特許第5991636号(P5991636)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5991636伝導性構造体およびその製造方法{CONDUCTIVESTRUCTUREBODYANDMETHODFORMANUFACTURINGTHESAME}
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991636
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】伝導性構造体およびその製造方法{CONDUCTIVESTRUCTUREBODYANDMETHODFORMANUFACTURINGTHESAME}
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20160901BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20160901BHJP
   B32B 7/02 20060101ALI20160901BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   G06F3/041 490
   H01B5/14 Z
   H01B5/14 B
   B32B7/02 103
   B32B7/02 104
   G06F3/041 400
   G06F3/044 122
   G06F3/041 495
【請求項の数】35
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-529688(P2015-529688)
(86)(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公表番号】特表2016-500853(P2016-500853A)
(43)【公表日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】KR2013007868
(87)【国際公開番号】WO2014035207
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2015年3月3日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0096525
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リム、ジン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ソン ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、スジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キ−ホワン
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0040680(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0066047(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0089133(KR,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0126528(KR,A)
【文献】 特開2010−287090(JP,A)
【文献】 特開2006−344163(JP,A)
【文献】 特表2013−540331(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
3/041−3/047
B32B 7/02
H01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、
伝導性層、
少なくとも1つの中間層、および
暗色化層を含み、
(i)前記伝導性層は銅を含み、
前記中間層および前記暗色化層は銅の酸化物を含み、
前記中間層の全体組成のうち銅の原子百分率は前記暗色化層の全体組成のうち銅の原子百分率より1.01倍〜1.62倍である、
または、
(ii)前記伝導性層はアルミニウムを含み、
前記中間層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が0%超過20%未満であるアルミニウムの酸窒化物を含み、
前記暗色化層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が20%以上45%以下であるアルミニウムの酸窒化物を含む
伝導性構造体。
【請求項2】
前記伝導性層は前記基材と前記暗色化層との間に備えられ、
前記少なくとも1つの中間層は前記伝導性層と前記暗色化層との間に備えられる請求項1に記載の伝導性構造体。
【請求項3】
前記暗色化層は前記基材と前記伝導性層との間に備えられ、
前記少なくとも1つの中間層は前記伝導性層と前記暗色化層との間に備えられる請求項1に記載の伝導性構造体。
【請求項4】
前記伝導性構造体の全反射率が20%以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項5】
前記伝導性構造体の全反射率が15%以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項6】
前記伝導性構造体の全反射率が10%以下である請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項7】
前記伝導性層、前記中間層または前記暗色化層のシート抵抗は0Ω/□超過10Ω/□以下である請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項8】
前記暗色化層の消滅係数kは0.2以上2.5以下である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項9】
前記中間層および前記暗色化層は各々独立して金属の酸化物、金属の窒化物、金属の酸窒化物および金属の炭化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含み、
前記中間層の全体組成のうち金属の原子百分率は前記暗色化層の全体組成のうち金属の原子百分率より1倍超過2倍以下である請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項10】
前記金属は、Ni、V、W、Ta、Mo、Nb、Ti、Fe、Cr、Co、AlおよびCuからなる群から選択される1つまたは2つ以上である請求項9に記載の伝導性構造体。
【請求項11】
前記中間層または前記暗色化層は、誘電性物質および金属のうち少なくとも1つを含む請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項12】
前記誘電性物質はTiO2−x、SiO2−x、MgF2−xおよびSiN1.3−x(−1≦x≦1)からなる群から選択されるものであり、
前記金属はFe、Co、Ti、V、Al、Mo、Cu、AuおよびAgからなる群から選択される1つまたは2つ以上の合金である請求項11に記載の伝導性構造体。
【請求項13】
前記伝導性層は金属、金属合金、金属酸化物および金属窒化物からなる群から選択される1つ以上の物質を含み、
前記物質は比抵抗が1×10−6Ω・cm〜30×10−6Ω・cmである請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項14】
前記伝導性層は、Cu、Al、Ag、Nd、Mo、Ni、その酸化物およびその窒化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含む請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項15】
前記暗色化層、前記中間層および前記伝導性層は同一の金属を含む請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項16】
前記伝導性層は銅を含み、
前記中間層は銅:酸素の原子百分率(Aomic percent)比が95:5〜97:3である銅の酸化物を含み、
前記暗色化層は銅:酸素の原子百分率比が60:39〜94:6である銅の酸化物を含む請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項17】
前記伝導性層は銅を含み、
前記中間層および前記暗色化層は銅の酸化物を含み、
前記中間層の全体組成のうち銅の原子百分率は厚さ方向に前記暗色化層に隣接するほど小さくなる勾配(gradient)を有し、
前記中間層において銅:酸素の平均原子百分率(Aomic percent)比が95:5〜97:3であり、
前記暗色化層において銅:酸素の原子百分率比が60:39〜94:6である請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項18】
前記中間層の厚さは5nm〜50nmである請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項19】
前記暗色化層の厚さは20nm〜150nmである請求項1から請求項18のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項20】
前記伝導性層の厚さは0.01μm〜10μmである請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項21】
前記暗色化層が前記伝導性層の少なくとも一面に備えられる請求項1から請求項20のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項22】
前記伝導性層、前記中間層または前記暗色化層はパターン化される請求項1から請求項21のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項23】
前記伝導性構造体は、シート抵抗が1Ω/□〜300Ω/□である請求項22に記載の伝導性構造体。
【請求項24】
前記伝導性層、前記中間層および前記暗色化層はパターン化されたものであり、
前記パターン化された伝導性層におけるパターンの線幅は10μm以下である請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項25】
前記伝導性層、前記中間層および前記暗色化層はパターン化されたものであり、
前記パターン化された中間層におけるパターンの線幅および前記パターン化された暗色化層におけるパターンの線幅は、各々、前記パターン化された伝導性層におけるパターンの線幅と同一であるか大きい請求項1から請求項24のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項26】
前記伝導性層、前記中間層および前記暗色化層はパターン化されたものであり、
前記パターン化された中間層および前記パターン化された暗色化層は、各々、前記パターン化された伝導性層が備えられた面積の80%〜120%の面積を有する請求項1から請求項25のいずれか一項に記載の伝導性構造体。
【請求項27】
請求項1から請求項26のいずれか一項に記載の伝導性構造体を含むタッチスクリーンパネル。
【請求項28】
請求項1から請求項26のいずれか一項に記載の伝導性構造体を含むディスプレイ装置。
【請求項29】
請求項1から請求項26のいずれか一項に記載の伝導性構造体を含む太陽電池。
【請求項30】
伝導性層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、
前記中間層上に暗色化層を形成するステップ、および
前記伝導性層または前記暗色化層と基材をラミネーションするステップを含み、
(i)前記伝導性層は銅を含み、
前記中間層および前記暗色化層は銅の酸化物を含み、
前記中間層の全体組成のうち銅の原子百分率は前記暗色化層の全体組成のうち銅の原子百分率より1.01倍〜1.62倍である、
または、
(ii)前記伝導性層はアルミニウムを含み、
前記中間層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が0%超過20%未満であるアルミニウムの酸窒化物を含み、
前記暗色化層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が20%以上45%以下であるアルミニウムの酸窒化物を含む
伝導性構造体の製造方法。
【請求項31】
基材上に伝導性層を形成するステップ、
前記伝導性層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、および
前記中間層上に暗色化層を形成するステップを含み、
(i)前記伝導性層は銅を含み、
前記中間層および前記暗色化層は銅の酸化物を含み、
前記中間層の全体組成のうち銅の原子百分率は前記暗色化層の全体組成のうち銅の原子百分率より1.01倍〜1.62倍である、
または、
(ii)前記伝導性層はアルミニウムを含み、
前記中間層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が0%超過20%未満であるアルミニウムの酸窒化物を含み、
前記暗色化層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が20%以上45%以下であるアルミニウムの酸窒化物を含む
伝導性構造体の製造方法。
【請求項32】
前記伝導性層、前記中間層および前記暗色化層を各々または同時にパターニングするステップをさらに含む請求項30または請求項31に記載の伝導性構造体の製造方法。
【請求項33】
前記中間層または前記暗色化層の形成は、反応性スパッタリング法を利用する請求項30から請求項32のいずれか一項に記載の伝導性構造体の製造方法。
【請求項34】
基材上にパターン化された伝導性層を形成するステップ、
前記パターン化された伝導性層上に少なくとも1つのパターン化された中間層を形成するステップ、および
前記パターン化された中間層上にパターン化された暗色化層を形成するステップを含み、
(i)前記伝導性層は銅を含み、
前記中間層および前記暗色化層は銅の酸化物を含み、
前記中間層の全体組成のうち銅の原子百分率は前記暗色化層の全体組成のうち銅の原子百分率より1.01倍〜1.62倍である、
または、
(ii)前記伝導性層はアルミニウムを含み、
前記中間層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が0%超過20%未満であるアルミニウムの酸窒化物を含み、
前記暗色化層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が20%以上45%以下であるアルミニウムの酸窒化物を含む
伝導性構造体の製造方法。
【請求項35】
前記パターン化された中間層または前記パターン化された暗色化層の形成は、反応性スパッタリング法を利用する請求項34に記載の伝導性構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は伝導性構造体およびその製造方法に関する。本出願は2012年8月31日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2012−0096525号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タッチスクリーンパネルは、信号の検出方式に応じて次のように分類することができる。すなわち、直流電圧を印加した状態で圧力によって押された位置を電流または電圧値の変化を通じて検知する抵抗膜方式(resistive type)と、交流電圧を印加した状態で容量結合(capacitance coupling)を用いる静電容量方式(capacitive type)と、磁界を印加した状態で選択された位置を電圧の変化として検知する電磁誘導方式(electromagnetic type)などがある。
【0003】
最近、大面積のタッチスクリーンパネルに対する必要が増加するに伴い、電極の抵抗を減らし、且つ視認性に優れた大型タッチスクリーンパネルを実現できる技術の開発が必要であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当技術分野においては、前記様々な方式のタッチスクリーンパネルの性能向上のための技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一実現例は、基材、伝導性層、少なくとも1つの中間層、および暗色化層を含む伝導性構造体を提供する。
【0006】
本出願の一実現例は、伝導性層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、前記中間層上に暗色化層を形成するステップ、および前記伝導性層または暗色化層と基材をラミネーションするステップを含む伝導性構造体の製造方法を提供する。
【0007】
本出願の一実現例は、基材上に伝導性層を形成するステップ、前記伝導性層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、および前記中間層上に暗色化層を形成するステップを含む伝導性構造体の製造方法を提供する。
【0008】
本出願の一実現例は、基材上にパターン化された伝導性層を形成するステップ、前記パターン化された伝導性層上に少なくとも1つのパターン化された中間層を形成するステップ、および前記パターン化された中間層上にパターン化された暗色化層を形成するステップを含む伝導性構造体の製造方法を提供する。
【0009】
本出願の一実現例は前記伝導性構造体を含むタッチスクリーンパネルを提供する。
【0010】
本出願の一実現例は前記伝導性構造体を含むディスプレイ装置を提供する。
【0011】
本出願の一実現例は前記伝導性構造体を含む太陽電池を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本出願の一実現例による伝導性構造体は、伝導性層の伝導度に影響を及ぼすことなく伝導性層による反射を防止することができ、吸光度を向上させることによって伝導性層の隠蔽性を向上させることができる。また、本出願の一実現例による伝導性構造体を用いて、視認性が改善されたタッチスクリーンパネルおよびそれを含むディスプレイ装置および太陽電池を開発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本出願の一実現例として中間層と暗色化層を含む伝導性構造体の積層構造を例示した図である。
図2】本出願の一実現例として中間層と暗色化層を含む伝導性構造体の積層構造を例示した図である。
図3】本出願の一実現例として中間層と暗色化層を含む伝導性構造体の積層構造を例示した図である。
図4】実験例1により伝導性層上に備えられた中間層の厚さに応じた可視光線領域波長の反射率を示すものである。
図5】実験例2により伝導性層上に備えられた中間層の厚さに応じた可視光線領域波長の反射率を示すものである。
図6】実施例1〜4の可視光線領域波長の反射率を示すものである。
図7】比較例1と実施例4、5、6の可視光線領域波長の反射率を示すものである。
図8】比較例1〜4の可視光線領域波長の反射率を示すものである。
図9】実施例3と実施例7の可視光線領域波長の反射率を示すものである。
図10】比較例1と比較例5の可視光線領域波長の反射率を示すものである。
図11】実験例3による暗色化層であるCu黒化層、中間層および伝導性層であるCu電極層に応じた原子百分率(Atomic percent)を示すものである。
図12】実施例8〜12の可視光線領域波長の反射率を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本出願をより詳細に説明する。
本明細書において、ディスプレイ装置とはTVやコンピュータ用モニターなどをひっくるめて言う言葉であって、画像を形成するディスプレイ素子およびディスプレイ素子を支持するケースを含む。
【0015】
前記ディスプレイ素子としては、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)、電気泳動ディスプレイ(Electrophoretic display)および陰極線管(Cathode−Ray Tube、CRT)、OLEDディスプレイなどが挙げられる。ディスプレイ素子には、画像実現のためのRGB画素パターンおよび追加の光学フィルタが備えられても良い。
【0016】
一方、ディスプレイ装置と関連し、スマートフォンおよびタブレットPC、IPTVなどの普及が加速化するにつれ、キーボードやリモコンなど別途の入力装置無しで人の手が直接入力装置となるタッチ機能に対する必要性が益々大きくなっている。また、特定ポイントの認識だけでなく、筆記が可能なマルチタッチ(multi−touch)機能も求められている。
【0017】
現在、商用化された大半のタッチスクリーンパネル(TSP、touch screen panel)は透明伝導性ITO薄膜をベースにしているが、大面積のタッチスクリーンパネルの適用時、ITO透明電極自体の比較的に高いシート抵抗(最低150Ω/□、Nitto denko社のELECRYSTA製品)によるRC遅延のためにタッチ認識速度が遅くなり、それを克服するための追加の補償チップ(chip)を導入しなければならないなどの問題点がある。
【0018】
本出願の発明者らは、前記透明ITO薄膜を金属微細パターンに代替するための技術を研究した。そこで、本出願の発明者らは、タッチスクリーンパネルの電極用途として、高い電気伝導度を有する金属薄膜であるAg、Mo/Al/Mo、MoTi/Cuなどを用いる場合は、特定形状の微細電極パターンを実現しようとする時、高い反射率によって視認性の面でパターンが人の目によく認知されるという問題点と共に外部光に対する高い反射率およびヘイズ(Haze)値などによって眩しさなどが生じ得るということを明らかにした。また、製造工程時、高価のターゲット(target)値がかかるか、工程が複雑な場合が多いことを明らかにした。
【0019】
そこで、本出願の一実現例は、従来のITOに基づいた透明伝導性薄膜層を用いたタッチスクリーンパネルと差別化することができ、金属微細パターン電極の隠蔽性および外部光に対する反射および回折特性が改善されたタッチスクリーンパネルに適用できる伝導性構造体を提供しようとする。
【0020】
本出願の一実現例による伝導性構造体は、基材、伝導性層、少なくとも1つの中間層、および暗色化層を含む伝導性構造体を提供する。ここで、前記暗色化層は伝導性層のいずれか1つの面にのみ備えられても良く、伝導性層の両面の全てに備えられても良い。
【0021】
本明細書において、暗色化層はパターン化された暗色化層であっても良く、または暗色化パターン層であっても良い。また、本明細書において、伝導性層はパターン化された伝導性層であっても良く、または伝導性パターン層であっても良い。また、本明細書において、中間層はパターン化された中間層であっても良い。
【0022】
本出願の一実現例による伝導性構造体は、伝導性層と暗色化層との間に少なくとも1つの中間層を含む。前記中間層は1層であっても良く、2層以上であっても良い。前記中間層は、伝導性層の反射率を一次的に低減するようにする役割をする。このため、最終伝導性構造体が全波長領域で均一に20%以下、15%以下、10%以下の優れた反射率を得ることができるようにする効果がある。中間層が含まれていない伝導性構造体は、600nm以上の可視光線波長領域においては20%以上の反射率が測定される。中間層を含むことにより、600nm以上の可視光線波長領域で中間層が含まれていない場合に比べて反射率を70%以上低減できるという効果がある。または中間層を含む伝導性構造体は、500nm以下の可視光線波長領域で伝導性層の反射率を一次的に低減するようにすることもできる。
【0023】
本出願の一実現例において、前記伝導性層は基材と暗色化層との間に備えられ、前記少なくとも1つの中間層は伝導性層と暗色化層との間に備えられたものであっても良い。
【0024】
本出願の一実現例において、前記暗色化層は基材と伝導性層との間に備えられ、前記少なくとも1つの中間層は伝導性層と暗色化層との間に備えられたものであっても良い。
【0025】
本出願の一実現例による伝導性構造体は、基材、前記基材上に備えられる伝導性層、前記伝導性層上に備えられる少なくとも1つの中間層、および前記中間層上に備えられる暗色化層を含むことができる。
【0026】
本出願の一実現例による伝導性構造体は、基材、前記基材上に備えられる暗色化層、前記暗色化層上に備えられる少なくとも1つの中間層、および前記暗色化層上に備えられる伝導性層を含むことができる。
【0027】
本出願の一実現例による伝導性構造体は、基材、前記基材上に備えられる暗色化層、前記暗色化層上に備えられる少なくとも1つの中間層、前記中間層上に備えられる伝導性層、前記伝導層上に備えられる少なくとも1つの中間層、および前記中間層上に備えられる暗色化層を含むことができる。
【0028】
本出願の一実現例において、前記伝導性層、中間層または暗色化層はパターン化されたものであっても良い。前記伝導性層はパターン化された伝導性層であっても良く、前記暗色化層はパターン化された暗色化層であっても良く、前記中間層はパターン化された中間層であっても良い。パターンの形状は後述する。
【0029】
本出願の発明者らは、有効画面部に備えられた伝導性金属微細パターンを含むタッチスクリーンパネルにおいて、前記伝導性金属微細パターンの視認性に前記パターン層による光反射および回折特性が主要な影響を及ぼすという事実を明らかにし、それを改善しようとした。具体的には、既存のITOに基づいたタッチスクリーンパネルでは、ITO自体の高い透過度により、伝導性パターンの反射率による問題がそれほど大きく現れなかったが、有効画面部内に備えられた伝導性金属微細パターンを含むタッチスクリーンパネルでは、前記伝導性金属微細パターンの反射率および暗色化特性が重要であるということを明らかにした。
【0030】
本出願の一実現例によるタッチスクリーンパネルにおいて、伝導性金属微細パターンの反射率を下げ、吸光度特性を改善するために、暗色化層を導入することができる。前記暗色化層はタッチスクリーンパネル内の伝導性層の少なくとも一面に備えられることにより、前記伝導性層の高い反射率による視認性低下の問題を大幅に改善させることができる。
【0031】
具体的には、前記暗色化層は吸光性を有するため、伝導性層自体へ入射する光と伝導性層から反射する光の量を減少させることによって伝導性層による反射率を下げることができる。また、前記暗色化層は伝導性層に比べて低い反射率を有することができる。これにより、使用者が直接伝導性層を見る場合に比べて光の反射率を下げることができるため、伝導性層の視認性を大幅に改善させることができる。
【0032】
本明細書において、前記暗色化層は吸光性を有するために伝導性層自体へ入射する光と伝導性層から反射する光の量を減少できる層を意味するものであり、暗色化層はパターン化された暗色化層であっても良く、暗色化層は吸光性層、黒化層、黒化性層などの用語で表現され、パターン化された暗色化層はパターン化された吸光性層、パターン化された黒化層、パターン化された黒化性層などの用語で表現される。
【0033】
本出願の一実現例において、前記パターン化された伝導性層およびパターン化された暗色化層を含む伝導性構造体はシート抵抗が1Ω/□以上300Ω/□以下であっても良く、具体的には1Ω/□以上100Ω/□以下であっても良く、より具体的には1Ω/□以上50Ω/□以下であっても良く、さらに具体的には1Ω/□以上20Ω/□以下であっても良い。
【0034】
伝導性構造体のシート抵抗が1Ω/□以上300Ω/□以下であれば、従来のITO透明電極を代替できるという効果がある。伝導性構造体のシート抵抗が1Ω/□以上100Ω/□以下である場合、または1Ω/□以上50Ω/□以下である場合、特に1Ω/□以上20Ω/□以下である場合は、従来のITO透明電極の使用時よりシート抵抗が相当に低いため、信号印加時にRC遅延が短くなってタッチ認識速度を顕著に改善することができ、これに基づいて10インチ以上の大面積のタッチスクリーンの適用が容易であるという長所がある。
【0035】
前記伝導性構造体において、パターン化する前の伝導性層または暗色化層のシート抵抗は0Ω/□超過10Ω/□以下、0Ω/□超過2Ω/□以下、具体的には0Ω/□超過0.7Ω/□以下であっても良い。前記シート抵抗が2Ω/□以下であれば、特に0.7Ω/□以下であれば、パターニング前の伝導性層または暗色化層のシート抵抗が低いほど、微細パターニングの設計および製造工程が容易に行われ、パターニング後の伝導性構造体のシート抵抗が下がって電極の反応速度を迅速にする効果がある。前記シート抵抗は、伝導性層または暗色化層の厚さに応じて調節されることができる。
【0036】
前記伝導性構造体において、パターン化する前の中間層の表面で測定したシート抵抗は0Ω/□超過10Ω/□以下、具体的には0Ω/□超過5Ω/□以下、より具体的には0Ω/□超過1Ω/□以下であっても良い。すなわち、伝導性層の一面に中間層が備えられてもシート抵抗の変化がない。下記の実験例1での表1より、伝導性層のシート抵抗と伝導性層の上部に中間層が備えられた時のシート抵抗の変化がほぼなく、伝導性層である電極のシート抵抗の損失がないことを確認することができる。
【0037】
本出願の一実現例による伝導性構造体は、暗色化層の消滅係数(Extinction coefficient)kが0.2以上2.5以下、具体的には0.2以上1.2以下、より具体的には0.4以上1以下であっても良い。
【0038】
前記消滅係数kが0.2以上であれば、暗色化を可能にする効果がある。前記消滅係数kは吸収係数(Absorption Coefficient)ともいい、特定波長において伝導性構造体が光をどれほど強く吸収するかを定義できる尺度であり、伝導性構造体の透過度を決定する要素である。例えば、透明な誘電体(dielectric)物質の場合、k<0.2としてk値が非常に小さい。しかし、物質内部に金属成分が増加するほどk値が増加する。仮に金属成分がより多くなれば、透過がほほ起こらず、大部分が表面反射だけ起こる金属となり、消滅係数kは2.5超過となって暗色化層の形成には好ましくない。
【0039】
前記消滅係数が0.4以上1以下である場合は、反射率がより減少して、暗色化層の暗色化度がより増加するという効果がある。この場合、伝導性層の隠蔽性がより向上し、タッチスクリーンパネルに適用時に視認性がより改善される。
【0040】
本出願の一実現例において、前記伝導性構造体は屈折率nが0超過3以下であっても良い。
【0041】
下記反射率に関する説明において、暗色化層はパターン化された暗色化層であっても良く、伝導性層はパターン化された伝導性層であっても良く、中間層はパターン化された中間層であっても良い。
【0042】
本出願の一実現例による伝導性構造体は全反射率が20%以下であっても良く、具体的には15%以下であっても良く、より具体的には10%以下であっても良く、さらに具体的には7%以下であっても良く、3%以下であっても良い。前記反射率は小さいほど効果がさらに良い。
【0043】
本出願の一実現例において、前記全反射率は測定しようとする面の反対面を黒い層(perfect black)で処理した後、測定しようとする面に90°で入射した波長300〜800nm、具体的には380〜780nmの光に対する反射率を意味することができる。
【0044】
本出願の一実現例による伝導性構造体において、中間層が含まれていない場合、600nm以下の可視光線領域での全反射率は20%以下であるが、600nm以上の可視光線領域での全反射率を測定すれば20%以上である。しかし、中間層を含む伝導性構造体は300〜800nmの可視光線の全領域での全反射率が20%以下であっても良く、具体的には15%以下であっても良く、より具体的には10%以下であっても良く、さらに具体的には7%以下であっても良く、3%以下であっても良い。
【0045】
前記反射率は、前記伝導性層が基材と暗色化層との間に備えられ、中間層が伝導性層と暗色化層との間に備えられた時、前記暗色化層が前記中間層と接する面の反対面方向から測定したものであっても良い。具体的には、前記暗色化層は前記中間層と接する第1面および前記第1面に対向する第2面を含む時、2面の方向から測定したものであっても良い。この方向から測定した時、全反射率は20%以下であっても良く、具体的には15%以下であっても良く、より具体的には10%以下であっても良く、さらに具体的には7%以下であっても良く、3%以下であっても良い。前記全反射率は小さいほど効果がさらに良い。
【0046】
また、前記反射率は、前記暗色化層が前記伝導性層と基材との間に備えられ、前記中間層が伝導性層と暗色化層との間に備えられた時、基材側から測定したものであっても良い。前記基材側から全反射率を測定した時、全反射率は20%以下であっても良く、具体的には15%以下であっても良く、より具体的には10%以下であっても良く、さらに具体的には7%以下であっても良く、3%以下であっても良い。前記全反射率は小さいほど効果がさらに良い。
【0047】
本明細書において、全反射率は、入射光を100%とした時、光が入射した対象パターン層または伝導性構造体によって反射された反射光中300〜800nm、具体的には380〜780nmの波長値を基準に測定した値であっても良い。
【0048】
本出願の一実現例による伝導性構造体において、前記暗色化層は、前記伝導性層と接する第1面および前記第1面に対向する第2面を含むことができる。この時、前記暗色化層の第2面側から前記伝導性構造体の全反射率を測定した時、前記伝導性構造体の全反射率(Rt)は下記数学式1で計算されることができる。
【0049】
[数学式1]
全反射率(Rt)=基材の反射率+閉鎖率×暗色化層の反射率
【0050】
また、前記伝導性構造体の構成が伝導性構造体の2種がラミネーションされた場合は、伝導性構造体の全反射率(Rt)は下記数学式2で計算されることができる。
【0051】
[数学式2]
全反射率(Rt)=基材の反射率+閉鎖率×暗色化層の反射率×2
【0052】
前記数学式1および2において、基材の全反射率はタッチ強化ガラスの反射率であっても良く、表面がフィルムである場合はフィルムの反射率であっても良い。
【0053】
また、前記閉鎖率は、伝導性構造体の平面を基準に伝導性パターンによって覆われる領域が占める面積比率、すなわち(1−開口率)で表すことができる。
【0054】
したがって、パターン化された暗色化層がある場合とない場合との差は、パターン化された暗色化層の反射率によって依存する。このような観点から、本出願の一実現例による伝導性構造体の全反射率(Rt)は、前記パターン化された暗色化層がないことを除いては同一の構成を有する伝導性構造体の全反射率(R)に比べて10〜20%減少したものであっても良く、20〜30%減少したものであっても良く、30〜40%減少したものであっても良く、40〜50%減少したものであっても良く、50〜70%減少したものであっても良い。すなわち、前記数学式1および2において、閉鎖率の範囲を1〜10%の範囲に変化させながら全反射率の範囲を1〜30%まで変化させる場合、最大70%の反射率の減少効果を示すことができ、最小10%の全反射率の減少効果を示すことができる。
【0055】
本出願の一実現例による伝導性構造体において、前記パターン化された暗色化層は前記伝導性パターンと接する第1面および前記第1面に対向する第2面を含み、前記暗色化パターンの第2面側から前記伝導性構造体の全反射率を測定した時、前記伝導性構造体の全反射率(Rt)は前記基材の反射率(R)との差が40%以下であっても良く、30%以下であっても良く、20%以下であっても良く、10%以下であっても良い。
【0056】
本出願の一実現例において、前記伝導性構造体は、CIE(国際照明委員会:Commission Internationale de l'Eclairage)L*a*b*色座標を基準に明度値(L*)が50以下であっても良く、より具体的には40以下であっても良い。明度値が低いほど反射率が低くなって有利な効果がある。
【0057】
本出願の一実現例において、前記伝導性構造体内にはピンホールがほぼなく、前記ピンホールが存在するとしてもその直径が3μm以下であり、より具体的には1μm以下である。前記伝導性構造体内でピンホールの直径が3μm以下である場合は断線の発生を防止することができる。また、前記伝導性構造体内でピンホールがほぼなくて個数が非常に少ない場合は断線の発生を防止することができる。
【0058】
本出願の一実現例において、前記暗色化層は前記伝導性層の少なくともいずれか1つの面に備えられることができる。具体的には、前記伝導性層のいずれか1つの面にのみ備えられても良く、両面の全てに備えられても良い。この時、伝導性層と暗色化層との間には少なくとも1つの中間層が備えられることができる。
【0059】
本出願の一実現例において、前記中間層または暗色化層は、前記伝導性層と同時にまたは別途にパターン化されることができる。
【0060】
本出願の一実現例において、前記パターン化された中間層、パターン化された暗色化層と前記パターン化された伝導性層は同時にまたは別途のパターニング工程によって積層構造を形成することができる。このようなことから、吸光物質の少なくとも一部が伝導性パターン内に陥没または分散している構造や単一層の伝導性パターンが追加表面処理によって表面側の一部が物理的または化学的な変形がなされた構造とは差別される。
【0061】
また、本出願の一実現例による伝導性構造体において、前記暗色化層は、接着層または粘着層を介在せず、直接前記基材上にまたは中間層を間に置いて直接伝導性層上に備えられることができる。前記接着層または粘着層は耐久性や光学物性に影響を及ぼし得る。また、本出願の一実現例による伝導性構造体は、接着層または粘着層を用いる場合と比較する時に製造方法が全く異なる。さらに、接着層や粘着層を用いる場合に比べ、本出願の一実現例においては基材または伝導性層と暗色化層の界面特性に優れる。
【0062】
本出願の一実現例において、前記暗色化層は単一層からなっても良く、2層以上の複数層からなっても良い。
【0063】
本出願の一実現例において、前記暗色化層は無彩色系の色を帯びることが好ましい。この時、無彩色系の色とは、物体の表面に入射する光が選択吸収されず、各成分の波長に対して均一に反射吸収される時に現れる色を意味する。
【0064】
本出願の一実現例において、前記暗色化層の材料は特に制限されることなく用いられることができる。例えば、カラーフィルタでのブラックマトリクス材料として用いられるものなどを用いることができる。また、反射防止機能が与えられた材料を用いることもできる。
【0065】
例えば、前記暗色化層は、金属の酸化物、金属の窒化物、金属の酸窒化物および金属の炭化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含んで用いることができる。前記金属の酸化物、窒化物、酸窒化物または炭化物は、当業者が設定した蒸着条件などによって形成することができる。前記金属は、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)からなる群から選択される1つまたは2つ以上であっても良い。具体的には、前記暗色化層は、銅の酸化物、銅の窒化物、銅の酸窒化物、アルミニウムの酸化物、アルミニウムの窒化物またはアルミニウムの酸窒化物を含むことができる。
【0066】
本出願の一実現例において、前記中間層は、金属の酸化物、金属の窒化物、金属の酸窒化物および金属の炭化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含んで用いることができる。前記金属の酸化物、窒化物、酸窒化物または炭化物は、当業者が設定した蒸着条件などによって形成することができる。前記金属は、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)からなる群から選択される1つまたは2つ以上であっても良い。具体的には、前記暗色化層は、銅の酸化物、銅の窒化物、銅の酸窒化物、アルミニウムの酸化物、アルミニウムの窒化物またはアルミニウムの酸窒化物を含むことができる。
【0067】
本出願の一実現例において、前記中間層または暗色化層は、誘電性物質および金属のうち少なくとも1つを含むことができる。前記金属は金属または金属の合金であっても良い。前記誘電性物質としてはTiO2−x、SiO2−x、MgF2−xおよびSiN1.3−x(−1≦x≦1)などが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。前記金属としては鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)および銀(Ag)のうちから選択される金属を含むことができ、鉄(Fe)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、金(Au)および銀(Ag)のうちから選択される2以上の金属の合金であっても良いが、これらのみに限定されるものではない。
【0068】
本出願の一実現例によれば、前記中間層または暗色化層は金属の酸化物、金属の窒化物、金属の酸窒化物および金属の炭化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含み、前記誘電性物質および金属のうち少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0069】
本出願の一実現例において、前記誘電性物質は外部光が入射する方向から遠くなるほど次第に減少するように分布しており、前記金属および合金成分はその逆に分布していることが好ましい。この時、前記誘電性物質の含量は20〜50重量%、前記金属の含量は50〜80重量%であっても良い。前記暗色化層が合金をさらに含む場合、前記暗色化層は、誘電性物質10〜30重量%、金属50〜80重量%および合金5〜40重量%を含むことができる。
【0070】
また1つの具体的な例として、前記中間層または暗色化層は、ニッケルとバナジウムの合金、ニッケルとバナジウムの酸化物、窒化物または酸窒化物のうちいずれか1つ以上を含むことができる。この時、バナジウムは26〜52原子%で含まれることが好ましく、ニッケルに対するバナジウムの原子比は26/74〜52/48であることが好ましい。
【0071】
また1つの具体的な例として、前記中間層または暗色化層は2以上の元素を有し、1つの元素組成比率が外光が入射する方向に応じて100オングストローム当たりに最大約20%ずつ増加する遷移層を含むことができる。この時、1つの元素はニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、または銅(Cu)のような金属元素であっても良く、金属元素以外の元素は酸素、窒素または炭素であっても良い。
【0072】
また1つの具体的な例として、前記中間層または暗色化層は第1酸化クロム層、金属層、第2酸化クロム層およびクロムミラーを含むことができ、この時クロムの代わりに、ニッケル(Ni)、バナジウム(V)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)および銅(Cu)のうちから選択された金属を含むことができる。前記金属層は10〜30nmの厚さ、前記第1酸化クロム層は35〜41nmの厚さ、前記第2酸化クロム層は37〜42nmの厚さを有することが好ましい。
【0073】
また1つの具体的な例として、前記中間層または暗色化層は、アルミナ(Al)層、クロム酸化物(Cr)層およびクロム(Cr)層の積層構造を用いることができる。ここで、前記アルミナ層は反射特性の改善および光拡散の防止特性を有し、前記クロム酸化物層は鏡面反射率を減少させてコントラスト特性を向上させることができる。
【0074】
本出願の一実現例において、前記中間層の全体組成のうち金属の原子百分率が暗色化層の全体組成のうち金属の原子百分率より多い時、具体的には1倍超過2倍以下である時に伝導性層に対する1次反射率の低減効果が最も優れており、特に600nm以上の可視光線波長領域での1次反射率の低減効果が優れる。このため、伝導性層、中間層および暗色化層を含む伝導性構造体の反射率を300〜800nm可視光線の全体波長領域で均一に20%以下に下げるようにする効果がある。
【0075】
本出願の一実現例において、前記伝導性層の材料は比抵抗1×10−6Ω・cm〜30×10−6Ω・cmの物質が好適であり、好ましくは1×10−6Ω・cm〜7×10−6Ω・cmであっても良い。
【0076】
本出願の一実現例による伝導性構造体において、前記伝導性層の材料は、金属、金属合金、金属酸化物および金属窒化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含むことが好ましい。前記伝導性層の材料は、電気伝導度に優れ、エッチング(etching)が容易な金属材料であるほど好ましい。但し、一般的に電気伝導度に優れた材料は反射率が高いという短所がある。しかし、本出願においては、前記暗色化層を用いることにより、反射率の高い材料を用いて伝導性層を形成することができる。本出願においては、反射率70〜80%以上の材料を用いる場合にも、前記暗色化層を追加することによって反射率を下げ、伝導性層の隠蔽性を向上させることができ、コントラスト特性を維持または向上させることができる。
【0077】
本出願の一実現例において、前記伝導性層の材料の具体的な例としては、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、ネオジム(Nd)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、その酸化物およびその窒化物からなる群から選択される1つまたは2つ以上を含むことができる。例えば、前記金属のうちから選択される2つ以上の合金であっても良い。より具体的には、モリブデン、アルミニウムまたは銅を含むことができる。前記伝導性層は単一膜または多層膜であっても良い。
【0078】
本出願の一実現例において、前記伝導性層、中間層および暗色化層は同一の金属を含むことができる。同一の金属を含む場合、同一のエッチャントを用いて工程作業が可能であるので工程上の利点があり、生産速度面にも有利であるので製造過程で有利な効果がある。
【0079】
本出願の一実現例において、中間層が2層以上である場合、基材、伝導性層、第1中間層、第2中間層および暗色化層の順、または伝導性層、第1中間層、第2中間層、暗色化層および基材の順に備えられることができる。この時、伝導性層に隣接した第1中間層における金属の比率が暗色化層に隣接した第2中間層における金属の比率より大きくても良い。
【0080】
本出願の一実現例において、前記中間層は、金属の比率が厚さ方向に勾配を有して含まれることができる。この時、勾配は、暗色化層に隣接するほど金属の比率が大きくなり、伝導性層に隣接するほど金属の比率が小さくなるように形成されることができる。または、その逆に伝導性層に隣接するほど金属の比率が大きくなり、暗色化層に隣接するほど金属の比率が小さくなることができる。
【0081】
また、中間層が2層以上である場合にも金属の比率が厚さ方向に勾配を有して含まれることができる。この時、伝導性層に隣接した第1中間層における金属の比率は伝導性層に隣接するほど金属の比率が大きくなり、暗色化層に隣接するほど金属の比率が小さくなる勾配を形成することができ、暗色化層に隣接した第2中間層における金属の比率も伝導性層に隣接するほど金属の比率が大きくなり、暗色化層に隣接するほど金属の比率が小さくなる勾配を形成することができる。また、伝導性層に隣接した第1中間層における金属の比率が暗色化層に隣接した第2中間層における金属の比率より大きくても良い。
【0082】
本出願の一実現例において、前記伝導性層は銅を含み、前記中間層および暗色化層は銅の酸化物、銅の窒化物または銅の酸窒化物を含むことができる。
【0083】
本出願の一実現例による伝導性構造体において、伝導性層は銅を含み、中間層および暗色化層は銅の酸化物を含み、前記中間層の全体組成のうち銅の原子百分率は暗色化層の全体組成のうち銅の原子百分率より1.01倍〜1.62倍であっても良い。
【0084】
より具体的には、前記伝導性層は銅を含み、前記中間層は銅:酸素の原子百分率(Aomic percent)の比が95:5〜97:3である銅の酸化物を含み、前記暗色化層は銅:酸素の原子百分率比が60:39〜94:6である銅の酸化物を含むことができる。中間層と暗色化層がいずれも銅酸化物である場合、前記範囲の原子百分率比を有すれば、伝導性層に対する1次反射率の低減効果が最も優れ、特に600nm以上の可視光線波長領域での1次反射率の低減効果が優れる。このため、伝導性層、中間層および暗色化層を含む伝導性構造体の反射率を300〜800nm可視光線の全体波長領域で均一に20%以下に下げるようにする効果がある。
【0085】
本出願の一実現例による伝導性構造体において、伝導性層は銅を含み、中間層および暗色化層は銅の酸化物を含む時、前記中間層は厚さ方向に暗色化層に隣接するほど銅の原子百分率の比率が小さくなる勾配(gradient)を有し、前記中間層において銅:酸素の平均原子百分率(Aomic percent)比が95:5〜97:3であっても良い。この時、勾配の範囲は伝導性層の銅比率〜暗色化層の銅比率の範囲で存在することができる。
【0086】
本出願の一実現例において、前記伝導性層はアルミニウムを含み、前記中間層および暗色化層はアルミニウムの酸化物、アルミニウムの窒化物またはアルミニウムの酸窒化物を含むことができる。具体的には、前記伝導性層はアルミニウムを含み、前記中間層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が0%超過20%未満であるアルミニウムの酸窒化物を含み、前記暗色化層は全体組成のうち窒素の原子百分率(Aomic percent)が20%以上45%以下であるアルミニウムの酸窒化物を含むことができる。
【0087】
例えば、伝導性層が銅を含む場合、中間層と暗色化層がCuOx(xはCu1原子に対するOの原子数の比、0<x)を含めば、一括エッチングが可能となり、生産工程において、効率が高く、費用が節減され、経済的な長所がある。また、銅は比抵抗値が1.7×10−6Ω・cmであるため、比抵抗値が2.8×10−6Ω・cmであるAlより有利である。したがって、0Ω/□超過2Ω/□以下、好ましくは0Ω/□超過0.7Ω/□以下のシート抵抗値を満たすために伝導性層の厚さをAlよりも薄く形成できるという長所がある。前記シート抵抗は伝導性層の厚さに応じて調節されることができる。例えば、シート抵抗が0.6〜0.7Ω/□を満たすために、Alの場合は80〜90nmを形成しなければならないが、Cuの場合は55〜65nmを形成しなければならないため、層の厚さをさらに薄く形成できるので経済的である。また、CuがAlよりスパッタリング工程で2.5倍程度の優れた収率を有するため、理論的に4〜5倍の蒸着速度の向上が期待できる。したがって、Cuを含む伝導性層は、生産工程において、効率が高く、経済的であるために優れた長所がある。
【0088】
本出願の一実現例において、前記中間層の厚さは5nm〜50nmであっても良い。前記中間層は、エッチング(etching)特性を考慮すれば、厚さが5nm以上であれば、工程調節が比較的に容易であり、50nm以下であれば、生産速度の面で比較的に有利である。
【0089】
中間層が銅の酸化物を含む場合、前記中間層の厚さは具体的には8nm〜30nmであっても良く、より具体的には15nm〜25nmであっても良い。8nm〜30nm範囲の厚さである時、600nm以上の可視光線波長領域で伝導性層の反射率において20%〜60%の1次反射率の低減効果があるため、伝導性層、中間層および暗色化層を含む伝導性構造体の反射率を300〜800nm可視光線の全体波長領域で均一に20%以下に下げるようにする効果がある。また、15nm〜25nm範囲の厚さである時、600nm以上の可視光線波長領域で伝導性層の反射率において50〜60%の1次反射率の低減効果があってより優れた効果があるため、伝導性層、中間層および暗色化層を含む伝導性構造体の反射率を300〜800nm可視光線の全体波長領域で均一に15%以下に下げるようにする効果がある。
【0090】
中間層がアルミニウムの酸窒化物を含む場合、前記中間層の厚さは具体的には10nm〜40nmであっても良く、より具体的には20nm〜30nmであっても良い。10nm〜40nmの厚さである時、500nm以下の可視光線波長領域で伝導性層の反射率において10%〜40%の1次反射率の低減効果があるため、伝導性層、中間層および暗色化層を含む伝導性構造体の反射率を300〜800nm可視光線の全体波長領域で均一に20%以下に下げるようにする効果がある。また、20nm〜30nm範囲の厚さである時、500nm以下の可視光線波長領域で伝導性層の反射率において30〜40%の1次反射率の低減効果があってより優れた効果があるため、伝導性層、中間層および暗色化層を含む伝導性構造体の反射率を300〜800nm可視光線の全体波長領域でより反射率を下げるようにする効果がある。
【0091】
本出願の一実現例において、前記暗色化層の厚さは20nm〜150nmであっても良い。具体的には20nm〜100nm、より具体的には40nm〜80nmまたは40nm〜60nmであっても良い。前記暗色化層は用いる材料の屈折率および製造工程に応じて好ましい厚さが異なるが、エッチング(etching)特性を考慮すれば、厚さが20nm以上であれば工程調節が比較的に容易であり、150nm以下であれば生産速度の面で比較的に有利である。前記厚さ範囲で、工程の調節が容易であり、生産速度が改善されるため、製造工程でより有利である。20nm〜100nm範囲においては、300〜800nmの全体可視光線波長領域内で平均反射率が15%〜20%以下であっても良い。40nm〜80nmまたは40nm〜60nm範囲においては、300〜800nmの全体可視光線波長領域内で平均反射率が10〜15%以下であることができるため、暗色化層の形成により有利である。
【0092】
本出願の一実現例において、前記伝導性層の厚さは特に限定されないが、0.01μm〜10μmであることが伝導性層の伝導度およびパターン形成工程の経済性の面により優れた効果を示すことができる。
【0093】
本出願の一実現例において、前記暗色化層は中間層を間に置いて前記伝導性層のいずれか1つの面にのみ備えられても良く、両面の全てに備えられても良い。ここで、前記暗色化層は前記伝導性層と同一形状のパターンを有することができる。但し、前記パターン化された暗色化層のパターン規模が前記パターン化された伝導性層と完全に同一である必要はなく、パターン化された暗色化層の線幅がパターン化された伝導性層の線幅に比べて狭いか広い場合も本出願の範囲に含まれる。具体的には、前記パターン化された暗色化層におけるパターンの線幅は、前記パターン化された伝導性層におけるパターンの線幅の80%〜120%であっても良い。
【0094】
本出願の一実現例において、前記パターン化された暗色化層は、前記パターン化された伝導性層の線幅に比べて小さいか大きい線幅を有するパターン形状を有することができる。例えば、前記パターン化された暗色化層は、前記パターン化された伝導性層が備えられた面積の80%〜120%の面積を有することができる。
【0095】
本出願の一実現例において、前記暗色化層のパターンは、伝導性層のパターンの線幅と同一であるか大きい線幅を有するパターン形状であることが好ましい。
【0096】
前記パターン化された暗色化層が前記パターン化された伝導性層の線幅より大きい線幅を有するパターン形状を有する場合、使用者が見る時、パターン化された暗色化層がパターン化された伝導性層を遮る効果をより大きく付与することができるため、パターン化された伝導性層自体の光沢や反射による効果を効率的に遮断できるという長所がある。しかし、前記パターン化された暗色化層の線幅が前記パターン化された伝導性層の線幅と同一であっても本出願が目的とする効果を達成することができる。
【0097】
前記中間層も前記伝導性層と同一形状のパターンを有することができる。但し、前記パターン化された中間層のパターン規模が前記パターン化された伝導性層と完全に同一である必要はなく、パターン化された中間層の線幅がパターン化された伝導性層の線幅に比べて狭いか広い場合も本出願の範囲に含まれる。具体的には、前記パターン化された暗色化層におけるパターンの線幅は、前記パターン化された伝導性層におけるパターンの線幅の80%〜120%であっても良い。
【0098】
本出願の一実現例において、前記パターン化された中間層は、前記パターン化された伝導性層の線幅に比べて小さいか大きい線幅を有するパターン形状を有することができる。例えば、前記パターン化された中間層は、前記パターン化された伝導性層が備えられた面積の80%〜120%の面積を有することができる。
【0099】
本出願の一実現例において、前記中間層のパターンは、伝導性層のパターンの線幅と同一であるか大きい線幅を有するパターン形状であることが好ましい。
【0100】
前記パターン化された中間層が前記パターン化された伝導性層の線幅より大きい線幅を有するパターン形状を有する場合、使用者が見る時、パターン化された中間層がパターン化された伝導性層を遮る効果をより大きく付与することができるため、パターン化された伝導性層自体の光沢や反射による効果を効率的に遮断できるという長所がある。しかし、前記パターン化された中間層の線幅が前記パターン化された伝導性層の線幅と同一であっても本出願が目的とする効果を達成することができる。
【0101】
本出願の一実現例による伝導性構造体において、前記基材としては透明基板を用いることができるが、特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック基板、プラスチックフィルムなどを用いることができる。
【0102】
本出願の一実現例において、前記パターン化された伝導性層におけるパターンの線幅は0μm超過10μm以下であっても良く、具体的には0.1μm以上10μm以下であっても良く、より具体的には0.2μm以上8μm以下であっても良く、さらに具体的には0.5μm以上5μm以下であっても良い。
【0103】
本出願の一実現例において、前記パターン化された伝導性層の開口率、すなわちパターンによって覆われない面積比率は70%以上であっても良く、85%以上であっても良く、95%以上であっても良い。また、前記パターン化された伝導性層の開口率は90〜99.9%であっても良いが、これのみに限定されるものではない。
【0104】
本出願の一実現例において、前記パターン化された伝導性層のパターンは規則的なパターンであっても良く、不規則的なパターンであっても良い。
【0105】
前記規則的なパターンとしてはメッシュパターンなど当技術分野のパターン形状が用いられることができる。前記不規則的なパターンとしては特に限定されないが、ボロノイ図をなす図形の境界線の形態であっても良い。本出願において、不規則的なパターンとパターン化された暗色化層を共に用いる場合、不規則的なパターンによって指向性のある照明による反射光の回折パターンを除去することもでき、パターン化された暗色化層によって光の散乱による影響を最小化することができるため、視認性における問題点を最小化することができる。
【0106】
本出願の一実現例による伝導性構造体の例を図1図3に例示する。図1図3は基材、伝導性層および暗色化層の積層順を例示するためのものであり、前記伝導性層および前記暗色化層は実際にタッチスクリーンパネルなどの微細透明電極の用途として適用する時、全面層ではなくパターン形状であっても良い。
【0107】
図1によれば、基材100、暗色化層200、中間層400、伝導性層300の順に配置された場合を例示したものである。これは、使用者が基材側からタッチスクリーンパネルを見る場合に伝導性層による反射率を大幅に減少させることができる。
【0108】
図2によれば、基材100、伝導性層300、中間層400、暗色化層200の順に配置された場合を例示したものである。これは、使用者が基材側の反対面からタッチスクリーンパネルを見る場合に伝導性層による反射率を大幅に減少させることができる。
【0109】
図3によれば、前記暗色化層200,220が前記基材100と前記伝導性層300との間と、前記伝導性層300上にいずれも配置された場合であり、中間層400,420が暗色化層と伝導性層との間に配置された場合を例示したものである。これは、使用者がタッチスクリーンパネルを基材側から見る場合とその反対側から見る場合にいずれも伝導性層による反射率を大幅に減少させることができる。
【0110】
図1図3の説明において、伝導性層はパターン化された伝導性層であっても良く、暗色化層はパターン化された暗色化層であっても良く、中間層はパターン化された中間層であっても良い。
【0111】
本出願の一実現例による伝導性構造体の構造は、暗色化層が伝導性層の少なくとも一面に備えられたものであっても良い。
【0112】
本出願の一実現例による伝導性構造体の構造は、基材、暗色化層、伝導性層および暗色化層が順次積層された構造であっても良い。また、前記伝導性構造体は、最外郭の暗色化層上に追加の伝導性層および暗色化層を含むことができる。この構成に少なくとも1つの中間層がさらに含まれることができる。下記構造の例示中に中間層は1層であっても良く、2層以上であっても良い。
【0113】
すなわち、本出願の一実現例による伝導性構造体の構造は、基材/暗色化層/中間層/伝導性層の構造、基材/伝導性層/中間層/暗色化層の構造、基材/暗色化層/中間層/伝導性層/中間層/暗色化層の構造、基材/伝導性層/中間層/暗色化層/中間層/伝導性層の構造、基材/暗色化層/中間層/伝導性層/中間層/暗色化層/中間層/伝導性層/中間層/暗色化層の構造、基材/暗色化層/中間層/伝導性層/中間層/暗色化層/中間層/伝導性層/中間層/暗色化層/中間層/伝導性層/中間層/暗色化層の構造などであっても良い。前記構造において、中間層は1層の場合だけでなく2層以上の場合を含むことができる。例えば、基材/暗色化層/中間層/伝導性層の構造の場合、基材/暗色化層/第1中間層/第2中間層/伝導性層の構造、基材/暗色化層/第1中間層/第2中間層/第3中間層/伝導性層の構造なども含むことができる。
【0114】
前記説明において、伝導性層はパターン化された伝導性層であっても良く、暗色化層はパターン化された暗色化層であっても良く、中間層はパターン化された中間層であっても良い。
【0115】
本出願の一実現例による伝導性構造体の製造方法は、伝導性層上に中間層を形成するステップ、前記中間層上に暗色化層を形成するステップ、および前記伝導性層または暗色化層と基材をラミネーションするステップを含むことができる。前記製造方法は、伝導性層および暗色化層を各々または同時にパターニングするステップをさらに含むことができる。
【0116】
本出願の一実現例による伝導性構造体の製造方法は、基材上に伝導性層を形成するステップ、前記伝導性層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、および前記中間層上に暗色化層を形成するステップを含むことができる。前記製造方法は、伝導性層、中間層および暗色化層を各々または同時にパターニングするステップをさらに含むことができる。具体的には、伝導性層を形成した後に伝導性層をパターニングし、中間層を形成した後に中間層をパターニングし、暗色化層を形成した後に暗色化層をパターニングすることができる。また、具体的には、暗色化層を形成するステップ後に伝導性層、中間層および暗色化層を同時にパターニングすることもできる。
【0117】
本出願の一実現例による伝導性構造体の製造方法は、基材上に暗色化層を形成するステップ、前記暗色化層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、および前記中間層上に伝導性層を形成するステップを含むことができる。前記製造方法は、暗色化層、中間層および伝導性層を各々または同時にパターニングするステップをさらに含むことができる。具体的には、暗色化層を形成した後に暗色化層をパターニングし、中間層を形成した後に中間層をパターニングし、伝導性層を形成した後に伝導性層をパターニングすることができる。また、具体的には、伝導性層を形成するステップ後に伝導性層、中間層および暗色化層を同時にパターニングすることもできる。
【0118】
本出願の一実現例において、前記伝導性構造体の製造方法は、基材上に暗色化層を形成するステップ、前記暗色化層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、前記中間層上に伝導性層を形成するステップ、前記伝導性層上に少なくとも1つの中間層を形成するステップ、および前記中間層上に暗色化層を形成するステップを含むことができる。前記製造方法は、暗色化層、中間層および伝導性層を各々または同時にパターニングすることを含むことができる。
【0119】
前記伝導性構造体の製造方法において、中間層、パターン化する前の伝導性層または暗色化層のシート抵抗は0Ω/□超過2Ω/□以下、好ましくは0Ω/□超過0.7Ω/□以下であっても良い。前記シート抵抗が2Ω/□以下であれば、特に0.7Ω/□以下であれば、パターニング前の伝導性層または暗色化層のシート抵抗が低いほど、微細パターニングの設計および製造工程が容易に行われ、パターニング後の伝導性構造体のシート抵抗が下がって電極の反応速度を迅速にする効果がある。
【0120】
本出願の一実現例による伝導性構造体の製造方法は、基材上にパターン化された伝導性層を形成するステップ、前記パターン化された伝導性層上に少なくとも1つのパターン化された中間層を形成するステップ、および前記パターン化された中間層上にパターン化された暗色化層を形成するステップを含むことができる。
【0121】
本出願の一実現例による伝導性構造体の製造方法は、基材上にパターン化された暗色化層を形成するステップ、前記パターン化された暗色化層上に少なくとも1つのパターン化された中間層を形成するステップ、および前記パターン化された中間層上にパターン化された伝導性層を形成するステップを含むことができる。
【0122】
本出願の一実現例において、前記伝導性構造体の製造方法は、基材上にパターン化された暗色化層を形成するステップ、前記パターン化された暗色化層上に少なくとも1つのパターン化された中間層を形成するステップ、前記パターン化された中間層上にパターン化された伝導性層を形成するステップ、前記パターン化された伝導性層上に少なくとも1つのパターン化された中間層を形成するステップ、および前記パターン化された中間層上にパターン化された暗色化層を形成するステップを含むことができる。
【0123】
前記伝導性構造体の製造方法において、伝導性構造体、伝導性層、中間層、暗色化層に関する説明は上述した通りである。
【0124】
本出願の一実現例において、前記パターン化された中間層を形成するステップ、中間層を形成するステップ、パターン化された暗色化層を形成するステップ、または暗色化層を形成するステップにおいて、パターン化された中間層、中間層、パターン化された暗色化層または暗色化層の形成は当技術分野で周知の方法を利用することができる。例えば、蒸着(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、湿式コーティング、蒸発、電解メッキまたは無電解メッキ、金属箔のラミネーションなどの方法によって形成することができ、具体的にはスパッタリング法によって形成することができる。
【0125】
例えば、中間層と暗色化層の形成時にAlOxNy(xおよびyはAl1原子に対する各々のOおよびNの原子数の比)のようにAl金属ターゲットを用いて反応性スパッタリング(reactive sputtering)方法を利用すれば、Oおよび/またはNのような反応性ガスの分圧調節で工程を行うことができる。
【0126】
例えば、Cuを含む伝導性層と銅の酸化物であるCuOx(xはCu1原子に対するOの原子数の比)を含む中間層と暗色化層を形成する場合、スパッタリングガス(sputtering gas)として不活性気体、例えば、Arのような気体を用いる場合、銅の酸化物単一物質スパッタリングターゲット(sputtering target)を用いることによって得るという長所がある。そこで、銅の酸化物単一物質ターゲットを用いるため、反応性ガスの分圧調節が必要ないので工程調節が比較的に容易であり、最終伝導性構造体の形成においてもCuエッチャントを用いて一括エッチングが可能であるという長所を有する。または、Cuを含む伝導性層と銅の酸化物を含む中間層と暗色化層を形成する場合にも、Cu金属ターゲットを用いて反応性スパッタリング(reactive sputtering)方法を利用すれば、Oのような反応性ガスの分圧調節で工程を行うこともできる。
【0127】
本出願の一実現例において、前記パターン化された伝導性層の形成方法は特に限定されず、パターン化された伝導性層を直接印刷方法によって形成することもでき、伝導性層を形成した後にこれをパターン化する方法を利用することができる。
【0128】
本出願の一実現例において、前記パターン化された伝導性層を印刷方法によって形成する場合、伝導性材料のインクまたはペーストを用いることができ、前記ペーストは伝導性材料以外にバインダー樹脂、溶媒、ガラスフリットなどをさらに含むこともできる。
【0129】
伝導性層を形成した後にこれをパターン化する場合、エッチングレジスト(Etching resist)特性を有する材料を用いることができる。
【0130】
本出願の一実現例において、前記伝導性層は、蒸着(evaporation)、スパッタリング(sputtering)、湿式コーティング、蒸発、電解メッキまたは無電解メッキ、金属箔のラミネーションなどの方法によって形成することができる。前記伝導性層の形成方法として、有機金属、ナノ金属またはこれらの複合体溶液を基板上にコーティングした後、焼成および/または乾燥によって伝導度を与える方法を利用することもできる。前記有機金属としては有機銀を用いることができ、前記ナノ金属としてはナノ銀粒子などを用いることができる。
【0131】
本出願の一実現例において、前記伝導性層のパターン化は、エッチングレジストパターンを用いた方法を利用することができる。エッチングレジストパターンは、印刷法、フォトリソグラフィ法、フォトグラフィ法、マスクを用いた方法またはレーザー転写、例えば、熱転写イメージング(thermal transfer imaging)などを用いて形成することができ、印刷法またはフォトリソグラフィ法がより好ましいが、これらのみに限定されるものではない。前記エッチングレジストパターンを用いて前記伝導性薄膜層をエッチングしてパターニングし、前記エッチングレジストパターンはストリップ(strip)工程によって容易に除去することができる。
【0132】
本出願の一実現例は前記伝導性構造体を含むタッチスクリーンパネルを提供する。例えば、静電容量式タッチスクリーンパネルにおいて、前記本出願の一実現例による伝導性構造体はタッチセンサー式の電極基板として用いられることができる。
【0133】
本出願の一実現例は前記タッチスクリーンパネルを含むディスプレイ装置を提供する。
【0134】
本出願の一実現例によるタッチスクリーンパネルは、前述した基材、パターン化された伝導性層およびパターン化された暗色化層を含む伝導性構造体以外に追加の構造体をさらに含むことができる。この場合、2個の構造体が互いに同じ方向に配置されても良く、2個の構造体が互いに反対方向に配置されても良い。本出願のタッチスクリーンパネルに含まれる2個以上の構造体は同一の構造である必要はなく、いずれか1つ、好ましくは使用者に最も近い側の構造体だけが前述した基材、パターン化された伝導性層およびパターン化された暗色化層を含むものであっても良く、追加で含まれる構造体はパターン化された暗色化層を含まなくても良い。また、2個以上の構造体内の層積層構造が互いに異なっても良い。2個以上の構造体が含まれる場合、これらの間には絶縁層が備えられることができる。この時、絶縁層は粘着層の機能がさらに付与されることもできる。
【0135】
本出願の一実現例によるタッチスクリーンパネルは、下部基材;上部基材;および前記下部基材の上部基材に接する面および前記上部基材の下部基材に接する面のうちいずれか1つの面または両面に備えられた電極層を含むことができる。前記電極層は、各々、X軸位置検出およびY軸位置検出機能を行うことができる。
【0136】
この時、前記下部基材および前記下部基材の上部基材に接する面に備えられた電極層;および前記上部基材および前記上部基材の下部基材に接する面に備えられた電極層のうちの1つまたは2つの全てが前述した本出願の一実現例による伝導性構造体であっても良い。前記電極層のうちいずれか1つだけが本出願による伝導性構造体である場合、残りの他の1つは当技術分野で周知の伝導性パターンを有しても良い。
【0137】
前記上部基材と前記下部基材の全ての一面に電極層が備えられて2層の電極層が形成される場合、前記電極層の間隔を一定に維持し、接続が生じないように前記下部基材と上部基材との間に絶縁層またはスペーサが備えられることができる。前記絶縁層は、粘着剤またはUVあるいは熱硬化性樹脂を含むことができる。前記タッチスクリーンパネルは、前述した伝導性構造体中の伝導性層のパターンと連結された接地部をさらに含むことができる。例えば、前記接地部は、前記基材の伝導性層のパターンが形成された面の縁部に形成されることができる。また、前記伝導性構造体を含む積層材の少なくとも一面には、反射防止フィルム、偏光フィルムおよび耐指紋フィルムのうち少なくとも1つが備えられることができる。設計仕様に応じ、前述した機能性フィルム以外に他種類の機能性フィルムをさらに含むこともできる。前記のようなタッチスクリーンパネルは、OLEDディスプレイパネル(OLED Display Panel)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)および陰極線管(Cathode−Ray Tube、CRT)、PDPのようなディスプレイ装置に適用されることができる。
【0138】
本出願の一実現例によるタッチスクリーンパネルにおいて、前記基材の両面に各々パターン化された伝導性層およびパターン化された暗色化層が備えられることができる。
【0139】
本出願の一実現例によるタッチスクリーンパネルは前記伝導性構造体上に電極部またはパッド部をさらに含むことができ、この時、有効画面部と電極部およびパッド部は同一の伝導体で構成されることができる。
【0140】
本出願の一実現例によるタッチスクリーンパネルにおいて、前記パターン化された暗色化層は使用者が見る側に備えられることができる。
【0141】
本出願の一実現例は前記伝導性構造体を含むディスプレイ装置を提供する。前記ディスプレイ装置において、カラーフィルタ基板または薄膜トランジスタ基板などに本出願の一実現例による伝導性構造体が用いられることができる。
【0142】
本出願の一実現例は前記伝導性構造体を含む太陽電池を提供する。例えば、太陽電池はアノード電極、カソード電極、光活性層、正孔輸送層および/または電子輸送層を含むことができ、本出願の一実現例による伝導性構造体は前記アノード電極および/またはカソード電極として用いられることができる。
【0143】
前記伝導性構造体はディスプレイ装置または太陽電池において従来のITOを代替することができ、フレキシブル(flexible)可能な用途として活用することができる。また、CNT、伝導性高分子、グラフェン(Graphene)などと共に次世代透明電極として活用することができる。
【0144】
以下、実施例、比較例および実験例を通じて本出願をより詳細に説明する。但し、以下の実施例は本出願を例示するためのものであって、これらによって本出願の範囲が限定されるものではない。
【0145】
<実験例1>
伝導性層である厚さ100nmのCu電極上に反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によってCuOx(0<x、CuとOの原子百分率比は95:5)の厚さを異ならせて中間層を蒸着した後、中間層表面でのシート抵抗を測定した。この時、シート抵抗値は下記表1に示す。
【0146】
【表1】
前記表1から、伝導性層である銅電極のシート抵抗値と中間層を蒸着した後の中間層表面のシート抵抗値の差がなく、中間層が下部電極のシート抵抗値を損失させないことを確認することができた。
【0147】
また、中間層の厚さに応じた可視光線領域波長の反射率を図4に示す。
【0148】
<実験例2>
伝導性層である厚さ80nmのAl電極上に反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によってAlOxNy(0<x、0<y<0.3)の厚さを異ならせて中間層を蒸着した。この中間層の厚さに応じた300nm〜800nm可視光線領域波長の反射率を図5に示す。中間層を含むことで500nm以下の短波長領域での波長において反射率が減少したことを確認することができた。
【0149】
<実施例1〜4>
伝導性層である厚さ100nmのCu電極上に反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によってCuOx(0<x、CuとOの原子百分率比は95:5)を15nm厚さで中間層を蒸着した後、中間層上にCuOx(0<x、CuとOの原子百分率比は60:40)を厚さ43nm(実施例1)、54nm(実施例2)、54nm(実施例3)、75nm(実施例4)で暗色化層を蒸着して伝導性構造体を製造した。実施例1〜4の可視光線領域波長の反射率を測定して図6に示す。図6から、実施例1〜4は300〜800nm可視光線の全体波長領域で平均反射率が20%以下であることを確認することができる。
【0150】
<実施例5〜6>
伝導性層である厚さ100nmのCu電極上に反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によってCuOx(0<x、CuとOの原子百分率比は95:5)を厚さ8nm(実施例5)、25nm(実施例6)で中間層を蒸着した後、中間層上にCuOx(0<x、CuとOの原子百分率比は60:40)を65nm厚さで暗色化層を蒸着して伝導性構造体を製造した。実施例5、6の可視光線領域波長の反射率を測定し、実施例4、比較例1と共に図7に示す。図7から、実施例5〜6は300〜800nm可視光線の全体波長領域で平均反射率が20%以下であることを確認することができる。比較例1と実施例4〜6を比較してみれば、中間層を含む伝導性構造体は600nm以上の長波長領域での反射率が顕著に減少したことを確認することができる。
【0151】
<比較例1〜4>
伝導性層である厚さ100nmのCu電極上に反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によって伝導性層上にCuOx(0<x、CuとOの原子百分率比は60:40)を厚さ65nm(比較例1)、43nm(比較例2)、54nm(比較例3)、75nm(比較例4)で暗色化層を蒸着して伝導性構造体を製造した。比較例1〜4の可視光線領域波長の反射率を測定して図8に示す。
【0152】
<実施例7>
実施例3の伝導性構造体をガラス基材と光学透明接着剤(Optical clear adhesive:OCA)でラミネーションして実施例7の伝導性構造体を製造した。実施例3と実施例7の可視光線領域波長の反射率を図9に示す。
【0153】
図9から、基材をラミネーションした後、長波長である赤色領域の反射率が多少上昇したが、600nm以下の波長領域では反射率が多少減少して平均10%程度の反射率が確認された。したがって、この伝導性構造体をタッチスクリーンパネル、ディスプレイ装置または太陽電池などに適用した時に優れた視認性を有することができる。
【0154】
<比較例5>
比較例1の伝導性構造体をガラス基材と光学透明接着剤(Optical clear adhesive:OCA)でラミネーションして比較例5の伝導性構造体を製造した。比較例1と比較例5の可視光線領域波長の反射率を図10に示す。
【0155】
図10から、基材をラミネーションした後、スペクトルが短波長である青色領域の強度が減少し、長波長である赤色領域の強度が増加し、その結果、赤色を帯びたサンプルが観察された。
【0156】
<実験例3>エッチング時間に応じた元素成分比の分析
下記表2は、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)によって測定した暗色化層、中間層および伝導性層であるCu電極層の組成比率プロファイル(depth profile)として、エッチング時間に応じた各層の原子百分率(Atomic percent)成分比を示すものである。下記表2から、暗色化層は銅:酸素の原子百分率比が60:39〜94:6であり、中間層は銅:酸素の原子百分率(Aomic percent)比が95:5〜97:3であることを確認することができる。また、暗色化層、中間層および伝導性層に応じた原子百分率(Atomic percent)を図11に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
<実施例8〜12>
伝導性層である厚さ80nmのAl電極上に反応性スパッタリング法(reactive sputtering)によってAlOxNy(0<x、0<y<0.3)を30nm厚さで中間層を蒸着した後、中間層上にAlOxNy(0<x、0.3≦y<1)を厚さ40nm(実施例8)、50nm(実施例9)、60nm(実施例10)、70nm(実施例11)、80nm(実施例12)で暗色化層を蒸着して伝導性構造体を製造した。
【0159】
実施例8〜12の可視光線領域波長の反射率を測定して図12に示す。図12から、実施例8〜12は300〜800nm可視光線の全体波長領域で平均反射率が20%以下であることを確認することができ、実施例8〜10は300〜800nm可視光線の全体波長領域で平均反射率10%以下であることを確認することができる。
【0160】
本出願が属した分野で通常の知識を有した者であれば、上記内容に基づいて本出願の範疇内で様々な応用および変形を行うことができるであろう。
【0161】
以上、本出願の特定部分を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好ましい実現例に過ぎず、それに本出願の範囲が制限されないことは明らかである。したがって、本出願の実質的な範囲は添付された請求項とその等価物によって定義されるといえる。
【符号の説明】
【0162】
100 ・・・基材
200、220 ・・・暗色化層
300 ・・・伝導性層
400、420 ・・・中間層
図1
図2
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図5
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図11
図12