特許第5991330号(P5991330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5991330シリコン単結晶製造装置からのアルゴンガス回収精製方法及びアルゴンガス回収精製装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991330
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】シリコン単結晶製造装置からのアルゴンガス回収精製方法及びアルゴンガス回収精製装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 23/00 20060101AFI20160901BHJP
   B01D 53/28 20060101ALI20160901BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   C01B23/00 L
   B01D53/28
   B01D53/047
【請求項の数】25
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-14391(P2014-14391)
(22)【出願日】2014年1月29日
(65)【公開番号】特開2015-140281(P2015-140281A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2015年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小野沢 一郎
(72)【発明者】
【氏名】矢島 渉
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−083309(JP,A)
【文献】 特開平06−234511(JP,A)
【文献】 特開2006−111506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B15/00−23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを廃アルゴンガス貯槽に導入する工程と、前記廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備で、前記固形物を除去する工程と、触媒反応により、前記酸素を水に、前記一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する工程と、前記水、前記二酸化炭素及び前記窒素を除去し、回収ガスを得る工程とを有するアルゴンガス回収精製方法であって、
前記触媒反応を二段圧縮機内に触媒を配置することで圧縮熱のみで行い、前記回収ガスを得る工程において、予めドライヤーで前記水を除去してから常温吸着塔で前記窒素、前記二酸化炭素を吸着除去することを特徴とするアルゴンガス回収精製方法。
【請求項2】
前記シリコン単結晶製造装置と前記廃アルゴンガス貯槽との間に流体搬送機器を設置せずに直接廃アルゴンガス配管で接続することによって、前記廃アルゴンガス配管内に負圧箇所を一切設けず、常に正圧に保つことを特徴とする請求項1に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項3】
前記転化する工程において、まず、前記二段圧縮機の一段目の圧縮ユニットの手前で、前記廃アルゴンガス中に添加量を制御しながら酸素を添加してから一段圧縮操作を行い、該圧縮操作により生じた圧縮熱により、前記廃アルゴンガスの温度を100〜200℃に上昇させた後、直ちに前記一段目の圧縮ユニット後段に設置した一段目の触媒ユニットで、前記一酸化炭素及び前記添加した酸素を前記触媒反応させることによって、前記二酸化炭素に転化し、
次に前記二段圧縮機の二段目の圧縮ユニットの手前で、前記廃アルゴンガス中に添加量を制御しながら水素を添加してから二段圧縮操作を行い、該圧縮操作により生じた圧縮熱により、前記廃アルゴンガスの温度を100〜200℃に上昇させた後、直ちに前記二段目の圧縮ユニット後段に設置した二段目の触媒ユニットで、前記酸素及び前記添加した水素を前記触媒反応させることによって、前記水に転化することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項4】
前記一段目の圧縮ユニット及び前記二段目の圧縮ユニット以外に加熱源を用いないことを特徴とする請求項3に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項5】
前記一段目の触媒ユニットの直後にインタークーラーを設置し、前記二段目の触媒ユニットの直後にアフタークーラーを設置することによって、前記二段圧縮機外部に冷却装置を設けずに前記廃アルゴンガスを冷却することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項6】
前記二段圧縮機に前記廃アルゴンガスを導入する際、前記二段圧縮機入口の前記廃アルゴンガス流量の変動に対して、常に吸入圧力あるいは吐出圧力を監視してバイパス制御を行うことによって、前記二段圧縮機に、常に一定量の廃アルゴンガスを流すことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項7】
前記ドライヤーを、シリカアルミナ系、活性アルミナ系、合成ゼオライト系の吸着剤を有するノンパージ型ドライヤーとすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項8】
前記常温吸着塔を複数塔式常温吸着塔とすることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項9】
前記複数塔式常温吸着塔を3塔式常温吸着塔とし、各吸着塔で、前記廃アルゴンガス中の前記窒素、前記二酸化炭素の吸着除去、前記吸着した窒素、二酸化炭素の脱着及び吸着塔の昇圧を交互に切り替えて繰り返すことを特徴とする請求項8に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項10】
前記3塔式常温吸着塔のうちいずれかの吸着塔において前記昇圧を行う際、前記吸着塔に流入する前記廃アルゴンガスの流入量を計測することによって、該流入量に応じて前記昇圧に使用する前記回収ガスの量を制御することを特徴とする請求項9に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項11】
前記吸着、前記脱着、及び前記昇圧の時間を廃アルゴンガス流量の変動に対応して自動的に変更することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項12】
前記廃アルゴンガス流量の変動に伴い、前記廃アルゴンガス貯槽のレベルが低下した際に、前記回収ガスを自動的に前記廃アルゴンガス貯槽に全量返送することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項13】
前記回収ガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える場合に、前記シリコン単結晶製造装置への前記回収ガス供給を直ちに停止し、前記回収ガスの一部又は全量を、屋外へパージ又は前記廃アルゴンガス貯槽に返送することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項14】
前記常温吸着塔入口において、前記廃アルゴンガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える場合に、前記常温吸着塔への前記廃アルゴンガス供給を直ちに停止し、前記廃アルゴンガスの一部又は全量を、屋外へパージ又は前記廃アルゴンガス貯槽に返送することを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製方法。
【請求項15】
シリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを受け入れる廃アルゴンガス貯槽と、
前記廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備と、
前記廃アルゴンガスを圧縮することによって生じる圧縮熱のみで、前記酸素を水に、前記一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する触媒反応を行うことができる、機内に触媒が配置されている二段圧縮機と、
前記水を除去することができる吸着剤を具備するドライヤーと、
前記二酸化炭素及び前記窒素を除去することができる吸着剤を具備する常温吸着塔と
を有するものであることを特徴とするアルゴンガス回収精製装置。
【請求項16】
前記廃アルゴンガス貯槽とシリコン単結晶製造装置との間に流体搬送機器を設置せずに直接廃アルゴンガス配管で接続するものであることを特徴とする請求項15に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項17】
前記二段圧縮機は、前記廃アルゴンガスに添加量を制御しながら酸素を添加する酸素流量調節器、第一の圧縮を行う一段目の圧縮ユニット、機内に触媒が配置され、前記第一の圧縮によって生じる圧縮熱のみで、前記一酸化炭素を二酸化炭素に転化する触媒反応を行う一段目の触媒ユニット、前記廃アルゴンガスに添加量を制御しながら水素を添加する水素流量調節器、第二の圧縮を行う二段目の圧縮ユニット及び機内に触媒が配置され、前記第二の圧縮によって生じる圧縮熱のみで、前記酸素を水に転化する触媒反応を行う二段目の触媒ユニットを有するものであることを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項18】
前記一段目の圧縮ユニット及び前記二段目の圧縮ユニット以外に加熱源を有しないことを特徴とする請求項17に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項19】
前記一段目の触媒ユニットの直後にインタークーラーを設置し、前記二段目の触媒ユニットの直後にアフタークーラーを設置し、前記二段圧縮機外部に冷却装置を設置しないものであることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項20】
前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記二段圧縮機入口の前記廃アルゴンガス流量の変動に対して、常に吸入圧力あるいは吐出圧力を監視してバイパス制御を行う自動圧力調節器を有するものであることを特徴とする請求項15から請求項19のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項21】
前記ドライヤーが、シリカアルミナ系、活性アルミナ系、合成ゼオライト系の吸着剤を有するノンパージ型ドライヤーであることを特徴とする請求項15から請求項20のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項22】
前記常温吸着塔が、3塔式常温吸着塔であることを特徴とする請求項15から請求項21のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項23】
前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記回収ガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度を測定する回収ガス分析計を有するものであることを特徴とする請求項15から請求項22のいずれか1項に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項24】
前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記廃アルゴンガス貯槽のレベルが低下する又は前記回収ガス分析計の測定値が許容値を超える場合に、前記回収ガスの一部又は全量を前記廃アルゴンガス貯槽に返送する回収ガス返送用配管を有するものであることを特徴とする請求項23に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【請求項25】
前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記常温吸着塔入口において、前記廃アルゴンガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える又は前記回収ガス分析計の測定値が許容値を超える場合に、前記回収ガス又は前記廃アルゴンガスの一部又は全量を屋外へパージするためのパージバルブを有するものであることを特徴とする請求項23又は請求項24に記載のアルゴンガス回収精製装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン単結晶製造装置からのアルゴンガス回収精製方法及びアルゴンガス回収精製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
チョクラルスキー(CZ)法によりシリコン単結晶を製造する際に用いるシリコン単結晶製造装置では、アルゴンガス雰囲気下にて、種結晶をルツボ内の高温になったシリコン融液に接触させ、回転させながら引き上げることで単結晶を育成している。このシリコン単結晶製造装置内のアルゴンガスを真空ポンプで排出した後、この廃ガス中に含まれるシリコン酸化物を除去する前工程を経て、不純ガス除去を行うことがアルゴンガスの回収精製、再利用に不可欠である。
【0003】
特許文献1に示したように、廃ガス中の固形分を除去する工程、廃ガスを圧縮する工程、油分を除去する工程、廃ガス中の酸素に必要な化学量論量より過剰な水素を加えて酸素を触媒反応で水に転化する触媒反応工程、触媒反応で生じた水、二酸化炭素を常温の吸着筒で吸着除去する吸着工程、更には各工程を経た廃ガスを精留する方法が提案されている。
【0004】
また、特許文献2では、廃ガスをブロワーでガスホルダーに受入後、固形分を除去する集塵機、廃ガスを圧縮する圧縮機、油除去筒、油フィルターを経て、予熱用熱交換器と加熱器を通過した後、触媒筒にて廃ガス中の酸素と廃ガスに予め添加した水素を触媒反応にて水に転化して冷却装置を経て吸着筒で水と二酸化炭素を吸着除去する。廃ガスは更にコールドボックスに導入して、主熱交換器により冷却された後に精留筒内で気液接触してアルゴンよりも低沸点の不純ガスを液化精留により分離除去することで、廃アルゴンガスの純度を高める方法が提案されている。
【0005】
一方、特許文献3では、廃ガス中の固形分を除去する工程、廃ガスを圧縮する工程、油分を除去する工程を経た後、廃ガスを加熱してから空気あるいは酸素を添加し、触媒筒にて一酸化炭素と水素を二酸化炭素、水に転化した後、冷却して常温吸着筒において二酸化炭素と水を吸着除去し、更に廃ガスを−10〜−50℃まで冷却して残留した一酸化炭素と窒素を吸着する工程を有する方法が提案されている。
【0006】
図3は、特許文献1及び特許文献2のアルゴンガス回収精製方法を示すフロー図である。図3に示すように、特許文献1では、まず、単結晶製造炉からの排ガス(図3(1))をブロワーで圧縮(図3(2))してガスホルダーに受入れた後(図3(3))、集塵機で固形粉塵を除去(図3(4))して730kPaまで圧縮(図3(5))してから油分を除去(図3(6))する。その後加熱器にて排ガスを100〜300℃に加熱し(図3(7−a))、排ガス中の酸素に必要な化学量論量に比べて過剰な水素を添加して触媒筒により酸素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化し(図3(8))、熱回収熱交換器を通過して冷却装置後にて10℃まで冷却(図3(9))後に吸着塔において水と二酸化炭素が吸着される(図3(10))。その後、コールドボックス内に導入されて窒素、一酸化炭素、水素が精留除去され(図3(11))高純度アルゴンを得る(図3(12))。
【0007】
図3に示すように、特許文献2では、廃ガス中の油分除去まで特許文献1とほぼ同様の工程を経た後、加熱器で100〜350℃に加熱してから(図3(7−b))、廃ガス中の酸素に必要な化学量論量に比べて過剰な水素を添加することで触媒筒において水に転化する。この後、廃ガスを冷却装置に通してから常温で水と二酸化炭素を吸着除去してから、特許文献1と同様にコールドボックス内に導入されて窒素と未反応の一酸化炭素等が除去されることで高純度アルゴンを得ている。
【0008】
図4は、特許文献3のアルゴンガス回収精製方法を示すフロー図である。図4に示すように、特許文献3では、廃ガス中の油分除去まで(図4(1)〜(5))特許文献1、特許文献2と同様の工程を経て、その後加熱器で200〜350℃に加熱してから(図4(6))、廃ガス中の水素、一酸化炭素に必要な化学量論量に比べて僅かに少量な酸素を添加して触媒筒における反応で水あるいは二酸化炭素に転化する(図4(7))。この後、廃ガスを冷却装置で常温まで冷却してから(図4(8))第1吸着筒に導入してゼオライトで水と二酸化炭素を吸着除去する(図4(9))。更に第2吸着筒では、低温(−10〜−50℃)に維持した排ガスを吸着塔でゼオライトにより窒素と未反応の一酸化炭素を除去する(図4(10))ことで高純度アルゴンを得る(図4(11))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−88455号公報
【特許文献2】特許第4024347号公報
【特許文献3】特許第3496079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
シリコン単結晶製造装置から排出される廃アルゴンガスを回収精製する際、この廃ガス中に含まれる不純ガス(窒素、酸素、一酸化炭素等)を極力除去する必要があり、廃ガスを回収精製するまでに外部からの大気成分の混入を極力抑えることが大前提になる。その上で、廃ガス中の酸素や一酸化炭素は予め触媒反応を用いて水や二酸化炭素に転化することで、その後吸着法や精留法で除去され易くすることが必要である。この為、触媒反応に必要な温度まで廃ガスを加熱し、触媒反応に必要な反応ガス(水素や酸素)を添加する必要があり、反応後は同廃ガスを冷却して次工程(吸着工程)に備える必要がある。また、触媒反応で生じた水分は吸着剤として使用するゼオライトに非常に良く吸着される反面、ゼオライトの種類によっては吸着した水分により、その吸着能力は徐々に低下する。一方、アルゴンガス中に含まれる窒素や酸素を除去する場合、精留してアルゴンガスの純度を高めることが知られている。また、低温下においてアルゴン中の窒素などをゼオライトにより吸着除去することも行われている。しかし、これらの場合、設備が複雑になると同時に精留を行う設備は高圧ガス製造設備になり、一般的な設備とは取扱いが異なるのでコスト的、運用的に高い負担が生じ、大風量の廃ガスを処理することは容易ではない。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、シンプルで低コストとなる設備を用いてシリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できるアルゴンガス回収精製方法及びアルゴンガス回収精製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明では、シリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを廃アルゴンガス貯槽に導入する工程と、前記廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備で、前記固形物を除去する工程と、触媒反応により、前記酸素を水に、前記一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する工程と、前記水、前記二酸化炭素及び前記窒素を除去し、回収ガスを得る工程とを有するアルゴンガス回収精製方法であって、
前記触媒反応を二段圧縮機内に触媒を配置することで圧縮熱のみで行い、前記回収ガスを得る工程において、予めドライヤーで前記水を除去してから常温吸着塔で前記窒素、前記二酸化炭素を吸着除去することを特徴とするアルゴンガス回収精製方法を提供する。
【0013】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、シンプルで低コストとなる設備を用いてシリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できる。
【0014】
また、前記シリコン単結晶製造装置と前記廃アルゴンガス貯槽との間に流体搬送機器を設置せずに直接廃アルゴンガス配管で接続することによって、前記廃アルゴンガス配管内に負圧箇所を一切設けず、常に正圧に保つことが好ましい。
【0015】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、配管に接続する1つ又は多数のシリコン単結晶製造装置やそれらの接続配管からのリークによる大気の侵入を確実に抑えることができる。
【0016】
また、前記転化する工程において、まず、前記二段圧縮機の一段目の圧縮ユニットの手前で、前記廃アルゴンガス中に添加量を制御しながら酸素を添加してから一段圧縮操作を行い、該圧縮操作により生じた圧縮熱により、前記廃アルゴンガスの温度を100〜200℃に上昇させた後、直ちに前記一段目の圧縮ユニット後段に設置した一段目の触媒ユニットで、前記一酸化炭素及び前記添加した酸素を前記触媒反応させることによって、前記二酸化炭素に転化し、
次に前記二段圧縮機の二段目の圧縮ユニットの手前で、前記廃アルゴンガス中に添加量を制御しながら水素を添加してから二段圧縮操作を行い、該圧縮操作により生じた圧縮熱により、前記廃アルゴンガスの温度を100〜200℃に上昇させた後、直ちに前記二段目の圧縮ユニット後段に設置した二段目の触媒ユニットで、前記酸素及び前記添加した水素を前記触媒反応させることによって、前記水に転化することが好ましい。
【0017】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、廃ガス中の不純ガスをより効率的に除去できる。
【0018】
この場合、前記一段目の圧縮ユニット及び前記二段目の圧縮ユニット以外に加熱源を用いないことが好ましい。
【0019】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、触媒反応が最低限のエネルギーで実現可能である。
【0020】
この場合、前記一段目の触媒ユニットの直後にインタークーラーを設置し、前記二段目の触媒ユニットの直後にアフタークーラーを設置することによって、前記二段圧縮機外部に冷却装置を設けずに前記廃アルゴンガスを冷却することが好ましい。
【0021】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、二段圧縮機外部に冷凍装置は不要であり、触媒反応が最低限のエネルギーで実現可能である。
【0022】
また、前記二段圧縮機に前記廃アルゴンガスを導入する際、前記二段圧縮機入口の前記廃アルゴンガス流量の変動に対して、常に吸入圧力あるいは吐出圧力を監視してバイパス制御を行うことによって、前記二段圧縮機に、常に一定量の廃アルゴンガスを流すことが好ましい。
【0023】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、各触媒ユニットにおける反応が安定化する。
【0024】
また、前記ドライヤーを、シリカアルミナ系、活性アルミナ系、合成ゼオライト系の吸着剤を有するノンパージ型ドライヤーとすることが好ましい。
【0025】
このようなドライヤーで除湿することで、廃ガスのロスを極力低減しながら安定的に水分を除去でき、窒素や二酸化炭素の吸着工程における吸着剤(ゼオライト)への水分による能力低下を防ぐことができる。
【0026】
また、前記常温吸着塔を複数塔式常温吸着塔とすることが好ましい。
【0027】
このような吸着塔を用いることによって、より効率的に、吸着除去を行うことができる。
【0028】
この場合、前記複数塔式常温吸着塔を3塔式常温吸着塔とし、各吸着塔で、前記廃アルゴンガス中の前記窒素、前記二酸化炭素の吸着除去、前記吸着した窒素、二酸化炭素の脱着及び吸着塔の昇圧を交互に切り替えて繰り返すことが好ましい。
【0029】
このような吸着塔を用いるアルゴンガス回収精製方法であれば、各塔で吸着、脱着、昇圧を交互に切り替えて繰り返すことで連続的に廃ガス中の窒素と二酸化炭素を吸着除去することができる。
【0030】
また、前記3塔式常温吸着塔のうちいずれかの吸着塔において前記昇圧を行う際、前記吸着塔に流入する前記廃アルゴンガスの流入量を計測することによって、該流入量に応じて前記昇圧に使用する前記回収ガスの量を制御することが好ましい。
【0031】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、吸着塔内の圧力変動を吸収して安定的に吸着を行うことができる。
【0032】
また、前記吸着、前記脱着、及び前記昇圧の時間を廃アルゴンガス流量の変動に対応して自動的に変更することが好ましい。
【0033】
このような吸着塔を用いることによって、より効率的に、吸着、脱着、昇圧を交互に切り替えて繰り返すことができる。
【0034】
また、前記廃アルゴンガス流量の変動に伴い、前記廃アルゴンガス貯槽のレベルが低下した際に、前記回収ガスを自動的に前記廃アルゴンガス貯槽に全量返送することが好ましい。
【0035】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、設備を停止することなく連続的に運転することができる。
【0036】
また、前記回収ガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える場合に、前記シリコン単結晶製造装置への前記回収ガス供給を直ちに停止し、前記回収ガスの一部又は全量を、屋外へパージ又は前記廃アルゴンガス貯槽に返送することが好ましい。
【0037】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、不純ガスがシリコン単結晶製造装置側に流れることを防止できる。
【0038】
また、前記常温吸着塔入口において、前記廃アルゴンガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える場合に、前記常温吸着塔への前記廃アルゴンガス供給を直ちに停止し、前記廃アルゴンガスの一部又は全量を、屋外へパージ又は前記廃アルゴンガス貯槽に返送することが好ましい。
【0039】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、不純ガスが下流側に流れることを防止できる。
【0040】
更に本発明では、シリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを受け入れる廃アルゴンガス貯槽と、
前記廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備と、
前記廃アルゴンガスを圧縮することによって生じる圧縮熱のみで、前記酸素を水に、前記一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する触媒反応を行うことができる、機内に触媒が配置されている二段圧縮機と、
前記水を除去することができる吸着剤を具備するドライヤーと、
前記二酸化炭素及び前記窒素を除去することができる吸着剤を具備する常温吸着塔と
を有するものであることを特徴とするアルゴンガス回収精製装置を提供する。
【0041】
このようなアルゴンガス回収精製装置は、シンプルで低コストなものであり、シリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できる。
【0042】
また、前記廃アルゴンガス貯槽とシリコン単結晶製造装置との間に流体搬送機器を設置せずに直接廃アルゴンガス配管で接続するものであることが好ましい。
【0043】
このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、配管に接続する1つ又は多数のシリコン単結晶製造装置やそれらの接続配管からのリークによる大気の侵入を確実に抑えることができる。
【0044】
また、前記二段圧縮機は、前記廃アルゴンガスに添加量を制御しながら酸素を添加する酸素流量調節器、第一の圧縮を行う一段目の圧縮ユニット、機内に触媒が配置され、前記第一の圧縮によって生じる圧縮熱のみで、前記一酸化炭素を二酸化炭素に転化する触媒反応を行う一段目の触媒ユニット、前記廃アルゴンガスに添加量を制御しながら水素を添加する水素流量調節器、第二の圧縮を行う二段目の圧縮ユニット及び機内に触媒が配置され、前記第二の圧縮によって生じる圧縮熱のみで、前記酸素を水に転化する触媒反応を行う二段目の触媒ユニットを有するものであることが好ましい。
【0045】
このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、廃ガス中の不純ガスをより効率的に除去できる。
【0046】
この場合、前記一段目の圧縮ユニット及び前記二段目の圧縮ユニット以外に加熱源を有しないことが好ましい。
【0047】
このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、触媒反応が最低限のエネルギーで実現可能なものとなる。
【0048】
また、前記一段目の触媒ユニットの直後にインタークーラーを設置し、前記二段目の触媒ユニットの直後にアフタークーラーを設置し、前記二段圧縮機外部に冷却装置を設置しないものであることが好ましい。
【0049】
このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、二段圧縮機外部に冷凍装置は不要であり、触媒反応が最低限のエネルギーで実現可能なものとなる。
【0050】
また、前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記二段圧縮機入口の前記廃アルゴンガス流量の変動に対して、常に吸入圧力あるいは吐出圧力を監視してバイパス制御を行う自動圧力調節器を有するものであることが好ましい。
【0051】
このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、各触媒ユニットで触媒反応する際、反応が安定化するものとなる。
【0052】
また、前記ドライヤーが、シリカアルミナ系、活性アルミナ系、合成ゼオライト系の吸着剤を有するノンパージ型ドライヤーであることが好ましい。
【0053】
このようなドライヤーであれば、廃ガスのロスを極力低減しながら安定的に水分を除去でき、吸着塔で窒素や二酸化炭素を吸着除去する際、吸着剤(ゼオライト等)へ水分が吸着するのを防ぐことができる。
【0054】
また、前記常温吸着塔が、3塔式常温吸着塔であることが好ましい。
【0055】
このような吸着塔であれば、より効率的に、吸着除去を行うことができる。
【0056】
また、前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記回収ガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度を測定する回収ガス分析計を有するものであることが好ましい。
【0057】
このような装置を更に有することによって、不純ガスの濃度変化を常に測定することができる。
【0058】
また、前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記廃アルゴンガス貯槽のレベルが低下する又は前記回収ガス分析計の測定値が許容値を超える場合に、前記回収ガスの一部又は全量を前記廃アルゴンガス貯槽に返送する回収ガス返送用配管を有するものであることが好ましい。
【0059】
このような装置を更に有することによって、不純ガスがシリコン単結晶製造装置側に流れることを防止できる。
【0060】
また、前記アルゴンガス回収精製装置は、更に、前記常温吸着塔入口において、前記廃アルゴンガス中の前記窒素、前記酸素及び前記一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える又は前記回収ガス分析計の測定値が許容値を超える場合に、前記回収ガス又は前記廃アルゴンガスの一部又は全量を屋外へパージするためのパージバルブを有するものであることが好ましい。
【0061】
このような装置を更に有することによって、不純ガスが下流側に流れることを防止できる。
【発明の効果】
【0062】
本発明により、シリコン単結晶製造装置から排出された廃アルゴンガス(廃ガス)中の不純ガスを最小限のエネルギーで除去できる。また、ゼオライトに容易に吸着する一方で、吸着すると再生が難しい水分については予めドライヤー、例えばシリカアルミナ系、活性アルミナ系、合成ゼオライト系の吸着剤を有するノンパージ型ドライヤー中で除去した後に残留した窒素や二酸化炭素を常温吸着塔内の吸着剤(例えば複数塔式常温吸着塔内のゼオライト)で除去することにより、吸着剤(ゼオライト)の寿命を延ばすことができる。また本発明では設備が複雑化することがなく、高圧ガス製造設備にもなり得ないことから、取扱いが容易で建設費、運転費が安価になり大風量の廃ガスを安定的に処理することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明のアルゴンガス回収精製方法の一例を示すフロー図である。
図2】本発明のアルゴンガス回収精製装置の一例を示す概略図である。
図3】特許文献1及び特許文献2のアルゴンガス回収精製方法を示すフロー図である。
図4】特許文献3のアルゴンガス回収精製方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明をより詳細に説明する。
上記のように、シンプルで低コストとなる設備を用いてシリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できるアルゴンガス回収精製方法が求められている。
【0065】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、シリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを廃アルゴンガス貯槽に導入する工程と、前記廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備で、前記固形物を除去する工程と、触媒反応により、前記酸素を水に、前記一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する工程と、前記水、前記二酸化炭素及び前記窒素を除去し、回収ガスを得る工程とを有するアルゴンガス回収精製方法であって、
前記触媒反応を二段圧縮機内に触媒を配置することで圧縮熱のみで行い、前記回収ガスを得る工程において、予めドライヤーで前記水を除去してから常温吸着塔で前記窒素、前記二酸化炭素を吸着除去するアルゴンガス回収精製方法が、上記課題を解決できることを見出し、本発明のアルゴンガス回収精製方法を完成させた。
【0066】
更に、上記のように、シンプルで低コストとなるものであり、シリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できるアルゴンガス回収精製装置が求められている。
【0067】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、シリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを受け入れる廃アルゴンガス貯槽と、
前記廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備と、
前記廃アルゴンガスを圧縮することによって生じる圧縮熱のみで、前記酸素を水に、前記一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する触媒反応を行うことができる、機内に触媒が配置されている二段圧縮機と、
前記水を除去することができる吸着剤を具備するドライヤーと、
前記二酸化炭素及び前記窒素を除去することができる吸着剤を具備する常温吸着塔と
を有するものであるアルゴンガス回収精製装置が、上記課題を解決できることを見出し、本発明のアルゴンガス回収精製装置を完成させた。
【0068】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
[アルゴンガス回収精製装置]
以下、本発明のアルゴンガス回収精製装置について、図2を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
図2は、本発明のアルゴンガス回収精製装置の一例を示す概略図である。図2に示すように、アルゴンガス回収精製装置100は、シリコン単結晶製造装置1から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを受け入れる廃アルゴンガス貯槽2と、廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備3と、廃アルゴンガスを圧縮することによって生じる圧縮熱のみで、酸素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する触媒反応を行うことができる、機内に触媒が配置されている二段圧縮機5と、水を除去することができる吸着剤を具備するドライヤー11と、二酸化炭素及び窒素を除去することができる吸着剤を具備する常温吸着塔13とを有するものである。
【0071】
このようなアルゴンガス回収精製装置は、二段圧縮機の圧縮熱のみで触媒反応を行うため、廃アルゴンガス中の不純ガスを最小限のエネルギーで除去できる。また、ゼオライト等の吸着剤に容易に吸着する一方で、吸着すると再生が難しい水分についてはドライヤーで予め除去した後に残留した窒素や二酸化炭素を常温吸着塔内の吸着剤(ゼオライト等)で除去することにより、吸着剤(ゼオライト)の寿命を延ばすことができる。
【0072】
廃アルゴンガス貯槽2では、LIC(レベル指示調節計)20を用いて、シリコン単結晶製造装置1からの廃アルゴンガスの受入量の変動に応じて、風量制御を自動で行うことができる。
【0073】
前処理設備3としては、たとえばシリコン単結晶製造装置1から排出された廃アルゴンガス中の固形物(シリコン酸化物)を強アルカリ溶液に接触させることにより溶解させて除去する手段と、シリコン酸化物を除去した後の廃アルゴンガス中のアルカリ成分を含んだミストをデミスターを用いて除去する手段を有するものが好ましい。
【0074】
二段圧縮機5内に配置する触媒としては、例えばPt(白金)を挙げることができる。
【0075】
本発明のアルゴンガス回収精製装置は必要に応じて更に、下記に示すような設備等を具備することができる。
【0076】
廃アルゴンガス貯槽2は、廃アルゴンガス配管でシリコン単結晶製造装置1と接続されるが、その際、廃アルゴンガス貯槽2と、シリコン単結晶製造装置1との間に流体搬送機器を設置せずに直接廃アルゴンガス配管で接続することが好ましい。このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、配管に接続する1つ又は多数のシリコン単結晶製造装置やそれらの接続配管からのリークによる大気の侵入を抑えることができる。
【0077】
廃アルゴンガス貯槽2の手前には、エア成分監視計(QICA)19を具備することができる。エア成分監視計を具備することによって、廃ガス中の大気成分濃度を常時監視することができる。大気成分濃度が一定の数値を超えた場合、廃アルゴンガスパージバルブ18を開けることによって、直ちに廃ガスを系外に排出することができる。
【0078】
また、二段圧縮機5は、廃アルゴンガスに添加量を制御しながら酸素を添加する酸素流量調節器(OMFC(マスフローコントローラ))6、第一の圧縮を行う一段目の圧縮ユニット5−1A、機内に触媒が配置され、第一の圧縮によって生じる圧縮熱のみで、一酸化炭素を二酸化炭素に転化する触媒反応を行う一段目の触媒ユニット5−2A、廃アルゴンガスに添加量を制御しながら水素を添加する水素流量調節器(HMFC)7、第二の圧縮を行う二段目の圧縮ユニット5−1B及び機内に触媒が配置され、第二の圧縮によって生じる圧縮熱のみで、酸素を水に転化する触媒反応を行う二段目の触媒ユニット5−2Bを有するものであることが好ましい。このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、廃ガス中の不純ガスをより効率的に除去できる。
【0079】
二段圧縮機5に廃ガスを導入する際、CO濃度計4を用いて、予め廃ガス中の一酸化炭素濃度を計測することが好ましい。この計測値とドライヤー11出口の廃ガス流量計12の計測値から廃ガス中の一酸化炭素量を演算して、触媒反応で一酸化炭素の完全燃焼に必要あるいは過剰な酸素量を決定して酸素を自動添加する。また、廃ガスの二段圧縮(第二の圧縮)を行う前に水素を自動添加する。水素の添加量は、ドライヤー11出口の廃ガス流量を廃ガス流量計12で計測した結果から、圧縮機出口でO濃度計9を用いて計測した廃ガス中の酸素濃度が設定値以下になるよう調節することが好ましい。
【0080】
この場合、一段目の圧縮ユニット及び二段目の圧縮ユニット以外に加熱源を有しないことが好ましい。更に、一段目の触媒ユニットの直後にインタークーラー5−3Aを設置し、二段目の触媒ユニットの直後にアフタークーラー5−3Bを設置し、二段圧縮機5外部に冷却装置を設置しないものであることが好ましい。このようなアルゴンガス回収精製装置であれば、触媒反応が最低限のエネルギーで実現可能である。
【0081】
また、アルゴンガス回収精製装置100は、更に、二段圧縮機5入口の廃アルゴンガス流量の変動に対して、常に吸入圧力あるいは吐出圧力を監視してバイパス制御を行う自動圧力調節器8を有するものであることが好ましい。これにより、各触媒ユニットで触媒反応する際、反応が安定化する。
【0082】
また、ドライヤー11が、シリカアルミナ系、活性アルミナ系、合成ゼオライト系の吸着剤を有するノンパージ型ドライヤーであることが好ましい。このようなドライヤーであれば、廃ガスのロスを極力低減しながら安定的に水分を除去でき、吸着塔で窒素や二酸化炭素を吸着除去する際、吸着剤(ゼオライト)へ水分が吸着するのを防ぐことができる。ここで、シリカアルミナ系の吸着剤の具体例としては、ドライムーン SK−400(白川製作所)等を挙げることができる。
【0083】
また、常温吸着塔13が、3塔式常温吸着塔であることが好ましい。このような吸着塔であれば、より効率的に、吸着除去を行うことができる。吸着除去を行った後の吸着塔内の吸着剤には不純ガス(窒素、二酸化炭素)が吸着しているため、次の吸着運転に備えて、不純ガスの脱着(脱離)を行う必要がある。不純ガスの脱着を促進するために、脱着を行う吸着塔を真空ポンプ14により大気圧以下に減圧することが好ましい。
【0084】
また、アルゴンガス回収精製装置100は、更に、回収ガス中の窒素、酸素及び一酸化炭素の濃度を測定する回収ガス分析計(QICA)16を有するものであることが好ましい。このような装置を更に有することによって、回収ガス中の不純ガスの濃度変化を常に測定することができる。
【0085】
また、アルゴンガス回収精製装置100は、更に、廃アルゴンガス貯槽2のレベルが低下する又は回収ガス分析計16の測定値が許容値を超える場合に、回収ガスの一部又は全量を廃アルゴンガス貯槽2に返送する回収ガス返送用配管を有するものであることが好ましい。この場合、回収ガスリジェクトバルブ17を開閉することによって、上記返送を制御することができる。また、このように制御することによって、不純ガスがシリコン単結晶製造装置側に流れることを防止できる。
【0086】
また、アルゴンガス回収精製装置100は、更に、常温吸着塔13入口において、廃アルゴンガス中の窒素、酸素及び一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える又は回収ガス分析計16の測定値が許容値を超える場合に、回収ガス又は廃アルゴンガスの一部又は全量を屋外へパージするためのパージバルブ22を有するものであることが好ましい。このような装置を更に有することによって、不純ガスが下流側に流れることを防止できる。
【0087】
また、必要に応じて、原料ガス(廃アルゴンガス)を貯蔵するために、圧力分析計21(PICA)を有するバッファタンク10を有することが好ましい。また、回収ガスを貯蔵するために、圧力分析計23を有する回収ガスバッファタンク15を有することが好ましい。更に、回収ガスの流量を測定するための流量計24を有することが好ましい。
【0088】
[アルゴンガス回収精製方法]
本発明のアルゴンガス回収精製方法は、シリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素を含む廃アルゴンガスを廃アルゴンガス貯槽に導入する工程と、廃アルゴンガス中の固形物を除去する前処理設備で、前記固形物を除去する工程と、触媒反応により、酸素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する工程と、水、二酸化炭素及び窒素を除去し、回収ガスを得る工程とを有するアルゴンガス回収精製方法であって、
前記触媒反応を二段圧縮機内に触媒を配置することで圧縮熱のみで行い、前記回収ガスを得る工程において、予めドライヤーで前記水を除去してから常温吸着塔で前記窒素、前記二酸化炭素を吸着除去するアルゴンガス回収精製方法である。
【0089】
このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、シンプルで低コストとなる設備を用いてシリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できる。
【0090】
以下、本発明のアルゴンガス回収精製方法について、図1を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0091】
[廃アルゴンガスを導入する工程]
図1は、本発明のアルゴンガス回収精製方法の一例を示すフロー図である。図1の(1)、(2)に示すように、まずシリコン単結晶製造装置から窒素、酸素及び一酸化炭素等を含む廃アルゴンガスを廃アルゴンガス貯槽に導入する。
【0092】
このとき、シリコン単結晶製造装置から導入する廃ガスをブロワー等の流体搬送機器で圧縮することなくそのまま廃アルゴンガス貯槽に導入することが好ましい。すなわち、シリコン単結晶製造装置と廃アルゴンガス貯槽とを直接廃アルゴンガス配管で接続することが好ましい。これは、シリコン単結晶製造装置から廃ガスの受入貯槽までの距離が長い場合や大量の廃ガスを受入れる場合は数多くのシリコン単結晶製造装置が接続されるので、配管内に負圧箇所をなくすことで、多数接続される製造炉やその廃ガスダクトの接続箇所において予期せぬ漏れが発生しても、大気成分(酸素、窒素など)が廃ガス中に多量に混入してしまう恐れがなく、安定運転を行うことができるためである。
【0093】
ここで、シリコン単結晶製造装置に付属する真空ポンプの許容背圧範囲以下で運用できるよう廃ガス配管の計画と廃アルゴンガス貯槽の動作圧力を決定することが好ましい。これにより、廃ガス配管内の圧力は負圧になる箇所が無く、常に加圧された状態になるので微小なリークに対しても大気成分を混入する事態を防ぐことができる。なお、予期せぬ廃ガスへの大気導入に対しては廃アルゴンガス貯槽手前にエア成分監視計を設置して常時監視すると同時に設定濃度を超える大気成分が検出された場合、廃ガスを廃アルゴンガス貯槽手前で大気へパージできるようにしている。
【0094】
[固形物を除去する工程]
次に、図1の(3)に示すように、廃アルゴンガスを、廃アルゴンガス貯槽から前処理設備に導入して固形物を除去する。前処理設備としては、上述したものを使用することができる。
【0095】
[転化する工程]
続いて、触媒反応により、酸素を水に、一酸化炭素を二酸化炭素にそれぞれ転化する。本発明では、上記の触媒反応を二段圧縮機内に触媒を配置することで、廃ガスを圧縮した際に生じる圧縮熱のみで行う。本発明では二段圧縮機を用い廃ガスを二段圧縮するが、これは最終段の吸着工程における圧力が0.3〜1.1MPaであることが好ましいためである。触媒反応は以下のようにして行うことが好ましい。
【0096】
まず、図1の(4)に示すように、予め廃ガス中の一酸化炭素濃度を計測すると同時に廃ガスの流量を計測して一酸化炭素量を演算し、それに必要な化学量論量あるいは、それより過剰に制御された酸素を廃ガスに添加してから一段目の圧縮ユニットで一段圧縮操作を行う。一段圧縮操作によって一段目の圧縮ユニット内の廃ガスの圧力を、大気圧付近から0.3MPa以上にする。この際廃ガスと添加された酸素は充分に撹拌されると同時に圧縮熱により廃ガス温度は高い温度に上昇する。
【0097】
この後、一段目の圧縮ユニット直後に設置した一段目の触媒ユニットに廃ガスを導入することで高温になった廃ガス中の一酸化炭素と添加した酸素の反応が進み、二酸化炭素が生じる(2CO+O→CO)。
【0098】
続いて、図1の(5)に示すように、予め廃ガス中の余剰酸素量に見合う水素を添加して二段圧縮操作を行う。二段圧縮操作によって二段目の圧縮ユニット内の廃ガスの圧力を、0.3〜1.1MPaにする。この際廃ガスと添加された水素は充分に撹拌されると同時に圧縮熱により廃ガス温度は高い温度に上昇する。
【0099】
この後、二段目の圧縮ユニット直後に設置した二段目の触媒ユニットに廃ガスを導入することで高温になった廃ガス中の酸素と添加した水素の反応が進み、水が生じる(O+2H→2HO)。圧縮時に発生する熱により、一、二段目共に廃ガス温度は100〜200℃程度になり、圧縮機内に設置したPt(白金)等の触媒において、この温度は廃ガス中の酸素、水素、一酸化炭素が反応する為には十分高い温度である。これにより、特許文献1、2にあるような触媒反応前の加熱装置は不要となり、触媒反応が最低限のエネルギーで実現可能となる。
【0100】
この場合、一段目の触媒ユニットの直後にインタークーラーを設置し、二段目の触媒ユニットの直後にアフタークーラーを設置することによって、二段圧縮機外部に冷却装置を設けずに廃アルゴンガスを冷却することが好ましい。この場合、圧縮で発生した熱は圧縮機内にあるインタークーラー、アフタークーラーにより常温まで冷却されるので、触媒を各圧縮ユニットと各クーラーとの間に設置すれば、特許文献1、2にあるような触媒筒後の冷却装置は不要である。
【0101】
また、二段圧縮機に廃アルゴンガスを導入する際、二段圧縮機入口の廃アルゴンガス流量の変動に対して、常に吸入圧力あるいは吐出圧力を監視してバイパス制御を行うことによって、二段圧縮機に、常に一定量の廃アルゴンガスを流すことが好ましい。このようなアルゴンガス回収精製方法であれば、各触媒ユニットにおける反応が安定化する。
【0102】
[回収ガスを得る工程]
触媒反応後、廃ガス中に残った水、二酸化炭素、窒素はゼオライト等の吸着剤により常温で吸着できる。しかしながら、これらの中で水はゼオライトとの親和力が非常に強く容易に吸着される。一方、一部のゼオライトからは脱着し難く再生が難しいのでゼオライトの吸着能力を低下させることがある。このようなことから、図1の(6)に示すように、廃ガス中に残った水、二酸化炭素、窒素のうち、水のみを予めドライヤー、例えばアルミナ系の吸着剤を有するノンパージ型ドライヤーにより極限まで除湿する。これにより、廃ガスのロスを極力低減しながら安定的に水分を除去でき、窒素や二酸化炭素の吸着工程における吸着剤(ゼオライト)へ水分が吸着し、吸着能力が低下するのを防ぐことができる。
【0103】
また、ドライヤーは2塔切替加熱再生方式で、片側にて吸着しながら他塔で再生を行うことが好ましい。これにより、再生時に発生するパージガスを加熱、冷却することで再生ガス中の水分以外を系外に捨てることなく除湿したガスと混合して次工程に導入することができる。また、廃ガス中の水分は、露点温度で−70℃以下まで除湿することが好ましい。
【0104】
ドライヤーを通過した廃ガス中には窒素と二酸化炭素が残留している。次に、図1の(7)に示すように、常温吸着塔に充填したゼオライト等の吸着剤で廃ガス中に残留した窒素、二酸化炭素を吸着除去する。これにより、特許文献1〜3にあるコールドボックスのような高圧ガス製造設備や冷凍機、等を用いた低温吸着塔は不要であり、シンプルで低コストとなる設備を用いてシリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できる。
【0105】
このとき、常温吸着塔入口において、廃アルゴンガス中の窒素、酸素及び一酸化炭素の濃度が所定の許容値を超える場合に、常温吸着塔への廃アルゴンガス供給を直ちに停止し、廃アルゴンガスの一部又は全量を、屋外へパージ又は廃アルゴンガス貯槽に返送することが好ましい。
【0106】
ここで、常温吸着塔として、3塔式常温吸着塔のような複数塔式常温吸着塔を用いることが好ましい。吸着塔は2塔、3塔式あるいはそれ以上の塔数で運用ができるが、3塔式の場合、各塔で(1)吸着、(2)脱着、(3)昇圧を交互に切り替えて繰り返すことで連続的に廃ガス中の窒素と二酸化炭素を吸着除去することができる。吸着時の圧力は0.3MPa以上、1.1MPa以下であることが好ましい。また、吸着時の温度は常温であることが望ましいが必要に応じて冷却することができる。
【0107】
吸着塔は、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式で運用することができる。また、脱着時は大気圧まで排気してから、真空ポンプにより大気圧以下に減圧することで吸着剤に吸着した不純ガス(窒素、二酸化炭素)の脱着を促進することができる。脱着後、昇圧時には吸着塔を通過して高純度となったガスの一部を導入して昇圧し、次の吸着運転に備えて所定の圧力まで復圧する。この一連の動作を自動制御により繰り返し行うことで廃ガス中の不純ガスを除去することができる。
【0108】
この場合、3塔式常温吸着塔のうちいずれかの吸着塔において昇圧を行う際、吸着塔に流入する廃アルゴンガスの流入量を計測することによって、この流入量に応じて昇圧に使用する回収ガスの量を制御することが好ましい。これにより、吸着塔内の圧力変動を吸収して安定的に吸着動作を行うことができる。
【0109】
さらに、上記の吸着、脱着、及び昇圧の時間は、廃アルゴンガス流量の変動に対応して自動的に変更することが好ましい。これにより、更に効率的に、吸着、脱着、昇圧を行うことができる。
【0110】
このようにして、水及び不純ガスを除去することにより、図1の(8)に示すように、高純度ガス(回収ガス)を得ることができる。吸着塔を通過した高純度ガス(回収ガス)は圧力制御を行いながらフィルターを通過して微粒子を除去した後にシリコン単結晶製造装置に供給することが好ましい。
【0111】
このとき、例えば回収ガス中の不純ガス濃度(窒素、酸素及び一酸化炭素の濃度)が一定の値(許容値)を超える場合、回収ガスの一部又は全量を、直ちに廃アルゴンガス貯槽に返送あるいは大気(屋外)にパージすることが好ましい。
【0112】
また、シリコン単結晶製造装置からの廃ガス量が不足した場合は廃アルゴンガス貯槽レベルが一定のレベルまで低下する。その際にも回収ガスを単結晶製造装置への供給を停止して廃アルゴンガス貯槽に返送することで、設備を停止することなく安定的に運転が可能である。
【0113】
また、そのような事態になっても、回収ガスの代わりにCE(コールドエバポレータ)タンクから蒸発器を経由して購入アルゴンガスが自動的に供給され、単結晶製造装置に対しては圧力変動が無くアルゴンガスの供給は維持される。これは回収アルゴンガスの供給配管がCEタンクから供給される購入アルゴンガスと接続されており、通常回収アルゴンガスの圧力の方が若干高い圧力である為、回収アルゴンガスを優先的に使用するようになっている。従って、回収ガス側の圧力が先の事由により供給を止めることで回収ガス側の圧力が下がることで自動的にCEタンク側から購入アルゴンガスが供給されるのである。
【実施例】
【0114】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0115】
(実施例)
まず、図2に示す本発明の装置を用い、シリコン単結晶製造装置から廃ガスを廃アルゴンガス貯槽に受入れた。廃ガス受入系統の圧力は2.0kPaG(正圧)にて運用した。これにより廃ガスへの大気成分の侵入は最小限に抑えることができ、シリコン単結晶製造装置の真空ポンプや廃アルゴンガス貯槽の動作に支障なく運用できた。受入量は成行きである。廃ガスは前処理設備にて固形分を除去した後に、二段圧縮機に導入した。
【0116】
次に、二段圧縮機手前にて廃ガス中のCO濃度を計測し、圧縮機を通過する廃ガス量を計測して演算し、廃ガスに添加する酸素量を決定した。酸素添加量は通常20Nl/min以下であった。
【0117】
廃ガスは一段目圧縮ユニットにて、大気圧付近から0.3MPa以上に昇圧してから触媒ユニットを通過し、圧縮後の廃ガス温度は170〜190℃程度であった。触媒ユニットを通過した廃ガスはインタークーラーに導入して冷却した。
【0118】
続いて二段目圧縮ユニットに導入する手前で水素を添加した。添加量は通常20Nl/min以下であったが、二段圧縮機の出口に設置した酸素濃度計にて検出下限以下になるように制御した。水素添加後に二段圧縮ユニットに廃ガスを導入して0.3〜1.1MPaまで圧縮した。圧縮後の温度は170〜190℃で、直ちに触媒ユニットを通過して廃ガスはアフタークーラーにて冷却した。
【0119】
二段圧縮機を通過した廃ガスは、ノンパージ型ドライヤーに導入して廃ガス中の水分
を極力低減し、露点温度で−70℃以下まで除湿した。このとき、ドライヤーではドレン以外に廃ガスを系外に排出することなく運用した。
【0120】
ノンパージ型ドライヤーを通過した廃ガスは、固形物、水分、酸素、一酸化炭素、水素が殆ど除去されていた。
【0121】
廃ガス中に残留した窒素、二酸化炭素を除去する目的で、3塔式常温吸着塔に排ガスを導入した。運用圧力は0.3〜1.1MPaで吸着、脱着時は大気圧まで塔内を排気した後に真空ポンプで減圧した。脱着が完了後、塔内を昇圧する為に吸着塔を通過して高純度になったガス(回収ガス)の一部を用いて昇圧した。昇圧する圧力は減圧状態から1.1MPaまでであり、昇圧が完了すると次の吸着動作に移行した。上記を自動的に繰り返すよう、各塔の入出口に自動弁を設けて自動運転を連続的に行うことで安定して回収ガスを得た。
【0122】
回収ガス中の不純ガス濃度が上昇、あるいは廃アルゴンガス貯槽レベルが低下した際は回収ガスを廃アルゴンガス貯槽に返送、あるいは大気にパージして設備の連続運転を安定化することができた。
【0123】
表1に実施例、および特許文献1〜3に記載された処理工程フロー、処理条件及び回収ガス不純物濃度の結果について示す。
【0124】
【表1】
【0125】
表1に示すように、実施例では、回収ガス中の不純ガス濃度は、H≦5ppm、O≦0.5ppm、N≦5ppm、CO,CO≦0.5ppm、水分(露点温度)≦−70℃であった。
【0126】
また、表1に示すように、本発明では、特許文献1〜3にあるコールドボックスのような高圧ガス製造設備や冷凍機、等を用いた低温吸着塔は不要であり、シンプルで低コストとなる設備を用いてシリコン単結晶製造装置から排出された大風量のアルゴンガスに含まれる不純ガスを安定的に除去できることがわかった。
【0127】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0128】
1…シリコン単結晶製造装置、 2…廃アルゴンガス貯槽、 3…前処理設備、 4…CO濃度計、 5…二段圧縮機、 5−1A…一段目の圧縮ユニット、 5−2A…一段目の触媒ユニット、 5−3A…インタークーラー、 5−1B…二段目の圧縮ユニット、 5−2B…二段目の触媒ユニット、 5−3B…アフタークーラー、 6…酸素流量調節器、 7…水素流量調節器、 8…自動圧力調節器、 9…O濃度計、 10…バッファタンク、 11…ドライヤー、 12…廃ガス流量計、 13…常温吸着塔、 14…真空ポンプ、 15…回収ガスバッファタンク、 16…回収ガス分析計、 17…回収ガスリジェクトバルブ、 18…廃アルゴンガスパージバルブ、 19…エア成分監視計、 20…LIC(レベル指示調節計)、 21、23…圧力分析計、 22…パージバルブ、 24…回収ガス流量計、 100…アルゴンガス回収精製装置。
図1
図2
図3
図4