【文献】
FUKADA Y , et.al.,Beat Power Calculation for Arbitrarily Polarized Lightwaves by Using the Inner Product of Stokes Vectors,IEICE TRANS. COMMUN.,2004年 6月,Vol.E87-B, No.6,p.1451-1462
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
光電変換素子(フォトダイオード、フォトミキサ、太陽電池、など)の基本的な特性のひとつが、受光感度(Conversion Factor)である。この受光感度Dは、光電変換素子への入力光電力P
o(t)と出力電流I(t)の間を、以下の式で関連付けるものである。
【数1】
ここで、tは時間である。
【0003】
いま、入力光が静的(即ち、入力光電力P
o(t)が時間的に一定)な場合、受光感度Dはηe/hν(η、e、h、νは、それぞれ、量子効率、素電荷、プランク定数、入力光周波数)で表わされる。しかるに、入力光が変調されている(即ち、入力光電力がP
o(t)=P
o{1+sin(2πft)}/2のように時間的に変化する)場合、変調周波数fの増加に伴い受光感度Dは一般に減少する。この為、光電変換素子の受光感度Dの周波数特性を測定評価することは、ブロードバンド通信におけるその素子の適用領域を把握する上で極めて重要である。
【0004】
この周波数特性の測定法としては、高周波で強度変調された強度変調光を試験光として、評価対象の光電変換素子の受光感度Dを測定する方法が存在する。
図1は、光電変換素子の受光感度Dの周波数特性を測定評価する周波数特性測定システム301を説明する図である。周波数特性測定システム301は、光源11、発振器12、光強度変調器13、及びオシロスコープ15を備える。光源11は、例えば、分布帰還型レーザダイオード(DFB−LD;Distributed−FeedBack Laser Diode)である。光強度変調器13は、光源11からの光を発振器12からの信号で変調して試験光を生成し、被測定対象である光電変換素子14に入力する。オシロスコープ15は、光電変換素子14が試験光を光電変換した信号を波形として表示する。
【0005】
この方法で注意する点は、試験光を強度変調する光強度変調器の変調効率の周波数特性の校正である。
図2は、上記の周波数特性測定システムにおける光強度変調器の変調効率の周波数特性の影響を説明する図である。オシロスコープ15で観測する波形は、
図2の(3)に示すように、光強度変調器の変調効率の周波数特性、ならびに、光電変換素子の受光感度Dの周波数特性の影響を反映した波形を観測していることとなる。そして、光強度変調器の変調効率は周波数特性を有しており、一般に入力信号周波数が高周波になる程変調効率が低下する。この為、光強度変調器の変調効率の周波数特性の校正精度が、本測定の結果の精度を左右する。また、光強度変調器の変調効率の校正表のない周波数領域では、光強度変調器の変調効率と光電変換素子の受光感度Dの双方の周波数特性を同時に評価決定する必要があることから、高精度評価は困難である。
【0006】
光電変換素子の受光感度Dの周波数特性を測定する為の他の方法として、2つの光周波数の異なる連続(CW;Continuous Wave)光(差周波f)を、測定評価対象となる光電変換素子に入力する方法がある。2つの連続光は光電変換素子において電気的なビート(周波数f)を発生させるが、もし、光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態が平行であれば、このビートの電力p
lin//はリニアスケール(W、mWなど)表示で、
【数2】
で与えられる。ただし、P
1およびP
2はそれぞれ連続光1、2の入力光電力、Rは光電変換素子の次段に接続された電気回路(スペクトラムアナライザ(SA;Spectrum Analyzer)、など)の入力インピーダンスである。なお、ビートの周波数は2つの連続光の差周波と一致する。
【0007】
この測定方法で注目すべき点は、測定系に光強度変調器を含まないため、光強度変調器の変調効率の校正が一切必要ないことである。従って、2つの連続光の偏光状態を平行に保ち、P
1、P
2およびp
lin//を測定すれば、「数式2」より光電変換素子の受光感度Dを決定することが可能となる。なお、2つの連続光の差周波fを変更することにより発生するビートの周波数fを任意に設定することができる。この時の測定結果が、周波数fにおける受光感度Dである。
【0008】
この方法を実現するための具体的な測定系構成を、2つ紹介する。
【0009】
図3は、1つ目の構成である周波数特性測定システム302を説明する図である。周波数特性測定システム302は、2つの光源(31−1、31−2)、光合波器32、光電力測定器33、光周波数測定器34、ならびに、SA36を備える。光源(31−1、31−2)は、例えば、DFB−LDである。
【0010】
2つの光源(31−1、31−2)から出力された、互いに光周波数が異なるCW光は、光合波器32で合波された後に、測定対象の光電変換素子35に入力される。光電変換素子35から出力されるビートの電力p
lin//は、SA36で測定される。また、光電変換素子35に入力されるCW光の光電力P
1およびP
2は、光電力測定器33にて測定される。さらには、光電変換素子35に入力される2つのCW光の周波数を光周波数測定器34で測定することにより、2つのCW光の差周波f(ビートの周波数fに同じ)が決定される。また、SA36の入力インピーダンスRは、既知であるとする。このようにして得られたP
1、P
2、p
lin//、Rおよびfにより、周波数fにおける受光感度Dを決定することが可能となっている。
【0011】
図4は、2つ目の構成である周波数特性測定システム303を説明する図である。周波数特性測定システム303は、1つの光源41、光コム装置42、アレイ導波路回折格子(AWG;Arrayed Waveguide Grating)43、光電力測定器(不図示)、ならびに、SA45から構成されるものである。光源41は、例えば、DFB−LDである。
【0012】
1つの光源41から出力された、1つのCW光は、光コム装置42により周波数間隔Δfの複数のCW光に変換される。周波数間隔ΔfのAWG43は光周波数の異なるCW光を分波/合波する装置であることから、周波数間隔Δfの複数のCW光の内から、任意の2つのCW光をそれぞれ異なるポートに分波、さらにはこの2つのCW光を1つのポートに合波することが可能である(詳しい構成は、非特許文献1に記載がある。)。このようにしてAWGで合波された2つのCW光は、測定対象の光電変換素子44に入力される。光電変換素子44から出力されるビートの電力p
lin//は、SA45で測定される。また、光電変換素子に入力されるCW光の光電力P
1およびP
2は、光電力測定器(不図示)にて測定される。さらには、光電変換素子44に入力される2つのCW光差周波は、前記の周波数間隔ΔfとAWGの分波側ポート間隔nにより、2つのCW光の差周波f=nΔf(ビートの周波数fに同じ)が決定される。また、SA45の入力インピーダンスRは、既知であるとする。このようにして得られたP
1、P
2、p
lin//、Rおよびfにより、周波数fにおける受光感度Dを決定することが可能となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図3及び
図4で紹介した方法は、何れも「数式2」を用いて受光感度Dを決定するが、その際前提条件は、前述の通り「光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態が平行」である。この前提条件を実現するには、2つの方法が存在する。
【0015】
1つめの方法は、
図3及び
図4において、DFB−LDから測定対象の光電変換素子の光回路を全て偏波保持型素子/偏波保持ファイバで構成する方法である。この方法は、理想的には安定的に「光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態が平行」という条件を実現できるはずである。しかし、現実には、偏波保持型素子/偏波保持ファイバの接続箇所では、これら偏波軸間にわずかなずれが存在することから、接続箇所が増えるに従い光回路の偏波保持能力は下がり、前述の前提条件の実現が困難となる。よしんばこの技術的課題を解決したとしても、偏波保持型素子/偏波保持ファイバは偏波非保持型の素子/ファイバに比べ高価であることから、これらを光回路全てに適用することは産業的な観点からも魅力に乏しい。
【0016】
2つめの方法は、
図3及び
図4において、片方のCW光(CW光1またはCW光2)の経路に偏波制御器(PC;Polarization Controller)(38、48)を挿入し、「光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態が平行」となるよう、制御する方法である。この方法では、安価な偏波非保持型素子/偏波非保持型ファイバを使用できる。しかし、偏光状態の揺らぎに応じ、常に偏光状態をPC(38、48)で制御する必要がある。「光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態が平行」となるようにPC(38、48)を制御するフィードバック機構を設ける場合には、この方法もコストがかかることとなる。
【0017】
以上のように、光電変換素子の受光感度の周波数特性を測定するためには、光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態の管理が必要であり、実現が困難という課題がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態の管理が不要で、実現性の高い光電変換素子の受光感度についての周波数特性測定方法及び周波数特性測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本願発明では、偏波揺らぎにより変動するビート電力の測定値の平均値を測定により求め、さらに、偏波揺らぎ速度と1回あたりのビート電力測定速度の関係に依存して定式化された補正を行うことで、高い精度で受光感度Dの周波数特性の測定評価を実現することとした。
【0019】
具体的には、本発明に係る周波数特性測定方法は、被測定対象の光電変換素子の受光感度の周波数特性を測定する周波数特性測定方法であって、
差周波がfで、光電力がP
1、P
2なる2つの連続光を合波して前記光電変換素子に入力する検査光入力手順と、
前記光電変換素子から次段に接続された入力インピーダンスRの電力測定器に出力されるビート電力を測定し、ビート電力の平均値<p
lin>(リニアスケール表記)または<p
dBm>(ログスケール表記)を測定する電力測定手順と、
前記電力測定手順で測定したビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>を補正して補正値α<p
lin>または<p
dBm>+βを生成する補正手順と、
前記補正手順で生成した補正値α<p
lin>または補正値<p
dBm>+βをリニアスケール表記した値10^{(<p
dBm>+β)/10}を、前記2つの連続光の偏光状態が平行の場合のリニアスケール表記のビート電力p
e//とし、
前記光電変換素子の周波数fにおける受光感度Dを
D=√{p
e///(2P
1P
2R)}
で計算する計算手順と、
を行うことを特徴とする。
【0020】
本発明は、2つのCW光の偏波揺らぎにより変動するビート電力の測定値の平均値を計算に用いる。つまり、本発明は、偏波状態を固定する必要が無く、偏波保持型素子や偏波保持ファイバが不要で、PCのフィードバック機構も不要である。従って、本発明は、光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態の管理が不要で、実現性の高い光電変換素子の受光感度についての周波数特性測定方法を提供することができる。
【0021】
本発明に係る周波数特性測定方法は、前記補正手順で、
前記補正値において、
α=2 であり、
1回あたりのビート電力の測定速度が前記2つの連続光の偏光状態揺らぎ速度の双方よりも速い場合 β=10log(e) (但し、eは自然対数の底である)、
1回あたりのビート電力の測定速度が前記2つの連続光の少なくとも一方の偏光状態揺らぎ速度より遅い場合 β=10log(2)、
であることを特徴とする。
本発明は、電力測定器の種類を問わずに光電変換素子の受光感度についての周波数特性を測定することができる。
【0022】
本発明に係る周波数特性測定方法は、前記電力測定手順で、
1回あたりのビート電力の測定速度が前記2つの連続光の少なくとも一方の偏光状態揺らぎ速度より遅い場合に、
前記電力測定器が測定するビート電力の測定値p
lin(リニアスケール表記)またはp
dBm(ログスケール表記)を、それぞれ、前記ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>とする、
ことを特徴とする。
本発明は、偏光状態の変動を含むように、2つのCW光で生ずるビートの電力を測定することでビート電力の平均値を取得する手法(第1手法)である。
【0023】
本発明に係る周波数特性測定方法は、前記電力測定手順で、
1回あたりのビート電力の測定速度が前記2つの連続光の偏光状態揺らぎ速度の双方よりも速い場合に、
前記電力測定器が測定するビート電力の複数の測定値p
lin(リニアスケール表記)またはp
dBm(ログスケール表記)を平均化した値を、それぞれ、前記ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>とする、
ことを特徴とする。
本発明は、偏光状態の変動を含まないように、2つのCW光で生ずるビートの電力を複数回測定し、平均化することでビート電力の平均値を取得する手法(第2手法)である。
【0024】
本発明に係る周波数特性測定方法は、前記検査光入力手順で、
前記2つの連続光の少なくとも一方を偏波スクランブルする、
ことを特徴とする。
本発明は、偏光状態を強制的に変動させることで、ビート電力の平均値を取得する時間を短くすることができる。
【0025】
本発明に係る1の周波数特性測定システムは、被測定対象の光電変換素子の受光感度の周波数特性を測定する周波数特性測定システムであって、
差周波がfで、光電力がP
1、P
2なる2つの連続光を合波して前記光電変換素子に入力する検査光入力手段と、
前記光電変換素子が前記2つの連続光を光電変換して出力するビートの電力を測定し、ビート電力の測定値p
lin(リニアスケール表記)またはp
dBm(ログスケール表記)を出力する入力インピーダンスRの電力測定手段と、
前記電力測定手段が測定したビート電力の測定値p
linまたはp
dBmを、それぞれ、ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>とし、前記ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>を補正して補正値α<p
lin>または<p
dBm>+βを生成する補正手段と、
前記補正手段が生成した補正値α<p
lin>または補正値<p
dBm>+βをリニアスケール表記した値10^{(<p
dBm>+β)/10}を、前記2つの連続光の偏光状態が平行の場合のリニアスケール表記のビート電力p
e//とし、
前記光電変換素子の、周波数fにおける受光感度Dを
D=√{p
e///(2P
1P
2R)}
で計算する計算手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明は、上記第1手法を実現する周波数特性測定システムである。
【0026】
本発明に係る他の周波数特性測定システムは、被測定対象の光電変換素子の受光感度の周波数特性を測定する周波数特性測定システムであって、
差周波がfで、光電力がP
1、P
2なる2つの連続光を合波して前記光電変換素子に入力する検査光入力手段と、
前記光電変換素子が前記2つの連続光を光電変換して出力するビートの電力を測定し、ビート電力の測定値p
lin(リニアスケール表記)またはp
dBm(ログスケール表記)を出力する入力インピーダンスRの電力測定手段と、
前記電力測定手段が測定したビート電力の複数の測定値p
linまたはp
dBmを平均化し、ビート電力の平均値<p
lin>(リニアスケール表記)または<p
dBm>として出力する平均化手段と、
前記平均化手段が出力した前記ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>を補正して補正値α<p
lin>または<p
dBm>+βを生成する補正手段と、
前記補正手段が生成した補正値α<p
lin>または補正値<p
dBm>+βをリニアスケール表記した値10^{(<p
dBm>+β)/10}を、前記2つの連続光の偏光状態が平行の場合のリニアスケール表記のビート電力p
e//とし、
前記光電変換素子の、周波数fにおける受光感度Dを
D=√{p
e///(2P
1P
2R)}
で計算する計算手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明は、上記第2手法を実現する周波数特性測定システムである。
【0027】
本発明に係る周波数特性測定システムは、上記周波数特性測定方法で説明したように偏波状態を固定する必要が無く、偏波保持型素子や偏波保持ファイバが不要で、PCのフィードバック機構も不要である。従って、本発明は、光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態の管理が不要で、実現性の高い光電変換素子の受光感度についての周波数特性測定システムを提供することができる。
【0028】
本発明に係る周波数特性測定システムの前記補正手段は、
前記補正値において、
α=2 であり、
1回あたりのビート電力の測定速度が前記2つの連続光の偏光状態揺らぎ速度の双方よりも速い場合 β=10log(e) (但し、eは自然対数の底である)、
1回あたりのビート電力の測定速度が前記2つの連続光の少なくとも一方の偏光状態揺らぎ速度より遅い場合 β=10log(2)、
であることを特徴とする。
本発明は、電力測定器の種類を問わずに光電変換素子の受光感度についての周波数特性を測定することができる。
【0029】
本発明に係る周波数特性測定システムの前記検査光入力手段は、
前記2つの連続光の少なくとも一方を偏波スクランブルする偏波スクランブラを有する
ことを特徴とする。
本発明は、偏光状態を強制的に変動させることで、ビート電力の平均値を取得する時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、光電変換素子入力端で2つのCW光の偏光状態の管理が不要で、実現性の高い光電変換素子の受光感度についての周波数特性測定方法及び周波数特性測定システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0033】
〔原理説明〕
図5は、測定対象である光電変換素子55の受光感度Dの周波数特性を測定評価する周波数特性測定システム304を説明する図である。周波数特性測定システム304は、2つの光源(51−1、51−2)、光合波器52、光電力測定器53、光周波数測定器54、及び、電力測定器56を備える。電力測定器56は、例えば、SAである。
【0034】
被測定対象の光電変換素子の受光感度の周波数特性を測定する周波数特性測定方法であって、
差周波がfで、光電力がP
1、P
2なる2つの連続光を合波して前記光電変換素子に入力する検査光入力手順と、
前記光電変換素子から次段に接続された入力インピーダンスRの電力測定器に出力されるビート電力を測定し、ビート電力の平均値<p
lin>(リニアスケール表記)または<p
dBm>(ログスケール表記)を測定する電力測定手順と、
前記電力測定手順で測定したビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>を補正して補正値α<p
lin>または<p
dBm>+βを生成する補正手順と、
前記補正手順で生成した補正値α<plin>または補正値<p
dBm>+βをリニアスケール表記した値10^{(<p
dBm>+β)/10}を、前記2つの連続光の偏光状態が平行の場合のリニアスケール表記のビート電力p
e//とし、
前記光電変換素子の周波数fにおける受光感度Dを
D=√{p
e///(2P
1P
2R)}
で計算する計算手順と、
を行う。
光源(51−1、51−2)及び光合波器52が検査光入力手段として前記検査光入力手順を行う。電力測定器56が電力測定手段として前記電力測定手順を行う。
【0035】
2つの光源(51−1、51−2)から出力された、互いに光周波数が異なるCW光は、光合波器52で合波された後に、光電変換素子55に入力される。光電変換素子55から出力されるビートの電力p
linは、電力測定器56で測定される。なお、光電変換素子55に入力されるCW光の光電力P
1およびP
2は、光電力測定器53にて測定することで決定しても良いし、予め設定値に設定しておいても良い。同様に、光電変換素子55に入力される2つのCW光の差周波f(ビート周波数fに同じ)は、光周波数測定器54で測定することで決定しても良いし、予め設定値に設定しておいても良い。また、電力測定器56の入力インピーダンスRも抵抗計等で測定することで決定しても良いし、予め既知のものを用いても良い。
【0036】
以下の説明において、電力測定器が測定するビート電力のリニアスケール表記p
linの期待値(平均値)を<p
lin>とする。同様に、ビート電力のログスケール表記p
dBmの期待値(平均値)を<p
dBm>とする。
【0037】
ここで、<p
lin>あるいは<p
dBm>と、「数式2」のp
lin//の関係を以下に求める。
【0038】
まず、2つのCW光の偏光状態を考慮した場合のビートの電力であるが、これをリニアスケール(W、mWなど)で表記した場合のビート電力表記p
linは、非特許文献2により、以下の表式で与えられる。
【数3】
ここで、S
1=(P
1,P
1sinθ
1cosφ
1,P
1sinθ
1sinφ
1,P
1cosθ
1)とS
2=(P
2,P
2sinθ
2cosφ
2,P
2sinθ
2sinφ
2,P
1cosθ
2)は、それぞれ、CW光1とCW光2のストークスベクトルである。また、電力p
lin測定中の偏光状態S
1、S
2の変化は考慮していない。電力測定中に偏光状態が変化する場合については、後述のA−2、A−3で説明する。なお、S
1とS
2が平行となる場合、すなわち、θ
1=θ
2かつφ
1=φ
2の場合に、「数式2」と「数式3」が一致することに注意されたい。
【0039】
また、ビート電力をログスケール(具体的にはdBm)で表記した場合のビート電力表記p
dBmは、「数式3」を変形し、以下の表式で与えられる。
【数4】
ここで、本願説明では特に説明を行わない限り、logは10を底とする常用対数とする。また、「数式4」のようにビート電力のログスケール表記(p
dBmなど)が含まれる場合については、同じ数式中のビート電力のリニアスケール表記(p
linあるいは<p
lin>など)はmWの単位系で表記した場合の数値で表記しているものとする。また、電力p
dBm測定中の偏光状態S
1、S
2の変化は考慮していない。電力測定中に偏光状態が変化する場合については、後述のB−2、B−3で説明する。
【0040】
以降、各場合に分けて、詳細計算を行う。
【0041】
なお、偏光状態が揺らぐ場合のp
linの期待値(平均値)は、S
1とS
2それぞれを、ポアンカレ球(Poincare Sphere)上で積分すれば良い。これらの積分は、以下の「数式5」、「数式6」式を被積分関数に演算することで与えられる。
【数5】
【数6】
【0042】
今、CW光1とCW光2のそれぞれの偏光状態揺らぎ速度をc
1とc
2とする。なお、偏光状態揺らぎ速度は、単位時間当たりのポアンカレ球上での移動距離をポアンカレ球の円周で割ったものとするが、この他の規定でも構わない。なお、この規定は、ポアンカレ球上での一定方向の回転の場合、単位時間当たりのポアンカレ球上での回転数となる(非特許文献3)。また、電力測定器の1回あたりのビート電力測定速度をcとする。これは、例えばSAであれば、スイープ速度に該当する。
【0043】
[A]電力測定器の出力表示がリニアスケールの場合
以下、A−1〜A−3では、電力測定器56の出力表示が、W、mWなどのリニアスケールの場合について、記述する。A−1〜A−3の差分は、「電力測定器の1回あたりのビート電力測定速度」と「CW光1とCW光2の偏光状態揺らぎ速度」の関係である。
【0044】
[A−1]c>c
1かつc>c
2の場合
電力測定器56がビート電力を測定している間、CW光1とCW光2の偏光状態は変動していない。従って、電力測定器56が測定するビート電力の測定値p
linは、以下の通り「数式7」で与えられる。数式7は数式3と同じである。
【数7】
1回目、2回目、3回目、・・・、のビート電力測定では、CW光1とCW光2の偏光状態S
1とS
2がそれぞれ異なっていくことから、「数式7」で明らかなようにビート電力測定値p
linも変化して行く。電力測定器56が複数回測定したビート電力測定値p
linの平均値<p
lin>は、「数式7」を積分∫dΩ
1∫dΩ
2することで得られる。
【数8】
この結果は「数式7」とは異なる。すなわち、A−1の場合では、電力測定器56が測定するビート電力測定値p
linは変化することから、この平均値<p
lin>はp
linと一致するとは限らない。また、p
lin//の導出は、<p
lin>に2倍を乗じて補正することで、可能となる。
【0045】
[A−2]c
1>c>c
2(または、c
2>c>c
1)の場合
ここでは、便宜的に、偏光状態揺らぎ速度の速い方をCW光1、遅い方をCW光2として、計算を進める。光周波数、光電力等、及び他の条件については、CW光1、CW光2のいずれが大きく何れが小さくても、以下の計算には影響しない。
【0046】
電力測定器56がビート電力を測定している間、CW光1の偏光状態が変動する。従って、電力測定器56が測定するビート電力の測定値p
linは、以下の通り「数式3」を拡張(∫dΩ
1にて積分)することにより与えられる。
【数9】
1回目、2回目、3回目、・・・、のビート電力測定では、CW光2の偏光状態S
2がそれぞれ異なっていくのであるが、「数式9」で示される通りビート電力の測定値p
linはCW光1およびCW光2の偏光状態(S
1、S
2)に依存しないことから、変化しないことに注意されたい。電力測定器56が複数回測定したビート電力p
linの平均値<p
lin>は、「数式9」を積分∫dΩ
2することで得られる。
【数10】
この結果は「数式9」と同じである。すなわち、A−2の場合では、電力測定器56が測定するビート電力測定値p
linは(誤差を除き)毎回同じ値となることから、この平均値<p
lin>はp
linと(誤差を除き)一致する。また、p
lin//の導出は、p
dBmあるいは<p
dBm>に2倍を乗じて補正することで、可能となる。
【0047】
[A−3]c
1>cかつc
2>cの場合
電力測定器56がビート電力を測定している間、CW光1およびCW光2の偏光状態が変動する。従って、電力測定器56が測定するビート電力の測定値p
linは、以下の通り「数式3」を拡張(∫dΩ
1∫dΩ
2にて積分)することにより与えられる。
【数11】
1回目、2回目、3回目、・・・、のビート電力測定では、「数式11」で示される通りビート電力の測定値p
linはCW光1およびCW光2の偏光状態(S
1、S
2)に依存しないことから、変化しないことに注意されたい。このため、明らかに電力測定器56が複数回測定したビート電力p
linの平均値<p
lin>は、「数式11」と等しくなる。
【数12】
この結果は「数式11」と同じである。すなわち、A−3の場合では、電力測定器56が測定するビート電力測定値p
linは(誤差を除き)毎回同じ値となることから、この平均値<p
lin>はp
linと(誤差を除き)一致する。またp
linあるいは<p
lin>2倍することで、p
lin//を導出することが可能となる。
【0048】
[B]電力測定器の出力表示がログスケールの場合
以下、B−1〜B−3では、電力測定器56の出力表示が、dBmなどのログスケールの場合について記述する。B−1〜B−3の差分は、「電力測定器の1回あたりのビート電力測定速度」と「CW光1とCW光2の偏光状態揺らぎ速度」の関係である。
【0049】
[B−1]c>c
1かつc>c
2の場合
電力測定器56がビート電力を測定している間、CW光1とCW光2の偏光状態は変動していない。従って、電力測定器56が測定するビート電力の測定値p
dBmは、以下の通り「数式4」で与えられる。
【数13】
1回目、2回目、3回目、・・・、のビート電力測定では、CW光1とCW光2の偏光状態S
1とS
2がそれぞれ異なっていくことから、「数式13」で明らかなようにビート電力測定値p
dBmも変化して行く。電力測定器56が複数回測定したビート電力測定値p
dBmの平均値<p
dBm>は、「数式13」を積分∫dΩ
1∫dΩ
2することで得られる。
【数14】
ここで、eは自然対数の底(ネイピア数=2.718・・・)である。「数式14」の導出において、被積分関数は対称性を有することから、S
2=(P
2,0,0,P
2)、∫dΩ
2=1と変形していることに注意されたい。
【0050】
この結果は「数式13」とは異なる。すなわち、B−1の場合では、電力測定器56が測定するビート電力測定値p
dBmは変化することから、この平均値<p
dBm>はp
dBmと一致するとは限らない。
【0051】
また、p
lin//の導出は、<p
dBm>に10log(e)≒4.34dBを加えたて補正した値を、mW表示に変換(すなわち、補正した値を10で割り、この商にて、10を底とするべき乗を計算)することで、可能となる。
【0052】
[B−2]c
1>c>c
2(または、c
2>c>c
1)の場合
ここでは、便宜的に、偏光状態揺らぎ速度の速い方をCW光1、遅い方をCW光2として、計算を進める。光周波数、光電力等、及び他の条件については、CW光1、CW光2のいずれが大きく何れが小さくても、以下の計算には影響しない。
【0053】
電力測定器56がビート電力を測定している間、CW光1の偏光状態が変動する。従って、電力測定器56が測定するビート電力の測定値p
dBmは、以下の通り「数式4」を拡張(∫dΩ
1にて積分)することにより与えられる。
【数15】
1回目、2回目、3回目、・・・、のビート電力測定では、CW光2の偏光状態S
2がそれぞれ異なっていくのであるが、「数式15」で示される通りビート電力の測定値p
dBmはCW光1およびCW光2の偏光状態(S
1、S
2)に依存しないことから、変化しないことに注意されたい。電力測定器56が複数回測定したビート電力p
dBmの平均値<p
dBm>は、「数式15」を積分∫dΩ
2することで得られる。
【数16】
この結果は「数式15」と同じである。すなわち、B−2の場合では、電力測定器56が測定するビート電力測定値p
dBmは(誤差を除き)毎回同じ値となることから、この平均値<p
dBm>はp
dBmと(誤差を除き)一致する。また、p
lin//の導出は、p
dBmあるいは<p
dBm>に10log(2)≒3.01dBを加えたて補正した値を、mW表示に変換(すなわち、補正した値を10で割り、この商にて、10を底とするべき乗を計算)することで、可能となる。
【0054】
[B−3]c
1>cかつc
2>cの場合
電力測定器56がビート電力を測定している間、CW光1およびCW光2の偏光状態が変動する。従って、電力測定器56が測定するビート電力の測定値p
dBmは、以下の通り「数式4」を拡張(∫dΩ
1∫dΩ
2にて積分)することにより与えられる。
【数17】
1回目、2回目、3回目、・・・、のビート電力測定では、「数式17」で示される通りビート電力の測定値p
dBmはCW光1およびCW光2の偏光状態(S
1、S
2)に依存しないことから、変化しないことに注意されたい。このため、明らかに電力測定器56が複数回測定したビート電力p
dBmの平均値<p
dBm>は、「数式17」と等しくなる。
【数18】
この結果は「数式17」と同じである。すなわち、B−3の場合では、電力測定器56が測定するビート電力測定値p
dBmは(誤差を除き)毎回同じ値となることから、この平均値<p
dBm>はp
dBmと(誤差を除き)一致する。また、p
lin//の導出は、p
dBmあるいは<p
dBm>に10log(2)≒3.01dBを加えたて補正した値を、mW表示に変換(すなわち、補正した値を10で割り、この商にて、10を底とするべき乗を計算)することで、可能となる。
【0055】
以上記載したように、p
lin、<p
lin>、p
dBm、あるいは、<p
dBm>からp
lin//を導出する本願発明の方法をまとめると、
図6のようになる。このようにして導出されたp
lin//に加え、既存技術を用いて得られるP
1、P
2、R、および、fを用い「数式2」の計算を行うことより、周波数fにおける受光感度Dを決定することが可能となる。
【0056】
以上記載したように、本願発明の構成では、偏波保持型素子も偏波保持ファイバも用いず、また、PCのフィードバック機構も設けることなく、2つのCW光のビートにより、光電変換素子の受光感度Dの周波数特性を高い精度で測定評価する技術を提供することが可能となっている。
【0057】
〔実施形態1〕
図7は、本実施形態の周波数特性測定システム305を説明する図である。周波数特性測定システム305は、被測定対象の光電変換素子の受光感度の周波数特性を測定する周波数特性測定システムであって、
差周波がfで、光電力がP
1、P
2なる2つの連続光を合波して前記光電変換素子に入力する検査光入力手段と、
前記光電変換素子が前記2つの連続光を光電変換して出力するビートの電力を測定し、ビート電力の測定値p
lin(リニアスケール表記)またはp
dBm(ログスケール表記)を出力する入力インピーダンスRの電力測定手段と、
前記電力測定手段が測定したビート電力の測定値p
linまたはp
dBmを、それぞれ、ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>とし、前記ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>を補正して補正値α<p
lin>または<p
dBm>+βを生成する補正手段と、
前記補正手段が生成した補正値α<p
lin>または補正値<p
dBm>+βをリニアスケール表記した値10^{(<p
dBm>+β)/10}を、前記2つの連続光の偏光状態が平行の場合のリニアスケール表記のビート電力p
e//とし、
前記光電変換素子の、周波数fにおける受光感度Dを
D=√{p
e///(2P
1P
2R)}
で計算する計算手段と、
を備える。
光源(51−1、51−2)及び光合波器52が前記検査光入力手段である。電力測定器56が電力測定手段である。
【0058】
本実施形態は、前述の〔原理説明〕の内、A−2、A−3、B−2、B−3の場合に対応する実施形態で、「c
1>cまたはc
2>c」が前提条件となる。
図5(原理説明)に対する追加構成は、以下の通りである。電力測定器56の測定値出力には補正手段71の入力が接続され、補正手段71の出力には計算手段72の入力が接続されている。
【0059】
電力測定器56は、ビート電力測定値を測定するごとに、リニアスケール(W、mWなど)またはログスケール(dBmなど)の表記で出力する。補正手段71は、電力測定値をその平均値として取り込み、補正し、出力する(前述の通り、A−2、A−3、B−2、B−3の場合には、測定値とその平均値は、誤差を除き一致する)。計算手段72は、補正された電力測定値の平均値を取り込み、光電変換素子の受光感度Dを算出する。また、2つのCW光の偏光状態揺らぎ速度がc
1、c
2として判明しているものとする。以下に、具体的に、各機器の設定/動作を説明する。
【0060】
[1]電力測定器56
・1回あたりの電力測定速度cが設定されている。
[2]補正手段71
・電力測定値の表示がリニアスケールの場合(A−2、A−3のケース)は、入力値を2倍する。
・電力測定値の表示がログスケールで「c
1>cまたはc
2>c」の場合(B−2、B−3のケース)は、入力値に10log(2)≒3.01dBを加える。
[3]計算手段72
・電力測定値の表示がリニアスケールの場合(A−2、A−3のケース)は、入力値をp
lin//として、D=√{p
lin///(2P
1P
2R)}の計算により、周波数fにおける受光感度Dを算出する。
・電力測定値の表示がログスケールの場合(B−2、B−3のケース)は、入力値を10log(p
lin//)として、D=√{p
lin///(2P
1P
2R)}の計算により、周波数fにおける受光感度Dを算出する。
【0061】
なお、上記の電力測定器56、補正手段71、および、計算手段72は、それぞれ個別装置実現した後に接続しても良いし、一部または全部を一体化しても良い。また、2つのCW光の光源(51−1、51−2)は、DFB−LDに限定するものではなく、非特許文献1に記載の光コム装置とAWGを用いても、他の手段を用いても良い。
【0062】
〔実施形態2〕
図8は、本実施形態の周波数特性測定システム306を説明する図である。周波数特性測定システム306は、被測定対象の光電変換素子の受光感度の周波数特性を測定する周波数特性測定システムであって、
差周波がfで、光電力がP
1、P
2なる2つの連続光を合波して前記光電変換素子に入力する検査光入力手段と、
前記光電変換素子が前記2つの連続光を光電変換して出力するビートの電力を測定し、ビート電力の測定値p
lin(リニアスケール表記)またはp
dBm(ログスケール表記)を出力する入力インピーダンスRの電力測定手段と、
前記電力測定手段が測定したビート電力の複数の測定値p
linまたはp
dBmを平均化し、ビート電力の平均値<p
lin>(リニアスケール表記)または<p
dBm>として出力する平均化手段と、
前記平均化手段が出力した前記ビート電力の平均値<p
lin>または<p
dBm>を補正して補正値α<p
lin>または<p
dBm>+βを生成する補正手段と、
前記補正手段が生成した補正値α<p
lin>または補正値<p
dBm>+βをリニアスケール表記した値10^{(<p
dBm>+β)/10}を、前記2つの連続光の偏光状態が平行の場合のリニアスケール表記のビート電力p
e//とし、
前記光電変換素子の、周波数fにおける受光感度Dを
D=√{p
e///(2P
1P
2R)}
で計算する計算手段と、
を備える。
光源(51−1、51−2)及び光合波器52が前記検査光入力手段である。電力測定器56が電力測定手段である。
【0063】
本実施形態は、前述の〔原理説明〕の内、A−1、A−2、A−3、B−1、B−2、B−3の場合に対応する実施形態である。
図5(原理説明)に対する追加構成は、以下の通りである。電力測定器56の測定値出力には平均化手段81の入力が接続され、平均化手段81の出力には補正手段71の入力が接続され、補正手段71の出力には計算手段72の入力が接続されている。
【0064】
電力測定器56は、ビート電力測定値を、測定するごとに、リニアスケール(W、mWなど)またはログスケール(dBmなど)の表記で出力する。平均化手段81は、複数の電力測定値を取り込み、平均化し、出力する。補正手段71は、電力測定値の平均値を取り込み、補正し、出力する。計算手段72は、補正された電力測定値の平均値を取り込み、光電変換素子の受光感度Dを算出する。また、2つのCW光の偏光状態揺らぎ速度がc
1、c
2として判明しているものとする。以下に、具体的に、各機器の設定/動作を説明する。
【0065】
[1]電力測定器56
・1回あたりの電力測定速度cが設定されている。
[2]平均化手段81
・少なくとも、CW光1またはCW光2の偏光状態が、ポアンカレ球上で十分に移動するだけの時間、測定を繰り返し、平均化処理する。
[3]補正手段71
・電力測定値の表示がリニアスケールの場合(A−1、A−2、A−3のケース)は、入力値を2倍する。
・電力測定値の表示がログスケールで「c>c
1かつc>c
2」の場合(B−1のケース)は、入力値に10log(e)≒4.34dBを加える。
・電力測定値の表示がログスケールで「c
1>cまたはc
2>c」の場合(B−2、B−3のケース)は、入力値に10log(2)≒3.01dBを加える。
[4]計算手段72
・電力測定値の表示がリニアスケールの場合(A−1、A−2、A−3のケース)は、入力値をp
lin//として、D=√{p
lin///(2P
1P
2R)}の計算により、周波数fにおける受光感度Dを算出する。
・電力測定値の表示がログスケールの場合(B−1、B−2、B−3のケース)は、入力値を10log(p
lin//)として、D=√{p
lin///(2P
1P
2R)}の計算により、周波数fにおける受光感度Dを算出する。
【0066】
なお、上記の電力測定器56、平均化手段81、補正手段71、および、計算手段72は、それぞれ個別装置実現した後に接続しても良いし、一部または全部を一体化しても良い。また、2つのCW光の光源(51−1、51−2)は、DFB−LDに限定するものではなく、非特許文献1に記載の光コム装置とAWGを用いても、他の手段を用いても良い。
【0067】
〔実施形態3〕
図9は、本実施形態の周波数特性測定システム307を説明する図である。本実施形態は、
図7の周波数特性測定システム305に、偏波スクランブラ91を追加した構成である。なお、偏波スクランブラ91の設置位置は、CW光1光源と光合波器の間、あるいは、CW光2光源と光合波器の間、あるいは、その双方である。また、光コム装置とAWGをCW光源とする場合、AWGにて波長ごとにCW光を分波し、再度合波するが、その間に偏波スクランブラを挿入する。
【0068】
偏波スクランブラがない場合、前述の2つのCW光の偏光状態揺らぎ速度c
1、c
2は、光回路に対する温度変化や機械的圧力に拠ることから、[1/秒]〜[1/時]程度の速度である。この状態で前提条件「c
1>cまたはc
2>c」を満たすためには、電力測定器56の電力測定速度cは[1/秒]〜[1/時間]程度以下に設定しなければならず、測定時間が長時間化(1秒〜1時間程度以上)する。
【0069】
しかるに、偏波スクランブラ91を用いれば、CW光の偏光状態を高速で変動させるので、c
1あるいはc
2を増大(高速化)させ、cを大きく設定可能することができ、この結果、測定時間を短縮化できる。
【0070】
なお、偏波スクランブラ91としては、例えば、非特許文献3に記載のもので500回転ポアンカレ球/秒が可能で、これでCW光1あるいはCW光2の偏光状態を変動させることは、c
1あるいはc
2を500/秒とすることができることに相当する。また、偏波スクランブラ91と電力測定器56の間で、c
1とcの大小関係、あるいは、c
2とcの大小関係を明らかにする必要はあるが、偏波スクランブラ91は入力CW光の偏光状態を内蔵されたアルゴリズム(ランダム、あるいは、周期変化)で変動させればよく、外部からのフィードバックは必要ない。
【0071】
〔実施形態4〕
図10は、本実施形態の周波数特性測定システム308を説明する図である。本実施形態は、
図8の周波数特性測定システム306に、偏波スクランブラ91を追加した構成である。なお、偏波スクランブラ91の設置位置は、CW光1光源と光合波器の間、あるいは、CW光2光源と光合波器の間、あるいは、その双方である。(光コム装置とAWGをCW光の光源とする場合、AWGにて波長ごとにCW光を分波し、再度合波するが、その間に偏波スクランブラ91を挿入する。)
【0072】
偏波スクランブラがない場合、前述の2つのCW光の偏光状態揺らぎ速度c
1、c
2は、光回路に対する温度変化や機械的圧力に拠ることから、[1/秒]〜[1/時間]程度以下の速度である。〔実施形態2〕の構成では、前提条件が「少なくとも、CW光1またはCW光2の偏光状態が、ポアンカレ球上で十分に移動するだけの時間、測定を繰り返し、平均化処理する」必要があることから、平均化処理まで含めた時間は、少なくともmin(1/c
1,1/c
2)の数倍以上の時間(1秒〜1時間程度以上)がかかり、測定時間が長時間化する。
【0073】
しかるに、偏波スクランブラ91を用いれば、CW光の偏光状態を高速で変動させるので、c
1あるいはc
2を増大(高速化)させ、この結果、測定時間を短縮化できる。
【0074】
なお、偏波スクランブラ91としては、例えば、非特許文献3に記載のもので500回転ポアンカレ球/秒が可能で、これでCW光1あるいはCW光2の偏光状態を変動させることは、c
1あるいはc
2を500/秒とすることができることに相当する。また、偏波スクランブラ91と電力測定器56の間で、c
1とcの大小関係、あるいは、c
2とcの大小関係を明らかにする必要はあるが、偏波スクランブラ91は入力CW光の偏光状態を内蔵されたアルゴリズム(ランダム、あるいは、周期変化)で変動させればよく、外部からのフィードバックは必要ない。