(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992334
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】ウエハのエッジおよび斜面の堆積を修正するためのシャドウリング
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20160901BHJP
C23C 16/04 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
H01L21/31 C
C23C16/04
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-547135(P2012-547135)
(86)(22)【出願日】2010年12月21日
(65)【公表番号】特表2013-516766(P2013-516766A)
(43)【公表日】2013年5月13日
(86)【国際出願番号】US2010061470
(87)【国際公開番号】WO2011082020
(87)【国際公開日】20110707
【審査請求日】2013年11月25日
(31)【優先権主張番号】61/291,680
(32)【優先日】2009年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】デュ ボワ, デール
(72)【発明者】
【氏名】アユブ, モハマド
(72)【発明者】
【氏名】キム, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】バンサル, アミット
(72)【発明者】
【氏名】フォーダー, マーク
(72)【発明者】
【氏名】グエン, ビン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シュー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ユー, ハン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, チーウ
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニ, ガネーシュ
(72)【発明者】
【氏名】パディ, ディーネッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ロッチャ, フアンカルロス
【審査官】
小川 将之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05326725(US,A)
【文献】
特開2001−274104(JP,A)
【文献】
特表2004−519089(JP,A)
【文献】
特開平11−102958(JP,A)
【文献】
特表2007−527628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/203
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/363−21/365
H01L 21/302
H01L 21/3065
H01L 21/67−21/683
C23C 14/00−14/58
C23C 16/00−16/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積チャンバ内で使用するシャドウリングであって、
上面および底面を有する環状の本体であって、底面が第1の環状の底面及び第2の環状の底面を含み、第2の環状の底面が第1の環状の底面に対して内側に設置されたくぼんだスロット内に設置され、第2の環状の底面が第1の環状の底面の上方に深さを有する、環状の本体と、
第1の環状の底面から延在する少なくとも1つのピン部材と、
くぼんだスロットに対して内側に延在する環状の縁であって、該環状の縁が垂直な表面と第3の環状の底面とを有し、該第3の環状の底面が第1の環状の底面と第2の環状の底面の間の深さで、該垂直な表面が該第3の環状の底面を該第2の環状の底面に接続する、
シャドウリング。
【請求項2】
少なくとも1つのピン部材が先細の側部を有する、請求項1に記載のシャドウリング。
【請求項3】
少なくとも1つのピン部材が円錐台形状である、請求項1に記載のシャドウリング。
【請求項4】
くぼんだスロットが約0.254mm以上の幅を有する、請求項1に記載のシャドウリング。
【請求項5】
シャドウリングの外径上に配置される1つまたは複数の突起をさらに備える、請求項1に記載のシャドウリング。
【請求項6】
ウエハ上に材料を堆積させるためのチャンバであって、
チャンバ本体と、
ウエハを支持するための上面を有する基板支持体と、
シャドウリングと
を備え、シャドウリングが、
第1の環状の底面と、
第1の環状の底面から延在する少なくとも1つのピン部材と、
第1の環状の底面に対して内側に設置されたくぼんだスロット内に設置された第2の環状の底面であって、第2の環状の底面が第1の環状の底面の上方に深さを有する、第2の環状の底面と、
くぼんだスロットに対して内側に延在する環状の縁であって、該環状の縁が垂直な表面と第3の環状の底面とを有し、該第3の環状の底面が第1の環状の底面と第2の環状の底面の間の深さで、該垂直な表面が該第3の環状の底面を該第2の環状の底面に接続する、
チャンバ。
【請求項7】
基板支持体の上面に少なくとも1つの位置合わせ凹部をさらに備え、少なくとも1つの位置合わせ凹部が少なくとも1つのピンと結合し、シャドウリングを基板支持体に対して位置合わせする、
請求項6に記載のチャンバ。
【請求項8】
少なくとも1つのピン部材が先細の側部を有する、請求項7に記載のチャンバ。
【請求項9】
少なくとも1つのピン部材が円錐台形状である、請求項7に記載のチャンバ。
【請求項10】
処理チャンバ内で堆積プロセス中のウエハのエッジにおける材料の堆積を調整する方法であって、
ウエハのエッジにおいて、堆積に影響を及ぼし堆積均一性を改善するように、シャドウリングの少なくとも1つのパラメータを変更するステップを含み、シャドウリングが、
第1の環状の底面と、
第1の環状の底面に対して内側に設置されたくぼんだスロット内に設置された第2の環状の底面であって、第2の環状の底面が第1の環状の底面の上方に深さを有する、第2の環状の底面と、
第1の環状の底面から延在する少なくとも1つのピン部材と、
くぼんだスロットに対して内側に延在する環状の縁であって、環状の縁が第1の環状の底面と第2の環状の底面の間の深さで第3の環状の底面を有する、環状の縁と
を備える、方法。
【請求項11】
シャドウリングのパラメータを変更するステップが、くぼんだスロットのサイズを改変するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
シャドウリングのパラメータを変更するステップが、シャドウリングの上面から材料を追加または除去するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
シャドウリングのパラメータを変更するステップが、環状の縁のサイズを増加または減少させるステップのうちの1つのステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
シャドウリングのパラメータを変更するステップが、シャドウリングを形成する材料の組成物を変更するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ウエハのエッジおよび斜面上のプロセスガスの堆積を向上させる、または場合によってはそれに影響を及ぼすシャドウリングの修正に関する。
【背景技術】
【0002】
熱およびプラズマ化学気相堆積(CVD)は、半導体ウエハ上に薄膜材料を堆積させるために使用される複数のプロセスの一部である。熱CVDを使用してウエハを処理するために、ウエハを受け取るよう構成される基板支持体とともに、真空チャンバが備えられる。典型的なCVDチャンバでは、ウエハは、ロボットブレードによって、チャンバ内に配置され、チャンバから取り出され、処理の期間、ウエハはウエハ支持体により支持される。前駆体ガスが、ウエハの上方に位置するガスマニホルド板を通って、真空チャンバ内に送達され、ウエハは、一般に約250℃から650℃の範囲内のプロセス温度に加熱される。前駆体ガスは加熱されたウエハ表面上で反応し、ウエハ表面上に薄い層を堆積させ、揮発性の副生成物ガスを形成する。副生成物ガスは、チャンバ排気システムを通ってポンプ送出される。熱CVDプロセスにおいて、電気抵抗タイプのヒータなどのヒータを、ウエハを加熱するために使用することができる。プラズマCVD(PECVD)では、1つまたは複数のRF電極が設けられ、ガスにエネルギーを与え、プラズマを形成する。前駆体を活性化し薄膜層を形成するための熱は、プラズマにより提供される。
【0003】
ウエハ処理の主要目的は、最大の有効表面領域を得、その結果、各ウエハから可能な最大数のチップを得ることである。このことは、ウエハのエッジを含む、ウエハ表面が可能な限り無駄にならないように、処理されるウエハのエッジ除外を最小化するよう、半導体チップ製造業者からの最近の要望により、強調されている。考えるべきいくつかの重要な要因として、ウエハ上に堆積させられる層の均一性および厚さに影響を及ぼす処理変数、およびウエハに付着し、ウエハ上に形成されたデバイスの全てまたは一部に欠陥をもたせる、または役に立たなくさせる場合がある汚染物質が挙げられる。これらの要因の両方は、処理される各ウエハで、有効表面領域を最大化するために制御しなければならない。
【0004】
チャンバ内の粒子汚染の1つの発生源は、後続のプロセスの期間にはがれ落ちるまたは剥離する、ウエハのエッジまたは裏側に堆積した材料である。ウエハエッジは、典型的には斜角を付けてあり、この表面を覆って堆積を制御することを困難にしている。したがって、ウエハエッジにおける堆積は典型的には不均一であり、金属が堆積させられる場合、シリコンに対してとは別様で誘電体に対して付着する傾向がある。ウエハの誘電体層が斜面に延在しない場合、金属がシリコンの斜面に堆積し、最終的にチップまたは薄片がチャンバ内に不要な粒子を発生する可能性がある。加えて、化学機械研磨を使用して、タングステンまたは他の金属で被覆されたウエハの表面を平滑化することがしばしばある。研磨の行為によって、エッジおよび裏面の任意の堆積物がはがれ落ち、不要な粒子を生成することになる可能性がある。
【0005】
処理の期間にウエハのエッジ上の堆積を制御するため、複数の手法が使用されてきた。1つの手法は、ウエハの周辺部分をプロセスガスから基本的にマスクする、または遮蔽するシャドウリングを使用する。シャドウリング手法の1つの欠点は、ウエハの周辺部分をマスクすることによって、シャドウリングがウエハの全体的な有効表面領域を減少させることである。この問題は、シャドウリングがウエハに正確に位置合わせされていない場合に悪化し、位置合わせは、達成が困難である可能性がある。さらに、ウエハのエッジから熱を(抵抗タイプの熱源とプラズマタイプの熱源の両方から)引き抜くことにより、シャドウリング自体が、ウエハのエッジ部位内の堆積均一性に影響を及ぼす。
【0006】
したがって、エッジの堆積均一性を増加させ、粒子汚染の機会を減少させることが可能となるように、シャドウリングを改善する必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明の実施形態は、一般に、ウエハのエッジにおける堆積を改善するためのシャドウリングを提供する。シャドウリングの様々なパラメータが、シャドウリングによりもたらされる熱効果およびプラズマ効果を変更するように調整され、このことによって、ウエハのエッジにおける材料の堆積を調整する。
【0008】
第1の実施形態において、本発明は、堆積プロセス中のウエハのエッジを遮蔽するためのシャドウリングである。シャドウリングは環状の上面および環状の底面を含み、底面は、基板支持体と係合するための第1の部分、および環状の底面の周りに延在し、底面の第1の部分の上方の第1の距離にある環状のくぼんだスロットを有する。
【0009】
さらなる実施形態において、本発明は、ウエハ上に材料を堆積させるためのチャンバである。チャンバは、チャンバ本体、ウエハを支持するための上面を有する基板支持体および基板支持体の上面上に支持されるシャドウリングを有する。シャドウリングは環状の上面および環状の底面を含み、底面は、基板支持体の上面と係合するための第1の部分、および環状の底面の周りに延在し、底面の第1の部分の上方の第1の距離にある環状のくぼんだスロットを有する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、堆積プロセス中のウエハのエッジにおける、材料の堆積を調整する方法である。方法は、材料から形成され上面および底面を有するシャドウリングを準備すること、およびシャドウリングの少なくとも1つのパラメータを変更して堆積に影響を及ぼし、ウエハのエッジにおける堆積の均一性を改善することを含む。
【0011】
本発明の上記の特徴を詳細に理解することが可能なやり方を、上で簡単に要約された本発明のより具体的な説明が実施形態を参照することによってわかることができるように、その一部が添付の図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】非処理位置におけるシャドウリングおよび基板支持体の1つの実施形態を示す、チャンバの概略断面図である。
【
図2】処理位置におけるシャドウリングおよび基板支持体を示す、
図1のチャンバの概略断面図である。
【
図3】チャンバ本体リング上に支持されるシャドウリングの1つの実施形態の上面図である。
【
図4】
図3のシャドウリングのさらなる実施形態のピン領域の、部分概略断面図である。
【
図5】
図3のシャドウリングのさらなる実施形態のピン領域の、部分概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図が見やすいように、適用可能な場合は、図に共通な同一の要素を指定するため、同一の参照番号が使用されている。1つの実施形態の特徴が、さらなる記述なしに、他の実施形態に組み込まれ得ることが意図される。
【0014】
本発明の実施形態は、ウエハのエッジにおいて堆積均一性を増加し、一方ウエハの表面の不要な部位上の堆積を最小化するシャドウリングを意図する。具体的には、実施形態は、ウエハのエッジ除外領域内の堆積を改変する、シャドウリングの修正を含む。シャドウリングの実施形態は、シャドウリング形状を調節することにより、ウエハのエッジ上の堆積の増加または減少を可能にすることができる。シャドウリングの上面および/または底面からの材料の除去を、エッジ堆積および斜面カバレージを増加させるために使用することができる。1つの実施形態において、シャドウリングの底面の材料は、シャドウリングの底面にくぼんだスロットを設けることにより減少する。1つの実施形態において、シャドウリングの材料の量を増加することにより、エッジ堆積および斜面カバレージの量が減少する。ウエハのエッジにおける堆積を調整するための他の手法として、シャドウリングの内径を増加または減少させること、およびシャドウリングを形成する材料の組成物を調整することが挙げられる。例えば、材料の熱伝導率は、シャドウリングの熱特性に影響を及ぼすように変えることができる。そのために、熱プロセス中のウエハのエッジ部位に印加される熱が制御され、この部位内の堆積に影響を及ぼすことができる。シャドウリングが作られる材料の誘電率を変更して、プラズマに基づくプロセス中のシャドウリングのプラズマ結合特性に影響を及ぼすことができる。そのために、プラズマ堆積処理中のプラズマとウエハのエッジ部位の間の相互作用が制御され、その部位内の堆積に影響を及ぼすことができる。
【0015】
図1は、チャンバ本体100内で下げられた非処理位置に位置する基板支持体13を有する、チャンバ150の横断面図である。シャドウリング4は、基板支持体13および基板支持体13上に配設されるパージリング15など第2のリングの上方に、処理チャンバ本体100の内面102上に配設されるチャンバ本体リング200により支持される。基板支持体13は、アルミニウムおよび/またはセラミックなどの化学処理に耐性のある材料でできていて良く、基板支持体13内に配設され、ヒータ電源112から電力を供給される抵抗加熱コイルなどの加熱素子7を含むことができる。
図1および
図2における基板支持体13の実施形態は、処理部位106内にプラズマPを誘起するために使用され得るRF電極17を含む(
図2参照)。電極17は、電極17と接地の間にRF電流を生成するRF電源108に接続して良く、接地は、典型的には処理チャンバ本体100の壁である。シャワーヘッド110は、堆積プロセスに要求される、必要な堆積およびプラズマガスを処理部位106に提供する。真空口12(1つが示される)が設けられ、真空源114に取り付けられ、堆積の要件に応じて、処理部位106内を真空環境に維持することができる。1つの実施形態において、シャドウリング4は、シャドウリング4の周辺の周りに等しく離間し、そこから下向きに延在する、複数の先細または円錐台形状のピン19(2つが示される)を備える。パージリング15は、その中に形成される、少なくとも1つの先細または円錐台形状の位置合わせ凹部5、および少なくとも1つの先細または円錐台形状の位置合わせスロット6を含む。本発明は、その上にピンを有するシャドウリング、およびその上に凹部/スロットを有するパージリングを備えて示され、記載されるが、発明は、ピンおよび凹部/スロット結合が、シャドウリングまたはパージリングのいずれかに配設され得る実施形態を企図することが理解される。本発明は、ピンまたは凹部/スロットのいずれかが先細面を含む実施形態も企図する。さらに、シャドウリングがパージリングとともに使用される状態が示されているが、いくつかの実施形態において、パージリングは必要でなく、位置合わせ凹部5およびスロット6は、基板支持体13内に直接形成される場合がある。
【0016】
1つの実施形態において、ピン19は、位置合わせ凹部5および位置合わせスロット6とインターフェースするように配置される。位置合わせ凹部5および位置合わせスロット6は、少なくとも、複数のピン19のうちの対応するピンと同じくらいの幅である。ピン19と位置合わせ凹部5および位置合わせスロット6の結合は、熱サイクルに起因する膨張および収縮または他の原因によって、シャドウリング4の動きを、位置合わせスロット6の長さ未満に制限する。ピン19は、パージリング15に対するシャドウリング4の回転運動も制限し、このことにより、回転位置合わせを実現させる。
図1および
図2に示されるように、ピン19は、好適には基部から頂部に向かって先細になる、円錐台形状を有する。位置合わせ凹部5および位置合わせスロット6は、先細ピン19を収容するために、より広い開口部およびより狭い底部を形成する、整合先細側壁を有する。この構成により、2つのリング間の全体の位置ずれに対応し補正する。というのは、より大きな位置ずれ余裕をもって、ピン19のより狭い先端部を、凹部5およびスロット6のより広い開口部の中に挿入することができるからである。したがって、先細でない(すなわち、円筒形の)ピンではなく円錐台形状または先細のピン19、凹部5、およびスロット6を用いて、シャドウリングとパージリングを1つにするとき、ピン19が凹部5およびスロット6の中に挿入されると、熱膨張または他の原因に起因するシャドウリング4とパージリング15の位置ずれを補正することができる。ピン19が凹部5およびスロット6の中に挿入されると、ピン19の面が凹部5またはスロット6により画定される面に沿って摺動するので、シャドウリング4とパージリング15の間の位置ずれが補正される。したがって、ピン19が完全に凹部5およびスロット6の中に挿入されると、2つのリングは位置合わせされ、シャドウリングとパージリングの間で、正確な位置合わせおよび回転位置合わせが実現する。シャドウリング4は、洗浄または交換のために取り出され、次いで正確に再配置され再度位置合わせすることができる。そのために、休止時間およびウエハ破損の可能性が最小化される。
【0017】
図3は、チャンバ本体リング200上に支持されるシャドウリング4の1つの実施形態の上面図である。チャンバ本体リング200は、チャンバ本体100の内面102に結合される。チャンバ本体リング200は、チャンバ本体リング200の内面220の上部に形成される複数の凹部202を含む。シャドウリング4は、凹部202により画定されるチャンバ本体リング200の面に載るように構成される複数の突起10を含む。好ましくは、4つの突起10が、シャドウリング4の周辺に沿って、等しく離間する。シャドウリング4がパージリング15と結合しないとき、シャドウリング4は、凹部202の面に載っている突起10を介して、チャンバ本体リング200により支持され得る。凹部202は、シャドウリング4の熱膨張に対応するようにサイズ決定され、しかもシャドウリング4がパージリング15と十分に位置合わせするよう保たれ、その結果、ピン19が凹部5およびスロット6の捕捉範囲内に留まる。凹部202の側壁面も、シャドウリング4をチャンバ本体リング200の所望の合わせ位置に促すように先細にされて良い。
【0018】
図2は、処理位置における基板支持体13を示す、チャンバの横断面図である。示すように、基板支持体13と結合されたパージリング15は、シャドウリング4と接触し、持ち上げる。シャドウリング4のピン19は、パージリング15の凹部5およびスロット6の中に挿入される。そのために、シャドウリング4がチャンバ本体リング200から持ち上げられ、その結果、シャドウリング4の突起10は、凹部202により画定されるチャンバ本体リング200の内面220から持ち上げられる。この構成において、シャドウリング4は、ウエハWの上方約3から5ミリメートルに配置され、ウエハWの周辺またはエッジの部分の上にかかり、処理の期間、その上の堆積を制御する。ウエハWの周辺の周りの領域は、エッジ除外領域と呼ばれることがある。エッジ除外領域を減少させることにより、ウエハWのより広い部分に堆積させて、ウエハ上に、より多くの有効なデバイスを形成することができる。しかし、エッジ除外が小さすぎる場合、ウエハWと基板支持体13の間に架橋が発生し、したがってウエハまたは基板支持体に粒子および/または損害を生じる場合がある。
【0019】
動作において、基板支持体13は、
図1に示すように、最初はウエハ移送位置に下げられる。次いで、ロボットブレード(図示せず)を備えるウエハハンドラは、基板支持体13の上方の位置にウエハを運ぶ。リフトピン(図示せず)がロボットブレードからウエハWを持ち上げ、ロボットブレードは引っ込む。基板支持体13は、その上にウエハWを配置するために持ち上げられ、次いで基板支持体13は、
図2に示すように、基板支持体13に取り付けられるパージリング15がシャドウリング4をチャンバ本体リング200から処理位置に持ち上げるように、さらに上昇する。パージリング15がシャドウリング4と係合すると、ピン19は、位置合わせ凹部5および位置合わせスロット6の中に挿入される。ピン19の先細面は、位置合わせ凹部5および位置合わせスロット6の先細面に沿って摺動し、シャドウリング4がパージリング15と所望の位置合わせになるよう促す。一度ウエハWが処理位置になると、前駆体ガスがチャンバ処理部位106内に供給され、熱が、加熱素子7によって、または不活性ガスおよび/または前駆体ガスならびにRF電極17を使用して形成されるプラズマによって提供される。
【0020】
図4は、本発明の1つの実施形態にしたがうシャドウリング400の、概略部分断面図である。シャドウリング400は、
図1〜3を参照して上で記載した、シャドウリング4であって良い。シャドウリング400の、この実施形態の底面402は、実質的に平面である。ピン19は、底面402から下向きに延在し、突起10は、
図3と併せて議論したシャドウリング4に関連して上で記載した位置合わせの目的で、シャドウリング400の外周から延在する。突起10の底面は、シャドウリング400の底面402の残りと、実質的に同一平面である。環状の縁404が、シャドウリング400の内周の周りに延在する。縁404は、ウエハWの上面の上方の距離D
1にある底面406を有する。1つの実施形態において、距離D
1は、約0mm(ウエハWと接触)と約0.762mm(0.030”)の間である。1つの実施形態において、シャドウリング400の底面402は、基板支持体13の上面によって、またはパージリング15が含まれるときは、パージリング15の上面によって支持される(
図2参照)。縁404は、距離D
2だけウエハWのエッジまたは斜面Bの上にかかる。1つの実施形態において、距離D
2は、約0.1mmと約1.5mmの間である。
【0021】
図5は、本発明のさらなる実施形態にしたがうシャドウリング500の概略部分断面図である。シャドウリング500は、
図1〜3を参照して上で記載した、シャドウリング4であって良い。シャドウリング500は、シャドウリング400の縁404と同様に、シャドウリングの内周の周りに延在する環状の縁504を含む。ピン19は、底面502から下向きに延在し、突起10は、シャドウリング4に関連して上で記載した位置合わせの目的で、シャドウリング500の外周から延在する。1つの実施形態において、シャドウリング500の底面502は、シャドウリング500の周りに延在する環状のくぼんだスロット506を含む。
図5に示すように、底面502の部分508は、ピン19および突起10の部位でくぼんでいない。部分508は、上で記載したように、基板支持体13の上面と、またはパージリング15が含まれるときは、パージリング15の上面と係合し、シャドウリング500の適切な配置を実現する。
【0022】
くぼんだスロット506は、基板支持体13内のRF電極17および/または加熱素子7に面する、底面502上のシャドウリング500の材料を減少させる。この領域内の材料の量を減少することにより、熱結合特性およびプラズマ結合特性が変化する。くぼんだスロット506の追加によって、ウエハWの斜面における堆積の増加、およびウエハWのエッジにおける膜厚の増加をもたらすことが見出された。縁504は、ウエハWの上面の上方の距離D
1にある底面505を有する。1つの実施形態において、距離D
1は、約0mm(ウエハWと接触)と約0.762mm(0.030”)の間である。縁504は、距離D
2だけウエハWのエッジまたは斜面Bの上にかかる。1つの実施形態において、距離D
2は、約0.1mmと約1.5mmの間である。
図5に見られるように、くぼんだスロット506は、シャドウリング500の底面502の上方に、距離または深さD
3である上面507を有する。1つの実施形態において、距離D
3は、0mm(シャドウリング400を用いる場合と同様に)とシャドウリング500のほぼ厚さ全体とすることができる長さの間である。くぼんだスロット506は、径方向に長さL
1で延在する。1つの実施形態において、くぼんだスロット506の径方向の長さL
1は、約0.254mm(0.10”)とシャドウリング500の外径近くまで延在することができる長さの間である。いくつかの実施形態において、くぼんだスロット506は、底面502全体にわたって、ピン19に隣接しない領域に延在する。他の実施形態において、底面502は、シャドウリング500の外周領域で、部分508と同じ高さであり、シャドウリングの外周の周りでシャドウリングを支持することを実現することができる。
【0023】
ウエハのエッジにおいて、堆積を修正し均一性を改善する別の手法は、シャドウリングの上面の材料の量を変化することによる手法であることが見出された。
図5に示すように、シャドウリングの材料の量を調整することにより、堆積プロセスの期間、ウエハにわたる堆積均一性および熱均一性を調整することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、材料の減少は、ウエハのエッジ上の堆積に、少なくとも3つのプロセスによって影響を及ぼすと考えられる。第1に、材料の減少は、領域の物理的な「シャドウイング」を減少し、堆積生成物がシャドウリングの下の領域に到達可能にする。第2に、材料の減少は、シャドウリングにより引き起こされるヒートシンク効果を減少し、加熱されるウエハのエッジが、ウエハの内側部分に対してより均一に加熱されることを可能にする。第3に、シャドウリングの材料の誘電率が、除去された材料が位置した空間を占める真空またはガスの誘電率(1.0に近い)よりも、著しく高いこと(AlNでは、8.9)である。ウエハのエッジを覆う空間の、全体の誘電率の減少は、プラズマの結合をより大きくし、その結果、ウエハのエッジ部位において、より速い堆積速度を達成することができる。
【0024】
図5のシャドウリング500は、いくつかの実施形態において、シャドウリングの上面の様々な修正形態を含む。シャドウリング500の上面510は、シャドウリング500の外周から突起10の上部を越えて延在する、第1の外側環状部分512を含む。1つの実施形態において、第1の外側環状部分512は、比較的水平である。シャドウリング500の上面510は、いくつかの実施形態において、外側環状部分512からシャドウリング500の環状の縁504に延在する第2の内側環状部分514も含む。内側環状部分514は、上面510が環状の縁504に向かって下向きに傾斜するように、外側環状部分512と角度αをなす。1つの実施形態において、角度αは、約5°と約60°の間である。
【0025】
図5は、シャドウリング500の修正された上面510も示す。この実施形態において、内側環状部分514は、点線514’により示される増加した厚さを有する。シャドウリング500のこの実施形態において、追加材料(514の上)によって、環状の縁504におけるシャドウリングの形状厚さを、第1の厚さD
4から第2の厚さD
5に増加する。1つの実施形態において、第1の厚さD
4は、最小で約0.127mm(0.005”)であり、第2の厚さD
5は、最大で約1.270mm(0.050”)である。必要なら、環状の縁504の領域におけるシャドウリング500の材料の量を増加させることにより、エッジ堆積および斜面カバレージの量を減少することができる。シャドウリング500の様々な実施形態の全体の厚さは、堆積プロセスに影響を及ぼすために、同じであって良く、または変更されても良い。
【0026】
エッジ除外領域内の堆積に影響を及ぼし、堆積均一性を改善するために他のシャドウリングのパラメータを変更することを含む、本発明のさらなる実施形態も企図される。
図3を参照して、本発明のさらなる実施形態が記載されるが、以下に記載の特徴は、本明細書に記載の様々なシャドウリング実施形態のいずれかを用いて使用され得ることを理解されたい。シャドウリング500の内周の内径は、Dと示される。直径Dを増加することにより、エッジ除外領域を、2mmから0.8mmに減少することができる。逆に、直径Dを減少することにより、ウエハのエッジ上のシャドウリングカバレージを増加させ、エッジ除外領域をウエハのエッジから2mmを超えて増加させる。
図4または
図5を参照して、シャドウリングの様々な実施形態の直径Dを調整することによって、シャドウリング400およびシャドウリング500に関して上で記載したように、シャドウリングの様々な実施形態の径方向の突出長D
2も調整する。
【0027】
本発明の実施形態によるシャドウリングの堆積特性に影響を及ぼす別の手法は、シャドウリングの材料の組成物を修正することによる手法である。いくつかの実施形態において、上のシャドウリングは、窒化アルミニウムまたはセラミック材料など、熱的に伝導性の誘電体材料から形成されて良い。シャドウリングの材料を変えることにより、より多いまたはより少ないエッジ堆積および斜面カバレージを実現することができる。上に記載したように、理論に束縛されることを望むものではないが、シャドウリングの材料の組成物の、熱伝導率kおよび電気特性(すなわち、誘電率)の変化は、シャドウリングの下および隣のウエハのエッジ領域内の、堆積均一性および堆積速度に影響を及ぼすことが考えられる。
【0028】
上記が本発明の実施形態を対象とする一方、本発明の他の実施形態およびさらなる実施形態が本発明の基本範囲から逸脱することなく考案されて良く、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。