(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺状の本体部と、前記本体部の内部において塗布液を貯留する貯留部と、前記貯留部からスリット状の流路を介して送給される前記塗布液を吐出するスリット状の吐出口とを備え、前記本体部のうち互いに対向する第1壁部および第2壁部の少なくとも各一部が透明部材で形成されるスリットノズルと、
前記スリットノズルを基板に対して相対的に移動させる移動機構と、
前記第1壁部の透明部材を介して前記貯留部内を照明する貯留部用照明部と、
前記第2壁部の透明部材を介して前記貯留部内を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に基づき、前記貯留部内に貯留された塗布液の液面を判定する液面判定部と
を備えることを特徴とする塗布装置。
前記貯留部に透明な塗布液が貯留される場合の第1輝度と、前記貯留部に前記透明な塗布液以外の塗布液が貯留される場合の輝度であって前記第1輝度よりも高輝度な第2輝度との間で、前記貯留部用照明部の輝度を切り替える輝度切替部
をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の塗布装置。
長尺状の本体部と、前記本体部の内部において塗布液を貯留する貯留部と、前記貯留部からスリット状の流路を介して送給される前記塗布液を吐出するスリット状の吐出口とを備え、前記本体部のうち互いに対向する第1壁部および第2壁部の少なくとも各一部が透明部材で形成されるスリットノズルの、前記第1壁部の透明部材を介して前記貯留部内を照明する貯留部用照明部によって、前記貯留部内を照明する貯留部照明工程と、
前記貯留部照明工程において前記貯留部内を照明した状態で、前記第2壁部の透明部材を介して前記貯留部内を撮像する撮像部によって、前記貯留部内を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像した画像に基づき、前記貯留部内に貯留された塗布液の液面を判定する液面判定部によって、前記塗布液の液面を判定する液面判定工程と
を含むことを特徴とする液面検出方法。
前記第2壁部の前記撮像部との対向面を照明する第2壁部用照明部によって、前記対向面を照明しつつ、前記対向面の少なくとも2箇所に設けられた基準部位を前記撮像部で撮像する基準部位撮像工程と、
前記撮像部によって撮像された画像における前記基準部位間の画素数と、前記基準部位間の実際の距離とに基づき、前記画像の1画素あたりの寸法を算出する寸法算出工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の液面検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する塗布装置および液面検出方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
図1は、本実施形態に係る塗布装置の構成を示す模式側面図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係る塗布装置1は、載置台10と、第1の移動機構20と、スリットノズル30と、昇降機構40とを備える。
【0016】
第1の移動機構20は、基板Wを水平方向に移動させる機構部であり、基板保持部21と、駆動部22とを備える。基板保持部21は、吸引口が形成された水平な上面を有し、吸引口からの吸引によって基板Wを水平な上面に吸着保持する。駆動部22は、載置台10に載置され、基板保持部21を水平方向(ここでは、X軸方向)に移動させる。かかる第1の移動機構20は、駆動部22を用いて基板保持部21を移動させることによって、基板保持部21に保持された基板Wを水平方向に移動させる。
【0017】
スリットノズル30は、基板Wの移動方向(X軸方向)と直交する方向(Y軸方向)に延在する長尺状のノズルであり、基板保持部21によって保持される基板Wの上方に配置される。かかるスリットノズル30の具体的な構成については、後述する。
【0018】
昇降機構40は、スリットノズル30を昇降させる機構部である。具体的には、昇降機構40は、後述するスリットノズル30の固定部材71を図示しない駆動部によって鉛直方向に移動させることにより、固定部材71に支持されたスリットノズル30を昇降させる。
【0019】
本実施形態に係る塗布装置1は、スリットノズル30の周囲に、固定部材71と、第1照明部72と、撮像部73と、第2照明部74と、反射部材75とをさらに備える。第1照明部72は、スリットノズル30のX軸負方向側に配置され、固定部材71、撮像部73、第2照明部74および反射部材75は、スリットノズル30の第1照明部72が配置される側とは反対側に配置される。
【0020】
固定部材71は、スリットノズル30を支持する部材であり、昇降機構40の図示しない駆動部に取り付けられてスリットノズル30とともに昇降する。
【0021】
第1照明部72、撮像部73、第2照明部74は、支持部材721,731,741を介して固定部材71に固定され、反射部材75は、固定部材71に直接固定される。これにより、第1照明部72、撮像部73、第2照明部74および反射部材75は、昇降機構40により、スリットノズル30との位置関係を保ったままスリットノズル30とともに昇降する。これらスリットノズル30の周辺構成については、後述する。
【0022】
また、塗布装置1は、厚み測定部50aと、スリットノズル高さ測定部50bと、スリットノズル洗浄部60と、スリットノズル待機部80と、第2の移動機構90と、制御装置100とを備える。
【0023】
厚み測定部50aは、基板Wの上方(ここでは、昇降機構40)に配置され、基板Wの上面までの距離を測定する測定部である。また、スリットノズル高さ測定部50bは、基板Wの下方(ここでは、載置台10)に配置され、スリットノズル30の下端面までの距離を測定する。
【0024】
厚み測定部50aおよびスリットノズル高さ測定部50bによる測定結果は、後述する制御装置100へ送信され、塗布処理時におけるスリットノズル30の高さを決定するために用いられる。なお、厚み測定部50aおよびスリットノズル高さ測定部50bとしては、たとえばレーザー変位計を用いることができる。
【0025】
スリットノズル洗浄部60は、スリットノズル30の先端部に付着した塗布液を除去する処理部である。また、スリットノズル待機部80は、スリットノズル30を収容可能な収容空間を有する。収容空間内は、シンナー雰囲気に保たれており、かかる収容空間内にスリットノズル30を待機させておくことにより、スリットノズル30内の塗布液の乾燥が防止される。
【0026】
第2の移動機構90は、スリットノズル洗浄部60およびスリットノズル待機部80を水平方向に移動させる機構部であり、載置部91と、支持部92と、駆動部93とを備える。
【0027】
載置部91は、スリットノズル洗浄部60およびスリットノズル待機部80を略水平に載置する板状部材である。かかる載置部91は、支持部92によって所定の高さ、具体的には、基板保持部21に保持された基板Wが載置部91の下方を通過可能な高さに支持される。駆動部93は、支持部92を水平方向に移動させる。
【0028】
かかる第2の移動機構90は、駆動部93を用いて支持部92を水平方向へ移動させることによって、載置部91に載置されたスリットノズル洗浄部60およびスリットノズル待機部80を水平方向へ移動させる。
【0029】
制御装置100は、塗布装置1の動作を制御する装置である。かかる制御装置100は、たとえばコンピュータであり、後述するように制御部160と記憶部170(
図8参照)とを備える。記憶部170には、塗布処理等の各種の処理を制御するプログラム(図示せず)が格納される。制御部160は記憶部170に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって塗布装置1の動作を制御する。
【0030】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置100の記憶部170にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0031】
次に、塗布装置1が実行する塗布処理の概略について
図2を用いて説明する。
図2は、塗布処理の概略説明図である。塗布装置1が実行する塗布処理は、長尺状のスリットノズル30から露出させた塗布液を基板Wに接触させた状態で基板Wを水平方向へ移動させることにより、基板W上に塗布液を塗り広げて塗布膜を形成する処理である。
【0032】
図2に示すように、スリットノズル30は、基板Wの移動方向(X軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に延在する長尺状の部材であり、下端部に形成された長尺状の吐出口6から塗布液Rを吐出する。
【0033】
塗布装置1は、まず、スリットノズル30の吐出口6から塗布液Rを露出させる。このとき、塗布装置1は、スリットノズル30内の圧力を制御することによって、吐出口6から塗布液Rを露出させた状態を維持することができる。
【0034】
つづいて、塗布装置1は、昇降機構40(
図1参照)を用いてスリットノズル30を下方へ移動させて、吐出口6から露出させた塗布液Rを基板Wの上面に接触させる。そして、塗布装置1は、第1の移動機構20(
図1参照)を用いて基板Wを水平に移動させる。これにより、基板Wの上面に塗布液Rを塗り広げられて塗布膜が形成される。なお、塗布装置1によって基板Wに形成される塗布膜は、10μm以上の厚膜である。
【0035】
本実施形態に係るスリットノズル30は、塗布液Rを貯留する貯留部を備えており、かかる貯留部に補充された塗布液Rをスリット状の流路を介して吐出口6から吐出する。貯留部には、塗布液供給系が接続されており、かかる塗布液供給系から塗布液Rが供給されることによって貯留部に塗布液Rが補充される。
【0036】
ここで、貯留部に塗布液Rを補充した場合、貯留部内において塗布液Rの偏りが生じるおそれがある。特に、塗布装置1では、粘度が数1000cP程度の高粘度の塗布液Rが用いられる場合があるため、塗布液Rの偏りが生じ易い。貯留部内の塗布液Rに偏りがあると、スリットノズル30の吐出口6に作用する水頭圧が不均一となり、膜厚均一性が低下するおそれがある。このため、貯留部内に貯留された塗布液Rが平坦化したか否かを判定するために、貯留部内に貯留された塗布液Rの液面を検出することが好ましい。
【0037】
そこで、本実施形態に係る塗布装置1は、上述した第1照明部72、撮像部73、第2照明部74等を用いて、貯留部内に貯留された塗布液Rの液面を検出することとした。
【0038】
以下、スリットノズル30および周辺機器の構成について具体的に説明する。なお、本実施形態では、塗布液Rとして透明な塗布液を用いた場合の例について説明する。透明な塗布液としては、たとえばレジストなどがある。
【0039】
図3〜
図5は、スリットノズル30および周辺機器の構成を説明するための模式図である。また、
図6は、窓部39の模式正面図である。ここで、
図3に示すスリットノズル30は、
図4におけるBB矢視断面図で示したものであり、
図4に示すスリットノズル30は、
図3におけるAA矢視断面図で示したものである。また、
図5では、スリットノズル30を平面図で示している。
【0040】
図3および
図4に示すように、スリットノズル30は、長尺状の本体部3と、本体部3の内部において塗布液Rを貯留する貯留部4と、貯留部4からスリット状の流路5を介して送給される塗布液Rを吐出するスリット状の吐出口6とを備える。
【0041】
スリットノズル30の本体部3は、第1壁部31と、第2壁部32と、第3壁部33と、第4壁部34とを備える。
【0042】
第1壁部31および第2壁部32は、スリットノズル30の短手方向(ここでは、X軸方向)に面する壁部であり、所定の間隔を空けて互いに対向して配置される。
【0043】
第3壁部33および第4壁部34は、本体部3の長手方向(ここでは、Y軸方向)に面する壁部であり、第1壁部31および第2壁部32に連接し、所定の間隔を空けて互いに対向して配置される。
【0044】
また、スリットノズル30の本体部3は、スリットノズル30の天井部を構成する蓋部35と、第2壁部32と第1壁部31との対向面に配置される長尺状のランド部36とを備える。
【0045】
これら第1壁部31〜第4壁部34、蓋部35およびランド部36によって形成されるスリットノズル30の内部空間のうち、第1壁部31と第2壁部32とによって挟まれる空間が貯留部4である。また、第1壁部31とランド部36とによって挟まれる貯留部4よりも幅狭な空間が流路5である。流路5の幅は一定であり、流路5の先端に形成される吐出口6の幅も流路5と同一である。
【0046】
流路5の幅は、貯留部4の内部の圧力を貯留部4の外部の圧力と等しくした状態では、塗布液Rの表面張力が塗布液Rに作用する重力より小さくなり、所定の流量で塗布液Rが吐出口6から滴下するような値に設定されている。具体的には、流路5の幅は、予め行われる試験において、流路5の幅、塗布液Rの粘度、スリットノズル30の材質を変化させ、その場合の塗布液Rの状態を評価することにより求められる。
【0047】
蓋部35には、貯留部4に貯留された塗布液Rの液面および貯留部4の内壁面によって囲まれる密閉空間の圧力を測定する圧力測定部37と、密閉空間内の圧力を調整する圧力調整部110に接続された圧力調整管38とが、蓋部35を貫通してそれぞれ設けられる。圧力測定部37は、制御装置100に電気的に接続されており、測定結果が制御装置100へ入力される。
【0048】
なお、圧力測定部37は、スリットノズル30内の密閉空間に連通していればどのような配置であってもよく、たとえば第1壁部31を貫通して設けられてもよい。
【0049】
圧力調整部110は、真空ポンプなどの排気部111と、N2などのガスを供給するガス供給源112を、切替バルブ113を介して圧力調整管38に接続した構成となっている。かかる圧力調整部110も制御装置100に電気的に接続されており、制御装置100からの指令により切替バルブ113の開度を調整することで、排気部111またはガス供給源112のいずれかを圧力調整管38に接続して、貯留部4内部からの排気量を調整したり、貯留部4内に供給するガスの量を調整したりすることができる。これにより、塗布装置1は、圧力測定部37の測定結果、すなわち、貯留部4内の圧力が所定の値となるように調整することができる。
【0050】
かかる場合、貯留部4の内部を排気して貯留部4内の圧力を貯留部4外部の圧力よりも低くすることで、貯留部4内の塗布液Rを上方に引き上げ、吐出口6から塗布液Rが滴下するのを防ぐことができる。また、貯留部4内にガスを供給することで、塗布液Rの塗布後に貯留部4内に残留する塗布液Rを加圧して押し出したりパージしたりすることができる。
【0051】
塗布装置1は、貯留部4内に形成される密閉空間の圧力を制御しつつ、塗布液Rの基板Wへの塗布処理を行う。
【0052】
なお、圧力調整部110の構成については、本実施形態に限定されるものではなく、貯留部4内の圧力を制御することができれば、その構成は任意に設定できる。たとえば、排気部111とガス供給源112のそれぞれに圧力調整管38と圧力調整弁を設け、それぞれ個別に蓋部35に接続するようにしてもよい。
【0053】
また、
図3に示すように、スリットノズル30は、塗布液供給部120、中間タンク130、供給ポンプ140および加圧部150を含む塗布液供給系に接続される。
【0054】
塗布液供給部120は、塗布液供給源121と、バルブ122とを備える。塗布液供給源121は、バルブ122を介して中間タンク130に接続されており、中間タンク130に対して塗布液Rを供給する。また、塗布液供給部120は、制御装置100と電気的に接続されており、かかる制御装置100によってバルブ122の開閉が制御される。
【0055】
中間タンク130は、塗布液供給部120とスリットノズル30との間に介在するタンクである。かかる中間タンク130は、タンク部131と、第1供給管132と、第2供給管133と、第3供給管134と、液面センサ135とを備える。
【0056】
タンク部131は、塗布液Rを貯留する。かかるタンク部131の底部には、第1供給管132および第2供給管133が設けられる。第1供給管132は、バルブ122を介して塗布液供給源121に接続される。また、第2供給管133は、供給ポンプ140を介してスリットノズル30の第4壁部34に接続される。
【0057】
第3供給管134には、加圧部150が接続される。加圧部150は、N2などのガスを供給するガス供給源151と、バルブ152とを備え、タンク部131内へガスを供給することによってタンク部131内を加圧する。かかる加圧部150は、制御装置100と電気的に接続されており、かかる制御装置100によってバルブ152の開閉が制御される。
【0058】
また、液面センサ135は、タンク部131に貯留された塗布液Rの液面を検知する検知部である。かかる液面センサ135は、制御装置100と電気的に接続されており、検知結果が制御装置100へ入力される。
【0059】
供給ポンプ140は、第2供給管133の中途部に設けられており、中間タンク130から供給される塗布液Rをスリットノズル30へ供給する。かかる供給ポンプ140は、制御装置100と電気的に接続され、制御装置100によって塗布液Rのスリットノズル30への供給量が制御される。
【0060】
このように、スリットノズル30には、塗布液供給部120、中間タンク130、供給ポンプ140および加圧部150を含む塗布液供給系が接続されており、かかる塗布液供給系によってスリットノズル30の第4壁部34側から貯留部4内に塗布液Rが供給される。
【0061】
ここで、上述したように、塗布液Rは高粘度の流体である場合がある。このため、かかる塗布液Rを塗布液供給系から貯留部4内へ供給すると、
図3に示すように、塗布液Rは、塗布液供給系が接続される側、つまり、第4壁部34側に偏った状態で貯留部4に貯留されることとなる。
【0062】
図4に示すように、第1壁部31は、その一部が透明部材311で形成されており、貯留部4に貯留された塗布液Rを透明部材311を介して視認することができる。
【0063】
第1照明部72は、スリットノズル30の第1壁部31側に配置され、第1壁部31の透明部材311を介して貯留部4内を照明する貯留部用照明部である。第1照明部72の点灯・消灯および輝度は、制御装置100によって制御される。
【0064】
第1照明部72は、たとえばLED(Light Emitting Diode)面照明であり、貯留部4内部を一様に照明する。なお、第1照明部72が照射する光は、塗布液Rを劣化(たとえば、感光)させない波長を有する光であることが好ましい。
【0065】
また、第1壁部31と同様、第2壁部32もその一部が透明部材321で形成される。第2壁部32の透明部材321は、水平方向(ここでは、X軸方向)において第1壁部31の透明部材311と略同位置に設けられる。
【0066】
第2壁部32は、窓部39を備える。窓部39は、第2壁部32の外面に取り付けられる部材であり、
図4および
図6に示すように、本体部391と透明部材392とを備える。窓部39の透明部材392は、水平方向において第2壁部32の透明部材321と略同位置に配置される。これにより、貯留部4に貯留された塗布液Rを透明部材392,321を介して視認することができる。透明部材311,321,392は、たとえばガラスやアクリル樹脂等で形成される。
【0067】
なお、ここでは、第2壁部32および窓部39にそれぞれ透明部材321,392が設けられる場合の例について説明するが、第2壁部32には、必ずしも透明部材321が設けられることを要しない。たとえば、
図4に示す透明部材321が設けられる箇所が空洞であり、窓部39によって貯留部4内が密閉される構成であってもよい。
【0068】
撮像部73は、スリットノズル30の第2壁部32側、言い換えれば、窓部39側に配置され、透明部材392,321を介して貯留部4内を撮像する。撮像部73としては、たとえばCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いることができる。撮像部73によって撮像された画像データは、制御装置100へ入力される。
【0069】
第2照明部74は、撮像部73よりも上方に配置され、第2壁部32が備える窓部39の撮像部73との対向面を照明する第2壁部用照明部である。
【0070】
図6に示すように、窓部39の本体部391には、透明部材392の上部および下部にそれぞれ基準部位393,394が形成されている。基準部位393,394は、たとえば、本体部3の長手方向(ここでは、Y軸方向)に延在する溝部である。第2照明部74によって窓部39が照明されることにより、撮像部73は、窓部39の本体部391に形成された基準部位393,394を影として撮像することができる。
【0071】
第2照明部74は、窓部39の撮像部73との対向面に対して光を斜めに照射する。これにより、窓部39の撮像部73との対向面を正面から照明した場合と比較して、基準部位393,394を影として撮像し易くすることができる。なお、第2照明部74は、たとえば撮像部73の下方に配置されて、窓部39の撮像部73との対向面に対して光を斜めに照射してもよい。
【0072】
また、窓部39の本体部391は、第2照明部74からの光を反射し難い部材で形成されるか、あるいは、第2照明部74からの光を反射し難い加工が施される。このように、本体部391による反射を抑えることで、基準部位393,394の影をより明確に撮像することができる。
【0073】
基準部位393,394間の距離Dは既知であり、撮像部73によって撮像された基準部位393,394間の画素数から1画素あたりの寸法を算出することができる。かかる点については後述する。
【0074】
なお、ここでは、基準部位393,394が、窓部39の本体部391に形成された溝部である場合の例を示したが、基準部位393,394は、たとえば本体部391の他の部分と異なる色で彩色された部位であってもよい。また、ここでは、2つの基準部位393,394が設けられる場合の例を示したが、基準部位393,394は、3つ以上設けられてもよい。
【0075】
また、ここでは、第2壁部32が窓部39を備えることとしたが、第2壁部32は必ずしも窓部39を備えることを要しない。すなわち、第2壁部32自体に基準部位393,394が設けられてもよいし、第2壁部32自体に第2照明部74からの光を反射し難い加工を施してもよい。
【0076】
反射部材75は、下面部と、かかる下面部のY軸方向の辺に連接する両側面部とを有する部材であり、窓部39の両側方および下方を覆うように配置される。反射部材75は、第2照明部74によって照射された光を反射する部材であり、かかる光を反射し易いように、たとえば鏡面加工等が施される。かかる反射部材75を設けることで、基準部位393,394の影をより明確に撮像することができる。
【0077】
図5に示すように、第1照明部72、撮像部73、第2照明部74および反射部材75は、塗布液Rが供給される側、すわなち、スリットノズル30の第4壁部34側に寄せて配置される。上述したように、塗布液Rは、第2供給管133(
図3参照)が接続される第4壁部34側に偏った状態で貯留部4に貯留されることとなる。このため、第1照明部72、撮像部73、第2照明部74および反射部材75を第4壁部34側に寄せて配置することで、たとえば第3壁部33側に寄せて配置した場合と比較して、塗布液Rの液面が偏った状態や平坦化した状態をより適切に検出することができる。
【0078】
スリットノズル30および周辺機器は、上記のように構成されており、塗布装置1では、第1照明部72を用いて貯留部4内を照明しつつ、第2照明部74を用いて貯留部4内を撮像することにより、貯留部4内に貯留された塗布液Rの液面を検出する。
【0079】
かかる点について、第1照明部72を使用せずに第2照明部74による撮像を行った場合と比較しながら説明する。
図7Aは、第1照明部72を使用しない場合の液面の見え方を示す図であり、
図7Bは、第1照明部72を使用した場合の液面の見え方を示す図である。
【0080】
高粘度の流体である塗布液Rは、透明部材321(
図4参照)の壁面にへばりつきやすい。このように透明部材321の壁面に塗布液Rがへばりついている状態で、第1照明部72を使用せずに第2照明部74による撮像を行うと、
図7Aに示すように、透明部材321の壁面にへばりついた塗布液Rの先端部分Rcを塗布液Rの実際の液面Rfと誤検出してしまうおそれがある。
【0081】
これに対し、本実施形態に係る塗布装置1では、第1照明部72を用い、撮像部73が撮像する側とは反対側(背面側)から貯留部4内を照明する。これにより、貯留部4内に貯留された塗布液Rを透過した光と、透明部材321の壁面にへばりついた塗布液Rを透過した光とのコントラスト差を利用して、透明部材321の壁面にへばりついた塗布液Rを見え難くすることができる。この結果、透明部材321の壁面にへばりついた塗布液Rの先端部分Rcを誤検出することがなくなり、塗布液Rの液面Rfを適切に検出することができる。
【0082】
次に、制御装置100の構成について
図8を参照して説明する。
図8は、制御装置100の構成を示すブロック図である。なお、
図8では、制御装置100の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0083】
図8に示すように、制御装置100は、制御部160と、記憶部170とを備える。また、制御部160は、基準測定部161と、液面判定部162と、補充処理部163と、平坦化判定部164と、輝度切替部165とを備える。また、記憶部170は、第1閾値171と、第2閾値172と、輝度情報173とを記憶する。
【0084】
基準測定部161は、スリットノズル30の窓部39に形成された基準部位393,394を撮像し、かかる基準部位393,394の画像から1画素あたりの寸法を算出する処理部である。
【0085】
具体的には、基準測定部161は、第2照明部74(
図4参照)により窓部39の撮像部73との対向面を照明しつつ、かかる対向面に設けられた基準部位393,394を撮像部73で撮像する。上述したように、第2照明部74は、窓部39の対向面に対して斜めに光を照射する。このため、基準部位393,394を影として撮像し易くすることができる。
【0086】
つづいて、基準測定部161は、基準部位393,394間の実際の距離D(
図6参照)を、撮像部73によって撮像された画像における基準部位393,394間の画素数で割ることにより、1画素あたりの寸法を算出する。
【0087】
このように、1画素あたりの寸法を算出することで、後述する液面判定部162による液面判定処理において塗布液Rの液面の高さを数値で表すことが可能となる。
【0088】
液面判定部162は、撮像部73によって撮像された画像に基づき、貯留部4内に貯留された塗布液Rの液面を判定する処理部である。
【0089】
ここで、液面判定部162による液面判定処理の内容について
図9Aおよび
図9Bを参照して説明する。
図9Aおよび
図9Bは、液面判定処理の説明図である。
【0090】
図9Aに示すように、液面判定部162は、第1照明部72によって貯留部4内を照明しつつ、撮像部73によって貯留部4内を撮像する。これにより、上述したように透明部材321の壁面にへばりついた塗布液Rを見え難くすることができるため、液面の誤検出を防止することができる。
【0091】
ここで、撮像部73は、貯留部4内に貯留される塗布液Rの液面よりも上方に配置される。言い換えれば、貯留部4内に貯留される塗布液Rの量は、液面が撮像部73よりも高くならないように設定される。これにより、撮像部73は、常に塗布液Rの液面を斜め上方から撮像する状態となっている。
【0092】
したがって、
図9Bに示すように、撮像部73によって撮像される画像には、撮像部73から見て奥側(つまり、第1壁部31側)の液面ラインRf1と手前側(つまり、第2壁部32側)の液面ラインRf2が含まれる場合がある。
【0093】
液面判定部162は、撮像部73によって撮像された画像にこれら2つの液面ラインRf1,Rf2が含まれる場合に、画像の最も上方に位置する液面ラインRf1を塗布液Rの液面Rf(
図7B参照)として判定する。
【0094】
具体的には、撮像部73は、白黒の2階調で撮像を行い、液面判定部162は、撮像部73によって撮像された画像のヒストグラムを作成する。そして、液面判定部162は、作成したヒストグラムに対して閾値処理を行い、閾値以上のピークのうち画像の最も上方に位置するピークの位置を塗布液Rの液面Rfとして判定する。
【0095】
このように、画像の上側の液面ライン(ここでは、第1壁部31側の液面ラインRf1)を塗布液Rの液面Rfとして判定することで、仮に、貯留部4内に貯留された塗布液Rに泡が混入している場合であっても、かかる泡による液面Rfの誤検出を生じ難くすることができる。
【0096】
また、本実施形態では、透明な塗布液Rを用いることとしているが、不透明あるいは色付きの塗布液Rを用いた場合、第2壁部32側の液面ラインRf2が見えない可能性がある。これに対し、第1壁部31側の液面ラインRf1を塗布液Rの液面Rfとして判定することで、塗布液Rが透明であるか不透明・色付きであるかにかかわらず同様の判定結果を得ることができる。
【0097】
なお、ここでは、撮像部73が、貯留部4に貯留された塗布液Rの液面Rfの斜め上方から液面Rfを撮像する場合の例を示したが、撮像部73は、貯留部4に貯留された塗布液Rの液面Rfの斜め下方から液面Rfを撮像するものであってもよい。かかる場合、画像上では、第2壁部32側の液面ラインRf2が第1壁部31側の液面ラインRf1よりも上側に位置することとなるため、第2壁部32側の液面ラインRf2が塗布液Rの液面Rfとして判定される。
【0098】
また、液面判定部162は、液面Rfを判定した後、液面Rfの高さを算出する液面高さ算出処理を行う。ここで、液面高さ算出処理の内容について
図10Aおよび
図10Bを参照して説明する。
図10Aおよび
図10Bは、液面高さ算出処理の説明図である。
【0099】
図10Aに示すように、液面判定部162は、画像の左右両端部PL,PRおよび中央部PCの3箇所の液面高さをそれぞれ算出する。以下、具体的な算出手順について、左端部PLの液面高さを算出する場合を例に挙げて説明する。
【0100】
図10Bに示すように、左端部PLは、複数(ここでは、5つ)の領域PL1〜PL5に分割され、液面判定部162は、各領域PL1〜PL5における液面高さをそれぞれ算出する。液面高さは、画像の最下部から液面Rfまでの画素数に、基準測定部161によって算出された1画素あたりの寸法を乗じることにより算出される。
【0101】
つづいて、液面判定部162は、領域PL1〜PL5のうち、液面高さが最も高い領域および最も低い領域を除外したうえで、残りの領域の液面高さの平均値を左端部PLの液面高さとして算出する。たとえば、領域PL5の液面高さが最も高く、領域PL1の液面高さが最も低い場合、液面判定部162は、領域PL2〜PL4の液面高さの平均値を左端部PLの液面高さとして算出する。
【0102】
このように、液面高さが最も高い領域および最も低い領域を液面高さの算出対象から除外することで、たとえば塗布液Rに泡が混入した場合等に発生し得る液面高さの誤検出を防止することができる。
【0103】
液面判定部162は、上記と同様の手順により、右端部PRの液面高さおよび中央部PCの液面高さをそれぞれ算出する。そして、液面判定部162は、算出した左端部PL、右端部PRおよび中央部PCの液面高さを平坦化判定部164へ送る。
【0104】
なお、左右両端部PL,PRおよび中央部PCの分割数および分割幅は、適宜設定変更することができる。また、ここでは、左端部PL、右端部PRおよび中央部PCの3箇所の液面高さを算出することとしたが、液面判定部162は、たとえば左端部PLおよび右端部PRの2箇所の液面高さのみを算出することとしてもよい。
【0105】
また、液面判定部162は、右端部PRを分割した複数の領域のうち最も右側、すなわち、塗布液Rが供給される側の領域PR5の液面高さを補充処理部163へ送る。
【0106】
補充処理部163は、貯留部4への塗布液Rの補充開始および停止を制御する処理部である。
【0107】
まず、補充処理部163は、供給ポンプ140を動作させて、中間タンク130から貯留部4への塗布液Rの補充を開始する。
【0108】
このとき、補充処理部163は、圧力調整部110を用いて貯留部4内の圧力を調整しながら、貯留部4への塗布液Rの補充を行う。具体的には、補充処理部163は、貯留部4内の圧力を負圧に調整する。これにより、貯留部4内に残留する塗布液Rが吐出口6から漏れ出ることが防止される。そして、補充処理部163は、負圧に調整された貯留部4内の圧力を、液面判定部162から入力される液面高さに応じて徐々に低下させながら(すなわち、真空度を高めながら)、塗布液Rの補充を行う。
【0109】
このように、補充処理部163は、圧力調整部110を制御して、貯留部4の内部を負圧にし、さらに、負圧にした貯留部4の内部の圧力を徐々に低下させながら、貯留部4の内部へ塗布液Rを補充する。
【0110】
つづいて、補充処理部163は、液面判定部162から入力される液面高さ、すなわち、右端部PR(
図10A参照)の最も右側の領域PR5の液面高さが、記憶部170に記憶される第1閾値171に達すると、供給ポンプ140を停止し、貯留部4への塗布液Rの補充を停止する。
【0111】
第1閾値171は、所望の液面高さよりも高い値に設定される。具体的には、第1閾値171は、領域PR5の液面高さが第1閾値171に達したときに塗布液Rの補充を停止すれば、塗布液Rが平坦化した際に所望の液面高さになると予想される値であり、事前の実験等により決定される。
【0112】
本実施形態に係る塗布装置1では、塗布液Rの液面高さを数値化しているため、第1閾値171の値を変更することで、液面高さを任意に設定変更することが可能となる。
【0113】
平坦化判定部164は、液面判定部162による判定結果に基づき、貯留部4内の塗布液Rの液面が平坦化したか否かを判定する処理部である。
【0114】
具体的には、平坦化判定部164は、基準測定部161から左端部PL、右端部PRおよび中央部PCの液面高さを取得する。これらの液面高さは、上述したように、画像の一部分を複数の領域に分割し、液面高さが最も高い領域および最も低い領域を除外した残りの領域の液面高さの平均値をその一部分における液面高さとして算出したものである。平坦化判定部164は、これらの液面高さの高低差が記憶部170に記憶される第2閾値172未満となった場合に、貯留部4内の塗布液Rの液面が平坦化したと判定する。
【0115】
このように、塗布液Rの補充後において液面の高低差が最も出やすい左右両端部PL,PRを含む3箇所の液面高さを監視することで、液面の平坦化を適切に判定することができる。
【0116】
上述したように、本実施形態に係る塗布装置1では、塗布液Rの液面高さを数値化している。このため、第2閾値172の値を変更することによって許容される液面の平坦度合いを任意に設定変更することが可能となる。
【0117】
輝度切替部165は、記憶部170に記憶される輝度情報173に従って、第1照明部72の輝度を切り替える処理部である。
【0118】
具体的には、輝度情報173には、第1輝度と、かかる第1輝度よりも高輝度な第2輝度の2つの輝度が含まれる。第1輝度は、透明な塗布液R用に設定された輝度であり、第2輝度は、透明な塗布液R以外の塗布液R用に設定された輝度である。第2輝度は、第1輝度よりも高輝度である。
【0119】
輝度切替部165は、ユーザからの指示に応じて、これら第1輝度と第2輝度との間で、第1照明部72の輝度を切り替える。かかる点については、
図12を参照して後述する。
【0120】
次に、塗布装置1が実行する塗布液補充処理の処理手順について
図11を参照して説明する。
図11は、塗布液補充処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0121】
図11に示すように、塗布装置1では、まず、基準測定処理が行われる(ステップS101)。基準測定処理では、基準測定部161が、第2照明部74(
図4参照)により窓部39の撮像部73との対向面を照明しつつ、かかる対向面に設けられた基準部位393,394を撮像部73で撮像する。そして、基準測定部161は、実際の基準部位393,394間の距離D(
図6参照)を、撮像部73によって撮像された画像における基準部位393,394間の距離(画素数)で割ることにより、1画素あたりの寸法を算出する。その後、第2照明部74は消灯される。
【0122】
つづいて、塗布装置1では、液面判定処理が開始される(ステップS102)。液面判定処理では、液面判定部162が、第1照明部72によって貯留部4内を照明しつつ、撮像部73によって貯留部4内を撮像する。このとき、撮像部73は、白黒の2階調で撮像を行う。そして、液面判定部162は、撮像部73によって撮像された画像のヒストグラムを作成し、作成したヒストグラムに含まれる閾値以上のピークのうち画像の最も上側に位置するピークの位置を塗布液Rの液面として判定する。
【0123】
また、液面判定部162は、撮像画像のうち左端部PL,右端部PRおよび中央部PC(
図10A参照)の液面高さを算出して平坦化判定部164へ送るとともに、右端部PRの領域PR5の液面高さを補充処理部163へ送る。
【0124】
つづいて、塗布装置1では、補充処理部163が、塗布液Rの補充を開始する(ステップS103)。そして、補充処理部163は、領域PR5(
図10A参照)の液面高さが第1閾値171に達したか否かを判定し(ステップS104)、達したと判定した場合には(ステップS104,Yes)、塗布液Rの補充を停止する(ステップS105)。なお、補充処理部163は、領域PR5の液面高さが第1閾値171に達していない場合には(ステップS104,No)、領域PR5の液面高さが第1閾値171に達するまでステップS103の判定処理を繰り返す。
【0125】
つづいて、塗布装置1では、平坦化判定部164が貯留部4内の塗布液Rの液面Rfが平坦化したか否かを判定する(ステップS106)。具体的には、平坦化判定部164は、左端部PL、右端部PRおよび中央部PCの液面高さの高低差が第2閾値172未満となった場合に、貯留部4内の塗布液Rの液面Rfが平坦化したと判定する。平坦化判定部164は、塗布液Rの液面Rfが平坦化していない場合には(ステップS106,No)、塗布液Rの液面Rfが平坦化するまでステップS106の判定処理を繰り返す。
【0126】
そして、平坦化判定部164が塗布液Rの液面Rfが平坦化したと判定すると(ステップS106,Yes)、液面判定部162が液面判定処理を停止する(ステップS107)。具体的には、第1照明部72を消灯し、撮像部73による撮像を停止する。そして、ステップS107の処理を終えると、塗布装置1は、一連の塗布液補充処理を終了する。なお、塗布液補充処理が終了すると、塗布装置1では、スリットノズル洗浄部60(
図1参照)を用いてスリットノズル30の先端を拭き取ることによって、吐出口6の状態を整えるノズルプライミング処理、あるいは、
図2に示す塗布処理へ移行する。
【0127】
ところで、上述してきた実施形態では、塗布液Rとして透明な塗布液Rを用いた場合の例について説明したが、塗布液Rの中には、不透明なものや色付きのものなど透明以外の塗布液Rも存在する。そこで、透明な塗布液Rと透明以外の塗布液Rとにそれぞれ最適な液面判定処理時の撮像環境について
図12を参照して説明する。
図12は、塗布液Rの種類と、使用する照明部72,74、第1照明部72の輝度および撮像部73の撮像角度との関係を示す図である。
【0128】
図12に示すように、レジストなどの透明な塗布液Rを用いる場合には、上述してきたように、第1照明部72および第2照明部74のうち第1照明部72のみを使用し、第1照明部72を第1輝度に設定し、撮像部73の撮像角度が液面Rfに対して斜めであることが好ましい。
【0129】
一方、アンダーフィルなどの透明以外の塗布液Rを用いる場合には、第1照明部72および第2照明部74の両方を使用し、第1照明部72を第1輝度よりも高輝度な第2輝度に設定することが好ましい。なお、透明以外の塗布液Rを用いる場合、撮像部73の撮像角度は、液面Rfに対して水平であってもよい。
【0130】
塗布装置1では、たとえばユーザが塗布液Rの種別(透明または透明以外)を入力し、この入力結果に従って、液面判定部162および輝度切替部165が、それぞれ使用する照明部72,74および第1照明部72の輝度を切り替えることができる。これにより、液面判定処理において、透明な塗布液Rおよび透明以外の塗布液Rの撮像をそれぞれ最適な撮像環境で行うことができる。
【0131】
上述してきたように、本実施形態に係る塗布装置1は、スリットノズル30と、第1の移動機構20と、第1照明部72と、撮像部73とを備える。スリットノズル30は、長尺状の本体部3と、本体部3の内部において塗布液Rを貯留する貯留部4と、貯留部4からスリット状の流路5を介して送給される塗布液Rを吐出するスリット状の吐出口6とを備え、本体部3のうち互いに対向する第1壁部31および第2壁部32の少なくとも各一部が透明部材311,321で形成される。第1の移動機構20は、スリットノズル30を基板Wに対して相対的に移動させる。第1照明部72は、第1壁部31の透明部材311を介して貯留部4内を照明する。撮像部73は、第2壁部32の透明部材321を介して貯留部4内を撮像する。
【0132】
したがって、本実施形態に係る塗布装置1によれば、スリットノズル30内に貯留される塗布液Rの液面Rfを適切に検出することができる。
【0133】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。