【文献】
近内 誠他,薬局業務をトータルに効率化する三菱保険薬局システム“Melphin/Neo”,三菱電機技報,日本,三菱電機エンジニアリング株式会社,2007年,第81巻、第7号,P.27〜30
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記統計情報は、地域毎の定期健康診断を受診した総受診者数と、前記総受診者数のうち異常が見つかった有所見者数とを格納した定期健康診断統計情報を備えており、前記疾病率統計情報は、前記診療圏の前記総受診者数に対する前記有所見者数の割合から求められることを特徴とする請求項2に記載のモダリティ導入支援装置。
前記導入判定部は、前記推奨判定を行う場合に、前記潜在患者数から前記許容患者数を引いた余剰潜在患者数を算出し、前記診療圏内で前記余剰潜在患者数を処理するために必要な診療科数と、前記モダリティの台数とを特定することを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のモダリティ導入支援装置。
前記導入希望医療機関から、前記導入希望医療機関の住所と、導入を希望するモダリティとを含む導入支援依頼を受け付ける導入支援受付部を備えることを特徴とする請求項1〜8いずれか一項に記載のモダリティ導入支援装置。
前記疾病発生情報データベース及び前記台数情報データベースは、複数の医療機関から収集した電子カルテ情報を格納する導入支援情報データベースからなることを特徴とする請求項1〜10いずれか一項に記載のモダリティ導入支援装置。
前記情報収集部は、前記モダリティのメーカーまたは販売代理店から、前記モダリティの情報を収集することを特徴とする請求項12または13に記載のモダリティ導入支援装置。
疾病にかかった実患者数を地域毎に格納する疾病発生情報データベースにアクセスして、モダリティの導入を希望する導入希望医療機関の診療圏内の前記実患者数を読み出す実患者数読み出しステップと、
前記疾病に関する地域毎の統計情報が格納された統計情報データベースにアクセスして、前記診療圏内の前記統計情報を読み出す統計情報読み出しステップと、
前記診療圏内において前記疾病による診療を受ける可能性がある潜在的な患者の人数である潜在患者数を、前記診療圏内の前記実患者数と前記診療圏内の前記統計情報に基づいて予測する潜在患者数予測ステップと、
前記疾病の診療に必要なモダリティの導入台数が地域毎に格納された台数情報データベースにアクセスして、前記診療圏内の前記導入台数を読み出す導入台数読み出しステップと、
前記診療圏内の前記導入台数に基づいて算出された、前記診療圏内において前記モダリティで処理可能な総患者数から、前記診療圏内の前記実患者数を引いた許容患者数を余剰処理能力として特定する余剰処理能力特定ステップと、
前記潜在患者数と前記許容患者数とを比較して、前記潜在患者数が前記許容患者数よりも多い場合には前記導入希望医療機関に前記モダリティの導入を推奨する推奨判定を行い、前記潜在患者数が前記許容患者数よりも少ない場合には前記導入希望医療機関に前記モダリティの導入を推奨しない非推奨判定を行う導入判定ステップと、を備えたことを特徴とするモダリティ導入支援方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の貸与額試算サーバーでは、モダリティの機種選定と対価の試算とを行うことができるが、モダリティの導入の可否については判断していない。そのため、モダリティの導入経験が無い病院や、導入経験の少ない病院が特許文献1の貸与額試算サーバーを利用してモダリティの導入を検討しても、導入可否の検討について支援を受けることはできない。
【0007】
また、特許文献1では、モダリティの機種を選定して対価を試算するために、予測患者数を利用しているが、この予測患者数の予測精度は、モダリティ導入後の採算性や、診療に大きな影響を及ぼしてしまう。例えば、予測患者数が実際の患者数よりも多く見込まれた状態でモダリティが導入された場合には、実際の患者数は予測患者数よりも少なくなるので、モダリティの導入による採算性は、導入検討時よりも低くなってしまう。また、これとは逆に、予測患者数が実際の患者数よりも少なく見込まれた状態でモダリティが導入された場合には、実際の患者数は予測患者数よりも多くなるので、モダリティの処理能力が不足してしまい、診療に影響が及んでしまう。このように、モダリティの導入検討においては、患者数の予測精度は重要な要素となるが、特許文献1には、患者数をどのように予測するかは記載されていない。
【0008】
本発明は、モダリティ導入後の患者数を精度よく予測して、モダリティの導入可否の検討を支援することができるモダリティ導入支援装置及び方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のモダリティ導入支援装置は、疾病にかかった実患者数を地域毎に格納する疾病発生情報データベースと、疾病に関する地域毎の統計情報が格納された統計情報データベースと、疾病の診療に必要なモダリティの導入台数が地域毎に格納された台数情報データベースと、モダリティの導入を希望する導入希望医療機関の診療圏内において前記疾病による診療を受ける可能性がある潜在的な患者数を、実患者数と統計情報に基づいて予測する潜在患者数予測部と、導入台数に基づいて診療圏内においてモダリティで処理可能な総患者数から、実患者数を引いた許容患者数を余剰処理能力として特定する余剰処理能力特定部と、潜在患者数と許容患者数とを比較して、潜在患者数が許容患者数よりも多い場合には導入希望医療機関にモダリティの導入を推奨する推奨判定を行い、潜在患者数が許容患者数よりも少ない場合には導入希望医療機関にモダリティの導入を推奨しない非推奨判定を行う導入判定部とを備えている。
【0010】
統計情報は、疾病に関する地域毎の疾病率統計情報と、地域毎の人口統計情報とを備えており、潜在患者数予測部は、診療圏の疾病率統計情報と人口統計情報とに基づいて、診療圏内において疾病にかかる可能性がある想定患者数を算出し、想定患者数から実患者数を引いた患者数を、潜在患者数として算出することが好ましい。
【0011】
統計情報は、地域毎の定期健康診断を受診した総受診者数と、総受診者数のうち異常が見つかった有所見者数とを格納した定期健康診断統計情報を備えており、疾病率情報は、診療圏の総受診者数に対する有所見者数の割合から求められることが好ましい。
【0012】
台数情報データベースは、モダリティの導入台数とともに、その稼働率と、モダリティが導入されている診療科数とを格納しており、余剰処理能力特定部は、モダリティの導入台数及び稼働率と、診療科数とに基づいて、総患者数を特定することが好ましい。
【0013】
導入判定部は、推奨判定を行う場合に、潜在患者数から許容患者数を引いた余剰潜在患者数を算出し、診療圏内で余剰潜在患者数を処理するために必要な診療科数と、モダリティの台数とを特定することが好ましい。
【0014】
複数種類のモダリティに関する情報が登録されたモダリティ情報データベースと、導入判定部で推奨判定がなされた場合に、モダリティ情報データベースを検索して、導入希望医療機関に導入を推奨するモダリティを選定するモダリティ選定部とを備えることが好ましい。
【0015】
モダリティ選定部は、余剰潜在患者数の処理が可能なモダリティを選定することが好ましい。また、モダリティ選定部は、導入希望医療機関の導入希望条件に適合するモダリティを選定してもよい。
【0016】
導入希望医療機関から、導入希望医療機関の住所と、導入を希望するモダリティとを含む導入支援依頼を受け付ける導入支援受付部を備えることが好ましい。導入判定部は、導入希望医療機関の住所に基づいて診療圏を特定することが好ましい。
【0017】
疾病発生情報データベース及び台数情報データベースは、複数の医療機関から収集した電子カルテ情報を格納する導入支援情報データベースからなることが好ましい。
【0018】
複数の医療機関から電子カルテ情報を収集する情報収集部を備えることが好ましい。情報収集部は、国または地方の公共団体から統計情報を収集することが好ましい。また、情報収集部は、モダリティのメーカーまたは販売代理店から、モダリティの情報を収集することが好ましい。
【0019】
本発明のモダリティ導入支援方法は、疾病にかかった実患者数を地域毎に格納する疾病発生情報データベースにアクセスして、モダリティの導入を希望する導入希望医療機関の診療圏内の実患者数を読み出す実患者数読み出しステップと、疾病に関する地域毎の統計情報が格納された統計情報データベースにアクセスして、診療圏内の統計情報を読み出す統計情報読み出しステップと、診療圏内において疾病による診療を受ける可能性がある潜在的な患者数を、実患者数と統計情報に基づいて予測する潜在患者数予測ステップと、疾病の診療に必要なモダリティの導入台数が地域毎に格納された台数情報データベースにアクセスして、診療圏内の導入台数を読み出す導入台数読み出しステップと、導入台数に基づいて診療圏内においてモダリティで処理可能な総患者数から、実患者数を引いた許容患者数を余剰処理能力として特定する余剰処理能力特定ステップと、潜在患者数と許容患者数とを比較して、潜在患者数が許容患者数よりも多い場合には導入希望医療機関にモダリティの導入を推奨する推奨判定を行い、潜在患者数が許容患者数よりも少ない場合には導入希望医療機関にモダリティの導入を推奨しない非推奨判定を行う導入判定ステップと、を備えている。
【0020】
本発明のモダリティ導入支援プログラムは、疾病にかかった実患者数を地域毎に格納する疾病発生情報データベースと、疾病に関する地域毎の統計情報が格納された統計情報データベースと、疾病の診療に必要なモダリティの導入台数が地域毎に格納された台数情報データベースと、モダリティの導入を希望する導入希望医療機関の診療圏内において前記疾病による診療を受ける可能性がある潜在的な患者数を、実患者数と統計情報に基づいて予測する潜在患者数予測部と、導入台数に基づいて診療圏内においてモダリティで処理可能な総患者数から、実患者数を引いた許容患者数を余剰処理能力として特定する余剰処理能力特定部と、潜在患者数と許容患者数とを比較して、潜在患者数が許容患者数よりも多い場合には導入希望医療機関にモダリティの導入を推奨する推奨判定を行い、潜在患者数が許容患者数よりも少ない場合には導入希望医療機関にモダリティの導入を推奨しない非推奨判定を行う導入判定部と、してコンピュータを機能させるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モダリティの導入を希望する導入希望医療機関の診療圏において診療を受ける可能性が潜在患者数を予測し、診療圏のモダリティの余剰処理能力である許容患者数を特定し、この潜在患者数と許容患者数とを比較するので、診療圏におけるモダリティの需要を精度よく予測することができる。そのため、モダリティ導入後の患者数が導入検討時の予測患者数よりも少ないことによる採算割れや、モダリティ導入後の患者数が導入検討時の予測患者数よりも多いことによるモダリティの能力不足等の問題発生を抑制することができる。また、モダリティの需要を精度よく予測できることから、例えばモダリティの導入について国や地方公共団体に補助申請を行う際の資料として利用することもできる。
【0022】
また、潜在患者数と許容患者数との比較結果に基づいて、導入希望医療機関がモダリティを導入すべきか否かを判定するので、モダリティの導入経験が無い、あるいは導入経験が少ない導入希望医療機関であっても、モダリティの導入可否について判断の参考を得ることができる。
【0023】
また、診療圏の疾病率情報及び人口情報に基づいて、診療圏内で疾病にかかる可能性がある想定患者数を特定し、想定患者数と実患者数とに基づいて潜在患者数を予測するので、診療圏において診療を受ける可能性が潜在患者数を精度よく予測することができる。
【0024】
更に、潜在患者数と許容患者数とに基づいて、導入希望医療機関が導入すべきモダリティを選定するので、モダリティの導入経験が無い医療機関や、導入経験が少ない医療機関でも、モダリティ選定の参考を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明のモダリティ導入支援装置10は、病院等の医療機関によるモダリティの導入を支援するための装置であり、データセンター11に設置されている。モダリティ導入支援装置10には、ネットワーク12を介して、病院13、14、15を含む複数の病院の院内ネットワークが接続されている。ネットワーク12は、インターネットなどのネットワークと比較して情報セキュリティレベルが高い専用線やVPN(Virtual Private Network)等の通信ネットワークで構成されている。モダリティ導入支援装置10は、ネットワーク12を介して、何れかの病院からモダリティの導入支援依頼を受信した場合に、その病院に対するモダリティの導入支援を開始する。
【0027】
病院13の院内ネットワーク13aは、医用画像を撮影するモダリティ18と、モダリティ18で撮影された医用画像を管理する画像サーバー19と、電子カルテを管理する電子カルテサーバー20と、電子カルテ情報の入力と電子カルテ及び医用画像の閲覧とに用いられる複数台のクライアント端末21とを備えている。これらの装置18〜21は、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local area network)22によって通信可能に接続されている。LAN22は、ネットワーク12に接続されている。
【0028】
モダリティ18は、例えば、CR装置、DR装置、CT装置、内視鏡、超音波診断装置等である。CR装置は、輝尽性蛍光体が塗布されたイメージングプレートを用いてX線画像を撮影し、撮影後のイメージングプレートを走査して、イメージングプレートに記録されたX線画像を電子データとして読み取る装置である。DR装置は、X線の入射量に応じた信号電荷を蓄積する画素がマトリクス状に配列されたフラットパネルディテクタ(FPD;flat panel detector)を利用してX線画像を撮影する装置であり、画素毎に蓄積した信号電荷を信号処理回路で電圧信号に変換することでX線画像を電子データとして検出する。CT装置は、患者の体の周囲を回転しながら放射されたX線を反対側の検出器で検出して、水平方向に輪切りにした身体の断面画像をコンピュータ上で構成する装置である。
【0029】
画像サーバー19は、画像サーバー用プログラムが組み込まれたコンピュータと、このコンピュータに接続された画像データベース(以下、画像DBという)とを備えている。モダリティ18で撮影された医用画像は、LAN22を介して画像サーバー19に送信される。画像サーバー19は、モダリティ18から受信した医用画像を画像DBに格納して管理する。医用画像には、モダリティ18により、患者ID等の情報がメタデータとして書き込まれている。画像サーバー19は、クライアント端末21からの閲覧要求があったときに、閲覧要求に含まれる患者IDに基づいて画像DBを検索して医用画像を抽出し、抽出した医用画像をクライアント端末21に送信する。
【0030】
電子カルテサーバー20は、電子カルテサーバー用プログラムが組み込まれたコンピュータと、このコンピュータに接続された電子カルテデータベース(以下、電子カルテDBという)とを備えている。クライアント端末21で入力された電子カルテ情報は、LAN22を介して電子カルテサーバー20に送信される。電子カルテサーバー16は、クライアント端末21で入力された電子カルテ情報を受信し、電子カルテDBに格納して管理する。
【0031】
図2に示すように、電子カルテDB25は、患者ごとに電子カルテ情報26を格納している。電子カルテ情報26は、例えば、患者に関する患者情報と、患者に対して行われた診療及び診療を行った病院に関する診療情報と、診療に際して撮影された医用画像に関する検査情報とからなる。
【0032】
患者情報には、例えば、患者氏名、患者ID、住所、生年月日、年齢、性別及び既往症等の項目が含まれている。診療情報には、例えば、診療日時、診療科、傷病名、診断結果、治療期間、処方内容、担当医師、病院名及び病院の住所等の項目が含まれている。診療科の項目には、内科、外科等の診療科名が格納される。例えば、病院に第1内科、第2内科等のように同種の診療科が複数存在する場合には、診療科の項目には、第1内科または第2内科が格納される。検査情報には、例えば、検査日時、検査機器、検査方法、検査部位及び医用画像等の項目が含まれる。検査機器の項目には、例えば医用画像の撮影に使用されたモダリティの機種名が格納される。また、医用画像の項目には、医用画像の画像情報が格納される。
【0033】
電子カルテサーバー20は、クライアント端末21から閲覧要求を受信した場合に、閲覧要求に含まれる患者IDに基づいて電子カルテDB25を検索して該当する電子カルテ情報26を抽出し、抽出した電子カルテ情報26をクライアント端末21に送信する。
【0034】
クライアント端末21は、電子カルテ情報の作成と、電子カルテ及び医用画像の閲覧用のプログラムがインストールされたコンピュータである。クライアント端末21は、電子カルテ情報を入力するための入力デバイスと、電子カルテ及び医用画像を閲覧するためのディスプレイと、電子カルテ情報の作成及び閲覧用プログラムを動作させるためのCPU等を備えている。入力デバイスは、例えばキーボードやマウス等である。
【0035】
クライアント端末21は、入力デバイスの操作によって入力された電子カルテ情報を電子カルテサーバー20に送信する。また、クライアント端末21で電子カルテまたは医用画像を閲覧する場合には、クライアント端末21から電子カルテサーバー20または画像サーバー19に、患者IDを含む閲覧要求を送信する。この閲覧要求に応じて、電子カルテサーバー20から電子カルテ情報26が、または画像サーバー19から医用画像がクライアント端末21に送信された場合には、クライアント端末21は、閲覧用プログラムによって、ディスプレイに電子カルテ、または医用画像を閲覧可能なように表示する。
【0036】
病院14及び病院15は、病院13と同様に、モダリティ18、画像サーバー19、電子カルテサーバー20、クライアント端末21及びLAN22からなる院内ネットワークをそれぞれ備えている。病院14及び病院15の院内ネットワークは、LAN22により、ネットワーク12を介してモダリティ導入支援装置10に接続されている。
【0037】
なお、本実施形態においては、病院13〜15を例示しているが、実際にはより多くの病院の院内ネットワークがモダリティ導入支援装置10に接続されている。モダリティ導入支援装置10に院内ネットワークが接続されている多数の病院は、病院13〜15と同様に、少なくとも電子カルテサーバー20、クライアント端末21及びLAN22からなる院内ネットワークをそれぞれ備えているが、導入されているモダリティの種類や台数等は病院によって異なっており、モダリティが導入されていない病院も含まれている。
【0038】
病院13〜15を含む複数の病院の各電子カルテサーバー20は、クライアント端末21から電子カルテ情報が入力された場合に、入力された電子カルテ情報をネットワーク12を介してモダリティ導入支援装置10に送信する。
【0039】
モダリティ導入支援装置10は、導入支援情報データベース(以下、導入支援情報DBという)29、統計情報データベース(以下、統計情報DBという)30及びモダリティ情報データベース(以下、モダリティ情報DBという)31を備えている。
【0040】
図3に示すように、導入支援情報DB29は、本発明の疾病発生情報データベース及び台数情報データベースを構成する。導入支援情報DB29は、病院13〜15を含む複数の病院の各電子カルテサーバー20から受信した電子カルテ情報26を、病気の発生位置を特定するための発生位置情報と、病気の発生日時を特定するための発生日時情報と対応付けて格納している。発生位置情報は、例えば電子カルテ情報26から患者の現住所、あるいは病院の住所が抽出されて登録される。また、発生日時情報は、電子カルテ情報26から診察日時、あるいは検査日時が抽出されて登録される。
【0041】
図1に示すように、統計情報DB30には、疾病率統計情報34及び人口統計情報35が格納されている。
図4に示すように、疾病率統計情報34は、病名ごとに分類された複数の疾病別統計情報36a〜36cからなる。疾病別統計情報36a〜36cは、平成24年、平成23年等の年度別に分類されている。例えば、肺ガンに関する疾病別統計情報36aには、都道府県及び主要都市等、国内の各地域における年代別の男女の疾病率の統計情報が格納されている。なお、その他の疾病別統計情報36b、36cも、疾病別統計情報36aと同様の構成であるため、詳しい説明は省略する。また、疾病別統計情報として、肺ガン、胃ガン、喉頭ガンの3種類しか図示していないが、実際には多数の疾病の疾病別統計情報が統計情報DB30に格納されている。
【0042】
なお、疾病率は、大別すると有病率と、罹患率とに分けられる。有病率とは、特定時点の患者数の割合を表しており、有病期間に比例する。有病率は、静態的な値であるため、慢性疾患の疾病率の把握に適しており、疾病率をマクロ的に把握することができる。また、罹患率は、一定期間の発生数の割合を表しており、有病期間に反比例する。罹患率は、動態的な値であるため、急性疾患の把握に適しており、疾病率をミクロ的に把握することができる。有病率は、罹患率×有病期間によって求められる。本実施形態では、モダリティという継続的に使用される医療機器の導入検討に使用するため、有病率を使用している。有病率に代えて、罹患率を用いてもよい。
【0043】
図5に示すように、人口統計情報35には、都道府県及び主要都市等、国内の各地域における年代別の男女の人口統計情報が格納されている。人口統計情報は、平成24年、平成23年等の年度別に分類されている。
【0044】
統計情報DB30に格納されている各統計情報は、例えば、厚生労働省や国立感染研究所、各地方の保健所や衛生研究所等、国または地方の公共団体のホームページで公表されている。モダリティ導入支援装置10は、これらの国または地方公共団体のホームページにアクセスして、疾病率統計情報34や人口統計情報35等の各種統計情報を自動収集する。
【0045】
モダリティ情報DB31は、
図6に示すように、DR装置やCR装置等、モダリティの種類ごとに分類された複数の種類別モダリティ情報38a〜38cからなる。例えば、DR装置に関する種類別モダリティ情報38aでは、現在販売されているDR装置がメーカーごとに分類され、各DR装置の機種名、価格、処理能力、機能、設置面積、重量等の各種情報が格納されている。DR装置の処理能力とは、単位時間あたりに撮影可能な医用画像の枚数である。また、DR装置の機能とは、単純X線撮影の他に備えている機能であり、例えば動画撮影や長尺撮影、トモシンセシス撮影等である。なお、その他のCR装置やCT装置の種類別モダリティ情報38b、38cも、DR装置の種類別モダリティ情報38aと同様の構成であるため、詳しい説明は省略する。また、種類別モダリティ情報として、DR装置、CR装置、CT装置の3種類しか図示していないが、実際には内視鏡や超音波診断装置等、多数のモダリティ装置の情報がモダリティ情報DB31に格納されている。
【0046】
モダリティ情報DB31に格納されている各種類別モダリティ情報38a〜38cは、例えば、モダリティのメーカーや販売代理店等のホームページで公表されている。モダリティ導入支援装置10は、これらのメーカーや販売代理店等のホームページにアクセスして、各種類別モダリティ情報38a〜38cを自動収集する。
【0047】
図7に示すように、モダリティ導入支援装置10は、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータをベースに、オペレーティングシステムなどの制御プログラムや、コンピュータをモダリティ導入支援装置10として機能させるためのアプリケーションプログラム(AP)41をインストールして構成される。モダリティ導入支援装置10は、ディスプレイや、キーボード、マウス、ディスプレイと一体となったタッチパネルなどの入力デバイスとで構成されるコンソール42と、コンピュータ本体とを備えている。
【0048】
モダリティ導入支援装置10のコンピュータ本体には、CPU44、メモリ46、ストレージデバイス47、通信I/F48が設けられており、これらはデータバス49を介して接続されている。
【0049】
ストレージデバイス47は、各種データを格納するデバイスであり、例えば、ハードディスクドライブで構成される。ストレージデバイス47には、制御プログラムや、診療管理予約プログラムなどのアプリケーションプログラム(AP)41が格納される。
【0050】
メモリ46は、CPU45が処理を実行するためのワークメモリである。CPU45は、ストレージデバイス47に格納された制御プログラムをメモリ46へロードして、プログラムに従った処理を実行することにより、コンピュータの各部を統括的に制御する。通信I/F48は、ネットワーク12に接続して、各病院13〜15の院内ネットワークと通信するための通信インタフェースである。また、通信I/F48は、LANなどを介して、導入支援情報DB29、統計情報DB30及びモダリティ情報DB31が構築されたデータサーバ51と通信可能に接続する通信インタフェースとしても機能する。データサーバ51は、外部ストレージデバイスである。もちろん、導入支援情報DB29、統計情報DB30及びモダリティ情報DB31をストレージデバイス47内に構築してもよい。
【0051】
図8に示すように、モダリティ導入支援プログラムが起動すると、モダリティ導入支援装置10のCPU45は、メモリ46と協働して、情報収集部54、DBアクセス部55、導入判定部56、モダリティ選定部57として機能する。
【0052】
情報収集部54は、病院13〜15を含む複数の病院の各電子カルテサーバー20から、複数の電子カルテ情報26を受信する。また、情報収集部54は、厚生労働省や国立感染研究所、各地方の保健所や衛生研究所等、国または地方の公共団体のホームページにアクセスして、疾病率統計情報34や人口統計情報35等の各種統計情報を自動収集する。また、情報収集部54は、モダリティのメーカーや販売代理店等のホームページにアクセスして、各種類別モダリティ情報38a〜38cを自動収集する。
【0053】
DBアクセス部55は、導入支援情報DB29、統計情報DB30及びモダリティ情報DB31にアクセスして、電子カルテ情報や各種統計情報、モダリティ情報の更新や読み出しを行う。DBアクセス部55は、情報収集部54から電子カルテ情報26の格納が指示されると、電子カルテ情報26に、電子カルテ情報26から抽出した発生位置情報及び発生時期情報を対応付けて、導入支援情報DB29に格納する。また、DBアクセス部55は、情報収集部54から疾病率統計情報34または人口統計情報35の格納が指示されると、統計情報DB30に疾病率統計情報34または人口統計情報35を格納する。更に、DBアクセス部55は、情報収集部54から種類別モダリティ情報の格納が指示されると、モダリティ情報DB31に種類別モダリティ情報を格納する。
【0054】
DBアクセス部55は、導入判定部56から所定地域の電子カルテ情報と、統計情報との読み出しが指示されると、導入支援情報DB29及び統計情報DB30から、所定地域の電子カルテ情報と、疾病率統計情報34及び人口統計情報35とを読み出す。また、DBアクセス部55は、モダリティ選定部57から種類別モダリティ情報の読み出しが指示されると、指示された種類別モダリティ情報をモダリティ情報DB31から読み出す。
【0055】
導入判定部56は、導入支援受付部60、潜在患者数予測部61及び余剰処理能力特定部62を備える。導入支援受付部60は、病院13〜15を含む複数の病院のうち、モダリティの導入を希望している導入希望病院、例えば病院14からのクライアント端末21から、導入支援依頼ISRを受け付ける。
図9に示すように、導入支援依頼ISRには、導入希望病院の住所64aと、導入希望病院がモダリティの導入にあたって希望する導入条件64bとが含まれている。導入条件64bは、例えば、CR装置やDR装置等、導入を希望するモダリティの種類である導入希望モダリティ種と、価格、処理能力、機能、重量、設置面積等である。また、導入条件64bには、導入希望病院に導入を推奨するモダリティを選定する際に、導入希望病院の診療圏に存在する潜在患者数に基づいてモダリティを選定するか、あるいは導入条件64bに登録されている条件に基づいてモダリティを選定するかを指定するモダリティ選定条件も含まれている。
【0056】
導入判定部56は、導入支援依頼ISRの住所64aに基づいて、導入希望病院の診療圏CSを特定する。診療圏とは、導入希望病院に患者が診療に訪れる地理的範囲である。導入判定部56は、
図10に示すように、例えば導入希望病院である病院14の住所を中心にして、半径数kmから数十kmの範囲を診療圏CSとして設定する。なお、病院の実際の診療圏CSは、病院までの直線的な距離だけでなく、病院までの公共交通機関の有無や、道路事情、病院数等の各種要因によって変化するため、これらの要因を考慮した上で診療圏CSを特定してもよい。
【0057】
潜在患者数予測部61は、
図11に示すように、導入希望病院の診療圏CS内の全人口から、導入希望モダリティ種による診療が必要な潜在患者数LPを予測する。潜在患者数LPは、現在はモダリティによる診療を受けていないものの、これから診療を受ける可能性がある潜在的な患者の人数である。潜在患者数予測部61は、統計情報DB30の疾病率統計情報34及び人口時計情報35から、診療圏CS内で導入希望モダリティ種による診療が必要な疾病の各年代の男女別の疾病率SRと、診療圏内の各年代の男女別の人口情報PIとを読み出す。潜在患者数予測部61は、統計情報DB30から読み出した疾病率SR及び人口情報PIに基づいて、想定患者数APを算出する。想定患者数APは、診療圏内で疾病にかかる可能性がある患者数である。
【0058】
潜在患者数予測部61は、疾病発生情報データベースである導入支援情報DB29の電子カルテ情報26を検索して、診療圏CS内で、導入希望モダリティ種と同種のモダリティによる診療をすでに受けている実患者数SPを抽出する。潜在患者数予測部61は、想定患者数APから実患者数SPを減算して、診療圏CS内の潜在患者数LPを算出する。
【0059】
導入判定部56の余剰処理能力特定部62は、
図12に示すように、診療圏CS内の導入済みモダリティの余剰処理能力によって処理可能な許容患者数MPを特定する。余剰処理能力特定部62は、導入支援情報DB29の電子カルテ情報26に基づいて、診療圏CS内の導入済みモダリティで処理可能な総患者数PPを特定する。総患者数PPは、例えば、診療圏CS内で導入済みモダリティを有する診療科数CDと、導入済みモダリティの台数MN及び稼働率ROとに基づいて特定される。診療科数CD、導入済みモダリティの台数MN及び稼働率ROは、台数情報データベースである導入支援情報DB29の電子カルテ情報26から特定される。余剰処理能力特定部62は、総患者数PPから上述した実患者数SPを減算して、許容患者数MPを算出する。
【0060】
導入判定部56は、潜在患者数予測部61により予測された潜在患者数LPと、余剰処理能力特定部62で算出された許容患者数MPとを比較して、導入希望病院がモダリティを導入すべきか否かを判定する。導入判定部56は、
図13に示すように、潜在患者数LPが許容患者数MPよりも多い場合には、モダリティの需要があるため、導入希望病院にモダリティの導入を推奨する推奨判定を行う。また、導入判定部56は、
図14に示すように、潜在患者数LPが許容患者数MPよりも少ない場合には、モダリティの需要がないため、導入希望病院にモダリティの導入を推奨しない非推奨判定を行う。
【0061】
導入判定部56は、推奨判定をする場合には、
図13に示すように、潜在患者数LPから許容患者数MPを減算して、現在の導入済みモダリティでは処理することができない余剰潜在患者数SLPを算出する(S33)。次いで、導入判定部56は、余剰潜在患者数SLPに基づいて、導入希望病院の診療圏で余剰潜在患者数SLPを処理するために必要な診療科数CD1と、導入希望モダリティ種の台数MN1とを特定する。なお、診療科数CD1及び導入希望モダリティ種の台数MN1は、例えば、平均的な処理能力を有する導入希望モダリティ種を、所定期間内に標準的な稼働率で稼働させた場合を想定して求められる。
【0062】
また、導入判定部56で推奨判定がなされた場合には、モダリティ選定部57は、モダリティ情報DB31を検索して、導入希望病院に導入を推奨するモダリティを選定する。モダリティ選定部57は、導入支援依頼ISRの導入条件64bのモダリティ選定条件に基づいてモダリティを選定する。モダリティ選定条件において、潜在患者数に基づいて選定するように指定されている場合には、モダリティ選定部57は、余剰潜在患者数SLPの処理が可能なモダリティを選定する。また、モダリティ選定条件において、導入条件64bに基づいて選定するように指定されている場合には、モダリティ選定部57は、導入条件64bの各条件に適合するモダリティを選定する。
【0063】
導入判定部56は、導入希望病院のクライアント端末21に、導入判定結果を送信する。導入判定結果が推奨判定である場合には、導入判定結果とともに、想定患者数AP、実患者数SP、潜在患者数LP、許容患者数MP及び余剰潜在患者数SLPと、診療圏内で余剰潜在患者数SLPを処理するために必要な診療科数CD1及びモダリティ数MN1と、モダリティ選定部57で選定されたモダリティのメーカー名及び機種名とが導入希望病院のクライアント端末21に送信される。また、導入判定結果が非推奨判定である場合には、導入判定結果とともに、想定患者数AP、実患者数SP、潜在患者数LP、許容患者数MPが、導入希望病院のクライアント端末21に送信される。
【0064】
図15、16に示すように、モダリティ導入支援装置10から導入判定結果を受信した導入希望病院のクライアント端末21のディスプレイには、導入判定結果表示画面が表示される。推奨判定時の導入判定結果表示画面67には、判定結果69、判定理由70、導入を推奨するモダリティに関する推奨モダリティ情報71、想定患者数AP等の判定結果詳細72とが表示される。また、非推奨判定時の導入判定結果表示画面74には、判定結果75、判定理由76及び判定結果詳細77が表示される。非推奨判定時の導入判定結果表示画面74には、推奨判定時の導入判定結果表示画面67とは異なり、推奨モダリティ情報や、判定結果詳細77の余剰潜在患者数SLP、診療科数CD1及びモダリティ数MN1等は表示されない。
【0065】
以下、上記モダリティ導入支援装置10の作用について
図17〜20に示すフローチャートを参照しながら説明する。モダリティ導入支援装置10は、病院13〜15を含む複数の病院からの導入支援依頼を、
図8に示す導入支援受付部60によって受け付ける(S10)。例えば、病院14から導入支援依頼を受け付けたモダリティ導入支援装置10は、導入判定部56により、
図9に示す導入支援依頼ISRの病院住所に基づいて、病院14の診療圏CSを特定する(S11)。
図10に示すように、病院14の診療圏CSは、病院14の住所を中心にして、半径数kmから数十kmの範囲が設定される。
【0066】
導入判定部56の潜在患者数予測部61は、導入希望病院の診療圏CS内で、所定期間内に、導入希望モダリティ種による診療が必要な潜在患者数LPを予測する(S12)。
図18に示すように、潜在患者数予測部61は、DBアクセス部55に指示して、統計情報DB30の疾病率統計情報34を検索させ、導入希望病院の診療圏CS内で、導入希望モダリティ種による診療が必要な疾病の各年代の男女別の疾病率SRを特定する(S20)。次いで、潜在患者数予測部61は、DBアクセス部55に指示して、統計情報DB30の人口統計情報35を検索させ、導入希望病院の診療圏CS内の各年代の男女別の人口情報PIを抽出させる(S21)。
【0067】
潜在患者数予測部61は、統計情報DB30から抽出した診療圏CS内の疾病率SRと、人口情報PIとを乗算して、診療圏CSにおいて導入希望モダリティ種の使用が想定される想定患者数APを算出する(S22)。潜在患者数予測部61は、DBアクセス部55に指示して、導入支援情報DB29の電子カルテ情報26を検索させ、導入希望病院の診療圏CS内で、導入希望モダリティ種と同種のモダリティである導入済みモダリティによって診療を受けている実患者数SPを抽出させる(S23)。次いで、潜在患者数予測部61は、想定患者数APから実患者数SPを減算して、診療圏CS内において疾病に罹患している可能性がある潜在患者数LPを算出する(S24)。
【0068】
導入判定部56の余剰処理能力特定部62は、
図17に示すように、導入希望病院の診療圏CSに導入されている、導入希望モダリティ種と同種の導入済みモダリティの余剰処理能力により処理可能な許容患者数MPを特定する(S13)。
図19に示すように、余剰処理能力特定部62は、DBアクセス部55に指示して、導入支援情報DB29の電子カルテ情報26を検索させ、導入希望病院の診療圏CS内で導入済みモダリティを有する診療科数CDと、導入済みモダリティの台数MN及び稼働率ROとを特定する(S30)。余剰処理能力特定部62は、診療圏内の診療科数CDと、導入済みモダリティの台数MN及びその稼働率ROとに基づいて、診療圏の導入済みモダリティで処理可能な総患者数PPを特定する(S31)。余剰処理能力特定部62は、総患者数PPから上述した実患者数SPを減算して、導入済みモダリティの余剰処理能力により処理可能な許容患者数MPを算出する(S32)。
【0069】
図17に示すように、導入判定部56は、潜在患者数予測部61により予測された潜在患者数LPと、余剰処理能力特定部62で算出された許容患者数MPとに基づいて、導入希望モダリティの導入判定を行う(S14)。導入判定部56は、
図20に示すように、潜在患者数LPと許容患者数MPとを比較する(S40)。導入判定部56は、潜在患者数LPが許容患者数MPよりも多い場合(S40でYES)には、導入希望モダリティ種の導入を推奨する推奨判定を行う(S41)。また、導入判定部56は、潜在患者数LPが許容患者数MPよりも少ない場合(S40でNO)には、導入希望モダリティ種の導入を推奨しない非推奨判定を行う(S42)。
【0070】
導入判定部56は、推奨判定をする場合には、潜在患者数LPから許容患者数MPを減算して、現在の導入済みモダリティでは処理することができない余剰潜在患者数SLPを算出する(S43)。次いで、導入判定部56は、余剰潜在患者数SLPに基づいて、導入希望病院の診療圏で余剰潜在患者数SLPを処理するために必要な診療科数CD1と、導入希望モダリティ種の台数MN1とを特定する(S44)。なお、診療科数CD1及び導入希望モダリティ種の台数MN1は、例えば、平均的な処理能力を有する導入希望モダリティ種を、所定期間内に標準的な稼働率で稼働させた場合を想定して求められる。
【0071】
また、導入判定部56で推奨判定がなされた場合、モダリティ選定部57は、導入支援依頼ISRの導入条件64bのモダリティ選定条件に基づいて、導入希望病院に導入を推奨するモダリティを選定する(S45)。
図17に示すように、導入判定部56は、導入判定結果を導入希望病院のクライアント端末21に送信する(S15)。
【0072】
導入希望病院のクライアント端末21のディスプレイには、導入判定結果表示画面が表示される。
図15に示すように、推奨判定時の導入判定結果表示画面67には、判定結果69、判定理由70、導入を推奨するモダリティに関する推奨モダリティ情報71、想定患者数AP等の判定結果詳細72とが表示される。また、
図16に示すように、非推奨判定時の導入判定結果表示画面74には、判定結果75、判定理由76及び判定結果詳細77が表示される。導入希望病院のモダリティ導入担当者は、導入判定結果表示画面67、74に表示されている情報を参考にして、モダリティの導入可否検討、及びモダリティの選定を行うことができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態のモダリティ導入支援装置10は、モダリティの導入を希望する導入希望病院から導入支援依頼を受けた場合に、導入希望病院の診療圏CSにおいて診療を受ける可能性が潜在患者数LPを予測し、診療圏CSの導入済みモダリティの余剰処理能力である許容患者数MPを特定し、この潜在患者数LPと許容患者数MPとを比較するので、診療圏CSにおけるモダリティの需要を精度よく予測することができる。そのため、モダリティ導入後の患者数が導入検討時の予測患者数よりも少ないことによる採算割れや、モダリティ導入後の患者数が導入検討時の予測患者数よりも多いことによるモダリティの能力不足等の問題発生を抑制することができる。また、モダリティの需要を精度よく予測できることから、例えばモダリティの導入について国や地方公共団体に補助申請を行う際の資料として利用することもできる。
【0074】
また、潜在患者数LPと許容患者数MPとの比較結果に基づいて、導入希望病院がモダリティを導入すべきか否かを判定することができるので、モダリティの導入経験が無い、あるいは導入経験が少ない導入希望病院であっても、モダリティの導入可否について判断の参考を得ることができる。
【0075】
また、診療圏CSの疾病率SR及び人口情報PIに基づいて、診療圏CS内で疾病にかかる可能性がある想定患者数APを特定し、想定患者数APと実患者数SPとに基づいて潜在患者数LPを予測するので、診療圏CSにおいて診療を受ける可能性が潜在患者数LPを精度よく予測することができる。
【0076】
更に、潜在患者数LPと許容患者数MPとに基づいて、導入希望病院が導入すべきモダリティを選定するので、モダリティの導入経験が無い、あるいは導入経験が少ない導入希望病院であっても、モダリティ選定の参考を得ることができる。
【0077】
[第2実施形態]
第1実施形態では、診療圏内の潜在患者数を予測するために、国または地方の公共団体から収集した疾病率統計情報34に基づいて診療圏内の疾病率SRを特定しているが、本実施形態は、疾病率統計情報34の代わりに定期健康診断情報に基づいて疾病率SRを特定している点で、第1実施形態と異なっている。なお、第1実施形態と共通部分については説明を省略し、相違点を中心に説明する。
【0078】
図21に示すように、本実施形態のモダリティ導入支援装置10は、統計情報DB30に、定期健康診断情報80を格納している。
図22に示すように、定期健康診断情報80は、都道府県の各地域において行われた定期健康診断に関する情報であり、年度別及び地域別に分類されている。定期健康診断情報80には、その所定地域で定期健康診断を受診した総受診者数と、この総受診者数のうち、健康診断で異常が見つかった有所見者数とが格納されている。定期健康診断情報80は、厚生労働省や各地域の保険衛生に関する公共団体のホームページにおいて公表されているので、情報収集部54により自動収集することができる。
【0079】
図8に示すモダリティ導入支援装置10の潜在患者数予測部61は、所定の診療圏CS内の潜在患者数LPを予測するために疾病率SRを特定する際に、定期健康診断情報80の総受診者数に対する有所見者数の割合に基づいて、疾病率SRを算出する。例えば、
図22に示す定期健康診断情報80の北海道のテーブル81には、札幌市の総受診者数「354686人」に対し、有所見者数が「63981人」であるため、疾病率SRは、「約18%」となる。この疾病率SRは、第1実施形態と同様に、潜在患者数予測部61で潜在患者数LPを予測するために用いられる。
【0080】
本実施形態によれば、実際に異常が確認された有所見者数に基づいて疾病率SRを特定するので、疾病率SRに基づいて予測される潜在患者数LPの予測精度を向上させることができる。また、第1実施形態に比べて、疾病率SRの特定手順が単純化されるので、高速に処理を行うことができる。
【0081】
上記各実施形態では、モダリティの導入台数を電子カルテ情報から特定するようにしたが、各地域の各医療機関に導入されているモダリティのメーカー、機種名及び台数等を格納した台数情報データベースを作成しておき、この台数情報データベースに基づいてモダリティの導入判定を行ってもよい。