(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の側壁と前記溝底とが為す角度及び/又は前記第2の側壁と前記溝底が為す角度が、前記断熱壁体の周方向の中央部から前記断熱壁体の端面に向かうに従って変化する、
請求項3乃至5のいずれか一項に記載の断熱壁体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0011】
(従来の吸引成形法による断熱壁体の製造方法)
断熱材を所定の形状で製造する方法として、従来から吸引成形法が知られている。
【0012】
吸引成形法による断熱壁体の製造方法について簡単に説明する。先ず、断熱材材料を水系媒体中に分散させてスラリー状態に混合する。得られたスラリーに通気孔を有する成形用型を当接させて、通気孔からスラリー中の水分を吸引(脱水)する。その後、成形用型を型抜きすることにより、成形用型の形状に対応する形状の断熱壁体を製造する。
【0013】
図1に、従来の吸引成型法による断熱壁体の製造方法を説明するための概略図を示す。
図1(a)に断熱材と成形用型とが当接した状態の概略図を示し、
図1(b)に成形用型を型抜きした後の断熱材の概略図を示す。
【0014】
前述したように、先ず、断熱材材料を水系媒体中に分散させてスラリー状態に混合する。その後、
図1(a)に示すように、スラリー10を成形用型12に当接させた状態で、図示しない真空ポンプ等を用いて、成形用型12の表面に形成された図示しない通気孔から吸引し、スラリー10中の水分を脱水する。
【0015】
吸引により、スラリー10は例えば
図1(a)中の矢印方向に力が印加される。そして、スラリー10の成形用型12に接触している表面の形状は、成形用型12に対応する形状となる。そのため、抵抗発熱体を保持する溝部14を有する断熱壁体16を製造する場合、成形用型12は、スラリー10に所定の溝幅W及び溝深さDを有する溝部14を形成できるよう、予め所望の形状に設計されている。
【0016】
その後、成形用型12を吸引方向に型抜きすることにより、
図1(b)に示すように、所望の表面形状を有する断熱壁体16を得ることができる。
【0017】
上述した吸引成形法により、例えば、溝部14を有する断熱壁体16を得ることができる。なお、本明細書において、溝部14とは、抵抗発熱体18を保持するための、断熱壁体16の表面に形成された凹部のことを指す。また、以後、隣り合う溝部14の間の凸部を、庇20と呼ぶ。
【0018】
断熱壁体16の溝部14に保持される抵抗発熱体18は、ヒータの加熱又は冷却により、熱膨張及び熱収縮する。そのため、抵抗発熱体18の熱膨張及び熱収縮に対処する様、溝部14の溝深さDを十分に大きくする必要がある。しかしながら、上述した従来の吸引成形法により溝深さDが大きい溝部14を製造した場合、成形用型12と断熱壁体16の摩擦などにより、断熱壁体16が破壊されることがあった。即ち、従来の吸引成形法では、抵抗発熱体18を保持することができる程度に十分な溝深さDを有する溝部14を形成することができないという問題点があった。
【0019】
(本実施形態の断熱壁体の製造方法)
次に、上述の問題点を解決することができる、本実施形態の吸引成形法による断熱壁体の製造方法について、説明する。
【0020】
図2に、本実施形態の断熱壁体の製造方法の一例のフロー図を示す。
【0021】
本実施形態の断熱壁体の製造方法は、抵抗発熱体を保持する溝部を有する断熱壁体の製造方法であって、
断熱材材料を水系媒体中に分散させて混合して、スラリー状にする工程(S100)と、
得られたスラリー状の前記断熱材材料に、通気孔を有し、前記溝部の形状に対応する表面を有する成形用型を当接させて、通気孔を介してスラリー状の前記断熱材材料を脱水する工程(S110)と、
前記成形用型を前記断熱材材料から型抜きすることにより、前記溝部の深さが一定で、前記溝部の幅が、前記溝部の
長さ方向で変化している断熱壁体を製造する工程(S120)と、
を有する。
【0022】
スラリー状にする工程S100では、先ず、断熱材材料を水系媒体中に分散させてスラリー状態に混合する。次に、断熱材材料を脱水する工程S110では、得られたスラリーを成形用型に当接させた状態で、真空ポンプ等を用いて、成形用型の表面に形成された図示しない通気孔から吸引し、スラリー中の水分を脱水する。その後、断熱壁体を製造する工程では、成形用型を型抜きすることにより、溝部の深さが一定で、溝部の幅が、溝部の
長さ方向で変化している形状を有する断熱壁体を得る。
【0023】
詳細については下記の種々の実施形態で説明するが、本実施形態の断熱壁体の製造方法では、溝部の幅が、溝部の長さ方向で変化するように断熱壁体を製造するため、型抜きが容易になる。そのため、溝深さDが大きい溝部を有する断熱壁体を製造する場合であっても、断熱壁体16が破壊される可能性を低減することができる。
【0024】
また、本実施形態の板状の断熱壁体又は半円筒形状の断熱壁体であっても、同様の方法により製造することができる。
【0025】
さらに、特許文献1などで開示された
『円筒形状の断熱壁体
』は、1つの溝部を有する円筒形状の断熱ブロックを、軸方向に複数積み重ねることで、複数の溝部を形成する。そのため、溝部の数だけ予め断熱ブロックを準備して積層する必要がある。しかしながら、本実施形態の断熱壁体の製造方法では、複数の溝部を有する断熱壁体であっても、一度の型抜きで同時に形成させることができる。
【0026】
これより、本実施形態の断熱壁体の製造方法で製造することができる、種々の断熱壁体の構成例について、実施形態を挙げて詳細に説明する。
【0027】
(第1の実施形態)
第1の実施形態及び後述する第2の実施形態では、溝部14を有する板状の断熱壁体16を製造する実施形態について、図を参照して説明する。
【0028】
図3に、第1の実施形態の断熱壁体の一例の概略図を示す。
【0029】
第1の実施形態の断熱壁体16は、厚さ方向から見た断面が例えば矩形である、溝部14を有する板状形状である。
【0030】
溝部14は、溝底を形成する第1の面22と、1対の側壁の一方を形成する第2の面24と、他方の側壁を形成する第3の面26と、から形成される。
図3において、X軸方向は溝部14の深さ方向であり、Y軸方向は溝部14の長さ方向であり、Z軸方向は溝部14の幅方向である。なお、本実施形態において成形用型12の型抜きは、溝部14の長さ方向で実施する。
【0031】
本実施形態の断熱壁体16は、溝部14の深さDが一定であり、溝部14の第1の面22(溝底)の幅が、溝部14の長さ方向(Y軸方向)で変化している。
図3の例では、型抜き方向の下流側の端部での第1の面22の幅W1が、型抜き方向の上流側の端部での第1の面22の幅W2よりも大きくなっている。この
図3の例に示すように、本実施形態において、溝底の幅が、型抜きする方向に拡張する(型抜きする方向へと移動するに従って大きく)なることにより、型抜きが容易となり、十分な溝深さDを有する溝部14を形成することができる。
【0032】
隣り合う溝部14の間の凸部は庇20と称される。即ち、庇20は、側壁である第2の面24及び第3の面26と、庇20の頂部を形成する第4の面28とから形成される。
【0033】
図3では、板状の断熱壁体16の高さ方向に4つの溝部14を有する実施形態を示したが、本発明はこの点において限定されず、断熱壁体16は、1つ又は2つ以上の溝部14を有する。
【0034】
なお、
図3の断熱壁体16においては、第3の面26の高さが一定であり、第2の面24の高さが変化することにより、溝底の幅が、型抜きする方向に拡張しているが、本発明はこの点において限定されない。例えば、第2の面24の高さが一定であり、第3の面26の高さが変化する構成であってもよいし、第2の面24の高さ及び第3の面26の高さが両方変化する構成であっても良い。
【0035】
また、第1の実施形態の断熱壁体16において、第1の面22と、第2の面24及び第3の面26とがなす角度θ1、θ2は、90度である。
【0036】
(第2の実施形態)
図4に、第2の実施形態の断熱壁体の一例の概略図を示す。
【0037】
第2の実施形態の断熱壁体16は、第1の実施形態と同様に、溝部14の溝底の幅が、溝部14の長さ方向で変化する形状を有する。
【0038】
また、第2の実施形態の断熱壁体16は、
図4に示すように、より具体的には、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1、及び/又は、第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2が、90度より大きい。別の言い方をすると、第2の実施形態の断熱壁体16は、断熱壁体16の溝部14の幅が、溝底から頂部に向かうに従って次第に大きくなる形状を有する。
【0039】
第2の実施形態の断熱壁体16の溝部14の幅が、溝底から頂部に向かうに従って次第に大きくなる形状となっていることによる効果を説明する。
図5に、第2の実施形態の断熱壁体を有するヒータ装置の効果を説明するための図を示す。
【0040】
図5において、ヒータ装置30は、溝部14を有する断熱壁体16及び抵抗発熱体18を有する。
図5(a)の断熱壁体16は、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1及び第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2が90度より大きい構成を有する。一方、
図5(b)の断熱壁体16は、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ2及び第1の面22と第3の面26とが為す角度θ3が90度である構成を有する。また、
図5における各々の抵抗発熱体18から伸びる2つの破線の間の領域は、各々の抵抗発熱体18により直接加熱することができる領域を指す。
【0041】
図5(a)の例では、第2の面24及び第3の面26と、第1の面22とが為す角度が90度より大きいため、各々の抵抗発熱体18の輻射により加熱することができる範囲が広い。即ち、効率よく、均一に被加熱対象物32を加熱することができる。しかしながら、
図5(b)の例では、第2の面24及び第3の面26と、第1の面22とが為す角度が90度であり、各々の抵抗発熱体18の輻射により加熱することができる範囲が狭い。そのため、被加熱対象物32を直接加熱することができない領域が生じるため、被加熱対象物32の加熱にムラが生じることがある。したがって、溝部14を形成する側壁である第2の面24及び第3の面26の少なくとも一方と、溝部14を形成する溝底である第1の面22とが為す角度は、90度より大きいことが好ましい。
【0042】
第1の面22、第2の面24、第3の面26及び第4の面28の内のいずれか2つの面が為す角部は、後述するように、R面取り又はC面取りされていても良い。2つの面が為す角部が面取りされることで、成形用型12の型抜きがより容易になる。そのため、溝深さDがより大きい溝部14を有する断熱壁体16を製造することができる。
【0043】
図6に、本実施形態の断熱壁体の溝部の形状を説明するための概略図を示す。
図6(a)の例の溝部14では、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1と、第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2とが、両方90度より大きい角度で交わっている。
【0044】
また、
図6(b)及び
図6(c)の例の溝部14では、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1及び第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2のいずれか一方が、90度より大きく、他方が90度である。
【0045】
図6(d)の例の溝部14では、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1と、第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2とが、両方とも90度である。また、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部が、両方R面取りされている。なお、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部とのいずれか一方が、R面取りされている構成であっても良い。
【0046】
図6(e)の例の溝部14では、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1と、第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2とが、両方とも90度である。また、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部が、両方C面取りされている。なお、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部とのいずれか一方が、C面取りされている構成であっても良い。
【0047】
図6(f)の例の溝部14では、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1と、第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2とが、両方90度より大きい角度である。また、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部が、両方R面取りされている。なお、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部とのいずれか一方が、R面取りされている構成であっても良い。
【0048】
図6(g)の例の溝部14では、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1と、第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2とが、両方90度より大きい角度である。また、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部が、両方C面取りされている。なお、第1の面22と第2の面24とが為す角部と、第1の面22と第3の面26とが為す角部とのいずれか一方が、C面取りされている構成であっても良い。
【0049】
これらの中でも、
図6(f)及び
図6(g)で示した実施形態を採用することが好ましい。
図6(f)及び
図6(g)で示す実施形態のように、2つの面が為す角部が面取りされることで、成形用型12の型抜きがより容易になる。そのため、溝深さDが大きい溝部14を有する断熱壁体16を製造することができる。なお、各々の形状を有する溝部14を形成する際には、予め成形用型12の表面形状を設計しておく。この成形用型12を使用して型抜きすることにより、その成形用型12の表面形状に対応する溝部14を形成することができる。
【0050】
なお、本実施形態において、第1の面22と第2の面24とが為す角度θ1と、第1の面22と第3の面26とが為す角度θ2とが、溝
部14の長さ方向に沿って変化していても良い。この場合においても、θ1及びθ2は、90度以上の範囲内で変化することが好ましい。
【0051】
上述した第1の実施形態及び第2の実施形態の板状の断熱壁体16の製造方法は、
図2で示したように、断熱材材料を水系媒体中に分散させて混合して、スラリー状にする工程(S100)と、得られたスラリー状の前記断熱材材料に、通気孔を有し、前記溝部の形状に対応する表面を有する成形用型を当接させて、通気孔を介してスラリー状の前記断熱材材料を脱水する工程(S110)と、前記成形用型を前記断熱材材料から型抜きすることにより、前記溝部の深さが一定で、前記溝部の幅が、前記溝部の
長さ方向で変化している断熱壁体を製造する工程(S120)と、を有する。この断熱壁体を製造する工程(S120)において、溝底である第1の面22の幅Wが、溝部14の長さ方向で変化している成形用型12を使用して、溝部14の長さ方向に型抜きする。第1の面22の幅が溝部14の長さ方向で変化している形状に対応する成形用型12を使用して、溝部14の長さ方向に型抜きすることにより、型抜き時において、溝部14と断熱壁体16との間の摩擦を低減することができる。したがって、成形用型12の型抜きが容易となり、抵抗発熱体を保持するのに十分な溝深さDを有する溝部14を形成することができる。
【0052】
上述したように、特許文献1などで開示された従来の
『円筒形状の断熱壁体
』の製造方法では、1つの溝部を有する円筒形状の断熱ブロックを、軸方向に複数積み重ねて形成される。そのため、複数の溝部を有する
『円筒形状の断熱壁体
』を製造する場合、溝部の数だけ断熱ブロックを準備して積層する必要があった。しかしながら、第1の実施形態及び第2の実施形態の断熱壁体の製造方法では、複数の溝部を有する断熱壁体であっても、一度の型抜きで製造することができるといる有利な効果を有する。
【0053】
以上、第1の実施形態及び第2の実施形態においては、矩形形状を有し、溝部を有する断熱壁体であって、前記溝部が、溝底と2つの側壁とで形成され、前記溝部の深さは一定であり、前記溝部の溝底の幅が、前記溝部の長さ方向で変化している、断熱壁体を製造することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図2で示した断熱壁体の製造方法は、例えば、半円筒形状を有し、その内周面に溝部を有する断熱壁体を製造する場合にも、有利に採用することができる。
【0055】
半円筒形状を有し、その内周面に溝部を有する断熱壁体は、溝底の幅が半円筒形状の周方向(溝部の長さ方向)で変化していれば良く、種々の形態を取ることができる。その一例を、
図7乃至
図9を使用して説明する。
【0056】
図7に、第3の実施形態の断熱壁体の一例の概略図を示す。具体的には、
図7(a)は、本実施形態の断熱壁体の上面概略図であり、
図7(b)は、
図7(a)の断熱壁体のA−A断面の概略図であり、
図7(c)は正面概略図である。
【0057】
図7の断熱壁体16は、第1の端面34及び第2の端面36を有する半円筒形状の断熱壁体16であり、溝部14を有する。本実施形態の断熱壁体16の溝部14は、溝深さDが一定であり、溝部14の溝底(第1の面22)の幅が、周方向で変化している。なお、溝部14の溝底(第1の面22)の幅が、周方向で変化しているとは、例えば、断熱壁体16の周方向の中央部から第1の端面34及び第
2の端
面36に近づくに従って、次第に大きくなっても良いし、次第に小さくなっても良い。
図7の例では、第1の面22の幅Wが、断熱壁体16の周方向の中央部から第1の端面34及び第
2の端
面36に近づくに従って、次第に大きくなっている。一例を挙げると、
図7に示すように、断熱壁体16の周方向の中央部における第1の面22の幅W3よりも、第1の端面34における第1の面22の幅W4が大きくなっている。
【0058】
また、
図7の例では、
図7(a)の矢印で示すように、第2の面24と第3の面26との間隔は、半円筒形状の断熱壁体16の直径方向に垂直な径方向、即ち型抜きする方向において、第1の面22から離れるに従って大きくなるよう構成されている。即ち、
図7(a)の矢印の方向に、庇20が傾斜している。このような構成とすることにより、成形用型12の型抜きがより容易になるため、十分な溝深さDを有する断熱壁体16を製造することができる。
【0059】
第1の面22と第2の面24とが為す角度、及び/又は、第1の面22と第3の面26とが為す角度は、周方向で変化しても良い。例えば
図7の例では、第1の面22と第2の面24とが為す角度、及び、第1の面22と第3の面が為す角度が、断熱壁体16の周方向の中央部から第1の端面34及び第2の端面36に向かうに従って、次第に小さくなっている。この場合、いずれの角度も、90度以上の角度の範囲内で変化することが好ましい。一例として、半円筒形状の断熱壁体16の中央部では90度より大きく、第1の端面34及び第2の端面36では90度である。
【0060】
なお、
図7の断熱壁体16の例では、第4の面28の幅は、一定である。
【0061】
図8に、第3の実施形態の断熱壁体の他の例の概略図を示す。具体的には、
図8(a)は、本実施形態の断熱壁体の上面概略図であり、
図8(b)は、
図8(a)の断熱壁体のB−B断面の概略図であり、
図8(c)は正面概略図である。
【0062】
図8の断熱壁体16は、第1の端面34及び第2の端面36を有する半円筒形状の断熱壁体16であり、溝部14を有する。本実施形態の断熱壁体16の溝部14は、溝深さDが一定であり、溝部14の溝底(第1の面22)の幅が、周方向で変化している。
図8の例では、第1の面22の幅
Wが、断熱壁体16の周方向の中央部から第1の端面34及び第
2の端
面36に近づくに従って、次第に一度小さくなり、再び大きくなる構成を有している。一例を挙げると、断熱壁体16の周方向の中央部における第1の面22の幅W3よりも、第1の端面34における第1の面22の幅W4が大きくなっている。
【0063】
また、
図8の例では、
図8(a)の矢印で示すように、第2の面24と第3の面26との間隔は、半円筒形状の断熱壁体16の直径方向に垂直な径方向、即ち型抜きする方向において、第1の面22から離れるに従って大きくなるよう構成されている。このような構成とすることにより、成形用型12の型抜きがより容易になるため、十分な溝深さDを有する断熱壁体16を製造することができる。
【0064】
第1の面22と第2の面24とが為す角度、及び/又は、第1の面22と第3の面26とが為す角度は、周方向で変化しても良い。例えば
図8の例では、第1の面22と第2の面24とが為す角度、及び、第1の面22と第3の面が為す角度が、半円筒形状の断熱壁体16の中央部では90度より大きく、断熱壁体16の周方向の中央部から第1の端面34及び第2の端面36に向かうに従って、次第に一度大きくなり、その後小さくなり、第1の端面34及び第2の端面36において、前記角度は90度となる構成を有する。この場合、第1の面22と第2の面24とが為す角度、及び、第1の面22と第3の面が為す角度は、90度以上の角度の範囲内で変化することが好ましい。
【0065】
なお、
図8の断熱壁体16の例では、第4の面28の幅は、一定である。
【0066】
図9に、第3の実施形態の断熱壁体の更に他の例の概略図を示す。具体的には、
図9(a)は、本実施形態の断熱壁体の上面概略図であり、
図9(b)は、
図9(a)の断熱壁体のC−C断面の概略図であり、
図9(c)は正面概略図である。
【0067】
図9の断熱壁体16は、第1の端面34及び第2の端面36を有する半円筒形状の断熱壁体16であり、溝部14を有する。本実施形態の断熱壁体16の溝部14は、溝深さDが一定であり、溝部14の溝底の幅Wが、周方向で変化している。
【0068】
図9の例では、第1の面22の幅が、断熱壁体16の周方向の中央部から第1の端面34及び第
2の端
面36に近づくに従って、次第に大きくなっている。より具体的には、断熱壁体16の周方向の中央部における第1の面22の幅W3よりも、第1の端面34における第1の面22の幅W4が大きくなっている。
【0069】
また、
図9の例では、
図9(a)の矢印で示すように、第2の面24と第3の面26との間隔は、半円筒形状の断熱壁体16の直径方向に垂直な径方向、即ち型抜きする方向において、第1の面22から離れるに従って大きくなるよう構成されている。このような構成とすることにより、成形用型12の型抜きがより容易になるため、十分な溝深さDを有する断熱壁体16を製造することができる。また、本実施形態では、この方向での庇20の傾斜角度は一定である。また、庇20の頂部である第4の面28の幅が、周方向で、第1の端面34及び第2の端面に向かうに従って小さくなっている。
【0070】
本実施形態では、第1の面22と第2の面24とが為す角度、及び、第1の面22と第3の面26が為す角度は、半円筒形状の断熱壁体16の中央部では90度より大きく、周方向で第1の端面34及び第2の端面36に向かうに従って次第に小さくなり、第1の端面34及び第2の端面36では90度となる構成を有する。
【0071】
なお、半円筒形状の断熱壁体16を製造する第3の実施形態においても、第1の面22と第
2の面
24とにより形成される角部、及び/又は、第1の面22と第3の面26とにより形成される角部、は、R面取り又はC面取りされていることが好ましい。R面取り又はC面取りすることにより、成形用型12を型抜きする場合に、より容易に型抜きすることができる。
【0072】
なお、本実施形態の半円筒形状の断熱壁体16は、軸方向に溝部14が複数形成されていても良い。なお、複数の溝部14が形成された断熱壁体16であっても、前述の断熱壁体16の製造方法により、一度の型抜きで製造することができる。
【0073】
また、円筒形状の断熱壁体16を製造する場合は、先ず、同じ大きさの半円筒形状の断熱壁体16を、上述した本実施形態の断熱壁体の製造方法により、予め2つ製造する。得られた2つの断熱壁体16の、第1の端面34同士、及び、第2の端面36同士を固定することにより、円筒形状の断熱壁体16を製造することができる。断面同士の固定は、着脱可能に固定しても良いし、接合などの方法により着脱不能に固定しても良い。
【0074】
以上、第3の実施形態により、半円筒形状を有し、その内周面に周方向に沿って溝部を有する断熱壁体であって、前記溝部は、溝底と2つの側壁とで形成され、前記溝部の深さは一定であり、前記溝部の溝底の幅が、前記周方向で変化している、断熱壁体を製造することができる。
【0075】
第3の実施形態の半円筒形状の断熱壁体16を製造する方法は、
図2で示したように、断熱材材料を水系媒体中に分散させて混合して、スラリー状にする工程(S100)と、得られたスラリー状の前記断熱材材料に、通気孔を有し、前記溝部の形状に対応する表面を有する成形用型を当接させて、通気孔を介してスラリー状の前記断熱材材料を脱水する工程(S110)と、前記成形用型を前記断熱材材料から型抜きすることにより、前記溝部の深さが一定で、前記溝部の幅が、前記溝部の
長さ方向で変化している断熱壁体を製造する工程(S120)と、を有する。第3の実施形態では、この断熱壁体を製造する工程(S120)において、溝底である第1の面22の幅が、溝部14の長さ方向で変化している成形用型12を使用して、半円筒形状の直径方向に垂直な方向に、成形用型12を型抜きする。このように成形用型12を型抜きすることにより、型抜き時に庇20が破損することなく、溝深さDが十分に大きい溝部14を容易に形成することができる。