(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992521
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20160901BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20160901BHJP
H01L 21/28 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
H01L27/04 R
H01L21/28 301S
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-522943(P2014-522943)
(86)(22)【出願日】2012年7月24日
(65)【公表番号】特表2014-524158(P2014-524158A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】US2012047986
(87)【国際公開番号】WO2013016341
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年7月24日
(31)【優先権主張番号】61/512,226
(32)【優先日】2011年7月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/547,527
(32)【優先日】2012年7月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】ウォード, マイケル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ペイドス, イゴー ヴィー.
【審査官】
市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0164001(US,A1)
【文献】
特開平07−106566(JP,A)
【文献】
特開2011−097001(JP,A)
【文献】
特開2006−196646(JP,A)
【文献】
特開2007−019205(JP,A)
【文献】
特開2007−294961(JP,A)
【文献】
特開平09−064349(JP,A)
【文献】
特開2005−093907(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 21/28
H01L 27/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法であって、
第1の領域および第2の領域を有する基板の前記第1の領域内にケイ素化合物抵抗領域を形成することであって、マスク層が前記基板の上に堆積され、前記第1の領域を露出するためにパターン化される形成すること、
前記基板の前記第1の領域内に前記ケイ素化合物抵抗領域を形成した後に前記マスク層を除去すること、
前記第1の領域の第1の面、および前記第2の領域の第2の面に金属含有層を堆積して、堆積金属含有層を形成すること、ならびに
前記堆積金属含有層をアニールして前記第2の領域内に第1の金属ケイ素化合物領域を形成し、かつ前記第1の領域に金属ケイ素化合物を形成しないか、または前記第1の領域に第1の金属ケイ素化合物領域よりも薄い第2の金属ケイ素化合物領域を形成することを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の金属ケイ素化合物領域を前記第2の領域内に形成した後に、前記金属含有層を堆積したため残っている非ケイ化金属を前記第1の領域および前記第2の領域の上から除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非ケイ化金属を除去することがさらに、
塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、または過酸化水素(H2O2)のうちの少なくとも1つを含む湿式化学処理を施して、前記非ケイ化金属の少なくとも一部を除去することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ケイ素化合物抵抗領域が前記第1の領域の前記第1の面から前記第1の領域の中に延びる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ケイ素化合物抵抗領域がシリコン(Si)と、炭素(C)または窒素(N)の少なくとも一方とを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ケイ素化合物抵抗領域を形成することがさらに、
ソース要素のイオンを前記第1の領域の前記第1の面に注入すること、または
ソース要素含有層を前記第1の領域の前記第1の面の上に堆積し、前記ソース要素含有層をアニールして前記ケイ素化合物抵抗領域を形成すること、
の少なくとも一方によって、前記第1の領域に前記ソース要素を供給することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ケイ素化合物抵抗領域を形成することがさらに、
前記第1の領域にソース要素を供給することを含み、前記ソース要素が炭素(C)または窒素(N)の少なくとも一方を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ケイ素化合物抵抗領域を形成することがさらに、
前記第1の領域にソース要素を供給すること、ならびに
前記ケイ素化合物抵抗領域内の前記ソース要素の濃度、または前記ケイ素化合物抵抗領域が前記第1の面から前記第1の領域の中に延びる深さ、の少なくとも一方を制御して、前記第1の領域内に形成される金属ケイ素化合物の量を制御することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ケイ素化合物抵抗領域内の前記ソース要素の前記濃度を増加させることは、前記第1の領域内に形成される第2の金属ケイ素化合物領域のサイズを減らし、または
前記ケイ素化合物抵抗領域が前記第1の面から前記第1の領域の中に延びる前記深さを増加させることは、前記第1の領域内に形成される第2の金属ケイ素化合物領域のサイズを減らす、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記金属含有層をアニールする際に前記第1の領域内に金属ケイ素化合物が形成されない、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記堆積金属含有層をアニールすることがさらに、
前記第1の領域内に第2の金属ケイ素化合物領域を形成することを含み、前記第2の金属ケイ素化合物領域が前記第1の金属ケイ素化合物領域よりも小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ケイ素化合物抵抗領域を形成する前に、
前記露出した第1の領域にドーパントを供給して前記第1の領域の抵抗率を制御することをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記金属含有層が、コバルト(Co)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、または白金(Pt)のうちの1つ以上を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
基板と、
前記基板内に配置された、抵抗率調整要素およびケイ素化合物抵抗要素を含む第1の領域と、
前記基板内に前記第1の領域に隣接して配置された第2の領域と、
前記第1の領域の上に配置された第1の金属ケイ素化合物層と、
前記第2の領域の上に配置された第2の金属ケイ素化合物層とを備え、前記第1の金属ケイ素化合物層が前記第2の金属ケイ素化合物層よりも薄い、半導体構造体。
【請求項15】
前記第1の領域と前記第1の金属ケイ素化合物層のシート抵抗が約20から約100Ω毎スクエアまでの範囲である、請求項14に記載の半導体構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の諸実施形態は一般に、集積回路の基板処理の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路製造には、複雑で費用がかかり得る多くのステップが含まれる。例えば、集積回路内に金属ケイ素化合物を形成するための1つの例示的な手順には、第1の領域および第2の領域を有する基板を用意すること、ならびに第1のパターン化フォトレジスト層を堆積して第1の領域を露出することが含まれる。第1の領域はドーパントでドープして、第1の領域の抵抗率を制御する。第1の領域のドーピングが完了した後、第1のパターン化マスク層を除去し、第2のパターン化マスク層を形成して第2の領域を露出する。第2のパターン化マスク層は、窒化ケイ素(SiN)などのハードマスクである。ニッケル(Ni)などの金属層を第2の露出領域の上に堆積しアニールして、金属ケイ素化合物を第2の露出領域内に形成する。最後に、アニールが完了した後で、第2のマスク層および残っているあらゆる非ケイ化金属を除去することができる。
【0003】
本発明者らは、集積回路内に金属ケイ素化合物を形成する方法の改善を実現した。
【発明の概要】
【0004】
集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法は、第1の領域および第2の領域を有する基板の第1の領域内にケイ素化合物抵抗領域を形成することであって、マスク層が基板の上に堆積され、第1の領域を露出するためにパターン化されること、基板の第1の領域内にケイ素化合物抵抗領域を形成した後にマスク層を除去すること、第1の領域の第1の面、および第2の領域の第2の面に金属含有層を堆積すること、ならびに堆積金属含有層をアニールして第2の領域内に第1の金属ケイ素化合物領域を形成することを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、ケイ素化合物抵抗領域を形成することはさらに、ケイ素化合物抵抗領域内のソース要素の濃度、またはケイ素化合物抵抗領域が第1の面から第1の領域の中に延びる深さ、の少なくとも一方を制御して、第1の領域内に形成される金属ケイ素化合物の量を制御することを含むことができる。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物抵抗領域内のソース要素の濃度を増加させることは、第1の領域内に形成される第2の金属ケイ素化合物領域のサイズを減らすことができる。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物抵抗領域が第1の面から第1の領域の中に延びる深さを増加させることは、第1の領域内に形成される第2の金属ケイ素化合物領域のサイズを減らすことができる。いくつかの実施形態では、金属含有層をアニールすることによって第1の領域内に金属ケイ素化合物が形成されない。
【0006】
いくつかの実施形態では、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法は、第1の領域および第2の領域と、基板の上に堆積され、第1の領域を露出するためにパターン化されたマスク層とを有する基板を用意すること、露出した第1の領域をドーパントでドーピングして第1の領域の抵抗率を制御すること、ドープされた第1の領域に炭素(C)または窒素(N)の少なくとも一方を含むソース要素を供給することによって、ドープされた第1の領域内にケイ素化合物抵抗領域を形成すること、ドープされた第1の領域内にケイ素化合物抵抗領域を形成した後にマスク層を除去すること、ドープされた第1の領域の第1の面、および第2の領域の第2の面に金属含有層を堆積すること、堆積金属含有層をアニールして第2の領域内に第1の金属ケイ素化合物領域を形成すること、ならびに第2の領域内に第1の金属ケイ素化合物領域を形成した後に、金属含有層を堆積したため残っている非ケイ化金属を第1および第2の領域の上から除去することを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、例えば集積回路内で使用するための半導体構造体を提供することができる。この半導体構造体は、基板と、基板内に配置された、抵抗率調整要素およびケイ素化合物抵抗要素を含む第1の領域と、第1の領域に隣接して基板内に配置された第2の領域と、第1の領域の上に配置された第1の金属ケイ素化合物層と、第2の領域の上に配置された第2の金属ケイ素化合物層とを備え、第1の金属ケイ素化合物層は第2の金属ケイ素化合物層よりも薄い。
【0008】
本発明のその他のさらなる諸実施形態は、以下で説明される。
【0009】
上記で簡潔に要約され、以下でより詳細に論じられる本発明の諸実施形態は、添付の図面に表わされた本発明の説明的な諸実施形態を参照して理解することができる。しかし、本発明では、その他の同様に効果的な実施形態を認めることができるので、添付の図面は、本発明の典型的な実施形態を示すのみであり、したがって、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきでないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法の流れ図である。
【
図2A】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内に金属ケイ素化合物領域を製造する段階を表わす図である。
【
図2B】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内に金属ケイ素化合物領域を製造する段階を表わす図である。
【
図2C】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内に金属ケイ素化合物領域を製造する段階を表わす図である。
【
図2D】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内に金属ケイ素化合物領域を製造する段階を表わす図である。
【
図2E】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内に金属ケイ素化合物領域を製造する段階を表わす図である。
【
図2F】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内に金属ケイ素化合物領域を製造する段階を表わす図である。
【
図2G】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内に金属ケイ素化合物領域を製造する段階を表わす図である。
【
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内にケイ素化合物抵抗領域を製造する段階を表わす図である。
【
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内にケイ素化合物抵抗領域を製造する段階を表わす図である。
【
図3C】本発明のいくつかの実施形態による、基板の一領域内にケイ素化合物抵抗領域を製造する段階を表わす図である。
【
図4】本発明のいくつかの実施形態によるプラズマ浸漬イオン注入処理チャンバを表わす概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解しやすくするために、各図面で共通の同じ要素を指定するのに、可能な場合には同じ参照数字が使用されている。図は原寸に比例していなく、見やすくするために簡略化されていることがある。一実施形態の要素および特徴は、さらに詳述されていなくても他の実施形態に有利に組み込まれてよいことが企図されている。
【0012】
本明細書では、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法が開示される。本発明の方法は、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成するのに必要な処理ステップの数および/または複雑さを有利に低減することができる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域を使用することにより、製造プロセスにおける窒化ケイ素(SiN)ハードマスク層、または同様のものなどのハードマスク層の必要性をなくすことができる。さらに、本発明の方法は、集積回路の抵抗層の抵抗率を制御するのに有利に使用することができる。例えば、ホウ素(B)、リン(P)またはヒ素(As)などの活性ドーパントによるドーピングを用いて抵抗率を制御することができる。例えば、抵抗率は、ケイ素化合物形成がない場合は約0.1から約10kΩ毎スクエアまでの範囲で制御することができるが、ケイ素化合物が形成されるときには約20Ω毎スクエアにも低くなり得る。したがって、本発明の諸実施形態では、付加的な抵抗率制御機構を提示することができる。
【0013】
一部の集積回路では、トランジスタ構造体としての低抵抗率ケイ素化合物、ならびに高抵抗率受動抵抗構造体を形成する必要があり得る。
図1は、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法100の流れ図を表わす。方法100は以下で、
図2A〜2Gおよび
図3A〜3Cに示された一連の製造ステップに従って説明される。いくつかの実施形態では、方法100の少なくともいくつかの部分は、例えば、
図4に関して以下で説明されるリアクタ400などのトロイダルソースプラズマ浸漬イオン注入リアクタ内で実施することができる(とはいえ、適切な他の処理チャンバを代替として使用することもできる)。
【0014】
方法100は一般に102から開始し、
図2Aに示されるように、ここでマスク層202を、第1の領域204および第2の領域206を有する基板200の上に堆積することができる。例えば、第1の領域204は集積回路のシリコンベースの抵抗に相当し、第2の領域206は集積回路のトランジスタ領域に相当し得る。しかし、第1の領域204および第2の領域206はそれぞれ、上で論じられた抵抗領域およびトランジスタ領域に限定されない。例えば、第1の領域204はコンデンサ領域、相互接続構造体、または同様のものに相当し得る。本発明の方法100は、Si貫通電極(TSV)用途などの相互接続構造体の形成、微小電子機械システム(MEMS)技術、または同様のものに適用することができる。
【0015】
第1の領域204は第1の面203を有し、第2の領域206は第2の面205を有し、これらの面の上にマスク層202を堆積することができる。基板200は、シリコン基板、III−V化合物基板、シリコンゲルマニウム(SiGe)基板、エピ基板、シリコンオン絶縁体(SOI)基板、液晶ディスプレイ(LCD)などのディスプレイ基板、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネセンス(EL)ランプディスプレイ、発光ダイオード(LED)基板、太陽電池アレイ、ソーラーパネル、または同様の適切な任意の基板でよい。いくつかの実施形態では、基板200は半導体ウエハ(例えば、200mm、300mm、または同様のシリコンウエハ)でよい。いくつかの実施形態では、第1の領域204および第2の領域206はシリコンを含む。いくつかの実施形態では、マスク層202はフォトレジストでよい。例示的なフォトレジストには、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリメチルグルタルイミド(PMGI)、フェノールホルムアルデヒド樹脂(DNQ/ノボラック)、または同様のもののうちの1つ以上から形成されたフォトレジストが含まれ得る。
【0016】
104で、マスク層202をパターン化して基板200の第1の領域204を露出することができる。例えば、
図2Bに示されるように、マスク層202のパターニングが完了すると、第1の領域204を露出することができるが、第2の領域206はマスク層202で覆われたままである。マスク層202のパターニングは、リソグラフィ、エッチング、または同様の適切な任意のパターニングの方法で行うことができる。例えば、マスク層202がフォトレジストを含む場合、光リソグラフィ技法を用いて第1の領域204の上のマスク層202の部分を露光した後に、マスク層202を現像して第1の領域204の上のマスク層202の露光部分を除去する。
【0017】
いくつかの実施形態では、任意選択で、露出した第1の領域204に、矢印208で図示されるようにドーパントを供給して第1の領域204の抵抗率を制御することができる。ドーパントは、リアクタ400、あるいはビームライン注入、または同様のものなどの適切な任意のドーパント注入方法を使用して、第1の領域204に注入することができる。いくつかの実施形態では、ドーパントは、ホウ素(B)、リン(P)またはヒ素(As)のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の領域のドーパント濃度は、約1×10
17cm
−3から約1×10
21cm
−3の範囲であり得る。例えば、ドーパントの濃度が高くなると、第1の領域204の抵抗率が低くなり得る。いくつかの実施形態では、以下で論じるように、露出した第1の領域204にケイ素化合物抵抗領域を形成する前にアニールを実施して、注入ドーパントを活性化することができる。露出した第1の領域204内のドーパントを活性化するためのアニールは、約800℃から約1200℃の温度において約0.1秒から約60秒などの所望の時間実施することができる。いくつかの実施形態では、アニールは、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、または同様のものを含む雰囲気など、不活性雰囲気中で実施することができる。
【0018】
106で、ケイ素化合物抵抗領域210を基板200の第1の領域204に形成することができる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域210は、第1の領域204の第1の面203から第1の領域204の中に延びることができる。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物抵抗領域210は、約10オングストロームから約100オングストロームの深さに延びることができる。ケイ素化合物抵抗領域210は、シリコン(Si)と、炭素(C)または窒素(N)の少なくとも一方とを含むことができる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域210のシリコン(Si)が基板200の第1の領域204から生じ得るのに対し、炭素(C)または窒素(N)の少なくとも一方は第1の領域204に供給されてよい。いくつかの実施形態では、第1の領域204の抵抗率を制御するために、ケイ素化合物抵抗領域210をさらに利用することができる。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物抵抗領域210を用いて、第1の領域204の抵抗率がドーピングだけで実現できる(例えば上述の)抵抗率よりも低くなるように制御することができる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域210を用いて第1の領域204の抵抗率を制御することは、第1の面203から第1の領域204の中に延びるケイ素化合物抵抗領域210の濃度および/または深さを制御することによって実現することができる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域210の濃度および/または深さを制御することにより、以下で説明する後処理で第1の領域204内に引き続き形成される金属ケイ素化合物の量を制御することができる。第1の領域204内に形成される金属ケイ素化合物の量により、第1の領域204の抵抗率を制御することができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、ケイ素化合物抵抗領域210を形成するために、炭素(C)または窒素(N)の少なくとも一方を含むソース要素を第1の領域204に供給することができる。いくつかの実施形態では、ソース要素のイオンを第1の領域204の第1の面203に注入することができる(
図2Cに矢印212で示す)。例えば、ソース要素のイオンの注入は、以下で論じるリアクタ400を使用して実施することができる。いくつかの実施形態では、ケイ素化合物抵抗領域210内のソース要素の濃度は、約0.01から約10原子百分率とすることができる。
【0020】
注入方法の別法として、
図3A〜Cに示されるように、ソース要素を堆積してケイ素化合物抵抗領域210を形成することもできる。例えば、
図3Aに示されるように、ソース要素含有層300を第1の領域204の第1の面203の上と、マスク層202が104でパターン化された後に第2の領域206の上に残っているマスク層202の上とに堆積することができる。例えば、ソース要素含有層は、炭素(C)または窒素(N)の少なくとも一方と、任意選択で水素(H)とを含むことができる。いくつかの実施形態では、ソース要素含有層は、1つまたは複数の炭化水素不揮発性要素含有水素化物、または同様のものでよい。ソース要素含有層は、以下で論じるリアクタ400を、例えば堆積モードで使用して堆積することができる。ソース要素含有層は、約10オングストロームから約200オングストロームまでの厚さの範囲とすることができる。
【0021】
ソース要素含有層300は、アニールして基板200の第1の領域204内にケイ素化合物抵抗領域210を形成することができる。ソース要素含有層300からケイ素化合物抵抗領域210を形成するためのアニールは、約800℃から約1200℃の範囲の温度において約0.1秒から約60秒などの所望の時間実施することができる。いくつかの実施形態では、アニールは、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)または同様のものを含む雰囲気など、不活性雰囲気中で実施することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、
図3Bに表わされるように、ソース要素含有層300からの未反応材料302が、ケイ素化合物抵抗領域210を形成するためのアニールが完了した後に残り得る。例えば、未反応材料302は、
図3Cに表わされるように、パターン化マスク層202と共に、またはパターン化マスク層202とは別に除去することができる。例えば、パターン化マスク層202および未反応材料302は、硫酸(H
2SO
4)と過酸化水素(H
2O
2)の混合物、酸素プラズマ処理、または同様の適切な任意の方法によって除去することができる。
【0023】
再び
図2Dを参照すると(
図3Cにも示す)、108で、ケイ素化合物抵抗領域210が第1の領域204内に形成された後に、パターン化マスク層202を除去することができる。パターン化マスク層202は、上で論じた方法のいずれによっても除去することができる。
【0024】
図2Eに表わされるように、110で、金属含有層214を第1の領域204の第1の面203の上と、基板200の第2の領域206の第2の面205の上とに堆積することができる。金属含有層214は、物理的気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)、原子層堆積(ALD)、または同様の適切な任意の方法によって堆積することができる。金属含有層は、コバルト(Co)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、または例えば約5パーセントから約20パーセントの白金濃度を有するニッケル白金(Ni−Pt)合金など、これらの合金のうちの1つ以上を含むことができる。金属含有層214は、所望の任意の厚さに堆積することができる。例えば、堆積金属含有層214の厚さは、約40オングストロームから約200オングストロームの範囲になり得る。金属含有層214の厚さにより、第2の領域206内に形成される、また以下で論じるように任意選択で第1の領域204内に形成される金属ケイ素化合物領域の厚さが、少なくとも部分的に決まる。
【0025】
図2Fに表わされるように、112で、堆積金属含有層214をアニールして、基板200の第2の領域206内に第1の金属ケイ素化合物領域216を形成することができる。例えば、金属含有層214から第1の金属ケイ素化合物領域216を形成するためのアニールは、約150℃から約450℃の範囲の温度において約5秒から約300秒などの所望の時間実施することができる。いくつかの実施形態では、アニールは、窒素(N
2)、アルゴン(Ar)、または同様のものを含む雰囲気など、不活性雰囲気中で実施することができる。
【0026】
図2Gに表わされた第1の金属ケイ素化合物領域216は、第2の面205から第2の領域206の中に延びることができ、任意選択で、点線で示されているように第2の面205の上に延びることができる。第1の金属ケイ素化合物領域216の厚さは、金属含有層214の厚さおよび組成物、第2の領域内の要素の同一性および濃度などの第2の領域206の組成物、特定の結晶面または多結晶面など第2の面の配向、アニールの温度、アニールの時間、または同様のもののうちの1つ以上によって制御することができる。
【0027】
任意選択で、第2の金属ケイ素化合物領域218を第1の領域204内に形成することができる。例えば低いシート抵抗率(例えば、約20Ω毎スクエアから約500Ω毎スクエアまでの範囲)は、ドーパントだけで実現するのが困難なことがある。それゆえに、第2の金属ケイ素化合物領域218は第1の領域204の抵抗率を調整するために使用して、ドーパントだけで実現可能になり得る抵抗率よりも低い抵抗率を得ることができる。例えば、第2の金属ケイ素化合物領域218は、第1の領域204のケイ素化合物抵抗領域210の中に延びることができ、任意選択で、
図2Fに表わされているように第1の面203の上に延びることができる。例えば、第2の金属ケイ素化合物領域218は、ケイ素化合物抵抗領域210が存在することにより、第1の金属ケイ素化合物領域216よりも薄くすることができる。例えば、第1の金属ケイ素化合物領域216の厚さを制御するための、上で論じたものと同様の要因がまた、第2の金属ケイ素化合物領域218の厚さを制御するために利用されてもよい。しかし、別法として、またはこれらの要因と組み合わせて、第1の領域204内に形成される金属ケイ素化合物の量はさらに、ケイ素化合物抵抗領域210内のソース要素の濃度、またはケイ素化合物抵抗領域210が第1の面203から第1の領域204の中に延びる深さ、の少なくとも一方を制御することによって制御することもできる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域210内のソース要素の濃度を高くすると、第1の領域204内に形成される第2の金属ケイ素化合物領域218のサイズを小さくすることができる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域210が第1の面203から第1の領域204の中に延びる深さを増すと、第1の領域204内に形成される第2の金属ケイ素化合物領域218のサイズを小さくすることができる。いくつかの実施形態では、金属含有層214のアニーリングによって第1の領域204内に金属ケイ素化合物が生じない(例えば、第2の金属ケイ素化合物領域218が形成されない)。上で論じたように、第1の領域204内に形成される金属ケイ素化合物の量により、第1の領域204内の抵抗率が少なくとも部分的に決まる。
【0028】
第1の金属ケイ素化合物領域216(および任意選択で、第2の金属ケイ素化合物領域218)が形成された後、金属含有層214を堆積したため残っている非ケイ化金属を、
図2Gに表わされたように第1の領域204および第2の領域206の上から除去することができる。例えば、金属含有層214としてニッケルおよびニッケル合金を使用する場合、非ケイ化金属は、湿式化学処理を施すことによって除去することができる。非ケイ化材料の少なくとも一部を除去するために、湿式化学処理には塩酸(HCl)、硝酸(HNO
3)、硫酸(H
2SO
4)、過酸化水素(H
2O
2)、またはこれらの混合物のうちの少なくとも1つが含まれてよい。
【0029】
本明細書で論じられている本発明の方法では、ケイ化処理によって抵抗をマスクするために使用される標準的な流れの中のいくつかの処理ステップをなくすことができる。例えば、上で論じたように、本発明の処理の流れの中では単一のマスク層を使用することができるのに対し、従来の方法では、集積回路の抵抗領域にドーパントを供給するための第1のマスク層と、次の、集積回路のトランジスタ領域に金属ケイ素化合物を供給するための第2のマスク層とが必要である。いくつかの実施形態では、適切な炭素量および注入エネルギーにより、ケイ素化合物形成ステップ後に、従来の形成方法を使用する非注入領域と比べて10倍を超える第1の領域の抵抗率の増加が得られることを結果が示す。
【0030】
本発明の諸実施形態は、それだけには限らないが、カリフォルニア州Santa ClaraのApplied Materials,Inc.から市販されているCONFORMA(商標)リアクタなどのトロイダルソースプラズマ浸漬イオン注入リアクタ内で実施することができる。このような適切なリアクタおよびその操作方法は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7166524号に記載されている。
【0031】
図4を参照すると、上記の出願に開示されているタイプのトロイダルソースプラズマ浸漬イオン注入リアクタ400は、円筒形側壁404および円板形天井406によって画成された円筒形真空チャンバ402を有する。チャンバの床にある基板支持体ペデスタル408は、処理されるべき基板410(例えば、基板200)を支持する。天井406上のガス供給板すなわちシャワーヘッド412は、そのガスマニホルド414の中に処理ガスをガス供給パネル416から受け入れ、このガス供給パネル416のガス出力は、1つまたは複数の個別ガス供給源418からの各ガスのうちのいずれか1つまたは混合物とすることができる。真空ポンプ420が、基板支持体ペデスタル408と側壁404の間に画成されたポンプ環帯422に結合される。処理領域424が基板410とガス供給板412の間に画成される。
【0032】
対の外部再入導管426、428が、処理領域424を通過するプラズマ流の再入トロイダル経路を確立し、これらのトロイダル経路は処理領域424内で交差する。導管426、428のそれぞれは、チャンバの両側に結合された一対の端部430を有する。各導管426、428は中空導電管である。それぞれの導管426、428は、導管の2つの端部間に閉ループ導電路が形成することを防止する直流絶縁リング432を有する。
【0033】
それぞれの導管426、428の環状部が環状磁気コア434で取り囲まれる。コア434を取り巻く励起コイル436が、インピーダンス整合デバイス440を介して高周波電源438に結合される。コア436のそれぞれに結合された2つの高周波電源438は、2つの周波数がわずかに異なるものでよい。高周波電力ジェネレータ438から結合された高周波電力によりプラズマイオン電流が、それぞれの導管426、428を通ると共に処理領域424を通って延びる閉トロイダル経路内に生じる。これらのイオン電流は、それぞれの高周波電源438の周波数で振動する。バイアス電力ジェネレータ442によってバイアス電力が、インピーダンス整合回路444を通して基板支持体ペデスタル408に印加される。
【0034】
プラズマ形成は、処理ガスまたは処理ガスの混合物をチャンバ424の中にガス供給板412を通して導入し、ジェネレータ438からの十分なソース電力を再入導管426、428に印可して導管内および処理領域424の中にトロイダルプラズマ電流を生成することによって行われる。ウエハ表面に近接するプラズマフラックスは、高周波バイアス電力ジェネレータ442により印加されるウエハバイアス電圧によって決まる。プラズマ速度またはフラックス(ウエハ表面をサンプリングするイオンの1平方cm当たり1秒当たりの数)はプラズマ密度によって決まり、プラズマ密度は、高周波電力ジェネレータ438により印加される高周波電力のレベルによって制御される。ウエハ410での累積イオン線量(イオン/平方cm)は、フラックスと、そのフラックスが維持される合計時間との両方で決まる。
【0035】
ウエハ支持体ペデスタル408が静電チャックである場合、埋込み電極446がウエハ支持体ペデスタルの絶縁板448の中に設けられ、埋込み電極446は、ユーザが制御可能な直流チャック電圧源450と、バイアス電力ジェネレータ442とに、インピーダンス整合回路444を通して、また任意選択の分離コンデンサ452(インピーダンス整合回路444内に含まれてよい)を通して結合される。
【0036】
動作時、例えば、基板410は基板支持体ペデスタル408上に置くことができ、1つまたは複数の処理ガスをチャンバ402の中に導入して、処理ガスからのプラズマに打ち当てることができる。
【0037】
動作時、プラズマをリアクタ400の中の処理ガスから発生させて、上で論じたように、基板410の表面を選択的に修飾することができる。プラズマは、ジェネレータ438から十分なソース電力を再入導管426、428に印可して、上述した処理により導管426、428内および処理領域424内にプラズマイオン電流を生成することによって、処理領域424内に形成される。いくつかの実施形態では、高周波バイアス電力ジェネレータ442によって送出されるウエハバイアス電圧は、ウエハ表面へのイオンのフラックスと、場合により、ウエハ上に形成される層の厚さ、またはウエハ表面に埋め込まれるプラズマ種の濃度のうちの1つ以上とを制御するように調整することができる。いくつかの実施形態では、バイアス電力が印加されない。
【0038】
コントローラ454が、中央処理ユニット(CPU)456、メモリ458、およびCPU 456のサポート回路460を備えると共に、以下でさらに詳細に論じるように、チャンバ402の構成要素を制御しやすくし、またそのためエッチ処理を制御しやすくする。処理チャンバ402を制御しやすくするには、例えば以下で説明するように、コントローラ454は、様々なチャンバおよび副プロセッサを制御するための工業環境で使用できる汎用コンピュータプロセッサの任意の形のうちの1つのものでよい。CPU 456のメモリ458、またはコンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取専用メモリ(ROM)、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、または局所または遠隔のデジタル記憶装置の他の任意の形など、1つまたは複数の容易に利用可能なメモリでよい。サポート回路460は、プロセッサをサポートするCPU 456に従来通りに結合される。これらの回路は、キャッシュ、電源、クロック回路、入出力回路および副システム、ならびに同様のものを含む。本明細書に記載の本発明の方法、または少なくともその一部分は、ソフトウェアルーチンとしてメモリ458内に記憶されてよい。このソフトウェアルーチンは、CPU 456によって制御されるハードウェアから遠隔に置かれた第2のCPU(図示せず)によって記憶および/または実行されてよい。
【0039】
このように、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成する方法が本明細書で開示されている。本発明の方法は、集積回路内に金属ケイ素化合物領域を形成するために必要な処理ステップの数を有利に低減することができる。例えば、ケイ素化合物抵抗領域を使用することにより、製造プロセスにおける窒化ケイ素(SiN)ハードマスク層、または同様のものなどのハードマスク層の必要性をなくすことができる。さらに、本発明の方法は、集積回路の抵抗層の抵抗率を制御するのに有利に使用することができる。例えば、抵抗率を制御するにはホウ素(B)、リン(P)またはヒ素(As)などのドーパントによるドーピングを用いることができる。しかし、サブミクロンデバイスノードなどの低い抵抗率は、ドーパントだけで実現するのが困難なことがある。それゆえに、本発明の方法では、付加的な抵抗率制御機構を提供することができる。
【0040】
上述したものは本発明の諸実施形態を対象とするが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、本発明の他のさらなる実施形態を考案することができる。