(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カプセル化殺有害生物剤がピラクロストロビンであり、且つ付加的なカプセル化されていない殺有害生物剤が、ビキサフェン、フルキサピロキサド、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、トリシクラゾール、イソプロチオラン、カルプロパミド、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、プロピコナゾール、イソチアニル、カスガマイシン、カルプロパミド、プロベナゾールおよびジクロシメットから選択される、請求項9に定義される製剤。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
水稲殺有害生物処理の1つの主な目的は、施用される製剤の殺有害生物剤の標的化放出を、各植物への迅速な付着と併せて達成し、環境中への殺有害生物剤の望ましくない放出を回避することである。後者は、一方では環境安全性のため非常に大きな問題となる可能性があり、他方では土壌菌および昆虫に対する上記の殺有害生物剤による保護の喪失は、当技術分野において、これらの目的を満たすテーラーメイド製剤を提供する強いニーズを生じさせる。
【0003】
従って、本発明の目的は、保護対象の植物に殺有害生物剤の迅速な活性を与え、これにより環境(水または土壌)への著しい放出を防ぐ、水田処理用の製剤を提供することである。
【0004】
このことは、水中の特定の物質濃度が超過している場合、多くの殺有害生物剤が水生生物に対して望ましくない副作用を有し得るという事実を考慮すると特に重要である。従って、植物および各有害生物(例えば有害菌類、有害昆虫)に接触する殺有害生物剤は、効果的に有害生物を防除し得る十分な濃度で確立されていることが必要とされるが、他方、同時に水中への殺有害生物剤の随伴放出を低下させることは、大きな環境的利益となるだろう。
【0005】
本発明の根底にある別の目的は、植物(特にイネ)、一般的にまた本明細書中以下「植物の健康」と呼ばれる方法を改良する製剤に対する要請である。
【0006】
用語「植物の健康」は、有害生物の防除とは関係のない植物の様々な種類の改良を含む。例えば、言及し得る有利な特性は、以下を含む改良された作物特性である:出芽、作物収穫量、タンパク質含量、油含量、デンプン含量、より発達した根系(改良された根成長)、改良されたストレス耐性(例えば、乾燥、熱、塩、UV、水、寒冷に対する耐性)、エチレン低下(生産低下および/または受容の阻害)、分げつの増加、植物丈の増大、葉身の増大、枯れた根出葉の減少、分げつ枝の強化、葉色の緑化、色素含量、光合成活性、必要な投入物(例えば肥料または水)の量の減少、必要な種子量の減少、有効分げつの増大、開花の早期化、穀粒成熟の早期化、植物挫折(倒伏)の減少、苗条の成長の増加、植物活力の増強、立っている植物の増加および早期の良好な発芽。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、マイクロカプセルであって、
(i) カプセルが、コアシェル構造を有し;且つ
(ii) 25℃において、殺有害生物剤の少なくとも80%が上記のコア中で有機溶媒に溶解しており;且つ
(iii) カプセルシェルが、多官能性イソシアネートとポリアミンとを重合形態で含むポリウレタンに基づき;且つ
(iv) カプセル重量に対するカプセルシェルの重量比が1〜20重量%である、
上記マイクロカプセルの提供によって解決された。
【0008】
好ましくは、カプセルの全重量に対する殺有害生物剤の重量比は、5〜50重量%、好ましくは8〜45重量%、より好ましくは25〜35重量%である。
【0009】
上記のとおり、25℃において、コア中で殺有害生物剤の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%が有機溶媒に溶解している。
【0010】
用語「殺有害生物剤」は、殺菌剤および殺虫剤の群から選択される少なくとも1種の殺有害生物剤を指す。上記のクラスの2つ以上から選択される殺有害生物剤の混合物も使用することができる。専門家はこのような殺有害生物剤について熟知しており、他の刊行物の中でも、Pesticide Manual, 第14版(2006), The British Crop Protection Council, Londonまたはe-Pesticide Manual V5.1, ISBN 978 1 901396 84 3に見出すことができるだろう。
【0011】
好適な殺菌剤は、
A) 呼吸阻害剤
- Qo部位の複合体III阻害剤:(ストロビルリン系)アゾキシストロビン、クメトキシストロビン、クモキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フェナミンストロビン、フェノキシストロビン/フルフェノキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、トリフロキシストロビン、2-[2-(2,5-ジメチル-フェノキシメチル)-フェニル]-3-メトキシ-アクリル酸メチルエステルおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミド;およびピリベンカルブ、トリクロピリカルブ/クロロジンカルブ、ファモキサドン、フェナミドン;
- Qi部位の複合体III阻害剤:シアゾファミド、アミスルブロム、[(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-[(3-アセトキシ-4-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)アミノ]-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イル]2-メチルプロパノエート、[(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-[[3-(アセトキシメトキシ)-4-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル]アミノ]-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イル]2-メチルプロパノエート、[(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-[(3-イソブトキシカルボニルオキシ-4-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル)アミノ]-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イル]2-メチルプロパノエート、[(3S,6S,7R,8R)-8-ベンジル-3-[[3-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イルメトキシ)-4-メトキシ-ピリジン-2-カルボニル]アミノ]-6-メチル-4,9-ジオキソ-1,5-ジオキソナン-7-イル]2-メチルプロパノエート、
- 複合体II阻害剤(例えばカルボキサミド系):ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルオピラム、フルトラニル、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、テクロフタラム、チフルザミド、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3,3-トリメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-[9-(ジクロロメチレン)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド;
- 他の呼吸阻害剤(例えば複合体I、脱共役剤):ジフルメトリム、(5,8-ジフルオロキナゾリン-4-イル)-{2-[2-フルオロ-4-(4-トリフルオロメチルピリジン-2-イルオキシ)-フェニル]-エチル}-アミン;ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジノブトン、ジノキャップ、フルアジナム;フェリムゾン;有機金属化合物:アメトクラジン;およびシルチオファム;
B) ステロール生合成阻害剤(SBI殺菌剤)
- C14デメチラーゼ阻害剤(DMI殺菌剤):トリアゾール系:アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール;イミダゾール系:イマザリル、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;ピリミジン系、ピリジン系およびピペラジン系:フェナリモル、ヌアリモル、ピリフェノックス、トリホリン;
- デルタ14-レダクターゼ阻害剤:アルジモルフ、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ、フェンプロピジン、ピペラリン、スピロキサミン;
3-ケトレダクターゼ阻害剤:フェンヘキサミド;
C) 核酸合成阻害剤
- フェニルアミド系またはアシルアミノ酸殺菌剤:ベナラキシル、ベナラキシルM、キララキシル、メタラキシル、メタラキシルM(メフェノキサム)、オフレース、オキサジキシル;
- 他の核酸合成阻害剤:ヒメキサゾール、オクチリノン、オキソリン酸、ブピリメート、5-フルオロシトシン、5-フルオロ-2-(p-トリルメトキシ)ピリミジン-4-アミン、5-フルオロ-2-(4-フルオロフェニルメトキシ)ピリミジン-4-アミン;
D) 細胞分裂および細胞骨格阻害剤
- チューブリン阻害剤(例えばベンズイミダゾール系、チオファネート系):ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール、チオファネートメチル;トリアゾロピリミジン系:5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジン;
- 他の細胞分裂阻害剤:ジエトフェンカルブ、エタボキサム、ペンシクロン、フルオピコリド、ゾキサミド、メトラフェノン、ピリオフェノン;
E) アミノ酸合成およびタンパク質合成阻害剤
- メチオニン合成阻害剤(アニリノ-ピリミジン系):シプロジニル、メパニピリム、ピリメタニル;
- タンパク質合成阻害剤:ブラスチシジンS、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、ミルジオマイシン、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン、ポリオキシン、バリダマイシンA;
F) シグナル伝達阻害剤
- MAP/ヒスチジンキナーゼ阻害剤:フルオロイミド、イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン、フェンピクロニル、フルジオキソニル;
- Gタンパク質阻害剤:キノキシフェン;
G) 脂質および膜合成阻害剤
- リン脂質生合成阻害剤:エジフェンホス、イプロベンホス、ピラゾホス、イソプロチオラン;
- 脂質過酸化:ジクロラン、キントゼン、テクナゼン、トルクロホスメチル、ビフェニル、クロロネブ、エトリジアゾール;
- リン脂質生合成および細胞壁沈着:ジメトモルフ、フルモルフ、マンジプロパミド、ピリモルフ、ベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、バリフェナレートおよびN-(1-(1-(4-シアノ-フェニル)エタンスルホニル)-ブタ-2-イル)カルバミン酸-(4-フルオロフェニル)エステル;
- 細胞膜透過性および脂肪酸に影響を及ぼす化合物:プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩
H) 多部位作用の阻害剤
- 無機活性物質:
-
- 有機塩素化合物(例えば、フタルイミド系、スルファミド系、クロロニトリル系):アニラジン、ジクロフルアニド、ジクロロフェン、フルスルファミド、ヘキサクロロベンゼン、ペンタクロロフェノールおよびその塩、フタリド、トリルフルアニド、N-(4-クロロ-2-ニトロ-フェニル)-N-エチル-4-メチル-ベンゼンスルホンアミド;
- グアニジンおよびその他:グアニジン、ドジン、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、三酢酸イミノクタジン、イミノクタジン-トリス(アルベシレート)、;
I) 細胞壁合成阻害剤
- グルカン合成阻害剤:バリダマイシン、ポリオキシンB;メラニン合成阻害剤:ピロキロン、トリシクラゾール、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル;
J) 植物防御誘導剤
- アシベンゾラルSメチル、プロベナゾール、イソチアニル、チアジニル、プロヘキサジオンカルシウム;ホスホン酸塩系:
K) 未知の作用機序
- キノメチオネート、シフルフェナミド、シモキサニル、デバカルブ、ジクロメジン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコートメチルサルフェート、フェンピラザミン、フルメトベル、フルスルファミド、フルチアニル、メタスルホカルブ、ニトラピリン、ニトロタール-イソプロピル、プロキナジド、テブフロキン、テクロフタラム、トリアゾキシド、2-ブトキシ-6-ヨード-3-プロピルクロメン-4-オン、N-(シクロプロピルメトキシイミノ-(6-ジフルオロ-メトキシ-2,3-ジフルオロ-フェニル)-メチル)-2-フェニルアセトアミド、N'-(4-(4-クロロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミド、N'-(4-(4-フルオロ-3-トリフルオロメチル-フェノキシ)-2,5-ジメチル-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(2-メチル-5-トリフルオロメチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、N'-(5-ジフルオロメチル-2-メチル-4-(3-トリメチルシラニル-プロポキシ)-フェニル)-N-エチル-N-メチルホルムアミジン、2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチル-ピラゾール-1-イル)-アセチル]-ピペリジン-4-イル}-チアゾール-4-カルボン酸メチル-(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド、2-{1-[2-(5-メチル-3-トリフルオロメチル-ピラゾール-1-イル)-アセチル]-ピペリジン4-イル}-チアゾール-4-カルボン酸メチル-(R)-(1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-1-イル)-アミド、1-[4-[4-[5-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,5-ジヒドロ-3-イソオキサゾリル]2-チアゾリル]-1-ピペリジニル]-2-[5-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノン、メトキシ-酢酸6-tert-ブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチル-キノリン-4-イルエステル、N-メチル-2-{1-[(5-メチル-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール-1-イル)-アセチル]-ピペリジン-4-イル}-N-[(1R)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル]-4-チアゾールカルボキサミド、3-[5-(4-メチルフェニル)-2,3-ジメチル-イソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン、3-[5-(4-クロロ-フェニル)-2,3-ジメチル-イソオキサゾリジン-3-イル]-ピリジン(ピリソキサゾール)、N-(6-メトキシ-ピリジン-3-イル)シクロプロパンカルボン酸アミド、5-クロロ-1-(4,6-ジメトキシ-ピリミジン-2-イル)-2-メチル-1H-ベンゾイミダゾール、2-(4-クロロ-フェニル)-N-[4-(3,4-ジメトキシ-フェニル)-イソオキサゾール-5-イル]-2-プロパ-2-イニルオキシ-アセトアミド;
L) ;
好適な殺虫剤は以下のものである
- 有機(チオ)リン酸塩系:アセフェート、アザメチホス、アジンホス-メチル、クロルピリホス、クロルピリホス-メチル、クロルフェンビンホス、ダイアジノン、ジクロルボス、ジクロトホス、ジメトエート、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メタミドホス、メチダチオン、メチルパラチオン、メビンホス、モノクロトホス、オキシデメトン-メチル、パラオキソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス-メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロルホン;
- カーバメート系:アラニカルブ、アルジカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メソミル、オキサミル、ピリミカルブ、プロポキスル、チオジカルブ、トリアザメート;
- ピレスロイド系:アレトリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ラムダ-シハロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリンIおよびII、レスメトリン、シラフルオフェン、タウ-フルバリナート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリン、フルシトリネート;
- 昆虫成長調節剤:a) キチン合成阻害剤:ベンゾイル尿素系:クロルフルアズロン、シラマジン(cyramazin)、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾクス、エトキサゾール、クロフェンタジン;b) エクジソンアンタゴニスト系:ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン;c) 幼若ホルモン様物質:ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ;d) 脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、スピロテトラマト;
- ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物:クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、チアメトキサム、ニテンピラム、アセタミプリド、チアクロプリド、1-(2-クロロ-チアゾール-5-イルメチル)-2-ニトリミノ-3,5-ジメチル-[1,3,5]トリアジナン;
- GABAアンタゴニスト化合物:エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール、ピラフルプロール、ピリプロール、5-アミノ-1-(2,6-ジクロロ-4-メチル-フェニル)-4-スルフィナモイル-1H-ピラゾール-3-カルボチオ酸アミド;
- 大環状ラクトン系殺虫剤:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド、スピネトラム;
- ミトコンドリア電子伝達阻害剤(METI)I 殺ダニ剤:フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド、フルフェネリム;
- METI IIおよびIII化合物:アセキノシル、フルアシプリム、ヒドラメチルノン;
- 脱共役剤:クロルフェナピル;
- 酸化的リン酸化阻害剤:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
- 脱皮撹乱剤化合物:クリオマジン(cryomazine);
- 混合機能オキシダーゼ阻害剤:ピペロニルブトキシド;
- ナトリウムチャネル遮断薬:インドキサカルブ、メタフルミゾン;
- 他の殺虫剤:ベンクロチアズ、ビフェナゼート、カルタップ、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、フルベンジアミド、クロラントラニリプロール、シアジピル(HGW86)、シエノピラフェン、フルピラゾホス、シフルメトフェン、アミドフルメト、イミシアホス、ビストリフルロン、およびピリフルキナゾン。
【0012】
本発明のカプセル化殺有害生物剤は、1種以上の殺菌剤および/もしくはもう1種の殺虫剤、または1種以上の殺菌剤および/もしくはもう1種の殺虫剤の混合物である、少なくとも1種の上記の殺有害生物剤を含む。
【0013】
好ましい殺虫剤は、ピレスロイド系、好ましくはアレトリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、ベータ-シペルメトリン、ゼータ-シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、ラムダ-シハロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリンIおよびII、レスメトリン、タウ-フルバリナート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン、プロフルトリン、ジメフルトリンおよびフルシトリネートである。好ましいピレスロイドはフルシトリネートである。
【0014】
同様に好ましい殺虫剤は、ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物であり、イミダクロプリド、アセタミプリド、チアクロプリド、ニテンピラム、クロチアニジン、チアメトキサムおよびジノテフランが好ましい。
【0015】
同様に好ましい殺虫剤は、昆虫成長調節剤であり、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、ルフェヌロンが好ましく、テフルベンズロンおよびフルフェノクスロンがより好ましい。
【0016】
同様に好ましい殺虫剤は、大環状ラクトン系殺虫剤であり、レピメクチン、エマメクチンベンゾエート、アバメクチン、ミルベメクチンが好ましい。
【0017】
他の同様に好ましい殺虫剤は、クロルフェナピルである。
【0018】
他の同様に好ましい殺虫剤は、メタフルミゾンである。
【0019】
他の同様に好ましい殺虫剤は、フィプロニルである。
【0020】
他の同様に好ましい殺虫剤は、リナキシピル(クロラントラニリプロール)である。
【0021】
より好ましい殺虫剤は、ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト化合物であり、イミダクロプリド、アセタミプリド、チアクロプリド、ニテンピラム、クロチアニジン、チアメトキサムおよびジノテフランが好ましい。
【0022】
同様により好ましい殺虫剤は、昆虫成長調節剤であり、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、トリフルムロン、ルフェヌロンが好ましく、テフルベンズロンおよびフルフェノクスロンがより好ましい。
【0023】
同様により好ましい殺虫剤は、大環状ラクトン系殺虫剤であり、レピメクチン、エマメクチンベンゾエート、アバメクチン、ミルベメクチンが好ましい。
【0024】
他の同様により好ましい殺虫剤は、クロルフェナピルである。
【0025】
他の同様により好ましい殺虫剤は、メタフルミゾンである。
【0026】
他の同様により好ましい殺虫剤は、フィプロニルである。
【0027】
他のより同様に好ましい殺虫剤は、リナキシピル(クロラントラニリプロール)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
好ましい実施形態において、本発明のカプセル化殺有害生物剤は、1種以上の殺菌剤を含む。
【0029】
好ましくは、本発明のカプセル化殺有害生物剤は、ストロビルリン系殺菌剤の群、例えばアゾキシストロビン、クメトキシストロビン、クモキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フェナミンストロビン、フェノキシストロビン/フルフェノキシストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム-メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、トリフロキシストロビン、2-[2-(2,5-ジメチル-フェノキシメチル)-フェニル]-3-メトキシ-アクリル酸メチルエステルおよび2-(2-(3-(2,6-ジクロロフェニル)-1-メチル-アリリデンアミノオキシメチル)-フェニル)-2-メトキシイミノ-N-メチル-アセトアミドなど、ベノダニル、ビキサフェン、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルオピラム、フルトラニル、フルキサピロキサド、フラメトピル、イソピラザム、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、テクロフタラム、チフルザミド、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3,3-トリメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-[9-(ジクロロメチレン)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドから選択されるカルボキサミド系殺菌剤の群、アゾール類の群、例えばアザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ならびにトリシクラゾール、イソプロチオランおよびカルプロパミドなどの様々な活性物質の群から選択される1種以上の殺有害生物剤を含む。
【0030】
より好ましい実施形態において、本発明のカプセル化殺有害生物剤はストロビルリン系殺菌剤を含み、アゾキシストロビン、クメトキシストロビン、クモキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロブリン、フェナミンストロビン、フェノキシストロビン/フルフェノキシストロビン、フルオキサストロビン、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、ピラメトストロビン、ピラオキシストロビン、トリフロキシストロビンが好ましく、ピラクロストロビン、ピコキシストロビン、フルオキサストロビンがより好ましく、ピラクロストロビンが最も好ましい。
【0031】
さらなるより好ましい実施形態において、本発明のカプセル化殺有害生物剤はアゾール系殺菌剤を含み、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾールが好ましく、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾールおよびプロピコナゾールがより好ましく、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、プロピコナゾールが最も好ましく、エポキシコナゾールが最高に好ましい。
【0032】
さらなるより好ましい実施形態において、本発明のカプセル化殺有害生物剤は、カルボキサミド系殺菌剤を含み、ビキサフェン、フルキサピロキサド、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド、N-(2-(1,3,3-トリメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドおよびN-[9-(ジクロロメチレン)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドが好ましく、ビキサフェン、フルキサピロキサド、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラドおよびセダキサンがより好ましく、フルキサピロキサドが最も好ましい。
【0033】
さらなるより好ましい実施形態において、本発明のカプセル化殺有害生物剤は、トリシクラゾール、イソプロチオラン、フェノキサニル、ジシクロメット、カスガマイシンまたはカルプロパミド、より好ましくはトリシクラゾールまたはイソプロチオランを含む。
【0034】
最も好ましいカプセル化殺有害生物剤は、ピラクロストロビンまたはフルキサピロキサドであり、ピラクロストロビンが最も好ましい。
【0035】
上述のとおり、殺有害生物剤の混合物もカプセル化することができる。好ましいのは、ピラクロストロビンと、上記の殺有害生物剤の少なくとも1種との混合物である。
【0036】
最も好ましい混合物は、表1に記載される以下の二成分混合物である。
【表1】
【0037】
表Iの混合物は通常、活性物質を、化合物Iの成分IIに対する重量比が500:1〜1:500、好ましくは100:1〜1:100、より好ましくは50:1〜1:50、さらにより好ましくは20:1〜1:20、特に好ましくは10:1〜1:10、特に5:1〜1:5で含む。
【0038】
最高に好ましい実施形態において、本発明のカプセル化殺有害生物剤(1種または複数)は、ピラクロストロビン、フルキサピロキサドおよび混合物M-1、M-2、M3およびM4であり、このサブセットにおいて、ピラクロストロビン、フルキサピロキサドおよび混合物M-1、M-2が好ましく、さらにピラクロストロビン、フルキサピロキサドおよび混合物M-1がより好ましく、ピラクロストロビンが最も好ましい。
【0039】
カプセル化殺有害生物剤は、本製剤中に、1〜40%、好ましくは2〜25%、さらにより好ましくは8〜15%含まれる。カプセル化された活性成分と他のカプセル化されていない活性成分との混合物が本製剤中に存在する場合、本製剤は、1〜30%のカプセル化された活性成分と1〜30%のカプセル化されていない活性成分、好ましくは2〜15%のカプセル化された活性成分と2〜25%のカプセル化されていない活性成分、さらにより好ましくは5〜15%のカプセル化された活性成分と5〜20%のカプセル化されていない活性成分を含むだろう。
【0040】
本カプセルの平均粒子サイズ(光散乱によるz-平均;好ましくはD[4,3]平均)は、0.5〜50μm、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは2〜10μm、また特に5〜10μmであり、最高に好ましくは6〜10μmである。
【0041】
マイクロカプセル分散液の粒子サイズは、文献中に報告されている標準的な測定方法に従って、Malvern Particle Sizer model 3600EまたはMalvern Mastersizer 2000を用いて測定した。D[v, 0.1]値は、粒子の10%がこの値以下の粒子サイズ(体積平均による)を有することを意味する。従って、D[v, 0.5]は、粒子の50%がこの値未満/同等の粒子サイズ(体積平均による)を有することを意味し、またD[v, 0.9]は、粒子の90%がこの値未満/同等の粒子サイズ(体積平均による)を有することを意味する。上記のスパン値は、差D[v, 0.9] - D[v, 0.1]およびD[v, 0.5]から得られる指数から導かれる。D[4.3]値が重量平均である。
【0042】
カプセルコアの溶媒は、少なくとも1種の非極性溶媒(この定義は、1種以上の非極性溶媒、1種以上の非極性溶媒と極性溶媒との混合物を意味する)を含む。極性溶媒は、25℃において少なくとも5重量%の水中溶解度を有する溶媒である。非極性溶媒は、25℃において5重量%未満の水中溶解度を有する溶媒である。
【0043】
好適な非極性溶媒は、室温における水中溶解度が<0.1%(w/w)であり、130℃〜300℃の蒸留範囲を有するC
8-C
11の芳香族石油誘導体(芳香族炭化水素)(ExxonMobil社またはBP社から、以下の商標名で市販されている::Solvesso(登録商標)100、Solvesso(登録商標)150、Solvesso(登録商標)200、Solvesso(登録商標)150ND、Solvesso(登録商標)200ND、Aromatic(登録商標)150、Aromatic(登録商標)200、Hydrosol(登録商標)A 200、Hydrosol(登録商標)A 230/270、Caromax(登録商標)20、Caromax(登録商標)28、Aromat(登録商標)K 150、Aromat(登録商標)K 200、Shellsol(登録商標)A 150、Shellsoll(登録商標)A 100、Fin(登録商標)FAS-TX 150、Fin(登録商標)FAS-TX 200で市販されている)、植物油(例えばココナッツ油、パーム核油、パーム油、大豆油、菜種油、トウモロコシ油及び上記の油のメチルエステル又はエチルエステル)、40℃〜250℃の引火点及び150℃〜450℃の蒸留範囲を有する炭化水素(例えば芳香族劣化(aromatic depleted)炭化水素、直鎖パラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、シクロパラフィン系炭化水素)、エステル(例えばテルペノイドエステル(例えば酢酸イソボルニル)、酢酸ベンジル、安息香酸ベンジル、安息香酸ブチル、酢酸2-エトキシプロピル、酢酸メチルメチルプロキシトール;リン酸トリブチル;およびアミド(例えばN,N-ジアルキルアルキルアミド、好ましくは脂肪酸ジメチルアミド、より好ましくはN,N-ジメチルオクタンアミドおよび/またはN,N-ジメチルデカンアミド(混合物は、The P.C. Hall Co.社からHallcomide(登録商標)M 8-10として、Cognis社からAgnique(登録商標)KE3658として、Clariant社からGenagen(登録商標)4166として市販されている))ならびにn-オクチル-2-ピロリドン(NOP)である。
【0044】
極性溶媒の例は、アニソール、スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド(DMSO));およびラクトン(例えばγ-ブチロラクトン(GBLO));N-エチル-2-ピロリドン(NEP);およびN-ドデシルピロリドン;ケトン(例えば2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン)、およびアセトフェノン誘導体(例えば4-メトキシアセトフェノン);およびアルコール(例えばシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール、例えば4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール;およびジエステル(例えばグルタル酸ジメチルとコハク酸ジメチルとアジピン酸ジメチルの混合物(Rhodia社から市販されているRhodiasolv(登録商標) RPDE)、またはグルタル酸ジイソブチルおよびコハク酸ジヨードブチルおよびアジピン酸ジイソブチルの混合物);ならびにグリコールおよび誘導体(例えば、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル;および炭酸アルキレン(例えば炭酸プロピレン、炭酸ブチレン);およびピロリドン誘導体(例えば、N-エチルピロリドン、および乳酸エステル(例えば乳酸n-プロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸イソプロピル、乳酸ブチル(PURASOLV(登録商標) NPL、PURASOLV(登録商標) ML、PURASOLV(登録商標) EL、PURASOLV(登録商標) IPL、PURASOLV(登録商標) BLの商品名で市販されている))、または上記の溶媒の少なくとも2種から選択される混合物である。
【0045】
好ましくは、カプセルコアの溶媒は、1種以上の非極性溶媒を含む。
【0046】
好ましい非極性溶媒は、室温における水中の溶解度が<0.1%(w/w)であり、130℃〜300℃の蒸留範囲を有するC
8-C
11の芳香族石油誘導体(芳香族炭化水素)、植物油(例えば、ココナッツ油、パーム核油、パーム油、大豆油、菜種油、トウモロコシ油及び上記の油のメチルエステルまたはエチルエステル)、40℃〜250℃の引火点及び150℃〜450℃の蒸留範囲を有する炭化水素(例えば芳香族劣化(aromatic depleted)炭化水素、直鎖パラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、シクロパラフィン系炭化水素)、およびアミド(例えばN,N-ジアルキルアルキルアミド、好ましくは脂肪酸ジメチルアミド、より好ましくはN,N-ジメチルオクタンアミドおよび/またはN,N-ジメチルデカンアミド)である。さらに好ましい非極性溶媒は、テルペン酸のエステル、例えば酢酸イソボルニルなどである。
【0047】
より好ましい非極性溶媒は、室温における水中の溶解度が<0.1%(w/w)であり、130℃〜300℃の蒸留範囲を有するC
8-C
11の芳香族石油誘導体(芳香族炭化水素)、40℃〜250℃の引火点及び150℃〜450℃の蒸留範囲を有する炭化水素(例えば芳香族劣化(aromatic depleted)炭化水素、直鎖パラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素、シクロパラフィン系炭化水素)、およびアミド(例えばN,N-ジアルキルアルキルアミド、好ましくは脂肪酸ジメチルアミド、より好ましくはN,N-ジメチルオクタンアミドおよび/またはN,N-ジメチルデカンアミド)である。
【0048】
溶媒の必要量は、選択される溶媒の性質および溶媒中でカプセル化される活性成分(1種または複数種)の溶解度によって決まる。例えば、好適な量は、0,1〜40%(w/w)、より好ましくは5〜25%(w/w)およびさらにより好ましくは8〜15%(w/w)である。溶媒の全濃度は最終製剤の濃度を指す(すなわち、結晶性のさらなる活性成分との混合を含む)。
【0049】
カプセルの全重量に対するカプセルシェルの重量比は、1〜25重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%、最も好ましくはしくは10〜20重量%である。
【0050】
カプセルの全重量に対するカプセルシェルの所与の重量比は壁厚に対応し、壁厚は、好ましくは0.07〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μm、さらにより好ましくは0.13〜0.35μmである。
【0051】
カプセルシェルは、多官能性イソシアネートとポリアミンとを重合形態で含むポリウレタンをベースとする。
【0052】
このようなポリウレタンを含むカプセル化材料を用いたカプセルは周知であり、先行技術と同様に作製することができる。これらは、好ましくは好適なポリマー壁形成材料の界面重合工程によって作製される。界面重合は、通常、ポリマー壁形成材料の少なくとも一部を溶解して含むコア材料の水性油中水型エマルションまたは懸濁液中で行われる。重合中、上記のポリマーは、コア材料から、コア材料と水との間の境界面へと分離し、これによりマイクロカプセルの壁を形成する。その結果、マイクロカプセル材料の水性懸濁液が得られる。殺有害生物剤化合物を含むマイクロカプセルを作製するための界面重合工程の好適な方法は、先行技術文献、例えばUS 3,577,515、US 4,280,833、US 5,049,182、US 5,229,122、US 5,310,721、US 5,705,174、US 5,910,314、WO 95/13698、WO 00/10392、WO 01/68234、WO 03/099005、EP 619,073またはEP 1,109,450中に開示されており、これら全体が参照される。
【0053】
本発明によるポリウレタンカプセル用の好適な壁形成材料は、多官能性イソシアネート(ポリイソシアネートとも呼ばれる)とポリアミンとを重合形態で含む。
【0054】
また、イソシアネート基が水と反応してカルバミン酸基となり、次にこのカルバミン酸基が二酸化炭素を脱離して最終的にアミン基を生じ得ることも知られている。
【0055】
従って、さらなる実施形態において、本発明の2成分系多官能性イソシアネート/ポリアミンは、多官能性イソシアネートを水と反応させることによって調製することができる。
【0056】
一般的に、ポリウレタンは、場合により多官能性酸塩化物の存在下、少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネートを少なくとも2つの第1級アミノ基を有するポリアミンと反応させて、ポリ尿素壁材料を形成することによって形成される。ポリイソシアネートは、個別にまたは2種以上のポリイソシアネートの混合物として使用することができる。使用に適したポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が脂肪族もしくは環状脂肪族部分(脂肪族イソシアネート)または芳香族部分(芳香族イソシアネート)に結合しているジイソシアネートおよびトリイソシアネートが挙げられる。
【0057】
好適な脂肪族ジイソシアネートの例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートならびに環状脂肪族イソシアネート(例えばイソホロンジイソシアネート)、1,4-ビスイソシアナトシクロヘキサンおよびビス-(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタンが挙げられる。
【0058】
好適な芳香族イソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI:2,4-異性体と2,6-異性体との混合物)、ジフェニルメテン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、2,4,4’-ジフェニルエーテルトリイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネートおよび4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネートが挙げられる。また、上記のジイソシアネートの高級オリゴマー(例えば、上記のジイソシアネートのイソシアヌレートおよびビウレットならびに上記のジイソシアネートとのこれらの混合物)も好適である。
【0059】
さらなる実施形態において、ポリイソシアネートは、オリゴマーイソシアネートである。かかるオリゴマーイソシアネートは、上記の脂肪族ジイソシアネートおよび/または芳香族イソシアネートをオリゴマー形態で含み得る。オリゴマーイソシアネートは、2.0〜4.0、好ましくは2.1〜3.2、より好ましくは2.3〜3.0の範囲の平均官能性を有する。典型的には、これらのオリゴマーイソシアネートは、20〜1000mPas、より好ましくは80〜500mPasおよび特に150〜320mPasの範囲の粘度(DIN 53018によって測定される)を有する。このようなオリゴマーイソシアネートは、例えばBASF SEから、商品名Lupranat(登録商標)M10、Lupranat(登録商標)M20、Lupranat(登録商標)M50、Lupranat(登録商標)M70、Lupranat(登録商標)M200、Lupranat(登録商標)MM103として市販されており、または脂肪族イソシアネートがBasonat(登録商標)A270もしくはBasonat HI 100として市販されている。
【0060】
また、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、グリセロールおよびトリメチロールプロパン)1モル当たり、各アルコールのヒドロキシル基の数に相当する複数モルのジイソシアネートを付加することによって得られる、ジイソシアネートと多価アルコールとの付加物、および上記のジイソシアネートとのこれらの混合物も好適である。このように、数分子のジイソシアネートがウレタン基を介して多価アルコールと連結することにより、高分子量のポリイソシアネートを形成する。この種の特に好適な製品であるDESMODUR(登録商標)L(Bayer Corp.、ピッツバーグ)は、3モルのトルエンジイソシアネートを1モルの2-エチルグリセロール(1,1-ビスメチロールプロパン)と反応させることによって製造することができる。他の好適な製品は、ヘキサメチレンジイソシアネートまたはイソホロンジイソシアネートをエチレングリコールまたはグリセロールに付加することによって得られる。
【0061】
好ましいポリイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネートである。別の実施形態において、好ましいポリイソシアネートは、オリゴマーイソシアネートである。
【0062】
本発明の範囲内の好適なポリアミンは、一般的に、脂肪族部分または芳香族部分に連結し得る2つ以上のアミノ基を分子中に含む化合物を意味すると理解されるだろう。
【0063】
好適な脂肪族ポリアミンの例は、式H
2N-(CH
2-CH
2-NH)
n-Hで表されるポリエチレンイミン(式中、nは2〜5の整数である)である。このようなポリエチレンイミンの代表例は、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびペンタエチレンヘキサミンである。
【0064】
好適な芳香族ポリアミンの例は、1,3,5-トリアミノベンゼン、2,4,6-トリアミノトルエン、1,3,6-トリアミノナフタレン、2,4,4’-トリアミノジフェニルエーテル、3,4,5-トリアミノ-1,2,4-トリアゾールおよび1,4,5,8-テトラアミノアントラキノンである。水に不溶性であるかまたは十分に溶解しないポリアミンは、これらの塩酸塩として使用することができる。
【0065】
上述のようなポリアミンは、個別にまたは2種以上のポリアミンの混合物として使用することができる。
【0066】
本発明の範囲内の好適なジアミンは、一般的に、脂肪族部分または芳香族部分に連結し得る2つのアミノ基を分子中に含む化合物を意味すると理解されるだろう。
【0067】
好適な脂肪族ジアミンの例は、式H
2N-(CH
2)
n-NH
2で表されるα,ω-ジアミン(式中、nは2〜6の整数である)である。
【0068】
好適な芳香族ジアミンの例は、1,3-フェニレンジアミン、2,4-および2,6-トルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,5-ジアミノナフタレンである。水に不溶性であるかまたは十分に溶解しないポリアミンは、これらの塩酸塩として使用することができる。
【0069】
上述のようなジアミンは、個別にまたは2種以上のジアミンの混合物として使用することができる。
【0070】
好ましいジアミンは、上記に定義される脂肪族ジアミンであり、式H
2N-(CH
2)
n-NH
2で表されるα,ω-ジアミン(式中、nは2〜6の整数である)が好ましく、エチレンジアミン、プロピレン-1,3-ジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンがより好ましく、さらにヘキサメチレンジアミンが最も好ましい。
【0071】
好ましいアミンは、式H
2N-(CH
2-CH
2-NH)
n-Hで表される脂肪族ポリアミン(式中、nは2〜5の整数である)であリ、好ましくはジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンおよびペンタエチレンヘキサミンであり、ジエチルトリアミンが最も好ましい。
【0072】
相補的な壁形成成分それぞれの相対量は、それらの当量によって異なる。一般的には、約化学量論量が好ましいが、過剰の1成分(特に過剰のポリイソシアネート)を用いてもよい。壁形成成分の全量は、大体、高分子壁形成材料の全量に対応する。
本発明によるマイクロカプセルはさらに界面活性剤を含んでいてよく、この界面活性剤はカプセルコアの溶媒に溶解している。
【0073】
カプセルの全重量に対する界面活性剤の重量比は、1〜60重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは15〜40、最も好ましくは25〜40重量%である。
【0074】
好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。界面活性剤の例は、McCutcheon’s, Vol.1: Emulsifiers & Detergents, McCutcheon’s Directories, Glen Rock, USA, 2008 (国際版または北米版)に挙げられる。
【0075】
好適な非イオン性界面活性剤の例は、アルコキシレート、アルコキシル化N置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖ベースの界面活性剤、ポリマー、ブロックポリマー、シリコン油およびこれらの混合物である。アルコキシレートの例は、1〜50当量アルコキシル化されているアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸または脂肪酸エステルなどの化合物である。このアルコキシル化には、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド(好ましくはエチレンオキシド)を用いることができる。N置換脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミドまたは脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステルまたはモノグリセリドである。糖ベースの界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシル化ソルビタン、スクロースおよびグルコースエステルまたはアルキルポリグルコシドである。ポリマーの例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、またはビニルアセテートのホモポリマーもしくはコポリマーである。シリコン油の例は、ポリジメチルシロキサンおよびアルコキシル化ポリジメチルシロキサン誘導体(例えばEvonik社から市販されている製品BreakthruまたはO-Si Chemicals社から市販されている製品Silwet)である。ブロックポリマーの例は、ポリエチレンオキシドのブロックおよびポリプロピレンオキシドのブロックを含むA-B型またはA-B-A型のブロックポリマー、またはアルカノール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドを含むA-B-C型のブロックポリマーである。
【0076】
好ましい非イオン性界面活性剤は、アルコキシレートおよびブロックポリマーである。
【0077】
本発明によるマイクロカプセルは、さらに農薬製剤(agrochemical formulation)に変換することができる。
【0078】
本発明のマイクロカプセルは、上記のとおり、界面重合を用いて(例えば、有機相(ここで有機相は、必要量のイソシアネートおよび乳化剤と共に好適な溶媒中の活性成分の溶液である)と水相の調製によって)公知の方法で作製される。この溶液は、5℃〜30℃、好ましくは15℃〜25℃、最も好ましくは18〜25℃の温度において、高せん断混合装置(例えばコロイドミル)を用いて水相に乳化される。所与の処方(選択速度において選択乳化剤を用いる)に応じて、コロイドミルによるせん断力入力がエマルション液滴サイズを決定し、このサイズは、狭い範囲において、カプセル形成工程が完了した後に得られるカプセルサイズと同じである。一定の処方を前提として、エマルション液滴サイズ分布およびこれによるカプセルサイズ分布は、選択された処方に応じた一定の範囲内で、コロイドミルの回転速度のプリセットによって調整することが可能であり、この回転速度はコロイドミルの特徴的なせん断力に等しい。得られたエマルションは、秤量された量のアミンまたはアミン溶液をゆっくりと添加しながら穏やかに撹拌される。添加が完了した後、混合物は40〜80℃まで2〜24時間加熱され、その後硬化反応が完了する。好ましい温度は50〜70℃であり、さらにより好ましくは55〜65℃である。反応の完了は、赤外線分光法を用いて最良に測定される。赤外線(IR)において、2300cm
-1〜2250cm
-1の強いバンドは、未反応のイソシアネートが依然として存在していることを示す。バンドが完全に消失するとすぐに反応が完了し、カプセル懸濁液は20〜30℃まで冷却される。
【0079】
特に好ましい実施形態において、結果として得られるマイクロカプセルを含む組成物は、10〜500g/l重量、好ましくは30〜300g/l、より好ましくは50〜250g/lのカプセル化殺有害生物剤、10〜450g/l、好ましくは50g〜300g/l、より好ましくは80g〜200g/lの有機溶媒、1〜200g/lの界面活性剤(非イオン性界面活性剤)、35〜80g/lのポリイソシアネートおよび0.5〜15g/lのポリアミンならびに1リットルまでの水を含む。
【0080】
1リットル当たりの全重量に対する、カプセル中に封入される有機溶媒、溶解活性成分、場合により界面活性剤と、カプセル壁ポリ尿素(イソシアネートとアミンとの反応によって形成される)との重量の和は、固体含量と呼ばれる場合がある。この固体含量は、10〜60%(w/w)、より好ましくは15〜45%(w/w)、さらにより好ましくは20〜35%(w/w)の範囲であり得る。
【0081】
農薬製剤は、好適な助剤を作製されたマイクロカプセルに添加し、場合により下記のさらなる殺有害生物剤を添加して最終的に所望の活性成分ローディングを達成することによって調製することができる。この最終製剤は、2〜55%(w/w)のカプセル、好ましくは5〜50%(w/w)のカプセル、さらにより好ましくは15〜50%(w/w)のカプセルを含む。
【0082】
好適な助剤の例は、溶媒、液体担体、固体担体または充填剤、界面活性剤(分散剤、乳化剤、湿潤剤、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、 付着剤、アジュバントなど)、増粘剤、保湿剤、忌避剤、誘引剤、適合剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤、粘着付与剤、緩衝剤および結合剤である。
【0083】
好適な界面活性剤は、アニオン性、非イオン性および両性界面活性剤、ブロックポリマー、高分子電解質、およびそれらの混合物などの界面活性化合物である。このような界面活性剤は、乳化剤、分散剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、保護コロイド、またはアジュバントとして使用することができる。界面活性剤の例は、McCutcheon’s, Vol.1: Emulsifiers & Detergents, McCutcheon’s Directories, Glen Rock, USA, 2008 (国際版または北米版)に挙げられている。
【0084】
最終カプセル懸濁液中で用いられるさらなる界面活性剤(分散剤、乳化剤、湿潤剤、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、付着剤など)の量は、5〜25%(w/w)、好ましくは5〜20%(w/w)、より好ましくは7〜15%(w/w)である。
【0085】
好適なアニオン性界面活性剤は、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩のアルカリ塩、アルカリ土類塩またはアンモニウム塩およびそれらの混合物である。スルホン酸塩の例は、アルキルアリールスルホネート、ジフェニルスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート、リグニンスルホネート、脂肪酸および油のスルホン酸塩、エトキシル化アルキルフェノールのスルホン酸塩、アルコキシル化アリールフェノールのスルホン酸塩、縮合ナフタレンのスルホン酸塩、ドデシルベンゼンおよびトリデシルベンゼンのスルホン酸塩、ナフタレンおよびアルキルナフタレンのスルホン酸塩、スルホコハク酸塩またはスルホスクシナメートである。硫酸塩の例は、脂肪酸および油の硫酸塩、エトキシル化アルキルフェノールの硫酸塩、アルコールの硫酸塩、エトキシル化アルコールの硫酸塩、または脂肪酸エステルの硫酸塩である。リン酸塩の例は、リン酸エステルである。カルボン酸塩の例は、カルボン酸アルキル、およびカルボキシル化アルコールまたはアルキルフェノールエトキシレートである。
【0086】
好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖ベースの界面活性剤、ポリマー性界面活性剤、およびそれらの混合物である。アルコキシレートの例は、1〜50当量アルコキシル化されているアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸または脂肪酸エステルなどの化合物である。エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド(好ましくはエチレンオキシド)をアルコキシル化に用いることができる。また、N-置換脂肪酸アミドの例には、脂肪酸グルカミドまたは脂肪酸アルカノールアミドもある。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステルまたはモノグリセリドである。糖ベースの界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシル化ソルビタン、スクロースおよびグルコースエステルまたはアルキルポリグルコシドである。ポリマー性界面活性剤の例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、またはビニルアセテートのホモポリマーもしくはコポリマーである。
【0087】
好適なカチオン性界面活性剤は、第4級界面活性剤、例えば、1つまたは2つの疎水基を有する第4級アンモニウム化合物、または長鎖第1級アミンの塩である。好適な両性界面活性剤は、アルキルベタインおよびイミダゾリンである。好適なブロックポリマーは、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックを含むA-B型またはA-B-A型のブロックポリマー、またはアルカノール、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドを含むA-B-C型のブロックポリマーである。好適な高分子電解質は、ポリ酸またはポリ塩基である。ポリ酸の例は、ポリアクリル酸またはポリ酸系櫛型ポリマーのアルカリ塩である。ポリ塩基の例は、ポリビニルアミンまたはポリエチレンアミンである。
【0088】
好適なアジュバントは、それ自体の殺有害生物活性は無視し得るか、または殺有害生物活性を有さず、標的に対する殺有害生物剤の生物学的性能を高める化合物である。例としては、界面活性剤、鉱物油または植物油、および他の助剤がある。他の例は、Knowlesにより、Adjuvants and additives, Agrow Reports DS256, T&F Informa UK, 2006, chapter 5に挙げられている。アジュバントとして作用し得る好ましい界面活性剤は、例えば、アルコキシレート、N-置換脂肪酸アミド、エステル、糖ベースの界面活性剤、ポリマー性界面活性剤、およびそれらの混合物などの非イオン性界面活性剤であり、アルコキシレートの例は、1〜50当量アルコキシル化されているアルコール、アルキルフェノール、アミン、アミド、アリールフェノール、脂肪酸または脂肪酸エステルなどの化合物である。エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシド(好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド)をアルコキシル化に用いることができる。N-置換脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミドまたは脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステルまたはモノグリセリドである。糖ベースの界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシル化ソルビタン、スクロースおよびグルコースエステルまたはアルキルポリグルコシドである。ポリマー性界面活性剤の例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、またはビニルアセテートのホモポリマーまたはコポリマーである。製剤中にアジュバントが存在する場合、製剤中のアジュバントの量は、3〜40%(w/w)、好ましくは5〜20%(w/w)、さらにより好ましくは8〜15%(w/w)である。
【0089】
好適な殺細菌剤は、ブロノポールおよび、アルキルイソチアゾリノンおよびベンズイソチアゾリノンなどのイソチアゾリノン誘導体である。
【0090】
本製剤中に殺細菌剤が存在する場合、最終製剤中の殺生物剤の量は、0.1〜1%w/w、好ましくは0.1〜0.5%(w/w)、さらにより好ましくは0.1〜0.3%(w/w)である。
【0091】
好適な増粘剤は、多糖(例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース)、無機粘土(有機修飾粘土または非修飾粘土)、ポリカルボキシレート、およびシリケートである。
【0092】
本製剤中に増粘剤が含まれる場合、最終製剤中の増粘剤の量は、0.1〜1.5%(w/w)、好ましくは0.1〜1.0%(w/w)、さらにより好ましくは0.2〜0.5%である。
【0093】
好適な凍結防止剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素およびグリセリンである。好ましい実施形態において、本製剤は凍結防止剤を含む。最終製剤中の凍結防止剤の量は、2〜15%(w/w)、好ましくは4〜10%(w/w)、さらにより好ましくは5〜10%である。
【0094】
好適な消泡剤は、シリコーン、長鎖アルコール、および脂肪酸の塩である。
【0095】
本製剤中に消泡剤が存在する場合、最終製剤中の消泡剤の量は、0〜5%(w/w)、好ましくは0.1〜1%(w/w)、さらにより好ましくは0.1〜0.5%(w/w)である。
【0096】
好適な緩衝剤は、リン酸塩緩衝剤、クエン酸ベースの緩衝剤、酢酸ベースの緩衝剤および、当業者に公知の弱い有機酸または無機酸をベースとする他の緩衝剤系である。本発明のCS「製剤」中で使用される中和剤、緩衝剤の重量比を示したい。
【0097】
本製剤中に緩衝剤が存在する場合、最終製剤中の緩衝剤の量は、0.1〜10%(w/w)、好ましくは0.1〜3%(w/w)、さらにより好ましくは0.1〜2%である。
【0098】
さらなる助剤(例えば保湿剤、忌避剤、誘引剤、適合剤、着色剤、粘着付与剤および結合剤)の量は、最終製剤中にこのような助剤が存在する場合、0.1〜20%(w/w)である。
【0099】
また上記に定義される製剤は、場合により、付加的なカプセル化されていない殺有害生物剤をさらに含み得る。
【0100】
付加的な殺有害生物剤は、上記の殺有害生物剤から選択することができる。カプセル化されていない付加的な殺有害生物剤は、溶解形態、懸濁形態および/または乳化形態で存在し得る。好ましくは、カプセル化されていない付加的な殺有害生物剤は、分散形態で、好ましくは固体形態で懸濁されて存在する。実際には、このような殺有害生物剤は、最終加工中に、好適な界面活性剤と共に粉砕された固体粒子の形態、または好適な製剤の形態(例えば、従来の懸濁液濃縮物として、乳化可能な有機溶液としてもしくは溶解形態で)のいずれかとして添加することができる。カプセル化されていない付加的な殺有害生物剤は、殺菌剤または殺虫剤を含み得る。
【0101】
好ましいカプセル化されていない殺菌剤はアゾール系殺菌剤であり、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナアゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾールM、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルキンコナゾール、フルシラゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、オキスポコナゾール、パクロブトラゾール、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリチコナゾール、ウニコナゾールが好ましく、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾールおよびプロピコナゾールがより好ましく、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、プロピコナゾールが最も好ましく、またエポキシコナゾールが最高に好ましい。
【0102】
さらなるより好ましい実施形態において、カプセル化されていない殺有害生物剤はカルボキサミド系殺菌剤を含み、ビキサフェン、フルキサピロキサド、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、N-(4'-トリフルオロメチルチオビフェニル-2-イル)-3-ジフルオロメチル-1-メチル-1H-ピラゾール4-カルボキサミド、N-(2-(1,3,3-トリメチル-ブチル)-フェニル)-1,3-ジメチル-5-フルオロ-1H-ピラゾール4-カルボキサミドおよびN-[9-(ジクロロメチレン)-1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-メタノナフタレン-5-イル]-3-(ジフルオロメチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキサミドが好ましく、ビキサフェン、フルキサピロキサド、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラドおよびセダキサンがより好ましく、フルキサピロキサドが最も好ましい。
【0103】
さらなるより好ましい実施形態において、カプセル化されていない殺有害生物剤は、トリシクラゾール、イソプロチオラン、チアジニル、イソチアニルまたはカルプロパミド、より好ましくはトリシクラゾールを含む。
【0104】
さらなるより好ましい実施形態において、カプセル化されていない殺有害生物剤は、カスガマイシン、プロベナゾールまたはジクロシメットを含む。好適な組み合わせ物の例は、表2(組み合わせ物R-1〜R-)に示される:
【表2】
【0105】
本発明のCS製剤は、通常、さらなるカプセル化されていない殺有害生物剤を、20g〜400g/ll、好ましくは30g〜250g/l、より好ましくは40g〜200g/l、および最も好ましくは50g〜150g/l含む。
【0106】
また本発明は、上記に定義される製剤を用いた処理を含む、植物(特に水田中のイネ)の健康を高める方法にも関する。
【0107】
本発明はさらに、上記に定義される製剤を用いた処理を含む、水田中の植物病原性有害生物を駆除する方法に関する。
【0108】
カプセルコア中に含まれる活性物質またはカプセル化されていない殺有害生物剤の存在に応じて、「有害生物」という用語は、植物病原性菌類または植物病原性昆虫に関する。
【0109】
イネにおける植物病原性菌類の例は以下のとおりである:
イネにつくアルテルナリア(Alternaria)種、イネにつくバイポラリス(Bipolaris(例えばバイポラリス・オリザエ(Bipolaris oryzae))およびドレクスレラ(Drechslera)種、セルコスポラ・オリザエ(Cercospora oryzae)、コクリオボルス・ミヤベアヌス(Cochliobolus miyabeanus)、クルブラリア・ルナタ(Curvularia lunata)、サロクラディウム・オリザエ(Sarocladium oryzae)、サロクラディウム・アテヌアツム(S. attenuatum)、エンティロマ・オリザエ(Entyloma oryzae)、フザリウム(Fusarium)属の種、例えばフザリウム・セミテクツム(Fusarium semitectum)(および/または数珠形態のジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)(馬鹿苗病)、穀粒染色複合体(Grainstaining complex)(多様な病原菌)、および/またはピシウム(Pythium)属の種、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)属の種、例えばヘルミントスポリウム・オリザエ(Helminthosporium oryzae)、ミクロドキウム・オリザエ(Microdochium oryzae)、ピリクラリア・グリセア(Pyricularia grisea)(ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)と同義)、リゾクトニア(Rhizoctonia)種、例えばリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)(イネのピリクラリア・ササキイ(Pellicularia sasakii)と同義)、コルティシウム・ササキイ(Corticium sasakii)およびウスティラギノイディア・ヴィレンス(Ustilaginoidea virens)。
【0110】
イネにつく植物病原性昆虫の例は、イネミズゾウムシ(Lissorhoptrus oryzaphilus)、二化螟虫(Chilo suppresalis)、コブノメイガ、イネクビボソハムシ、イネハモグリバエ(アグロミカ・オリザエ(Agromyca oryzae))、ヨコバイ類(ネホテチクス(Nephotettix)属の種;特にスモーラーブラウンリーフホッパー(smaller brown leafhopper)、ツマグロヨコバイ(green rice leafhopper))、ウンカ類(デルファシダエ(Delphacidae);特にセジロウンカ、トビイロウンカ)、カメムシ類である。
【0111】
好ましい実施形態において、水田中の植物病原性有害生物を駆除する方法は、上記に定義されるCS製剤を用いた処理を含み、ここでカプセル化殺有害生物剤はピラクロストロビンであり、植物病原性有害生物は、ピリクラリア・グリセア(Pyricularia grisea)(ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)と同義)、および/またはリゾクトニア(Rhizoctonia)種、特にリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)(イネのピリクラリア・ササキイ(Pellicularia sasakii)と同義)である。
【0112】
さらなる好ましい実施形態において、水田中の植物病原性有害生物を駆除する方法は、上記に定義されるCS製剤を用いた処理を含み、ここでカプセル化殺有害生物剤はピラクロストロビンおよびフルキサピロキサドであり、また植物病原性有害生物は、ピリクラリア・グリセア(Pyricularia grisea)(ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)と同義)、および/またはリゾクトニア(Rhizoctonia)種、特にリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)(イネのピリクラリア・ササキイ(Pellicularia sasakii)と同義)である。
【0113】
さらなる好ましい実施形態において、水田中の植物病原性有害生物を駆除する方法は、上記に定義されるCS製剤を用いた処理を含み、ここでカプセル化殺有害生物剤はピラクロストロビンであり、またさらなる、カプセル化されていない殺有害生物剤はフルキサピロキサドであり、また植物病原性有害生物は、ピリクラリア・グリセア(Pyricularia grisea)(ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)と同義)、および/またはリゾクトニア(Rhizoctonia)種、特にリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)(イネのピリクラリア・ササキイ(Pellicularia sasakii)と同義)である。
【0114】
さらなる好ましい実施形態において、水田中の植物病原性有害生物を駆除する方法は、上記に定義されるCS製剤を用いた処理を含み、ここでカプセル化された殺有害生物剤はピラクロストロビンであり、またさらなる、カプセル化されていない殺有害生物剤はトリシクラゾールであり、植物病原性有害生物は、ピリクラリア・グリセア(Pyricularia grisea)(ピリクラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)と同義)、および/またはリゾクトニア(Rhizoctonia)種、特にリゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)(イネのピリクラリア・ササキイ(Pellicularia sasakii)と同義)である。
【0115】
上記の方法において、殺有害生物剤の量は、通常、10〜500g/haである。
【0116】
例えば、ピラクロストロビンについては、好ましい比は10〜150g/haである。
【0117】
例えば、フルキサピロキサドについては、好ましい比は10〜120g/haである。
【0118】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明されるが、これらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0119】
実施例1:マイクロカプセルの作製
Solvesso(登録商標)200:芳香族炭化水素溶媒、蒸留範囲238℃〜278℃(Exxon社から市販されている)。
【0120】
Puccini(登録商標) P 29:高度精製鉱油(Q8社から市販されている)。
【0121】
Plurafac(登録商標) LF 1300:アルコキシル化ステアリルアルコール(BASF SEから市販) されている。
【0122】
Emulsogen(登録商標) 3510:ブチルジグリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(Clariant社から市販されている)。
【0123】
Tersperse(登録商標) 2500:メチルメタクリレートグラフトポリマー(メチルメタクリレート、メタクリル酸およびメトキシPEGメタクリレートの反応生成物)、33重量%、プロピレングリコールおよび水(Huntsman社から市販されている)。
【0124】
Mowiol(登録商標) 18-88:部分的に加水分解されたポリビニルアセテートから誘導されるポリビニルアルコール(Kuraray社から市販されている)。
【0125】
Borresperse(登録商標) Na:ナトリウムリグノスルホン酸(Borregaard Lignotech社から市販されている)。
【0126】
Lupranat(登録商標)M 20 S:2.7の平均官能性を有する4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)に基づく無溶媒ポリイソシアネート;NCO含量 約32g/100g(BASF Elastogranから市販されている)。
【0127】
Basonat(登録商標) HI 100:ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(BASF SEから市販されている)。
【0128】
DETA:ジエチレンジアミン(BASF SEから市販されている)。
【0129】
HMDA:ヘキサメチレン1,6-ジアミン(BASF SEから市販されている)、10%水溶液。
【0130】
Atlox(登録商標) 4912:ポリエチレングリコールでエステル化された多価酸(Croda社から市販されている)。
【0131】
Acticide(登録商標) MBS:殺生物剤として使用される、メチルイソチアゾリノン(MIT)およびベンズイソチアゾリノン(BIT)の水溶液(Thor社から市販されている)。
【0132】
Silicon SRE-PFL:消泡剤として使用される、シリカ粒子上のポリジメチルシロキサンのエマルション(Wacker社から市販されている)。
【0133】
Plurafac LF 711:アルコールアルコキシレート(BASF SEから市販されている)。
【0134】
Plurafac LF 801:C
8-C
10アルコールアルコキシレート(BASF SEから市販されている)。
【0135】
Lutensol(登録商標) ON 60:アルコールエトキシレート(6 EO)(BASF SEから市販されている)。
【0136】
Genapol(登録商標) C 100:ココナッツオイルエトキシレート(10 EO)(Clariant社から市販されている)。
【0137】
Lutensit(登録商標) A-BO:水/プロピレングリコール中のジオクチルスルホコハク酸ナトリウム溶液(BASF SEから市販されている)。
【0138】
Tween(登録商標) 20:ソルビタンモノオレエートエトキシレート(Croda社から市販されている)。
【0139】
Empilan(登録商標) KR 6:C9/11アルコールエトキシレート(6 EO)(Huntsman社から市販されている)。
【0140】
Synergen(登録商標) GL 5:ポリグリセロールエステル(フタル酸およびココナッツ脂肪酸でエステル化されている)(Clariant社から市販されている)。
【0141】
Plurafac LF 900:アルコールアルコキシレート(BASF SEから市販されている)。
【0142】
Sipernat 22:非晶質沈殿シリカ(Evonik Industries社から市販されている)。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0143】
表1 A〜D)および表2)に記載されるポリウレタン(PU)カプセルの懸濁液を、表1にまとめられる濃度(g/l;全懸濁液に対する濃度を指す)を用いて調製した。
【0144】
比較例の組成物[表2、No.1]は、WO10/105971による組成物である。
【0145】
水相は、周囲温度においてBorresperse Naを水に溶解させることによって調製した。別の容器中で、必要であれば60℃以下の穏やかな加熱下で、上記の溶媒中のピラクロストロビンの溶液を調製した。この溶液を清澄化した後、20℃まで冷却し、カプセルコアが付加的な界面活性剤を含む場合にはこれを添加し次いで溶解させ、最終的に、イソシアネートの量を処方により規定される量とした。
【0146】
次いでこの溶液を、適切に大きな容器中で単純な羽根攪拌機を使用して、有機溶液を水溶液中に流し込むことによって予め乳化させた。5〜15秒間攪拌した後、全ての内容物を、100%のプリセットエネルギー入力レベルにおいてローター・ステーター・ミル(Cavitron CD 1000)に通し、低速攪拌機、滴下漏斗および熱交換ジャケットを備えた反応容器中に流し込む。移動が完了した後、200rpmにおいて攪拌機をスタートさせ、希釈アミン溶液(典型的には10%(w/w))を15分間を超えて添加する。
【0147】
アミン添加が完了すると、加熱がスイッチオンされ、カプセル化容器内の温度は、4時間で60℃まで上昇する(処方ならびにこの中で使用されるイソシアネートの量および種類に応じて決まる)。最終的には、硬化反応中に気泡が発生した場合、消泡剤の一部が添加される。
【0148】
反応(IRスペクトル中で消失するイソシアネートバンドを追跡することによってモニターすることができる)が完了した後、混合物を冷却し、凍結防止剤、殺生物剤、残余量の消泡剤、粘稠化剤、付加的な任意のアジュバントおよび標的化活性成分ローディングを調整するための水を添加することによって最終加工を行う。
【0149】
この完成したピラクロストロビンのカプセル懸濁液は、他の活性成分(例えばエポキシコナゾール)の懸濁液濃縮物とさらに混合してもよく、または界面活性剤/油の混合物をこのカプセル懸濁液に乳化させてもよく、またはさらなる界面活性剤を組み込んでもよい。
【0150】
カプセル化されていないピラクロストロビン(「遊離ピラクロストロビン」)の量は、以下のとおりに決定した:
製剤の少量のサンプルを、2段階で希釈する。最初に1:100希釈を行い、このサンプルを22℃においてそのまま2時間静置した。次に、このサンプルの1アリコートを1:5000に希釈し、さらに22℃で2時間置いた。
【0151】
2回目の静置時間後、サンプルを4000rpmで15分間遠心分離し、清澄懸濁液のプローブを遊離ピラクロストロビン含有物のHPLC分析に供した。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0152】
実施例2
イネを、それぞれ約1sqmの小区画で圃場に播種した(4セット)。最初の自然感染の兆候が見られた時点で、これらのイネを、所与量の表1/2に示される製剤(1ヘクタール当たり約500Lの水に溶解)で処理した。
【0153】
さらに、最初の施用後、上記の植物に、より古い植物から得られた感染した葉材料を洗浄することによって作製したピリクラリア・オリザエ(P. oryzae)の胞子の接種懸濁液を接種した。7日間間隔をあけて3回施用を行った。最初の施用から21日後(最後の施用から8日後に相当)、感染量を、%損傷葉面積として目視で評価し、これに基づいてAbbottの式による効力を計算した。Abbotの式を用いた効力(E)は以下のとおりに計算される:
E = (1 - α/β)・100
αは、処理植物の菌感染(%)に対応し、また
βは、未処理の(対照)植物の菌感染(%)に対応する。
【0154】
効力0は、処理植物の感染レベルが未処理の対照植物の感染レベルに対応することを意味し;効力100は、処理植物が感染しなかったことを意味する。
【0155】
比較例(表2、No.1)から、本発明による製剤は、先行技術の製剤と比較すると、これらの製剤が水田条件において極めて類似する水中への放出量を有していたにも関わらず、より優れた活性を示したことが示された。
【表13】
(付記)
(付記1)
マイクロカプセルであって、
(i) 該カプセルが、コアシェル構造を有し;且つ
(ii) 25℃において、殺有害生物剤の少なくとも80%が該コア中で有機溶媒に溶解しており;且つ
(iii) 該カプセルシェルが、多官能性イソシアネートとポリアミンとを重合形態で含むポリウレタンに基づき;且つ
(iv) 該カプセル重量に対する該カプセルシェルの重量比が1〜20重量%である、
前記マイクロカプセル。
(付記2)
前記カプセルの平均粒子サイズが0.5〜8μmである、付記1に記載のマイクロカプセル。
(付記3)
前記溶媒が少なくとも1種の非極性溶媒を含む、付記1または2に記載のマイクロカプセル。
(付記4)
前記コア中にさらに界面活性剤を含む、付記1〜3のいずれか1つに記載のマイクロカプセル。
(付記5)
少なくとも1種のカプセル化殺有害生物剤が、ストロビルリン殺菌剤の群またはカルボキサミド殺菌剤の群から選択される、付記1〜4のいずれか1つに記載のマイクロカプセル。
(付記6)
前記ストロビルリンがピラクロストロビンである、付記5に記載のマイクロカプセル。
(付記7)
前記カプセル化カルボキサミド殺菌剤がフルキサピロキサドである、付記5に記載のマイクロカプセル。
(付記8)
前記カプセル化殺菌剤がフルキサピロキサドとピラクロストロビンとの混合物である、付記5に記載のマイクロカプセル。
(付記9)
付記1〜7のいずれか1つに定義されるマイクロカプセルと付加的な製剤助剤とを含む製剤。
(付記10)
付加的なカプセル化されていない殺有害生物剤をさらに含む、付記8に定義される製剤。
(付記11)
前記カプセル化殺有害生物剤がピラクロストロビンであり、且つ付加的なカプセル化されていない殺有害生物剤が、ビキサフェン、フルキサピロキサド、イソピラザム、ペンフルフェン、ペンチオピラド、セダキサン、トリシクラゾール、イソプロチオラン、カルプロパミド、エポキシコナゾール、プロチオコナゾール、ジフェノコナゾール、プロピコナゾール、イソチアニル、カスガマイシン、カルプロパミド、プロベナゾールおよびジクロシメットから選択される、付記10に定義される製剤。
(付記12)
付記9または10のいずれかに記載される製剤を用いた処理を含む、水田中の植物病原性有害生物を駆除する方法。
(付記13)
付記9または10のいずれかに記載される製剤を用いた処理を含む、水田中のイネの健康を高める方法。
(付記14)
前記有害生物が植物病原性菌類である、付記12に記載の方法。
(付記15)
前記有害生物が植物病原性昆虫である、付記12に記載の方法。