(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の工程が行われるときの前記基板の温度は、前記第1の工程が行われるときの前記基板の温度よりも高いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記第1の処理容器内の載置部に載置された前記基板を加熱するための加熱部が設けられていることを特徴とする請求項10ないし13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記第2の処理容器内の載置部に載置された前記基板を加熱するための加熱部が設けられていることを特徴とする請求項10ないし14のいずれか一項に記載の基板処理装置。
露光、現像処理されてパターンマスクが形成された基板に対して、前記パターンマスクの荒れを改善するための基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の基板処理方法を実施するためのものであることを特徴とする記憶媒体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は、基板に形成されたパターンマスクの崩壊を抑えながらパターンマスクの表面の荒れを改善することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板処理方法は、
露光、現像処理されてパターンマスクが形成された基板に対して、前記パターンマスクの荒れを改善するための処理を行う方法において、
第1の溶剤をガスの状態で前記基板の表面に供給して前記パターンマスクを溶解させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、パターンマスクに対する溶剤の浸透性が前記第1の工程における溶剤の浸透性よりも低い条件で第2の溶剤を前記基板の表面に供給して前記パターンマスクを溶解させる第2の工程と、を含
み、
前記第2の溶剤は、前記第1の溶剤よりも濃度が低いことを特徴とする。
他の発明の基板処理方法は、
露光、現像処理されてパターンマスクが形成された基板に対して、前記パターンマスクの荒れを改善するための処理を行う方法において、
第1の溶剤をガスの状態で前記基板の表面に供給して前記パターンマスクを溶解させる第1の工程と、
前記第1の工程の後に、パターンマスクに対する溶剤の浸透性が前記第1の工程における溶剤の浸透性よりも低い条件で第2の溶剤を前記基板の表面に供給して前記パターンマスクを溶解させる第2の工程と、を含
み、
前記第1の工程の前に、前処理用の薬剤を前記基板に供給して前記パターンマスクの表面に液膜を付着させ、前記基板を加熱して前記液膜を乾燥させ、前記液膜の乾燥時に前記パターンマスクの表面に発生する凝集力により当該表面を平坦化させる前処理工程を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明の基板処理装置は、
露光、現像処理されてパターンマスクが形成された基板に対して、前記パターンマスクの荒れを改善するための処理を行う装置において、
前記基板を載置する載置部が設けられた第1の処理容器と、
前記載置部に載置された前記基板に対して、前記パターンマスクを溶解させるための第1の溶剤をガスの状態で供給する第1の溶剤供給部と、
前記基板を載置する載置部が設けられた第2の処理容器と、
前記第2の処理容器内の載置部に載置された前記基板に対して、前記パターンマスクを溶解させるための第2の溶剤を供給する第2の溶剤供給部と、を備え、
前記第2の溶剤により前記基板に対して行われる溶解処理は、前記第1の溶剤により前記基板に対して行われる溶解処理に比べて、前記パターンマスクに対する溶剤の浸透度が低い条件で行われるように処理条件が設定され
、
前記第2の溶剤は、前記第1の溶剤よりも濃度が低いことを特徴とする。
他の発明の基板処理装置は、
露光、現像処理されてパターンマスクが形成された基板に対して、前記パターンマスクの荒れを改善するための処理を行う装置において、
前記基板を載置する載置部が設けられた第1の処理容器と、
前記載置部に載置された前記基板に対して、前記パターンマスクを溶解させるための第1の溶剤をガスの状態で供給する第1の溶剤供給部と、
前記基板を載置する載置部が設けられた第2の処理容器と、
前記第2の処理容器内の載置部に載置された前記基板に対して、前記パターンマスクを溶解させるための第2の溶剤を供給する第2の溶剤供給部と、
前記第1の溶剤を供給する前に、前記パターンマスクの表面に前処理用の薬剤を供給する前処理剤供給部と、を備え、
前記第2の溶剤により前記基板に対して行われる溶解処理は、前記第1の溶剤により前記基板に対して行われる溶解処理に比べて、前記パターンマスクに対する溶剤の浸透度が低い条件で行われるように処理条件が設定され
、
前記前処理用の薬剤は、加熱部により基板を加熱して当該薬剤の液膜を乾燥させたときに、前記パターンマスクの表面に凝集力を発生させ当該表面を平坦化させるためのものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の記憶媒体は、
露光、現像処理されてパターンマスクが形成された基板に対して、前記パターンマスクの荒れを改善するための基板処理装置に用いられるコンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、前記基板処理方法を実施するためのものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、基板に形成されたパターンマスクの表面の荒れを溶剤を用いて改善する処理を行うにあたって、先ず溶剤の浸透性の高い条件で処理を行ってパターンマスクの表面に対して強い平坦化処理(パターンマスクの表面の荒れの改善処理)を行っている。そして次に溶剤の浸透性の低い条件下で処理を行ってパターンマスクの表面に対して弱い平坦化処理を行っている。このため、パターンマスクの表面の荒れを良好に改善することができ、パターンマスクが脆弱であってもパターン倒れを抑えることができる。また溶剤の浸透性の低い処理を繰り返し行う場合に比べて高いスループットが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明方法の実施形態及びその方法を実施するための装置、の順に述べる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について、
図1から
図3を用いながら説明する。
レジストの塗布、露光が終わったウエハWを現像モジュール20内の基板保持部であるスピンチャック21に保持する。次いでウエハWの表面に対し、
図1(a)に示すように現像液ノズル28aから現像液を吐出しながら例えばその吐出位置をウエハWの周縁部から中心部へと渦巻き状に移動させ、現像液を塗布する。続いて
図1(b)に示すようにスピンチャック21を回転させながらリンス液ノズル28bからリンス液、例えば純水をウエハW表面の中心部へと吐出することによってウエハW表面を洗浄する。続いて前記現像モジュール20にて
図1(c)に示すように、スピンチャック21を回転させながら前処理用の薬剤ノズル28cからウエハWの中心部に対し、前処理用の薬剤を吐出してウエハW表面全体へと展伸し、余剰の前処理用の薬剤を振り切る。前処理用の薬剤としては、例えばテトラアルキルアンモニウム系第4級カチオン(TAAH)を挙げることができる。この場合現像後のレジストのカルボキシル基(COOH)とTAAHのOH基とが結合し、レジストパターンの表面に後述するようにTAAHの液膜が形成される。
【0013】
続いてウエハWを現像モジュール20から平坦化処理用モジュール30に搬送し、平坦化処理用モジュール30内の載置台10に載置する。ウエハWは載置台10の中に設けられた加熱部であるヒータ(図示せず)により加熱される。ウエハWの加熱温度は、用いられる前処理用の薬剤の種別に応じて設定されるが、前処理用の薬剤としてTAAHを用いている場合には、例えば10〜50℃に設定される。
ここまでの処理に対応するレジストパターンの状態を
図3に示す。
【0014】
現像直後のレジストパターン9は、
図3(a)に示すように表面が均一ではなく、凹凸を有している。
図3(b)は前処理用の薬剤がレジストパターン9に付着している様子を示している。次いでウエハWを加熱することにより
図3(c)に示すように液膜91が揮発し始める。更に加熱を続けると、液膜91の揮発時の凝集力が働き、
図3(d)に示すようにレジストパターン9の表面の分子同士が互いに引き合い、レジストパターン9の表面の凹凸の程度(荒れ)が小さくなる。
【0015】
前処理用の薬剤としては、現像後のレジストパターン9のカルボキシル基(COOH)と結合する物質、例えば塩基性(−OH)を有しているものであることが好ましい。そしてレジストパターン9内部への浸透と溶解反応を抑制するために、分子量が大きく立体構造を有していることが好ましく、これに加え、レジストパターン9への吸着を促進するためにレジストとの酸乖離定数が十分に離れていることが好ましい。更に、前処理用の薬剤は、レジストパターン9の表面へ付着して液膜を形成するものであることから、表面張力は低い方が好ましく、このため非イオン系界面活性剤を添加してもよい。前処理用の薬剤の例としては、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAH)、テトラメチルアンモニウム水酸化物(TEAH)、テトラプロピルアンモニウム水酸化物(TPAH)などのテトラアルキルアンモニウム第4級カチオン、及び乳酸エチルなどが挙げられる。非イオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテルなどが挙げられる。
【0016】
続いて加熱後のウエハWのレジストパターン9に対して第1の工程である第1の平坦化処理を行う。この処理は、
図2(b)に示すように前記載置台10にウエハWを載置したまま、レジストパターン9を溶解する性質を持つ第1の溶剤、例えばNMP(N-methylpyrrolidone)のガスをシャワーヘッド40からウエハWの表面に供給する処理である。レジストパターン9は表層部がNMPにより溶解する。シャワーヘッドとは下面に多数のガス吐出孔を有するガス供給部材である。このとき、ウエハWの温度は、例えばNMPの露点より高く、NMPの沸点より低い温度である10〜100℃に調整されている。レジストパターン表層部が溶解したのち、NMPの雰囲気を不活性ガスである例えば窒素ガス雰囲気に置換し、
図2(c)に示すようにウエハWを載置台10内のヒータにより例えば50〜250℃に加熱し、NMPを揮発させる。
【0017】
図2(a)から
図2(c)までの第1の平坦化処理についてレジストパターン9表面の変化を
図4に示す。
図4(a)は前処理が終了した後のレジストパターン9の表面の状態である。このレジストパターン9の表面に対しNMPを供給すると、NMP分子がレジストパターン9の表面に衝突し、当該表面が溶剤により溶解する(表層部が膨潤する)現象と、ウエハWの熱により、NMPが当該表面から揮発していく現象が繰り返されると推定される。このNMPによる溶解とNMPの揮発の繰り返しにより、表層部92aにおいてはNMPによりレジスト膜が軟化、溶解して流動するが、内部に浸透する前に薬液が揮発するようにウエハ温度が設定されているため、NMPのレジストパターン9内部への浸透が抑えられる。このため、
図4(b)に示すように、レジストパターン9の表層部92aのみがNMPを吸収して溶解する。
そしてレジストパターン9の表層部92aのみが適度に溶解されたところで、ウエハWを加熱することにより、レジストパターン9の表層部92aからNMPが揮発し、
図4(c)によって示すように、レジストパターン9の表面は更に平坦化される。
【0018】
続いて前記平坦化処理用モジュール30内にて、ウエハWに対して、第2の工程である第2の平坦化処理が行われる。この第2の平坦化処理は、第1の平坦化処理にて行われた第1の溶剤によるレジストパターン9の溶解に比べて、溶剤の浸透性が低い条件でレジストパターン9に対して行われる溶解処理を含んでいる。この例では第2の平坦化処理に用いる第2の溶剤として、第1の溶剤であるNMPに比べてレジストパターン9への浸透が進行しにくい乳酸エチルを用いている。この溶解処理においては、
図2(d)に示すように,前記シャワーヘッド40から第2の溶剤である乳酸エチルのガスをウエハWの表面に供給し、レジストパターン9の表層部を乳酸エチルにより溶解させる。このとき、ウエハWの温度は、載置部10のヒータにより乳酸エチルの露点より高く乳酸エチルの沸点より低い温度、例えば10〜100℃に調整されている。その後
図2(e)に示すように再びウエハWをヒータ等により加熱する。
【0019】
図2(c)の加熱後から
図2(e)にかけてのレジストパターン表面の変化を
図5に示す。
図5(a)は第1の平坦化処理が終了した後のレジストパターン9の表面の状態である。このレジストパターン9の表面に対し乳酸エチルを供給すると、乳酸エチル分子がレジストパターン9の表面に衝突し、パターン表面が溶剤により溶解する(表層部が膨潤する)現象と、ウエハWの熱により、乳酸エチルがパターン表面から揮発していく現象が繰り返されると推定される。この乳酸エチルによる溶解と乳酸エチルの揮発の繰り返しにより、表層部92bにおいては乳酸エチルによりレジスト膜が軟化、溶解して流動するが、内部に浸透する前に薬液が揮発するようにウエハ温度が設定されているため、乳酸エチルのレジストパターン9内部への浸透は抑えられる。このため、
図5(b)によって示すように、レジストパターン9の表層部92bのみが乳酸エチルを吸収して溶解する。
【0020】
そしてレジストパターン9の表層部92bのみが適度に溶解されたところで、ウエハWを加熱することにより、レジストパターン9の表層部92bから乳酸エチルが揮発する。こうしてレジストパターンに対して強い溶解処理がされた後で、この強い平坦化に用いられた溶剤よりも浸透度の低い溶剤による弱い溶解処理が行われる。従って
図5(c)によって示すように、強い溶解処理後にレジストパターン9に残留している微細な凹凸が除去されることによりレジストパターン9の表面はいっそう平坦化される。
図2(d)の処理において用いられる薬液は、乳酸エチルに限らないが、第1の溶剤と比してレジストパターン表層部に浸透しにくい性質であることが求められる。
【0021】
上述の実施形態においては、先ずレジストパターン9への浸透度が高い第1の溶剤によりレジストパターン9の表面を溶解させ、当該溶剤を揮発させることにより、当該表面の凹凸を大まかに改善して平坦化している。そしてレジストパターン9の表面への浸透度が低い第2の溶剤によってレジストパターン9の表面を溶解させ、当該溶剤を揮発させることにより、前記表面に残存した微細な凹凸を更に改善して平坦化している。即ち、本実施形態は強い平坦化処理(表面荒れの改善処理)と弱い平坦化処理を実施している。このため、レジストパターン9の表面を浸透度の高い溶剤のみで処理した場合に比して、レジストパターン9の崩壊が抑えられ、特にレジストパターン9が脆弱である場合に崩壊の懸念が低くなる。またレジストパターン9の表面を浸透度の低い溶剤のみで処理する場合には、当該表面の溶剤による溶解と当該溶剤の揮発を繰り返す必要があり、このため本実施形態はスループットの点でも有利である。本実施形態では、第1の工程の前に行われる前処理は必ずしも必要なものではないが、前処理用の薬剤を用いて事前にレジストパターン9の表面の荒れの程度を小さくしておくことにより、一層の良好な表面荒れの改善処理を行うことができる利点がある。
【0022】
ここで、第1の溶剤及び第2の溶剤の組み合わせとしては、NMP(第1の溶剤)と乳酸エチル(第2の溶剤)の他に、NMPとジメチルスルホキシド(DMSO)などの組み合わせも選択例として挙げることができる。
【0023】
第2の溶剤によりレジストパターン9に対して行われる溶解処理は、第1の溶剤によりレジストパターン9に対して行われる溶解処理に比べて、レジストパターン9に対する溶剤の浸透性が低い条件で行われるように処理条件が設定されていればよい。このため、第1の溶剤と第2の溶剤とが異なる種別であることに限らず、第1の溶剤と第2の溶剤との種別は同一、例えば双方ともNMPであってもよい。この場合、第2回目の溶解処理時における溶剤供給時のウエハWの温度を、第1回目の溶解処理時における溶剤供給時よりも高温にするか、あるいは第2回目の溶剤ガス雰囲気中の溶剤濃度を第1回目の溶剤ガス雰囲気より低濃度にする例が挙げられる。このように処理条件を調整することで、第2回目の溶剤供給時におけるレジストパターン9への溶剤の吸収は、第1回目の溶剤供給時より抑えられる。このため上述した第1の溶剤と第2の溶剤とが異なる種別である実施形態と同様の結果を得ることができる。
【0024】
また、第1の溶剤による溶解処理及び第2の溶剤による溶解処理は、基板を加熱しながら行うこととしてきたが、レジストパターン9の表面が過度に溶解しないように各処理条件(パラメータ)を調整することにより、当該加熱を行わなくてもよい。更に、第1の溶剤及び第2の溶剤による溶解処理後の加熱は、レジストパターン9中に残留する溶剤を充分に揮発させることを目的とする工程であり、各溶剤をレジストパターン表面から充分に揮発させることができれば、溶解処理後の加熱を行わなくてもよい。
【0025】
更に、第1の溶剤による溶解処理時における載置部と、第2の溶剤による溶解処理時における載置部とは、別でもよいし異なっていてもよい。異なっている場合には、各載置部は夫々の処理条件に見合う温度に設定してもよい。
【0026】
[第2の実施形態]
図6は本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態が第1の実施形態と異なる箇所の一つは、ウエハWに対して現像後に行われる前処理用の薬剤の供給を、現像モジュール20とは別の前処理用液処理モジュール20a内にて行っていることである。このような例は、現像液がアルカリ性、前処理用の薬剤が酸性であるときに、排液処理を別々に行うことができる点で有効である。
図6中21aはスピンチャック、29aはノズルである。
【0027】
更にまた第2の実施形態は、第2の溶剤を用いてレジストパターン9に対して行う溶解処理について、第2の平坦化処理用の液処理モジュール20bにて、第2の溶剤を液体の状態でウエハWに供給している。
図6中21bはスピンチャック、29bはノズルである。この後ウエハWは、例えば、加熱モジュール7にてヒータを備えた載置台10aの上に載置され加熱処理が行われる。
【0028】
第2の実施形態は、その他については第1の実施形態と同様であり、同様の効果が得られる。
また第2の実施形態において、前処理用の薬剤は液体として供給されるとして説明してきたが、液体として供給する代わりに、ガスとして供給してもよい。
【0029】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態について、
図7を用いながら説明する。
第3の実施形態が第1の実施形態と異なる箇所の一つは、ウエハWに対して現像後に行われる前処理用の薬剤の供給を、現像モジュール20ではなく平坦化処理用モジュール30内で行っていることである。
【0030】
第3の実施形態は、その他については第1の実施形態と同一であり、同様の効果が得られる。
第1及び第3の実施形態においては、第1の溶剤による処理と第2の溶剤による処理を同一の平坦化処理用モジュール30にて行うこととしてきたが、各々の処理を独立したモジュールにて行ってもよい。
【0031】
[発明を実施するための装置構成]
本発明の第1の実施形態の実施にかかる塗布、現像装置の全体構成の一例について
図8から
図12を用いて説明する。
最初に現像モジュール20の構成の一例を
図8に示す。現像モジュール20は、スピンチャック21と、このスピンチャック21を回転軸22を介して回転させる回転機構23と、底部に排液路25及び排気路26が設けられたカップユニット24と、を備えている。
【0032】
露光処理を終えたウエハWはスピンチャック21に保持され、現像液供給機構27aに接続されたノズル28aを、例えばウエハWの周縁部から中央へと渦巻き状に移動させながらウエハW上に現像液の液盛りを行うことにより現像処理が行われる。続いて、現像処理が行われたウエハWに対して、リンス液供給機構ある純水供給機構27bに接続されたノズル28bからウエハWの中心部に純水を供給しながらスピンチャック21を回転させることにより洗浄が行われる。続いて、洗浄が行われたウエハWはスピンチャック21に保持されたまま、前処理用の薬剤供給機構27cに接続されたノズル28cから、ウエハWの中心部に前処理用の薬剤を供給しながらスピンチャック21を回転させる。こうしてウエハW上に前処理用の薬剤を展伸させる。
【0033】
次に平坦化処理用モジュール30について
図9を用いて説明する。このモジュール30は、ウエハWを処理するための処理容器3と、処理容器3と平坦化処理用モジュール30の外部との間で基板であるウエハWを搬送する搬送機構6と、を備えている。
処理容器3は扁平な円形状に形成され、容器本体31と、蓋体41とを備えている。
容器本体31はその周縁部をなす側壁部32と、底壁部33と、を備えており、底壁部33上にはウエハWを載置するための載置台34が設けられている。載置台34の上面内部にはリング状のヒータ35が設けられ、載置台34の温調機構をなす。載置台34に設けられた3つの各孔36にはピン37が挿通され、昇降機構38により載置台34上にて突没し、搬送機構6との間でウエハWを受け渡す。
【0034】
側壁部32の表面部には、その周方向に沿って多数のパージガス吐出口51が開口している。側壁部32の下方にはパージガス吐出口51に連通するリング状の空間52が形成され、当該空間52の下方には周方向に間隔をおいて、複数のパージガス供給管53の一端が接続されている。各パージガス供給管53の他端は、パージガスとして例えば窒素ガスを圧送する図示しない供給機構に接続され、供給機構から空間52に供給されたパージガスは、当該空間52を広がって各パージガス吐出口51から吐出される。
【0035】
蓋体41は昇降機構42により昇降自在に構成されている。蓋体41は、その周縁部をなす側壁部43と、上壁部44と、を備えている。ウエハWに処理を行うときには、蓋体41が
図9に示す処理位置に移動し、側壁部43の下端と、容器本体31の側壁部32の上端とが隙間45を介して互いに近接する。
上壁部44の裏面側中央部は下方に突出し、ガス供給部4を形成している。ガス供給部4の側周には周方向に沿って多数のガス吐出口46が形成され、載置台34に載置されたウエハWの中央部から周縁部に向かってガスを吐出する。
【0036】
蓋体41の上部にはガス供給管54の下流端が接続され、ガス供給管54の上流側は3本に分岐し、ガス供給管54A、54B及び54Cを構成する。ガス供給管54Aの上流側は、流量調節機構55Aを介して第1の溶剤供給源56Aに接続されている。第1の溶剤供給源56Aはレジストを溶解させることができる第1の溶剤が貯留されたタンクであり、貯留された溶剤の液相に窒素ガスを供給する窒素供給源57Aに接続されている。ガス供給管54Bの上流側は、流量調節機構55Bを介して第2の溶剤供給源56Bに接続されている。第2の溶剤供給源56Bは第2の溶剤が貯留されたタンクであり、貯留された溶剤の液相に窒素ガスを供給する窒素供給源57Bに接続されている。ガス供給管54Cの上流側は、流量調節機構55Cを介して、乾燥用ガスである窒素ガスを下流側に圧送する窒素ガス供給源57Cに接続されている。
【0037】
蓋体41の側壁部43下端には、パージガス吐出口51に重なる位置にリング状の凹部48が形成されている。当該凹部48は複数の排気路49を介して蓋体41の上部に通気されており、各排気路49はウエハWの周方向に複数設けられている。また、側壁部43下端において、凹部48の内側には多数の排気口58がウエハWの周方向に配列されている。この排気口58は排気機構59に接続されている。
【0038】
処理容器3の外部には基台61が設けられ、この基台61に前記搬送機構6が設けられている。搬送機構6は、水平な移動プレート62と、移動プレート62を基台61上に支持する支持部63と、移動機構64とにより構成されている。支持部63は移動プレート62から基台61の下方に伸び、移動機構64に接続されている。
図9に示した移動プレート62の位置を待機位置とすると、当該移動機構64により移動プレート62は待機位置と、処理容器3の載置台34上との間で水平に移動することができる。基台61には、この移動を妨げないようスリットが設けられている。
【0039】
移動プレート62について説明すると、移動プレート62の内部にはヒータ66が設けられており、表面に載置されたウエハWを予め設定された温度に加熱する。移動プレート62にはスリットが設けられており、載置台34との間でウエハWを受け渡すためのピン37が通過する。図中68は切欠であり、平坦化処理用モジュール30にウエハWを搬送する図示しない搬送アームとの間でウエハWを搬送するために設けられている。
【0040】
平坦化処理用モジュール30内に搬送されたウエハWは、搬送機構6により処理容器3内の載置台34上に載置され、前処理用の薬剤を揮発させるためにヒータ35により加熱される。加熱されたウエハWに対し、窒素供給源57Aから窒素ガスを吐出することにより第1の溶剤供給源56Aから第1の溶剤ガスを供給する。ウエハW表面のレジストパターン表面が溶解したときに、ヒータ35を稼働させウエハWを加熱し、第1の溶剤を揮発させる。その後、窒素供給源57Cから窒素ガスを供給し、平坦化処理用モジュール30内の雰囲気を置換する。そして窒素供給源57Bから窒素ガスを吐出することにより第2の溶剤供給源56Bから第2の溶剤ガスを供給する。ウエハW表面のレジストパターン表面が溶解したときに、ヒータ35を稼働させウエハWを加熱し、第2の溶剤を揮発させる。しかる後、窒素供給源57Cから窒素ガスを供給し、平坦化処理用モジュール30内の雰囲気を置換する。
【0041】
第1及び第2の溶剤による処理が完了したウエハWは、ピン37及び搬送機構6との協働作業により載置台34上から移動プレート62上へと移送され、移動プレート62上から図示しない搬送アームにより平坦化処理用モジュール30外へと搬出される。
【0042】
続いて塗布、現像装置8について
図10を用いて説明する。塗布、現像装置8は、キャリアブロック8a、処理ブロック8b、インターフェースブロック8cを備え、インターフェースブロック8cには露光装置8dが接続されている。
処理ブロック8bについて
図11及び
図12を用いて説明する。処理ブロック8bには、レジスト膜の下層側に形成されるボトム反射防止膜の形成処理を行うための第1、第2ブロック(BCT層)B1及びB2、レジスト液の塗布処理を行うための第3、第4ブロック(COT層)B3及びB4、及び現像処理を行うための第5、第6ブロック(DEV層)B5及びB6が設けられている。つまり処理ブロック8bは下部から各ブロックを積層することにより構成されている。また各ブロックには、加熱部や冷却部を積層することによって構成された棚ユニットUが設けられている。
【0043】
続いて上記塗布、現像装置8におけるウエハWの流れ全体について
図10から
図12を参照しながら説明する。
キャリアCから取り出されたウエハWは、処理ブロック8bに受け渡され、処理ブロック8b内をBCT層(B1、B2)→COT層(B3、B4)と移動し、必要な処理が行われる。COT層にて処理が行われたウエハWはインターフェースブロック8cを経由し露光装置8d内に搬入され露光処理が行われる。露光処理後のウエハWはインターフェースブロック8c→処理ブロック8b→DEV層(B5、B6)と移動する。
【0044】
DEV層(B5、B6)について説明すると、B5及びB6は、現像ユニット88が例えば2段に積層されており、この2段の現像ユニット88にウエハWを搬送するための搬送機構A5及びA6が設けられている。また、現像ユニット88内には現像モジュール20(第1の実施形態の現像モジュール20に相当する)が設けられている。現像モジュール20内には前処理用の薬剤のノズル28cが設けられている。そして第6ブロックB6の棚ユニットUの一部に、この例では現像モジュール20とは別個に、平坦化処理用モジュール30が組み込まれている。更にB6の棚ユニットUの他の部分には露光処理後のウエハWに対して加熱処理を行うモジュール及び現像処理後のウエハWに対して加熱処理を行うモジュールが組み込まれている。
【0045】
B5またはB6に搬入されたウエハWは
図12の搬送機構A6へと載置され、棚ユニットU内のモジュールに搬送され、現像前の加熱処理であるPEB(Post-exposure Bake)が行われた後、現像モジュール20へ搬入される。ウエハWに対し現像モジュール20において、前述したように現像処理及びリンス液による洗浄が行われた後、前処理用の薬剤をウエハW表面に展伸する処理が行われる。
【0046】
前処理用の薬剤が表面に展伸されたウエハWは、続いて搬送機構A6に受け渡され、棚ユニットU内の平坦化処理用モジュール30へと搬入され、例えば第1の実施形態にて述べた処理が行われる。その後ウエハWは、搬送機構A6の搬送アーム72に受け渡され、後段のモジュールへと搬送され加熱等の処理が行われる。以上に述べてきた処理が完了したウエハWは、処理ブロック8b内からキャリアブロック8aへと戻され、キャリアC内へと再び搬入される。
【0047】
上述してきた塗布、現像装置8は、各搬送機構の動作、ウエハWへの露光処理及び現像処理、ウエハWへの薬液塗布、加熱及び冷却、その他塗布、現像装置8に関する動作を制御するコンピュータからなる制御部(図示せず)を備えている。そして制御部には、ウエハWに目的の処理を行うために必要な制御について命令群が組まれたプログラムが組み込まれている。このプログラムは、外部記憶媒体、例えばハードディスク、テープストレージ、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリーカードなどを介して制御部にインストールされる。
【0048】
続いて第2の実施形態に対応する塗布、現像装置8の構成の一例について簡単に説明すると、前処理用液処理モジュール20aは現像モジュール20とは別個に設けられ、第2の平坦化用液処理モジュール20b及び加熱モジュール7は棚ユニットU内に構成される。前処理用液処理モジュール20aは、現像モジュール20とほぼ同様の構成である。加熱モジュール7の構成としては、ウエハWが加熱される構成であれば、加熱プレートによるヒータ加熱に限られず、例えばモジュール内にLED(発光ダイオード)を設けて、このLEDからウエハWに光エネルギーを照射して加熱を行ってもよい。
【0049】
更に第3の実施形態に対応する塗布、現像装置8の構成の一例について簡単に説明すると、第1の実施形態における平坦化処理用モジュール30において、前処理用の薬剤をガスとしてウエハW表面に供給する機構が追加された構成となっている。
【0050】
上述したこれらの装置構成は、第1の溶剤及び第2の溶剤が夫々有する性質によって適宜選択、変更することが可能である。