(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記赤色系色素が、アントラキノン系の赤色色素、ナフタレン系色素及びペリノン系色素からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載の液体芳香剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
液体芳香剤組成物
本発明の液体芳香剤組成物は、色素と、後述する一般式(B1)で表わされるトリアジン骨格とを有する紫外線吸収剤を含むことを特徴とする。本明細書において、本発明の液体芳香剤組成物を「本発明の組成物」と略記することがある。以下、本発明の組成物を構成する各成分について詳述する。
【0011】
(A)色素
本発明において色素の種類は特に限定されず、本発明の組成物に着色することが可能であれば、従来公知の顔料及び染料の中から所望の色調を適宜選択して用いることができる。また、(A)成分として色素を1種単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明において(A)成分として使用され得る色素の具体例について以下に示す。
【0012】
(A1)アントラキノン系色素
本発明においてアントラキノン系色素としては、従来公知のアントラキノン系の化合物の中から適宜選択して用いることができるが、例えば下記一般式(A1)によって表わされる化合物を使用することができる。
【化4】
(式中、R
a1、R
a2、R
a3、R
a4、R
a5、R
a6、R
a7及びR
a8は、同一又は異なって
、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、C
1〜
4アルキルアミノ基、ジC
1〜
4アルキルアミノ基、(C
1〜
4アルキル)フェニルアミノ基、−SO
3Mを示し、
MはH、Na、K、NH
4、NR
a9R
a10R
a11R
a12を示し、
R
a9、R
a10、R
a11、R
a12は、同一又は異なって、C
1〜
10の置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基、又はC
6〜
10の置換若しくは非置換の芳香族炭化水素基を示す)。
【0013】
上記一般式(A1)において、R
a1〜R
a8で表わされるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
【0014】
上記一般式(A1)において、R
a1〜R
a8で表わされるC
1〜
4アルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ又はプロピルアミノが例示される。ジC
1〜
4アルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はジプロピルアミノが例示される。
【0015】
上記一般式(A1)において、R
a1〜R
a8で表わされる(C
1〜
4アルキル)フェニルアミノ基としては、メチルフェニルアミノ、エチルフェニルアミノ又はプロピルフェニルアミノが例示される。
【0016】
上記一般式(A1)において、R
a9〜R
a12で表わされるC
1〜
10の置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル等の直鎖状または分岐鎖のアルキル基;メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、アミノエチル、クロロエチル、ヒドロキシエチル等の置換アルキル基;プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等のアルケニル基等が例示される。
【0017】
上記一般式(A1)において、R
a9〜R
a12で表わされるC
6〜
10の置換若しくは非置換芳香族炭化水素基としては、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、ヒドロキシフェニル、クロロフェニル、ニトロフェニル、ナフチル等が挙げられる。
【0018】
上記一般式(A1)における置換基の好ましい組み合せとしては、R
a1及びR
a4、又はR
a5及びR
a8のいずれかがC
1〜
4アルキルアミノ基であり、その他の置換基が水素原子である組み合せが例示される。このような置換基を有する上記一般式(A1)で表わされるアントラキノン系色素は、青色を呈する。アントラキノン系の青色色素としてより具体的には1,4−ビス(エチルアミノ)アントラキノンが例示され、当該化合物はkayaset Blue FR(日本化薬(株)製)として市販されている。他にも青色を呈するアントラキノン系色素として、例えばkayaset Blue N(日本化薬(株)製)が市販されている。
【0019】
他の好ましい態様において、上記一般式(A1)における置換基の組み合せとしては、R
a2、R
a3、R
a6及びR
a7が水素原子であり、且つR
a1及びR
a4、又はR
a5及びR
a8のいずれかが(C
1〜
4アルキル)フェニルアミノ基であるか、又は水酸基である組み合せが例示される。このような置換基を有する上記一般式(A1)で表わされるアントラキノン系色素は、緑色を呈する。アントラキノン系の緑色色素としてより具体的には1,4−ビス[(4−ブチルフェニル)アミノ]−5,8−ジヒドロキシ−9,10−アントラセンジオンが例示され、当該化合物は「kayaset Green A−G」(日本化薬(株)製)として市販されている。他にも緑色を呈するアントラキノン系色素として、例えばkayafect Green G(日本化薬(株)製)が市販されている。
【0020】
また、アントラキノン系の赤色色素としてkayaset Red 130(日本化薬(株)製)が市販されている。
【0021】
(A2)ナフタレン系色素
本発明においてナフタレン系色素としては、従来公知のものから適宜選択して用いることができるが、好ましくは赤色系のナフタレン系色素が挙げられる。ナフタレン系色素としては、例えば下記一般式(A2)によって表わされる化合物を使用することができる。
【化5】
(式(A2)中、R
a13〜R
a15は、同一又は異なって水素原子、水酸基、アミノ基、C
1〜C
4アルキルアミノ基、ジC
1〜C
4アルキルアミノ基、フェニル基、アセトアミド基、直鎖状又は分岐状C
1〜C
10アルコキシ基又はハロゲン置換されてもよいフェノキシ基を示す。
【0022】
上記式(A2)において、R
a13〜R
a15で表わされるC
1〜C
4アルキルアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ又はプロピルアミノが例示される。ジC
1〜C
4アルキルアミノとしては、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ又はジプロピルアミノが例示される。また、直鎖状又は分岐状C
1〜C
10アルコキシ基として好ましくは、直鎖状又は分岐状C
1〜C
5アルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ又はペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシが例示される。更に、ハロゲン置換されてもよいフェノキシ基としては、フェノキシ、2−クロロフェノキシ、3−クロロフェノキシ、4−クロロフェノキシ、4−フルオロフェノキシ、4−ブロモフェノキシ、4−ヨードフェノキシが例示される。
【0023】
また、上記式(A2)においてX
2aで示される置換基は、水素原子又は下記一般式(A2a)によって表わされる。
【化6】
(式(A2a)中、R
ai及びR
aiiは同一又は異なって、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状C
1〜C
20アルキル基、C
7〜C
20アラルキル基又はC
6〜C
19アリール基を示し、nは1〜5の整数を示す)。
【0024】
更に、上記式(A2)においてX
2bで示される置換基は、水素原子又は下記一般式(A2b)によって表わされる。
【化7】
(式(A2b)中、R
aiiiは、水素原子、又は直鎖状若しくは分岐鎖状C
1〜C
20アルキル基、C
7〜C
20アラルキル基又はC
6〜C
19アリール基を示す)。
【0025】
前記R
ai、R
aii及びR
aiiiとして好ましくは、水素原子;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル等のC
1〜C
8アルキル基;ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等のC
7〜C
11アラルキル基;フェニル、ナフチル等のC
6〜C
10アリール基が例示される。また、一般式(A2a)においてnは好ましくは1〜3、更に好ましくは2が挙げられる。
【0026】
上記一般式(A2)において置換基の好ましい組み合せとしては、R
a13〜
a15が同一又は異なって水素原子又は水酸基であり、X
2aが一般式(A2a)で表わされる基であって、n=2である組み合せが挙げられる。このような置換基を有する上記一般式(A2)で表わされるナフタレン系色素は、赤色を呈する。赤色のナフタレン系色素としてより具体的な化合物としては、1−(2,5−ジメチル−4−(2,5−ジメチルフェニルアゾ)フェニルアゾ)−2−ナフトールが例示され、「OIL RED 5B」(オリエント化学工業(株)製)として市販されている。
【0027】
(A3)ペリノン系色素
本発明においてペリノン系色素としては、従来公知のものから適宜選択して用いることができ、好ましくは赤色系のペリノン系色素が挙げられる。ペリノン系色素としては、例えば下記一般式(A3)によって表わされる化合物を使用することができる。
【化8】
(式(A3)中R
a16〜R
a27は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
10アルキル基、C
7〜C
20アラルキル基、C
6〜C
19アリール基、アルケニル基、C
2〜C
10アルキニル基、C
1〜C
10アルコキシ基、メルカプト基、複素環基、ハロゲン原子、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基を示す)。
【0028】
直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
10アルキル基として好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
8アルキル基が挙げられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル等が例示される。C
7〜C
20アラルキル基として好ましくは、C
7〜C
11アラルキル基が挙げられ、具体的にはベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等が例示される。C
6〜C
19アリール基として好ましくは、C
6〜C
10アリール基が挙げられ、具体的にはフェニル、ナフチル等が例示される。C
6〜C
19アルケニル基として好ましくは、C
2〜C
6アルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等が例示される。C
2〜C
10アルキニル基として好ましくは、C
2〜C
6の直鎖又は分岐鎖状アルキニル基が挙げられ、具体的にはエチニル、プロパルギル、2−ブチニル、1−メチル−2−プロパルギル、2−ペンチニル、2−ヘキシニル等が例示される。C
1〜C
10アルコキシ基として好ましくは、直鎖状又は分岐状C
1〜C
5アルコキシ基が挙げられ、具体的にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ等が例示される。複素環基として好ましくは、フリル、チエニル、ピロリル、ピラニル、チオピラニル、ピリジル、チアゾリル、イミダゾリル、ピリミジル、トリアジニル、インドリル、キノリル、プリニル、ベンゾチアゾリル等が例示される。ハロゲン原子として好ましくは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示される。
【0029】
上記一般式(A3)においてR
a9〜R
a20としては、更に好ましくは水素原子である。このような置換基を有する上記一般式(A3)で表わされるペリノン系色素は、赤色を呈する。赤色のペリノン系色素としてより具体的な化合物としては、14H−ベンゾ[4,5]イソキノ[2,1−a]ペリミジン−14−オンが例示され、「kayaset Red A−2G」(日本化薬(株)製)として市販されている。
【0030】
(A4)キノリン系色素
キノリン系色素としては、例えば下記一般式(A4)で表わされる化合物を挙げることができる。
【化9】
(式(A4)中、R
a28〜
a33は、同一又は異なって、水素原子、水酸基、直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
10アルキル基、C
7〜C
20アラルキル基、C
6〜C
19アリール基、アルケニル基、C
2〜C
10アルキニル基、C
1〜C
10アルコキシ基、又は下記一般式(A4a)で表わされる基、
【化10】
(式(A4a)中、R
aiv〜
aviiは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子)を示す)
【0031】
R
a28〜
a33で示される直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
10アルキル基、C
7〜C
20アラルキル基、C
6〜C
19アリール基、アルケニル基、C
2〜C
10アルキニル基、C
1〜C
10アルコキシ基は、上記一般式(A3)において具体的に例示される。また、R
aiv〜
aviiで表わされるハロゲン原子についても上記一般式(A3)において具体的に例示される。
【0032】
上記一般式(A4)において好ましい置換基の組み合わせとしては、R
a28〜
a32が水素原子であり、R
a33が一般式(A4a)で表わされる基であって、且つR
aiv〜
aviiが水素原子の組み合せ挙げられる。このような置換基を有するキノリン系色素は黄色を呈する。黄色のキノリン系色素としてより具体的な化合物としては、2−(3−ヒドロキシ−2−キノリル)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオンが例示され、「kayaset Yellow A−G」(日本化薬(株)製)として市販されている。
【0033】
本発明の組成物は、色素と後述する紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることによって効果的に退色を抑制することができ、赤色系色素を含む場合に本発明の効果がより一層顕著に発揮される。従って、本発明の組成物に配合される色素としては、赤色系色素を好適なものとして例示できる。赤色系色素としては前述の一般式(A1)で表わされるアントラキノン系の赤色色素、(A2)ナフタレン系色素、(A3)ペリノン系色素等を例示することができ、好ましくはアントラキノン系の赤色色素及び/又はナフタレン系色素を挙げることができる。
【0034】
以上の色素を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の組成物において色素の配合割合としては、特に限定されず、所望の色調となるように適宜設定することができるが、通常、液体芳香剤組成物全重量に対して0.0001〜1重量%、好ましくは0.00025〜0.5重量%、更に好ましくは0.0005〜0.1重量%が挙げられる。なお、色素を2種以上組み合わせて使用する場合、当該配合割合は本発明の組成物における色素の全重量の占める割合を表す。また、2種以上の色素を使用する場合の各色素の割合についても、所望の色調となるように適宜設定することができる。
【0035】
(B)紫外線吸収剤
本発明は前記(A)色素と、下記(B1)のトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤を組み合わせて使用することにより、液体芳香剤組成物の退色を効果的に抑制することができる。
【0036】
(B1)トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤
本発明において(B1)のトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤として下記一般式(B1)で示される化合物を使用することができる。
【化11】
(式中、R
b1、R
b2及びR
b3は、同一又は異なって、下記一般式(B1a)又は(B1b):
【化12】
(式(B1a)中、R
biは水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
10アルキル基を表す);
【化13】
(式(B1b)中、R
biiは直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
18アルキル基、C
2〜C
18アルケニル基又は式−CH
2−CH(OH)−CH
2−OT
1(式中T
1は水素原子又は直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
8アルキル基である)を表す)。
【0037】
R
biで示される直鎖状または分岐状C
1〜C
10アルキル基として好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
5アルキル基が挙げられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル等が例示される。
【0038】
R
biiで示されるC
1〜C
18アルキル基として好ましくは、直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
6アルキル基が挙げられ、具体的にはメチル、エチル、プロピル、オクタデシル、エイコシル、イソプロピル、tert−ブチル、2−エチルヘキシル等が例示される。C
2〜C
18アルケニル基として好ましくは、C
2〜C
6アルケニル基が挙げられ、具体的にはビニル、アリル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等が例示される。また、T
1として好ましくは水素原子、又はR
biについて例示される直鎖状又は分岐鎖状C
1〜C
5アルキル基が挙げられる。
【0039】
一般式(B1)で表わされる1,3,5−トリアジン誘導体として好ましくは、R
b1が式(Ba)であってR
iがメチル基、且つR
b2及びR
b3が式(Bb)であってR
iiが2−エチルヘキシル基である化合物が例示される。
【0040】
1,3,5−トリアジン誘導体化合物の具体的化合物としては、「チノソルブS」(BASF CANADA INC.製)として市販されているビスエチルへキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、「サイアソーブUV−1164」(日本サイテック インダストリーズ(株)製)として市販されている2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール、「TINUVIN406)(BASF製)として市販されている2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、「Uvinul T 150」(BASF製)として市販されている2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン等が例示される。
【0041】
上記(B1)成分として一般式(B1)で表わされる化合物を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明において(B1)成分の配合割合は色素の退色が抑制され得る限り特に限定されないが、通常、0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%が挙げられる。
【0042】
また、(B1)成分に更に下記(B2)成分を併用することによって、色素の退色を抑制することに加え、成分の析出を抑制することもでき、特に揮散部材等を使用して本発明の液体芳香剤組成物を揮散させる場合、使用開始時と同等の良好な外観を保持することができる。(B2)成分として以下の(B2−1)及び(B2−2)の化合物を使用することができる。
【0043】
(B2−1)シンナメート系紫外線吸収剤
本発明において(B2−1)成分のシンナメート系紫外線吸収剤として、例えば下記一般式(B2−1)で表わされる化合物を使用することができる。
【化14】
(式中、R
b4及びR
b5は同一又は異なって、水素原子、炭素原子、直鎖状または分岐状のC
1〜C
24アルキル基を表す)。
【0044】
R
b4及びR
b5として好ましくは、水素原子、炭素原子、直鎖状又は分岐状C
1〜C
8アルキル基が例示され、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソブチル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル等挙げられ、より好ましくは炭素原子、2−エチルヘキシルが挙げられ、更に好ましくはR
b4が炭素原子であり且つR
b5が2−エチルヘキシルである。
【0045】
一般式(B2−1)のシンナメート系紫外線吸収剤の具体的化合物としては、「Parsol MCX」(DSM社製)又は「ユビナールMC80」(BASFジャパン(株)製)として市販されている2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメート又はシノキサート;「Neo Heliopan E 1000」(Symrise社製)として市販されているイソアミルメトキシシンナメート;イソプロピルメトキシシンナメート;ジイソプロピルメトキシシンナメートが挙げられる。また、その他の一般式(B2−1)で表されるシンナメート系紫外線吸収剤の具体的化合物として、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート;2,2’−ビス(p−メトキシスチリル)−エチル−p−メトキシシンナメート;メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート等が例示される。本発明の(B2−1)成分として好ましくは2−エチルヘキシル4−メトキシシンナメートが挙げられる。
【0046】
(B2−2)ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
本発明において(B2−2)成分のベンゾフェノン系紫外線吸収剤として、例えば下記一般式(B2−2)で示される化合物を使用することができる。
【化15】
(式中、R
b6及びR
b7は、同一又は異なって、直鎖状若しくは分岐状C
1〜C
20アルキル基、C
3〜C
10シクロアルキル基、C
2〜C
10アルケニル基又はC
3〜C
10シクロアルケニル基を表し;R
b6及びR
b7はそれらが結合している窒素原子と共同して5又は6員環を形成可能であり、
R
b8及びR
b9は、同一又は異なって、直鎖状若しくは分岐状C
1〜C
20アルキル基、C
3〜C
10シクロアルキル基、C
2〜C
10アルケニル基又はC
3〜C
10シクロアルケニル基、C
1〜C
12アルコキシ基、C
1〜C
12アルコキシカルボニル基、C
1〜C
12アルキルアミノ基、ジC
1〜C
12アルキルアミノ基、アリール基又はヘテロアリール基;又はカルボキシラート基、スルホナート基若しくはアンモニウム基(NH
3+)を示し;
X
B2は水素原子又はCOOR
bl又はCONR
bmR
bn基を示し;
R
bl、R
bm及びR
bnは同一又は異なって、水素原子、直鎖状または分岐状のC
1〜C
20アルキル基、C
2〜C
10アルケニル基、C
3〜C
10シクロアルキル基、C
3〜C
10シクロアルケニル基、−(YO)
O−Z基又はアリール基を示し;
Yは(CH
2)
2−、−(CH
2)
3−、−(CH
2)
4−又は−CH−(CH
3)−CH
2−を示し;Zは−CH
2−CH
3、−CH
2CH
2CH
3、−CH
2−CH
2−CH
2−CH
3又は−CH(CH
3)−CH
3を示し;
mは0〜3の整数であり;nは0〜3の整数であり;oは1又は2である)。
【0047】
直鎖状若しくは分岐状C
1〜C
20アルキル基としては、例えば:メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル又はn−エイコシルを挙げることができる。
【0048】
C
2〜C
10アルケニル基としては、例えば:ビニル、n−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、2−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、1−オクテニル又は2−オクテニルを挙げることができる。
【0049】
C
1〜C
12アルコキシ基としては:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、1−メチルプロポキシ、3−メチルブトキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、1−メチル−1−エチルプロポキシ、オクトキシ、2−メチルプロポキシ、1,1−ジメチルプロポキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ又は2−エチルヘキソキシを挙げることができる。
【0050】
C
3〜C
10シクロアルキル基としては、例えば:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、1−メチルシクロプロピル、1−エチルシクロプロピル、1−プロピルシクロプロピル、1−ブチルシクロプロピル、1−ペンチルシクロプロピル、1−メチル−1−ブチルシクロプロピル、1,2−ジメチルシクロプロピル、1−メチル−2−エチルシクロプロピル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロデシルを挙げることができる。
【0051】
一又は複数の二重結合を有するC
3〜C
10シクロアルケニル基としては:シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、1,3−シクロヘキサジエニル、1,4−シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、1,5−シクロオクタジエニル、シクロオクタテトラエニル、シクロノネニル又はシクロデセニルを挙げることができる。
【0052】
シクロアルキル又はシクロアルケニル基は、例えば塩素、フッ素又は臭素等のハロゲン;シアノ;ニトロ;アミノ;C
1〜C
4アルキルアミノ;ジC
1〜C
4アルキルアミノ;C
1〜C
4アルキル;C
1〜C
4アルコキシ;又はヒドロキシルから選択される一又は複数(好ましくは1〜3)の置換基を有し得る。それらは、そのフリーの結合手が水素又はC
1〜C
4アルキル基により占有され得る1〜3のヘテロ原子、例えば硫黄、酸素又は窒素をさらに有してもよい。
【0053】
アリール基は、好ましくは、例えば塩素、フッ素又は臭素等のハロゲン;シアノ;ニトロ;アミノ;C
1〜C
4アルキルアミノ;ジC
1〜C
4アルキルアミノ;C
1〜C
4アルキル;C
1〜C
4アルコキシ;又はヒドロキシルから選択される一又は複数(好ましくは1〜3)の置換基を有し得るフェニル又はナフチル環から選択される。特に好ましくは、フェニル、メトキシフェニル及びナフチルである。ヘテロアリール基は、一般的に、硫黄、酸素又は窒素から選択される一又は複数のヘテロ原子を含有する。
【0054】
水溶性基は、例えばカルボキシラート又はスルホナート基であり、特に、それらの生理学的に許容可能なカチオンとの塩類、例えばアルカリ金属塩又はトリアルキルアンモニウム塩、例えばトリ(ヒドロキシアルキル)アンモニウム又は2−メチルプロパン−1−オール−2−アンモニウム塩である。
【0055】
さらに、アンモニウム基、例えばアルキルアンモニウム、及びそれらの生理学的に許容可能なアニオンとの塩の形態を挙げることもできる。R
b6及びR
b7基と窒素原子とで形成される5又は6員環の例としては、特にピロリジン又はピペリジンを挙げることができる。アミノ基は、カルボニル基に対してオルト、メタ又はパラ位、好ましくはパラ位において、ベンゼン環に結合可能である。
【0056】
上記一般式(B2−2)の好ましい化合物として、下記一般式(VIa)で表わされる化合物が挙げられる。
【化16】
[上式中:R
v1及びR
v2は同一又は異なっており、水素原子、又はC
1−C
12アルキル基を示すか、又はそれらが結合している窒素原子と共同して5−又は6員環を形成し;X
vaはCOOR
v5又はCONR
v6R
v7基を示し;R
v5は、水素原子、C
1〜C
12アルキル基又はC
3〜C
6シクロアルキル基を示し;R
v6及びR
7は同一又は異なっており、水素原子、C
1〜C
12アルキル基又はC
5〜C
6シクロアルキル基を示す]から選択されるものが含まれる。
【0057】
式(VIa)の好ましい化合物は:R
v1及びR
v2は同一又は異なって、C
1〜C
4アルキル基、好ましくはエチル基を示し;R
v5がC
3〜C
8アルキル基を示し;R
v6及びR
v7は同一又は異なってC
1〜C
8アルキル基を示す化合物が例示される。
【0058】
上記一般式(B2−2)の好ましい化合物として、下記一般式(VIb)で表わされる化合物が挙げられる。
【化17】
[上式中:R
v1及びR
v2は同一又は異なっており、C
1〜C
12アルキル基を示すか、又はそれらが結合している窒素原子と共同して5又は6員環を形成する]から選択されるものが含まれる。
【0059】
式(VIb)の化合物としては:−4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシフェニル−フェニルケトン、−4−ピロリジノ−2−ヒドロキシフェニル−フェニルケトンを挙げることができる。
【0060】
上記一般式(B2−2)の好ましい化合物として、下記一般式(VIc)で表わされる化合物が挙げられる。
【化18】
[上式中:R
v1及びR
v2は同一又は異なっており、水素原子、又はC
1〜C
8アルキル基を示すか、又はそれらが結合している窒素原子と共同して5又は6員環を形成し;R
v5は、水素原子、C
1〜C
12アルキル基又はC
3〜C
6シクロアルキル基を示す]から選択されるものが含まれる。
【0061】
式(VIc)の化合物としては:2−(4−ピロリジノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸メチル、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸2−エチルヘキシル、シクロヘキシル−2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n−ヘキシル、2−(4−ジブチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾアート、2−(4−ジブチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸メチル、2−(4−ジブチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸イソブチルを挙げることができる。
【0062】
一般式(B2−2)で表わされるベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体的化合物としては、「ユビナールA plus」(BASFジャパン(株)製)として市販される2−[4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンゾイル]−安息香酸n−ヘキシルが例示される。
【0063】
上記(B2)成分として上記化合物を1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の組成物における(B1)成分1重量部に対する(B2)成分の重量部は色素の退色が抑制される限り特に限定されず、色素の種類や配合量に応じて適宜設定され得るが、通常、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜5重量部、更に好ましくは0.5〜2重量部が挙げられる。なお、(B2)成分を2種以上組み合わせて使用する場合、当該配合割合は本発明の組成物における紫外線吸収剤の全重量の占める割合を表す。
【0064】
また、(A)成分(色素)1重量部に対する配合した全ての紫外線吸収剤の合計重量部は、通常10〜500重量部、好ましくは25〜300重量部、更に好ましくは50〜150重量部が挙げられる。
【0065】
(C)香料
本発明において使用される香料としては、天然香料、天然香料から分離された単離香料、合成香料のいずれであってもよく、従来公知の香料から本発明の組成物に所望の香気を付与するように適宜選択して使用することができる。このような香料としては、リモネン、α−ピネン、カンフェン、p−サイメン、フェンチェン等の炭化水素系香料;1,8−シネオール、ローズオキサイド、セドロールメチルエーテル(セドランバー)、p−クレジルメチルエーテル、イソアミルフエェニルエチルエーテル、4−フェニル−2,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、アネトール等のエーテル系香料;エチルアセテート、エチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、ブチルアセテート、エチル2−メチルブチレート、イソアミルアセテート、エチル2−メチルペンタノエート(マンザネート)、ヘキシルアセテート、アリルヘキサノエート、トリシクロデセニルプロピオネート(VERTOPRO;フロロシクレン)、アリルヘプタノエート、イソボルニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、2−ter−ブチルシクロヘキシルアセテート(ナルシドール)等のエステル香料;
リナノール、3−オクタノール、2,6−ジメチル−ヘプタノール、10−ウンデセノール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、テトラヒドロリナロール、ターピネオール、セドロール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、ネロリドール、9−デセノール、シス−3−ヘキセノール、トランス−2−ヘキセノール、オイゲノール等のアルコール系香料;シトロネラール、パラアルデハイド、ベンズアルデヒド、アルデヒドC−6、アルデヒドC−7、 アルデヒドC−8、アルデヒドC−9、アルデヒドC−10、トリプラール、p−エチルジメチルヒドロシンナミックアルデヒド(フローラゾン)、2−トリデセナール、アルデヒドC11等のアルデヒド系香料が例示される。
【0066】
また、本発明における(C)成分として精油等の天然香料を使用することもできる。精油としては、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油、チュベローズ油等が例示される。
【0067】
これらの香料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて調香して使用することもできる。
【0068】
また、本発明で使用する香料の特性としては、揮散により空間に香気を付与することができる限り特に限定されないが、例えば、25℃における蒸気圧が、0.5mmHg以上、好ましくは0.6mmHg以上、更に好ましくは0.7mmHg以上のものが望ましい。かかる特性を備える香料であれば、揮散用の液体芳香剤組成物としてより優れた芳香作用を発揮することができる。なお、2種以上の成分の混合物からなる芳香成分を使用する場合、上記蒸気圧は該混合物自体が示す値である。
【0069】
本発明において香料の配合割合は、本発明の組成物に香気を付与できる量であれば特に限定されないが、例えば0.5〜20重量%、好ましくは1〜15重量%が挙げられる。香料を2以上組み合わせて使用する場合、当該配合割合は香料の合計量に基づく配合割合を表す。
【0070】
(D)溶剤
本発明において(D)成分として表わされる溶剤は、上記(A)〜(C)成分を溶解可能であればその種類は特に限定されず、従来公知のものから適宜選択して用いることができるが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートトリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール誘導体;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン等のアミン;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。また、イソパラフィン系溶剤を使用することもできる。イソパラフィン系溶剤として好ましくは沸点が100〜300℃、好ましくは150〜250℃のものを挙げることができる。本発明において(D)成分として、これらの溶剤の中から1種を単独で使用することもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0071】
本発明において(D)成分として好ましい溶剤は、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、イソパラフィン系溶剤等が挙げられる。また、イソパラフィン系溶剤は商業的に入手可能であり、具体的にはアイソパーM、アイソパーG(いずれもエクソンモービル有限会社製)等のイソパラフィン系炭化水素が挙げられる。
【0072】
本発明において(D)溶剤の配合割合は、上記成分を溶解させることが可能な量であれば特に限定されず、他の成分の配合量、溶解度等に応じて適宜設定することが可能であるが、通常、75〜99重量%が挙げられる。溶剤を2以上組み合わせて使用する場合、当該配合割合は溶剤の合計量に基づく配合割合を表す。
【0073】
(E)その他の成分
本発明の組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、上記成分の他に、水;非イオン界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油)、アニオン界面活性剤、両界面活性剤等の界面活性剤;1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2n−オクチル−イソチアゾリン−3−オン等の防腐剤;酸化防止剤;前記以外の紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。その他の成分の配合割合としては、例えば0.001〜5重量%、好ましくは0.005〜3重量%、更に好ましくは0.01〜1重量%が挙げられる。
【0074】
本発明の液体芳香剤組成物は、上記各成分を所定量混合することにより得ることができる。混合の順序や条件は特に限定されないが、例えば、香料に紫外線吸収剤を添加し、必要に応じて加温しながら溶解させた後、溶剤及び色素を添加して行うことができる。
【0075】
本発明の液体芳香剤組成物は、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤を含有することにより退色が抑制されることから、透明部分を有する容器に収容されて使用された場合にも使用開始時と同様の鮮やかな色彩を維持することができる。また、トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤に加え、シンナメート系紫外線吸収剤及び/又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤を添加することによって、揮散に伴う成分の析出が抑制され、良好な外観を維持することができるものであることから、本発明の組成物は揮散部材を介する揮散に好適に使用される。
【0076】
揮散器
本発明は、更に、前記液体芳香剤組成物を揮散部材を介して揮散させるための揮散器を提供する。このような揮散器としては、本発明の液体芳香剤組成物中に木質材料からなる揮散部材の少なくとも一部を浸漬させ、当該揮散部材の一部を揮散対象空間(例えば空気中)に露出させることにより、揮散部材によって液体芳香剤組成物の吸い上げと揮散を行う揮散器を挙げることができる。より具体的には、開口部を有する液体容器と、木質材料からなる揮散部材と、当該液体容器に収容された本発明の組成物とを含んで構成され、当該揮散部材の少なくとも一部が本発明の組成物に浸漬され、且つ当該揮散部材の少なくとも一部が当該開口部から空気中に露出可能に設置されているものが例示される。
【0077】
液体容器については、本発明による色素の退色抑制効果がより一層顕著に発揮されることから、少なくとも一部に透明部分を有しているものであることが好ましい。このような液体容器の素材としては、例えばガラス、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられ、本発明の液体芳香剤組成物を収容する液体容器として好ましくはガラス製やPET製のものが挙げられる。
【0078】
本発明において揮散器に収容される液体芳香剤組成物には、前記トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤に加え、シンナメート系紫外線吸収剤及び/又はベンゾフェノン系紫外線吸収剤を含有していることが望ましい。これらの紫外線吸収剤を組み合わせて含有することにより、色素の退色抑制に加えて、成分の析出が効果的に抑制される。従って、揮散材を介して空気中に揮散させる場合でも揮散部材状に成分が析出して外観を損なうことがなく、使用開始時の色調及び外観を維持することができる。
【0079】
揮散部材の素材として好ましくは天然素材が挙げられ、より具体的には、木片、籐、竹、ソラ等の木質材料が例示される。揮散部材として使用される木片は、必要に応じて樹皮を剥離し、乾燥させて使用することができる。
【0080】
このような態様の揮散器において、揮散部材として使用される木片の形状については、特に制限されないが、断面積が0.75〜15mm
2程度で長さが5〜30cm程度の棒状の形状が好ましく、1つの揮散器において、同一又は異なる形状の木片を複数使用してもよい。本揮散器に設置される揮散部材(例えば木片)の数については、揮散部材の大きさや揮散対象空間の広さ等に応じて適宜設定される。
【0081】
また、本発明の組成物を含む揮散器の他の実施態様として、本発明の組成物を揮散部材に含浸させたもの(例えば、液体芳香剤組成物を含浸させた木片等)が挙げられる。このような態様において、揮散部材として使用される揮散部材の形状は、ブロック状、棒状、球状等のいずれの形状でもよく、同一又は異なる形状の揮散部材を複数組み合わせて使用してもよい。
【0082】
また、本発明は、前記一部に透明部分を有し、紫外線波長の少なくとも一部が透過できる液体容器に充填された態様の所謂詰め替え用の液体芳香剤組成物をも提供する。
【実施例】
【0083】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0084】
下表1に示される組成の赤色系の液体芳香剤組成物及び下表2に示される処方の青色系液体芳香剤組成物をそれぞれ調製した。液体芳香剤組成物の調製は、(A)〜(D)成分を混合することにより行った。混合は、まず(C)香料に(B)紫外線吸収剤を添加し、60℃で加温しながら溶解した後、(A)色素及び(D)溶剤を添加して行った。
【0085】
得られた液体芳香剤組成物について、退色及び成分の析出について評価を行った。評価方法は以下の通りである。
[退色評価方法]
退色評価は、大阪府茨木市において3〜5月に行われた。液体芳香剤組成物を、下表1に示される結果については2週間又は下表2に示される結果については2か月間窓際に静置して日光を照射した後、目視により退色を確認した。なお、各液体芳香剤組成物が置かれた環境の温度は外気温と同じであった。また、退色の程度については、日光に照射する前の液体芳香剤組成物の色調と比較し、下記評価基準に基づいて評価を行った。
×:使用開始時と比べて色調が無色透明に近く、退色が認められる。
○:使用開始時と比べてわずかに色調が薄い
◎:使用開始時と同じ色調
【0086】
[析出評価方法]
析上記退色評価方法に記載の環境条件のもと、容器に入れた液体芳香剤組成物中に籐の木片(断面積7mm
2;長さ:18cm;8本)を挿入し、下表1に示される結果については2週間、下表2に示される結果については2カ月間窓際に静置して、目視により析出を確認した。析出の評価基準は以下に示される。
×:析出が認められる
○:析出が全く認められない
【0087】
評価開始前の赤色系液体芳香剤組成物の代表例(実施例1)を
図1に示す。赤色系の液体芳香剤組成物の組成及び評価結果を表1、青色系液体芳香剤組成物の組成及び評価結果を表2に示す。下表1及び2に記載される各処方に使用した(A)〜(D)成分について具体的には以下の通りである。
kayaset red 130:日本化薬(株)製
oil Blue 650M:オリエント化学工業(株)製
チノソルブ S(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン):BASF CANADA INC.製
ユビナールMC80(2-エチルヘキシル4-メトキシシンナマート):BASFジャパン(株)製
ユビナールA plus(2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-ベンゾイックアシッドヘキシルエステル)
:BASFジャパン(株)製
Fairy Rose 70774/4:Givaudan製
アクアスパ BR09468:小川香料(株)製
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
アイソパーM(イソパラフィン系溶剤:沸点225℃):エクソンモービル有限会社製
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤:沸点167℃):エクソンモービル有限会社製
【表1】
【0088】
表1に示される結果より、実施例1((B1)トリアジン骨格を有する紫外線吸収剤)の場合には色素の退色が抑制された。しかし、実施例1の処方では、液体芳香剤組成物の成分が揮散部材上に析出した。これに対し、実施例2〜8の結果より、紫外線吸収剤(B1)及び(B2)を組み合わせて配合することにより、液体芳香剤組成物の退色及び揮散部材上への成分の析出の両方が効果的に抑制されることが示された。一方、比較例1〜3の結果より、紫外線吸収剤(B2)を含むが紫外線吸収剤(B1)を含有しない処方では、成分の析出は抑制されるものの、色素の退色抑制効果については十分とは言えない結果となった。また、紫外線吸収剤を含まない処方(比較例4)は、析出はなかったものの色素の退色が認められた。
【0089】
また、
図2は、実施例1と比較例4の液体芳香剤組成物について退色評価を行った結果を示す写真である。
図2に示されるように、比較例4はほぼ無色透明を呈しており、明らかな退色が認められた。これに対し、実施例1は使用開始前の鮮やかな赤色を維持しており、退色抑制効果が顕著であることが示された。更に、
図3は、実施例1と実施例7の液体芳香剤組成物について析出評価を行った結果を示す写真である。
図3に示されるように、実施例1では明らかな析出が認められるのに対し、紫外線吸収剤(B1)及び(B2)の両方を含む実施例7では全く析出は認められず、揮散部材を用いて揮散させた場合も良好な外観を維持できることが示された。
【0090】
【表2】
【0091】
表2に示されるように、赤色系処方と同様に、紫外線吸収剤(B1)及び(B2)を組み合わせて配合した場合に色素の退色と成分の析出が抑制されることが示された。
【0092】
[処方例]
下表3に処方例を示す。これらの処方例として示される液体芳香剤組成物は、上記退色及び析出の評価方法に従って評価を行ったところ、いずれも使用開始前の鮮やかな色調が維持され、揮散部材を用いて揮散させた場合にも成分の析出が抑制されて良好な外観を呈するものであった。
【表3】
各処方例に使用した(A)〜(D)成分について具体的には以下の通りである。
KAYASET GREEN A−G:日本化薬(株)製
KAYASET YELLOW A-G:(日本化薬(株)製)
KAYASET RED A−2G:日本化薬(株)製
KAYASET BLUE N(日本化薬(株)製)
OIL RED 5B:オリエント化学工業(株)製
チノソルブ S(ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン):BASF CANADA INC.製
ユビナールMC80(2-エチルヘキシル4-メトキシシンナマート):BASFジャパン(株)製
ユビナールA plus(2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]-ベンソ゛イックアシッドヘキシルエステル)
:BASFジャパン(株)製
ユビナール A Plus B:BASF SE(Societas Europaea)製
(ユビナールMC80とユビナールA plusの混合物)
Fairy Rose 70774/4:Givaudan製
アクアスパ BR09468:小川香料(株)製
GOUTALIA 227645 F:FIRMENICH AROMATICS(CHINA) Co.Ltd製
LUCKLIA 227667 :FIRMENICH AROMATICS(CHINA) Co.Ltd製
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
アイソパーM(イソパラフィン系溶剤:沸点225℃):エクソンモービル有限会社製
アイソパーG(イソパラフィン系溶剤:沸点167℃):エクソンモービル有限会社製