特許第5993452号(P5993452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5993452
(24)【登録日】2016年8月26日
(45)【発行日】2016年9月14日
(54)【発明の名称】ピリミジノン化合物およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/54 20060101AFI20160901BHJP
   C07D 239/60 20060101ALI20160901BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20160901BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20160901BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20160901BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20160901BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20160901BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20160901BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20160901BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20160901BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20160901BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160901BHJP
【FI】
   C07D239/54 ZCSP
   C07D239/60
   C07D401/12
   C07D403/12
   C07D405/12
   C07D413/12
   C07D471/04 108A
   A61K31/513
   A61P25/18
   A61P25/28
   A61P25/04
   A61P43/00 111
【請求項の数】12
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2014-517912(P2014-517912)
(86)(22)【出願日】2012年7月5日
(65)【公表番号】特表2014-522830(P2014-522830A)
(43)【公表日】2014年9月8日
(86)【国際出願番号】GB2012000573
(87)【国際公開番号】WO2013004995
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2015年3月16日
(31)【優先権主張番号】1111705.8
(32)【優先日】2011年7月7日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(72)【発明者】
【氏名】シャオ−リン ファン コッククロフト
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ファーナビー
(72)【発明者】
【氏名】ナターシャ キンセラ
(72)【発明者】
【氏名】ケビン マーチャント
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ミラー
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−57563(JP,A)
【文献】 特開昭64−29367(JP,A)
【文献】 特開平01−261392(JP,A)
【文献】 特開平02−202875(JP,A)
【文献】 特開平05−255344(JP,A)
【文献】 特表2001−519416(JP,A)
【文献】 特表2007−517056(JP,A)
【文献】 特表2009−542683(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/058314(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/003383(WO,A1)
【文献】 Veterinary Quarterly,1991年,Vol. 13, No. 4,pp. 218-224
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 239/24
A61K 31/395
A61P 25/00−25/36
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
[式中、
が、H、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、又はC1−6アルコキシを表し;
が、H又はC1−6アルキルを表し;
Yが、−A−S(O)−A−、−A−C(O)−A−、−C(O)NR−A−NRC(O)−A−、−S(O)NR−A−NRS(O)−A−A−O−A−、C2−6アルケニレン、又は、各々が同一であっても又は異なっていてもよい1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表し;は、ピリミジニル環への結合点を示し;
pが0、1、又は2を表し;
、R、R、Rが、独立してH又はC1−6アルキルを表し;
が、C1−6アルキル又はC1−6アルキレン鎖を表し、ここで前記C1−6アルキレン鎖は、前記C2−6アルキレン中の他のいずれか利用可能な炭素原子と結合し、そして前記C2−6アルキレンにRが結合して、縮合又はスピロ縮合したC3−6シクロアルキル環を形成し;
及びAがそれぞれ、共有結合、又は、1又は複数の、その各々が同一であっても又は異なっていてもよいRで任意に置換されたC1−3アルキレンを表し;A又はAの少なくとも一つが、任意に置換されたC1−3アルキレンであり;
及びAはそれぞれ、共有結合、又は、1又は複数の、その各々が同一であっても又は異なっていてもよいRで任意に置換されたC1−3アルキレンを表し;
が、共有結合、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC1−2アルキレンを表し;Aは、共有結合、又は、その各々が同一であっても若しくは異なっていてもよい1又は複数のRで任意に置換されたC1−3アルキレンを表し;A又はAの少なくとも一つは、任意に置換されたアルキレンであり;
がC1−6アルキルを表し;
Zが、フェニル、ナフタレニル、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、ピラゾリル、ピリジニル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、及びシクロプロピルから選択され;そのそれぞれが、1又は複数のR10で任意に置換されてもよく;各R10は、同一であっても又は異なっていてもよく;
10が、−ハロゲン、−C1−6アルキル、−ハロC1−6アルキル、−C0−6アルキルCN、−NO、−C0−6アルキル−CO11、−C0−6アルキル−COR11、−C0−6アルキル−NR1114、−C0−6アルキル−CONR1112、−C0−6アルキル−NR11COR12、−C0−6アルキル−NR11SO12、−C0−6アルキル−SONR1112、−C0−6アルキル−OCONR1112、−C0−6アルキル−NR11CO12、−C0−6アルキル−NR11CONR1112、−C0−6アルキル−OR13、−C0−6アルキル−SR14、−C0−6アルキル−SOR14、−C0−6アルキル−SO14、−C0−6アルキル−OSO14、−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、−C0−6アルキル−アリール、−C0−6アルキル−ヘテロアリール、−C0−6アルキル−ヘテロシクリル、を表し、ここで、前記、C1−6アルキル、−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、−C0−6アルキル−アリール、−C0−6アルキル−ヘテロアリール、−C0−6アルキル−ヘテロシクリルは、1又は複数のR15で任意に置換され、各R15は、同一であっても又は異なっていてもよく;
11及びR12が、独立してH又はC1−6アルキルを表し;
13が、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、−C1−6アルキル−OR18、又はハロC1−6アルキルを表し;
14が、C1−6アルキルを表し;
15が、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−C0−6アルキルCN、−NO、=O、−C0−6アルキル−CO16、−C0−6アルキル−COR16、−C0−6アルキル−NR1617、−C0−6アルキル−CONR1617、−C0−6アルキル−NR16COR17、−C0−6アルキル−NR16SO17、−C0−6アルキル−SONR1617、−C0−6アルキル−OCONR1617、−C0−6アルキル−NR16CO17、−C0−6アルキル−NR16CONR1617、−C0−6アルキル−OR18、−C0−6アルキル−SR19、−C0−6アルキル−SOR19、−C0−6アルキル−SO19、又は−C0−6アルキル−OSO19を表し;
16及びR17が、独立してH又はC1−6アルキルを表し;
18が、H、C1−6アルキル、又は−ハロC1−6アルキルを表し;そして
19が、C1−6アルキルを表す]
の化合物(ただし、(E)−5−ヒドロキシ−2−スチリルピリミジン−4(3H)オンを除く。)、又は医薬上許容されるその塩。
【請求項2】
が水素原子を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素原子を表す、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、−A−S(O)−A−、−A−O−A−、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
Yが、−CH−O−、−CH−S−、−S−CH−、−S−CH(CH)−、又は−CHCH−を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
10が、−ハロゲン、−C1−6アルキル、−ハロC1−6アルキル、−C0−6アルキル−OR13、又は−C0−6アルキル−ヘテロアリールを表し、ここで前記C1−6アルキル又は−C0−6アルキル−ヘテロアリールが、1又は複数のR15で任意に置換される、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
2−(3−クロロベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(3−メチルベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(4−クロロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(ナフタレン−2−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(3−フルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(4−メトキシベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(3,4−ジフルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(3−メトキシベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−{[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]スルファニル}ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(3−クロロ−5−フルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−{[3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ベンジル]−スルファニル}−ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(2−クロロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(1−フェニルエチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(シクロプロピルメチルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イルメチル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−2−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(3−(ジフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−((4−メチルピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−3−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−((1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−4−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(イソキノリン−1−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−{[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンジル]スルファニル}−ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチル)スルファニル]−ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イルメチル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(ナフタレン−1−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルメチル)スルファニル]−ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(フェニルスルファニル)メチル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(フェノキシメチル)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン;
5−メトキシ−2−(4−メトキシベンジルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
からなる群から選択される、請求項1で定義された式(1)の化合物、及び医薬上許容されるその塩。
【請求項8】
請求項1に定義された式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩を調製する方法であって、以下のステップ:
(i)Yが、−A−S−A−、−A−O−A−、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表し、R及びRがHを表す場合には、式(II)の化合物を、ギ酸アルキルの存在中で、塩基と反応させた後、式(I)の化合物を加えること
【化2】
[式中、
が、−A−S−A−、−A−O−A−、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表し、A、A、A、A,R及びZが請求項1で定義された通りである]
或いは、
(ii)Yが、−S−C1−3アルキレン−を表し、R及びRがHを表す場合には、式(III)の化合物を、式(IV)の化合物と反応させること;
【化3】
[式中、
Qが、−SH又は−Sを表し、ここでWが適切なカチオンであり、Lが適切な脱離基であり、A及びZが請求項1で定義された通りである]
或いは、
(iii)Yが−S(O)NR−Aを表し、R及びAが請求項1で定義された通りであり、R及びRがHを表す場合には、式(V)の化合物を、式(VI)の化合物と反応させること;
【化4】
[式中、
が適切な脱離基であり、Zが請求項1で定義された通りである]
或いは、
(iv)Yが、
【化5】
若しくは、Cアルケニレンを表し、R及びRがHを表す場合には、式(VII):
【化6】
の化合物を、
a)還元剤と反応させて、式(1)のCアルケニレンを得、その後、
b)ステップa)から、式(1)のCアルケニレンをシクロプロパン化すること;或いは、
(v)Yが、−A−C(O)−A−若しくは−C(O)NR−Aを表す場合には、式(VIII)
【化7】
[式中、Rが請求項1で定義された通りであり、RがHを表す」
の化合物を:
a)R、A及びZが請求項1で定義された通りである、式HN(R)−A−Zの化合物と反応させること;又は
b)対応するワインレブ(Weinreb)アミド(−C(O)−N(CH)−O(CH))へ初期変換し、その後、A及びZが請求項1で定義された通りであるグリニャール試薬BrMg−A−Zと反応させること;或いは、
(vi)Yが−NRC(O)−A−若しくは−NRS(O)−Aを表す場合には、式(IX):
【化8】
[式中、
が請求項1で定義された通りであり、RがHを表し、RがR又はRを表す]
の化合物を、
a)L−C(O)−A−Z、若しくは
b)L−S(O)−A−Z
のいずれかと反応させること、ここでLが適切な脱離基を表し、R、A及びZが請求項で定義された通りである;
を含み、
そしてその後、場合により、以下の手順:
・式(1)の化合物を式(1)の別の化合物に変換すること、
・全ての保護基を除去すること、
・医薬上許容される塩を形成すること、
のうち、1又は複数を実行すること、
を含む、前記方法。
【請求項9】
請求項1〜のいずれか一項に記載の、式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩を、医薬上許容される助剤、希釈剤又は担体とともに含む、医薬組成物。
【請求項10】
その発症又は症状がDAAO酵素活性と関連する状態の治療における使用のための、請求項1〜のいずれか一項に記載の、式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩。
【請求項11】
統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害、認識障害、又は疼痛の治療における使用のための、請求項1〜のいずれか一項に記載の、式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩。
【請求項12】
請求項1〜のいずれか一項に記載の、式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩と、カルバマゼピン(carbamazepine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、べラパミル(verapamil)、ラモトリギン(lamotrigine)、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、リスぺリドン(risperidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ジプラジドン(ziprasidone)、及びリチウムから選択される1又は複数の薬剤とを含む医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピリミジノン誘導体、それらの調製工程、それらを含む医薬組成物、及び、治療、特に、D−アミノ酸オキシダーゼ酵素(DAAO)に関連する状態の治療及び防止におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ドーパミン過剰(hyper-dopaminergic)理論は、ここ数10年来、統合失調症薬の発見を牽引しており、クロザピン(clozapine)やオランザピン(olanzapine)といった注目すべき薬物を生み出している。これら薬剤は、統合失調症の陽性症状に対して高度に有効である可能性があり、多くの患者に顕著な恩恵を与えてきたものの、それらは完全な答えとはならず、その疾患の否定的側面及び認知的側面に対しては、効果がさらに少ない又は効果がなく、さらにいくつかの場合には望ましくない副作用がある。代替仮説のうち、グルタミン酸過剰(hyper-glutamatergic)理論には、はるかに多くの利点があり、PCP(フェンサイクリジン)、MK801、又はケタミン、すなわち、健康なヒトボランティアに統合失調症様症状を生じさせる、又は統合失調症患者の臨床兆候を悪化させる、直接的なN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬の使用に由来する最初の物的証拠がある。しかし、作動薬を用いた、NMDA受容体の直接的な調節は、興奮毒性(神経伝達物質による過剰刺激)に対して成功するとは証明されておらず、望ましくない副作用をもたらす。別の取り組みは、NMDA受容体の賦活に必要な共作動薬を目標としている。これらは、グリシン及びセリン(D−SER)である。グリシン伝達阻害剤の使用を通じてNMDA受容体の活性を促進しようとする試みから、臨床化合物が生まれている(しかに現在のところ市販薬物は存在しない)。D−SERは、グリシンよりもさらに有効な共作動薬であり、そのためD−SERの調節は、別の戦略となりうる。D−SERレベルを高める一つの方法は、DAAO、すなわち、シナプス間隙からD−SERを除去する酵素の活性を低下させることである。
【0003】
DAAO酵素阻害剤は、当技術分野で既知である。例えば、Adage et al., European Neuropsychopharmacology 2008, 18, 200-214に、AS−057278という、小分子のDAAO酵素阻害剤が記載されている。同様に、Sparey et al., Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 2008, 18, 3386-3391には、カルボン酸基を備えた小さい複素環式環を含む分子がDAAO酵素を阻害できることが実証されている。カルボン酸基を回避するDAAO阻害剤は、Ferraris et al., J. Med. Chem. 2008, 51, 3357-3359、及びDuplantier et al., J. Med. Chem. 2009, 52, 3576-3585に記載されている。セプラコール社(Sepracor)によるさらなる一連のカルボン酸含有DAAO酵素阻害剤が、国際公開第2008/089453号に記載されている。
【0004】
欧州特許第0180298号に、ヒスタミンH拮抗剤としてのピリミジノン誘導体類が開示されている。
【発明の概要】
【0005】
我々は今回、所望の活性プロファイルを有するDAAO酵素阻害剤である新種の化合物を発見した。本発明の化合物は、有益な、効果、選択性及び/又は薬物動態特性を有する。
【0006】
本発明の第一の態様に準拠し、式(1):
【0007】
【化1】
【0008】
[式中、
が、H、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、又はC1−6アルコキシを表し;
が、H又はC1−6アルキルを表し;
Yが、−A−S(O)−A−、−A−C(O)−A−、−C(O)NR−A−NRC(O)−A−、−S(O)NR−A−NRS(O)−A−A−O−A−、C2−6アルケニレン、又は、各々が同一であっても又は異なっていてもよい1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表し;は、ピリミジニル環への結合点を示し;
pが0、1、又は2を表し;
、R、R、Rが、独立してH又はC1−6アルキルを表し;
が、C1−6アルキル又はC1−6アルキレン鎖を表し、ここで前記C1−6アルキレン鎖は、前記C2−6アルキレン中の他のいずれか利用可能な炭素原子と結合し、そして前記C2−6アルキレンにRが結合して、縮合又はスピロ縮合したC3−6シクロアルキル環を形成し;
及びAがそれぞれ、共有結合、又は、1又は複数の、その各々が同一であっても又は異なっていてもよいRで任意に置換されたC1−3アルキレンを表し;A又はAの少なくとも一つが、任意に置換されたC1−3アルキレンであり;
及びAはそれぞれ、共有結合、又は、1又は複数の、その各々が同一であっても又は異なっていてもよいRで任意に置換されたC1−3アルキレンを表し;
が、共有結合、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC1−2アルキレンを表し;Aは、共有結合、又は、その各々が同一であっても若しくは異なっていてもよい1又は複数のRで任意に置換されたC1−3アルキレンを表し;A又はAの少なくとも一つは、任意に置換されたアルキレンであり;
がC1−6アルキルを表し;
Zが、アリール、ヘテロアリール、C3−8シクロアルキル、又はヘテロシクリルを表し;その各々が、1又は複数のR10で任意に置換されていてもよく;各R10は、同一であっても又は異なっていてもよく;
10が、−ハロゲン、−C1−6アルキル、−ハロC1−6アルキル、−C0−6アルキルCN、−NO、−C0−6アルキル−CO11、−C0−6アルキル−COR11、−C0−6アルキル−NR1114、−C0−6アルキル−CONR1112、−C0−6アルキル−NR11COR12、−C0−6アルキル−NR11SO12、−C0−6アルキル−SONR1112、−C0−6アルキル−OCONR1112、−C0−6アルキル−NR11CO12、−C0−6アルキル−NR11CONR1112、−C0−6アルキル−OR13、−C0−6アルキル−SR14、−C0−6アルキル−SOR14、−C0−6アルキル−SO14、−C0−6アルキル−OSO14、−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、−C0−6アルキル−アリール、−C0−6アルキル−ヘテロアリール、−C0−6アルキル−ヘテロシクリル、を表し、前述の、C1−6アルキル、−C0−6アルキル−C3−6シクロアルキル、−C0−6アルキル−アリール、−C0−6アルキル−ヘテロアリール、−C0−6アルキル−ヘテロシクリルは、1又は複数のR15で任意に置換され、各R15は、同一であっても又は異なっていてもよく;
11及びR12が、独立してH又はC1−6アルキルを表し;
13が、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、−C1−6アルキル−OR18、又はハロC1−6アルキルを表し;
14が、C1−6アルキルを表し;
15が、ハロゲン、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−C0−6アルキルCN、−NO、=O、−C0−6アルキル−CO16、−C0−6アルキル−COR16、−C0−6アルキル−NR1617、−C0−6アルキル−CONR1617、−C0−6アルキル−NR16COR17、−C0−6アルキル−NR16SO17、−C0−6アルキル−SONR1617、−C0−6アルキル−OCONR1617、−C0−6アルキル−NR16CO17、−C0−6アルキル−NR16CONR1617、−C0−6アルキル−OR18、−C0−6アルキル−SR19、−C0−6アルキル−SOR19、−C0−6アルキル−SO19、又は−C0−6アルキル−OSO19を表し;
16及びR17が、独立してH又はC1−6アルキルを表し;
18が、H、C1−6アルキル、又は−ハロC1−6アルキルを表し;
19が、C1−6アルキルを表す;
の化合物、又は医薬上許容されるその塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上の式(1)の化合物におけるいずれかの基が、任意に置換されていると称される場合には、この基は、1又は複数の置換基で置換されていない、又は置換されているいずれかであってよい。典型的には、そうした基のいずれかは、置換されていない、又は一、二、又は三つの置換基で置換されているであろう。
【0010】
式(1)で表される、本発明の化合物、及び本明細書の以下の詳細な記載においては、置換基に関連して使用されている一般的な用語のある種のものは、他に明記されていない限り、以下の原子又は基を含むと理解されるものとする。
【0011】
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語は、他に明記されていない限り、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子、典型的には、フッ素又は塩素を指す。
【0012】
本明細書で使用される「ヒドロキシル」という用語は、−OHを指す。
【0013】
本明細書で使用される「Cx−yアルキル」という用語は、x〜y個の炭素原子を含む、直鎖の又は分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。例えば、C1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を含む、直鎖の又は分岐鎖の飽和炭化水素基を指す。C1−6アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tertブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、及びへキシルが挙げられる。Cアルキルは、基が存在しない、すなわち、基どうしの間に直接的な結合が存在することを示している。
【0014】
疑念を避けるため、AからAのいずれか一つが、アルキル置換基Rで置換されたアルキレン鎖を表す場合には、アルキル置換基Rは、アルキレン鎖から分かれて結合しておりアルキレン鎖が延長されるようには結合しない。例えば、もしAが、メチルで置換されたCアルキレンを表すなら、Aは、以下の構造:
【0015】
【化2】
【0016】
のうちの一つを有するであろう。
【0017】
本明細書で使用される「Cx−yアルコキシ」という用語は、−O−Cx−yアルキル基であってCx−yアルキルが本明細書で定義されるものを指す。C1−6アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、及びへキソキシが挙げられる。
【0018】
本明細書で使用される「ハロCx−yアルキル」という用語は、本明細書で定義されるCx−yアルキル基であって少なくとも一つの水素原子がハロゲンで置き換えられているものを指す。そのような基の例には、フルオロエチル、トリフルオロメチル、及びトリフルオロエチルが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用される「C1−3ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で定義されるC1−3アルキル基であって少なくとも一つの水素原子がヒドロキシルで置き換えられているものを指す。C1−3ヒドロキシアルキル基の例には、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される「C1−6アルキレン」という用語は、一つの水素原子を上の「C1−6アルキル」から除去して得られる、二価の炭化水素基を指す。C1−3アルキレン基の例には、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、エチレン、及びプロピレンが挙げられる。
【0021】
本明細書で使用される「Cx−yアルケニレン」という用語は、一つの水素原子を「Cx−yアルケニル」から除去して得られる、二価の炭化水素基を指し、その場合に、「Cx−yアルケニル」は、1又は複数の炭素−炭素二重結合を含みx〜y個の炭素原子を有する、直鎖の又は分岐鎖の炭化水素基を指す。C2−6アルケニレン基の例には、ビニレン、及びプロぺニレンが挙げられる。
【0022】
本明細書で使用される「Cx−yシクロアルキル」という用語は、x〜y個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を指す。例えば、C3−8シクロアルキルは、3〜8個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を指す。C3−8シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、及びシクロへプチルが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、C6−12単環式又はニ環式炭化水素環であって少なくとも一つの環が芳香族であるものを指す。単環式環系の例には、フェニルが挙げられる。両方の環が芳香族である二環式環系の例には、ナフタレニルが挙げられる。本明細書で使用される「アリール」という用語はまた、二環式環系であって、単環式芳香族環系、例えばフェニルが縮合して本明細書に定義される非芳香族環系、例えばC3−8シクロアルキル、又は4〜7員の単環式ヘテロシクリル環になるものを指すことが意図されている。そのような基の例には、テトラヒドロナフタレニル、2,3−ジヒドロ−1,4,−ベンゾジオキシン−5−イル、及び2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イルが挙げられる。
【0024】
アリール基は、あらゆる可能な原子を介して、分子の残りの部分と結合してもよいことは認識されるであろう。
【0025】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、5〜6員の単環式芳香族環、又は縮合した8〜10員のニ環式芳香族環であって、この単環又は二環が、酸素、窒素、及び硫黄から選択される、1〜4個のヘテロ原子を含むものを指す。そのような単環式芳香族環の例には、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジニル、トリアジニル、テトラジニル等が挙げられる。そのような二環式芳香族環の例には、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、プテリジニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、インドリル、イソインドリル、アザインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、ピロロピリジニル、フロピリジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、及びイミダゾピリジニルが挙げられる。
【0026】
あらゆるヘテロアリール環は、あらゆる可能なC又はN原子を介して、分子の残りの部分と結合してもよいことは認識されるであろう。任意の置換基は、あらゆる可能なC又はN原子上に存在してもよい。
【0027】
「ヘテロアリール」が、その環構成原子として窒素原子を含む場合には、窒素原子は酸化されてもよい。例えば、「ヘテロアリール」としてのピリジニルは、そのN-オキシドであってもよい。
【0028】
「ヘテロシクリル」という用語は、4〜7員の単環式環、又は8〜12員の、二環式で、架橋した、又はスピロ縮合した環であり、これらのいずれもが、飽和、又は部分的に飽和しており、この単環又は二環は、酸素、窒素、ケイ素、又は硫黄から選択される、1〜4個のヘテロ原子を含む。
【0029】
そのような単環式基の例には、ピロリジニル、アゼチジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、ピぺリジニル、ピぺラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、ヒダントイニル、バレロールアクタミル、オキシラニル、オキセタニル、ジオキソラニル、ジオキサニル、オキサチオラニル、オキサチアニル、ジチアニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダジニル、ジヒドロピリダジニル、テトラヒドロピラジニル、ジヒドロピラジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、ジアゼパニル、アゼパニル、及びオキサゼパニルが挙げられる。そのような7〜12員の、ニ環式、架橋した、又はスピロ縮合した環の例には、インドリニル、イソインドリニル、ベンゾピラニル、キヌクリジニル、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−3−ベンザゼピン、及びテトラヒドロイソキノリニルが挙げられる。
【0030】
本発明の式(1)の化合物の「医薬上許容される塩」には、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、及び、塩基性または酸性のアミノ酸との塩が挙げられる。酸との塩は、特にいくつかの例で使用されることもある。特に本発明の式(1)の化合物の「医薬上許容される塩」には、酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(べシレート)、サッカリン、(例えば、モノサッカリン)、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、吉草酸塩、プロパン酸、ブタン酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、1−ヒドロキシ−2−ナフトエート(キシナホ酸塩)、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩、及びアミノ酸の塩(グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、システイン、メチオニン、プロリン等)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらなる医薬上許容される塩には、式(1)の化合物の四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0031】
式(1)の化合物及びそれらの塩は、溶媒和物の形態であってもよく、この溶媒和物は、本発明の範囲に含まれる。そのような溶媒和物は、一般の有機溶媒を用いて形成されてもよく、その溶媒には、アルコール溶媒、例えばメタノール、エタノール、又はイソプロパノールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
本発明の式(1)の化合物は、含水物または無水物の形態であってもよい。
【0033】
本発明の化合物が、異なるエナンチオマー及び/又はジアステレオマーの形態(二重結合まわりの幾何異性を含む)で存在する場合には、これらの化合物を、異性体混合物すなわちラセミ体として調製してもよいが、本発明は、そうしたすべてのエナンチオマーまたはアイソマーのすべてに、光学的に純粋な形態で存在していても、または他のアイソマーとの混合物として存在していても、関連がある。個々のエナンチオマーまたはアイソマーは、生成物又は中間体の光学分割(例えば、キラルクロマトグラフィー分離(例えばキラルHPLC)、又はエナンチオマー合成手法等の、当技術分野で既知の方法により得てもよい。同様に、本発明の化合物が、代りの互変異性体の形態(例えば、ケト/エノール、アミド/イミド酸)として存在する可能性のある場合には、本発明は、単独での個々の互変異性体、及びあらゆる比率での互変異性体の混合物に関わる。例えば、RがHを表す式(1)の化合物は:
【0034】
【化3】
【0035】
として存在してもよい。
【0036】
本発明の一態様では、式(1)の化合物は、1又は複数の放射性標識を持っていてもよい。そのような放射標識は、式(1)の化合物の合成において、放射標識含有試薬を用いて導入してもよく、又は式(1)の化合物を、放射性金属原子に結合可能なキレート部分に結合させることにより導入してもよい。そのような化学標識された化合物を、例えば画像診断において使用してもよい。
【0037】
一実施形態では、Rは、H又はハロC1−6アルキルを表す。Rは、典型的にはH又はトリフルオロメチルを表す。
【0038】
ある特定の実施形態では、Rは、水素原子を表す。
【0039】
一実施形態では、Rは、H又はC1−3アルキル、典型的にはメチルを表す。ある特定の実施形態では、Rは、水素原子を表す。
【0040】
、A、A、A、A、及びAは、典型的には共有結合、又は1又は複数のRで任意に置換されたメチレン、若しくはエチレンを表す。Rは典型的には、メチルを表す。
【0041】
、A、A、A、A、及びAの具体例には、共有結合、−CH−、−CHCH−、−CH(CH)−、又は−C(CH−が挙げられる。典型的には、A、A、A、A、A、及びAは、共有結合、又は−CH−を表す。
【0042】
Yが、C1−6アルキレン鎖で置換されたC2−6アルキレンを表し、C1−6アルキレン鎖が、結合するC2−6アルキレン中の他のあらゆる可能な炭素原子に結合する場合に形成される、スピロ縮合した又は縮合したC3−6シクロアルキル環の適切な例には:
【0043】
【化4】
【0044】
が挙げられる。
【0045】
Yの具体例には、−CH−S−、−CH−S(O)−、−CH(CH)−S−、−CH(CH)−S(O)−、−S−CH−、−S(O)−CH、−S(O)−CH(CH)−、−CH−C(O)−、−CH(CH)−C(O)−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH(CH)−、−C(O)NR−、−CH−C(O)NR−、−CH(CH)−C(O)NR−、−C(O)NR−CH−、−C(O)NR−CH(CH)−、−NRC(O)−、−CH−NRC(O)−、−CH(CH)−NRC(O)−、−NRC(O)−CH−、−NRC(O)−CH(CH)−、−S(O)NR−、−CH−S(O)NR−、−CH(CH)−S(O)NR−、−S(O)NR−CH−、−S(O)NR−CH(CH)−、−NRS(O)−、−CH−NRS(O)−、−CH(CH)−NRS(O)−、−NRS(O)−CH−、−NRS(O)−CH(CH)−、−CH−O−、−CH(CH)−O−、−O−CH−、−O−CH(CH)−、−CH−CH−、−CH−CH(CH)−、−CH−C(CH−、−C(CH−CH−、
【0046】
【化5】
【0047】
が挙げられる。
【0048】
一実施形態では、Yは、−A−S(O)−A−、−A−O−A−、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表す。典型的には、pは0を表す。
【0049】
さらなる実施形態では、Yは、C1−3アルキレンが、本明細書で定義されるように任意に置換された、−C1−3アルキレン−O−、−C1−3アルキレン−S−、−S−C1−3アルキレン−、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表す。Rは典型的には、C1−6アルキルを表す。
【0050】
Yの代表例には、−CH−O−、−CH−S−、−S−CH−、−S−CH(CH)−、及び−CHCH−が挙げられる。
【0051】
特定の一実施形態では、Yは、−S−C1−3アルキレン−を表す。さらなる実施形態では、Yは、−S−CH−、又は−S−CH(CH)−を表す。さらなる実施形態では、Yは、−S−CH−を表す。
【0052】
本発明の一態様では、Yは、−A−S(O)−A−、−A−C(O)−A−、−C(O)NR−A−NRC(O)−A−、−S(O)NR−A−NRS(O)−A−A−O−A−、又はC2−6アルケニレンを表してもよい。
【0053】
他の態様では、Yは、−S−A−、−A−S(O)−A−、−A−S(O)−A−、−A−C(O)−A−、−C(O)NR−A−NRC(O)−A−、−S(O)NR−A−NRS(O)−A−O−A−、又はC2-6−アルケニレンを表してもよい。
【0054】
一実施形態では、Zは、アリール、ヘテロアリール、又はC3−8シクロアルキルを表し、それぞれ、1又は複数のR10で任意に置換されてもよい。
【0055】
Zで表される、アリール、ヘテロアリール、又はC3−8シクロアルキル環の典型例には、フェニル、ナフタレニル、2,3−ジヒドロ−1,4,−ベンゾジオキシン−5−イル、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、ピラゾリル、ピリジニル、イソキノリニル、イミダゾピリジニル、及びシクロプロピルが挙げられ、それぞれ、1又は複数のR10で任意に置換されてもよい。
【0056】
さらなる実施形態では、Zは、アリール又はヘテロアリールを表し、それぞれ、1又は複数のR10で任意に置換されてもよい。一実施形態では、Zは、フェニル又はピリジニルを表し、それぞれ、1又は複数のR10で任意に置換されてもよい。
【0057】
さらなる実施形態では、Zは、任意に置換されたアリール、典型的には、任意に置換された、フェニル又はナフタレニルを表す。
【0058】
Zは典型的には、置換されていない、又は一置換若しくはニ置換されている。一実施形態では、Zは置換されていない。別の実施形態では、Zは一置換されている。別の実施形態では、Zは二置換されている。
【0059】
一実施形態では、R10は、−ハロゲン、−C1−6アルキル、−ハロC1−6アルキル、−C0−6アルキル−OR13、又は−C0−6アルキル−ヘテロアリールを表しており、前述のC1−6アルキル又は−C0−6アルキル−ヘテロアリールは、1又は複数のR15で任意に置換されており、各R15は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0060】
10が−C0−6アルキル−ヘテロアリールを表す場合に存在する適切なヘテロアリール基には、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピラゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリジニル、トリアジニル、及びテトラジニルを含む、単環式ヘテロアリール基が挙げられる。R10−C0−6アルキル−ヘテロアリールの具体例には、5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルが挙げられる。
【0061】
さらなる実施形態においては、R10は、−ハロゲン、−C1−6アルキル、−ハロC1−6アルキル、又は−OR13を表しており、前述のC1−6アルキルは、1又は複数のR15で任意に置換されており、各R15は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0062】
一実施形態では、R13は、C1−6アルキル又は−ハロC1−6アルキルを表す。
【0063】
適切なR13は、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、又は2,2,2−トリフルオロエチルを表す。
【0064】
一実施形態では、R15は、−C1−6アルキルを表す。典型的には、R15は、メチルを表す。
【0065】
10の代表例には、フッ素、塩素、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、及び5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イルが挙げられる。
【0066】
Zの具体例には、フェニル、3−メチルフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、3−トリフルオロメチルフェニル、3−クロロ−5−フルオロフェニル、3−ジフルオロメトキシフェニル、2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェニル、4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル、3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)フェニル、ナフタレン−1−イル、ナフタレン−2−イル、2,3−ジヒドロ−1,4,−ベンゾジオキシン−5−イル、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリジン−4−イル、4−メチル−ピリジン−2−イル、1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル、イソキノリン−1−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イル、イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イル、及びシクロプロピルが挙げられる。
【0067】
本発明による化合物の下位分類の一つは、式(1A)
【0068】
【化6】
【0069】
の化合物であって、
式中、R及びRは、本明細書で定義され;qは、0、1、又は2を表し、R10aは、R10に関して定義されているとおり;
である化合物又は医薬上許容されるその塩で表される。
【0070】
一実施形態では、R10aは、−ハロゲン、−C1−6アルキル、−ハロC1−6アルキル、−C0−6アルキル−OR13、又は−C0−6アルキル−ヘテロアリールで表されており、前述のC1−6アルキル又は−C0−6アルキル−ヘテロアリールは、1又は複数のR15で任意に置換されており、各R15は、同一であっても又は異なっていてもよく、R13及びR15は本明細書に定義されている。
【0071】
さらなる実施形態では、R10aは、−ハロゲン、−C1−6アルキル、−ハロC1−6アルキル又は−OR13を表しており、前述のC1−6アルキルは、1又は複数のR15で任意に置換されており、各R15は、同一であっても又は異なっていてもよい。
【0072】
さらなる実施形態では、R10aは、フルオロ、クロロ、メチル、トリフルオロメチル、メトキシ、ジフルオロメトキシ、又はトリフルオロメトキシを表す。
【0073】
qが2を表す場合には、各R10aは、同一であっても又は異なっていてもよいことは認識されるであろう。
【0074】
一実施形態では、R10aは、存在する場合には、フェニル環に、3、4、又は5位で結合する。
【0075】
本発明のさらなる態様では、具体的な新規化合物には、調製が付随の実施例に記載されている各新規化合物、および医薬上許容されるその塩が挙げられる。
【0076】
特定の実施形態において、式(1)の化合物は:
2−(3−クロロベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(3−メチルベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(4−クロロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(ナフタレン−2−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(3−フルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(4−メトキシベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(3,4−ジフルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(3−メトキシベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−{[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]スルファニル}ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(3−クロロ−5−フルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−{[3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ベンジル]−スルファニル}−ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(2−クロロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(1−フェニルエチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(シクロプロピルメチルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(2,3−ジヒドロ−1,4,−ベンゾジオキシン−5−イルメチル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−2−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(3−(ジフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−((4−メチルピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−3−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−((1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−4−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(イソキノリン−1−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−{[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンジル]スルファニル}−ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチル)スルファニル]−ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イルメチル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(ナフタレン−1−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルメチル)スルファニル]−ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−[(フェニルスルファニル)メチル]ピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(フェノキシメチル)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン;
5−ヒドロキシ−2−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン;
2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン;
5−メトキシ−2−(4−メトキシベンジルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン;
及び医薬上許容されるその塩からなる群から選択される。
【0077】
本発明の特に有用な化合物には、付随の実施例に記載される各化合物、及び医薬上許容されるその塩が挙げられる。
【0078】
式(1)の化合物及びそれらの医薬上許容される塩は、薬剤として、特にD−アミノ酸オキシダーゼ酵素(DAAO)阻害剤としての活性を有しており、従って、統合失調症及び他の精神障害(例えば、精神障害、精神病)、認知症及び他の認知障害、不安障害(例えば、全般性不安障害)、気分障害(例えば、うつ病性障害、大うつ病性障害、双極性障害I及びIIを含む双極性障害、双極性躁病、双極性うつ病)、睡眠障害、通常幼児期、児童期、又は青年期に初めて診断される障害(例えば、注意欠陥障害及び破壊的行動障害)、疼痛(例えば、神経性疼痛)、及び神経変性障害(例えば、パーキンソン病又はアルツハイマー病)の治療に使用してもよい。
【0079】
このように、本発明は、治療に、特に、発症又は症状がDAAO酵素活性に結び付いた状態(condition)の治療に使用する、上に定義された式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩を提供する。
【0080】
本発明はまた、発症又は症状がDAAO酵素活性に結び付いた状態を治療する薬剤を調製するのに用いられる、上に定義された式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩の使用を提供する。
【0081】
本明細書の文脈においては、「治療(therapy)」という用語は、それと反対する具体的な指示がない限り、「予防(prophylaxis)」も含む。「治療の(therapeutic)」、又は「治療に(therapeutically)」という用語は、これに基づいて解釈されるものとする。
【0082】
予防は、問題となっている障害、若しくは状態をすでに発現している、又はそれ以外ではそのリスクの高い者の治療に、特に関連している。特定の障害、若しくは状態を発症するリスクのある者には、概して、その障害、若しくは状態の家族歴をもつ者、又は遺伝子検査、若しくはスクリーニングにより、その障害、若しくは状態をとりわけ発症しやすいと特定された、若しくは障害の前駆期にあると特定された者が挙げられる。
【0083】
特に、本発明の化合物(医薬上許容される塩を含む)は、統合失調症、統合失調症様障害、又は統合失調感情障害(例えば、音声、又は幻覚)、認知障害(例えば認知症、及び学習障害)、並びに疼痛(例えば神経性疼痛)の陽性症状の治療に使用してもよい。
【0084】
本発明はまた、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調感情障害及び他の精神障害(例えば、精神障害、精神病)、認知症及び認知障害、不安障害(例えば、全般性不安障害)、気分障害(例えば、うつ病性障害、大うつ病性障害、双極性障害I及びIIを含む双極性障害、双極性躁病、双極性うつ病)、睡眠障害、通常幼児期、児童期、又は青年期に初めて診断される障害(例えば、注意欠陥障害、自閉症スペクトラム、及び破壊的行動障害)、疼痛(例えば、神経性疼痛)、並びに神経変性障害(例えば、パーキンソン病又はアルツハイマー病に関連した、少なくとも一の症状又は状態を治療する方法であって、上に定義した式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩の治療有効量を、投与を必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。
【0085】
そのような症状及び状態には、不安、興奮、敵意、パニック、摂食障害、情動性症状、気分症状、精神病及び神経変性障害に一般に関連する、陽性及び陰性の精神症状が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0086】
上に述べた治療での使用に関しては、投与量は、もちろん、使用する化合物、投与様式、所望の治療、及び現れる障害によって、変わるであろう。例えば、本発明の化合物の一日投与量は、もし吸入される場合には、体重1キログラム当たり、0.05マイクログラム(μg/kg)から100マイクログラム(μg/kg)の範囲となる可能性がある。代わりに、化合物を経口投与する場合には、本発明の化合物の一日投与量は、体重1キログラム当たり、0.01マイクログラム(μg/kg)から100ミリグラム(mg/kg)の範囲となる可能性がある。
【0087】
式(1)の化合物及び医薬上許容されるその塩は、それ自体で使用してもよいが、式(1)の化合物/塩(活性成分)を、医薬上許容される助剤、希釈剤、又は担体と一緒にした医薬組成物の形態で、概して投与されるであろう。
【0088】
従って、本発明はさらに、本明細書にここまで定義した式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩を含む医薬組成物を、医薬上許容される助剤、希釈剤、又は担体とともに提供する。
【0089】
本発明はさらに、本明細書にこれまで定義した式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩と、医薬上許容される助剤、希釈剤、又は担体とを混合することを含む、本発明の医薬組成物を調製する工程を提供する。
【0090】
適切な医薬処方物の選択と調製の従来手順は、例えば、"Pharmaceutics - The Science of Dosage Form Design", M. E. Aulton, Churchill Livingstone, 1988に記載されている。
【0091】
本発明の医薬組成物において使用してもよい医薬上許容される、助剤、希釈剤、又は担体は、医薬組成物の分野で、従来使用されているものであり、それらには、砂糖、糖アルコール、デンプン、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリセリン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分混合グリセリド、水、硫酸プロタミンなどの、塩又は電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸塩、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
本発明の医薬組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、経直腸的に、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、又は埋め込み式リザーバーを介して投与してもよい。経口投与が好ましい。本発明の医薬組成物は、あらゆる従来の非毒性で医薬上許容される、助剤、希釈剤、又は担体を含んでいてもよい。本明細で使用される非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、腱滑液鞘内、胸骨内、髄こう内、病変内、及び頭蓋内への注射、又は注入技術を含む。
【0093】
医薬組成物は、殺菌した注射可能な調製物の形態であってもよく、例えば、殺菌した注射可能な水性又は油性の懸濁液としてでもよい。懸濁液は、当技術分野で知られた方法に従って、適切な分散剤、又は湿潤剤(例えばTween80といったもの)及び沈殿防止剤を用いて処方してもよい。殺菌した注射可能な調製物はまた、非毒性で非経口的に許容できる希釈剤又は溶媒中の、殺菌した注射可能な溶液又は懸濁液、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液であってもよい。使用してもよい許容できる希釈剤及び溶媒には、マンニトール、水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、殺菌した、不揮発性油は、従来、溶媒又は懸濁媒質として使用されている。この目的のために、あらゆる無刺激性の不揮発性油を使用してもよく、それらには、合成モノグリセリド又はジグリセリドなどが挙げられる。オレイン酸、及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸が、注射液の調製に有用であり、天然の医薬上許容される油も同様で、例えばオリーブ油又はヒマシ油などは、特にそれらのポリオキシエチル化型が有用である。これらの油溶液、又は懸濁液もまた、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、例えばPh. Helv.に記載されるアルコール、又は同様なアルコールを含んでいてもよい。
【0094】
本発明の医薬組成物は、あらゆる許容できる投与形態で経口投与してもよく、その形態には、カプセル、錠剤、粉末、顆粒、並びに水性の懸濁液及び溶液が挙げられるが、これらに制限されるものではない。これらの投与形態は、医薬組成物の当技術分野で周知の方法に従って調製される。経口使用の錠剤の場合には、一般に使用される担体には、ラクトース及びトウモロコシデンプンが挙げられる。例えばステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤も添加するのが典型的である。カプセル形態での経口投与については、有用な希釈剤には、ラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液を経口投与する場合には、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と組み合わせる。所望であれば、ある種の甘味料、及び/又は香料、及び/又は着色料を添加してもよい。
【0095】
本発明の医薬組成物はまた、直腸内投与の座薬の形態で投与してもよい。これらの組成物を、室温で固体であるが直腸温度で液体であり、したがって直腸内で溶解して活性成分を放出する適切な非刺激性賦形剤と、活性成分とを混合することによって、調製することができる。そのような物質には、ココアバター、密蝋、及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0096】
本発明の医薬組成物はまた、点鼻エアロゾル又は鼻吸入により投与してもよい。そのような組成物は、医薬組成物の当技術分野で周知の方法に従って調製し、ベンジルアルコール又は他の適切な防腐剤、生物学的利用能を促進する吸収促進剤、フッ化炭素、及び/又は当技術分野におけるその他の可溶化剤又は分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製してもよい。
【0097】
投与様式に応じて、医薬組成物は、好ましくは0.05から99%w(重量パーセント)、より好ましくは、0.05から80%w、さらに好ましくは、0.10から70%w、そしてさらに好ましくは、0.10から50%wの活性成分を、すべて、全組成にもとづく重量パーセントで、含むことになろう。
【0098】
本発明の化合物(すなわち、式(1)の化合物及び医薬上許容されるその塩)はまた、上の状態を治療するのに使用される他の化合物と併用して投与してもよい。
【0099】
従ってさらに、本発明は併用療法に関連しており、そこでは、本発明の化合物、又は本発明の化合物を含む医薬組成物若しくは処方物が、ここまでに示した1又は複数の状態を治療するため、他の治療剤(単数又は複数)とともに投与される。そのような治療剤は、以下から選択されてもよい:
(i)抗うつ薬、例えば、アミトリプチリン(amitriptyline)、アモキサピン(amoxapine)、ブプロピオン(bupropion)、シタロプラム(citalopram)、クロミプラミン(clomipramine)、デシプラミン(desipramine)、ドキセピン(doxepin) デュロキセチン(duloxetine)、エルザソナン(elzasonan)、エスシタロプラム(escitalopram)、フルボキサミン(fluvoxamine)、フルオキセチン(fluoxetine)、ジェピロン(gepirone)、イミプラミン(imipramine)、イプサピロン(ipsapirone)、マプロチリン(maprotiline)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、ネファゾドン(nefazodone)、パロキセチン(paroxetine)、フェネルジン(phenelzine)、プロトリプチリン(protriptyline)、レボキセチン(reboxetine)、ロバイゾタン(robaizotan)、セルトラリン(sertraline)、シブトラミン(sibutramine)、チオニソキセチン(thionisoxetine)、トラニルシプロミン(tranylcypromaine)、トラゾドン(trazodone)、トリミプラミン(trimipramine)、ベンラファキシン(venlafaxine)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)など;
(ii)非定型抗精神病薬、例えば、クエチアピン(quetiapine)、並びにその薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(iii)抗精神病薬、例えば、アミスルピリド(amisulpride)、アリピプラゾール(aripiprazole)、アセナピン(asenapine)、ベンジソキシジル(benzisoxidil)、ビフェプルノックス(bifeprunox)、カルバマゼピン(carbamazepine)、クロザピン(clozapine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、デベンザピン(debenzapine)、ジバルプロエクス(divalproex)、デュロキセチン(duloxetine)、エスゾピクロン(eszopiclone)、ハロペリドル(haloperidol)、イロペリドン(iloperidone)、ラモトリジン(lamotrigine)、ロキサピン(loxapine)、メソリダジン(mesoridazine)、オランザピン(olanzapine)、パリペリドン(paliperidone)、ペルラピン(perlapine)、ペルフェナジン(perphenazine)、フェノチアジン(phenothiazine)、フェニルブチルピぺリジン(phenylbutlypiperidine)、ピモジド(pimozide)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、リスぺリドン(risperidone)、セルチンドール(sertindole)、スルピリド(sulpiride)、スプロクロン(suproclone)、スリクロン(suriclone)、チオリダジン(thioridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、トリメトジン(trimetozine)、バルプロ酸塩、バルプロ酸、ゾピクロン(zopiclone)、ゾテピン(zotepine)、ジプラシドン(ziprasidone)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(iv)抗不安薬、例えば、アルネスピロン(alnespirone)、アザピロン(azapirones)、ベンゾジアゼピン(benzodiazepines)、バルビツール酸塩、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等。抗不安薬の例には、アジナゾラム(adinazolam)、アルプラゾラム(alprazolam)、バレゼパム(balezepam)、ベンタゼパム(bentazepam)、ブロマゼパム(bromazepam)、ブロチゾラム(brotizolam)、ブスピロン(buspirone)、クロナゼパム(clonazepam)、クロラゼプ酸塩、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、シプラゼパム(cyprazepam)、ジアゼパム(diazepam)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、エスタゾラム(estazolam)、フェノバム(fenobam)、フルニトラゼパム(flunitrazepam)、フルラゼパム(flurazepam)、フォサゼパム(fosazepam)、ロラゼパム(lorazepam)、ロルメタゼパム(lormetazepam)、メプロバメート(meprobamate)、ミダゾラム(midazolam)、ニトラゼパム(nitrazepam)、オキサゼパム(oxazepam)、プラゼパム(prazepam)、クアゼパム(quazepam)、レクラゼパム(reclazepam)、トラカゾレート(tracazolate)、トレピパム(trepipam)、テマゼパム(temazepam)、トリアゾパム(triazolam)、ウルダゼパム(uldazepam)、及びゾラゼパム(zolazepam)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)が挙げられる;
(v)抗痙攣薬、例えば、カルバマゼピン、バルプロ酸塩、ラモトリジン、及びガバペンチン、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(vi)アルツハイマー治療薬、例えば、ドネペジル(donepezil)、メマンチン(memantine)、タクリン(tacrine)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(vii)パーキンソン治療薬、例えば、デプレニル(deprenyl)、Lドーパ、レキップ(Requip)、ミラペックス(Mirapex)、MAOB阻害剤、例えば、セレギン(selegine)、及びラサギリン(rasagiline)等、comP阻害剤、例えば、タスマール(Tasmar)等、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害薬、NMDA拮抗薬、ニコチン作動薬、及びドーパミン作動薬並びに神経型一酸化窒素合成酵素の阻害剤、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(viii)偏頭痛治療薬、例えば、アルモトリプタン(almotriptan)、アマンタジン(amantadine)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ブタルビタール(butalbital)、カベルゴリン(cabergoline)、ジクロラルフェナゾン(dichloralphenazone)、エレトリプタン(eletriptan)、フロバトリプタン(frovatriptan)、リスリド(lisuride)、ナラトリプタン(naratriptan)、ペルゴリド(pergolide)、プラミペキソール(pramipexole)、リザトリプタン(rizatriptan)、ロピニロール(ropinirole)、スマトリプタン(sumatriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、及びゾミトリプタン(zomitriptan)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(ix)脳梗塞治療薬、例えば、アブシキシマブ、アクティバーゼ、NXY−059、シチコリン、クロベネチン、デスモテプラーゼ、レピノタン、トラキソプロジル、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(x)尿失禁治療薬、例えば、ダラフェナシン(darafenacin)、フラボキサート(falvoxate)、オキシブチニン(oxybutynin)、プロピベリン(propiverine)、ロバルゾタン(robalzotan)、ソリフェナシン(solifenacin)、及びトルテロジン(tolterodine)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(xi)神経障害性疼痛治療薬、例えばガバペンチン(gabapentin)、リドダーム(lidoderm)、及びプレガバリン(pregablin)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(xii)侵害受容性疼痛治療薬、例えば、セレコキシブ(celecoxib)、エトリコキシブ(etoricoxib)、ルミラコキシブ(lumiracoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、ジクロフェナク(diclofenac)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、ナプロキセン(naproxen)、及びパラセタモール(paracetamol)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(xiii)不眠症治療薬、例えば、アロバルビタール(allobarbital)、アロニミド(alonimid)、アモバルビタール(amobarbital)、ベンゾクタミン(benzoctamine)、ブタバルビタール(butabarbital)、カプリド(capuride)、クロラール(chloral)、クロぺリドン(cloperidone)、クロレテート(clorethate)、デクスクラモール(dexclamol)、エトクロルビノール(ethchlorvynol)、エトミダート(etomidate)、グルテチミド(glutethimide)、ハラゼパム(halazepam)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)、メクロカロン(mecloqualone)、メラトニン(melatonin)、メフォバルビタール(mephobarbital)、メタカロン(methaqualone)、ミダフルール(midaflur)、ニソバメート(nisobamate)、ペントバルビタール(pentobarbital)、フェノバルビタール(phenobarbital)、プロポフォール(propofol)、ロレタミド(roletamide)、トリクロホス(triclofos)、セコバルビタール(secobarbital)、ザレプロン(zaleplon)、及びゾルピデム(Zolpidem)、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物質(単数又は複数)等;
(xiv)気分安定薬、例えば、カルバマゼピン(carbamazepine)、ジバプロエクス(divalproex)、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン(lamotrigine)、リチウム、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、バルプロ酸塩、バルプロ酸、及びべラパミル、並びにそれらの等価物及び薬剤的に活性な異性体(単数又は複数)及び/又は代謝物(単数又は複数)等;
(xv)5HT1Bリガンド、例えば、国際公開第99/05134号、及び同第02/08212号に開示されている化合物等;
(xvi)mGluR2作動薬;
(xvii)アルファ7ニコチン作動薬、例えば、国際公開第96/006098号、同第97/030998号、同第99/003859号、同第00/042044号、同第01/029034号、同第01/60821号、同第01/36417号、同第02/096912号、同第03/087102号、同第03/087103号、同第03/087104号、同第2004/016617号、同第2004/016616号、及び同第2004/019947号に開示されている化合物等;
(xviii)ケモカイン受容体CCRl阻害剤;並びに
(xix)デルタオピオイド作動薬、例えば、国際公開第97/23466号、及び同第02/094794号に開示されている化合物等。
【0100】
そのような併用製品は、本発明の化合物を、本明細書記載の用量範囲内で、並びに他の薬剤的に活性な薬剤を、承認された用量範囲及び/又は参照文献に記載の用量で使用する。
【0101】
さらなる態様では、本発明は、上に定義された式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩と、カルバマゼピン(carbamazepine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、べラパミル(verapamil)、ラモトリジン(lamotrigine)、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、リスぺリドン(risperidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ジプラシドン(ziprasidone)、及びリチウムから選択される1又は複数の薬剤との(例えば、統合失調症、認知障害又は疼痛の治療用の)組み合わせ物(combination)を提供する。
【0102】
本発明はまた、上に定義された式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩である第1の活性成分の調製物と、カルバマゼピン(carbamazepine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、べラパミル(verapamil)、ラモトリジン(lamotrigine)、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、リスぺリドン(risperidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ジプラシドン(ziprasidone)、又はリチウムである第2の活性成分の調製物とを、同時使用、順次使用、単独使用を目的として、組み合わせて、含む薬剤生成物を提供する。
【0103】
他の態様では、本発明は、上に定義された式(1)の化合物又は医薬上許容されるその塩である第1の活性成分の調製物と、カルバマゼピン(carbamazepine)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、べラパミル(verapamil)、ラモトリジン(lamotrigine)、オクスカルバゼピン(oxcarbazepine)、リスぺリドン(risperidone)、アリピプラゾール(aripiprazole)、ジプラシドン(ziprasidone)、又はリチウムである第2の活性成分の調製物と、投与を必要とする患者に同時投与、順次投与、又は単独投与するための説明書とを含むキットを提供する。
【0104】
以下の工程記載においては、記号R、R、R、R、R、R、R、R、Y、Z、A、A、A、A、A及びAは、示された式中で使用される場合には、他に表示されていない限り、式(1)に関連して上に記載されたそれらの基を表すと理解されるものとする。いかなる合成順序の間においても、関連するあらゆる分子上の敏感なすなわち反応性の高い基を保護することが必要、及び/又は望ましいこともある。そうした保護基の付加及び脱離の方法は、特定の分子タイプ又は保護される基に関連して、これまで使用されている可能性のあるものであり、例えば、Kocienski (2004) Protecting Groups. 4th Edn. Georg Thieme Verlag等の、合成方法における標準的な参考書に記載されている方法である。以下の工程は、中間体とともに、本発明のさらなる態様として提供される。
【0105】
このように、本発明の別の態様において、Yが、−A−S−A−、−A−O−A−、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンを表し、R及びRがHを表す、式(1)の化合物は、Yが、−A−S−A−、−A−O−A−、又は、1又は複数のRで任意に置換されたC2−6アルキレンであって、A、A、A、A、R、及びZが本明細書中で定義されている式(I)の化合物
【0106】
【化7】
【0107】
を、式(II)の化合物:
【0108】
【化8】
【0109】
と反応させることを含む工程により調製してもよい。
【0110】
反応は、式(II)の化合物を、エーテル等の適切な溶媒、例えばジエチルエーテル中、ギ酸エチル等のギ酸アルキルの存在中で、水素化ナトリウム等の適切な塩基と反応させた後、アルコール等の適切な溶媒、例えばエタノール中で、式(I)の化合物を加え、引き続いて、高温に加熱、例えば還流させることにより都合よく実現される。ナトリウムエトキシド等の有機塩もまた、反応に用いてもよい。
【0111】
また反応を、エチル−2,2,2,−トリフルオロアセテートの存在中、実行して、Rがトリフルオロメチルを表す化合物を得てもよい。
【0112】
式(I)の中間体は、市販されていない場合、当技術分野で既知の方法を用いて調製してもよい。例えば、式(I)の中間体であって、Yが−S−C1−3アルキレン−、又は−O−C1−3アルキレン−である中間体は、チオ尿素−NHC(S)NH−、又は尿素−NHC(O)NH−を、Zが本明細書中に定義され、Lがハライド等の適切な脱離基、例えばブロモである、式(IV)の中間体L−C1−3アルキレン−Zと反応させることにより調製してもよい。反応は、高温で、アルコール等の適切な溶媒、例えばエタノール中で実現してもよい。
【0113】
代りに、Yが、−C1−3アルキレン−O−、−C1−3アルキレン−S−、又は、任意に置換されたC2−6アルキレンを表す、式(I)の中間体は、Y’が、−C1−3アルキレン−O−、−C1−3アルキレン−S−、又は、任意に置換されたC2−6アルキレンを表す、式Z−Y’−CNのアセトニトリルを変換して調製してもよい。変換は、高温で、適切な溶媒、例えば、トルエン等の炭化水素中、塩化アンモニウム及びトリメチルアルミニウムの存在中で都合よく達成され得る。
【0114】
本発明の別の態様では、Yが−S−C1−3アルキレン−を表し、R及びRがHを表す式(1)の化合物は、式(III)の化合物
【0115】
【化9】
【0116】
を、式(IV)の化合物:
【0117】
【化10】
【0118】
と反応させることを含む工程により調製してもよく、
式中、Qは、−SH又は−S’Wを表し、Wが適切なカチオンであり、Lは適切な脱離基であり、Zは本明細書中に定義されている。Wは典型的には、Naを表す。Lは典型的にはクロロ又はブロモ等のハロゲン化物である。
【0119】
Qが−SHを表す場合には、反応は、適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中、典型的には塩基性条件下、例えばトリエチルアミン等の有機塩基の存在中で攪拌することにより都合よく実現される。
【0120】
Qが−S、例えば−SNaを表す場合には、反応は、環状エーテル等の適切な溶媒、例えばジオキサン、及び水中で攪拌することにより達成してもよい。
【0121】
本発明の別の態様では、Yが−S(O)NR−Aを表し、R及びAが本明細書中に定義されており、R及びRがHを表す、式(1)の化合物は、上に定義された式(III)の化合物を、無機酸、例えばHClの存在中、次亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤と反応させて、Lが適切な脱離基である、式(V):
【0122】
【化11】
【0123】
の、対応するハロゲン化スルホニル誘導体を得ることを含む工程により調製してもよい。Lは、典型的にはクロロ又はブロモ等のハロゲン化物である。
【0124】
式(V)の化合物を、塩基性条件、例えばNaH下での処理等の、当業者に周知の標準的なアミドカップリング方法を用い、適切な有機溶媒中、式HN(R)−A−Z(VI)のアミンと反応させて、式(1)のスルホンアミド誘導体を得てもよい。
【0125】
本発明の他の態様では、Yが、
【0126】
【化12】
【0127】
又はC2−6アルケニレンを表し、R及びRがHを表す、式(1)の化合物は、(III)の化合物から調製してもよい。例えば、Qを、本明細書に記載されている方法を用いて、−SCHに変換してもよく、これを引き続き、塩基性条件、例えば水酸化ナトリウムの存在中で処理し、−OH誘導体を得てもよい。−OH誘導体を、その後、例えばトリフルオロメタンスルホン酸無水物で処理して適切な脱離基に変換し、その後、Pd等の適切な触媒の存在中、
【0128】
【化13】
【0129】
と置換して、Zが本明細書中に定義されている、式(VII):
【0130】
【化14】
【0131】
のアルキン誘導体を得てもよい。
【0132】
式(VII)の化合物を、例えばリンドラー(Lindlar)触媒を用いて部分的還元し、式(1)のアルケニレン誘導体を得てもよい。式(1)のアルケニレン誘導体を、例えば、亜鉛と銅の存在中、ヨウ化メチレンで処理することによりシクロプロパン化して、Yが、
【0133】
【化15】
【0134】
を表す、式(1)のさらなる化合物を得てもよい。
【0135】
本発明の別の態様では、Yが−A−C(O)−A−、又は−A−C(O)NR−Aを表す、式(1)の化合物は、Rが本明細書中に定義されており、RがHを表す、式(VIII):
【0136】
【化16】
【0137】
の中間体から調製してもよい。
【0138】
このように、Yが−C(O)NR−Aを表す、式(1)の化合物を、当業者に周知の標準的なアミドカップリング方法を用い、適切な有機溶媒中、式(VIII)の化合物を、式HN(R)−A−Zの化合物と反応させることを含む工程により調製してもよい。当技術分野で既知のアミドカップリング試薬の例には、ジシクロへキシルカルボジイミド(DCC)又は1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)等のカルボジイミドが挙げられる。
【0139】
Yが−A−C(O)−Aを表す、式(1)による化合物は、標準的なアミドカップリング法を用いて、式(VIII)の化合物を、対応するワインレブアミド(−C(O)−N(CH)−O(CH))へ初期変換した後、適切な有機溶媒、例えばジエチルエーテル中で、グリニャール(Grignard)試薬、例えばBrMg−A−Zと反応させることを含む工程により調製してもよい。そのような方法は、当業者には周知である。
【0140】
本発明の別の態様では、Yが−NRC(O)−A−、又は−NRS(O)−Aを表す、式(1)の化合物は、Rが本明細書に定義されており、RがHを表し、RがR又はRを表す、式(IX):
【0141】
【化17】
【0142】
の中間体から調製してもよい。
【0143】
このように、Yが−NRC(O)−A−、又は−NRS(O)−Aを表す、式(1)の化合物は、式(IX)の化合物を、式L−C(O)−A−Z、又はL−S(O)−A−Zの化合物それぞれと反応させることを含む工程により調製してもよく、ここで、Lは、適切な有機溶媒、例えばジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素中、有機アミン、例えばトリエチルアミンの存在中での、ハロゲン化物等の適切な脱離基、例えばブロモ又はクロロを表す。
【0144】
式(VIII)及び(IX)の中間体は、市販の物質から、2−アミノ−4−クロロ−5−メトキシピリミジンからの段階的変換等の、当技術分野で既知の方法を用いて調製してもよい。例えば、2−アミノ−4−クロロ−5−メトキシピリミジンを、適切な溶媒、例えばメタノール中、ナトリウムメトキシドで処理し、2−アミノ−4,5−ジメトキシピリミジン、すなわち式(IX)の保護誘導体を得てもよい。2−アミノ−4,5−ジメトキシピリミジンを、HClの存在中、亜硝酸ナトリウムで処理して、対応する2−クロロ−4,5−ジメトキシピリミジンを得てもよく、これを、その後、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の適切な触媒の存在中、シアン化剤、例えばシアン化カリウムで処理して、2−シアノ−4,5−ジメトキシピリミジンを得てもよく、これを、メタノール等の適切な溶媒中、酸性条件、例えばHCl下での処理等の標準条件を用いて酸化し、その後、THF/水中、塩基、例えばLiOHで処理して、2−カルボキシ−4,5−ジメトキシピリミジン、すなわち式(VIII)の保護誘導体を得てもよい。代りに、2−シアノ−4,5−ジメトキシピリミジンを、例えば、パラジウム炭素等の適切な触媒の存在下、水素で処理して水素化し、2−アミノメチル−4,5−ジメトキシピリミジン、すなわち式(IX)のさらなる保護誘導体を得てもよい。
【0145】
さらなる例により、2−クロロ−4,5−ジメトキシピリミジンを、適切な塩基、例えば水素化ナトリウムの存在下で、ジメチルマロン酸塩で処理してもよく、引き続いてヒドロ二ウムの存在中で加熱して2−カルボキシメチル−4,5−ジメトキシピリミジン、すなわち式(VIII)のさらなる保護誘導体を得てもよい。
【0146】
さらなる例では、2−カルボキシ−4,5−ジメトキシピリミジン(VIII)を、例えば、LiAlH等の還元剤を用いて還元して、2−ヒドロキシメチル−4,5−ジメトキシピリミジンを得てもよく、これを、有機塩基、例えばトリエチルアミンの存在中で、メチルスルホニルクロリドで処理し、その後、硫化ナトリウムで処理して、2−チオメチル−4,5−ジメトキシピリミジンを得、これを酸化して2−クロロスルホニルメチル−4,5−ジメトキシピリミジンを得てもよく、これを、式(V)の中間体と同様なやり方で使用してもよい。
【0147】
上のいずれかの工程から最初に得られる、式(1)のいずれの化合物も、必要に応じ、引き続いて、当技術で既知の方法により、式(1)のさらなる化合物に合成されてもよいことは理解されよう。例として、RがHを表す、式(1)の化合物を、適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中、典型的には塩基性条件、例えば炭酸カリウム等の無機塩基の存在中で、適切なアルキル化剤、例えばヨウ化メチルとの反応により、RがC1−6アルキルを表す、式(1)のさらなる化合物に変換してもよい。さらなる例としては、Yが−A−S−A−を表す、式(1)の化合物を、3−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)等の適切な酸化剤との反応により、Yが−A−S(O)1−2−A−を表す、式(1)のさらなる化合物に変換してもよい。別の例としては、Yが−A−C(O)−Aを表す、式(1)の化合物を、Yが、同一炭素原子に結合してスピロ縮合したCシクロアルキル環、すなわち:
【0148】
【化18】
【0149】
を形成するC1−6アルキレン鎖で置換されたC2−6アルキレンを表す、式(1)のさらなる化合物に変換してもよい。反応は、−A−C(=CH)−A誘導体への初期変換、例えば、テッベ(Tebbe)試薬との反応と、その後の、亜鉛及び銅の存在中、ヨウ化メチレンによる処理により都合よく達成され得る。
【0150】
脱保護が、式(1)の化合物の合成において最終ステップであってもよいことは、さらに理解されるであろうし、本明細書の以下に記載される本発明の工程が、保護基のそうした除去へと拡張されることは理解されるものとする。保護基は、当技術分野で周知の方法を用いて除去してもよい。例えば、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル等のヒドロキシ保護基は、適切な溶媒、例えばメタノール等のアルコール中、有機酸、例えば、p−トルエンスルホン酸の存在下、又は、環状エーテル等の適切な溶媒、例えばジオキサン中、HCl等の無機酸の存在下等の、酸性条件下で除去してもよい。代りに、メチル等のヒドロキシ保護基は、ジクロロメタン等のハロゲン化溶媒中、三臭化ホウ素を用いて除去してもよい。
【0151】
上の式(1)の化合物は、医薬上許容されるその塩、好ましくは酸付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(べシレート)、サッカリン(例えばモノサッカリン)、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、吉草酸塩、プロパン酸、ブタン酸塩、マロン酸塩、シュウ酸塩、1−ヒドロキシ−2−ナフトエート(キシナホ酸塩)、メタンスルホン酸塩、又はp−トルエンスルホン酸塩に変換されてもよい。
【0152】
新規中間体は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0153】
本発明を以下に、例としてのみ、さらに詳細に記載する。
1. 合成方法
【0154】
本発明の化合物を合成するのに使用する方法を、以下の一般的なスキームとそれに続く調製例により説明する。これらの化合物を調製するのに使用する出発物質及び試薬は、販売元から入手可能である。これらの一般的スキームは、本発明の化合物を合成できる方法を単に説明するのみであり、これらのスキームを多様に変更することが可能であり、本開示を参照した当業者に推奨されるであろう。
【0155】
核磁気共鳴(NMR)スペクトルを400MHzで記録した;化学シフト(δ)を100万分率で報告した。スペクトルを、5mm BBFOプローブ又はDULプローブが取り付けられたブルカー社(Bruker)の400 Avance機器を用いて記録した。機器の制御は、他に言及がない限り、ブルカー社のTopSpin 2.1ソフトウェアを用いて行った。
【0156】
純度は、広範囲の波長、通常220〜450nmにわたるUV(光ダイオードアレイ)検出を伴うUPLCにより、50又は60°Cで操作したAcquity UPLC BEH又はHSS C18カラム(内径2.1mm×長さ50mm)を備えたウォーターズ社(Waters)のAcquity UPLCシステムを用いて評価した。移動相は典型的には、0.05%のギ酸又は0.025%アンモニアを含む水と混合させたアセトニトリル又はMeOHから成るものであった。質量スペクトルを、他に言及がない限り、大気圧イオン化により、ウォーターズ社のSQDシングル四重極質量スペクトロメーターで記録した。
【0157】
化合物を、バイオタージ社(Biotage)製の、すなわちIsolute KPNHカートリッジ、SCXカートリッジ、及びSCX−2固相抽出カートリッジを用いて、シリカ又はアルミナ上で順相クロマトグラフィー、又は逆相クロマトグラフィー法により精製した。
【0158】
分取HPLCを、典型的にはウォーターズ社の内径19mm×長さ100mmのC18カラム、例えばXBridge又はSunFire(20mL/分で5μmの物質)等を使用する、アジレントテクノロジーズ社(Agilent Technologies)の1100 Seriesシステムを用いて実行した。移動相は他に言及がない限り、典型的には0.1%ギ酸又は0.1%アンモニアを含む水と混合したアセトニトリル又はMeOHから成るものであった。
【0159】
以下の記載においては、「室温」とは20℃から25℃の範囲である。
略号:
AIBN アゾビスイソブチロニトリル
AlMe トリメチルアルミニウム
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
−DMSO 重水素化ジメチルスルホキシド
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
EtO ジエチルエーテル
EtN トリエチルアミン
LCMS 液体クロマトグラフィー質量スペクトル
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MS 質量スペクトル
Me メチル
MeOD 重水素化MeOH
MeOH メタノール
MTBE tert−ブチルメチルエーテル
NaOEt ナトリウムメトキシド
NBS N−ブロモスクシンイミド
NMR 核磁気共鳴
Ph フェニル
PTSA パラ−トルエンスルホン酸
Rt 室温
THF テトラヒドロフラン
【0160】
スキーム1〜5(以下の1.1から1.5に示す)は、例示の式(1)の化合物、及び、例示の式(1)の化合物の合成に使用する中間体を合成するのに使用され得る方法を例示するのに役立つ。
【0161】
1.1 スキーム1
Yが−S−C1−3アルキレン−を表す、式(1)の化合物は、スキーム1:
【0162】
【化19】
【0163】
に従って調製してもよく、
式中、Halはハロゲン化物、例えば、クロロ又はブロモを表し、Aは、任意に置換されたC1−3アルキレンを表し、Zは、本明細書に定義されており、R及びRはHを表す。
【0164】
1.2 スキーム2
代りに、Yが−S−C1−3アルキレン−を表す、式(1)の化合物は、
スキーム2:
【0165】
【化20】
【0166】
に従って調製してもよく、
ここで、Halはハロゲン化物、例えば、クロロ又はブロモを表し、Aは、任意に置換されたC1−3アルキレンを表し、Zは本明細書に定義され、R及びRはHを表す。
【0167】
1.3 スキーム3
代りに、Yが−S−C1−3アルキレン−を表す、式(1)の化合物は、
スキーム3:
【0168】
【化21】
【0169】
に従って調製してもよく、
式中、Halはハロゲン化物、例えば、クロロ又はブロモを表し、Aは、任意に置換されたC1−3アルキレンを表し、Zは本明細書に定義されており、R及びRはHを表す。
【0170】
1.4 スキーム4
Yが−C1−3アルキレン−S−、−C1−3アルキレン−S−、又は、任意に置換されたC2−6アルキレンを表す、式(1)の化合物は、スキーム4:
【0171】
【化22】
【0172】
に従って調製してもよく、
式中、Y’は−C1−3アルキレン−S−、−C1−3アルキレン−S−、又は、任意に置換されたC2−6アルキレンを表し、Zは本明細書に定義されており、R及びRはHを表す。
【0173】
1.5 スキーム5
Yが−S−C1−3アルキレン−を表し、RがハロC1−6アルキルを表す、式(1)の化合物は、スキーム5:
【0174】
【化23】
【0175】
に従って調製してもよく、
式中、A及びZは、本明細書に定義され、RはHを表す。
【実施例】
【0176】
1.1.1 中間体1(スキーム1のステップ(a)に従って調製)
【0177】
【化24】
【0178】
3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ベンジルカルバミドチオエートヒドロブロミド
【0179】
EtOH(体積:100ml)中、1−(ブロモメチル)−3−クロロベンゼン(2.7g、13.1mmol)の溶液に、チオ尿素(1g、13.1mmol)を加え、反応物を還流させて一晩攪拌した。反応混合物を濃縮して、3−クロロベンジルカルバムイミドチオエート,HBrを定量的収率で得た。
MS ES+:201
【0180】
1.1.2 中間体2(スキーム1のステップ(b)に従って調製)
【化25】
2−[(3−クロロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0181】
EtO(10ml)中、水素化ナトリウム(0.26g,6.39mmol)の懸濁液に、ギ酸エチル(0.40g、5.33mmol)を加え、その後、エチル2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アセテート(1.00g、5.33mmol)を滴下して加え、混合物を還流させて2時間攪拌した。3−クロロベンジルカルバムイミドチオエートHBr塩(中間体1)(1.5g、5.33mmol)を、その後、加え、続いてEtOH(10ml)を加えた。エーテルを真空中で除去し、その後、結果として得られたエタノール溶液を還流させて4時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、結果として得られた固体を、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜10%のMeOH)で精製し、2−[(3−クロロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(524mg、28%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ 7.79 (s, 1 H), 7.45 (s, 1 H), 7.18 - 7.39 (m, 3 H), 5.41 - 5.51 (m, 1 H), 4.42 (s, 2 H), 3.83 - 4.02 (m, 1 H), 3.56 - 3.69 (m, 1 H), 1.44 - 2.18 (m, 6 H)
MS ES-: 351
【0182】
中間体3〜15の化合物を、他に言及のない限り、中間体3に関して記載の方法と同様なやり方で、スキーム1のステップ(a)及びステップ(b)に従って、市販の試薬を用いて調製した。
【0183】
1.1.3 中間体3
【化26】
2-[(4-クロロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0184】
1-(ブロモメチル)-4-クロロベンゼンから調製した。
【0185】
1.1.4 中間体4
【化27】
2−(ベンジルスルファニル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0186】
1-(ブロモメチル)ベンゼンから調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.70 (s, 1 H), 7.11 - 7.50 (m, 5 H), 5.44 (m, 1 H), 4.37 (s, 2 H), 3.76 - 3.86 (m, 1 H) 3.48 - 3.58 (m, 1 H), 1.35 - 1.98 (m, 6 H)
MS ES+: 319
【0187】
代りに、中間体4を、スキーム2のステップ(a)に記載の方法に従って調製してもよい:
DMF(15ml)中、2−スルファニル−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(315mg、1.38mmol)、0°Cの溶液に、トリエチルアミン(0.20ml、1.38mmol)を加え、その後、(ブロモメチル)ベンゼン(236mg、1.38mmol)を滴下して加えた。反応混合物を、この温度で2時間、攪拌した後、水でクエンチし、EtOAcで抽出した。有機物を分離し、蒸発させた。残渣を、カラムクロマトグラフィー((SiO:DCM中、0〜5%のMeOH)により精製し、2−(ベンジルスルファニル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(55mg、13%)を得た。
【0188】
1.1.5 中間体5
【化28】
2−[(3−メチルベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0189】
1−(ブロモメチル)−3−メチルベンゼンから調製した。
MS ES+: 333
【0190】
1.1.6 中間体6
【化29】
2−[(ナフタレン−2−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0191】
2−(ブロモメチル)ナフタレンから調製した。
MS ES+: 369
【0192】
1.1.7 中間体7
【化30】
2−[(3−フルオロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0193】
1−(ブロモメチル)−3−フルオロベンゼンから調製した。
MS ES+: 337
【0194】
1.1.8 中間体8
【化31】
2−[(4−メトキシベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0195】
1−(ブロモメチル)−4−メトキシベンゼンから調製した。
MS ES+: 349
【0196】
1.1.9 中間体9
【化32】
2−[(3,4−ジフルオロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0197】
1−(ブロモメチル)−3,4−ジフルオロベンゼンから調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.68 (s, 1 H), 7.49 (m, 1 H), 7.31 - 7.43 (m, 1 H), 7.28 (m, 1 H), 5.43 (m, 1 H), 4.35 (s, 2 H), 3.72 - 3.93 (m, 1 H), 3.45 - 3.60 (m, 1 H), 1.66 - 1.92 (m, 3 H), 1.43 - 1.66 (m, 3 H)
MS ES+: 355
【0198】
1.1.10 中間体10
【化33】
2−[(3−メトキシベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0199】
1−(ブロモメチル)−3−メトキシベンゼンから調製した。
MS ES+: 349
【0200】
1.1.11 中間体11
【化34】
5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2−{[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]スルファニル}ピリジン−4(3H)−オン
【0201】
1−(ブロモメチル)−3−トリフルオロメチルベンゼンから調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): 7.69 (s, 1 H), 7.16 - 7.45 (m, 3 H), 5.44 (m, 1 H), 4.37 (s, 2 H), 3.73 - 3.89 (m, 1 H), 3.44 - 3.58 (m, 1 H), 1.66 - 1.96 (m, 3 H), 1.44 - 1.65 (m, 3 H)
MS ES-: 385
【0202】
1.1.12 中間体12
【化35】
2−[(3−クロロ−5−フルオロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0203】
1−(ブロモメチル)−3−クロロ−5−フルオロベンゼンから調製した。
MS ES-: 369
【0204】
1.1.13 中間体13
【化36】
2−{[3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ベンジル]スルファニル}−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0205】
3−(3−(ブロモメチル)フェニル)−5−メチル−1,2,4−オキサジアゾールから調製した。
MS ES+: 401
【0206】
1.1.14 中間体14
【化37】
2−[(2−クロロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0207】
1−(ブロモメチル)−2−クロロベンゼンから調製した。
MS ES+: 353
【0208】
1.1.15 中間体15
【化38】
2−[(1−フェニルエチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0209】
(1−ブロモエチル)ベンゼンから調製した。
MS ES+: 333
【0210】
1.3.1 中間体16(スキーム3のステップaに従って調製)
【化39】
ナトリウム−6−オキソ−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−1,6−ジヒドロピリミジン−2−チオレート
【0211】
100mlの丸底フラスコに、トルエン(30ml)中、角切りにしたナトリウム(2.30g、0.1mol)を入れ、無色の懸濁液を得た。ギ酸エチル(8.14ml、0.10mol)とエチル2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アセテート(9.9ml、0.10mol)の混合物を、温度が30°Cを超えないように注意しつつ、滴下して加えた。反応物を室温で一晩、攪拌し、その時点で、褐色の粘性油が幾分かの残留ナトリウムと共に沈殿していた。上澄みのトルエンを取り除き、エタノール(15ml)を加えて、反応物を、残留ナトリウムが溶解するまで攪拌した。カルバムイミドチオ酸(7.61g、0.10mol)を加え、反応物を、室温で1時間、攪拌した後、加熱して、4時間、還流させた。反応物を冷却し、水(50ml)とジイソプロピルエーテルで希釈し、水層を分液した。ジイソプロピルエーテル層を水で洗浄し、集めた水層をジイソプロピルエーテルで洗浄し、その後、100mlに調製して、次のステップで粗原料として使用した。
【0212】
1.3.2 中間体17(スキーム3のステップ(b)に従って調製)
【化40】
2−[(シクロプロピルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0213】
水(10.0ml)中、ナトリウム6−オキソ−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−1,6−ジヒドロピリミジン−2−チオレート(中間体16)(2.50g、10mmol)の粗水溶液に、ジオキサン(10ml)と(ブロモメチル)シクロプロパン(945mg、7.00mmol)を加え、反応物を1時間、攪拌した後、固体を沈殿させた。これをろ過し、水とエーテルで洗浄し、乾燥させて、純粋な2−[(シクロプロピルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(452mg、16%の収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 12.63 (br, s, 1 H), 7.40 (br, s, 1 H), 5.18 (br, s, 1 H), 3.46 - 3.66 (m, 1 H), 3.19 - 3.34 (m, 1 H), 2.80 (m, 2 H), 1.42 - 1.73 (m, 3 H), 1.15 - 1.43 (m, 3 H), 0.86 (m, 1 H), 0.20 - 0.41 (m, 2 H), 0.04 (m, 2 H)
MS ES+: 283
【0214】
中間体18〜31の化合物を、他に言及のない限り、中間体17に関して記載の方法と同様なやり方で、スキーム3のステップ(b)に従って、市販のアルキル化試薬を用いて調製した。
【0215】
1.3.3 中間体18
【化41】
2−[(2,3−ジヒドロ−1,4,−ベンゾジオキシン−5−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.68 (s, 1 H), 6.91 (m, 1 H), 6.59 - 6.87 (m, 2 H), 5.43 (m, 1 H), 4.05 - 4.48 (m, 6 H), 3.75 - 3.91 (m, 1 H), 3.47 - 3.55 (m, 1 H), 1.65 - 1.95 (m, 3 H), 1.35 - 1.67 (m, 3 H)
MS ES+: 377
【0216】
1.3.4 中間体19
【化42】
2−(ピリジン−2−イルメチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+: 320
【0217】
1.3.5 中間体20
【化43】
2−(3−(ジフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+: 385
【0218】
1.3.6 中間体21
【化44】
2−((4−メチルピリジン−2−イル)メチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+: 334
【0219】
1.3.7 中間体22
【化45】
2−(ピリジン−3−イルメチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+: 320
【0220】
1.3.8 中間体23
【化46】
2−((1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+: 337
【0221】
1.3.9 中間体24
【化47】
2−(ピリジン−4−イルメチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+: 320
【0222】
1.3.10 中間体25
【化48】
2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+: 421
【0223】
1.3.11 中間体26
【化49】
2−[(イソキノリン−1−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+ 370
【0224】
1.3.12 中間体27
【化50】
5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2−{[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンジル]スルファニル}ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+417
【0225】
1−(ブロモメチル)−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンから調製した:
四塩化炭素(25ml)中、1−メチル−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼン(0.8g、4.2mmol、CAS RN 80054−83−7)の溶液に、AIBN(0.07g、0.4mmol)とN−ブロモスクシンイミド(0.82g、4.6mmol)を、室温で加え、反応物を還流温度で3時間、攪拌した。反応混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(25ml)で、その後、ブライン溶液(25ml)で洗浄した。有機層を乾燥、蒸発させて、粗生成物を得、これを、カラムクロマトグラフィー(SiO:石油中、0〜3%のEtOAc)で精製し、生成物画分を濃縮して、1−(ブロモメチル)−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンを得た(0.6g、53%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.47-7.45 (d, 1 H), 7.41-7.35 (t, 1 H), 7.16-7.14 (d, 1 H), 7.06-7.02 (t, 1 H), 4.91-4.82 (m, 2 H), 4.64 (s, 2 H)
【0226】
1.3.13 中間体28
【化51】
2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+ 359
【0227】
1.3.14 中間体29
【化52】
2−[(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0228】
1.3.15 中間体30
【化53】
2−[(ナフタレン−1−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+ 284(M−ピラン)
【0229】
1.3.16 中間体31
【化54】
2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
MS ES+ 359
【0230】
1.4.1 中間体32(4のステップ(a)に従って調製)
【化55】
2−(フェニルスルファニル)エタンイダミド
【0231】
トルエン(10ml)中、塩化アンモニウム(1.33g、24.8mmol)の懸濁液に、N下、0°Cで、トリメチルアルミニウム(12.1ml、24.1mmol)を加えた。反応混合物を、室温で2時間、攪拌した。このフラスコに、その後、トルエン(10ml)中、2−(フェニルチオ)アセトニトリル(1g、6.70mmol)の溶液を加えた。反応物を、その後、110°Cで一晩、攪拌した。反応混合物を冷却し、その後、DCM中、シリカのスラリー上に注いだ。スラリーを15分間、攪拌し、その後、ろ過した。結果として得られたろ液を、真空下で濃縮し、DCM中に吸収させた。有機混合物を1MのHClで洗浄した。水層を真空下で濃縮し、水に吸収させ、その後、2MのNaOHで塩基性にした。水性混合物をDCMで抽出した。有機層を濃縮して、2−(フェニルスルファニル)エタンイドアミド(850mg、5.11mmol、76%の収率)を得た。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ 7.31 - 7.51 (m, 4 H), 7.18 - 7.31 (m, 1 H), 5.13 (br. s., 3 H) 及び 3.67 (s, 2 H)
MS ES+: 167
【0232】
1.4.2 中間体33(スキーム4のステップ(b)に従って調製)
【化56】
2-[(フェニルスルファニル)メチル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0233】
ジエチルエーテル(10ml)中、水素化ナトリウム(182mg、4.55mmol)の懸濁液に、ギ酸エチル(281mg、3.79mmol)を、その後、エチル2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アセテート(713mg、3.79mmol)を加えた。結果として得られた混合物を、還流下で1.5時間、攪拌した。この混合物に、その後、EtOH(10ml)中、2−(フェニルスルファニル)エタンイミドアミド(中間体32)(630mg、3.79mmol)とナトリウムエトキシド(1.23g、3.79mmol)を事前に混合しておいた溶液を加えた。エーテルを真空下で除去し、結果として得られた懸濁液を、還流させて3時間、攪拌した。反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜10%のMeOH)で精製して、2−[(フェニルスルファニル)メチル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オンを得た(275mg、23%の収率)。
MS ES-: 317
【0234】
中間体34〜35の化合物は、他に言及のない限り、中間体32と33に関して記載の方法と同様なやり方で、スキーム4のステップ(a)と(b)に従って、市販の試薬を用いて調製した。
【0235】
1.4.3 中間体34
【化57】
2−(フェノキシメチル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0236】
フェノキシアセトニトリルから調製した。
MS ES+: 303
【0237】
1.4.4 中間体35
【化58】
2−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0238】
3−(3−クロロフェニル)プロパンニトリルから調製した。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): 7.79 (s, 1 H), 7.45 (s, 1 H), 7.19 - 7.37 (m, 4 H), 5.44 (m, 1 H), 4.42 (s, 2 H), 3.87 - 3.98 (m, 2 H), 3.57 - 3.72 (m, 2 H), 1.44 - 2.14 (m, 6 H)
【0239】
1.4.5 中間体36(スキーム4のステップ(b)に従って調製)
【化59】
2−(2−フェニルエチル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0240】
ジエチルエーテル(2ml)中、水素化ナトリウム(29.0mg、0.74mmol)の懸濁液に、ギ酸エチル(45.0mg、0.61mmol)を加えた。エチル−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アセテート(115mg、0.61mmol)を、その後、滴下して加え、混合物を還流下で2時間、攪拌した。反応物に、その後、THF(1ml)中、トリメチルアルミニウム(0.34ml、0.68mmol)と3−フェニルプロパンイミドアミド(100mg、0.68mmol、CAS RN 24442−03−3)の攪拌済み溶液を加えた。エーテルを真空下で除去し、その後、反応物を還流下で4時間、攪拌した。反応混合物を、DCM中、シリカのスラリーに注いだ。結果として得られたスラリーを15分間、攪拌し、真空中で濃縮した。結果として得られた固体(シリカ上に乾燥充填した乾燥粗生成物)を、その後、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜10%のMeOH)で精製し、2−(2−フェニルエチル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オンを得た(65mg、35%の収率)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.70 (br. s., 1 H), 6.98 - 7.37 (m, 5 H), 5.45 (br. s., 1 H), 3.79 - 3.96 (m, 1 H), 3.58 - 3.68 (m, 1 H), 2.97 - 3.12 (m, 2 H), 2.75 - 2.95 (m, 2 H), 1.13 - 2.18 (m, 6 H)
MS ES+: 301
【0241】
1.5.1 中間体37(スキーム5のステップ(a)に従って調製)
【化60】
2−(ベンジルスルファニル)−5−メトキシ−6−(トリフルオロメチル)−ピリミジン−4(3H)−オン
【0242】
THF(15ml)中、ジイソプロピルアミン(283mg、2.79mmol)の溶液に、0°Cで、n−ブチルリチウム(1.80ml、2.80mmol)を加えた。混合物を15分間、攪拌し、その後、−78°Cに冷却した後、エチル2−メトキシアセテート(300mg、2.54mmol)を滴下して加え、混合物全体を30分間、攪拌した。エチル2,2,2−トリフルオロアセテート(361mg、2.54mmol)を、その後、加え、反応混合物を室温に温め、2時間、攪拌した。エタノール(15ml)中、ベンジルカルバムイミドチオエート(422mg、2.54mmol)の溶液を、その後、加え、結果として得られた混合物を還流させて4時間、攪拌し、その後、冷却して室温で72時間、攪拌した。反応混合物を、その後、蒸発させ、DCMで希釈し、有機抽出物を水で洗浄した。有機層を分液して蒸発させ、結果として得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜10%のMeOH)で精製して、2−(ベンジルスルファニル)−5−メトキシ−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オンを得た(319mg、40%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.43 (m, 2 H), 7.10 - 7.36 (m, 3 H), 4.43 (s, 2 H), 3.92 (s, 3 H)
MS ES+: 317
【0243】
2. 実施例
2.1. 実施例1(スキーム1に従って調製)
【化61】
2−(3−クロロベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0244】
ジオキサン(5ml)中、2−[(3−クロロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(0.60g、1.71mmol)(中間体2)の溶液に、ジオキサン(0.43ml、1.71mmol)中、4MのHClを加えた。反応混合物を室温で一晩、攪拌した後、ろ過した。結果として得られた塊をジエチルエーテルで粉砕し、その後、単離して乾燥させ、黄色の固体を得た。これを、メタノール(4ml)と酢酸エチル(15ml)から再結晶させ、2−(3−クロロベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オンを得た(137mg、30%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 12.50 - 13.10 (s, br, 1H), 8.90 - 9.10 (s, br, 1H), 7.25 - 7.53 (m, 5H) 及び 4.34 (s, 2H)
MS ES+: 269
【0245】
実施例2〜14の化合物を、実施例1に関して記載の方法と同様なやり方で、スキーム1のステップ(c)に従って、調製した。
【0246】
2.2. 実施例2
【化62】
2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0247】
2−(ベンジルスルファニル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体4)から調製した。
【0248】
代りに、メタノール(1.5ml)中、2−(ベンジルスルファニル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体4)(70mg、0.22mol)の溶液に、PTSA(42mg、0.22mmol)を加えた。反応混合物を室温で一晩、攪拌した後、蒸発させ、DCM中に吸収させた。有機物を水で洗浄、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜10%のMeOH)で精製し、2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オンを得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 12.35 - 12.50 (s, br, 1H), 9.10 - 9.60 (s, br, 1H), 7.21 - 7.49 (m, 6H) 及び 4.34 (s, 2H)
MS ES+: 235
【0249】
2.3 実施例3
【化63】
5−ヒドロキシ−2−[(3−メチルベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0250】
2−[(3−メチルベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体5)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.27 - 9.40 (s, br, 1H), 7.39 - 7.51 (m, 1H), 7.15 - 7.24 (m, 4H), 7.03 - 7.10 (m, 1H), 7.32 (s, 2H) 及び 2.28 (s, 3H)
MS ES+: 249
【0251】
2.4 実施例4
【化64】
2−[(4−クロロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0252】
2−[(4−クロロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体3)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.28 - 7.56 (m, 5H) 及び 4.33 (s, 2H)
MS ES+: 269
【0253】
2.5 実施例5
【化65】
5−ヒドロキシ−2−[(ナフタレン−2−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0254】
2−[(ナフタレン−2−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体6)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.80 - 7.97 (m, 4H), 7.45 - 7.58 (m, 4H) 及び 4.61 (s, 2H)
MS ES+: 285
【0255】
2.6 実施例6
【化66】
2−[(3−フルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0256】
2−[(3−フルオロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体7)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 12.80 - 13.00 (s, br, 1H), 9.25 - 9.40 (s, br, 1H), 7.32 - 7.48 (m, 2H), 7.20 - 7.25 (m, 2H), 7.04 - 7.12 (m, 1H) 及び 4.36 (s, 2H)
MS ES+: 253
【0257】
2.7 実施例7
【化67】
5−ヒドロキシ−2−[(4−メトキシベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0258】
2−[(4−メトキシベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体8)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.48 (s, 1H), 7.28 - 7.36 (m, 2H), 6.85 - 6.91 (m, 2H), 4.35 (s, 2H) 及び 3.79 (s, 3H)
MS ES+: 264
【0259】
2.8実施例8
【化68】
2−[(3,4−ジフルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0260】
2−[(3,4−ジフルオロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体9)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.46 (s, 1H), 7.32 - 7.40 (m, 1H), 7.15 - 7.25 (m, 2H) 及び 4.41 (s, 2H)
MS ES+: 271
【0261】
2.9 実施例9
【化69】
5−ヒドロキシ−2−[(3−メトキシベンジル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0262】
2−[(3−メトキシベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体10)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.48 (s, 1H), 7.19 - 7.26 (m, 1H), 6.95 - 7.05 (m, 2H), 6.80 - 6.88 (m, 1H), 4.40 (s, 2H) 及び 3.33 (s, 3H)
MS ES+: 265
【0263】
2.10 実施例10
【化70】
5−ヒドロキシ−2−{[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]スルファニル}ピリミジン−4(3H)−オン
【0264】
5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2−{[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]スルファニル}ピリジン−4(3H)−オン(中間体11)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.75 - 7.85 (m, 2H), 7.44 - 7.60 (m, 3H) 及び 4.48 (s, 2H)
MS ES+: 303
【0265】
2.11 実施例11
【化71】
2−[(3−クロロ−5−フルオロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0266】
2−[(3−クロロ−5−フルオロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体12)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.48 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.05 - 7.20 (m, 2H) 及び 4.42 (s, 2H)
MS ES+: 287
【0267】
2.12 実施例12
【化72】
5−ヒドロキシ−2−{[3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ベンジル]−スルファニル}−ピリミジン−4(3H)−オン
【0268】
2−{[3−(5−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)ベンジル]スルファニル}−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体13)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 8.13 (s, 1H), 7.92 - 7.97 (m, 1H), 7.56 - 7.63 (m, 1H), 7.45 - 7.52 (s, 2H), 4.48 (s, 2H) 及び 2.68 (s, 3H)
MS ES+: 317
【0269】
2.13 実施例13
【化73】
2−[(2−クロロベンジル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0270】
2−[(2−クロロベンジル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体14)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.10 - 9.60 (s, br, 1H), 7.53 - 7.60 (m, 1H), 7.48 - 7.57 (s, 2H), 7.27 - 7.37 (m, 2H) 及び 4.41 (s, 2H)
MS ES+: 269
【0271】
2.14 実施例14
【化74】
5−ヒドロキシ−2−[(1−フェニルエチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0272】
2−[(1−フェニルエチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体15)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.38 - 7.41 (m, 3H), 7.28 - 7.34 (s, 2H), 7.23 - 7.27 (m, 1H), 4.92 - 4.98 (m, 1H), 1.68 (s, 3H)
MS ES+: 249
【0273】
2.15 実施例15(スキーム3に従って調製)
【化75】
2−(シクロプロピルメチルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0274】
2−[(シクロプロピルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体17)(520mg、1.84mmol)を、ジオキサン(5ml)に溶解させ、ジオキサン中、HCl(0.9ml、3.70mmol)4Mを加えた。白色の沈殿物が形成された。結果として得られた混合物を、室温で1時間、攪拌した後、エーテルに注いでろ過した。得られた固体を、沸騰エタノール中に溶解させ、熱い状態でろ過し、その後、還流させている溶液に水を滴下して加えた。小型のサンプルバイアルに吸引したアリコート(aliquot)が冷却時に再結晶化を示すまで、エタノールを沸騰させて除いた。溶液を攪拌しながら冷却して室温にした。形成した結晶をろ過して除き、水で洗浄し、乾燥させて、2−(シクロプロピルメチルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オンを得た(342mg、94%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.60 - 9.30 (s, br, 1H), 7.40 (s, 1H), 3.01 - 3.04 (m, 2H), 1.04 - 1.18 (m, 1H), 0.52 - 0.56 (m, 2H) 及び 0.26 - 0.29 (m, 2H)
MS ES+: 199
【0275】
実施例16〜29の化合物を、実施例15に関して記載の方法と同様なやり方で、スキーム3のステップ(c)に従って、調製した。
【0276】
2.16 実施例16
【化76】
2−[(2,3−ジヒドロ−1,4,−ベンゾジオキシン−5−イルメチル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0277】
2−[(2,3−ジヒドロ−1,4,−ベンゾジオキシン−5−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体18)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.25 - 9.35 (s, br, 1H), 7.40 - 7.45 (m, 1H), 6.88 - 6.92 (m, 1H), 6.74 - 6.81 (m, 2H) 及び 4.21 - 4.35 (m, 6H)
MS ES+: 293
【0278】
2.17 実施例17
【化77】
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−2−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0279】
2−(ピリジン−2−イルメチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体19)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.73 - 8.79 (m, 1H), 8.29 - 8.35 (m, 1H), 7.91 - 7.95 (m, 1H), 7.75 - 7.80 (m, 1H), 7.42 (s, 1H) 及び 4.65 (s, 2H)
MS ES+: 236
【0280】
2.18実施例18
【化78】
2−(3−(ジフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0281】
2−(3−(ジフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体20)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.70 - 13.00 (s, br, 1H), 9.25 - 9.50 (s, br, 1H), 7.37 - 7.48 (m, 2H), 7.20 - 7.28 (m, 2H), 7.01 - 7.08 (m, 1H) 及び 4.38 (s, 2H)
MS ES+: 301
【0282】
2.19 実施例19
【化79】
5−ヒドロキシ−2−((4−メチルピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0283】
2−((4−メチルピリジン−2−イル)メチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体21)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.69 - 8.73 (m, 1H), 7.92 - 7.95 (m, 1H), 7.72 - 7.78 (m, 1H), 7.43 (s, 1H), 4.63 (m, 2H) 及び 2.54 (s, 3H)
MS ES+: 250
【0284】
2.20 実施例20
【化80】
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−3−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0285】
2−(ピリジン−3−イルメチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体22)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.65 (s, 1H), 8.39 - 8.42 (m, 1H), 7.72 - 7.78 (m, 1H), 7.23 - 7.36 (m, 1H), 7.16 (s, 1H) 及び 4.21 (m, 2H)
MS ES+: 236
【0286】
2.21 実施例21
【化81】
2−((1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0287】
2−((1,3−ジメチル−1H−ピラゾール−5−イル)メチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体23)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.88 - 9.50 (s, br, 1H), 7.45 (s, 1H), 5.95 (s, 1H), 4.34 (s, 2H), 3.73 (s, 3H) 及び 2.08 (s, 3H)
MS ES+: 253
【0288】
2.22 実施例22
【化82】
5−ヒドロキシ−2−(ピリジン−4−イルメチルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0289】
2−(ピリジン−4−イルメチルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体24)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.34 - 9.52 (s, br, 1H), 8.60 - 8.66 (m, 2H), 7.63 - 7.69 (m, 2H), 7.42 (s, 1H) 及び 4.44 (s, 2H)
MS ES+: 236
【0290】
2.23実施例23
【化83】
2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0291】
2−(4−フルオロ−3−(トリフルオロメトキシ)ベンジルチオ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体25)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.75 - 12.90 (s, br, 1H), 9.31 - 9.42 (s, br, 1H), 7.60 - 7.66 (m, 1H), 7.37 - 7.55 (m, 3H) 及び 4.44 (s, 2H)
MS ES+: 337
【0292】
2.24 実施例24
【化84】
5−ヒドロキシ−2−[(イソキノリン−1−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0293】
2−[(イソキノリン−1−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体26)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.41 - 8.47 (m, 1H), 8.29 - 8.35 (m, 1H), 8.00 - 8.06 (m, 1H), 7.79 - 7.85 (m, 2H), 7.70 - 7.78 (m, 1H), 7.44 (s, 1H) 及び 5.06 (s, 2H)
MS ES+ 286
【0294】
2.25 実施例25
【化85】
5−ヒドロキシ−2−{[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンジル]スルファニル}−ピリミジン−4(3H)−オン
【0295】
5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)−2−{[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンジル]スルファニル}ピリミジン−4(3H)−オン(中間体27)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.60 - 12.90 (s, br, 1H), 8.95 - 9.45 (s, br, 1H), 7.38 - 7.45 (m, 2H), 7.27 - 7.33 (m, 1H), 7.12 - 7.17 (m, 1H), 6.95 -7.05 (m, 1H), 4.75 - 4.80 (m, 2H) 及び 4.30. (s, 2H)
MS ES+ 333
【0296】
2.26 実施例26
【化86】
5−ヒドロキシ−2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチル)スルファニル]−ピリミジン−4(3H)−オン
【0297】
2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−6−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体28)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.70 - 13.5 (s, br, 1H), 9.35 - 9.55 (s, br, 1H), 8.70 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.64 -7.73 (m, 1H), 7.52 - 7.62 (m, 2H) 及び 4.47 (s, 2H)
MS ES+ 275
【0298】
2.27 実施例27
【化87】
2−[(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イルメチル)スルファニル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0299】
2−[(2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体29)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.70 - 12.85 (s, br, 1H), 9.25 - 9.40 (s, br, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.26 (s, 1H), 7.08 - 7.14 (m, 1H), 7.67 -7.76 (m, 1H), 4.45 - 4.58 (m, 2H), 4.28 (s, 2H) 及び 3.10 - 3.18 (m, 2H)
MS ES+ 299 (M+Na)
【0300】
2.28 実施例28
【化88】
5−ヒドロキシ−2−[(ナフタレン−1−イルメチル)スルファニル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0301】
2−[(ナフタレン−1−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体30)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 12.20 - 13.25 (s, br, 1H), 8.80 - 9.60 (s, br, 1H), 8.10 - 8.18 (m, 1H), 7.97 - 8.05 (m, 1H), 7.84 - 7.92 (m, 1H), 7.55 -7.71 (m, 3H), 7.45 - 7.51 (m, 2H) 及び 4.88 (s, 2H)
MS ES+ 285
【0302】
2.29 実施例29
【化89】
5−ヒドロキシ−2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルメチル)スルファニル]−ピリミジン−4(3H)−オン
【0303】
2−[(イミダゾ[1,2−a]ピリジン−2−イルメチル)スルファニル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体31)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.11 - 9.30 (s, br, 1H), 8.48 - 8.55 (m, 1H), 7.88 (s, 1H), 7.45 - 7.55 (m, 2H), 7.20 -7.28 (m, 1H), 6.83 - 6.88 (m, 1H) 及び 4.45 (m, 2H)
MS ES+ 275
【0304】
2.30 実施例30(スキーム4のステップ(c)に従って調製)
【化90】
5−ヒドロキシ−2−[(フェニルスルファニル)メチル]ピリミジン−4(3H)−オン
【0305】
ジオキサン(4ml)中、2 2−[(フェニルスルファニル)メチル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体33)(275mg、0.86mmol)に、HCl(ジオキサン中、4M;0.65ml、2.59mmol)を加え、反応物を室温で一晩、攪拌した。反応混合物を真空下で濃縮した。粗残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜10%のMeOH)で精製し、生成物画分を濃縮した。結果として得られた固体を、ジエチルエーテルで粉砕してさらに精製し、5−ヒドロキシ−2−[(フェニルスルファニル)メチル]ピリミジン−4(3H)−オンを得た(11mg、5%の収率)。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.38 - 7.50 (m, 3H), 7.27 - 7.40 (m, 3H) 及び 3.98 (s, 2H)
MS ES+: 235
【0306】
実施例31〜32の化合物を、実施例14に関して記載の方法と同様なやり方で、スキーム4のステップ(c)に従って調製した。
【0307】
2.31 実施例31
【化91】
5−ヒドロキシ−2−(フェノキシメチル)ピリミジン−4(3H)−オン
【0308】
2−(フェノキシメチル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体34)から調製した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.30 - 9.80 (s, br, 1H), 9.43 - 9.47 (m, 2H), 7.25 - 7.35 (m, 2H), 6.98 - 7.07 (m, 2H) 及び 4.86 (s, 2H)
MS ES+: 219
【0309】
2.32 実施例32
【化92】
2−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−5−ヒドロキシピリミジン−4(3H)−オン
【0310】
2−[2−(3−クロロフェニル)エチル]−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体35)から調製した。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.44 (s, 1H), 7.26 - 7.46 (m, 2H), 7.15 - 7.19 (m, 1H), 3.35 (s, 2H, MeODのピークに隠れている) 及び 3.08 (s, 2H)
MS ES+: 251
【0311】
2.33 実施例33(スキーム4のステップ(c)に従って調製)
【化93】
5−ヒドロキシ−2−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オン
【0312】
メチルアルコール(1.5ml)中、2−(2−フェニルエチル)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体36)(65mg、0.216mmol)の溶液に、pTSA(41.0mg、0.22mmol)を加えた。反応混合物を室温で3時間、攪拌した後、濃縮し、その後、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜15%のMeOH)で精製して、所望の生成物とスルホン酸の混合物を得た。この粗物質を、その後、ジクロロメタン中に吸収させ、水で洗浄した。有機物を分液、濃縮して、5−ヒドロキシ−2−(2−フェニルエチル)ピリミジン−4(3H)−オンを得た(5.1mg,11%の収率)。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.40 - 7.48 (m, 1H), 7.15 - 7.23 (m, 2H), 7.25 - 7.33 (s, 3H), 2.95 - 3.08 (m, 2H) 及び 2.78 - 2.88 (m, 2H)
MS ES+: 217
【0313】
2.34 実施例34(スキーム5のステップ(b)に従って調製)
【化94】
2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン
【0314】
DCM(5ml)中、2−(ベンジルスルファニル)−5−メトキシ−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オン(中間体37、319mg、1.00mmol)の溶液に、−78°Cで、三臭化ホウ素(DCM中、1M、2.00ml、2.00mmol)を加えた。反応混合物を0°Cに温め、1時間、攪拌した。反応物が完了まで進行しなかったので、−78°Cにまで冷却し、三臭化ホウ素をさらに一部(1.00ml、1.00mmol)加えた。反応混合物を、その後、室温に温め、一晩、攪拌した。全体を、水酸化ナトリウム水溶液(2M)に滴下して加えた。結果として得られた混合物をジクロロメタンに抽出し、水層を1Mの塩酸でpH 1の酸性にし、その後、再抽出した。集めた有機物を真空中で濃縮した。結果として得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜10%のMeOH)で精製して、2−(ベンジルスルファニル)−5−ヒドロキシ−6−(トリフルオロメチル)ピリミジン−4(3H)−オンを得た(28mg、9%)。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d4): δ 7.41 - 7.46 (m, 2H), 7.23 - 7.36 (m, 3H) 及び 4.34 (s, 2H)
MS ES+: 303
【0315】
2.35 実施例35
【化95】
5−メトキシ−2−(4−メトキシベンジルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン
【0316】
DMF(2ml)中、5−ヒドロキシ−2−(4−メトキシベンジルチオ)ピリミジン−4(3H)−オン(実施例7、30mg、0.11mmol)の溶液に、0°Cで、炭酸カリウム(24.0mg、0.17mmol)を、その後、ヨウ化メチル(7μl、0.11mmol)を加えた。反応混合物を0°Cで3時間、攪拌した後、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機物を乾燥(MgSO)、蒸発乾固させて、結果として得られた残渣を、カラムクロマトグラフィー(SiO:DCM中、0〜5%のMeOH)で精製した。生成物の画分を蒸発させた。結果として得られた固体をMTBEから再結晶させて、5−メトキシ−2−(4−メトキシベンジルチオ)ピリミジン−4(3H)−オンを得た(7mg、22%)。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ 7.48 (s, 1H), 7.21 - 7.28 (m, 2H), 6.85 - 6.91 (m, 2H), 4.31 (s, 2H), 3.68 (s, 3H) 及び 3.42 (s, 3H)
MS ES+: 279
【0317】
3. 本発明の化合物の生物学的有効性
3.1 In VitroでのDAAO酵素アッセイ
DAAO酵素を阻害する化合物の機能活性を、D−セリンの触媒反応の副産物であって、Amplex Red(インビトロジェン社(Invitrogen))検出を用いて定量的に測定できるHを使用して決定した。Amplex(登録商標) Red試薬は、過酸化水素の存在のもと、1:1の化学量論で過酸化水素(H)と反応し、高度に蛍光性のレゾルフィン(励起/放出極大=570/585nm)を生成する無色の基質である。蛍光の変化を、蛍光プレートリーダー、Envision(パーキンエルマー社(Perkin Elmer))により監視し、DAAO活性の増加は、D−セリンを加えてすぐに、容易に検出され、この応答が抑制されることを、試験化合物を適用して観測した。
【0318】
ヒトDAAO酵素は、武田薬品工業(大阪)から供給を受け、各バッチは、同程度の活性レベルを与える濃度において試験し使用した。D−セリンのKを各酵素バッチについて測定し整合性を維持した。このKを、以後のアッセイで使用した。
【0319】
アッセイの当日には、化合物をDMSO中に順次希釈した後、アッセイ緩衝剤(20mMのトリス ph7.4)を用いて1:20に希釈した。アッセイ緩衝剤の一部5μlを、384個の透明底面で黒色の壁をもつプレート(clear base black walled plate)をもつウェル(コーニング社(Corning))に加え、続いて、希釈した化合物5μlを、Bravo液体ハンドラー(アジレントテクノロジー社(Agilent technologies))を用いて、自動化されたプレートからプレートへの移動を介して加え、その後、ヒトDAAO酵素5μl、さらに続いて5μlのD−セリン50mMを、陰性対照ウェル以外のすべてに加えた(最終濃度10mM)。最後に5μlのAmplex red試薬(インビトロジェン社)を、製造元のプロトコルに従ってすべてのウェルに加えた。プレートを、暗所で60分間、25℃でインキュベーし、各ウェルにおける蛍光をEnvisionプレートリーダーで測定した。
【0320】
化合物のIC50値は、十点の半対数スケールの用量応答研究から決定され、10mMのD−セリンの存在のもと、DAAO活性の50%阻害を予防するのに必要な化合物濃度を表す。濃度応答曲線は、各データ点についての二重のウェルの平均を用いて作成し、非線形回帰、及び四つのパラメータの曲線フィットを用いて分析した。
3.2 結果
【0321】
【表1】
【0322】
これらの結果は、本発明の化合物が、DAAO酵素に対して強力な阻害活性を有することを示している。上に試験した化合物は、有意に5μM未満のIC50値を示しており、最も強力な化合物は、DAAO酵素において、250nM未満のIC50値をもつ活性を示している。従って、本発明の化合物は、上に考察したような、DAAO酵素活性が関与する状態の予防又は治療における有用性を有することが期待される。