(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光構成は第1光学素子および第2光学素子を含み、前記第1光学素子は、前記照明構成からの放射を前記第2光学素子に誘導し、かつ前記第2光学素子からの放射を前記第2検出構成に向かって誘導し、前記第2光学素子は、前記第1光学素子からの前記放射を前記対物レンズ内へと方向転換し、かつ前記マークからの回折の後の放射を前記第1光学素子に誘導するように機能する、請求項1に記載の装置。
回折の後の前記放射の少なくとも一部は、前記放射スポットの放射源に戻り、戻った前記放射は、前記対物レンズと前記放射源との間の前記第2検出構成に向かって誘導される、請求項7に記載の方法。
測定された前記デフォーカスおよび/または傾斜に基づいて前記マークに対する重み係数を決定することであって、前記重み係数は前記マークの測定された位置の信頼性を表す、ことと、
基板上の他のポイントの位置を推定するために多数のマークの測定された位置に適合されたアライメントモデルで使用された場合の前記マークの測定された位置に前記重み係数を適用することと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
パターニングデバイスから基板上にパターンを転写するためにリソグラフィプロセスが使用される、デバイスを製造する方法であって、前記基板上への前記パターンの転写は、請求項6〜13のいずれかに記載の方法を用いて測定された前記基板上のマークの位置を参考にして制御される、方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0012]
図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、
‐放射ビームB(例えば、紫外線またはEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、
‐パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構築され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されたサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
‐基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構築され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTaまたはWTbと、
‐パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0013】
[0013] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0014】
[0014] サポート構造は、パターニングデバイスの重量を支えるなどしてパターニングデバイスを支持する。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポートは、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0015】
[0015] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0016】
[0016] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0017】
[0017] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0018】
[0018] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、前述の型のプログラマブルミラーアレイを採用しているもの、または反射型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0019】
[0019] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。この状態を
図1の例における2つの基板テーブルWTaおよびWTbが示している。本明細書中に開示する発明は独立して使うことができるが、具体的には、追加の機能を単一またはマルチステージ型の装置の露光前の測定ステージに提供することもができる。
【0020】
[0020] リソグラフィ装置は、投影システムと基板との間の空間を満たすように、比較的高屈折率を有する液体(例えば水)によって基板の少なくとも一部を覆うことができるタイプのものであってもよい。また、リソグラフィ装置内の別の空間、例えば、マスクと投影システムとの間、に液浸液を加えてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を増加させるために使用することができる。本明細書において使用される「液浸」という用語は、基板のような構造物を液体内に沈めなければならないという意味ではなく、単に、露光中、投影システムと基板との間に液体があるということを意味するものである。
【0021】
[0021]
図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。例えば、放射源がエキシマレーザである場合、放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムBDを使って送られる。その他の場合においては、例えば、放射源が水銀ランプである場合、放射源は、リソグラフィ装置の一体部分とすることもできる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムBDとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0022】
[0022] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するためのアジャスタADを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCOといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0023】
[0023] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射してパターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTa/WTbを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサ(
図1には明示的に示されていない)を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTa/WTbの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0024】
[0024] 例示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTa/WTbを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTa/WTbは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTa/WTbを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTa/WTbの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTa/WTbを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTa/WTbの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0025】
[0025] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0026】
[0026] リソグラフィ装置LAは、2つの基板テーブルWTaおよびWTb並びに2つのステーション、露光ステーションおよび測定ステーションを有するいわゆるデュアルステージ型である。この2つのステーションの間で基板テーブルを交換することができる。一方の基板テーブル上の1つの基板を露光ステーションで露光している間、別の基板を測定ステーションにおけるもう一方の基板テーブル上にロードすることができ、それによって様々な準備工程を実施することができる。準備工程は、レベルセンサLSを用いて基板の表面をマッピングすることと、アライメントセンサASを用いて基板上のアライメントマーカの位置を測定することとを含むことができる。これによって装置のスループットに大幅な増加をもたらす。基板テーブルが測定ステーションにあるときおよび露光ステーションにあるときにその位置を位置センサIFによって測定することができない場合、基板テーブルの位置を両方のステーションで追跡できるように第2位置センサを設けることができる。
【0027】
[0027] 装置は、さらに、記載する様々なアクチュエータおよびセンサの全ての動きおよび測定を制御するリソグラフィ装置制御ユニットLACUを含む。LACUは、装置の動作に関する所望の計算を実施するために信号処理およびデータ処理能力も含む。実際には、制御ユニットLACUは多数のサブユニットのシステムとして実現される。各サブユニットは、装置内のサブシステムまたは構成部品のリアルタイムデータ取得、処理および制御を扱う。例えば、1つの処理サブシステムは、基板ポジショナPWのサーボ制御専用のものであってもよい。個々のユニットが粗および微細アクチュエータまたは異なる軸さえも扱うこともできる。別のユニットは位置センサIFの読み出し専用であることもできる。装置の全体的な制御を、これらのサブシステム処理ユニット、オペレータおよびリソグラフィ製造プロセスに関わる他の装置と通信する中央処理装置によって制御することができる。
【0028】
[0028]
図2(a)は、X位置およびY位置の測定のために基板W上に設けられたアライメントマーク202,204のそれぞれの例を示している。この例における各マークは、プロダクト層または基板に適用またはエッチングされた別の層に形成される一連の棒を含む。棒は、一定の間隔で配置され、格子線として機能する。それによって、マークは、周知の空間的周期(ピッチ)を有する回折格子としてみなすことができる。X方向マーク202上の棒はX方向の周期性を提供するためにY軸に平行である一方、Y方向マーク204上の棒はY方向の周期性を提供するためにX軸に平行である。アライメントセンサAS(
図1に示す)は、正弦波などの周期的に変化する信号を得るために各マークを放射スポット206,208で光学的にスキャンする。この信号の位相を解析してアライメントセンサに対するマークの位置、したがって基板Wの位置を測定する。このアライメントセンサは、装置の基準フレームRFに対して固定される。スキャン動作を幅広い矢印によって概略的に示しており、スポット206または208の進行位置を点状の輪郭線で示している。アライメントパターン内の棒(格子線)のピッチは、一般的に、基板上に形成されるプロダクトフィーチャのピッチよりかなり大きく、アライメントセンサASは、パターンを基板に適用するために使用される露光放射よりかなり長い放射の波長(または通常複数の波長)を使用するが、多数の棒が反復信号の位相の正確な測定を可能にするため、微細位置情報を得ることができる。
【0029】
[0029] アライメントセンサが周期信号の異なる周期を区別するとともに周期内の正確な位置(位相)を識別できるように粗いまたは微細なマークを設けることができる。異なるピッチのマークもこの目的のために使用することができる。これらの技術もまた当業者に知られており、本明細書中に詳細に記載されていない。そのようなセンサの設計および動作は当該技術分野では周知であり、各リソグラフィ装置は、独自の設計のセンサを有することができる。本説明のために、アライメントセンサASは、通常、米国特許第6961116号(den Boef et al)に記載された型であると想定する。
図2(b)は、X位置およびY位置を照明スポット206によって単一の光スキャンを介して得ることができる、同様のアライメントシステムで使用する変形マークを示している。マーク210は、X軸およびY軸の両方に対して45°で配置された棒を有する。このXおよびY測定の組み合わせは、その全容が参照することにより本書に援用される米国特許出願公開第2009/195768号(Bijnen et al)に記載された技術を用いて行うことができる。
【0030】
[0030]
図3は、本発明の一実施形態によるアライメントセンサASの概略ブロック図である。照明源220は、1つ以上の波長の放射ビーム222を提供する。このビーム222は、スポットミラー223によって方向転換されて対物レンズ224を通って基板W上に配置されたマーク202などのマーク上に提供される。
図2に概略的に示すように、上記した米国特許第6961116号に基づく本アライメントセンサの例では、マーク202が照らされる照明スポット206は、マーク自体の幅より僅かに小さい直径を有し得る。
【0031】
[0031] マーク202によって散乱、すなわち回折される放射は、対物レンズ224によって取り上げられて情報保有ビーム226にコリメートされる。この実施形態では上記した米国特許’116に開示された型の自己参照干渉計228である放射処理要素は、ビーム226を処理して個別のビームをセンサアレイ
230に出力する。スポットミラー223は、照明源からの放射を対物レンズに方向転換させる役割だけではなく、マークによって回折された放射のゼロ次信号を照明源に戻すように誘導することにより情報保有ビーム226がマーク202によって回折された放射の高次信号のみを含むようにする役割も果たす。センサ
アレイ230内の個別センサからの強度信号232は、処理ユニットPUに提供される。ブロック228内の光学処理およびユニットPU内の計算処理の組み合わせにより、基準フレームRFに対する基板上のXおよびY位置の値が出力される。照明源220とスポットミラー223との間には、光学素子が、この場合ビームスプリッタ221が設けられる。このビームスプリッタ221は、スポットミラー223に向かうビーム222の透過を可能にするが、基板上のマークによる回折の後にスポットミラーから入射する放射を、ビームスプリッタ221によって出力される放射のサイズおよび/または位置変化を検出するように構成された第2検出構成231へと反射させる。検出された変化を処理ユニットPUで用いてマーク202のデフォーカスDFおよび/または局所的傾斜TIを計算することができる。設計の都合および便宜上、処理ユニットPUは
図1に示す制御ユニットLACUとは別個であってよく、またはそれらは同じ処理ハードウェアを共有することもできる。ユニットPUが別個である場合、信号処理の一部をユニットPUで行うことができ、別の部分をユニットLACUで行うことができる。
【0032】
[0032] 既に述べたように、図示したタイプの単一測定は、マークの位置をマークの1つのピッチに対応するある領域内で決定するだけである。より粗い測定技術をこれと併用して正弦波のどの周期がマークされた位置を含むかを特定する。粗レベルおよび/または微細レベルにおける同じ処理が、精度増加のために、およびマークが構成される材料であってその上にマークが位置する材料に関係なくマークのロバストな検出のために異なる波長で繰り返すことができる。波長は、同時に処理されるように光学的に多重化および逆多重化されることができ、および/または時分割または周波数分割によって多重化されることができる。本開示における例は、一波長の一測定のみについて言及しており、当業者は、実用的およびロバストな測定装置(アライメントセンサ)を提供するためにその教示を拡大することに伴う修正を容易に理解することができる。
【0033】
[0033] 測定処理をより詳細に参照すると、
図3でv
wと標識された矢印は、スポット206がマーク202の長さLを横断するスキャン速度を示している。この例では、アライメントセンサASおよびスポット206が実際に静止したままである一方、速度v
Wで移動するのは基板Wである。したがって、アライメントセンサは基準フレームRF(
図1)に強固かつ正確に取り付けられる一方、マーク202を基板Wの動作方向と反対の方向に効果的にスキャンすることができる。基板は、この動作において基板テーブルWTおよび基板位置決めシステムPW上に取り付けられることによって制御される。
【0034】
[0034] 本優先日ではまだ公開されていなかった先行の米国特許出願第13/369,614号で述べたように、リソグラフィ装置が必要とする高い生産性要件は、基板上の多数の位置におけるアライメントマークの測定ができる限り早く行われることを必要とする。これは、スキャン速度v
wが速く、各マーク位置の取得に利用できる時間T
ACQはそれに応じて短いことを示す。単純化すると、T
ACQ=L/v
wの式が適用される。先行の米国特許出願第13/369,614号では、取得時間を延ばすためにスポットの反対スキャン動作を与える技術を記載している。同じスキャンスポット技術を、必要に応じて、本明細書に新しく開示された型のセンサおよび方法に適用することができる。
【0035】
[0035]
図4Aおよび
図4Bの両方は、マークがアライメントセンサに合焦しかつマークがアライメントセンサに対するマークの所望の向きに対してゼロ傾斜を有する場合における、
図3の第2検出構成231の検出器305の検出器表面303上の回折放射のゼロ次信号のイメージ301を示している。
【0036】
[0036]
図4Aは、デフォーカスの場合、つまりマークの焦点がずれている場合のイメージ307も示している。イメージ301と比較して、イメージ307のサイズは増大している。このサイズは、検出器305がイメージサイズを決定することが可能な場合に、例えば、ある量の放射を受けるセンサピクセルの量を決定することによって測定することができる。検出器上のイメージのサイズを決定することにより、デフォーカスの量を決定することができる。したがって、検出器305は、CCDカメラまたは類似のデバイスであってもよい。
【0037】
[0037]
図4Bは、マークがイメージ301の所望の向きに対して傾斜されたときのイメージ309も示している。マークの傾斜により、イメージはシフトされた位置を有し、シフト量は傾斜量を表す。
【0038】
[0038] したがって、
図3の実施形態に対して、デフォーカスおよび傾斜は、ゼロ次信号のイメージサイズおよびイメージ位置をそれぞれ決定することによって決めることができる。同様に、第2検出構成は、回折放射の高次信号のイメージサイズおよびイメージ位置を測定して、高次信号がゼロ次信号の代わりに第2検出構成に誘導された場合にデフォーカスおよび傾斜を決定することができる。
【0039】
[0039]
図5は、ビームスプリッタ221および第2検出構成231の配置は異なるが、
図3に示す実施形態と同様の実施形態の一部を示している。スポットミラー223は、照明源220からのビーム222のサイズとほぼ一致するサイズを有する。その結果、あらゆるデフォーカスまたは傾斜は、マークによって回折された放射のゼロ次信号がスポットミラーを部分的に通過して情報保有ビーム226の一部になるようにもたらす。
図5の実施形態では、ビームスプリッタ221は、対物レンズ224と干渉計228との間に配置され、ゼロ次信号を含む情報保有ビームの一部を第2検出構成231に誘導する。第2検出構成231は、全ての高次信号を無視し、ビームスプリッタによって出力されるゼロ次信号のサイズおよび位置変化を検出するように構成することができる。
【0040】
[0040]
図6Aは、回折放射のゼロ次信号を用いたときのデフォーカスの場合のイメージ307を示している。マークが合焦している場合、ゼロ次信号全体がスポットミラー223によって止められ、それによって検出構成231は放射を全く検出しない。マークの焦点がずれている場合、イメージ307で示すように、ゼロ次信号のサイズは増大し、ビームの一部がスポットミラーを通過する。イメージのサイズを決定することにより、デフォーカスの量を決定することができる。
【0041】
[0041]
図6Bは、ゼロ次信号を用いたときのマークの傾斜の場合のイメージ309を示している。マークが所望の向きであった場合、ゼロ次信号全体がスポットミラー203によって止められ、それによって検出構成231は放射を全く検出しない。マークが傾斜された場合、イメージ309で示すように、ゼロ次信号の軌跡も傾斜され、ゼロ次信号の一部はスポットミラーからずれてスポットミラーを通り過ぎる。イメージ309からのゼロ次信号のシフトを決定することによってマークの傾斜を決定することができる。
【0042】
[0042] 上記したように、
図5による実施形態は、マークによって回折された放射の全ての高次信号を無視するが、本発明は、ゼロ次信号の使用に限定されていない。したがって、第2検出構成は、1つ以上の高次信号を用いてデフォーカスおよび/または傾斜を決定する一方、使用される(1つまたは複数の)高次信号の信号強度が検出目的のために十分でさえあれば他の全ての信号を無視する。全ての高次信号がスポットミラー223を通過するので、
図4Aおよび
図4Bの検出原理は、
図6Aおよび
図6Bによるゼロ次信号の検出原理の代わりにこれらの高次信号に適用することができる。
【0043】
[0043]
図7は、上記した先行の米国特許第6,961,116号の公開公報に記載されたアライメントセンサの動作原理に基づく、本発明の実施形態によるアライメントセンサの光学システム500を示している。この実施形態によるアライメントセンサは、特に、より高い精度のためにアライメントマークの減少したピッチを可能にし、かつスキャトロメトリ型測定を別個のスキャトロメータ器具の代わりにアライメントセンサで行うことを可能にする特定のセグメント化された照明モードを導入する。XおよびY位置の同時測定を行うことができるように上記した米国特許出願公開第2009/195768号の公開公報の開示に基づいて更なる変更を行うことができる。本例のために、位置の測定が一方向のみで行われることを想定する。
【0044】
[0044]
図3および
図5の概略図を比較しやすくするために、光学システム500の一部は
図3および
図5で使用されたものと同様の参照符号で標識されるが、「2」の代わりに接頭部「5」を用いている。したがって、光源520、ビームスプリッタ521、照明ビーム522、対物レンズ524、情報保有ビーム526、自己参照干渉計528、検出器530aおよび530b、並びに第2検出構成531がある。検出器530a,530bからの信号532aおよび532bは処理ユニットPUによって処理され、以下に説明する新しい特徴を実施するように適切に修正される。複数の分岐を有する光軸Oは、光学システム500にわたって通る破線によって示される。さらなる構成部品をより詳細な概略図で以下に示している。照明サブシステム540では、放射源520からの放射は、光ファイバ542を介してレンズ544および546を備える光学システムに入る箇所まで運ばれる。当然のことながら、各レンズが単一の要素によって概略的に示されているところでは、実用的な実施形態では、実際には、要素群を含んでよい。反射光学素子を用いてもよい。レンズ544とレンズ546との間では、放射源からの放射によって形成されるビームは平行であって平面P’を通過する。これは対物レンズ524の瞳面Pの逆投影である。この平面には固定または構成可能な照明アパーチャ548が、
図7に示す対称性のセグメント化された照明パターンなどの特定の照明モードを可能にするために設けられる。aおよびbと標識された2つの直径方向に対向するクアドラントは、このアパーチャパターンでは明るい(透明)一方、他方の2つのクアドラントは暗い(不透明)。このタイプのアパーチャは米国特許出願公開第2010/201963号によってスキャトロメトリ装置として知られている。この改良された照明アパーチャの利点を以下に詳細に説明する。照明ビーム522は、照明サブシステム540から、固定ミラー550による回折、ビームスプリッタ521の通過、レンズ552によるコリメーションを経てビームスプリッタ554に送られる。このビームスプリッタ554は、対物系524を直接通って基板Wにまたは基板Wから移動する情報保有ビーム526と照明ビーム522とを離す。
【0045】
[0045] 情報保有ビーム526の処理に言及すると、このビームは米国特許第6,961,116号の公知のアライメントセンサと同じ方法で自己参照干渉計528へと入る。干渉計528は、簡素化した二次元構成で示されているが、従来の特許に記載されているように実際にはプリズムおよび他の要素から成る三次元構成を含む。同様に、明確にするために、干渉計の一部である偏光素子はここでは省いている。周知例のように、自己参照干渉計528の機能は、情報保有ビーム526を受け取ってそれを二等分し、その部分を互いに対して180°回転させ、その部分を再度組み合わせて出射ビーム582にすることである。さらなるレンズ584および586は、固定された偏向ミラー588とともに、このビームを変更ビームスプリッタ592と検出器530aおよび530bとを含む検出サブシステム590に送る。
【0046】
[0046] ビームスプリッタ592は、互いに逆位相である2つの干渉パターンを生成する。したがって、干渉計528が検出器530aのどこかで破壊的な干渉を生成した場合、検出器530bの対応する箇所で建設的な干渉が生じる。2つの検出器530aおよび530bから信号を差し引くことにより、共通モード強度雑音の影響を減らすことができ、それによってアライメントセンサから全体としてより正確な出力を得る。
【0047】
[0047] その一方、
図3の公知のアライメントセンサでは、
センサアレイ230は基板Wの平面に対応する像面に配置され、改良された光学システム500では、検出器530aおよび530bは対物系524の瞳面Pと共役する平面P’’に位置決めされる。検出器530aおよび530bの各々は、イメージセンサ、例えばCCDカメラセンサであってもよい。あるいは、530a’/530b’と標識された差し込み図の詳細に示すように、イメージセンサの代わりに個別の点検出器を配置してもよい。いずれの場合でも、平面P’’における放射フィールドは基板のイメージではないが、照明アパーチャ548と共役するマーク202の回折スペクトルである。このタイプの検出システムでは、マーク202の位置情報を得るために使用されるアライメント信号をまだ得ることができるが、さらに、検出器530aおよび530bによって検出される瞳面イメージを用いて基板W上のマークまたは他のフィーチャのさらなる性質を解析してスキャトロメトリを行うことができる。例えば、アライメントおよび/またはオーバーレイターゲットの非対称性を解析することができ、これによって例えば層と層との間のオーバーレイエラーの測定を容易にする。
【0048】
[0048] 公開されていない先行の米国特許出願第13/369,614号に記載されているように、標的の非対称性を測定するために別個の器具の代わりにアライメントセンサを用いることの利点は、アライメントセンサとオーバーレイ測定装置との間の位置決めエラーの減少である。別の利点としては、マークにおける非対称性に関する情報を、センサを用いて行われる位置測定の精度を改善するために使用できることである。なぜなら、非対称性は、非対称性の知識および適切な式を用いて修正することができる系統誤差を報告位置に引き起こすことができるからである。
【0049】
[0049] アパーチャ548によって与えられる照明パターンが
図7でaおよびbと標識された明るいクアドラントを有する一方、所定の方向のアライメントマーク202のラインによる回折から生じる回折パターンは548’のパターンで表される。このパターンでは、a
0およびb
0と標識されたゼロ次回折信号に加えて、a
−1、a
+1、b
−1およびb
+1と標識された一次回折信号がみられる。照明アパーチャの他クアドラントは暗く、より一般的には照明パターンは180°回転対称性を有するため、回折次数a
−1およびb
+1は「フリー」となり、これは照明アパーチャの他の部分からのゼロ次または高次信号とオーバーラップしないことを意味する。セグメント化された照明パターンのこの性質を利用して、従来の環状に対称である照明アパーチャが使用された場合に結像することができる最小ピッチの半分のピッチを有する回折格子(アライメントマーク)からクリアな一次信号を得ることができる。この回折パターン548’およびスキャトロメトリのために利用できる方法は、公知の米国特許出願第2010/201963号に記載されている。アライメントセンサ光学システム500の干渉計528では、
図7で示しかつ548’’と標識された回折パターン548’の180°回転された複写も形成されてパターン548’と混合される。これらのパターンは、位置信号を提供するようにアライメントマーク202のスキャン中に互いに干渉する。
【0050】
[0050] 回折された放射は、ビームスプリッタ554により、照明システム540に戻るように誘導される部分と、干渉計528に向かってビームスプリッタ554を透過する部分とに分割される。本発明の裏にある原理は、一方の部分を用いて対応する回折放射を、回折放射のサイズおよび/または位置変更を検出する検出器を含む第2検出構成およびマーク202のデフォーカスおよび/または局所的傾斜を検出された変化から計算する処理ユニットに向かって誘導することである。
【0051】
[0051]
図7では、これは、ビームスプリッタ554から入射する回折放射を第2検出構成531に誘導するビームスプリッタ521により実施される。あるいは、破線に示すように、ミラー550は、ゼロ次信号の一部を第2検出構成531’に誘導するように部分的に透過的であってもよい。その場合、部分的透過ミラー550は、第1光学素子として機能する。この第1光学素子は、照明構成からの放射を第2光学素子として機能するビームスプリッタ554に誘導し、かつ第2光学素子からの放射を第2検出構成531’に誘導するように構成される。さらに、ビームスプリッタ521は、
図5の実施形態と同様に、ビームスプリッタ554と干渉計528との間に配置されてもよい。当業者に明らかなように、ビームスプリッタ521は、干渉計528と第1検出構成との間を含む多数の異なる位置に配置または組み入れられてもよい。第1および第2検出構成が互いに部分的に統合されることも可能であり、少なくとも1つの共通の光学部品および/または検出器を用いることを意味するが、全ての実施形態は、アライメントセンサがマークによる回折の後に放射を第2検出構成に誘導する反射部品を含む光構成を含むことと、第2検出構成が光構成によって出力される検出放射の形状、サイズおよび/または位置の変化を検出しかつマークのデフォーカスおよび/または局所的傾斜を検出された変化から計算するように構成されることとで共通する。したがって、第2検出構成は、第2検出構成の機能に必要とされる検出器と光学部品との組み合わせを含んでよい。これらの光学部品は、ミラー、部分的透過ミラー、レンズ、ビームスプリッタなどを含むことができる。
【0052】
[0052] 次に記載する例の第1フィーチャは、入射角の限られた範囲(瞳面の限られた半径範囲)でのオフアクシス照明の使用である。オフアクシス照明により、放射の放射源領域は瞳の周辺部に閉じ込められる、つまり、光軸から少し離れていることを意味する。照明を瞳の最周辺部に閉じ込めることは、実質的に/NAから実質的に/2NAまでのアライメントマークの最小限のピッチを減少させる。ここでは、λは使用される放射の波長であり、NAは器具(例えば、アライメントセンサまたはより一般的には位置測定装置)の対物レンズの開口数である。記載する例は、さらに、装置のビームスプリッタ内のスポットミラーの特定の分配を使用する。これは所望の照明を提供しかつデフォーカスおよび傾斜測定のためにゼロ次回折放射を第2検出構成に誘導することができる。照明モードを変化させずに任意のX、YおよびXYマーク上での位置合わせを可能にする「ユニバーサル」な照明プロファイルを設計することができるが、これは性能の一部に支障および/または装置における一部の複雑性を生むことを避けられない。あるいは、専用のモードを、異なるマークの種類との使用のために設計および選択可能にすることができる。照明の異なる偏光も選択することができる。
【0053】
[0053] 記載する全てのプロファイルでは、照明プロファイルは、対物レンズの瞳内の少なくとも第1および第2放射源領域からコヒーレント放射を供給するように構成される。第1および第2領域は、瞳の周辺部に閉じ込められる(少なくとも光軸から離れるという意味)。この領域は、それぞれ、角度範囲が限られており、光軸に対して互いに直径方向に対向するように位置決めされる。例からも分かるように、放射源領域は、非常に小さいスポットの形態を有するか、またはより拡大された形態を有していてもよい。さらなる放射源領域を設けることができ、特に、第3および第4放射源領域が第1および第2領域に対して90°回転されて設けられてもよい。装置は全体として、これらの特定の照明プロファイルを提供することに限定される必要はない。装置は、様々なプロファイルの使用を好む、周知のまたはまだ開発されてない他の使用モードを有してもよい。他のマークおよび測定方法との適合性のためのオンアクシス照明プロファイルが一例である。
【0054】
[0054]
図10は、照明プロファイル448を有する測定装置の例を示している。公知のアライメントセンサおよび
図7の例の要素が多数適用されていることが当業者に分かる。同じ参照番号が用いられているが、接頭部が「2」また「5」から「4」に変更されている。したがって、照明サブシステム440は、放射源420およびファイバ442を含む。入力ビーム422は、ビームスプリッタ454を介して瞳面Pを有する対物レンズ424に送られる。対物レンズ424は、ウェーハW上のアライメントマーク202にスポット406を形成する。情報保有ビーム426は、ビームスプリッタ454を通過して自己参照干渉計428に到達する。干渉計428は、放射フィールドを二等分に分割し、この部分を互いに180°回転させて出射ビーム482へと再結合させる。レンズ484は、フィールド全体の焦点を検出器630に合わせ、これは
図3の周知のアライメントセンサと類似する構成である。検出器630での空間分解能は必要ではないが、当然のことながら他の目的のために提供することもできる。
【0055】
[0055] ビームスプリッタ454内では、所望の照明プロファイル448に対応するパターンで内部インターフェースに個別のミラーセグメントが形成されてもよい。実際には、このパターンは歪んだ形のインターフェースに適用される必要があり、それによって入力および出力方向からみたとき図のようにみえる。
【0056】
[0056] 適用された場合、セグメント化されたミラーは、回折放射のゼロ次信号に対する反射面として第2機能を果たす。しかしながら、
図3の公知のアライメントセンサ内のスポットミラー223とは異なって、各ミラーセグメントはそれ自体の反射面として機能することはできない。なぜなら、ゼロ次信号は、ターゲットに反射されて入射角に対して180°対向する角度で対物レンズに再度入る。しかしながら、ミラーは180°の対称性のパターンを有するので、ミラーの各セグメントは、直径方向に対向するセグメントに対するゼロ次信号を反射する反射面として機能することができる。このようにして、追加の構成部品を加えることなく、干渉計428に入って破線で示すようにビームスプリッタ421’に向かって反射する前に情報保有ビーム426からゼロ次信号を取り除くことができ、ゼロ次信号の少なくとも一部は、基板Wのデフォーカスおよび/または傾斜を検出するために第2検出構成431’に誘導される(破線で示す)。
【0057】
[0057] あるいは、部分的に透過的の表面がビームスプリッタ454で使用されるときにゼロ次信号を含み得る回折放射は、ここではビームスプリッタとして組み込まれる光学素子421(実線で示す)によって第2検出構成431(実線で示す)に向かって誘導することができる。第2検出構成431または431’では、ゼロ次信号および/または高次信号は、
図4A、
図4B、
図6Aおよび
図6Bに関連して記載する方法と同じように用いて基板Wのデフォーカスおよび/または傾斜を検出することができる。
【0058】
[0058]
図8は、2つのスポットを有するオフアクシス照明プロファイルを有する測定装置の一部を示している。
図8による測定装置は、他の実施形態に関連して説明された多数の要素を使用する。同じ参照番号を用いているが、接頭部を「8」に変更している。
【0059】
[0059]
図8では、図示していない照明構成は、ミラー850およびビームスプリッタ854を介して放射を対物レンズ824に供給する。対物レンズ824は、基板W上のマークに放射スポットを形成する。
【0060】
[0060] マークによって回折された放射は、ビームスプリッタ854によって少なくとも部分的にミラー850に戻るように誘導される。ミラー850は、マークの回折の後にミラーに誘導される放射の一部、例えば全放射の10%を透過させる。ミラー850を透過した放射は、ここでは単に検出器831として具体化された第2検出構成に向かって誘導される。
【0061】
[0061]
図8の基板は対物レンズ824と合焦され、この例では傾斜は存在しない。
図8は、さらに、高次信号を無視してゼロ次信号も用いた場合の検出器831上の放射のイメージを示している。2つのスポット831aおよび831bは検出器表面上に形成され、スポットは測定装置の光軸の対向側に配置される。
【0062】
[0062]
図9Aは、基板Wのデフォーカスの場合の
図8の測定装置を示している。デフォーカスにより、スポットは検出器831上で異なって結像される。結果として生じるスポットは、参照番号831a’および831b’で示されている。焦点が合っていて傾斜がない場合のスポット配置も、参考のために破線で示され参照番号831aおよび831bと称される。デフォーカスは2つのスポット間の距離を変化させるが、2つのスポットの幾何学的中心を変化させないことが分かる。
【0063】
[0063]
図9Bは、基板Wの傾斜の場合の
図8の測定装置を示している。傾斜により、スポットは検出器831上に異なって結像される。結果として生じるスポットは、参照番号831a’’および831b’’で示されている。焦点が合っていて傾斜がない場合のスポット配置も、参考のために破線で示され参照番号831aおよび831bと称される。傾斜は2つのスポットの幾何学的中心を変化させるが、2つのスポット間の距離を変化させないことが分かる。
【0064】
[0064]
図9Cは、基板Wのデフォーカスおよび傾斜の場合の
図8の測定装置を示している。傾斜およびデフォーカスにより、スポットは検出器831上に異なって結像される。結果として生じるスポットは、参照番号831a’’’および831b’’’で示されている。焦点が合っていて傾斜がない場合のスポット配置も、参考のために破線で示され参照番号831aおよび831bと称される。傾斜およびデフォーカスそれぞれにより、2つのスポットの幾何学的中心および2つのスポット間の距離が変化したことが分かる。傾斜は、2つのスポットの幾何学的中心の位置の変化を特定することによって決定でき、デフォーカスは、2つのスポット間の距離の変化を特定することによって決定できる。
【0065】
[0065] オンアクシスおよびオフアクシス照明プロファイルの違いは、オンアクシス照明プロファイルを有するデフォーカスはスポットのサイズ変化という結果となるが、オフアクシス照明プロファイルを有するデフォーカスはスポットの位置変化という結果となることである。一部の場合、使用される検出器により、位置変化の特定はサイズ変化の特定より容易である。
【0066】
[0066]
図8および
図9A〜
図9Cに関連するデフォーカスおよび傾斜の検出のオフアクシス原理が
図3、
図4Aおよび
図4Bに関連するデフォーカスおよび傾斜の検出のオンアクシス原理と類似点を示すのと同様に、
図5、
図6Aおよび
図6Bに関連するデフォーカスおよび傾斜の検出のオンアクシス原理と同等のオフアクシス原理も存在する。オフアクシスの同等物では、2つのスポットはフォーカスおよび傾斜の場合に最小限に検出可能であるが、デフォーカスおよび傾斜による1つのまたは両方のスポットの位置のシフトによってより検出可能となる。同様に、2つのスポット間の距離の変化はデフォーカスを表し、2つのスポット間の幾何学的中心は傾斜を表す。
【0067】
[0067]
図8および
図9A〜
図9Cのスポットの位置は、位置敏感型検出器(Position Sensitive Detector)(PSD)、CCDカメラまたはあらゆる類似デバイスを用いて適切な第2検出構成で検出することができる。しかしながら、多素子光ダイオード、例えばアレイ構成で4つの光ダイオードを用いるクワッドセルを用いてスポットの位置を検出することも可能である。
【0068】
[0068]
図11は、アレイで配置された4つの放射感応性表面、QC1、QC2、QC3およびQC4のそれぞれを含むクワッドセルQCの正面図を示しており、各表面は、表面に入射する放射の量を表す出力信号を提供する。スポットがクワッドセルに入射すると、放射感応性表面の出力を用いてクワッドセル上のスポットの位置を決定することができる。例えば、Y方向のスポットの位置は、表面QC3およびQC4の出力と表面QC1およびQC2の出力とを比較することによって決定することができる。同様に、表面QC1およびQC3の出力と表面QC2およびQC3の出力とを比較してX方向のスポットの位置を決定することができる。
【0069】
[0069] スポットは、光ファイバ用いて多素子光ダイオードに向かって誘導されてよく、各放射感応性表面にファイバが設けられる。その場合スポットは光ファイバに入射し、各ファイバはスポットの対応部分をそれぞれの放射感応性表面に透過させる。光ファイバを用いることの利点は、多素子光ダイオードの形態を有する検出器がセンサの他の部分からさらに離れて配置できることであり、これは熱の観点からみて好都合である。放射の放散による検出器での熱の生成および関連の電子機器のジュール加熱は、センサまたは他のあらゆる近くの構成部品の精度にあまり影響を与えないことができる。
【0070】
[0070] 多素子光ダイオードの使用に対しては、スポットのサイズおよびスポットの位置の許容シフトは、位置決定に適するために特定の範囲にあるべきであることに留意されたい。
【0071】
[0071] さらに、スポットの位置を一方向で決定するためには最低2つの放射感応性表面が使用され、スポットの位置を二方向で決定するためには少なくとも3つの放射感応性表面が好ましいことに留意されたい。スポットの一部を2つの放射感応性表面に入射させるだけで2つの放射感応性表面を用いて位置を二方向で検出することが可能であり、それによって2つの放射感応性表面間の差信号は一方向の位置を表し、2つの放射感応性表面の合計信号は別の方向の位置を表す。しかしながら、実際には、クワッドセルが最も使いやすい。なぜなら、2つの直交する方向のスポットの位置の決定を可能にする一方、合計信号を標準化として用いて放射強度変化の影響を減らすからである。
【0072】
[0072] 多素子光ダイオードは、ゼロ次信号または任意の高次信号のスポットを決定するために用いることできる。高次信号のスポットを用いる場合、高次信号のスポット位置はマークのピッチに依存しているので、多素子光ダイオードの位置はマークのみの単一ピッチまたは小さい範囲のピッチのため専用であってよい。ゼロ次信号のスポット位置は、マークのピッチから独立している。
【0073】
[0073] 上記の
図7および
図10に示す例では実際に干渉計の周りで使用されるいくつかの偏光素子を省いていることに留意されたい。これはこの考案の説明を簡略化するためのみに行われる。実際の実装では、それらは一般的に含まれる。さらに、マークの種類によって異なる偏光を用いて測定を行うことおよび/または各マークに対して1つより多い偏光を用いて測定を行うことは慣習的である。所望の偏光を達成するためのフィーチャは、当業者によって容易に想定することができる。
【0074】
[0074] 当然のことながら、アライメントセンサを制御し、それによって検出された信号を処理し、かつこれらの信号に基づいてリソグラフィパターン処理を制御するための使用に適した位置測定を計算する処理ユニットPUは、一般的には、ある種のコンピュータアセンブリを含むが、ここでは詳細に説明しない。コンピュータアセンブリは、装置の外部の専用コンピュータであってもよく、またはアライメントセンサ専用の1つのまたは複数の処理ユニットであってもよく、あるいは、リソグラフィ装置を全体として制御する中央制御装置LACUであってもよい。コンピュータアセンブリは、コンピュータ実行コードを含むコンピュータプログラム製品をロードするように配置することができる。これにより、コンピュータプログラム製品がダウンロードされた場合、コンピュータアセンブリは、上記したアライメントセンサASとのリソグラフィ装置の使用を制御することができる。
【0075】
[0075] デフォーカスおよび/または傾斜が回折放射を用いて一度決定されると、この情報は様々な方法で使用できる。1つの方法は、マークを適切に位置決めすることによって、例えば
図1の装置に関連して説明した基板サポートを用いてデフォーカスおよび/または傾斜を修正することである。マークの焦点および向きは基板サポートによって行われた修正によって改善されるので、マークの位置測定はより正確であり、すなわち、2つ以上の特定の波長を有する放射を用いた場合の測定された見かけの位置ずれおよび色変化は減少される。デフォーカスおよび/または傾斜を修正できることは、デフォーカスおよび/または傾斜に対するより高いセンサ感度を補償することができるのでより高い開口数の使用も可能にする。
【0076】
[0076] デフォーカスおよび/または傾斜情報を使用する別の方法は、デフォーカスおよび/または傾斜情報に基づいて重み係数を決定することである。この重み係数は、マークの測定位置の信頼性を表す。モデルを測定位置に適合させた場合、重み係数は、より信頼性の高いマークと比べてあまり信頼性のないマークがモデルに対して小さい寄与をするように対応するマークの測定位置と組み合わせることができ、それによって適合されたモデルの精度を上げる。適合されたモデルはまた、基板上の他のポイントの位置を推定するために使用することができ、それによって例えば第2パターンを基板に転写して基板上の他のポイントと位置合わせすることができる。
【0077】
[0077] 回折放射は、例えばマークによる放射の散乱に基づいてマーク形状パラメータを予測するために使用することができる。マーク形状パラメータは、例えば、深さ、層の厚さ、N
k値、ピッチ、クリティカルディメンション、側壁角度等を含んでよい。したがって、回折放射における情報は、スペクトル分光スキャトロメータを行うために使用することができる。
【0078】
[0078] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツールおよび/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0079】
[0079] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0080】
[0080] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外線(UV)(例えば、365nm、355nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長、またはおよそこれらの値の波長を有する)、および極端紫外線(EUV)(例えば、5〜20nmの範囲の波長を有する)、ならびにイオンビームや電子ビームなどの微粒子ビームを含むあらゆる種類の電磁放射を包含している。
【0081】
[0081] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0082】
[0082] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0083】
[0083] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。