(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
チョコレートは、チョコレートのみからなる商品以外に、チョコレートと他の食品とを組み合わせた商品にも使用されている。チョコレートと他の食品とを組み合わせた商品において、チョコレートとアイスクリーム等の冷菓とを組み合わせた商品は人気のある商品の一つである。チョコレートと冷菓とを組み合わせる方法としては、冷菓をチョコレートでコーティング(被覆)する方法が知られている。
【0003】
また、チョコレートをコーティングした冷菓には、更にコーティングしたチョコレート部分にナッツ類等の可食物を付着させた商品もあり、この商品も冷菓の中では人気のある商品の1つである。チョコレートでコーティングした冷菓のチョコレート部分に可食物を付着させる方法としては、コーティングしたチョコレートが固まる前に可食物を塗付することで、チョコレートに可食物を付着させるのが一般的である。従って、可食物を付着させて使用する冷菓コーティング用チョコレートには、チョコレートが冷菓から剥離しにくいことに加えて、可食物がチョコレートに付着しやすいことが求められる。
【0004】
冷菓のコーティング用チョコレートとしては、口溶けが良いことから、パーム中融点等の対称型トリグリセリドを多く含む油脂とラウリン系油脂を併用して使用したチョコレートが提案されている(例えば、特許文献1、2)。しかしながら、特許文献1、2の冷菓コーティング用チョコレートは、冷菓から剥離しにくいが、可食物が付着しにくく、可食物の付着性が悪かった。
【0005】
以上のような背景から、冷菓から剥離しにくく、可食物が付着しやすい冷菓コーティング用チョコレートの開発が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、冷菓から剥離しにくく、可食物が付着しやすい冷菓コーティング用チョコレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、チョコレートに含まれる油脂中に特定のトリグリセリドを特定量含有させると、冷菓から剥離しにくく、可食物が付着しやすい冷菓コーティング用チョコレートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の第1の発明は、チョコレートに含まれる油脂が下記(a)から
(i)の条件を満たし、
油脂含量が40〜80質量%である冷菓コーティング用チョコレートであって、該冷菓コーティング用チョコレートが可食物を付着させて使用する冷菓コーティング用チョコレートである。
(a)X3含量が5〜10質量%
(b)C42以下X3/X3の質量比が0.85以上
(c)X2U含量が30質量%以下
(d)XU2+U3含量が68〜76質量%
(e)PU2/XU2の質量比が0.60以上
(f)ラウリン系油脂含量が5〜15質量%
(g)パーム分別軟質油含量が30〜55質量%
(h)液体油含量が30〜55質量%
(i)ココアバター含量が15質量%以下
上記の(a)から(e)の条件において、X、U、P、X3、X2U、XU2、PU2、U3、C42以下X3はそれぞれ以下のものを示す。
X:炭素数8〜20の飽和脂肪酸
U:炭素数18の不飽和脂肪酸
P:パルミチン酸
X3:Xが3分子結合しているトリグリセリド
X2U:Xが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
XU2:Xが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
PU2:Pが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
U3:Uが3分子結合しているトリグリセリド
C42以下X3:Xが3分子結合しているトリグリセリドのうち、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42以下のトリグリセリド
本発明の第2の発明は、前記可食物がナッツ類又は焼菓子類である第1の発明に記載の冷菓コーティング用チョコレートである。
本発明の第3の発明は、第1の発明又は第2の発明に記載の冷菓コーティング用チョコレートでコーティングした冷菓であって、該冷菓のチョコレート部分に可食物が付着している冷菓である。
本発明の第4の発明は、前記可食物がナッツ類又は焼菓子類である第3の発明に記載の冷菓である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、冷菓から剥離しにくく、可食物が付着しやすい冷菓コーティング用チョコレートを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂が下記(a)から(e)の条件を満たす冷菓コーティング用チョコレートであって、該冷菓コーティング用チョコレートが可食物を付着させて使用するものである。
(a)X3含量が5〜10質量%
(b)C42以下X3/X3の質量比が0.85以上
(c)X2U含量が30質量%以下
(d)XU2+U3含量が68〜76質量%
(e)PU2/XU2の質量比が0.60以上
【0012】
本発明においてチョコレートとは、「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」(全国チョコレート業公正取引協議会)乃至法規上の規定により限定されるものではなく、食用油脂、糖類を主原料とし、必要によりカカオ成分(カカオマス、ココアパウダー等)、乳製品、香料、乳化剤等を加え、チョコレート製造の工程(混合工程、微粒化工程、精練工程、成形工程、冷却工程等の全部乃至一部)を経て製造されたもののことである。また、本発明におけるチョコレートは、ダークチョコレート、ミルクチョコレートの他に、ホワイトチョコレート、カラーチョコレートも含むものである。
【0013】
本発明においてチョコレートに含まれる油脂とは、チョコレート中の全植物油脂分のことであり、配合される油脂の他に、含油原料(カカオマス、ココアパウダー等)中の油脂(ココアバター等)も含むものである。
【0014】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中のX3含量(条件(a))が5〜10質量%であり、好ましくは6〜10質量%であり、より好ましくは7〜9質量%である。X3含量が前記範囲にあると、チョコレートは冷菓から剥離しにくく、可食物が付着しやすいものとなる。
なお、本発明において、X3はXが3分子結合しているトリグリセリドである(トリグリセリドとは、グリセロールに3分子の脂肪酸が結合したトリアシルグリセロールのことである。)。また、本発明において、Xは炭素数8〜20の飽和脂肪酸である。
【0015】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中のC42以下X3/X3の質量比(条件(b))が0.85以上であり、好ましくは0.90以上であり、より好ましくは0.92〜0.97である。C42以下X3/X3の質量比が前記範囲にあると、チョコレートは可食物が付着しやすいものとなる。
なお、本発明において、C42以下X3/X3の質量比は、X3含量(質量%)に対するC42以下X3含量(質量%)の比のことである。また、本発明において、C42以下X3は、Xが3分子結合しているトリグリセリドのうち、構成する脂肪酸残基の総炭素数が42以下のトリグリセリドのことである。例えば、ラウリン酸(炭素数12)、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)から構成されるトリグリセリドは、構成する脂肪酸残基の総炭素数が38のトリグリセリドである。
【0016】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中のX2U含量(条件(c))が30質量%以下であり、好ましくは27質量%以下であり、より好ましくは10〜25質量%である。X2U含量が前記範囲にあると、チョコレートは可食物が付着しやすいものとなる。
なお、本発明において、X2UはXが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド(XUX+XXU+UXX)である。また、本発明において、Uは炭素数18の不飽和脂肪酸である。
【0017】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中のXU2+U3含量(XU2とU3の合計含量)(条件(d))が68〜76質量%であり、好ましくは69〜75質量%であり、より好ましくは70〜75質量%である。XU2+U3含量が前記範囲にあると、チョコレートは冷菓から剥離しにくく、可食物が付着しやすいものとなる。
なお、本発明において、XU2はXが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(XUU+UXU+UUX)である。また、本発明において、U3はUが3分子結合しているトリグリセリドである。
【0018】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中のPU2/XU2の質量比(条件(e))が0.60以上であり、好ましくは0.65以上であり、より好ましくは0.65〜0.90である。PU2/XU2の質量比が前記範囲にあると、チョコレートは可食物が付着しやすいものとなる。
なお、本発明において、PU2/XU2の質量比は、XU2含量(質量%)に対するPU2含量(質量%)の比のことである。また、本発明において、PU2はPが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド(PUU+UPU+UUP)である。また、本発明において、Pはパルミチン酸のことである。
【0019】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中の炭素数14以下の飽和脂肪酸含量が好ましくは3〜15質量%であり、より好ましくは5〜12質量%であり、更に好ましくは6〜10質量%である。
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中の炭素数16〜18の飽和脂肪酸含量が好ましくは10〜35質量%であり、より好ましくは15〜33質量%であり、更に好ましくは17〜30質量%である。
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、チョコレートに含まれる油脂中の炭素数18の不飽和脂肪酸含量が好ましくは50〜80質量%であり、より好ましくは55〜77質量%であり、更に好ましくは60〜75質量%である。
【0020】
トリグリセリド組成の分析は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)を用いて行うことができる。
油脂の構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)を用いて行うことができる。
【0021】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートの原料油脂は、全植物油脂中のトリグリセリドの組成等が前記範囲であれば、特に制限されることなく、通常の食用油脂(ヤシ油、パーム核油、パーム油、パーム分別油(パームオレイン、パームスーパーオレイン等)、シア脂、シア分別油、サル脂、サル分別油、イリッペ脂、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、乳脂、ココアバター等やこれらの混合油、加工油脂等)を使用することができる。
【0022】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートの油脂中のトリグリセリド組成、脂肪酸組成等は、例えば、ラウリン系油脂、パーム分別軟質油、液体油、ココアバター(カカオマス、ココアパウダー等由来のココアバターも含む)等を使用することで調整することができる。
本発明において、ラウリン系油脂とは、構成脂肪酸中のラウリン酸含量が30質量%以上の油脂のことである。ラウリン系油脂の構成脂肪酸中のラウリン酸含量は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは40〜60質量%である。ラウリン系油脂の具体例としては、パーム核油、ヤシ油やこれらの加工油脂(分別油、硬化油(水素添加油)、エステル交換油)等が挙げられるが、好ましくはヤシ油である。
本発明において、パーム分別軟質油とは、パーム油やパーム分別油を分別して得られる軟質部(オレイン部)のことである。パーム分別軟質油の具体例としては、パームオレイン、パームスーパーオレイン等が挙げられる。パーム分別軟質油は、好ましくはパームスーパーオレインである。また、パーム分別軟質は、ヨウ素価が好ましくは50〜75であり、より好ましくは60〜70である。なお、油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定することができる。
本発明において、液体油とは、5℃で液体の油のことである。液体油の具体例としては、大豆油、菜種油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、米油、コーン油等が挙げられる。液体油は、好ましくは菜種油、大豆油である。
【0023】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートの油脂中のラウリン系油脂、パーム分別軟質油、液体油、ココアバターの含量は、好ましくはラウリン系油脂5〜15質量%、パーム分別軟質油30〜55質量%、液体油30〜55質量%、ココアバター15質量%以下、より好ましくはラウリン系油脂6〜13質量%、パーム分別軟質油32〜53質量%、液体油33〜53質量%、ココアバター10質量%以下、更に好ましくはラウリン系油脂7〜12質量%、パーム分別軟質油35〜50質量%、液体油35〜50質量%、ココアバター1〜7質量%である。
【0024】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、油脂含量(植物油脂含量)が好ましくは40〜80質量%、より好ましくは45〜75質量%、更に好ましくは50〜70質量%である。
【0025】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、好ましくは糖類を含有する。糖類としては、例えば、ショ糖(砂糖、粉糖)、乳糖、ブドウ糖、果糖、麦芽糖、還元澱粉糖化物、液糖、酵素転化水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖ポリデキストロース、オリゴ糖、ソルビトール、還元乳糖、トレハロース、キシロース、キシリトース、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、ラフィノース、デキストリン等を使用することができる。
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、糖類含量が好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜40質量%であり、更に好ましくは20〜35質量%である。
【0026】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、油脂、糖類以外にも、チョコレートに一般的に配合される原料を使用することができる。具体的には、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳等の乳製品、カカオマス、ココアパウダー等のカカオ成分、大豆粉、大豆蛋白、果実加工品、野菜加工品、抹茶粉末、コーヒー粉末等の各種粉末、ガム類、澱粉類、レシチン、リゾレシチン、酵素分解レシチン等のレシチン類、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の合成乳化剤、酸化防止剤、着色料、香料等を使用することができる。
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートで使用する合成乳化剤は、好ましくはショ糖脂肪酸エステルであり、より好ましくはショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖オレイン酸パルミチン酸ステアリン酸エステル、ショ糖エルカ酸エステルである。これらの合成乳化剤は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートで使用する合成乳化剤は、HLBが好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下である。本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、合成乳化剤の含量が好ましくは0.01〜2.0質量%であり、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
【0027】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、従来公知の方法により製造することができる。本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、例えば、油脂、カカオ成分、糖類、レシチン類、合成乳化剤等を原料として、混合工程、微粒化工程(リファイニング)、精練工程(コンチング)、冷却工程等を経て製造することができる。
【0028】
本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、冷菓にコーティングした時に冷菓から剥離しにくいものである。このため、本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、冷菓のコーティング用に適している。なお、本発明において、冷菓から剥離しにくいとは、冷菓からのチョコレートの剥がれにくさのことである。
更に、本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、冷菓にコーティングした時に可食物が付着しやすいものである。このため、本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートは、可食物を付着させて使用する用途に適している。なお、本発明において、可食物が付着しやすいとは、チョコレートへの可食物の付着しやすさと、チョコレートからの可食物の剥がれ落ちにくさのことである。
【0029】
本発明で使用する可食物は細かく砕かれたものである。本発明で使用する可食物の大きさは好ましくは10mm以下、より好ましくは1〜7mmである。本発明で使用する可食物の具体例としては、例えば、アーモンド、マカデミアナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ等のナッツ類、ビスケット、クッキー、クラッカー等の焼菓子類、果実類、野菜類、コーヒー、紅茶、緑茶等の嗜好品類、キャンディー等が挙げられ、果実類、野菜類、嗜好品類は、乾燥、凍結乾燥、濃縮等を行った加工品を使用することもできる。本発明で使用する可食物は、1種又は2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用する可食物は、好ましくはナッツ類、焼菓子類である。
【0030】
本発明の実施の形態に係る冷菓は、本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートをコーティングし、チョコレート部分に可食物を付着させたことを特徴としている。冷菓としては、例えば、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、氷菓等が挙げられる。
【0031】
本発明の実施の形態に係る冷菓は、チョコレートが冷菓から剥離しにくく、チョコレートに可食物が付着しやすいものである。
【0032】
本発明の実施の形態に係る冷菓は、従来公知の方法によって、本発明の実施の形態に係る冷菓コーティング用チョコレートをコーティングした後、従来公知の方法によってチョコレート部分に可食物を付着させることで製造することができる。チョコレート部分に可食物を付着させる方法は、可食物がチョコレート部分に付着すれば特に制限されない。チョコレート部分に可食物を付着させる方法としては、例えば、可食物をコーティングされたチョコレート部分に吹き付ける、載せる、塗付する、まぶす等や、チョコレートでコーティングされた冷菓を可食中に付ける、入れる、転がす等が挙げられる。
【実施例】
【0033】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
〔分析方法〕
トリグリセリド組成の分析は、ガスクロマトグラフ法(JAOCS,vol70,11,1111−1114(1993)準拠)を用いて行った。また、油脂の構成脂肪酸の分析は、ガスクロマトグラフ法(AOCS Ce1f−96準拠)を用いて行った。また、油脂のヨウ素価は、「基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会編)」の「2.3.4.1−1996 ヨウ素価(ウィイス−シクロヘキサン法)」に準じて測定した。
【0034】
油脂、含油原料及び合成乳化剤は以下のものを使用した。
ヤシ油(ラウリン酸含量47.4質量%、商品名:精製ヤシ油、日清オイリオグループ株式会社製)
パームスーパーオレイン(ヨウ素価67、日清オイリオグループ株式会社社内調製品)
菜種油(5℃で液状、商品名:菜種白絞油、日清オイリオグループ株式会社製)
大豆油(5℃で液状、商品名:大豆白絞油、日清オイリオグループ株式会社製)
ココアバター(商品名:TCココアバター、大東カカオ株式会社製)
カカオマス(ココアバター含量55質量%、商品名:カカオマスQM−P、大東カカオ株式会社製)
ココアパウダー(ココアバター含量11質量%、商品名:ココアパウダーSP、大東カカオ株式会社製)
合成乳化剤1(ショ糖ステアリン酸エステル、HLB約1、商品名:リョートーシュガーエステルS−170、三菱化学フーズ株式会社製)
合成乳化剤2(ショ糖オレイン酸パルミチン酸ステアリン酸エステル、HLB約1、商品名:リョートーシュガーエステルPOS−135、三菱化学フーズ株式会社製)
合成乳化剤3(ショ糖エルカ酸エステル、HLB約2、商品名:リョートーシュガーエステルER−290、三菱化学フーズ株式会社製)
【0035】
〔チョコレートの製造〕
表1〜5の配合で常法(混合、微粒化、精練、冷却)によりチョコレートを製造した。なお、配合の単位は質量部であり、含量の単位は質量%である。
また各チョコレートの油脂中のトリグリセリド組成、脂肪酸組成を前記方法により測定した。測定結果を表6〜10に示した。含量の単位は質量%である(質量比の単位はなし)。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
〔チョコレートの評価〕
40℃で融解させた各チョコレートを−10℃のアイスクリームバーにコーティングし、コーティングしてから10秒後にアーモンド粉砕物(32割アーモンド、大きさ1〜2mm)を付着させることで、アーモンド付着チョコレートコーティングアイスを製造した。
アーモンド付着チョコレートコーティングアイスを−30℃で10分間保管した後、アイスのアーモンドが付着したチョコレート部分を刷毛で払った時の状態を目視にて確認し、チョコレートへのアーモンドの付着性及びチョコレートのアイスからの剥離性を以下の基準に従い評価した。なお、本発明において、付着性とは、チョコレートへのアーモンド(可食物)の付着しやすさと、チョコレートからのアーモンドの剥がれ落ちにくさである。また、本発明において、剥離性とは、アイスからのチョコレートの剥がれにくさである。付着性及び剥離性は、○である場合、良いと判断した。評価結果を表6〜10に示す。
<付着性の評価基準>
○:付着性が非常に良い
△:付着性がやや良い
×:付着性が悪い
<剥離性の評価基準>
○:チョコレートがほとんど剥離しない
△:チョコレートがやや剥離する
×:チョコレートが剥離しやすい
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
【表8】
【0045】
【表9】
【0046】
【表10】
【0047】
表6〜10から分かるように、実施例のチョコレートは、アーモンドが付着しやすく、アイスから剥離しにくかった。
一方、表6〜9から分かるように、比較例のチョコレートは、アーモンドが付着しにくいか、アイスから剥離しやすかった。