(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5991792
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】自動車用バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュール集合体用の内部ケース
(51)【国際特許分類】
H01M 2/02 20060101AFI20160901BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20160901BHJP
H01M 2/30 20060101ALI20160901BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20160901BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20160901BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20160901BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20160901BHJP
【FI】
H01M2/02 C
H01M2/10 M
H01M2/10 F
H01M2/30 C
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/6556
H01M10/6561
H01M2/02 L
【請求項の数】10
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-555939(P2015-555939)
(86)(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公表番号】特表2016-509744(P2016-509744A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】KR2014003567
(87)【国際公開番号】WO2014178568
(87)【国際公開日】20141106
【審査請求日】2015年7月31日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0047475
(32)【優先日】2013年4月29日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0063091
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン−ジョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】チェ−ヤン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】スン−ホ・アン
【審査官】
渡部 朋也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−130260(JP,A)
【文献】
特開2008−097942(JP,A)
【文献】
特開2007−280679(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0301747(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/10
H01M 2/30
H01M 10/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックに含まれる複数の円筒型二次電池セル(以下、「セル」とする)を有する4つのバッテリーモジュールが電気的に直列接続されたバッテリーモジュール集合体用の内部ケースであって、
前記バッテリーモジュール集合体の側面のうち、対向する両側面に接する側面フレームと、
前記バッテリーモジュール集合体の上部面に接する上部フレームと、
前記バッテリーモジュール集合体の電極に電気的に接続され、前記上部フレームの上端に位置した電極ポストと、を含むことを特徴とするバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項2】
前記内部ケースには、前記バッテリーモジュール集合体に含まれたバッテリーモジュールに形成された螺線に、前記側面フレームに形成された穴及びねじを用いて結合されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項3】
前記側面フレームには、前記セルの放熱のための穴が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項4】
前記電極ポストには、前記バッテリーモジュール集合体の上端に連結されたバスバーによって電気的に接続されることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項5】
前記上部フレームは、取っ手が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項6】
前記上部フレームは、バッテリー管理装置が装着される空間が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項7】
前記上部フレーム及び前記側面フレームは、高分子物質からなることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項8】
前記高分子物質は、ポリカーボネートであることを特徴とする請求項7に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項9】
前記高分子物質は、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂であることを特徴とする請求項7に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【請求項10】
前記高分子物質は、ハロゲン族元素が含まれていないポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂との混合物であることを特徴とする請求項7に記載のバッテリーモジュール集合体用の内部ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーモジュールに関し、より詳しくは、自動車用バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュール集合体用の内部ケースに関する。
【0002】
本出願は、2013年4月29日出願の韓国特許出願第10−2013−0047475号及び2013年5月31日出願の韓国特許出願第10−2013−0063091号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に援用される。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、製品群に応じた適用性が高く、且つ、高いエネルギー密度などの電気的特性を有するため、携帯用機器だけでなく、電気的駆動源によって駆動する電気自動車(EV、Electric Vehicle)またはハイブリッド自動車(HEV、Hybrid Electric Vehicle)などに適用されつつある。このような二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減少できるという一次的な長所だけでなく、エネルギー使用に伴う副産物が全く生じないという点で、環境にやさしく、エネルギー効率を向上できるため、新しいエネルギー源として注目を集めている。
【0004】
現在、広く使用される二次電池の種類としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。このような単位二次電池セルの作動電圧は約2.5V〜4.2Vである。したがって、これよりさらに高い出力電圧が要求される場合、複数の二次電池セルを直列接続してバッテリーパックを構成する。また、バッテリーパックに要求される充放電容量によって複数の二次電池セルを並列接続してバッテリーパックを構成し得る。したがって、前記バッテリーパックに含まれる二次電池セルの数は、要求される出力電圧または充放電容量によって多様に設定し得る。
【0005】
なお、複数の二次電池セルを直列・並列接続してバッテリーパックを構成する場合、バッテリーパックに含まれた二次電池セルは、電気的かつ機械的に堅固に接続する必要がある。したがって、このように二次電池セルの接続が堅固になされるようにする安定的かつ経済的なバッテリーモジュール集合体用の内部ケース及びバッテリーパックのデザインが要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーモジュール集合体用の内部ケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するため、本発明によるバッテリーモジュール集合体用の内部ケースは、バッテリーパックに含まれる複数の円筒型二次電池セル(以下、「セル」とする)を有する4つのバッテリーモジュールが電気的に直列接続されたバッテリーモジュール集合体用の内部ケースであって、前記バッテリーモジュール集合体の側面のうち、対向する両側面に接する側面フレームと、前記バッテリーモジュール集合体の上部面に接する上部フレームと、前記バッテリーモジュール集合体の電極に電気的に接続され、前記上部フレームの上端に位置した電極ポストと、を含む。
【0008】
本発明の一実施例によれば、前記内部ケースは、前記バッテリーモジュール集合体に含まれたバッテリーモジュールに形成された螺線に、前記側面フレームに形成された穴及びねじを用いて結合されることができる。
【0009】
本発明の一実施例によれば、前記側面フレームには、前記セルの放熱のための穴が形成されることができる。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記電極ポストは、前記バッテリーモジュール集合体の上端に連結されたバスバーによって電気的に接続されることができる。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記上部フレームには、取っ手が形成されることができる。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記上部フレームには、バッテリー管理装置が装着される空間が形成されることができる。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記上部フレーム及び前記側面フレームは、高分子物質からなることができる。この際、前記高分子物質は、ポリカーボネート(PolyCarbonate)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(Acrylonitrile−Butadiene−Styrene resin)またはハロゲン族元素が含まれていないポリカーボネート(PC)とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)との混合物であり得る。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面によれば、複数の二次電池セルを収容する安定的かつ経済的なバッテリーモジュール集合体用の内部ケースを提供することができる。
【0015】
本発明の他の側面によれば、内部ケースは前記バッテリーモジュール集合体の横方向及び縦方向の振動を防止することができる。
【0016】
本発明のさらに他の側面によれば、前記バッテリーモジュール集合体で発生した熱が、内部ケースの上部フレーム上に装着されたバッテリー管理装置に伝達されることを遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【0018】
【
図1】本発明の一実施例によるバッテリーモジュール集合体用の内部ケースを含むバッテリーパックを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施例による内部ケースを含むバッテリーパックの分解斜視図である。
【
図3】本発明の一実施例による内部ケースがバッテリーモジュール集合体に結合された様子を示した斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例による内部ケースがバッテリーモジュール集合体に結合された状態を示した透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0020】
図1は、本発明の一実施例によるバッテリーモジュール集合体用の内部ケース30(以下、「内部ケース」とする)を含むバッテリーパック1を示す斜視図である。
【0021】
図1に示したバッテリーパック1は、自動車、ハイブリッド自動車、電気自動車などに設けられ得る自動車用バッテリーパックである。
【0022】
望ましくは、前記バッテリーパック1の大きさは、自動車用標準バッテリーの規格に準ずる。したがって、前記バッテリーパック1は、全体的に六面体の形状を有し得る。
【0023】
さらに、望ましくは、前記内部ケース30も、自動車用標準バッテリーの規格に準ずる大きさを有し得る。しかし、前記バッテリーパック1及び内部ケース30の大きさは、前記例に制限されず、実施例によって、横、縦、高さの長さは多様に変更し得る。
【0024】
図2は、本発明の一実施例による内部ケース30を含むバッテリーパック1の分解斜視図である。
【0025】
本発明の一実施例によるバッテリーパック1は、自動車用であって12Vの作動電圧を有し得る。そして、本発明の一実施例による二次電池セル62は、3Vの作動電圧を有し得る。したがって、4つのバッテリーモジュール60は、直列接続されてバッテリーモジュール集合体50を構成し得る。
【0026】
そして、前記バッテリーモジュール集合体50及び内部ケース30が、上部パックケース10と下部パックケース70との間に介され、バッテリーパック1を構成する。
【0027】
以下、前記バッテリーモジュール集合体50を囲み、前記バッテリーパック1に含まれる内部ケース30について説明する。
【0028】
図2を参照すれば、本発明による内部ケース30は、側面フレーム31、上部フレーム32及び電極ポスト33を含む。
【0029】
前記側面フレーム31は、前記バッテリーモジュール集合体50の側面のうち、対向する両側面に接する。そして、前記上部フレーム32は、前記バッテリーモジュール集合体50の上部面に接する。したがって、前記内部ケース30は、前記バッテリーモジュール集合体50を囲む形状を有している。
【0030】
図3は、本発明の一実施例による内部ケース30がバッテリーモジュール集合体50に結合された様子を示した斜視図である。
【0031】
図3を参照すれば、前記内部ケース30と前記バッテリーモジュール集合体50とが結合された様子を確認することができる。
【0032】
本発明の一実施例によれば、前記内部ケース30と前記バッテリーモジュール集合体50とは、ねじによって結合される。前記バッテリーモジュール集合体50に含まれたバッテリーモジュール60には、螺線68が形成されている。そして、前記側面フレーム31には、ねじが通過可能な穴が形成されている。したがって、前記螺線68と穴に、ねじを用いて前記内部ケース30と前記バッテリーモジュール集合体50とが結合できる。
【0033】
本発明の一実施例によれば、前記側面フレーム31には、前記バッテリーモジュール60に含まれた二次電池セルの放熱のための穴が形成されている。
【0034】
本発明の一実施例による内部ケース30は、前記バッテリーモジュール集合体50の電極に電気的に接続され得る。また、前記内部ケース30は、電極ポスト33を含み、このような電極ポスト33は、前記上部フレーム32の上端に位置する。
【0035】
前記電極ポスト33は、バッテリーモジュール集合体50の高電位端子及び低電位端子にそれぞれ連結され、前記バッテリーモジュール集合体50が外部と電気的に接続されるようにする端子の役割をする。
【0036】
図4は、本発明の一実施例による内部ケース30がバッテリーモジュール集合体50に結合された状態を示した透視図である。
【0037】
図4を参照すれば、前記バッテリーモジュール集合体50の上端にバスバー34が連結されたことを確認することができる。前記バスバー34は、前記電極ポスト33と電気的に接続できる。
【0038】
そして、前記電極ポスト33は前記バスバー34に接続されるために、予め設定された金属板を含み得る。前記金属板と前記バスバー34とは、ねじによって結合できる。
【0039】
図3を再度参照すれば、本発明の一実施例によれば、前記上部フレーム32には取っ手35が形成される。
【0040】
前記取っ手35は、
図2に示した前記下部パックケース70に対する前記バッテリーモジュール集合体50の収納及び取出し作業を容易にする。
【0041】
本発明の一実施例によれば、前記上部フレーム32には、バッテリー管理装置(Battery Management Unit、以下、「BMU」とする)が設けられる空間36が形成されている。前記BMUは、充放電電流、各二次電池セル62の電圧または電流を含む電気的特性値の測定、充放電制御、電圧の平滑化(equalization)制御、SOC(State Of Charge)の推定などを含み、当業者の水準で適用可能な多様な制御機能を行うことができる。
【0042】
前記上部フレーム32及び前記側面フレーム31は、高分子物質からなり得る。
【0043】
本発明の一実施例によれば、前記高分子物質は、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、またはハロゲン族元素が含まれていないポリカーボネートとアクリロニトリル−ブタジエン−スタイレン樹脂との混合物である。
【0044】
本発明によれば、複数の二次電池セルを収容する安定的かつ経済的なバッテリーモジュール集合体用の内部ケースを提供することができる。そして、このような内部ケースは、前記バッテリーモジュール集合体の横方向及び縦方向の振動を防止可能であり、さらに、前記バッテリーモジュール集合体で発生した熱が、内部ケースの上部フレーム上に設けられたバッテリー管理装置に伝達されることを遮断することができる。
【0045】
以上のように、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 バッテリーパック
10 上部パックケース
30 内部ケース
31 側面フレーム
32 上部フレーム
33 電極ポスト
34 バスバー
35 手
36 空間
50 バッテリーモジュール集合体
60 バッテリーモジュール
62 二次電池セル
68 螺線
70 下部パックケース