(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0016】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。予備的事項に係る電子部品内蔵基板の製造方法では、
図1に示すように、まず、下側配線基板100の接続パッド(不図示)に半導体チップ200のバンプ電極220をフリップチップ接続する。さらに、半導体チップ200の下側の隙間にアンダーフィル樹脂240を充填する。
【0017】
次いで、上側配線基板300をはんだボール320を介して下側配線基板100に電気的に接続する。これにより、下側配線基板100と上側配線基板300との間の領域に半導体チップ200が収容された状態となる。
【0018】
近年では、半導体チップ200の高性能化及び高集積化に伴って信号量が増大してきている。このため、下側配線基板100及び上側配線基板300の各接続部位の配置ピッチを狭くして接続経路の数を増加させる必要がある。
【0019】
これに対応するためには、
図1の配線基板の構造では、はんだボール320の直径を小さくしてその数を増やして配置することにより、接続部位の狭ピッチ化を行う必要がある。
【0020】
しかしながら、はんだボール320の直径は半導体チップ200の高さよりも大きく設定する必要がある。半導体チップ200の厚みを薄くすることは限界があるため、下側配線基板100及び上側配線基板300の間ではんだボール320の配置ピッチをさらに狭くすることは困難を極める。
【0021】
さらに、次の工程で、
図1の下側配線基板100と上側配線基板300の間の領域にモールド樹脂を充填して半導体チップ200を封止する。
【0022】
モールド樹脂を充填する工程では、
図2(a)に示すように、下型400及び上型420の間に下側、上側配線基板100,300を配置し、溶融されたモールド樹脂を樹脂供給部Aから下側、上側配線基板100,300の間の領域に注入する。
【0023】
このとき、
図2(a)のように、下型400及び上型420の間隔が設計値より広くなっている場合は、上側配線基板300と上型420との間に隙間Gが生じた状態となる。この場合は、
図2(b)に示すように、モールド樹脂の注入時の圧力によって、下側、上側配線基板100,300が押し広げられて、はんだボール320が下側配線基板100から分離することで電気的にオープンになってしまう問題がある。
【0024】
特に、上側配線基板300と上型420との間に20μm程度以上の隙間Gが生じていると、モールド樹脂の注入時にはんだボール320が下側配線基板100から分離しやすい。
【0025】
また、これとは逆に、
図3(a)に示すように、下型400及び上型420の間隔が設計値より狭くなっている場合は、上側配線基板300が上型420によって必要以上に下側に押圧されるため、はんだボール320が潰れてしまう。
【0026】
図3(b)に示すように、
図3(a)のはんだボール320の周りを拡大すると、下側、上側配線基板100,300は、接続パッドP上に開口部140aが設けられたソルダレジスト140を備えている。そして、上下側に配置された接続パッドPの間にはんだボール320が搭載されている。
【0027】
はんだボール320が潰れるほど上側配線基板300が押圧されると、はんだボール320に接触しているソルダレジスト140にクラックCが発生する。
【0028】
後の工程で、上側配線基板300の上面側の接続パッドに半導体デバイスのはんだ電極をリフロー加熱して接続する際に、下側、上側配線基板100,300の間のはんだボール320が再溶融する。はんだボール320が再溶融するときに、ソルダレジスト140に発生したクラックCに沿ってはんだが流れ込むことで、隣り合うはんだボール320が電気ショートする問題がある。
【0029】
以下に説明する実施形態では、前述した不具合を解消することができる。
【0030】
(実施の形態)
図4〜
図10は実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法を説明するための図、
図11は実施形態の電子部品内蔵基板を示す図である。
【0031】
実施形態の電子部品内蔵基板の製造方法では、まず、
図4(a)に示すように、下側配線基板5を用意する。下側配線基板5では、厚み方向の中央部にコア基板10が配置されている。コア基板10は例えばガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料から形成される。
【0032】
コア基板10の両面側には銅などからなる第1配線層20がそれぞれ形成されている。コア基板10には厚み方向に貫通するスルーホールTHが設けられている。
【0033】
両面側の第1配線層20はスルーホールTHの内壁に形成されたスルーホールめっき層12を介して相互接続されている。スルーホールTHの残りの孔には樹脂体Rが充填されている。あるいは、コア基板10のスルーホールTHを金属で充填して貫通電極を形成し、両面側の第1配線層20が貫通電極を介して相互接続されていてもよい。
【0034】
コア基板10の両面側には、第1配線層20を被覆する層間絶縁層30がそれぞれ形成されている。層間絶縁層30は、エポキシ樹脂又はポリイミド樹脂などから形成される。両面側の層間絶縁層30には、第1配線層20の接続部に到達するビアホールVHがそれぞれ形成されている。
【0035】
さらに、両面側の層間絶縁層30の上には、ビアホールVHに充填されたビア導体を介して第1配線層20に接続される第2配線層22がそれぞれ形成されている。
【0036】
また、コア基板10の両面側の層間絶縁層30及び第2配線層22の上に、第2配線層22の接続パッドP上に開口部32aが設けられたソルダレジスト32がそれぞれ形成されている。
【0037】
多面取り用の大型の下側配線基板5を使用する場合は、基板に複数の製品領域が区画される。
図4(a)では下側配線基板5の1つの製品領域が示されており、その中央部に部品搭載領域Aが画定されている。
【0038】
図4(a)の下側配線基板5の例では、コア基板10の両面側に2層の第1、第2配線層20,22がそれぞれ積層されているが、配線層の積層数は任意に設定することができる。また、下側配線基板5は、基材としてポリイミドテープなどを使用するフレキシブル性を有するコアレス基板であってもよい。
【0039】
次いで、
図4(b)に示すように、素子形成面側にバンプ電極42を備えた半導体チップ40を用意する。そして、下側配線基板5の部品搭載領域Aの第2配線層22の接続パッドPに半導体チップ40のバンプ電極42をフリップチップ接続する。その後に、半導体チップ40の下側の隙間にアンダーフィル樹脂44を充填する。
【0040】
さらに、同じく
図4(b)に示すように、チップキャパシタ50を用意する。そして、下側配線基板5の上面側において、半導体チップ40の横方向に配置されたソルダレジスト32の上にチップキャパシタ50を接着する。チップキャパシタ50は、横方向の両端側に接続端子52を備えており、両端側の接続端子52が下側配線基板5の表面と平行な方向に配置される。
【0041】
さらに、チップキャパシタ50の両端側の接続端子52をはんだ層54によって第2配線層22の接続パッドPにそれぞれ電気的に接続する。
【0042】
このようにして、下側配線基板5の上面側の部品搭載領域Aに半導体チップ40及びチップキャパシタ50を並べて搭載する。
【0043】
電子部品として、半導体チップ40及びチップキャパシタ50を例示するが、この他に、抵抗素子、インダクタ素子などの各種の電子部品を使用することができる。
【0044】
次いで、
図5(a)に示すように、中間配線基板6を用意する。中間配線基板6は、中央部に上面から下面まで貫通する開口部6aを備えた枠状構造を有する。中間配線基板6の開口部6aは上記した下側配線基板5の部品搭載領域Aに対応しており、それより一回り大きな面積に設定される。
【0045】
中間配線基板6では、コア基板10aの両面側に配線層24が形成されている、コア基板10aは例えばガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料から形成される。コア基板10aには厚み方向に貫通するスルーホールTHが設けられている。両面側の配線層24はスルーホールTHの内壁に形成されたスルーホールめっき層12を介して相互接続されている。
【0046】
スルーホールTHの残りの孔には樹脂体Rが充填されている。前述した下側配線基板5と同様に、コア基板10aの両面側の配線層24がスルーホールTHに形成された貫通電極を介して相互接続されていてもよい。
【0047】
コア基板10aの下面側には、配線層24の第1接続パッドP1上に開口部34aが設けられたソルダレジスト34が形成されている。同様に、コア基板10aの上面側には、配線層24の第2接続パッドP2上に開口部34aが設けられたソルダレジスト34が形成されている。
【0048】
あるいは、中間配線基板6は、基材としてポリイミドテープなどを使用するフレキシブル性を有するコアレス基板であってもよい。
【0049】
図5(b)は、
図5(a)の中間配線基板6を平面視した平面図である。
図5(a)の断面図は、
図5(b)のI−Iの断面に相当する。
図5(b)では、中間配線基板6の第1、第2接続パッドP1,P2のみが描かれており、その他の要素は省略されている。
【0050】
図5(a)に
図5(b)の平面図を加えて参照すると、中間配線基板6の下面側の第1接続パッドP1と上面側の接続パッドP2は相互にずれた位置に配置されている。
図5(a)及び(b)では、好適な例として、平面視して第1接続パッドP1及び第2接続パッドP2は相互に重ならない位置に配置され、千鳥配置になるように配列されている。
【0051】
第1接続パッドP1及び第2接続パッドP2は相互にずれた位置に配置されていればよく、
図5(b)の例以外に、第1接続パッドP1及び第2接続パッドP2の一部が重なった状態でずれて配置されていてもよい。
【0052】
また、
図5(b)の例では、上下側の第1接続パッドP1及び第2接続パッドP2がそれぞれ2列になって配列されているが、配列数は任意に設定することができる。
【0053】
そして、
図6(a)に示すように、中間配線基板6の下面側の第1接続パッドP1に第1はんだボール28を搭載し、リフロー加熱することにより第1接続パッドP1に第1はんだボール28を接合する。第1はんだボール28が導電性ボールの一例である。
【0054】
図6(a)では、好適な例として、第1はんだボール28は銅コアボール28aの外面にはんだ層28bが被覆されて形成される。あるいは、はんだボールとして、樹脂コアボールの外面にはんだ層で被覆されて形成されたものを使用してもよい。
【0055】
または、はんだボールとして、積層される基板間の間隔が多少変動しても差し支えない場合は、全体にわたってはんだから形成されるはんだボールを使用してもよい。このように、導電性ボールの例として、少なくとも外面がはんだ層から形成されたはんだボールを使用することができる。
【0056】
次いで、
図6(b)に示すように、
図6(a)の中間配線基板6の下面側の第1はんだボール28を前述した
図4(b)の下側配線基板5の上面側の接続パッドPの上に配置し、リフロー加熱する。これにより、中間配線基板6の第1はんだボール28が下側配線基板5の接続パッドPに接合されて両者が電気的に接続される。
【0057】
これにより、中間配線基板6の開口部6a内に半導体チップ40及びチップキャパシタ50が収容された状態となる。
【0058】
なお、枠状に繋がった中間配線基板6を例示したが、中間配線基板6が複数に分割された状態で、半導体チップ40及びチップキャパシタ50の周囲に配置されてもよい。
【0059】
続いて、
図7(a)に示すように、上側配線基板7を用意する。上側配線基板7では、コア基板10bの両面側に配線層26が形成されている。コア基板10bは例えばガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料から形成される。コア基板10bには厚み方向に貫通するスルーホールTHが設けられている。
【0060】
両面側の配線層26はスルーホールTHの内壁に形成されたスルーホールめっき層12を介して相互接続されている。スルーホールTHの残りの孔には樹脂体Rが充填されている。
【0061】
前述した下側配線基板5と同様に、コア基板10bの両面側の配線層26がスルーホールTHに形成された貫通電極を介して相互接続されていてもよい。
【0062】
コア基板10bの下面側には、配線層26の第1接続パッドP1上に開口部36aが設けられたソルダレジスト36が形成されている。同様に、コア基板10bの上面側には、配線層26の第2接続パッドP2上に開口部36aが設けられたソルダレジスト36が形成されている。
【0063】
上側配線基板7においても、下側配線基板5及び中間配線基板6と同様に、フレキシブル性を有するコアレス基板であってもよい。
【0064】
そして、上側配線基板7の下面側の第1接続パッドP1に第2はんだボール29を搭載し、リフロー加熱することにより、第1接続パッドP1に第2はんだボール29を接合する。第2はんだボール29は、前述した第1はんだボール28と同様に、好適には、銅コアボール29aの外面にはんだ層29bが被覆されて形成される。
【0065】
次いで、
図7(b)に示すように、
図7(a)の上側配線基板7の下面側の第2はんだボール29を前述した
図6(b)の中間配線基板6の上面側の第2接続パッドP2の上に配置し、リフロー加熱する。これにより、上側配線基板7の第2はんだボール29が中間配線基板6の第2接続パッド
P2に接合されて両者が電気的に接続される。
【0066】
このようにして、上側配線基板7は、その下の第2はんだボール29、中間配線基板6、その下の第1はんだボール28を介して下側配線基板5に電気的に接続される。
【0067】
以上により、下側配線基板5の上に中間配線基板6を介して上側配線基板7が積層された積層配線基板8が得られる。前述したように、中間配線基板6の両面側の第1、第2接続パッドP1,P2は相互にずれた位置に配置されている。
【0068】
このため、中間配線基板6の上下側に配置される第1、第2はんだボール28,29においてもそれらに対応して相互にずれた位置に配置される。
【0069】
さらには、本実施形態では、中間配線基板6の上下側に配置される第1、第2はんだボール28.29は、
図5(b)の第1、第2接続パッドP1,P2に対応して平面視して相互に重ならない位置にずれて配置される。
【0070】
本実施形態では、下側配線基板5と上側配線基板7との間に中間配線基板6が介在しているので、第1、第2はんだボール28,29の直径を半導体チップ40及びキャップキャパシタ50の高さより大きく設定する必要がない。
【0071】
例えば、バンプ電極42を含む半導体チップ40及びキャップキャパシタ50の各高さが300μmの場合は、中間配線基板6の厚みを150μm程度とし、上下側に配置される第1、第2はんだボール28,29の直径を100μm程度とすることができる。
【0072】
これに対して、予備的事項で説明したように、中間配線基板6を使用しない場合は、はんだボールの直径を半導体チップ40の高さ:300μmを超える値に設定する必要がある。
【0073】
本実施形態では、半導体チップ40及びキャップキャパシタ50の高さを考慮して中間配線基板6の厚みを調整することにより、半導体チップ40の高さよりかなり小さな直径の第1、第2はんだボール28、29を採用することができる。これにより、下側、上側配線基板5,
7の各間の接続部位の狭ピッチ化を図ることができる。
【0074】
このようにして、半導体チップの高性能化及び高集積化に伴って信号量が増大する要求に対して、第1、第2はんだボール28,29の直径を小さくすることで接続経路の数を容易に増加させることができる。
【0075】
なお、前述した積層配線基板8を得る工程では、最初に、
図6(a)及び(b)で、中間配線基板6の下面側の第1はんだボール28を下側配線基板5の接続パッドPに接続している。その後に、
図7(a)及び(b)で、上側配線基板7の下面側の第2はんだボール29を中間配線基板6の第2接続パッドP2に接続している。
【0076】
この形態の他に、最初に、
図7(a)の上側配線基板7の下面側の第2はんだボール29を
図6(a)の中間配線基板6の第2接続パッドP2に接続して積層配線部材を得る。
【0077】
その後に、その積層配線部材の中間配線基板6の下面側の第1はんだボール28を下側配線基板5の接続パッドPに接続してもよい。この方法を採用しても、
図7(b)と同一構造の積層配線基板8を得ることができる。
【0078】
また、前述した
図6(a)及び(b)の工程において、第1はんだボール28を下側配線基板5の上面側の接続パッドPに接合し、その上に中間
配線基板6の下面側の第1接続パッドP1を接合してもよい。
【0079】
また同様に、
図7(a)及び(b)の工程において、第2はんだボール29を中間配線基板6の上面側の第2接続パッドP2に接合し、その上に上側配線基板7の下面側の接続パッド
P1を接合してもよい。
【0080】
このように、電子部品を収容する開口部を備えた中間配線基板が下側配線基板に導電性ボールを介して接続され、かつ、中間配線基板に上側配線基板が導電性ボールを介して接続された積層構造を作成すればよい。よって、前述した
図6(a)〜
図7(b)の製造方法の他に、上記した変形例の製造方法などを採用することができる。
【0081】
次いで、
図8に示すように、
図7(b)の積層配線基板8の下側配線基板5、中間配線基板6及び上側配線基板7の各間の領域にモールド樹脂38を充填する。
【0082】
モールド樹脂38を充填する工程では、
図9(a)に示すように、下型62及び上型64を備えるモールド型60を用意する。そして、下型62及び上型64の間に
図7(b)の積層配線基板8を配置し、溶融されたモールド樹脂を樹脂供給部Aから積層配線基板8の各間の領域に注入する。
【0083】
予備的事項でも説明したように、
図9(a)に示すように、下型62及び上型64の間隔が設計値より広くなっている場合は、上側配線基板7と上型64との間に隙間Gが生じた状態となる。この場合は、予備的事項と同様に、
図9(b)に示すように、モールド樹脂38の注入時の圧力によって、下側、上側配線基板5,7が押し広げられ、上側配線基板7が上側に押圧される。
【0084】
しかしながら、本実施形態では、
図9(b)に示すように、中間配線基板6の上下側に配置される第1、第2はんだボール28,29は相互にずれた位置に配置されている。また、中間配線基板6は、モールド樹脂38を注入する際の温度:170℃〜180℃の加熱処理によって剛性が弱くなっている。
【0085】
これにより、上側配線基板7が上側に押圧される際に、上側配線基板7と第2はんだボール29で接続された中間配線基板6がこの押圧力に追随して上側に波打つように撓む。
【0086】
このようにして、上側配線基板7が上側に押圧される力は、中間配線基板6が上側に撓むことで吸収される。
【0087】
従って、上側配線基板7と上型64との間に隙間Gが生じている場合であっても、第1、第2はんだボール28,29が下側配線基板5及び中間配線基板6から分離することが防止される。これにより、下側配線基板5と上側配線基板7との電気接続の信頼性を向上させることができる。
【0088】
また、
図10には、これとは逆に、下型62及び上型64の間隔が設計値より狭くなっている場合が示されている。この場合は、上側配線基板7が上型64によって必要以上に下側に押圧される。
【0089】
しかしながら、本実施形態では、中間配線基板6の上下側に配置される第1、第2はんだボール28,29は相互にずれた位置に配置されており、モールド樹脂38を注入する際の加熱処理によって中間配線基板6の剛性が弱くなっている。
【0090】
このため、上側配線基板7が必要以上に下側に押圧されるときに、中間配線基板6が波打つように下側に撓んでその押圧力を吸収することができる。これにより、中間配線基板6の上下側の第1、第2はんだボール28,29が潰れることなく、その周辺のソルダレジスト32,34,36にクラックが発生することもない。
【0091】
特に、上側配線基板7にかかる押圧力が大きい場合は、中間配線基板6が上下に十分に撓んで圧力を吸収できるようにする。つまり、上下側の第1、第2はんだボール28,29のずれる距離がはんだボール28,29の直径を超えるように設定し、相互に重ならないように配置することが好ましい。
【0092】
このようにして、下側配線基板5、中間配線基板6及び上側配線基板7の各間の領域にモールド樹脂38が信頼性よく充填される。モールド樹脂38を充填することにより、電子部品内蔵基板に落下などの衝撃がかかったり、熱応力によって反りが発生したりするとしても、配線基板間の電気的な破断が防止される。
【0093】
次いで、
図11に示すように、上側電子部品としてはんだバンプ72を備えた半導体デバイス70を用意する。そして、半導体デバイス70のはんだバンプ72を上側配線基板7の接続パッドPに配置し、リフロー加熱して接合する。
【0094】
このとき、中間配線基板6の上下側に配置された第1、第2はんだボール28,29が再溶融する。しかしながら、第1、第2はんだボール28,29に接するソルダレジスト32,34,36にクラックが発生していないので、第1はんだボール28同士、又は第2はんだボール29同士が電気ショートするおそれはない。
【0095】
その後に、半導体デバイス70の下側の隙間にアンダーフィル樹脂74を充填する。例えば、前述した下側配線基板5の上に搭載される半導体チップ40がCPUの場合は、半導体デバイス70としてメモリが採用される。
【0096】
さらに、下側配線基板5の下面側の接続パッドPにはんだボールを搭載するなどして外部接続端子14を設ける。
【0097】
以上により、実施形態の電子部品内蔵基板1が得られる。
【0098】
なお、多面取り用の大型の下側配線基板5を使用する場合は、所要の段階で、上側配線基板7の上面から下側配線基板5の下面まで切断されて個々の電子部品内蔵基板1が得られる。
【0099】
図11に示すように、実施形態の部品内蔵基板1は、
図4(a)で説明した下側配線基板5の部品搭載領域Aの接続パッドPに半導体チップ40のバンプ電極42がフリップチップ接続されている。半導体チップ40の下側の隙間にはアンダーフィル樹脂44が充填されている。
【0100】
半導体チップ40の横方向の下側配線基板5のソルダレジスト32の上に、両端側に接続電極52を備えたチップキャパシタ50が接着されている。チップキャパシタ50の両端側の接続電極52は、はんだ層54を介して下側配線基板5の接続パッドPにそれぞれ接続されている。
【0101】
半導体チップ40及びチップキャパシタ50の周囲には、
図5(a)〜(c)で説明した枠状の中間配線基板6が配置されている。中間配線基板6は中央部に上面から下面まで貫通する開口部6aを備えており、半導体チップ40及びチップキャパシタ50がその開口部6a内に収容されている。
【0102】
中間配線基板6の下面側の第1接続パッドP1は、第1はんだボール28を介して下側配線基板5の接続パッドPに電気的に接続されている。
【0103】
また、半導体チップ40、チップキャパシタ50及び中間配線基板6の上に上側配線基板7が配置されている。中間配線基板6の上面側の第2接続パッドP2は、第2はんだボール29を介して上側配線基板7の下面側の第1接続パッドP1に電気的に接続されている。
【0104】
さらに、下側配線基板5、中間配線基板6及び上側配線基板7の各間の領域に半導体チップ40及びチップキャパシタ50を封止するモールド樹脂38が充填されている。
【0105】
また、上側配線基板7の上面側の第2接続パッドP2に半導体デバイス70
のはんだバンプ72が接続されている。半導体デバイス70の下側の隙間にアンダーフィル樹脂74が充填されている。さらに、下側配線基板5の下面側の接続パッドPに外部接続端子14が設けられている。
【0106】
本実施形態の電子部品内蔵基板1では、下側配線基板5と上側配線基板7との間に中間配線基板6を介在させることにより、第1、第2はんだボール28,29の直径を小さくすることができる。これにより、第1、第2はんだボール28,29の配置ピッチを狭くすることができる。
【0107】
従って、半導体チップの高性能化及び高集積化に伴って信号量が増大する要求に対して、接続経路の数を容易に増加させることができる。
【0108】
また、本実施形態の電子部品内蔵基板1では、中間配線基板6の上下側に配置された第1、第2はんだボール28,29が相互にずれた位置に配置されている。これにより、前述したように、製造時においてモールド樹脂38を充填する際に上下方向に圧力がかかるとしても、中間配線基板6がその圧力に追随して撓んで圧力が吸収されるようになっている。
【0109】
このようにして、モールド樹脂38を充填する際に、第1、第2はんだボール28,29が下側配線基板5及び中間配線基板6から分離して電気的にオープンになることが防止され、信頼性よくモールド樹脂38を充填することができる。これにより、電気接続の信頼性が高い電子部品内蔵基板1を歩留りよく製造することができる。