038】
上記式(4)の化合物は、特公昭45−1070号公報(特許文献6)に記載されているものであり、具体的には下記に示すものが挙げられる。
【化14】
【0039】
このケイ素五配位化合物の使用量は、触媒量でよいが、前記式(1)で表されるシクロトリシロキサンに対して、好ましくは10〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppm、特に好ましくは100〜500ppmである。
【0040】
前記R’3SiOH(R’は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基又はフェノール基である。)で表されるシラノールのR’としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基が挙げられ、具体的なシラノールとしては、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、トリフェニルシラノール、ブチルジエチルシラノール、トリプロピルシラノール等が挙げられるが、入手の容易さから、特にトリメチルシラノールが好ましい。使用量は、式(1)で表されるシクロトリシロキサン1モルに対して、0.0001〜1モル、特に0.001〜0.5モルであることが好ましい。
【0041】
アニオンリビング重合した後、重合末端をキャップする官能基含有ケイ素化合物としては、下記式(5)−1〜(5)−3で示される化合物が好ましい。
YSiHR45: (5)−1
(式中、R4及びR5は、各々独立に炭素数1〜10、特に1〜8の一価炭化水素基であり、Yはハロゲン原子である。)
【化15】
(式中、R6及びR7は、各々独立に炭素数1〜10、好ましくは1〜6の一価炭化水素基、Zは炭素数1〜10、好ましくは1〜8のアルキル基であり、aは0〜2の整数である。)
【0042】
YSi(CH32−(CH2b−(OCO)cC(R8)=CH2: (5)−3
(式中、R8は、水素原子又は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基であり、Yはハロゲン原子である。bは0〜10の整数、cは0又は1である。但し、cが1のとき、bは2〜10の整数である。)
【0043】
前記式(5)−1のYはハロゲン原子であり、具体的にはブロモ基、クロロ基等が挙げられるが、入手の容易さから考えて、好ましくはクロロ基である。また、R4及びR5は、前記式(3)−1のR4及びR5と同様である。このような化合物としては、ジメチルクロロシラン、メチルフェニルクロロシラン、ジフェニルクロロシラン等が例示できる。
【0044】
前記式(5)−2のZは、炭素数1〜10、好ましくは1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、取り扱い及び入手の容易さから、特に好ましくは、エチル基又は2−エチルヘキシル基である。また、R6、R7及びaは、前記式(3)−2のR6、R7及びaと同様である。このような化合物としては下記のものが例示できる。
【化16】
【0045】
前記式(5)−3のYはハロゲン原子であり、具体的にはブロモ基、クロロ基等が挙げられるが、入手の容易さから考えて、好ましくはクロロ基である。また、R8、b及びcは、前記式(3)−3のR8、b及びcと同様である。このような化合物としては、3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン等が例示できる。
【0046】
これら官能基含有ケイ素化合物の使用量は、式(1)で示されるシクロトリシロキサン1モルに対し、0.0001〜1モル、特に0.001〜0.5モルであることが好ましい。
【0047】
上記全反応は、溶媒中で行うことが好ましい。このような反応溶媒としては、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、その他にアセトニトリル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の極性溶媒が挙げられるが、反応溶媒は事前に脱水したものであることが好ましい。なお、これら溶媒には、反応の進行を促進する目的でジメチルスルホキシド、ジメチルフォルムアミド等の極性溶媒を添加してもよい。
【0048】
反応条件は反応が十分進行する条件であれば特に制限されないが、シラノール基含有有機ケイ素化合物を重合開始剤として用いる場合は、反応温度40〜120℃、特に60〜100℃であることが好ましく、反応時間は通常30分〜20時間程度である。アルキルリチウム又はリチウムシラノレート基含有有機ケイ素化合物を重合開始剤として用いる場合は、反応温度−30〜40℃、特に−25〜30℃であることが好ましく、反応時間は通常30分〜10時間程度である。
【0049】
本発明の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンの具体例としては、下記のものが挙げられる。
【化17】
【0050】
本発明の片末端官能基含有オルガノポリシロキサンは、アクリル系モノマー等の共重合可能なモノマーと共重合させることにより有機ポリマーに撥水性、防汚性、非接着性、耐熱性、耐摩耗性、生体適合性、酸素透過性等の機能を付与することができるため、被膜形成剤や樹脂変性用等として好適に用いることができる。また、電子材料用コーティング剤、化粧品用被膜形成剤、コンタクトレンズ、塗料等にも好適に用いることができる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を調製例、実施例及び比較例により詳しく説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0052】
[調製例1]:1,3−ビス(トリメチルシロキシ)−1,3,5,5−テトラメチルシクロトリシロキサン(化合物A)の合成
特許第3124910号公報を参考に合成を行った。
すなわち、冷却管、温度計、滴下ロート、攪拌機を備えたガラス製反応器中に、トリエチルアミン320g(3.16モル)及びトルエン1000gを投入し、これらが均一になるように攪拌した。次に、フラスコの内容物の温度を0〜10℃に保ちながら、フラスコ内に3,5−ジヒドロキシ−1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルシロキサン500g(1.58モル)をメチルエチルケトン400gに溶解した溶液、及びジメチルジクロロシラン204g(1.58モル)をトルエン700gに溶解した溶液を同時に3時間かけて滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を1時間攪拌し、得られた反応混合物を水洗し、64℃(沸点)/2.5Torrで減圧蒸留して無色透明の液状の化合物Aを486g得た(収率:80%)。
【0053】
[調製例2]:1,3−ビス(トリメチルシロキシ)−5,5−ジフェニル−1,3−ジメチルシクロトリシロキサン(化合物B)の合成
特許第3124910号公報を参考に合成を行った。
すなわち、冷却管、温度計、滴下ロート、攪拌機を備えたガラス製反応器中にピリジン100g(1.28モル)及びトルエン500gを投入し、これらが均一になるように攪拌した。次に、フラスコの内容物の温度を0〜10℃に保ちながら、フラスコ内に3,5−ジヒドロキシ−1,1,1,3,5,7,7,7−オクタメチルシロキサンで表されるシラノール基含有オルガノシロキサン200g(0.64モル)をトルエン500gに溶解した溶液、及びジフェニルジクロロシラン161g(0.64モル)をトルエン500gに溶解した溶液を同時に30分間かけて滴下した。滴下終了後、フラスコの内容物を15分間攪拌し、得られた反応混合物を水洗し、150℃(沸点)/1Torrで減圧蒸留して無色透明の液状の化合物Bを215g得た(収率:70%)。
【0054】
[調製例3]:リチウムシラノレート化合物C溶液の調製
冷却管、温度計、滴下ロート、攪拌機を取り付けたガラス製反応器中に、ヘキサン440g、ヘキサメチルシクロトリシロキサン178g(0.8モル)を仕込んで溶解させ、窒素雰囲気下、0℃にてn−ブチルリチウム(15質量%ヘキサン溶液)342g(0.8モル)を滴下した。滴下後、徐々に温度を常温(25℃)にもどし、更に1時間攪拌することによって、下記式で示されるリチウムシラノレート(シロキシリチウムシラノレート)化合物C溶液960g(0.8モル)を得た。
【化18】
【0055】
[実施例1]:片末端メタクリレート変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物D)の合成
冷却管、温度計、滴下ロート、攪拌機を取り付けたガラス製反応器中に、化合物A 371g(1モル)とトルエン100gを混合し、1時間共沸脱水を行った。次いで、この系を5℃まで冷却し、n−ブチルリチウム(15質量%ヘキサン溶液)42.7g(0.1モル)を滴下した後、温度を常温まで上げ、1時間攪拌した。
攪拌後、溶液を15℃まで冷却し、ジメチルホルムアミド8gを添加し、重合を行った。6時間反応後、トリエチルアミン8.1gを添加し、更に3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン26.5g(0.12モル)を添加した後、徐々に温度を常温にもどし、3時間の追加攪拌を行った。
その後、メタノール200gを添加混合して1時間攪拌した後、1時間の静置をへてシロキサン層を分離した。
分離したシロキサン層は、更にメタノール300gを用いて洗浄(混合攪拌:30分間、静置:3時間)した後、140℃/6torrの条件で減圧ストリップを行った。収量は319gであった。
【0056】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Dが得られたことを確認した。
【化19】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):4900
1H NMR:6.09ppm(1H,s),5.53ppm(1H,s),
4.09ppm(2H,t),1.93ppm(3H,s),
1.65〜1.74ppm(2H,m),
1.26〜1.34ppm(4H,m),
0.84〜0.89ppm(3H,m),
0.44〜0.59(4H,m),
−0.18〜0.32ppm(281H,m)
【0057】
[実施例2]:片末端メタクリレート変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物E)の合成
実施例1において、化合物Aの量を1484g(4モル)に変更し、洗浄に用いるメタノールの量を1200gにした以外は、実施例1と同様にして反応を行った。収量は1226gであった。
【0058】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Eが得られたことを確認した。
【化20】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):18000
1H NMR:6.09ppm(1H,s),5.53ppm(1H,s),
4.09ppm(2H,t),1.93ppm(3H,s),
1.65〜1.74ppm(2H,m),
1.26〜1.34ppm(4H,m),
0.84〜0.89ppm(3H,m),
0.44〜0.59(4H,m),
−0.18〜0.32ppm(1069H,m)
【0059】
参考]:片末端ヒドロシラン変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物F)の合成
実施例1において、末端キャップをジメチルクロロシラン11.4g(0.12モル)で行った以外は、実施例1と同様にして反応を行った。収量は352gであった。
【0060】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Fが得られたことを確認した。
【化21】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):4800
1H NMR:4.65〜4.71ppm(1H,m),
1.26〜1.34ppm(4H,m),
0.84〜0.89ppm(3H, m),
0.50〜0.59(2H,m),
−0.18〜0.32ppm(289H,m)
【0061】
参考]:片末端ヒドロシラン変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物G)の合成
冷却管、温度計、攪拌機を取り付けたガラス製反応器中に、テトラヒドロフラン80g、化合物A 74.0g(0.2モル)を仕込み、窒素雰囲気下10℃に保温した。そこに、開始剤としてリチウムトリメチルシラノレート1.92g(0.02モル)を添加し、重合を行った。6時間反応後、トリエチルアミン1.6gを添加し、更にジメチルクロロシラン2.3g(0.024モル)を添加した後、徐々に温度を常温にもどし、3時間の追加攪拌を行った。
その後、メタノール40gを添加混合して更に1時間攪拌した後、1時間の静置をへてシロキサン層を分離した。
分離したシロキサン層は、更にメタノール60gを用いて洗浄(混合攪拌:30分間、静置:3時間)した後、140℃/6torrの条件で減圧ストリップを行った。収量は62.1gであった。
【0062】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Gが得られたことを確認した。
【化22】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):5000
1H NMR:4.65〜4.71ppm(1H,m),
−0.18〜0.32ppm(296H,m)
【0063】
参考]:片末端ビニル変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物H)の合成
参考において、開始剤としてリチウムシラノレート(シロキシリチウムシラノレート)化合物C溶液 24.0g(0.02モル)を用い、末端キャップをジメチルビニルクロロシラン2.88g(0.024モル)で行った以外は、参考と同様にして反応を行った。収量は65.0gであった。
【0064】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Hが得られたことを確認した。
【化23】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):5000
1H NMR:6.09〜6.19ppm(1H,m),
5.89〜5.99ppm(1H,d),
5.70〜5.79ppm(1H,d),
1.26〜1.34ppm(4H,m),
0.84〜0.89ppm(3H,m),
0.50〜0.59(2H,m),
−0.18〜0.32ppm(301H,m)
【0065】
参考]:片末端アルコキシシラン変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物I)の合成
冷却管、温度計、滴下ロート、攪拌機を備えたガラス製反応器中に、トリメチルシラノール4.5g(0.05モル)、化合物A 371g(1モル)、アセトニトリル(脱水)30gを仕込み、内温を70℃まで上昇させた後、下記式
【化24】
で示されるケイ素五配位化合物0.11gを加えて重合を行った。8時間反応した後、下記式
【化25】
で示される化合物を22.2g(0.10モル)加えて2時間攪拌(末端キャップ)を行った後、メタノール100gを添加混合し、1時間攪拌を行った。
その後、反応溶液を常温まで冷却し、5時間静置後シロキサン層を分離した。
分離したシロキサン層は、更にメタノール300gを用いて洗浄(混合攪拌:30分間、静置:3時間)した後、140℃/6torrの条件でストリッピングを行った。収量は296gであった。
【0066】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Iが得られたことを確認した。
【化26】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):9500
1H NMR:3.56ppm(9H,s),
−0.18〜0.32ppm(555H,m)
【0067】
参考]:片末端ビニル変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物J)の合成
参考において、下記式
【化27】

で示されるケイ素五配位化合物0.11gを用いて重合を行い、重合終了後、トリエチルアミン4.0gを添加し、更にジメチルビニルクロロシラン7.2g(0.06モル)を加えて末端キャップを行った以外は、参考と同様にして反応を行った。収量は305gであった。
【0068】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Jが得られたことを確認した。
【化28】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):9500
1H NMR:6.09〜6.19ppm(1H,m),
5.89〜5.99ppm(1H,d),
5.70〜5.79ppm(1H,d),
−0.18〜0.32ppm(561H,m)
【0069】
[実施例3]:片末端メタクリル変性オルガノポリシロキサン化合物(化合物K)の合成
参考例5において、化合物Aの代わりに化合物B 495g(1モル)を用い、末端キャップを3−メタクリロキシプロピルジメチルクロロシラン13.2g(0.06モル)で行った以外は、参考例と同様にして反応を行った。収量は373gであった。
【0070】
得られたオイルに関しては、GPC及び1H NMRによる解析を実施し、下記式で示される化合物Kが得られたことを確認した。
【化29】

分子量(Mw、ポリスチレン換算):13800
1H NMR:7.22〜7.69ppm(182H,m),
6.09ppm(1H,s),5.53ppm(1H,s),
4.09ppm(2H,t),1.93ppm(3H,s),
1.65〜1.74ppm(2H,m),
0.44〜0.55(2H,m),
−0.18〜0.32ppm(450H,m)
【0071】
[実施例]:アクリル共重合体(ア)の合成
冷却管、温度計、滴下ロート、攪拌機を取り付けたガラス製反応器中に、酢酸ブチル150gを仕込み、95℃に昇温した後、モノマー成分(実施例1で得られた化合物D 30g、メタクリル酸メチル60g、メタクリル酸ブチル30g、アクリル酸2−エチルヘキシル30g)とパーブチルO(重合開始剤、日油株式会社製)4.5gの混合物を1時間掛けて滴下した。滴下終了後、2時間熟成した後、更にパーブチルO 0.5gを加えて3時間加熱した。
得られた化合物をGPCにて解析したところ、分子量(Mw、ポリスチレン換算)は36000であった。
【0072】
[実施例]:アクリル共重合体(イ)の合成
実施例において、化合物Dの代わりに化合物Eを用いた以外は、実施例と同様にして反応を行った。
得られた化合物をGPCにて解析したところ、分子量(Mw、ポリスチレン換算)は40000であった。
【0073】
[比較例1]:アクリル共重合体(ウ)の合成
実施例において、化合物Dの代わりにX−22−174DX(直鎖型片末端メタクリル変性オルガノポリシロキサン化合物、信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例と同様にして反応を行った。
得られた化合物をGPCにて解析したところ、分子量(Mw、ポリスチレン換算)は38000であった。
【0074】
[比較例2]:アクリル共重合体(エ)の合成
実施例において、化合物Dを加えない以外は、実施例と同様にして反応を行った。
【0075】
アクリル共重合体(ア)、(イ)、(ウ)及び(エ)に関しては、ガラスプレートの上に0.2mm厚の薄膜を形成し、酢酸ブチルを揮発させた後、滑り性の評価を行った。
評価方法:薄膜表面を指触し、滑り性を確認した。
評価基準:○:良好,△:やや不良,×:不良
【0076】
【表1】