(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(B)として少なくとも60モル%の末端ビニリデン二重結合の含有率を有するイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーから得られる、請求項1又は2記載のターポリマー。
前記成分(A)、(B)及び(C)を塊状重合、溶液重合又は懸濁重合でラジカル的に互いに共重合させることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のターポリマーの製造法。
請求項1から9までのいずれか1項記載の前記ターポリマーと一価若しくは多価アルコール及び/又は一価若しくは多価アミンとの反応によって得られる、変性及び/又は架橋したターポリマー。
請求項1から9までのいずれか1項記載の前記ターポリマーを水性若しくはアルコール性のアルカリ金属水酸化物溶液又は水性若しくはアルコール性のアミン溶液で処理することによって得られる、水性アルカリ性、アルコール性アルカリ性、アルコール性アミン性又は水性塩基性のターポリマー調製物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素単位のほかにシロキサン基を有する新規のポリマーに関する。これは、
(A)少なくとも1種の電子不足オレフィン1〜70質量%、
(B)オレフィン性二重結合上に電子吸引性置換基を持たず水素原子及び/又は炭素原子のみを有する少なくとも1種のオレフィン1〜85質量%、並びに
(C)少なくとも1種のアルコキシビニルシラン1〜70質量%
の共重合によって得られ、ここで、成分(A)、(B)及び(C)の質量%の総計は100質量%となる、ターポリマーである。
【0002】
さらに、本発明は、このターポリマーの製造法、並びに熱架橋によって、加水分解架橋によって、アルコール及び/若しくはアミンによる変性によって、又は水性若しくはアルコール性のアルカリ金属水酸化物溶液又は水性若しくはアルコール性のアミン溶液で処理することによって得られるこのターポリマーの二次生成物に関する。
【0003】
炭化水素鎖及びシロキサン基を有するポリマーは架橋することができ、それゆえに該ポリマーは接着剤若しくはシーリング材の原料又は表面変性のための作用物質の原料である。それゆえ、かかる生成物は大いに工業的な関心が持たれている。
【0004】
炭化水素鎖及びシロキサン基を有するポリマーのさまざまの製造法が一般的に公知である。例えば、US6177519(1)にはビニルシロキサンでポリオレフィンをグラフト化することが記載される。Kennedy及びIvanは、Carbocationic Macromolecular Engineering,Hanser−Verlag,1991の第142頁、第143頁、第174頁、及び第175頁(2)の中で、2−メチルプロペンのリビングカチオン重合(その際、反応の中断はアリルシランを用いて行われる)、並びにα,ω−ジエンの引き続くヒドロシリル化を記載している。US6194597(3)からは、さらにイソブテンとシリルスチレン又はシリルメチルスチレンとの共重合が公知である。これらすべての方法に共通しているのは、それらが技術的に手間が掛かることであり、なぜなら、それらは多段的に行われなければならず、かつ/又は重合における大量の熱が低い温度で除去されなければならなく、かつ/又はしばしば商業的に入手可能ではない特定の試剤が用いられなければならないからである。
【0005】
それゆえ、炭化水素基及びシロキサン基を有するかかるポリマーが、商業的に入手可能なモノマーから、これまで知られていなかった単段反応においてごく僅かなエネルギーコストで、すなわち、一般に冷却なしで製造できることは意想外であった。それに従って、本発明の対象は、冒頭で挙げた、成分(A)、(B)及び(C)の単純な共重合によって入手可能であるターポリマーである。
【0006】
ビニルアルコキシシランと不飽和酸の無水物、例えばマレイン酸無水物とのコポリマーは、US3560589(4)から公知である。そこでは、かかるコポリマーはエポキシ樹脂の構成成分として記載される。
【0007】
相応する半エステルに部分的又は完全に変換されて存在する、ビニルアルコキシシランとマレイン酸無水物とのコポリマーは、DE−A27300008(5)から公知である。そこでは、かかるコポリマーは、接着促進剤、被覆材料又はろ過助剤として用いられることができる反応性シリル化合物の製造のために推奨されている。
【0008】
WO95/07944(6)には、少なくとも1種のモノエチレン性不飽和C
4〜C
6−ジカルボン酸又はその無水物20〜60モル%、(b)プロペン又は4〜10個の炭素原子を有する分枝状1−オフフィンの少なくとも1種のオリゴマー、例えばオリゴイソブテン10〜70モル%並びに(c)モノマー(a)及び(b)と共重合可能である少なくとも1種のモノエチレン性不飽和化合物1〜50モル%から成るターポリマーが記載される。考慮に入れられるモノエチレン性不飽和化合物として、線状1−オレフィン、不飽和モノカルボン酸、ビニルエーテル及びアリルアルキルエーテル、不飽和モノカルボン酸若しくはジカルボン酸のエステル、飽和モノカルボン酸のビニルエステル及びアリルエステル、N−ビニルカルボン酸アミド並びに含窒素複素環のN−ビニル化合物が挙げられる。
【0009】
しかし、例えば文献(4)、(5)及び(6)に記載されるようなコポリマー及びターポリマーは、それらの物質特性及び/又は応用技術的特性に関してなお改善の見込みを有している。それゆえ、物質特性及び/又は応用技術的特性について、工業における種々の考えられ得る適用のためのより一層の改善可能性、適応性及び余地を内包する新規のポリマー系を提供する課題が存在していた。それに従って、冒頭で定義したターポリマーが見出された。
【0010】
本発明によるターポリマーでは、主としてモノマー成分(C)が、該ポリマーの物質特性及び/又は応用技術的特性における所望の改善を引き起こす。
【0011】
成分(A)として、通常は、オレフィン性二重結合に対するα位に(例えばπ電子系の共役を介して)オレフィン性二重結合の電子密度を低下させる1つ以上の電子吸引性置換基を持つオレフィンがモノマーとして用いられる。有利な1つの実施形態においては、成分(A)の少なくとも1種の電子不足オレフィンはそのオレフィン性二重結合上に、−CO−(カルボニル)、−CN(シアノ)、−NO
2(ニトロ)及び−SO
2−(スルホ)から選択された少なくとも1つの、殊に1つ若しくは2つの電子吸引性置換基を持つ。ここで、基CO−は、一般に、ケト官能基、アルデヒド官能基、又はなかでも、例えば遊離カルボン酸の形態のカルボキシル官能基、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、カルボン酸イミド又は環式若しくは非環式カルボン酸無水物の構成要素である。ここで、基−SO
2−は、一般に、スルホン官能基、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸アミド又はスルホン酸イミドの構成要素である。
【0012】
成分(A)のこの種の電子不足オレフィンの典型的な例は、アクリル酸、そのエステル、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート又はn−ブチルアクリレート、そのアミド及びそのイミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、そのエステル、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート又はn−ブチルメタクリレート、そのアミド及びそのイミド、メタクリロニトリル、マレイン酸、そのモノエステル及びジエステル、例えばモノメチルマレエート、ジメチルマレエート、モノエチルマレエート又はジメチルマレエート、そのモノアミド及びジアミド、そのイミド、そのモノニトリル及びジニトリル並びにフマル酸、そのモノエステル及びジエスエル、例えばモノメチルフマレート、ジメチルフマレート、モノエチルフマレート又はジエチルフマレート、そのモノアミド及びジアミド及びそのモノニトリル及びジニトリルである。上述のアミド及びイミド上のエステルアルコール基として、及び可能な置換基として、主にC
1〜C
20−アルキル基が考慮に入れられる。成分(A)として上述の電子不足オレフィンの混合物も用いられることができる。
【0013】
極めて有利なのは、成分(A)として少なくとも1種のモノエチレン性不飽和C
4〜C
6−ジカルボン酸の無水物から得られるターポリマーである。この場合、殊に、環状構造を有する、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、メチルマロン酸、シトラコン酸及びなかでもマレイン酸の無水物が考慮に入れられる。
【0014】
成分(B)として、通常は、オレフィン性二重結合に対するα位に電子吸引性置換基を持たず炭素原子のみを、かつ/又は水素原子を持つオレフィンがモノマーとして用いられる。この場合、オレフィン性二重結合の電子密度は、カルボニル−(−CO)、シアノ−(−CN)、ニトロ−(−NO
2)又はスルホ基(−SO
2−)のπ−電子系による共役を介して成分(A)の場合のようには低下していない。たいてい、成分(B)のオレフィンは、場合によってはオレフィン性二重結合から比較的大きく離れて、つまりβ位に又はさらに一層距離を隔てて、電子吸引性置換基、例えば−CO−、−CN−、−NO
2又は−SO
2−を持っていてよい純粋な炭化水素化合物である。成分(B)として上述の電子不足でないオレフィンの混合物も用いられることができる。
【0015】
成分(B)のこの種の電子不足でないオレフィンの典型的な例は、環式オレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン又はシクロヘプテン、α−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、2−メチルプロペン(イソブテン)、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、2,2,4−トリメチルペンテン−1、デセン−1又はドデセン−1、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン又はC
1〜C
4−アルキルスチレン、例えば2−、3−及び4−メチルスチレン並びに4−t−ブチルスチレン、並びにかかるα−オレフィンからのオリゴマー及びポリマー、内部二重結合を有するオレフィン、例えばブテン−2又は異なるα−オレフィンからのコポリマー、例えばイソブテンとデセン−1とからのコポリマー又はイソブテンとスチレン、α−メチルスチレン又はC
1〜C
4−アルキルスチレンとからのコポリマーである。上述のオリゴマー及びポリマーは、主として連鎖停止反応に起因して、たいてい末端オレフィン性二重結合を有し、これらは本発明に従って更なる重合が可能になるようにする。
【0016】
α−オレフィンポリマーのなかでは、ポリイソブテンが特に重要であり、なぜなら、それは市販かつ工業において頻繁に用いられる材料だからである。触媒としてルイス酸、例えば三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素又は四塩化チタンを用いたイソブテンの重合によるポリイソブテンの製造は久しい以前から公知である。反応温度、触媒及び用いられるイソブテンの純度に応じて、低分子量、中間分子量又は高分子量のポリイソブテンが得られる。ポリイソブテンの製造法に関する概説は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,5th Edition,Vol.A21,1992の第555頁〜第561頁にも見出される。Kennedy及びIvanは、Carbocationic Macromolecular Engineering,Hanser−Verlag,1991の中で、ポリイソブテンを製造するための更なる方法(リビング重合)を記載している。純粋なイソブテンホモポリマーのほかに、イソブテンコポリマーも成分(B)として重要である。
【0017】
本発明の有利な実施形態は、成分(B)として、100〜500,000、好ましくは120〜50,000、殊に350〜20,000、なかでも500〜2500の数平均分子量M
nを有するイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーから得られるターポリマーである。"イソブテンホモポリマー"との用語には、本発明の範囲内では、オリゴマーイソブテン、例えばダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、ヘキサマー及びヘプタマーイソブテンが含まれる。
【0018】
イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーとして、原則的に、すべての慣例かつ商業的に得られるポリイソブテンが用いられることができる。慣例かつ商業的に得られるポリイソブテンは、たいてい、大部分のイソブテン単位[−CH
2−C(CH
3)
2−]を有するイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーである。好ましくは、いわゆる"反応性"ポリイソブテンが用いられる。"反応性"ポリイソブテンは、"低反応性"ポリイソブテンと、より高い含有量の末端配置された二重結合によって区別される。そのため、反応性ポリイソブテンは、かかる末端配置された二重結合を、ポリイソブテン−高分子単位の総数を基準として少なくとも50モル%含有する。特に有利なのは、末端配置された二重結合を、ポリイソブテン−高分子単位の総数を基準として少なくとも60モル%、殊に少なくとも80モル%有するポリイソブテンである。末端配置された二重結合は、ビニル二重結合[−CH=C(CH
3)
2](β−オレフィン)であってもビニリデン二重結合[−CH−C(=CH
2)−CH
3](α−オレフィン)であってもよい。
【0019】
本発明の有利な実施形態は、成分(B)として、少なくとも60モル%、殊に少なくとも80モル%の含有率の末端ビニリデン二重結合を有するイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーから得られるターポリマーである。
【0020】
たいてい、均一な又は実質的に均一なポリマー骨格を有するイソブテンホモポリマー若しくはイソブテンコポリマーが用いられる。これらは、本発明の範囲内では、通常、少なくとも85質量%が、好ましくは少なくとも90質量%が、殊に少なくとも95質量%がイソブテン単位[−CH
2−C(CH
3)
2−]から構成されているポリマーと解される。
【0021】
さらに、成分(B)として用いられるイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーは、通常、1.05〜10、殊に1.05〜4、なかでも1.05〜2.0の多分散性(PDI)を有する。多分散性とは、重量平均分子量M
wと数平均分子量M
nの比(PDI=M
w/M
n)と解される。
【0022】
イソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーは、本発明の範囲内では、カチオン重合又はリビングカチオン重合によって得られ、好ましくは少なくとも60質量%、特に有利には少なくとも80質量%、さらに有利には少なくとも90質量%、なかでも少なくとも95質量%のイソブテンを共重合した形で含有するすべてのポリマーとも解される。そのほかに、これらのポリマーは、更なるブテン異性体、例えば1−ブテン又は2−ブテン並びにそれらとは異なり、イソブテンとカチオン重合条件下で共重合可能であるオレフィン性不飽和モノマーを共重合した形で含有してよい。
【0023】
それに応じて、本発明のための原料として役に立ち得るイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーを製造するためのイソブテン−供給材料として、イソブテン自体だけでなく、イソブテン含有C
4−炭化水素流、例えばイソブテン脱水素からのC
4−ラフィネート、C
4−カット、スチームクラッカー、FCC("流動接触分解")クラッカーからのC
4−カットも、それらの中に含まれる1,3−ブタジオンがそれらから実質的に取り除かれている限りにおいて適している。特に適したC
4−炭化水素流は、一般に500ppm未満、好ましくは200ppm未満のブタジエンを含有する。供給物質としてC
4−カットが用いられる場合、イソブテンとは異なる炭化水素は不活性溶媒の役目を担ってよい。
【0024】
カチオン重合条件下で共重合可能なイソブテンコポリマーのモノマーとして、ビニル芳香族化合物、例えばスチレン及びα−メチルスチレン、C
1〜C
4−アルキルスチレン、例えば2−、3−及び4−メチルスチレン並びに4−t−ブチルスチレン、5〜10個の炭素原子を有するイソオレフィン、例えば2−メチルブテン−1、2−メチルペンテン−1、2−メチルヘキセン−1、2−エチルペンテン−1、2−エチルヘキセン−1及び2−プロピルヘプテン−1が考慮に入れられる。
【0025】
成分(B)として適したポリイソブテンは、慣例のカチオン重合若しくはリビングカチオン重合によって得られるイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマーである。しかしながら、有利なのは、前に述べたいわゆる"反応性"ポリイソブテンである。
【0026】
商業的に入手可能かつ成分(B)として適したポリイソブテンは、例えばBASF SEの商標Glissopal
(R)、例えばGlissopal 550、Glissopal 1000及びGlissopal 2300(ここで、商標Glissopalは反応性ポリイソブテンを表す)並びにBASF SEの商標Oppanol
(R)、例えばOppanol B10、B12及びB15である。
【0027】
モノマー成分(C)のアルコキシビニルシランとして適しているのは、好ましくは一般式I
R
1R
2C=CR
3−Si(R
4)
m(OR
5)
3-m (I)
[式中、mは0、1又は2を意味し、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は同じであるか又は異なっていてよく、かつC
1〜C
20−アルキル基、C
5〜C
20−シクロアルキル基、C
6〜C
20−アリール基又はC
7〜C
20−アラルキル基を表し、ここで、R
1、R
2、R
3及びR
4は水素であってもよい]の化合物である。
【0028】
本発明を説明するために、殊に成分(A)及び(C)を詳しく述べるにあたって、"C
1〜C
20−アルキル"との用語は、相応する直鎖及び分枝鎖のアルキル基を包含する。好ましくは、それらは直鎖又は分枝鎖のC
1〜C
10−アルキル基、殊にC
1〜C
8−アルキル基、なかでもC
1〜C
4−アルキル基である。この種のアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、2−エチルペンチル、1−プロピルブチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルヘプチル、n−ノニル及びn−デシルである。
【0029】
さらに、この種のアルキル基として適しているのは、ヘテロ原子、例えば酸素によって中断されていてよいか又は芳香族環若しくは複素環を導入した形で有していてよい類似のヒドロカルビル基でもある。
【0030】
"C
5〜C
20−シクロアルキル"との用語は、本発明に従って、非置換及び置換されたシクロアルキル基、好ましくはC
5〜C
7−シクロアルキル基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルを包含する。これらは、置換されている場合、1、2、3、4又は5つの、好ましくは1、2又は3つの置換基を持っていてよい。その場合、これらの置換基は、通常は上述のアルキル基である。
【0031】
"C
6〜C
20−アリール"との用語は、本発明に従って、非置換及び置換された芳香族基、例えばフェニル、o−、m−若しくはp−トリル、キシリル又はナフチルを包含する。この場合、生じる置換基は、通常は上述のアルキル基である。
【0032】
"C
7〜C
20−アラルキル"との用語は、本発明に従って、芳香族基によって置換されたアルキル基、例えばベンジル、o−、m−若しくはp−メチルベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル又は4−フェニルブチルを包含する。
【0033】
モノマー成分(C)のアルコキシビニルシランは、重合性エチレン性二重結合を有する、場合によりR
1、R
2及び/又はR
3によって置換されたビニル基のほかに、好ましくはC
1〜C
20−アルキルオキシ基、殊にC
1〜C
8−アルキルオキシ基、なかでもC
1〜C
4−アルキルオキシ基であり、同じであるか若しくは異なっていてよい1、2又は3つの基−OR
5を持ち、その際、ケイ素原子の依然として自由な残りの原子価は、それらが生じる場合、置換基R
4としてのC
1〜C
4−アルキル、C
5〜C
7−シクロアルキル、フェニル及び/又は水素によって飽和されている。
【0034】
有利な1つの実施形態においては、本発明によるターポリマーは、成分(C)として、一般式Ia
H
2C=CH−Si(OR
5)
3 (Ia)
[式中、3つのすべてのアルコキシ基は同じであり、かつR
5は上述の意味を有する]の少なくとも1種のトリアルコキシビニルシランから得られる。
【0035】
化合物Iaの特に有利な代表物質は、トリ(C
1〜C
20−アルキルオキシ)ビニルシラン、殊にトリ(C
1〜C
8−アルキルオキシ)ビニルシラン、なかでもトリ(C
1〜C
4−アルキルオキシ)ビニルシランであり、ここで、"アルキル"との用語は、C
1〜C
20−アルキル基の上述の意味、並びにヘテロ原子、例えば酸素によって中断されていてよいか又は芳香族環若しくは複素環を導入した形で有していてよい類似のヒドロカルビル基を有する。
【0036】
一般式Iの化合物の典型的な例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルシクロヘキシルジメトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン、ビニルジメチルモノエトキシシラン及びビニルメチルフェニルモノエトキシシランである。
【0037】
好ましくは、本発明によるターポリマーは、
(A)少なくとも1種の電子不足オレフィン5〜60質量%、殊に10〜40質量%、
(B)オレフィン性二重結合上に電子吸引性置換基を持たず水素原子及び/又は炭素原子のみを有する少なくとも1種のオレフィン5〜80質量%、殊に15〜70質量%、並びに
(C)少なくとも1種のアルコキシビニルシラン5〜60質量%、殊に15〜50質量%
の共重合によって得られ、ここで、成分(A)、(B)及び(C)の質量%の総計は100質量%となる。
【0038】
殊に、本発明によるターポリマーは、
(A)少なくとも1種のモノエチレン性不飽和C
4〜C
6−ジカルボン酸の無水物5〜60質量%、殊に10〜40質量%、
(B)100〜500,000の数平均分子量M
nを有するイソブテンホモポリマー又はイソブテンコポリマー5〜80質量%、殊に15〜70質量%、並びに
(C)少なくとも1種のアルコキシビニルシラン5〜60質量%、殊に15〜50質量%
の共重合によって得られ、ここで、成分(A)、(B)及び(C)の質量%の総計は100質量%となる。
【0039】
1つの有利な実施形態においては、本発明によるターポリマーは、実質的に交互構造形成を有する。その際、ポリマー鎖中で、通常、1個のモノマー単位(A)は、そのつど1個のモノマー単位(B)と又は1個のモノマー単位(C)と交互に現れる。好ましくは、その際、モノマー単位(B)と(C)はランダムに分布している。その際、モノマー単位(A)対(B)と(C)の合計は0.9:1.1〜1.1:0.9の比にある。
【0040】
他の実施形態においては、モノマー単位はランダムに分布していてよい。そのため、電子吸引性オレフィン(A)は過剰量で存在してよく、その際、モノマー単位(A)対(B)と(C)の合計は1.1超:0.9〜1.5:0.5の比にある。しかしさらに、電子吸引性オレフィン(A)は過少量で存在してもよく、その際、モノマー単位(A)対(B)と(C)の合計は0.9未満:1.1〜0.5:1.5の比にある。
【0041】
本発明によるターポリマーは、一般に、500〜2,000,000、殊に750〜200,000、なかでも1000〜75,000の数平均分子量M
n(分析用超遠心機によって測定)を有する。
【0042】
本発明によるターポリマーは、一般に、1.5〜15、殊に2.0〜12、なかでも2.5〜8の多分散性(PDI)を有する。
【0043】
本発明によるターポリマーは−成分(B)のモノマー単位の含有量に応じて−脆性樹脂として[主として(B)の含有量が低い場合]、粘性油又は軟質樹脂として[主として(B)の含有量が高い場合]存在してよい。
【0044】
次の式図は、例示的に、本発明によるターポリマーの典型的な代表物質の形成を具体的に示すものである(n=用いられるポリイソブテン中のイソブテン単位の2つ減った数):
【0045】
本発明の対象はまた、(A)、(B)及び(C)を塊状重合で、溶液重合で又は懸濁重合でラジカル的に互いに重合させることを特徴とする、本発明によるターポリマーの製造法である。
【0046】
ラジカル塊状重合、ラジカル溶液重合及びラジカル懸濁重合の方法は当業者によく知られており、それゆえ、ここではすべての詳細について説明を要しない。例として、大筋を示す文献Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,4th Edition,G.Thieme Verlag,volume 14 and supplementary volume E20、並びにそこで引用された元の文献を引用する。該E20巻の第15頁〜第73頁には、ラジカル重合のための化学的開始剤が挙げられ、そして同じ巻の第74頁〜第93頁には、高エネルギー放射線による重合の開始が記載される。これに関する更なる概要は、the Handbook of Polymer Synthesis,2nd edition,2005,Marcel Dekkerである。しかしながら、下記において、本発明によるターポリマーを得るための成分(A)、(B)及び(C)のラジカル塊状重合、ラジカル溶液重合又はラジカル懸濁重合の実施に大切であり得るプロセスパラメーターについて論じることにする。
【0047】
上述のすべての重合法の場合、通例、酸素の排除下で、好ましくは窒素流中で行われる。通常、重合は、0〜150℃、殊に20〜130℃、なかでも40〜120℃の温度で、かつ0.5〜10bar、殊に0.7〜1.3barの圧力で実施する。重合は、連続的に又は不連続的に実施してよい。溶液重合法及び懸濁重合法の場合、適切には、重合条件下で反応性でない溶媒、例えば炭化水素、例えばトルエン又はキシレン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン又はそれらからの混合物を溶媒若しくは懸濁媒体として使用する。他の変形例では、目的に合わせて、重合条件下で反応することができる溶媒(混合物の形でも)(例えばアセトン又はブタノンといったケトン)を、ラジカル鎖切断ひいては分子量調整のために使用する。
【0048】
ここで適した重合開始剤は、例えば、ペルオキシド化合物、例えばt−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルピバレート、t−ブチルペルネオデカノエート、t−ブチルペルエチルヘキサノエート、t−ブチルペルイソブチレート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−アミルペルオキシド、ジアセチルペルオキシジカーボネート又はアゾ化合物、例えば2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)である。これらの重合開始剤は、単独で又は互いに混合した形で用いられることができる。しかし、重合は、放射線によって、例えば紫外光によって、ガンマ線によって又はレーザー光線によっても開始されることができる。
【0049】
本発明の対象はまた、本発明によるターポリマーの二次生成物として、本発明によるターポリマーを少なくとも10分間80℃を上回る温度に(例えば100℃〜120℃に又は120℃〜150℃に)加熱することによって得られる熱架橋したターポリマーである。この場合、目立った量のアルコールは分離されず、かつ一般に架橋は実質的にSi−O−Siブリッジの形成によって行われる:ことによると分離されたアルコキシ基はジカルボン酸無水物基によって捕捉され、該基はその際に開環してカルボキシレート基になる。この工程で水は必要とされないので、湿分を排除することが好ましくあり得る。
【0050】
次の式図は、例示的に、かかる熱架橋したターポリマーの典型的な構造を具体的に示すものである(PIB=ポリイソブテン単位の残留構造):
【0051】
さらに本発明の対象はまた、本発明によるターポリマーの二次生成物として、本発明によるターポリマーと一価若しくは多価アルコール及び/又は一価若しくは多価アミンとの反応によって得られる変性されたターポリマーである。アルコール及びアミンは、例えば気相を介して又は湿潤若しくは噴霧により液状の形で、相応する量、たいてい少量で、本発明によるターポリマーと接触させられる;しかし、アルコール又はアミンは、本発明によるターポリマーを不活性溶媒、例えばトルエン中に溶かした溶液と接触させ、かつ反応させることもできる。その際、反応期間は数分〜数日間であり、かつ通常はアミンを用いて10℃〜60℃の温度で行われ、その一方で、アルコールの場合、50℃〜120℃の範囲が適していると判明した。この場合、一般に架橋はSi−O−Siブリッジの形成によってまだ引き起こされない。アルコールとして、この場合、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、メトキシエタノール、エチレングリコール又はグリセリンが、アミンとして、例えばモノブチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン又はそれにアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン又はトリイソプロパノールアミンも用いられることができる。アルコール及びアミンは、更なる官能基、例えばシロキサン基も、ポリマーの更なる変性のために含有してもよい。これらの例は、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノエチルトリエトキシシラン及び3−アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0052】
同様に、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシドを200〜10,000の分子量範囲内で用いることも可能である。ある場合には、ポリマー鎖は二官能性、つまり両末端が−OH基又は−NH
2基で終端化されており、ポリマーは二官能性である。別の場合には、片末端がエーテル化されており、R−O−(ここで、Rは、任意の炭化水素基である)は、つまり片方の鎖末端を表し、ここで、もう片方の末端は−OH又は−NH
2であってよく、これらのポリマーは一官能性である。
【0053】
一官能性(一価)のアミン及びアルコールの反応は、まず実質的に架橋なしに行われ、なぜなら、溶解状態ではゲル形成も沈殿も発生しないからである。より高い温度、例えば50℃〜90℃又は70℃〜150℃への、より長い加熱、例えば1〜3時間又は2〜8時間にわたる加熱によって、二次反応としてSi−O−Siの形成下で架橋が起こり得る。次の式図は、例示的に、開環した無水物基を有する、かかる置換されたターポリマーの典型的な構造を具体的に示すものである(PIB=ポリイソブテン単位の残留構造):
【0054】
さらに本発明の対象はまた、本発明によるターポリマーの二次生成物として、本発明によるターポリマーと水との反応によって得られる加水分解架橋したターポリマーである。その際、水は、水蒸気、湿分又は少量の液体の水の形で本発明によるターポリマーと接触させてよい。その際、反応期間は数分〜数日間であり、かつ通常は10℃〜60℃の温度で行われる。この場合、一般に架橋は同様に実質的にSi−O−Siブリッジの形成によって引き起こされる;その後、ジカルボン酸無水物基は加水分解により開環してカルボキシレート基になり、その際、遊離カルボキシル基が形成される。
【0055】
次の式図は、例示的に、Si−O−Siブリッジによる架橋が先に起こっている、開環した無水物基を有する、かかる加水分解架橋したターポリマーの典型的な構造を具体的に示すものである(PIB=ポリイソブテン単位の残留構造):
【0056】
多官能性(二価若しくは多価)のアミン及びアルコールの反応に際しては、架橋は簡単に行われる;溶解状態でゲル形成及び沈殿が観察される。
【0057】
さらに本発明の対象はまた、本発明によるターポリマーの二次生成物として、本発明によるターポリマーとポリアミン(多価アミン)及び/又はポリオール(多価アルコール)との反応によって得られる、ポリアミン及び/又はポリオールにより架橋されたターポリマーである。反応期間は数分〜数日間であり、かつ通常は10℃〜140℃の温度で行われる。この場合、一般にジカルボン酸無水物基は開環してカルボンアミド基又はカルボンエステル基になり、それによって架橋が生じる。その際、カルボンアミド基は遊離カルボン酸とも環化してイミドになってよい。付加的に、架橋は同様にSi−O−Siブリッジの形成によって引き起こされてよい。
【0058】
さらに本発明の対象はまた、本発明によるターポリマーの二次生成物として、本発明によるターポリマーを水性若しくはアルコール性のアルカリ金属水酸化物溶液又は水性若しくはアルコール性のアミン溶液で処理することによって得られる、水性アルカリ性、アルコール性アルカリ性、アルコール性アミン性又は水性塩基性のターポリマー調製物である。その際、処理期間はたいてい10〜100分であり、かつ通常は20℃〜60℃で行われる。この場合、一般にターポリマーの真溶液、エマルジョン、分散液又はゲル状の調製物が得られる。この場合、たいていシロキサン基は、大部分がシリケート基(−SiO
33-)へと加水分解され、かつジカルボン酸無水物基は加水分解により開環してカルボキシレート基(−COO
-)になる。後者は、アミン水溶液が使用される場合、部分的に又は完全にカルボン酸アミド基として存在する。ここで、アルカリ金属水酸化物溶液として、殊に水性若しくはエタノール性の水酸化ナトリウム溶液又は水酸化カリウム溶液が使用されることができる。ここで、アミンとして、例えばモノブチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアミン若しくはポリアミン、例えばエチレンジアミン又は3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン又はアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン又はトリイソプロパノールアミンが用いられることができる;水性ジアミン若しくはポリアミンが使用される場合、1個のアミン官能基のみが反応性である限りにおいて、ベタイン様の構造が生じる。そのようにして得られたアルコール性アルカリ性若しくはアルコール性塩基性又は水性アルカリ性若しくは水性塩基性のターポリマー配合物は、一般に比較的長い時間にわたって貯蔵安定性である。
【0059】
次の式図は、例示的に−一方では水酸化ナトリウム溶液を用いて、他方では水性3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミンを用いて−かかる水性加水分解されたターポリマー調製物の2つの典型的な構造を具体的に示すものである(PIB=ポリイソブテン単位の残留構造):
【0060】
本発明によるターポリマー及びその記載した二次生成物は、殊に、例えば酸化物表面の表面処理のために、接着剤及びシーラントとして又はかかる材料の供給材料として並びにポリマー添加剤として適している。
【0061】
以下の例は、本発明を詳述するものであるが、これを限定するものではない。
【0062】
例1:マレイン酸無水物、ポリイソブテン及びビニルトリエトキシシランの重合
ビニルトリエトキシシラン95g(0.5モル)、トルエン80ml、M
n=1000の市販の反応性ポリイソブテン50g及びマレイン酸無水物50gを、500mlの四つ口フラスコに初めに装入し、そして95℃の内部温度に加熱した。結果生じる反応混合物に送込管を介して窒素を流した。トルエン40ml中に溶解されたt−ブチルペルオキシベンゾエート4gを4時間にわたって添加した。反応の過程で、混濁したバッチは油状で透明かつ均質になった(固体含有率:66質量%)。後処理のために、溶媒を回転蒸発器により130℃及び500〜8mbarで留去した。所望のターポリマー115gが粘性油の形で得られ、これは忽ち凝固して脆性、ゲル状の残留物(
1H−NMR−分光法によって特性付けられた)となった。
【0063】
1H−NMR(400MHz、16 Scans,CDCl
3):マレイン酸無水物(δ=7.00ppm)並びにビニルシロキサンの二重結合(δ=6.13ppm、6.02ppm及び5.90ppm)及びポリイソブテン(δ=5.16ppm、4.84ppm及び4.64ppm)のシグナルは消失していた。依然としてあったのはエトキシ官能基(δ=3.84ppm及び1.24ppm)及びポリイソブテン(δ=1.42ppm、1.11ppm及び0.99ppm)のシグナルであった。新たに発生したのは、新たなポリマー鎖に分類されるブロードシグナルであった(δ=3.4ppm〜2.4ppm:CH
2−
CH−CO;δ=2.2ppm〜1.5ppm:
CH2−CH−CO)。
【0064】
例2〜13:更なる重合試験
例1と同じように、次の表にまとめた重合試験を、そこに示したモノマーの量を用いて実施した(MSA=マレイン酸無水物;n−BA=n−ブチルアクリレート;Glissopal
(R)1000=M
nが1000の反応性ポリイソブテン;Glipposal
(R)2300=M
nが2300の反応性ポリイソブテン;Oppanol
(R)B10=M
nが10,000のポリイソブテン;VTEOS=ビニルトリエトキシシラン)。
【0065】
【表1】
【0066】
例14:例1からのターポリマーの熱架橋
例1において粘性油として得られたターポリマーを、乾燥キャビネット内で2枚のガラス製スライドシート間にて90℃で2時間加熱した。その際、シート間に透明な樹脂フィルムが形成された。
【0067】
例15:湿分を用いた例1からのターポリマーの加水分解架橋
例1で粘性油として得られたターポリマーを時計皿上で蓋をしないで8時間のあいだ湿り空気中で室温にて放置した。その際、透明な粘着性でない樹脂フィルムが形成された。室温でさらに3週間放置した後、フィルムは脆くなり、そして時計皿から容易に取り除くことができた。
【0068】
例16:例2からのターポリマーと3−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応
例2で得られる、トルエンに溶かしたターポリマーの68質量%溶液280gを、3−アミノプロピルトリメトキシシラン27gと1時間にわたり室温で撹拌しながら反応させた。ゲル形成又は沈殿は起こらなかった。反応混合物を
1H−NMR−分光法(400MHz、16 Scans,CDCl
3)によって調べた:アミドのメチレン基の新しいシグナルCH
2−
CH−CO−:δ=3.5ppmが現れ(ブロード)、−
CH2−NH
2のシグナルはもはや見られなかった。
【0069】
例17:例2からのターポリマーと3−アミノプロピルトリメトキシシランとの反応
例2に従って得られる、トルエンに溶かしたターポリマーの68質量%溶液800gを、3−アミノプロピルトリメトキシシラン154g(トルエン100mlで希釈)と1時間にわたり室温で撹拌しながら反応させた。ゲル形成又は沈殿は起こらなかった。反応混合物を
1H−NMR−分光法(400MHz、16 Scans,CDCl
3)によって調べた:アミドのメチレン基の新しいシグナルCH
2−
CH−CO−:δ=3.5ppmが現れ(ブロード)、−
CH2−NH
2のシグナルはもはや見られなかった。
【0070】
例18:例2からのターポリマーの水酸化ナトリウム溶液への溶解
例2で得られるターポリマーから溶媒を回転蒸発器により完全に除去し、そして得られた固体残留物を低温条件下で粉砕した。乾燥ポリマー粉末10gを、水酸化ナトリウム溶液(水35g中2.1gの水酸化ナトリウム)に室温で100分の期間にわたって溶解した。得られた僅かに混濁した溶液は沈殿することなく水で希釈させることができ、そして数日間貯蔵安定性であった。水の蒸発後に透明なフィルムが生じた。
【0071】
例19:例2からのターポリマーの水性3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミンへの溶解
例2で得られるターポリマーから溶媒を回転蒸発器により完全に除去し、そして得られた固体残留物を低温条件下で粉砕した。乾燥ポリマー粉末10gを、水35gに溶かした3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン2.7gの溶液に室温で100分の期間にわたって溶解した。得られた僅かに混濁した溶液は沈殿することなく水で希釈させることができ、そして数週間貯蔵安定性であった。水の蒸発後に透明なフィルムが生じた。