(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像表示部を有する画像表示ユニット又はタッチパネルと、外周縁に沿う遮光部を有する保護パネルとを対向配置し、これらの間隙に光硬化性樹脂組成物を介在させて該光硬化性樹脂組成物を硬化させる画像表示用装置の製造方法であって、
前記間隙に請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像表示ユニット保護用光硬化性樹脂組成物を介在させ、少なくとも前記保護パネル面側から光照射を行って硬化させる画像表示用装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の光硬化性樹脂組成物、これを用いた画像表示用装置、及び画像表示用装置の製造方法を、実施の形態により詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
本明細書における「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び/又はそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及び/又はそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0012】
[光硬化性樹脂組成物]
本発明の光硬化性樹脂組成物は、(A)分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体、(B)分子内に1個のエチレン性不飽和結合を有する単量体、(C)光重合開始剤、及び(D)一般式(1)で表されるアミン化合物を含む。
以下、各成分について説明する。
【0013】
<(A)成分:分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体>
(A)分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合体としては、そのエチレン性不飽和結合の数は特に限定されないが、分子内に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するものが好ましく、また重合体部位はオリゴマーであることが好ましい。分子内に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するオリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するポリエステルオリゴマー、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するウレタンオリゴマー、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するブタジエンオリゴマー、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するイソプレンオリゴマー、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも特に、硬化性、密着性及び伸び率をより優れたものにする観点から、分子内に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するウレタンオリゴマーが好ましく、硬化収縮率の低減の観点からは、(メタ)アクリロイル基を2個有するウレタンオリゴマーがより好ましい。
【0014】
((A)成分の製造方法1)
(A)(メタ)アクリロイル基を2個以上有するウレタンオリゴマーは、例えば、(a1)ジオール化合物と、(a2)イソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られた化合物(以下、ウレタンオリゴマーと呼ぶ場合もある)に、(メタ)アクリロイル骨格を導入するための化合物を反応させることで得ることができる。
この(メタ)アクリロイル骨格を導入するための化合物としては、(a3)モノヒドロキシ(メタ)アクリレート、(a4)(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸、及び(a5)(メタ)アクリロイル基を有するモノイソシアネート化合物を用いるのが好ましい。
【0015】
〔(a1)ジオール化合物〕
(a1)ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテルジオール、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレンジオール、水添ポリブタジエンジオール、水添ポリイソプレンジオール等のポリオレフィンジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール、シリコーンジオール等が挙げられる。これらの中でも特に、応力・衝撃の緩和、透明性、接着性の観点からポリエーテルジオールが好ましく、ポリプロピレングリコールがより好ましい。
【0016】
〔(a2)イソシアネート基を有する化合物〕
上記(a2)イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、下記一般式(3)で表されるジイソシアネート化合物が挙げられる。
【0018】
(一般式(3)中、Xは2価の有機基を示す。)
上記一般式(3)中のXで示される2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキレン基;未置換若しくはメチル基等の炭素数1〜5の低級アルキル基で置換されているフェニレン基、ナフチレン基、キシリレン基、ジフェニルメタン−4,4'−ジイル基、ジフェニルスルホン−4,4'−ジイル基等のアリーレン基;水添ジフェニルメタン−4,4'−ジイル基などが挙げられる。
アルキレン基の炭素数は、より好ましくは1〜18であり、更に好ましくは6〜12である。
【0019】
上記一般式(3)で表されるジイソシアネート類としては、例えば、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート;3,2'−、3,3'−、4,2'−、4,3'−、5,2'−、5,3'−、6,2'−又は6,3'−ジメチルジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート;3,2'−、3,3'−、4,2'−、4,3'−、5,2'−、5,3'−、6,2'−又は6,3'−ジエチルジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート;3,2'−、3,3'−、4,2'−、4,3'−、5,2'−、5,3'−、6,2'−又は6,3'−ジメトキシジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,3'−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−3,4'−ジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート化合物及びこれらの水添物が挙げられる。また、一般式(3)で表されるジイソシアネート類としては、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート;ベンゾフェノン−4,4'−ジイソシアネート;ジフェニルスルホン−4,4'−ジイソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート;トリレン−2,6−ジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート;m−キシリレンジイソシアネート;p−キシリレンジイソシアネート;1,5−ナフタレンジイソシアネート;4,4'−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート;芳香族イソシアネート化合物が挙げられる。更に、一般式(3)で表されるジイソシアネート類としては、ヘキサメチレンジイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート;水添m−キシリレンジイソシアネート;リジンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式イソシアネートが挙げられる。これらのジイソシアネート類は、一般式(3)中のXが脂肪族基を有する基である脂肪族ジイソシアネート化合物を使用することが好ましい。これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを単独で又は上記イソシアネート類と組み合わせて使用することがより好ましく、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを単独で使用することが更に好ましい。なお、イソシアネート基を有する化合物として、一般式(3)で表されるジイソシアネート類と共に、三官能以上のポリイソシアネートを用いてもよい。
【0020】
また、上記一般式(3)で表されるジイソシアネート類は、経日変化を避けるために必要なブロック剤で安定化したものを使用してもよい。ブロック剤としては、ヒドロキシアクリレート、メタノールを代表とするアルコール、フェノール、オキシム等が挙げられるが、特に制限はない。
【0021】
〔(a1)ジオール化合物と(a2)イソシアネート基を有する化合物との配合割合〕
上記(a1)ジオール化合物と、(a2)イソシアネート基を有する化合物とを反応させる際の配合割合は、生成するウレタンオリゴマーの数平均分子量、及び生成するウレタンオリゴマーの末端を水酸基にするかイソシアネート基にするかによって適宜調整される。
【0022】
ウレタンオリゴマーの末端をイソシアネート基にする場合、イソシアネート基数と水酸基数との比率(イソシアネート基数/水酸基数)が1.01以上になるように、(a1)ジオール化合物と(a2)イソシアネート基を有する化合物との配合割合を調整することが好ましく、数平均分子量を大きくする観点からは2未満に調整することが好ましい。このような比率にすることにより、末端がイソシアネート基であるウレタンオリゴマーができる。
このように末端がイソシアネート基であるウレタンオリゴマーの場合、(メタ)アクリロイル骨格を導入するための化合物としては、例えば、(a3)モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
【0023】
一方、ウレタンオリゴマーの末端を水酸基にする場合、水酸基数とイソシアネート基数との比率(水酸基数/イソシアネート基数)が1.01以上になるように、(a1)ジオール化合物と(a2)イソシアネート基を有する化合物との配合割合を調整することが好ましく、数平均分子量を大きくする観点からは2未満に調整することが好ましい。
このように末端が水酸基であるウレタンオリゴマーの場合、(メタ)アクリロイル骨格を導入するための化合物として、(a4)(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸類や(a5)(メタ)アクリロイル基を有するモノイソシアネート化合物のような水酸基と反応可能な化合物を用い、これら化合物とウレタンオリゴマーの末端の水酸基とを反応させることで、(メタ)アクリロイル基を2つ有するウレタンオリゴマーを得ることができる。
【0024】
〔(a3)モノヒドロキシ(メタ)アクリレート〕
上記(a3)モノヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、上記各(メタ)アクリレートのカプロラクトン又は酸化アルキレン付加物、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリルレート、2−アクリロキシエタノールが挙げられる。これらのうち、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレートが更に好ましい。これらのモノヒドロキシ化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
〔(a4)(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸類〕
(a4)(メタ)アクリロイル基を有するモノカルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸が挙げられる。
〔(a5)(メタ)アクリロイル基を有するモノイソシアネート化合物〕
(a5)(メタ)アクリロイル基を有するモノイソシアネート化合物としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、前記(a1)ジオール化合物と前記(a5)(メタ)アクリロイル基を有するモノイソシアネート化合物とを反応させて得られた化合物も、(メタ)アクリロイル基を2個以上有するウレタンオリゴマーとする。
【0026】
((A)成分の製造方法2)
また、(メタ)アクリロイル基を有するウレタン重合体は、上記以外の方法で製造することもできる。
(メタ)アクリロイル基を有するウレタン重合体の上記以外の製造方法としては、例えば、(a1)ジオール化合物と、(a3)モノヒドロキシ(メタ)アクリレートを各々所定量混合し、所定の温度に昇温した後、(a2)イソシアネート基を有する化合物の所定量を所定の時間かけて、(a1)成分と(a3)成分の混合物中に加えて反応させることでも得ることができる。
なお、(A)分子内に2個以上のエチレン性不飽和結合を有するオリゴマーは、上述の成分を用いて従来公知の方法、例えば、p−メトキシフェノール等の重合禁止剤及びジブチル錫ジラウレート等の触媒の存在下で上述の成分を反応させる方法で製造することができる。
光硬化性樹脂組成物における(A)成分の含有量は、可とう性、作業性、及び硬化収縮率を小さくする観点から、光硬化性樹脂組成物の総量に対して、60〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることがより好ましく、75〜90質量%であることが特に好ましい。
【0027】
((A)成分の物性)
本発明において、(A)分子内に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する重合体の重量平均分子量は、硬化性、可とう性、及び作業性の観点から、1,000〜40,000であることが好ましく、3,000〜30,000であることがより好ましく、5,000〜25,000であることが更に好ましく、5,000〜20,000であることがより更に好ましい。
【0028】
なお、本明細書において(A)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した値とする。また、数平均分子量、重量平均分子量及び分散度は、(A)成分中に分子量Miの分子がNi個存在するとして、以下のように定義される。
(a)数平均分子量(Mn)
Mn=Σ(N
iM
i)/ΣNi=ΣX
iM
i
(X
i=分子量M
iの分子のモル分率=N
i/ΣN
i)
(b)重量平均分子量(Mw)
Mw=Σ(N
iM
i2)/ΣN
iM
i=ΣW
iM
i
(W
i=分子量M
iの分子の重量分率=N
iM
i/ΣN
iM
i)
(c)分子量分布(分散度)
分散度=Mw/Mn
【0029】
<(B)成分:分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する単量体>
(B)成分である分子内に1個のエチレン性不飽和基を有する単量体は、常温(25℃)で液状であることが好ましく、下記一般式(4)で表される(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【化5】
式(4)中、R
5は水素原子又はメチル基を示し、Yは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、R
6は水素原子又は1価の有機基を示し、rは0〜10の整数である。
上記一般式(4)で表される(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールやトリエチレングリコール等のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジプロピレングリコールやトリプロピレングリコール等のポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジブチレングリコールやトリブチレングリコール等のポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブチルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ペンチルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキシルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘプチルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクチルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、デシルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化収縮率及び透過率の観点からは、上記一般式(4)中のR
6が下記の構造式(5)、(6)又は一般式(7)に示す有機基であることがより好ましい。
【化6】
(一般式(7)中、R
7は水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
前記ジシクロペンテニルアクリレートはFA−511Aとして、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートはFA−512Aとして、ジシクロペンタニルアクリレートはFA−513Aとして、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレートはFA−512Mとして、ジシクロペンタニルメタクリレートはFA−513M(いずれも日立化成工業(株)社製)として、それぞれ商業的に入手可能である。
また、前記一般式(4)においてR
6が一般式(7)である場合、R
5が水素原子であり、R
7が水素原子であり、rが1である化合物は、FA−310A(日立化成工業(株)製、商品名)として、また、R
5が水素原子であり、R
7がノニル基であり、rの平均値が4である化合物は、FA−314A(日立化成工業(株)製、商品名)としてそれぞれ商業的に入手可能である。
接着強度及び信頼性をより向上できる観点から、上記一般式(4)で表される化合物と、(メタ)アクリルアミド系化合物を併用することが好ましい。
前記(メタ)アクリルアミド系化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド;アクリロイルモルホリン等のモルホリン基含有(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド(イソボルニルアクリレート)等が挙げられる。
【0030】
なお、本発明において単量体とは、分子量が1,000未満であるものをいう。
(B)成分の分子量は、特に限定されないが、60〜900が好ましく、80〜600がより好ましく、100〜300が更に好ましい。単量体の分子量は、組成式における構成原子の原子量から計算されるものとする。
光硬化性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、硬化収縮率を小さくする観点から、光硬化性樹脂組成物の総量に対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが特に好ましい。
【0031】
<(C)成分:光重合開始剤>
本発明における光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N'−テトラメチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N−テトラエチル−4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4'−ジメチルアミノベンゾフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等の芳香族ケトン化合物、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、β−(アクリジン−9−イル)アクリル酸のエステル化合物、9−フェニルアクリジン、9−ピリジルアクリジン、1,7−ジアクリジノヘプタン等のアクリジン化合物、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンジル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モリホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパン等が挙げられる。
【0032】
また、特に、光硬化性樹脂組成物を着色させないものとしては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)及びこれらを組み合わせたものが好ましい。
また、特に厚いシートを作製するためには、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を含む光重合開始剤が好ましい。
【0033】
本発明で用いる(C)光重合開始剤の含有量は、硬化性の観点から光硬化性樹脂組成物の総量に対して、0.5〜10質量%が好ましく、0.8〜7質量%であることがより好ましく、1〜4質量%であることが更に好ましく、1〜2質量%であることが特に好ましい。
【0034】
<(D)成分:一般式(1)で表されるアミン化合物>
本発明で用いる(D)成分は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【化7】
(一般式(1)中、R
1は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、nは1〜10の整数を示し、R
2は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は下記一般式(1−1)に示される有機基を示す。)
【化8】
(一般式(1−1)中、R
aは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
これらの中でも、R
2は一般式(1−1)に示される有機基であることが好ましく、光硬化性樹脂組成物のブリードアウト抑制及び黄変性抑制の観点からは、R
1がメチル基であり、R
2は一般式(1−1)に示される有機基であり、R
aがメチル基であり、nが2〜8であることが好ましい。
これら一般式(1)の化合物は具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−エチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アジペート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)グルテート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)スクシネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、プロピル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケートなどが挙げられる。
これらの化合物は、例えば、TINUVIN 292、TINUVIN 765、TINUVIN 770 DF(以上、BASF社製)として、商業的に入手可能である。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる(D)成分である一般式(1)で表されるアミン化合物の含有量は、硬化後のブリードアウト抑制及び黄変性抑制の観点から、光硬化性樹脂組成物の総量に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%であることがより好ましく、0.3〜3質量%であることが特に好ましい。
【0035】
<(E)成分:一般式(2)で表されるチオール化合物>
本発明の光硬化性樹脂組成物は、(E)成分として、下記一般式(2)で表される化合物を含むことが好ましい。これにより、遮光部の硬化性をより優れたものにすることができる。
【0036】
【化9】
(一般式(2)中、R
3及びR
4は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、qは0〜3の整数を示し、pは1〜6の整数を示し、Aはp価の有機基を示す。)
樹脂組成物の安定性の観点からは、q=1であり、R
3がメチル基であり、R
4が水素原子である、下記一般式(8)で表される2級チオール化合物が好ましい。
【0037】
【化10】
(一般式(8)中、Aはr価の有機基を示し、rは1〜6の整数を示す。)
このような化合物としては、例えば、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等が挙げられる。これらの化合物は、カレンズMT(登録商標)シリーズ(カレンズMT BD1、カレンズMT NR1、カレンズMT PE1等)として、昭和電工(株)から入手可能である。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いる(E)成分である一般式(2)で表されるチオール化合物の含有量は、遮光部の硬化性及び耐湿熱信頼性の観点から樹脂組成物中の全成分の総量に対して、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。
尚、(D)成分である一般式(1)で表されるアミン化合物を用いず、(E)成分の一般式(2)で表されるチオール化合物を光硬化性樹脂組成物に用いる場合、光硬化後の高温高湿条件下における光硬化性樹脂組成物のブリードアウトが顕著になる傾向になる。しかし、一般式(1)で表されるアミン化合物を用いることで、一般式(2)で表されるチオール化合物を含有しても、光硬化後の高温高湿条件下における光硬化性樹脂組成物のブリードアウトを抑制できる。
【0038】
本発明による光硬化性樹脂組成物には、必要に応じて安定剤などを任意に添加することができる。前記安定剤は、光硬化性樹脂組成物の安定性を向上させる目的で添加するものであり、例えば、亜燐酸トリフェニルなどが挙げられる。
また、本発明においては、耐湿熱信頼性、及び硬化物中の気泡発生を抑制する観点から、有機溶媒(溶剤)は実質的に含まない方が好ましい。
「実質的に」とは、本発明の光硬化性樹脂組成物の光硬化後の特性を著しく低下させない程度で、有機溶媒が光硬化性樹脂組成物中に微量(1質量%以下)に存在してもよいことを意味するが、好ましくは含有しないことである。ここで有機溶媒とは、分子内にエチレン性不飽和基を有さず、25℃において液状であり、且つ、大気圧における沸点が250℃以下の有機化合物とする。
【0039】
本発明の光硬化性樹脂組成物の粘度(25℃)は、硬化前にパネル間に介在させる際のブリードアウト及び作業性の観点から、500〜5000mPa・sであることが好ましく、1,000〜5,000mPa・sであることがより好ましく、2,000〜4,000mPa・sであることが更に好ましい。粘度は、EHD型回転粘度計(東京計器(株)製)より、3°コーン ローター(cone rotor)を用いて0.5rpmで測定した値とする。
本発明の硬化性樹脂組成物は、画像表示ユニット保護用組成物として使用される。
また、硬化性樹脂組成物の硬化後の透過率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上が更に好ましい。透過率の測定方法は、実施例記載の方法による。
【0040】
[画像表示用装置]
本発明の画像表示用装置は、画像表示部を有する画像表示ユニットと、外周縁に沿う遮光部を有する保護パネルと、前記画像表示ユニットと前記保護パネルとの間に存在する樹脂層とを含む積層構造を有する画像表示用装置であって、前記樹脂層が、上記の光硬化性樹脂組成物の硬化物であるものである。
また、本発明の画像表示用装置は、画像表示部を有する画像表示ユニットと、タッチパネルと、外周縁に沿う遮光部を有する保護パネルと、前記タッチパネルと前記保護パネルとの間に存在する樹脂層とを含む積層構造を有する画像表示用装置であって、前記樹脂層が、上記の光硬化性樹脂組成物の硬化物であるものである。
この画像表示用装置の製造方法は、画像表示部を有する画像表示ユニット又はタッチパネルと、外周縁に沿う遮光部を有する保護パネルとを対向配置し、これらの間隙に光硬化性樹脂組成物を介在させて該光硬化性樹脂組成物を硬化させる画像表示用装置の製造方法であって、上記の光硬化性樹脂組成物を介在させ、少なくとも前記保護パネル面側から光照射を行って硬化させるものである。
次に、画像表示用装置の一例である液晶表示装置について説明する。
【0041】
<液晶表示装置>
図1は、液晶表示装置の一実施形態を模式的に示す側面断面図である。
図1に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた樹脂層32と、その表面に設けられた透明保護基板(保護パネル)40とから構成される。樹脂層32は、本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化体から構成される。
【0042】
図2は、液晶表示装置の一実施形態である、タッチパネルを搭載した液晶表示装置を模式的に示す側面断面図である。
図2に示す液晶表示装置は、バックライトシステム50、偏光板22、液晶表示セル10及び偏光板20がこの順で積層されてなる画像表示ユニット1と、液晶表示装置の視認側となる偏光板20の上面に設けられた樹脂層32と、樹脂層32の上面に設けられたタッチパネル30と、タッチパネル30の上面に設けられた樹脂層31と、その表面に設けられた透明保護基板40とから構成される。樹脂層31,32は、本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化体から構成される。
なお、
図2の液晶表示装置においては、画像表示ユニット1とタッチパネル30との間、及びタッチパネル30と透明保護基板40との間の両方に樹脂層が介在しているが、樹脂層はこれらの少なくとも一方に介在していればよい。また、タッチパネルがオンセルとなる場合は、タッチパネルと液晶表示セルが一体化される。その具体例としては、
図1の液晶表示装置の液晶表示セル10が、オンセルで置き換えられたものが挙げられる。
図2おいて、外周縁に沿う遮光部を有する保護パネルを用いる場合、少なくとも樹脂層31は本発明の光硬化性樹脂組成物を用いることが特に好適である。
前記樹脂層31又は32の光透過率は、可視光領域(波長:380〜780nm)の光線に対して90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
【0043】
図1及び2に示す液晶表示装置によれば、本発明の光硬化性樹脂組成物の硬化体を樹脂層31又は32として備えるので、耐衝撃性を有し、二重写りがなく鮮明でコントラストの高い画像が得られる。
【0044】
液晶表示セル10は、当技術分野で周知の液晶材料から構成されるものを使用することができる。また、液晶材料の制御方法によって、TN(Twisted Nematic)方式、STN(Super−twisted nematic)方式、VA(Virtical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等に分類されるが、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルであってもよい。
偏光板20及び22としては、当技術分野で一般的な偏光板を使用することができる。それら偏光板の表面は、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、偏光板の片面に対して、又はその両面に対して実施されていてよい。
タッチパネル30としては、当技術分野で一般的に用いられているものを使用することができる。
樹脂層31又は32は、例えば0.02mm〜3mmの厚さで形成することができる。特に、本発明の光硬化性樹脂組成物においては厚膜に対して有効であり、0.1mm以上の樹脂層31又は32を形成する場合に好適に用いることができる。
透明保護基板40としては、一般的な光学用透明基板を使用することができる。その具体例としては、ガラス板、石英板等の無機物の板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等の樹脂板、厚手のポリエステルシート等の樹脂シートが挙げられる。高い表面硬度が必要とされる場合にはガラス、アクリル樹脂等の板が好ましく、ガラス板がより好ましい。
これらの透明保護基板の表面には、反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていてもよい。そのような表面処理は、透明保護基板の片面に対して、又は両面に対して実施されていてよい。透明保護基板は、その複数枚を組み合わせて使用することもできる。
バックライトシステム50は、代表的には反射板等の反射手段とランプ等の照明手段とから構成される。
【0045】
上述の
図1の液晶表示装置は、画像表示ユニット1と透明保護基板(保護パネル)40との間に上記本発明の光硬化性樹脂組成物を介在させる工程と、上記保護パネル40面側から光照射して上記光硬化性樹脂組成物を硬化させ、樹脂層32を形成する工程と、を含む製造方法により製造することができる。
画像表示ユニット1と保護パネル40との間に、光硬化性樹脂組成物を介在させる方法としては、例えばディスペンサーを用いて、画像表示ユニット1又は保護パネル40上に光硬化性樹脂組成物を塗布した後に真空(減圧)又は大気圧で貼合する方法や、一定の間隔を開けて配置された画像表示ユニット1及び保護パネル40の間に光硬化性樹脂組成物を注型する方法が挙げられる。なお、光硬化性樹脂組成物を注型する際には、画像表示ユニット1及び保護パネル40の周囲にダム(光硬化性樹脂組成物の流出を防止するための枠体)を形成してもよい。
【0046】
上述の
図2の液晶表示装置は、画像表示ユニット1と前記タッチパネル30との間、及び/又は、前記タッチパネル30と前記保護パネル40との間に上記本発明の光硬化性樹脂組成物を介在させる工程と、上記保護パネル40面側から光照射して上記光硬化性樹脂組成物を硬化させ、樹脂層32,31を形成する工程と、を含む製造方法により製造することができる。光硬化性樹脂組成物を介在させる方法としては、上述の
図1の液晶表示装置の場合と同様の方法が挙げられる。
【0047】
上記光照射は、例えば、紫外線照射装置を用いて、露光量500mJ/cm
2〜5000mJ/cm
2の条件で行うことができる。なお露光量とは、オーク社製 紫外線照度計UV−M02(受光器:UV−36)等で測定できる照度に照射時間(秒)を掛けた値をいう。また、紫外線照射用の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等であってよいが、高圧水銀灯、又はメタルハライドランプを使用することが好ましい。
なお、光照射の際は、保護パネル40面側からの照射と、側面から照射を併用してもよい。
また、光照射と同時に光硬化性樹脂組成物を含む積層体を加熱する等して、硬化を促進させることもできる。
【0048】
以上、本発明の光硬化性樹脂組成物を用いることにより製造することが可能な液晶表示装置について説明したが、本発明の光硬化性樹脂組成物を用いることにより製造することが可能な画像表示用装置はこれに限られず、プラズマディスプレイ(PDP)、陰極線管(CRT)、電界放出ディスプレイ(FED)、有機ELディスプレイ、3Dディスプレイ、電子ペーパー等に適用することも可能である。
【実施例】
【0049】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが本発明は以下の実施例に制限するものではない。
まず、本発明を適用した画像表示用装置に使用し得る光硬化性樹脂組成物の作製例について以下に説明する。
尚、以下の合成例において、重量平均分子量の測定は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒としたゲルパーミエーションクロマトフラフィー(GPC)を使用して行い、ポリスチレンを標準物質として決定した。以下にGPC条件を示す。
(GPC条件)
測定機器:HLC−8320GPC[東ソー(株)]
分析カラム:TSKgel SuperMultipore HZ−H(3本連結)
[東ソー(株)]
ガードカラム:TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H[東ソー(株)]
溶離液:THF
測定温度:25℃
【0050】
(合成例1:ポリウレタンアクリレートオリゴマーの合成)
冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管のついた反応容器にポリプロピレングリコール(分子量2,000)155質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート17.9質量部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.5質量部及び触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05質量部をとり、空気を流しながら70℃に昇温後、70〜75℃で攪拌しつつ2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート32.4質量部を2時間かけて均一となるよう滴下し、反応を行った。
滴下終了後、5時間反応させたところで、IR測定の結果、イソシアネートが消失したことを確認して反応を終了し、ポリプロピレングリコールとトリメチルヘキサメチレンジイソシアナートを繰り返し単位として有し、両末端にエチレン性不飽和結合を有するポリウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量7,000)を得た。このポリウレタンアクリレートオリゴマーにおける1分子あたりのエチレン性不飽和結合数の平均値は2(仕込み量からの計算値)であった。
【0051】
(実施例1)
(A)成分を主要成分として含有する合成例1で得たポリウレタンアクリレートオリゴマー80質量部、(B)成分としてFA−314A5質量部及びアクリロイルモルホリン2質量部、(C)成分としてジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド(光重合開始剤)(LAMBSON社製、商品名SPEEDCURE TPO)1質量部、(D)成分としてTINUVIN292(BASF社製,商品名,ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(75質量%)とメチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート(25質量%)との混合物)1質量部、(E)成分として下記構造式(9)であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(2級チオール)(昭和電工(株)製、商品名カレンズMT(登録商標)PE1)5質量部を秤量し、撹拌混合して、光硬化性樹脂組成物を調製した。この樹脂組成物の評価結果を表1に示した。
【0052】
【化11】
【0053】
〔実施例2〜7、比較例1〕
表1に示す配合比で各成分を配合し、実施例1と同様にして液状硬化性樹脂組成物を調製した。
各実施例及び各比較例で得られた各樹脂組成物及びそれを硬化した透明シートについての試験方法を以下に示す。
【0054】
(遮光部硬化幅)
作製した樹脂組成物を16センチ角のガラス基板に滴下し、膜厚175μmとなるように175μmのスペーサを介してもう一枚の16センチ角のガラス基板を貼合し、一方のガラス基板側から紫外線照射装置を用いて紫外線を2,000mJ/cm
2 照射して試験片を得た。このとき紫外線照射側のガラス基板片側を8cm×16cmの200〜800nmの透過率0%である黒セラミックで遮光部を形成し、樹脂組成物側の面に設置した。
試験片の片側のガラスを剥がし、遮光部部分の樹脂組成物が完全に膜になっている幅をノギスにより測定し、この数値を遮光部硬化幅とした。
【0055】
(耐ブリードアウト性)
ガラスに樹脂組成物を滴下し、膜厚175μmとなるようにもう一枚のガラスを貼り合わせ、紫外線照射装置を道いて紫外線を2,000mJ/cm
2 照射して樹脂組成物が硬化した透明基板を作製した。作製した透明基板を高温高湿(85℃・85%)下に500時間保存した。500時間後、硬化した樹脂組成物がガラス基板間から全く染み出さない場合をブリードアウトへの耐性が良好である(○)とし、染み出している場合をブリードアウトへの耐性が低い(×)とした。
【0056】
(耐黄変性)
耐ブリードアウト性で作製した透明基板を高温高湿(85℃・85%)下に500時間保存する前後の色度b*を分光光度計(島津製作所製UV−2400PC)を用いて測定した。作製した透明基板を高温高湿(85℃・85%)下に500時間保存する前後の色度b*の差Δb*が0.5以下の場合は耐黄変性が良好である(○)とし、Δb*が0.5より大きい場合は耐黄変性が悪い(×)とした。
【0057】
(硬化収縮率)
PETフィルム(東洋紡績(株)A4100、86mm×56mm×100μm)に樹脂組成物を滴下し、膜厚175μmとなるように175μmのスペーサを介してもう一枚の同様のPETフィルムを貼り合わせ、紫外線照射装置を用いて一方のPETフィルム側から紫外線を2,000mJ/cm
2 照射して樹脂組成物が硬化した透明シートを作製した。得られた3層積層体(PETフィルム/透明シート/PETフィルム)から透明シートを剥がし取り、この透明シートと、硬化前の樹脂組成物の比重を、電子比重計(アルファーミラージュ(株)SD−200L)を用いて測定し、下式より硬化収縮率を算出した。
硬化収縮率(%)={(硬化後の樹脂組成物の比重−硬化前の樹脂組成物の比重)/硬化前の樹脂組成物の比重}×100
【0058】
(粘度)
各実施例及び各比較例で得られた各樹脂組成物の粘度をE型粘度計(東機産業(株)製RE−80L)により、3°cone rotorを用いて0.5rpmで25℃における粘度を測定した。
【0059】
(透過率)
PETフィルム(東洋紡績(株)A4100、86mm×56mm×100μm)に樹脂組成物を滴下し、膜厚175μmとなるように175μmのスペーサを介してもう一枚の同様のPETフィルムを貼り合わせ、紫外線照射装置を用いて一方のPETフィルム側から紫外線を2,000mJ/cm
2 照射して樹脂組成物が硬化した透明シートを作製した。PET2層体を透過率のベースラインとして、得られた3層積層体(PETフィルム/透明シート/PETフィルム)から透明シートを剥がし取り、この透明シートの透過率を、分光光度計((株)島津製作所製UV−2400PC)を用いて測定した。透過率は400nmのときの透過率を評価した。
【0060】
各実施例及び比較例の試験結果をまとめて表1に示した。
【0061】
【表1】