特許第5992711号(P5992711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5992711
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 3/00 20060101AFI20160901BHJP
   B66C 19/00 20060101ALI20160901BHJP
   B65G 67/60 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   B66C3/00
   B66C19/00 C
   B65G67/60 A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-78699(P2012-78699)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-209166(P2013-209166A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005902
【氏名又は名称】三井造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 秀和
【審査官】 三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−040577(JP,A)
【文献】 特表2006−501115(JP,A)
【文献】 特開2001−253682(JP,A)
【文献】 実開平03−018085(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 1/00− 3/20
B66C 13/00−15/06
B66C 19/00
B65G 67/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロリと、前記トロリに懸吊された箱型の荷役具と、前記トロリを介して前記荷役具に連結したワイヤロープを有していて、前記荷役具が平面視において順番に第1辺、第2辺、第3辺および第4辺を有する四角形状に上面を開口して内部にバラ荷を収容できる運搬箱で構成されたクレーンにおいて、
前記第1辺の両端近傍および第3辺の両端近傍にそれぞれ連結される4本の前記ワイヤロープと、4本の前記ワイヤロープがそれぞれ巻装され独立して回転を制御される4つのドラムと、このドラムの回転を制御する制御装置とを有していて、
前記制御装置が、
前記第1辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる第1辺下降制御と、前記第3辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる第3辺上昇制御との少なくとも一方を行ない前記荷役具の前記第1辺の側から前記バラ荷を排出し、
前記第2辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる第2辺下降制御と、前記第4辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる第4辺上昇制御との少なくとも一方を行ない前記荷役具の前記第2辺の側から前記バラ荷を排出する構成を有することを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記制御装置が、前記第1辺と前記第4辺との交わる角部の近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる制御と、前記第2辺と前記第3辺との交わる角部の近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる制御とのうち少なくとも一方を行ない、前記第1辺と前記第4辺との交わる前記角部から前記バラ荷を排出する構成を有する請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
トロリと、前記トロリに懸吊された箱型の荷役具と、前記トロリを介して前記荷役具に連結したワイヤロープとを有していて、前記荷役具が平面視において順番に第1辺、第2辺、第3辺および第4辺を有する四角形状に上面を開口して内部にバラ荷を収容できる運搬箱で構成されたクレーンにおいて、
前記第1辺の両端近傍および第3辺の両端近傍にそれぞれ連結される4本の前記ワイヤロープと、4本の前記ワイヤロープがそれぞれ巻装され独立して回転を制御される4つのドラムと、このドラムの回転を制御する制御装置とを有していて、
前記制御装置が、
前記第1辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる第1辺下降制御と、前記第3辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる第3辺上昇制御との少なくとも一方を行ない前記荷役具の前記第1辺の側から前記バラ荷を排出し、
記第1辺と前記第4辺との交わる角部の近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる制御と、前記第2辺と前記第3辺との交わる角部の近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる制御とのうち少なくとも一方を行ない、前記第1辺と前記第4辺との交わる前記角部から前記バラ荷を排出する構成を有することを特徴とするクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トロリと、トロリで懸吊した箱型の荷役具(運搬箱)を有するクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
重量のあるバラ荷(例えば鉄鉱石等の鉱物)の荷役に、箱型の荷役具(以下、運搬箱という)が使用されている(例えば特許文献1参照)。この運搬箱は、例えばバラ荷を岸壁から船舶の船倉内、又は船倉内から岸壁に荷役する場合や、ストックヤードからトラックに荷役する場合に使用されている。
【0003】
図4に、運搬箱を備えた岸壁クレーンの1例を示す。クレーン1Xは、脚構造物10と、脚構造物10で支持されたブーム11及びガーダ12と、脚構造物10に設置した機械室13と、ブーム11等に沿って走行するトロリ3と、荷役具である運搬箱2Xを有している。また、クレーン1Xは、機械室13内に設置した複数のドラムDXと、ブーム11等の端部に設置した複数のシーブSXを有している。このドラムDXは、それぞれ巻きつけられたワイヤロープWXを有している。この複数のワイヤロープWXは、ドラムDXからシーブSXを介して、運搬箱2Xにそれぞれ連結されている。なお、18は岸壁、20は船舶、21は船舶の船倉に荷卸しされたバラ荷を示している。また、xはクレーン1Xの横行方向、zは鉛直方向を示している。
【0004】
このクレーン1Xは、船倉等にバラ荷21を荷卸しする際には、図4に示すように運搬箱2Xを傾斜させて行っていた。この構成により、クラブバケットでは、閉止状態を維持することが困難な重量のあるバラ荷21であっても、荷役をすることができていた。なお、石炭等、クラブバケットで荷役可能なバラ荷は、運搬箱2Xをクラブバケットに取り替えて荷役することもできていた。
【0005】
しかしながら、上記のクレーン1Xはいくつかの問題点を有している。第1に、船倉内等にバラ荷21を均一に荷役することが困難であるという問題を有している。これは、運搬箱2Xの傾動方向が1方向であるためである。特に重量の重いバラ荷21を荷役する場合は、船舶の規模によっては船舶がバランスを崩して大事故につながる可能性がある。
【0006】
第2に、バラ荷21を船倉内等に均一に荷卸しするために、トロリ3や運搬箱2X等に旋回機構を設置する方法も考えられているが、旋回機構の設置によりトロリ3や荷役具の重量が増加してしまうという問題を有している。特に、荷役具等の重量が増加すると、荷役可能なバラ荷21の重量が減少し、荷役効率が著しく低下してしまう。
【0007】
第3に、旋回機構を有するクレーンにおいて、運搬箱2Xを旋回させる場合、船倉の内壁等に運搬箱2Xが接触する事故が発生してしまうという問題を有している。これは、クレーン1Xのオペレータにとって、船倉内の様子を把握することが困難だからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−253682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、荷役具としてバラ荷
を荷役する運搬箱を有するクレーンにおいて、バラ荷を均一に荷卸しすることができ、トロリ等の荷役装置の重量増加を抑制し、且つ船倉等と運搬箱の接触事故を防止できるクレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するための本発明に係るクレーンは、トロリと、前記トロリに懸吊された箱型の荷役具と、前記トロリを介して前記荷役具に連結したワイヤロープを有していて、前記荷役具が平面視において順番に第1辺、第2辺、第3辺および第4辺を有する四角形状に上面を開口して内部にバラ荷を収容できる運搬箱で構成されたクレーンにおいて、前記第1辺の両端近傍および第3辺の両端近傍にそれぞれ連結される4本の前記ワイヤロープと、4本の前記ワイヤロープがそれぞれ巻装され独立して回転を制御される4つのドラムと、このドラムの回転を制御する制御装置とを有していて、前記制御装置が、前記第1辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる第1辺下降制御と、前記第3辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる第3辺上昇制御との少なくとも一方を行ない前記荷役具の前記第1辺の側から前記バラ荷を排出し、前記第2辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる第2辺下降制御と、前記第4辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる第4辺上昇制御との少なくとも一方を行ない前記荷役具の前記第2辺の側から前記バラ荷を排出する構成を有することを特徴とする。
【0011】
この構成により、クレーンは船倉等にバラ荷を均一に荷卸しすることができる。これは、箱型の荷役具に接続された4本のワイヤロープの繰り出し等を、4つのドラムで独立して制御する構成により、荷役具の傾動を自由に制御できるからである。また、荷役具やトロリ等に新たな機器等を設置しないため、荷役具等の重量増加を伴わない。
【0012】
レーンは、箱型の荷役具を傾斜させて内部のバラ荷等を排出することができる。つまり、クレーンは第1辺下降制御により第1辺側からバラ荷を排出することができ、第1辺上昇制御により第3辺側からバラ荷を排出することができる。そのため、荷役具を旋回させることなく、船倉内の任意の位置及び方向にバラ荷を荷卸しすることができる。
【0013】
レーンは、第1辺下降制御及び第3辺上昇制御により、第1辺側からバラ荷を排出することができるが、このとき、2つの制御を同時に行うと、1つの制御のみで行う場合に比べ、半分の時間で同じ荷役具の傾きを実現することができる。
【0014】
制御装置が、第1辺と第4辺との交わる角部の近傍に連結されているワイヤロープを巻き下げる制御と、第2辺と第3辺との交わる角部の近傍に連結されているワイヤロープを巻き上げる制御とのうち少なくとも一方を行ない、第1辺と第4辺との交わる角部からバラ荷を排出する構成にすることができる。
【0015】
上記の目的を達成するための本発明に係るクレーンは、トロリと、前記トロリに懸吊された箱型の荷役具と、前記トロリを介して前記荷役具に連結したワイヤロープとを有していて、前記荷役具が平面視において順番に第1辺、第2辺、第3辺および第4辺を有する四角形状に上面を開口して内部にバラ荷を収容できる運搬箱で構成されたクレーンにおいて、前記第1辺の両端近傍および第3辺の両端近傍にそれぞれ連結される4本の前記ワイヤロープと、4本の前記ワイヤロープがそれぞれ巻装され独立して回転を制御される4つのドラムと、このドラムの回転を制御する制御装置とを有していて、前記制御装置が、前記第1辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる第1辺下降制御と、前記第3辺の両端近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる第3辺上昇制御との少なくとも一方を行ない前記荷役具の前記第1辺の側から前記バラ荷を排出し、前記第1辺と前記第4辺との交わる角部の近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き下げる制御と、前記第2辺と前記第3辺との交わる角部の近傍に連結されている前記ワイヤロープを巻き上げる制御とのうち少なくとも一方を行ない、前記第1辺と前記第4辺との交わる前記角部から前記バラ荷を排出する構成を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるクレーンによれば、荷役具としてバラ荷を荷役する運搬箱を有するクレーンにおいて、バラ荷を均一に荷卸しすることができ、トロリ等の荷役装置の重量増加を抑制し、且つ船倉等と運搬箱の接触事故を防止できるクレーンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る実施の形態のクレーンの概略を示した図である。
図2】本発明に係る実施の形態のクレーンの荷役具の傾動の制御を示した図である。
図3】本発明に係る実施の形態のクレーンの荷役具の傾動の制御を示した図である。
図4】従来のクレーンの概略を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態のクレーンについて、図面を参照しながら説明する。図1に、本発明に係る実施の形態のクレーン1の構成の概略を示す。クレーン1は、トロリ3と、トロリ3に懸吊された箱型の荷役具(以下、運搬箱という)2と、トロリ3を介して運搬箱に連結したワイヤロープWa、Wb、Wc、Wd(以下、総称する場合はワイヤロープWという)を有している。このワイヤロープWは、独立して回転を制御することのできる4つのドラムDa、Db、Dc、Dd(以下、総称する場合はドラムDという)からそれぞれ繰りだされ、且つ運搬箱2の異なる4点にそれぞれ連結されている。
【0021】
また、運搬箱2は、平面視において上部の開口部が、順番に第1辺L1、第2辺L2、第3辺L3及び第4辺L4を有する四角形となるように構成されている。前述のワイヤロープWは、第1辺L1の両端近傍及び第3辺L3の両端近傍、すなわち四角形の4つの頂点近傍にそれぞれ連結されている。更に、クレーン1は、ドラムDの回転を制御する制御装置4を有している。この制御装置4は、信号線を介してドラムDに接続されている。
【0022】
ここで、S1乃至S8は、滑車(シーブ)を示している。また、運搬箱2は、上方に向かって開口部が拡大するように形成した傾斜した側面を有している。
【0023】
次に、クレーン1の作動について説明する。図2に、クレーン1の運搬箱2を傾け、バラ荷を船倉等に下ろす際の様子を示す。バラ荷を下ろす際、例えば、制御装置4の制御により、運搬箱2の第1辺L1に連結したワイヤロープWa、Wbを対応するドラムDa、Dbで巻下げ、第1辺L1を下降させる(第1辺下降制御)。この第1辺下降制御により、運搬箱2の第1辺L1が下降し、この第1辺L1側からバラ荷が船倉等に下ろされる。ここで、第3辺L3に連結したワイヤロープWc、Wdを対応するドラムDc、Ddで巻上げ、第3辺L3を上昇させても同様の結果を得ることができる(第3辺上昇制御)。つまり、第3辺上昇制御により、第1辺L1が相対的に下降し、この第1辺L1側からバラ荷を船倉等に下ろすことができる。
【0024】
また、制御装置4を、第1辺下降制御と第3辺上昇制御を同時に行えるように構成してもよい。この構成により、1つの制御(第1辺下降制御又は第3辺上昇制御)のみで運搬箱2を傾ける場合に比べ、半分の時間で運搬箱2を同じ角度まで傾けることができる。
【0025】
更に、前述とは逆方向である運搬箱2の第3辺L3側からバラ荷を下ろしたい場合は、ドラムDa、DbでワイヤロープWa、Wbを巻き上げて第1辺L1を上昇させる制御(第1辺上昇制御)、又はドラムDc、DdでワイヤロープWc、Wdを巻下げて第3辺L3を下降させる制御(第3辺下降制御)を行う。
【0026】
図3に、クレーン1の運搬箱2を前述とは異なる方向に傾けた様子を示す。図3に示すように、運搬箱2の第4辺L4側からバラ荷を下ろしたい場合は、ドラムDb、DdでワイヤロープWb、Wdを巻き上げて第2辺L2を上昇させる制御(第2辺上昇制御)、又はドラムDa、DcでワイヤロープWa、Wcを巻下げて第4辺L4を下降させる制御(
第4辺下降制御)を行う。
【0027】
また、前述とは逆方向である運搬箱2の第2辺L2側からバラ荷を下ろしたい場合は、ドラムDb、DdでワイヤロープWb、Wdを巻き下げて第2辺L2を下降させる制御(第2辺下降制御)、又はドラムDa、DcでワイヤロープWa、Wcを巻上げて第4辺L4を上昇させる制御(第4辺上昇制御)を行う。
【0028】
前述の構成により、以下の作用効果を得ることができる。第1に、バラ荷を船倉等に均一に荷卸しすることができる。4つのドラムを独立して制御する構成により、バラ荷を船倉等の内部の任意の方向に荷卸しすることができるからである。そのため、特に小型船舶に対して、重量の重いバラ荷を荷卸しする場合であっても、バラ荷の偏りにより船舶がバランスを崩す等の事故を防止することができる。
【0029】
第2に、トロリ等の荷役装置の重量増加を防止することができる。トロリや運搬箱等の荷役具に、旋回機構等の新たな機構を設置する必要がないためである。そのため、荷役具の重量増加に伴い荷役可能なバラ荷の重量が減少し、荷役効率が著しく低下するという問題が発生しない。
【0030】
第3に、運搬箱2が船倉等に接触する事故を防止することができる。これは、ドラムDの制御による運搬箱2の傾動制御は、旋回機構による旋回制御と異なり運搬箱2の投影面積の大きな拡大を生じないからである。つまり、運搬箱2を船倉内に下ろした際に接触等が発生しなければ、追加して傾動制御を行った場合も接触等が発生する可能性がほとんどないからである。
【0031】
なお、例えばドラムDb、Dcの回転を固定し、ドラムDaを巻き下げる制御、又はドラムDdを巻き上げる制御のいずれか、又は両方を同時に行い、第1辺L1と第4辺L4の交わる角部からバラ荷を下ろすように制御することも可能である(対角制御)。この制御により、船倉等の内部にバラ荷を更に均一に荷卸しすることが可能となる。
【0032】
また、運搬箱2にワイヤロープWを固定する位置は、4つのドラムDの独立制御により、運搬箱2の傾動を制御できる位置であればよい。例えば、運搬箱2の上縁部と底縁部の間の任意の場所に、ワイヤロープWを固定することができる。この構成により、運搬箱2を90度以上傾けることが可能となる。ただし、この位置は、図1乃至3に示すように、第1辺L1及び第3辺L3の両端部(又は第2辺L2及び第4辺L4の両端部)が最も望ましい。ワイヤロープWと運搬箱2の干渉が発生しにくい位置だからである。
【0033】
以上より、本発明のクレーン1は、バラ荷を均一に荷卸しすることができ、トロリ等の荷役装置の重量増加を抑制し、且つ船倉等と運搬箱の接触事故を防止できる。なお、本発明は、工場内に設置された天井クレーン等、岸壁クレーン以外のクレーンであって、バラ荷を荷役する他のクレーンにも適用することができる。
【0034】
また、運搬箱2の形状は、上方を開放した直方体に限られない。つまり、運搬箱が第1辺乃至第4辺を有さないような形状であっても、ワイヤロープWの接続位置を考慮すれば、運搬箱の傾動を実現することができるからである。具体的には、運搬箱2の開口部が4角以上の多角形や、楕円形を有する形状であってもよい。
【0035】
更に、運搬箱2の側壁は、上方に向かって拡開するように傾斜させて配置することが望ましい。荷卸しの際、バラ荷が船倉等に滑り落ちやすくするためである。
【符号の説明】
【0036】
1 クレーン(岸壁クレーン)
2 荷役具(箱型の荷役具、運搬箱)
3 トロリ
4 制御装置
21 バラ荷
L1 第1辺
L2 第2辺
L3 第3辺
L4 第4辺
D(Da、Db、Dc、Dd) ドラム
W(Wa、Wb、Wc、Wd) ワイヤロープ
図1
図2
図3
図4