(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の発光装置は、主として、基板と、発光素子と、第1樹脂と、第2樹脂とを備える。
(基板)
基板は、少なくとも、基体と、この基体の上に設けられた複数の配線部と、配線部上に設けられた被覆膜を備える。
基体は、発光装置の母体となる部材であり、目的や用途等に応じて、適切な材料を用いて形成することができる。材料としては、発光素子の実装、光反射率、他の部材との密着性などを考慮して、適宜選択することができ、例えば、プラスチック、ガラス、セラミックス等の絶縁性材料で構成されたものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミドなどの樹脂が好ましい。特に、発光素子の実装にはんだを用いる場合には、耐熱性の高いポリイミドを用いることがより好ましい。また、基体を形成する材料に、光反射率の高い材料(例えば、酸化チタン等の白色フィラーなど)を含有させていてもよい。
基体の厚みは特に限定されることなく、例えば、10μm〜数mm程度の厚みとすることができる。基体は、可撓性を有するものであってもよく、その場合には、10μm〜100μm程度が挙げられる。
【0010】
基体は、目的や用途等に応じて、適切な形状(大きさ、長さ)とすることができる。例えば、四角形、長方形、多角形、円形、楕円形及びそれらを組み合わせた形状等が挙げられる。本発明の発光装置を直管の蛍光灯などに使用する場合には、短手方向の幅に比して、10倍以上の長さを有するような長尺形状とするのが好ましい。具体的には、約120cmの直管型の照明とする場合、幅が0.5cm〜5cmで、長さが30cm〜120cmの基体などとすることができる。特に、可撓性の基体を用いる場合、湾曲又は屈曲など、変形させて用いることができるため、直管型照明の幅、長さよりも、数mm〜数cm程度の大きいものを用いることができる。
また、可撓性の基体の場合は、このような長尺形状の基体(基板)を、複数個分合わせてロール・to・ロール方式で製造することができる。この場合、基体にスプロケットホールを有していてもよい。
【0011】
複数の配線部は、外部電源を接続可能とする導電部材であり、基体の一面上に配置され、発光素子に直接または間接的に接続される。配線部は、例えば、銅及びアルミニウム等の金属又は合金の単層又は積層構造の導電性薄膜によって形成することができる。配線部は、基体の一面上のみならず、基板の種類によっては、その内部又は他面に配置されていてもよい。
配線部の厚みは特に限定されるものではなく、当該分野で通常使用される基板が備える配線部の厚みを適用することができる。例えば、数μm〜数mm程度が挙げられる。特に、上述したように、可撓性を有する基体を用いる場合には、配線部は、その可撓性を損なわない厚みであることが好ましく、例えば、8μm〜150μm程度の厚みとすることができる。
【0012】
複数の配線部の形状(パターン)は、特に限定されるものではなく、通常、発光素子を搭載する基板等における配線の形状又はパターンと同様又は準じた形状等が挙げられ、さらに放熱性及び/又は強度等を考慮して、その形状を設定することが好ましい。例えば、クランク形状、三角形、四角形等の多角形、円、楕円等の角のない形状、これらの形状に部分的に凹凸を有する形状等の1種又はこれらを組み合わせて利用することができる。なお、配線部の角部は、丸みを帯びていることが好ましい。
【0013】
複数の配線部は、互いに離間するように配置されるとともに、発光素子に直接または間接的に電気的に接続される配線部(つまり、導電に寄与する配線部)に加えて、同様又は異なる形状等であって、通電に寄与しない配線部が配置されていてもよい。この通電に寄与しない配線部は、放熱部材又は発光素子を載置部として機能させることができる。例えば、基体が長方形の場合には、この通電に寄与しない配線部は、長手方向の端部まで延長されるとともに、短手方向において、配線部の両側に配置されることが好ましい。また、配線部には、外部接続用の端子を配置しておくことができる。例えば、コネクタなどを配置し、外部電源から発光素子に給電することができる。
このような配線部は、特に、可撓性を有する基体に配置される場合は、その一部を基体の略全体に配置(好ましくは、切れ目なく配置)させることにより、基板が湾曲した場合などの発光素子及び第2樹脂への応力負荷を軽減することができる。具体的には、長尺形状の基体を用いる場合、その長手方向において長く配置させることが好ましく、長手方向の1/3〜1倍の長さで配置させることがより好ましい。
【0014】
導電に寄与し得る配線部は、正側端子と負側端子とによって構成されていればよく、一対の端子のそれぞれを構成する配線部の数は特に限定されない。例えば、一対の端子のそれぞれが、1つの端子のみによって構成されていてもよいし、複数の端子によって構成されていてもよい。
導電に寄与し得る配線部は、例えば、一対の外部配線に接続されることが好ましい。これによって、外部配線から電力が供給される。また、一対の外部配線は公知のコネクタ(図示せず)等に接続されていることが好ましい。
【0015】
このように、配線部は、比較的大面積で、種々の形状を有する配線部を組み合わせて配置することにより、発光装置の配置自由度を高めることができる。例えば、基体が長方形の場合には、長手方向に3個ずつ、短手方向に2個ずつ並べられた6個の発光素子を1ブロックとして並列に接続し、長手方向に並べられた12ブロックを一対の端子として機能し得る配線部によって直列に接続することなどが可能になる。また、基体が略正方形、円形又は楕円形状であり、1つの発光素子を通常の正負それぞれの配線部に接続したものであってもよい。
また、配線部は、基体の一面において、できるだけ広い面積で設けられることにより、放熱性を高めることができる。
【0016】
なお、基体の一表面において、複数の配線部は、それぞれ分離されているため、その分離のために、配線部が設けられていない溝部(すなわち、基体が露出している部分)を有していることになる。溝部は、配線部間に配置されることから、その形状は配線部の形状に対応しており、例えば、クランク形状が挙げられる。溝部の幅は、配線部の幅より狭いこと、言い換えると、配線部が広い面積で設けることが好ましく、例えば0.05mm〜5mm程度とすることができる。
【0017】
さらに、配線部(導電に寄与する/寄与しない配線部の双方を含む)が基体の一表面において、全面に比較的大面積で配置されている場合には、例えば、可撓性を有する基体を用いても、その可撓性を保持ながら、かつ、適度な強度を付加することができ、可撓性基板の屈曲による配線部の断線、基板自体の破断等を有効に防止することができる。具体的には、基体の面積に対して50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上の面積で配線部を設けることがさらに好ましい。
【0018】
配線部を被覆する被覆膜は、発光素子から出射される光の反射膜として機能し得るものが好ましい。この被覆膜は、後述するように、その一部に配線部を露出するような開口を有しており、この開口を除いて、基板の表面の略全面を被覆していることが好ましく、上述した配線間の溝部も被覆していることが好ましい。
【0019】
被覆膜は、上述したように、その一部に開口を有する。開口は、発光素子を正負の2つの配線部に接続するため、配線部を露出するように設けられている。開口の形状及び大きさは、特に限定されるものではなく、発光素子の配線部への電気的な接続を可能とする最小限の大きさが好ましい。フリップチップ実装する場合は、1つの開口部内に溝の一部を露出させるのが好ましい。
【0020】
通常、発光装置としての出力及び配光等に応じて必要な発光素子の数及び配置が調整され、それによって開口部の個数及び位置が決められる。発光素子の個数と同じ個数の開口部又は発光素子の個数と異なる個数の開口部を設けることができる。例えば、発光素子が20個必要な場合、各発光素子を1つの開口に載置させる場合は、被腹膜には20個の開口が配置される。あるいは、1つの開口部に2つの発光素子を載置させる場合、10個の開口部が配置される。場合によっては、開口内に発光素子が載置されていなくてもよく、例えば、発光装置をいくつかのランク(例えば、出力の異なる発光装置)として作製する場合、同じ基板(すなわち、被腹膜に設けられる開口部の数及び配置が同じもの)を用いて、発光素子が載置されない開口部とすることで出力を異ならせることができる。また、コネクタなどの発光素子に通電させるための領域に、被腹膜のない領域(開口)が配置されていてもよい。
【0021】
被覆膜は、発光素子の出射光及び後述する波長変換部材により変換された波長の光を反射する材料によって形成されることが好ましい。このような材料としては、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、BTレジン、PPA、シリコーン樹脂、ユリア樹脂等の樹脂が挙げられる。また、これらの材料に、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgO等のフィラーを含有させてもよい。
【0022】
被腹膜は、比較的薄い厚みで設けるのが好ましく、特に、被腹膜よりも高い位置に発光素子の上面が位置するように配置することが好ましい。このような厚みとすることにより、後述の第1樹脂を発光素子の側面に配置することができる。その結果、広い配光特性を得ることができ、特に照明に用いる場合などに好適である。
【0023】
(発光素子)
発光素子は、基板上の上述した被覆膜の開口部の内側において、2つの配線部を跨いで又は1つの配線部上に配置される。このような配置により、発光素子を正負対となる配線部に電気的に接続することができる。
複数の発光素子は、発光装置として必要な出力及び配光を充足するように、その個数及び/又は色調及び/又は配置が決められる。従って、これに応じて、上述したように、配線部及び/又は被覆膜の開口部等の形状及び位置等が調整される。
【0024】
発光素子は、半導体構造と、p側電極と、n側電極とを有する。
半導体構造は、例えば、透光性を有するサファイア基板上に順次積層された窒化ガリウム系半導体からなるn型層、活性層及びp型層等によって形成することができる。ただし、窒化ガリウム系半導体に限らず、II−IV族、III−V族半導体のいずれを用いてもよい。
n側電極及びp側電極は、公知の電極材料の単層膜又は積層膜によって形成することができる。
【0025】
発光素子は、基板上に、フリップチップ実装されていてもよいし、フェイスアップ実装されていてもよい。
フリップチップ実装される場合には、発光素子のp側電極及びn側電極は、一対の接合部材を介して一対の配線部にそれぞれ接続される。接合部材としては、Sn−Ag−Cu系、Sn−Cu系、Au−Sn系等のはんだ、Au等の金属のバンプ等を用いることができる。
フェイスアップ実装される場合には、発光素子は、樹脂などの絶縁性接合部材、上述の導電性の接合部材によって基体上(配線部上)に固定され、ワイヤによって配線部に電気的に接続される。発光素子の基板が導電性の場合は、上述の接合部材によって電気的に接続される。
【0026】
基板の一表面には、発光素子のみならず、ツェナーダイオードなどの保護素子又は関連部品が配置されていてもよい。このような保護素子及び関連部品は、発光素子が載置された開口内に、一緒に配置してもよいし、それ以外に別途開口を設け、その開口内に配置してもよい。ただし、発光素子からの光を吸収しない位置に配置することが好ましく、発光素子と同数の保護素子は必要ではないため、例えば、複数個の発光素子が直列接続された配線部に1つの保護素子を載置させ、その際に、発光素子の配置に関係なくコネクタ付近に載置させるなど、任意の位置に載置させることが好ましい。
【0027】
(第1樹脂)
発光素子の周囲には、第1樹脂が配置されている。この第1樹脂は、少なくとも被覆膜に設けられた開口内に配置されていれば、被覆膜の開口の外周、つまり、被覆膜上にまでおよんで配置されていてもよいし、配線部の有無にかかわらず、例えば、配線部間の溝部及び/又は発光素子の直下に配置されていてもよい。
【0028】
第1樹脂は発光素子の外縁(側面)に接していることが好ましい。通常、発光素子の基板上への搭載は、接合部材等を用いて行うが、この接合部材及び/又は基体の一部表面(例えば、配線部等)等は、第1樹脂を構成する材料よりも、通常、光による劣化が生じやすい。従って、発光素子の近傍において、この接合部材及び/又は基体の一部表面等が第1樹脂に被覆される場合には、発光素子から出射される比較的強い光を接合部材及び/又は基体等に直接照射されることがなくなるため、発光装置を構成する部材の光劣化を効果的に防止することができる。
【0029】
第1樹脂の発光素子と反対側の端部は、後述する第2樹脂の外縁内であってもよいし、外縁と一致してもよいし、外縁外であってもよいが、なかでも、略外縁と一致するか、外縁外に配置することが好ましい。これにより、第1樹脂と第2樹脂との接触面積を確保しやすくなるために、より強固に、第2樹脂を発光装置、特に、第1樹脂に密着させることができる。
【0030】
言い換えると、第1樹脂の大きさ、つまり、発光装置を光取り出し方向から見た場合の平面積は、発光素子の平面積を除いた封止樹脂の平面積に対して、同等であってもよいし、大きくてもよいし、小さくてもよい。特に、発光素子の平面積を除いた封止樹脂の平面積の1/5〜3倍程度、1/4〜3倍程度が好ましく、1/3〜1.5倍がより好ましい。このように、第1樹脂が配置する平面積が大きければ、後述するように、第2樹脂との接触面積が増大するため、両者の密着性により、発光装置の第2樹脂の密着性をより一層強固なものとすることができる。
【0031】
第1樹脂は、例えば、数μm〜数百μm程度の範囲内の膜厚で配置することができる。特に、発光素子に接触する部分は、発光素子の側面の高さに相当する膜厚以下であることが好ましい。第1樹脂が、開口内全体に配置される場合には、開口の外縁と接触する部分は、開口の深さに相当する膜厚以下であることが好ましい。特に、発光素子から、その外側(発光素子の中心に対して外側)に向かって減少する厚みであることが好ましい。
【0032】
第1樹脂は、例えば、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等をベースポリマーとして含有する樹脂によって形成することができる。なかでも、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等をベースポリマーとして含有する樹脂が好ましい。ここで、ベースポリマーとは、第1樹脂を構成する材料中、最も含有重量が多い樹脂を意味する。また、第1樹脂は、例えば、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、ZrO
2、MgOなどの反射材及び/又は拡散材を含有させることが好ましい。これにより、効率よく光を反射させることができる。
第1樹脂を構成する材料は単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これにより、光の反射率を調整することができ、また、樹脂の線膨張係数を調整することが可能となる。
【0033】
(第2樹脂)
第2樹脂は、基板上において、発光素子を封止(被覆)する。発光素子からの光に対して透光性で、かつ、耐光性及び絶縁性を有するものが好ましい。この第2樹脂は、上述した被覆膜の開口の全てを被覆するように配置されてもよいし、一部を被覆しないように配置されていてもよい。ここでの透光性とは、発光素子の出射光の60%程度以上を透過する性質、好ましくは70%以上又は80%以上の光を透過する性質を意味する。
【0034】
第2樹脂は、具体的には、シリコーン樹脂組成物、変性シリコーン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、変性エポキシ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フッ素樹脂及びこれらの樹脂を少なくとも1種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂によって形成することができる。
特に、第2樹脂は、上述した第1樹脂と同一ポリマー、特に、第1樹脂を構成するベースポリマーと同一のポリマーを含んで形成されることが好ましく、第1樹脂のペースポリマーと同一のポリマーをベースポリマーとして含んで形成されていることがより好ましい。これによって、第2樹脂が第1樹脂と接触する部位において、両者の適合性、融和性及び相溶性が良好であるために、第1樹脂との密着性をより一層確保することができ、第2樹脂の発光装置における強固な密着性を実現することができる。
【0035】
第2樹脂は、発光素子から出射される光を吸収して異なる波長の光に変換する蛍光体等の波長変換部材を含有していることが好ましい。このような波長変換部材としては、例えば、酸化物系、硫化物系、窒化物系の蛍光体などが挙げられる。例えば、発光素子として青色発光する窒化ガリウム系発光素子を用いる場合、青色光を吸収して黄色〜緑色系発光するYAG系、LAG系、緑色発光するSiAlON系、赤色発光するSCASN、CASN系の蛍光体を単独で又は組み合わせて用いることが好ましい。特に、液晶ディスプレイ、テレビのバックライト等の表示装置に用いる発光装置では、SiAlON系蛍光体とSCASN蛍光体とを組み合わせて用いることが好ましい。また、照明用途としては、YAG系又はLAG系の蛍光体とSCASN又はCASN蛍光体とを組み合わせて用いることが好ましい。
また、第2樹脂は、光散乱材(硫酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素など)を含有していてもよい。
【0036】
第2樹脂の形状は、特に限定されるものではないが、発光素子から出射される光の配光性及び指向性を考慮して、凹レンズ、凸レンズとすることが好ましい。なかでも、半球形状の凸レンズとすることが最も好ましい。
【0037】
第2樹脂の大きさは、特に限定されず、発光装置の輝度、指向性等を考慮して適宜調整することができる。特に、第2樹脂は、第1樹脂との接触面積をより広く確保できる大きさとすることが好ましいが、基板として可撓性基板を用いる場合には、可撓性基板の可撓性を損なわない程度の大きさであることが好ましく、例えば、発光素子の全てを被覆することができる大きさ以上であって、発光素子の一辺の長さの2倍程度の径又は長さ以下であることがより好ましい。具体的には、一辺(直径)1mm〜4mm程度が挙げられる。
第2樹脂は、その外縁が、被覆膜上に配置されていてもよい、被覆膜の上方であって、かつ第1樹脂上に配置されていもよいし、被覆膜の開口内において第1樹脂上に配置されていてもよい。
【0038】
以下に、本発明の発光装置についての具体的な実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
この実施の形態1の発光装置100は、
図1A及び
図1Bに示すように、基板10と、基板10の表面に配置された発光素子30と、発光素子30の周囲に配置された第1樹脂40と、基板10上であって発光素子30を被覆する第2樹脂20とを有する。
【0039】
基板10は、ポリイミド(膜厚25μm程度)からなる可撓性を有する基体11と、その一面に設けられ、溝部14によって分離された配線部12(膜厚35μm程度)と、その上に被覆された絶縁性を有する被覆膜15(膜厚15μm程度、酸化チタン含有シリコーン系樹脂からなる)との積層構造によって形成されている。
基板10は、発光素子30との電気的な接続のために、その一部領域において、配線部12間の溝部14と、配線部12とを、開口15aによって被覆膜15から露出させている。
配線部12のうち、一対の配線部が外部端子と接続される(図示せず)。
【0040】
発光素子30は、半導体構造と、p側電極と、n側電極とを有する(図示せず)。半導体構造は、一部領域において、p型半導体層及び発光層が除去されて、n型半導体層が露出しており、その露出面にn側電極が形成されている。p型半導体層の上面にはp側電極が形成されている。従って、n側電極とp側電極とは、半導体構造に対して同じ面側に形成されていることとなる。
このような発光素子30は、基板10の被覆膜15から露出した一対の配線部12に、n側電極及びp側電極が配置された面を下に向けて、接合部材35によって電気的に接続されている。接合部材35は、通常、発光素子30の縁から、その外周にはみ出して配置されている。
【0041】
基板10表面の発光素子30が配置された領域の周囲には、第1樹脂40が配置されている。第1樹脂40は、例えば、酸化チタンが30重量%程度含有されたシリコーン樹脂によって形成されている。
この第1樹脂40は、発光素子30の外縁、かつ接合部材35上から、発光素子の外周であって、被覆膜15の開口内の全部及び被覆膜15上に及んで配置している。第1樹脂40の厚みは、発光素子30側においては、発光素子30の高さと略同じ厚みであり、接合部材35上においては徐々に薄くなり、被覆膜15上において、10μm程度の厚みとなっている。
また、第1樹脂40の発光素子30側端部から、その反対側の端部までの長さは1mm程度である。
【0042】
このように、第1樹脂40が、発光素子30の外周において比較的大面積で配置される場合には、通常、接合部材35、配線部12等との密着性が良好でない第2樹脂20を、より密着性が良好な第1樹脂40と、より大面積で接触させることができるために、第2樹脂20を、基板10に対して、強固に密着させることができる。
また、第1樹脂40は、接合部材35、配線部12よりも、反射率が高いため、より一層効率的に発光素子からの光取り出しを行うことができる。
【0043】
発光素子30が搭載された基板10上であって、発光素子30、その周囲に配置された第1樹脂40、この第1樹脂40直下から発光素子30の外側に配置された被覆膜15の上に、第2樹脂20が形成されている。第2樹脂20は、例えば、蛍光体(LAG・SCASN)が10重量%程度含有されたシリコーン樹脂によって形成されている。つまり、第2樹脂20は、第1樹脂を構成するポリマーと同種のポリマーを含む。
第2樹脂20の外縁aは、基板10の被覆膜15上に配置されている。第2樹脂20は、ボッティング等によって、半円球状に成形されている。
第2樹脂20の直径は、例えば、3.5mm程度である。
【0044】
このように、第2樹脂20が、第1樹脂40と同一のベースポリマーを含有して配置されるために、両者の密着性を確保することができる。
特に、この発光装置100では、第1樹脂40の全表面及び被覆膜15上に配置されている部分の全側面において、第1樹脂40と第2樹脂20とが接触するために、より一層両者の接触面積を確保することができる、さらに、同一のベースポリマーを含有して配置されているために、両者の適合性、融和性及び相溶性が良好であるために、密着性をより強固なものとすることができる。
また、接合部材35及び配線部12の表面及びこれらの界面、配線部12と反射膜15との界面を、第1樹脂40によって被覆することができるため、これらの部位の光劣化、光劣化による剥離等を効果的に防止することができる。
【0045】
(実施の形態2)
この実施の形態2の発光装置200は、例えば、
図2に示したように、第2樹脂20の外縁が、基板10の被覆膜15の上に及ぶ第1樹脂40の端部から、発光素子30の中心側に配置されるように、第2樹脂20の直径を小さくする以外、発光素子100と実質的に同じ構成を有する。
つまり、この発光装置200の第2樹脂20の外縁bは、第1樹脂40を介して被覆膜15の上方に配置されている。
第2樹脂20の直径は、例えば、2mm程度である。
この発光装置200においても、実施の形態1の発光装置100と同様の効果を有する。
【0046】
(実施の形態3)
この実施の形態3の発光装置300は、例えば、
図3に示したように、第1樹脂41が、被覆膜15の開口内にのみ配置されている以外、発光素子100と実質的に同じ構成を有する。
なお、この発光装置300の第2樹脂20の外縁cは、基板10の被覆膜15上に配置されている。
この発光装置300においても、実施の形態1の発光装置100と同様の効果を有する。
特に、被覆膜15に形成される開口をより大きくすることにより、第1樹脂41が、被覆膜15上に及んでいなくても、第2樹脂20の第1樹脂41に対する接触面積をより大きく確保することができるために、両者の密着性から、第2樹脂20の基板10への密着性を確保することが可能となる。
【0047】
(実施の形態4)
この実施の形態4の発光装置400は、例えば、
図4に示したように、第2樹脂20の外縁が、基板10の被覆膜15の上に及ぶ第1樹脂41の端部から、発光素子30の中心側に配置されるように、第2樹脂20の直径を小さくする以外、発光素子300と実質的に同じ構成を有する。
つまり、この発光装置400の第2樹脂40の外縁dは、第1樹脂41を介して被覆膜15の上方に配置されている。
第2樹脂20の直径は、例えば、2mm程度である。
この発光装置200においても、実施の形態3の発光装置300と同様の効果を有する。
【0048】
(実施の形態5)
この実施の形態5の発光装置500は、例えば、
図5に示したように、発光素子30がフェイスアップ実装されており、発光素子30のn側電極及びp側電極(図示せず)が、それぞれ、ワイヤ16によって配線部12に電気的に接続されており、そのワイヤ16の一部が第1樹脂41に被覆されている以外は、発光素子100と実質的に同じ構成を有する。
この発光装置500においても、実施の形態1の発光装置100と同様の効果を有する。
さらに、ワイヤ16と配線部12との接続部位を第1樹脂40によって被覆することができるため、これらの部位の光劣化、光劣化による剥がれ、断線等を効果的に防止することができる。