特許第5995911号(P5995911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5995911画像欠陥検出装置及び画像欠陥検出方法並びに撮像ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5995911
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月21日
(54)【発明の名称】画像欠陥検出装置及び画像欠陥検出方法並びに撮像ユニット
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20160908BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20160908BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20160908BHJP
【FI】
   B41J2/01 207
   H04N1/00 106C
   B41J2/01 209
   B41J2/01 401
   B41J29/46 A
【請求項の数】9
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-110429(P2014-110429)
(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公開番号】特開2015-223775(P2015-223775A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(72)【発明者】
【氏名】角 克人
(72)【発明者】
【氏名】黒田 修
【審査官】 下村 輝秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−306261(JP,A)
【文献】 特開2011−140194(JP,A)
【文献】 特開2013−101186(JP,A)
【文献】 特開昭55−038549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
B41J29/00−29/70
G06T1/00
G02B5/00−5/136
G02B5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して第1の方向に相対移動されるシングルパス方式の記録ヘッドによって前記記録媒体に記録された画像を読み取る画像読み取り部であって、前記第1の方向に交差する第2の方向に複数配列された読み取り画素を有する画像読み取り部と、
前記画像読み取り部に入射する前記画像の像光を複屈折させることにより、前記画像読み取り部にて読み取られる前記画像を、少なくとも前記第2の方向にずらして二重化させる複屈折板と、
前記複屈折板を通して前記画像読み取り部に読み取られた前記画像の読み取り結果に基づき、前記画像に含まれる前記第1の方向に延びた画像欠陥を検出する検出部と、
を備え、
前記複屈折板は、前記画像を二重化することにより、前記画像欠陥の前記読み取り画素上での前記第2の方向の幅を前記読み取り画素のピッチよりも大きくする画像欠陥検出装置。
【請求項2】
前記複屈折板を非配置とした場合における前記画像欠陥の前記読み取り画素上での前記第2の方向の幅をWとし、前記読み取り画素のピッチをPとし、前記複屈折板により二重化された前記画像の前記第2の方向のずらし量をdとして、前記画像読み取り画素のピッチがP≧Wを満たす場合に、
前記複屈折板は、前記画像を二重化することにより前記画像欠陥の前記読み取り画素上での前記第2の方向の幅をWから下記式(1)に示すWAまで拡大させる際に、下記式(2)及び(3)、
WA=W+d・・・(1)
d<W ・・・(2)
WA>P ・・・(3)
を満足するdだけ前記画像を前記第2の方向にずらす請求項1記載の画像欠陥検出装置。
【請求項3】
前記ずらし量は、前記複屈折板の厚みまたは枚数の調整により調整可能である請求項2記載の画像欠陥検出装置。
【請求項4】
前記ずらし量は、前記像光の光軸に対して垂直な面内での前記複屈折板の角度の調整により調整可能である請求項2記載の画像欠陥検出装置。
【請求項5】
前記記録媒体に記録された前記画像の前記像光を前記画像読み取り部まで導く光学系を備え、
前記複屈折板は、前記光学系内の前記像光の光路に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の画像欠陥検出装置。
【請求項6】
前記記録媒体及び前記画像読み取り部の一方に対して他方を前記第1の方向に相対移動させる移動部を備えており、
前記画像読み取り部は、前記記録媒体に対する1回の相対移動で前記画像を読み取る請求項1から5のいずれか1項に記載の画像欠陥検出装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドには、複数の記録素子が前記第2の方向に配列されており、
前記検出部は、前記画像欠陥として、前記記録ヘッドの前記記録素子の中の不良素子に起因して発生するスジムラを検出する請求項1から6のいずれか1項に記載の画像欠陥検出装置。
【請求項8】
記録媒体に対して第1の方向に相対移動されるシングルパス方式の記録ヘッドによって前記記録媒体に記録された画像を読み取る画像読み取りステップであって、前記第1の方向に交差する第2の方向に複数配列された読み取り画素を有する画像読み取り部により前記画像を読み取る画像読み取りステップと、
前記画像読み取り部に入射する前記画像の像光を複屈折板にて複屈折させることにより、前記画像読み取り部にて読み取られる前記画像を、少なくとも前記第2の方向にずらして二重化させる複屈折ステップと、
前記複屈折板を通して前記画像読み取り部に読み取られた前記画像の読み取り結果に基づき、前記画像に含まれる前記第1の方向に延びた画像欠陥を検出する検出ステップと、
を有しており、
前記複屈折ステップは、前記画像を二重化することにより、前記画像欠陥の前記読み取り画素上での前記第2の方向の幅を前記読み取り画素のピッチよりも大きくする画像欠陥検出方法。
【請求項9】
記録媒体に対して第1の方向に相対移動されるシングルパス方式の記録ヘッドによって前記記録媒体に記録された画像を読み取る画像読み取り部であって、前記第1の方向に交差する第2の方向に複数配列された読み取り画素を有する画像読み取り部と、
前記画像読み取り部に入射する前記画像の像光を複屈折させることにより、前記画像読み取り部にて読み取られる前記画像を、少なくとも前記第2の方向にずらして二重化させる複屈折板であって、前記画像を二重化することにより、当該画像に含まれる前記第1の方向に延びた画像欠陥の前記読み取り画素上での前記第2の方向の幅を前記読み取り画素のピッチよりも大きくする複屈折板と、
を備える撮像ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像欠陥を検出する画像欠陥検出装置及び画像欠陥検出方法、並びに画像欠陥検出に用いられる撮像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体とインクジェットヘッドとを相対移動させつつ、インクジェットヘッドに設けられた複数のインク吐出用ノズル(以下、単にノズルという)からインク滴を吐出して記録媒体上に画像を形成するシングルパス方式のインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
インクジェット記録装置では、時間の経過と共に目詰まりや故障によってインク滴を吐出することができなくなった不吐出ノズルや、インク滴の飛翔曲がり量が大きくなる曲がりノズルなどの不良ノズルが発生する。この場合に、シングルパス方式のインクジェット記録装置では、記録媒体の搬送方向(又はインクジェットヘッドの移動方向)に延びた形状のスジムラ(白筋、または白黒筋)が記録画像に発生する。また、記録画像には、記録媒体の記録面と記録媒体の搬送系を構成する部材との接触により搬送方向に延びた傷が発生する。このため、インクジェット記録装置には、スジムラや傷などの画像欠陥を検出する機能を有するものが良く知られている。
【0004】
例えば特許文献1には、複数の読み取り画素が平面上に配置された光学センサと、結像光学系とを備える撮像ユニットを用いて画像欠陥を検出するインクジェット記録装置が記載されている。この画像欠陥検出装置は、光学センサのセンサ受光面及びレンズの主平面を、測定対象物表面である記録媒体の記録面に対して傾斜させている。これにより、撮像ユニットと記録媒体の記録面との距離が変化した場合でも、センサ受光面上のいずれかにおいて記録面の像のピントが合うので、ピントの合った像の信号を得ることができる。その結果、画像欠陥を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−240000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述のスジムラや傷などの画像欠陥の幅の大きさ(搬送方向に直交する方向のサイズ)は、例えば50μm程度と極めて小さい。このため、特許文献1の画像欠陥検出装置において、検出すべき画像欠陥の幅の大きさが前述の光学センサの読み取り画素のピッチよりも小さいと、画像欠陥と読み取り画素との位置関係によっては、画像欠陥が検出されない場合が生じる。例えば、読み取り画素間にチャネルストップのような空白部がある場合には、光学センサにおいて画像欠陥を検知できない領域が広がる。このため、画像欠陥が空白部に位置していると、画像欠陥が検出されない場合が生じる。
【0007】
そこで、特許文献1の撮像ユニットにて、幅が50μm程度の画像欠陥を確実に検出するためには、一般的に画像欠陥の幅の1/2〜1/4程度(例えば10〜25μm)の分解能が必要となる。このため、撮像ユニットが高い解像度(例えば1200〜2400dpi程度)を有する必要がある。しかし、このような高解像度な撮像ユニットは高価である。また、高解像度な撮像ユニットは、データ量が解像度(またはその二乗)に比例して大きくなるため、データ転送レートの制約からデータ量に制限が加えられることにより性能が低下するおそれがある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、比較的安価で低解像度の撮像ユニットを用いてもスジムラや傷などの画像欠陥を確実に検出可能な画像欠陥検出装置及び画像欠陥検出方法、並びに画像欠陥検出に用いられる撮像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するための画像欠陥検出装置は、記録媒体に対して第1の方向に相対移動されるシングルパス方式の記録ヘッドによって記録媒体に記録された画像を読み取る画像読み取り部であって、第1の方向に交差する第2の方向に複数配列された読み取り画素を有する画像読み取り部と、画像読み取り部に入射する画像の像光を複屈折させることにより、画像読み取り部にて読み取られる画像を、少なくとも第2の方向にずらして二重化させる複屈折板と、複屈折板を通して画像読み取り部に読み取られた画像の読み取り結果に基づき、画像に含まれる第1の方向に延びた画像欠陥を検出する検出部と、を備え、複屈折板は、画像を二重化することにより、画像欠陥の読み取り画素上での第2の方向の幅を読み取り画素のピッチよりも大きくする。
【0010】
本発明によれば、画像欠陥と読み取り画素との位置関係によらず、画像欠陥を検出することができる。また、複屈折により画像の像光を二重化することで、像光をぼかしたり拡大したりする場合と比較して、画像読み取り部に入射する像光の光量分布のエッジの立ち上がり及び立ち下がりの角度を急角度にすることができる。その結果、不良素子を検出するためのパターンの位置を正確に検出することができるので、不良素子検出も同時に行うことができる。
【0011】
本発明の他の態様に係る画像欠陥検出装置において、複屈折板を非配置とした場合における画像欠陥の読み取り画素上での第2の方向の幅をWとし、読み取り画素のピッチをPとし、複屈折板により二重化された画像の第2の方向のずらし量をdとして、画像読み取り画素のピッチがP≧Wを満たす場合に、複屈折板は、画像を二重化することにより画像欠陥の読み取り画素上での第2の方向の幅をWから下記式(1)に示すWAまで拡大させる際に、下記式(2)及び(3)、
WA=W+d・・・(1)
d<W ・・・(2)
WA>P ・・・(3)
を満足するdだけ画像を第2の方向にずらすことが好ましい。これにより、画像欠陥の読み取り画素上での第2の方向の幅を読み取り画素のピッチよりも大きくすることができるので、画像欠陥と読み取り画素との位置関係によらず、画像欠陥を検出することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る画像欠陥検出装置において、ずらし量は、複屈折板の厚みまたは枚数の調整により調整可能であることが好ましい。これにより、ずらし量を適切に調整することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る画像欠陥検出装置において、ずらし量は、像光の光軸に対して垂直な面内での複屈折板の角度の調整により調整可能であることが好ましい。これにより、ずらし量を適切に調整することができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る画像欠陥検出装置において、記録媒体に記録された画像の像光を画像読み取り部まで導く光学系を備え、複屈折板は、光学系内の像光の光路に設けられていることが好ましい。従来からある画像欠陥検出用のインラインセンサ等に複屈折板を追加するだけでよく、低コストに画像欠陥を検出することができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る画像欠陥検出装置において、記録媒体及び画像読み取り部の一方に対して他方を第1の方向に相対移動させる移動部を備えており、画像読み取り部は、記録媒体に対する1回の相対移動で画像を読み取ることが好ましい。短時間で画像欠陥を検出することができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る画像欠陥検出装置において、記録ヘッドには、複数の記録素子が第2の方向に配列されており、検出部は、画像欠陥として、記録ヘッドの記録素子の中の不良素子に起因して発生するスジムラを検出する。スジムラを確実に検出することができる。
【0017】
本発明の目的を達成するための画像欠陥検出方法は、記録媒体に対して第1の方向に相対移動されるシングルパス方式の記録ヘッドによって記録媒体に記録された画像を読み取る画像読み取りステップであって、第1の方向に交差する第2の方向に複数配列された読み取り画素を有する画像読み取り部により画像を読み取る画像読み取りステップと、画像読み取り部に入射する画像の像光を複屈折板にて複屈折させることにより、画像読み取り部にて読み取られる画像を、少なくとも第2の方向にずらして二重化させる複屈折ステップと、複屈折板を通して画像読み取り部に読み取られた画像の読み取り結果に基づき、画像に含まれる第1の方向に延びた画像欠陥を検出する検出ステップと、を有しており、複屈折ステップは、画像を二重化することにより、画像欠陥の読み取り画素上での第2の方向の幅を読み取り画素のピッチよりも大きくする。
【0018】
本発明の目的を達成するための撮像ユニットは、記録媒体に対して第1の方向に相対移動されるシングルパス方式の記録ヘッドによって記録媒体に記録された画像を読み取る画像読み取り部であって、第1の方向に交差する第2の方向に複数配列された読み取り画素を有する画像読み取り部と、画像読み取り部に入射する画像の像光を複屈折させることにより、画像読み取り部にて読み取られる画像を、少なくとも第2の方向にずらして二重化させる複屈折板であって、画像を二重化することにより、画像に含まれる第1の方向に延びた画像欠陥の読み取り画素上での第2の方向の幅を読み取り画素のピッチよりも大きくする複屈折板と、を備える。
【発明の効果】
【0019】
本発明の画像欠陥検出装置及び画像欠陥検出方法並びに撮像ユニットは、比較的安価で低解像度の撮像ユニットを用いてもスジムラや傷などの画像欠陥を確実に検出可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】インクジェット記録装置の全体構成図である。
図2】インクジェットヘッドの一例を示す概略図である。
図3】インクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図4】インラインセンサの概略的構成を示す斜視図である。
図5】(A)は撮像部の上面図であり、(B)は撮像部の側面図である。
図6】(A)は、複屈折板が非配置の場合にイメージセンサの読み取り画素上に入射するテストチャートの像光の概略図であり、(B)は、複屈折板を通してイメージセンサの読み取り画素上に入射するテストチャートの像光の概略図である。
図7】ずらし量の調整方法について説明するための説明図である。
図8】ずらし量の調整方法の他実施形態を説明するための説明図である。
図9】複屈折板が非配置の場合に得られるイメージセンサの撮像信号のシミュレーション結果を説明するための説明図である。
図10】複屈折板を通して得られたイメージセンサの撮像信号のシミュレーション結果を説明するための説明図である。
図11】画像欠陥の検出処理の流れを示すフローチャートである。
図12】複屈折板を非配置とした場合にテストチャートの像をイメージセンサで撮像して得られた比較例の撮像信号を説明するための説明図である
図13】複屈折板を配置している本発明の構成において、テストチャートの像をイメージセンサで撮像して得られた撮像信号を説明するための説明図である。
図14】本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置の制御系の概略構成を示すブロック図である。
図15】不良ノズル検出用のテストチャートの概略図である。
図16】イメージセンサの撮像面に入射するテストチャートのラインパターンの像光を説明するための説明図である。
図17】補正処理部による不吐出補正処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態のインクジェット記録装置]
<インクジェット記録装置の全体構成>
図1は、本発明の画像欠陥検出装置及び撮像ユニットを備えるインクジェット記録装置10の全体構成図である。インクジェット記録装置10は、記録媒体14を圧胴の外周面に保持して搬送する圧胴搬送方式が適用される。
【0022】
また、記録媒体14にインクを吐出させるインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Y(以下、単にインクジェットヘッド48と略す)は、ノズル面が圧胴(描画胴44)の外周面の法線に対して直交するように、水平面に対して斜めに傾けられて配置される。インクジェットヘッド48は、本発明の記録ヘッドに相当するものである。
【0023】
インクジェット記録装置10は、画像記録前の記録媒体14が収納される記録媒体収納部20と、記録媒体収納部20から送り出された記録媒体14に処理液を塗布する処理液塗布部30と、処理液が塗布された記録媒体14にカラーインクを吐出させて、所望のカラー画像を記録する描画部40と、カラー画像が形成された記録媒体14を乾燥させる乾燥処理部50と、乾燥処理後の記録媒体14に対して定着処理を施す定着処理部60と、定着処理後の記録媒体14を排出させる排出部70と、を備えている。
【0024】
給紙トレイ22を介して渡し胴32に受け渡された記録媒体14は、処理液胴34のグリッパー80A,80Bに先端部を挟持され、処理液胴34に支持されて、処理液胴34の回転に従って処理液胴34の外周面に沿って搬送される。
【0025】
処理液胴34により回転搬送される記録媒体14は、処理液胴34の外周面と対向する位置に配置される処理液塗布装置36の処理領域に達すると、画像が記録される面に処理液を塗布される。処理液塗布装置36により塗布される処理液は、インクジェットヘッド48から吐出されるカラーインクと反応して、カラーインクに含まれる着色剤を凝集又は不溶化させる機能を有している。
【0026】
処理液が塗布された記録媒体14は、渡し胴42を介して描画胴44へ受け渡され、描画胴44の外周面に保持されて、描画胴44の外周面に沿って回転搬送される。
【0027】
インクジェットヘッド48の記録媒体搬送方向に平行な副走査方向(本発明の第1の方向に相当)の上流側の直前には、用紙押さえローラ46が配置されている。用紙押さえローラ46は、インクジェットヘッド48の直下に進入する直前の記録媒体14を描画胴44の外周面へ密着させる。
【0028】
図2は、インクジェットヘッド48の一例を示す概略図である。図2に示すように、インクジェットヘッド48は、複数のヘッドモジュール49がインクジェットヘッド48の長手方向(主走査方向)に沿って一列につなぎ合わせられた構造を有している。すなわち、インクジェットヘッド48は、記録媒体14の主走査方向の幅に対応した長さを有するラインヘッドである。
【0029】
インクジェットヘッド48は、複数のヘッドモジュール49と、各ヘッドモジュール49を保持する枠体48aとを備えている。各ヘッドモジュール49は、主走査方向に沿って順番に千鳥状に配列されている。なお、ヘッドモジュール49の数は、3個に限定されるものではなく、2個あるいは4個以上であってもよい。また、各ヘッドモジュール49を主走査方向に沿って一列に並べて繋ぎ合わせる態様もある。
【0030】
各ヘッドモジュール49は、複数個のノズルN(本発明の記録素子に相当)を主走査方向に対して一定の角度θを有する斜め方向に沿って配列してなるノズル列を有しており、且つこのノズル列が主走査方向に複数配列されてなるマトリクス型のヘッドである。なお、図2はインクジェットヘッド48の上面図であり、下面であるノズル面に配列されたノズルNを透過させて図示したものである。
【0031】
ヘッドモジュール49の各ノズルNは、各々の主走査方向位置が互いに異なるように配列されている。従って、各ノズルNは、主走査方向について実質的に一定のピッチで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
【0032】
インクジェットヘッド48は、描画胴44によって回転搬送される記録媒体14に向けてカラーのインク滴を吐出することにより、記録媒体14の処理液が塗布された記録面上にカラーの画像を記録する。インクジェットヘッド48は、記録媒体14に対する副走査方向の一回の相対移動で記録媒体14の記録面に画像を記録するシングルパス方式の記録ヘッドである。ここでいう相対移動は、静止しているインクジェットヘッド48に対して記録媒体14を副走査方向に移動させることであるが、静止している記録媒体14に対してインクジェットヘッド48を副走査方向に移動させてもよい。なお、本実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色のインクを用いて画像記録を行うが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されない。
【0033】
図1に戻って、インラインセンサ82は、インクジェットヘッド48の副走査方向の下流側に設けられており、インクジェットヘッド48により記録媒体14の記録面に記録された画像を撮像する。このインラインセンサ82から出力される撮像信号に基づいて、記録媒体14の記録面に記録された画像の欠陥が判断される。インラインセンサ82は、本発明の撮像ユニットに相当するものであり、記録媒体14に対する1回の相対移動で画像を読み取る。ここでいう相対移動は、インラインセンサ82及び記録媒体14のうち、静止している一方のインラインセンサ82に対して他方の記録媒体14を副走査方向に移動させることであるが、静止している一方の記録媒体14に対して他方のインラインセンサ82を副走査方向に移動させてもよい。なお、本実施形態では記録媒体14を移動させるので、描画胴44及び渡し胴52等の圧胴が本発明の移動部に相当する。
【0034】
インラインセンサ82による撮像領域を通過した記録媒体14は、渡し胴52を介して乾燥胴54へ受け渡され、乾燥胴54の外周面に支持されて、乾燥胴54の回転に従って乾燥胴54の外周面に沿って回転搬送される。
【0035】
乾燥胴54により回転搬送される記録媒体14は、乾燥処理装置56から乾燥処理が施される。乾燥処理には、ヒータによる加熱、ファンによる乾燥風(加熱風)の吹きつけ、又はこれらの組み合わせが適用される。
【0036】
乾燥処理が施された記録媒体14は、渡し胴62を介して定着胴64へ受け渡される。定着胴64に受け渡された記録媒体14は、定着胴64の外周面に保持されて、定着胴64の回転に従って定着胴64の外周面に沿って回転搬送される。
【0037】
定着胴64により回転搬送される記録媒体14上に形成された画像は、ヒータ66により加熱処理が施されるとともに、定着ローラ68により加圧処理が施される。
【0038】
定着ローラ68による定着処理が施された記録媒体14は、排出部70へ送られる。排出部70は、張架ローラ72A,72Bに巻き掛けられたチェーン74により記録媒体14をストッカー76へ搬送するように構成されている。
【0039】
図3は、インクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、インクジェット記録装置10は、前述のインクジェットヘッド48、乾燥処理装置56、及びインラインセンサ82等の他に、通信インターフェース(interface:I/F)170、システムコントローラ172、プログラム格納部174、メモリ175、モータドライバ176、モータ177、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184、画像欠陥検出部185を備えている。
【0040】
通信I/F170は、ホストコンピュータ186から送られてくるラスター画像データを受信するインターフェース部である。通信I/F170は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェース、セントロニクスなどのパラレルインターフェースなどを適用してもよい。なお、通信I/F170は、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0041】
システムコントローラ172は、中央演算処理装置及びその周辺回路等から構成され、プログラム格納部174から読み出した制御プログラム等に従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能する。また、システムコントローラ172は、各種演算を行う演算装置として機能する。例えば、システムコントローラ172は、通信I/F170より入力された画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データをプリント制御部180に供給する。
【0042】
メモリ175は、通信I/F170から入力された画像データを一旦格納する一時記憶手段としての機能や、プログラム格納部174に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としての機能を有している。メモリ175には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリが用いられる。
【0043】
モータドライバ176は、システムコントローラ172の制御の下、描画胴44や渡し胴52などの記録媒体14の搬送に係る圧胴を回転駆動するモータ177の駆動を制御、すなわち、記録媒体14の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。
【0044】
ヒータドライバ178は、システムコントローラ172の制御の下、乾燥処理装置56のヒータやヒータ66(図3では図示を省略)の温度を制御する。
【0045】
プリント制御部180は、インクジェットヘッド48による記録媒体14への画像記録を統括的に制御する。プリント制御部180は、システムコントローラ172から入力される1ページ分の印字データ、あるいは1ページの中の複数ライン分の印字データを画像バッファメモリ182に格納する。そして、プリント制御部180は、画像バッファメモリ182から1回の打滴分の印字データを読み出し、この印字データをヘッドドライバ184に転送する。
【0046】
また、プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御の下、記録媒体14に記録された画像に含まれるスジムラや傷などの画像欠陥の検出を行うタイミングで、インクジェットヘッド48を制御して、画像欠陥検出用のテストチャート87(図6(A)参照、本発明の画像に相当)を記録媒体14に記録させる。画像欠陥の検出を行うタイミングは、例えば、インクジェット記録装置10の起動時、インクジェットヘッド48の交換後、所定枚数の画像記録後、一定期間経過後などである。なお、テストチャート87は、例えば、一様な濃度パターン(ベタパターン)を有する画像である。
【0047】
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から入力される印字データに基づき、インクジェットヘッド48からインク滴を吐出させる。記録媒体14の搬送速度に同期してインクジェットヘッド48からのインク滴の吐出を制御することにより、記録媒体14の記録面上に画像が形成される。
【0048】
画像欠陥検出部185は、本発明の検出部に相当するものであり、且つ後述のインラインセンサ82と共に本発明の画像欠陥検出装置を構成するものである。この画像欠陥検出部185は、インラインセンサ82から入力される撮像信号(本発明の読み取り結果に相当)に基づき、記録媒体14に記録された画像に含まれるスジムラや傷などの画像欠陥を検出する。
【0049】
<インラインセンサの構成>
図4は、インラインセンサ82の概略的構成を示す斜視図である。図4に示すように、インラインセンサ82は、スリット板84と、2個の撮像部85と、スリット板84及び撮像部85を収納するセンサ本体(図示せず)と、を備えている。なお、図中のX方向は前述の主走査方向に平行な方向であり、副走査方向に交差(本実施形態では直交)する本発明の第2の方向に相当する。また、図中のY方向はX方向に直交する方向であり、詳しくは後述するように副走査方向とは異なる方向である。なお、本実施形態では、X方向が、副走査方向及びY方向に直交しているが、ここでいう直交には略直交も含まれている。
【0050】
スリット板84は、インクジェットヘッド48による画像記録後の記録媒体14の記録面に対向する位置に配置されており、X方向に延びた形状を有している。このスリット板84には、記録媒体14の幅(X方向の長さ)よりもX方向に長く延びた形状のスリット開口部84aが形成されている。
【0051】
撮像部85は、スリット板84上に配置されており、スリット開口部84aを通して記録媒体14の記録面に記録された画像、例えばテストチャート87(図6(A)参照)を撮像する。撮像部85は、X方向に2個並べて配置されており、記録媒体14の幅の全域を撮像する。なお、記録媒体14の幅の全域を撮像可能であれば撮像部85の配置数は特に限定されるものではなく、撮像部85の撮像範囲(視野)の大きさに応じて撮像部85の配置数を適宜増減してもよい。
【0052】
図5(A)は撮像部85の上面図であり、図5(B)は撮像部85の側面図である。前述の図4、及び図5(A),(B)に示すように、撮像部85は、X方向及びY方向の両方向に垂直な方向に一列に配置されたミラー89、レンズ90、複屈折板91、イメージセンサ92により構成されている。なお、図5(A),(B)では、スリット板84の図示は省略している。
【0053】
ミラー89及びレンズ90は、本発明の光学系に相当するものであり、スリット開口部84aを透過したテストチャート87の像光をイメージセンサ92まで導く。具体的に、ミラー89は、テストチャート87の像光をレンズ90に向けて反射する。レンズ90は、縮小光学系であり、イメージセンサ92の撮像面に入射するテストチャート87の像光をこの撮像面のサイズに合わせて縮小する。なお、図中の符号「OA」は、像光の光軸を示している。
【0054】
複屈折板91は、レンズ90の近傍に配置されており、イメージセンサ92の撮像面に入射するテストチャート87の像光を複屈折させることにより、テストチャート87の像光を少なくともX方向にずらして二重化させる。これにより、後述のイメージセンサ92の読み取り画素上でのテストチャート87の像光が二重化される。この際に、X方向には、X方向に完全に平行な方向に限られるものではなく、略平行な方向も含まれる。このような複屈折板91としては、水晶や方解石等の複屈折性を有する結晶や、京セラ株式会社などから販売されている光学ローパスフィルタなどを用いることができる。複屈折板91によるテストチャート87の像光のX方向のずらし量については後述する。
【0055】
なお、本実施形態では、複屈折板91のサイズ(面積)を小さくしてコストを抑えるために、複屈折板91をレンズ90の近傍に配置しているが、複屈折板91の位置は適宜変更してもよい。また、ミラー89とレンズ90との間に複屈折板91を配置してもよい。
【0056】
イメージセンサ92は、本発明の画像読み取り部に相当するものであり、複屈折板91等を通して入射するテストチャート87の像光を撮像、すなわち、記録媒体14に記録されているテストチャート87を読み取る。ここで、イメージセンサ92の撮像面に入射する像光は複屈折板91による複屈折により二重化されているため、イメージセンサ92は、二重化されたテストチャート87の像光を撮像する。このイメージセンサ92としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)型イメージセンサが用いられるが、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサを用いてもよい。
【0057】
イメージセンサ92は、X方向に延びた形状を有するラインセンサであり、その撮像面にはX方向に複数配列された読み取り画素92a(図6(A)参照)を有している。読み取り画素92aのX方向の画素ピッチは特に限定されないが、本実施形態では53μm程度である。また、互いに隣接する読み取り画素92aの間には、像光を検出不能なチャネルストップ(図示せず)が形成されている。
【0058】
<複屈折板によるX方向のずらし量の制御>
図6(A)は、複屈折板91が非配置の場合にイメージセンサ92の読み取り画素92a上に入射するテストチャート87の像光の概略図である。また、図6(B)は、複屈折板91を通してイメージセンサ92の読み取り画素92a上に入射するテストチャート87の像光の概略図である。
【0059】
図6(A)に示すように、比較的安価で低解像度(インクジェットヘッド48による記録密度よりも低い解像度)のイメージセンサ92では、読み取り画素92aのピッチよりも画像欠陥100の像のX方向の幅が狭くなり、画像欠陥100と読み取り画素92aとの位置関係によっては、画像欠陥100が検出されない場合が生じる。このため、図6(B)に示すように、複屈折板91は、テストチャート87の像光を少なくともX方向にずらして二重化させることで、読み取り画素92a上でのスジムラや傷等の副走査方向に延びた画像欠陥100の像のX方向の幅を、読み取り画素92aのピッチよりも拡大させる。
【0060】
なお、記録媒体14の記録面上で副走査方向に延びた画像欠陥100は、読み取り画素92a上ではY方向に延びた形状を有している。すなわち、本実施形態では、副走査方向とY方向とは互いに異なる方向であるが、両者は共に画像欠陥100の延びている方向を示している。また、画像欠陥100は、ほぼ全てが単独で存在するという特徴があり、さらに存在していたとしても1画像(1ページ)内に数個であり、周期構造を持つことにはならない。従って、画像欠陥100の像のX方向の幅は、イメージセンサ92の読み取り画素92aのピッチに依存する大きさである。
【0061】
以下、複屈折板91を非配置とした場合における画像欠陥100の像の読み取り画素92a上でのX方向の幅をWとし、読み取り画素92aのピッチをPとし、複屈折板91によるテストチャート87の像光のX方向のずらし量をdとし、P≧Wを満たす場合を例に挙げて説明する。この場合、複屈折板91は、テストチャート87の像光を二重化することにより、画像欠陥100の像の読み取り画素92a上でのX方向の幅をWから下記式(1)に示すWAまで拡大させる際に、下記式(2)及び(3)、
WA=W+d・・・(1)
d<W ・・・(2)
WA>P ・・・(3)
を満足するdだけテストチャート87の像光を少なくともX方向にずらす。
【0062】
ここで、ずらし量dが幅Wよりも大きくなると、二重化された画像欠陥100の像が分離されてしまうので、画像欠陥100と読み取り画素92aとの位置関係によっては画像欠陥100の検出ができなくなる。このため、ずらし量dは上記式(2)を満たすように調整される。このように、ずらし量dは、上記式(2)及び(3)に基づき、二重化された画像欠陥100の像が分離されない範囲内で、幅WAがピッチPよりも拡がるように調整される。
【0063】
上記式(2)及び式(3)を満たすようなずらし量dとしては、下記の式(4)、
d/P=0.5±0.2・・・(4)
を満たすdであることが好ましい。これは、ずらし量dの値が小さくなり過ぎると、幅WAの大きさが二重化前の幅Wとほぼ同じ大きさになるため、像の二重化を行う意味がなくなるからである。逆に、ずらし量dの値が大きくなり過ぎると(特にずらし量dがピッチPの整数倍になると)、前述の通り画像欠陥100の像が分離して画像欠陥100の検出ができなくなるからである。従って、ずらし量dは、ピッチPの1/2程度が好ましく、本実施形態では上記式(4)を満たす範囲に調整している。
【0064】
図7(A)、(B)は、ずらし量dの調整方法について説明するための説明図である。図8は、ずらし量dの調整方法の他実施形態を説明するための説明図である。ずらし量dの大きさは、図7(A)に示すように複屈折板91の厚みの調整、或いは図7(B)に示すように複屈折板91の枚数の調整により制御可能である。例えば、厚さtの複屈折板91により複屈折されたテストチャート87等の像のずれ量Dは、複屈折板91の常光線及び異常光線に対する屈折率をそれぞれn,nとすると、一般的に下記の式(5)、
D=t・(n−n)/(n+n)≒t・(n−n)/(2・n・n)・・・(5)
で表される。なお、ずれ量DのX方向のずれ成分が前述のずらし量dとなる。
【0065】
ここで、複屈折板91として水晶を使用している場合には、n=1.5443、n=1.5534であるので、上記式(5)は下記式(6)、
D(mm)≒5.9×10−3・t(mm)・・・(6)
となる。
【0066】
上記式(6)に基づき、ずれ量Dのずれ方向をX方向に合わせた上で、複屈折板91の厚みまたは枚数を調整することで、前述のずらし量dを上記式(4)の範囲内の所望の値に調整することができる。
【0067】
また、図8に示すように、ずらし量dは、像光の光軸OAに対して垂直な面内(X方向及びY方向に垂直な面内)での複屈折板91の角度(面内回転角度、又は向きともいう)θによっても調整可能である。具体的に、X方向のずらし量dは、θ=0の場合にずらし量dが最大(=dmax)になるとした場合(すなわち、複屈折板91の結晶軸がX方向に平行な場合)に、下記式(7)、
d=dmax×cosθ・・・(7)
で表される。
【0068】
なお、複屈折板91の角度を調整する場合に、テストチャート87(画像欠陥100)の像のずれはX方向だけでなくY方向にも発生するが、読み取り画素92a上での画像欠陥100はY方向に延びた方向性のある形状を有しているので、Y方向のずれは問題とならない。
【0069】
このように、複屈折板91の厚み、枚数、角度を調整することで、ずらし量dを調整することができる。例えば、イメージセンサ92の読み取り画素92aのピッチPが480dpi相当(≒53μm)である場合の最適なずらし量dを32μmとすると、ずらし量dとしてd=32μmを実現するためには、θ=0の条件において複屈折板91の厚みtをt=5.4mmとすればよい。
【0070】
<イメージセンサの撮像信号>
図9は、複屈折板91が非配置の場合に得られるイメージセンサ92の撮像信号(本発明の画像の読み取り結果に相当)を説明するための説明図である。また、図10は、複屈折板91を通して得られたイメージセンサ92の撮像信号を説明するための説明図である。
【0071】
図9(A)に示すように、X方向の幅が50〜60μmの画像欠陥100を含むテストチャート87を、複屈折板91を配置しない状態にてイメージセンサ92で撮像すると、図9(B)に示すように、イメージセンサ92で得られる撮像信号には、画像欠陥100に対応する狭幅(幅W)のピークが発生する。
【0072】
一方、図10に示すように、同じテストチャート87を、複屈折板91を通してイメージセンサ92で撮像すると、イメージセンサ92で得られる撮像信号には、画像欠陥100に対応するピークであって且つ複屈折板91の非配置時よりも広幅(幅WA)のピークが発生する。すなわち、複屈折板91によりテストチャート87(画像欠陥100)の像をX方向に二重化させることにより、イメージセンサ92の撮像信号に含まれるピークの幅を拡げることができる。
【0073】
画像欠陥検出部185は、イメージセンサ92から入力される撮像信号を解析して、画像欠陥100に対応するピークが撮像信号に含まれる場合には、このピークに対応する読み取り画素92aの位置を含む検出情報102をプリント制御部180に出力する。なお、画像欠陥100が発生していない場合には、その旨を示す検出情報102が画像欠陥検出部185からプリント制御部180に出力される。この検出情報102は、プリント制御部180からシステムコントローラ172を経てメモリ175等に記憶される。そして、システムコントローラ172は、メモリ175から検出情報102を読み出して図示しないモニタ等に表示する。これにより、画像欠陥100の発生の有無、画像欠陥100の記録媒体14上の位置、画像欠陥100に対応するノズルNの番号などを判別することができる。
【0074】
<インクジェット記録装置の作用>
次に、図11を用いて上記構成のインクジェット記録装置10の作用、特に画像欠陥100の検出処理(本発明の画像欠陥検出方法)について説明を行う。図11は、画像欠陥100の検出処理の流れを示すフローチャートである。
【0075】
インクジェット記録装置10のシステムコントローラ172は、インクジェット記録装置10の起動時、インクジェットヘッド48の交換後、所定枚数の画像記録後、一定期間経過後などの所定の画像欠陥の検出を行うタイミングで、プリント制御部180を制御してテストチャート87の記録を実行させる(ステップS1でYES)。システムコントローラ172がモータドライバ176を制御してモータ177を駆動することにより記録媒体14を搬送しつつ、プリント制御部180がヘッドドライバ184を制御して記録媒体14の搬送に同期してインクジェットヘッド48からインク滴を吐出させる。これにより、記録媒体14の記録面にテストチャート87が記録される(ステップS2)。
【0076】
テストチャート87が記録された記録媒体14は、引き続き副走査方向の下流側に向けて搬送されることにより、インラインセンサ82を通過する。この際に、テストチャート87の像光がスリット開口部84a、ミラー89、レンズ90、複屈折板91を経てイメージセンサ92に入射する。
【0077】
レンズ90を通ってイメージセンサ92の撮像面に入射するテストチャート87の像光は、複屈折板91により複屈折されて少なくともX方向にずらされることで二重化される(ステップS3、本発明の複屈折ステップに相当)。これにより、複屈折板91を通して二重化されたテストチャート87の像光がイメージセンサ92の撮像面に入射する。そして、イメージセンサ92により、二重化されたテストチャート87の像光が撮像される(ステップS4、本発明の画像読み取りステップに相当)。
【0078】
この際に、複屈折板91による複屈折によって、テストチャート87に含まれる画像欠陥100の像がX方向にずらし量dだけずらされる。その結果、画像欠陥100の像の読み取り画素92a上でのX方向の幅が、幅Wから幅WAまで拡大される。そして、イメージセンサ92は、テストチャート87の像光の撮像により得られた撮像信号を画像欠陥検出部185へ出力する。
【0079】
画像欠陥検出部185は、イメージセンサ92から入力される撮像信号を解析して、図10に示したような画像欠陥100に対応するピークが撮像信号に含まれるか否かに基づき、テストチャート87における画像欠陥100の有無を検出する(ステップS5、本発明の検出ステップに相当)。そして、画像欠陥検出部185は、画像欠陥100に対応するピークが撮像信号に含まれる場合には、このピークに対応する読み取り画素92aの位置を含む検出情報102をプリント制御部180に出力する。また、画像欠陥検出部185は、画像欠陥100に対応するピークが撮像信号に含まれない場合には、その旨を示す検出情報102をプリント制御部180に出力する。
【0080】
検出情報102は、プリント制御部180からシステムコントローラ172を経てメモリ175等に記憶される。この検出情報102は、システムコントローラ172によりメモリ175から読み出された後、図示しないモニタ等に出力される。これにより、ユーザは画像欠陥100の有無を判別することができると共に、画像欠陥100が存在する場合にはその記録媒体14上の位置、及び画像欠陥100に対応するノズルNの番号などを判別することができる。
【0081】
以下、前述の画像欠陥の検出を行うタイミングごと、或いはユーザからの指示に応じて、上記ステップS1からステップS5までの画像欠陥100の検出が繰り返し実行される(ステップS6でYES)。
【0082】
<本実施形態の効果>
以上のように本実施形態では、イメージセンサ92の撮像面に入射するテストチャート87の像光を、複屈折板91により複屈折することにより少なくともX方向にずらして二重化しているので、画像欠陥100の像の読み取り画素92a上でのX方向の幅を、幅Wから幅WAまで拡大することができる。その結果、画像欠陥100と読み取り画素92aとの位置関係によらず、画像欠陥100を検出することができる。
【0083】
図12(a)〜(j)は、複屈折板91を非配置とした場合にテストチャート87の像をイメージセンサ92で撮像して得られた比較例の撮像信号のシミュレーション結果を説明するための説明図である。ここでイメージセンサ92は、480dpiで読み取りを行うものであり、読み取り画素92aのピッチPは53μmである。この比較例では、イメージセンサ92の撮像面上でのテストチャート87の像の位置を、X方向に読み取り画素92aのピッチP(=53μm)の1/10(≒5.3μm)ずつ1/10から9/10までずらしながら、各位置にてテストチャート87の像をイメージセンサ92にて撮像し、各位置(位相ズレ)の撮像信号を得ている。
【0084】
図12(a)〜(j)に示すように、比較例では、ある位置(位相)において、撮像信号に画像欠陥100に対応するピークが現れない場合がある(0/10、1/10の位置を参照)。すなわち、画像欠陥100を検出することができない場合がある。
【0085】
これに対して図13(a)〜(j)は、複屈折板91を配置している本発明の構成において、テストチャート87の像をイメージセンサ92(480dpi、P=53μm)で撮像して得られた撮像信号のシミュレーション結果を説明するための説明図である。ここでは、比較例と同様に、イメージセンサ92の撮像面上でのテストチャート87の像の位置を、X方向に読み取り画素92aのピッチPの1/10ずつ1/10から9/10までずらしながら、各位置にてテストチャート87の像をイメージセンサ92にて撮像し、各位置(位相ズレ)の撮像信号を得ている。
【0086】
図13(a)〜(j)に示すように、本発明では、どの位置(位相)においても撮像信号に画像欠陥100に対応するピークが現れているので、画像欠陥100を確実に検出すうすることができる。
【0087】
このように本発明では、複屈折板91により画像欠陥100の像の読み取り画素92a上でのX方向の幅を拡げることで、比較的安価で低解像度のイメージセンサ92を有するインラインセンサ82を用いても画像欠陥を確実に検出することができる。また、本発明のインラインセンサ82は、従来のインラインセンサに複屈折板91を追加するだけでよく、低コストに実現することができる。
【0088】
[第2実施形態のインクジェット記録装置]
図14は、本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置10Aの制御系の概略構成を示すブロック図である。上記第1実施形態のインクジェット記録装置10では、インラインセンサ82を用いて画像欠陥100の検出を行っている。これに対して、第2実施形態のインクジェット記録装置10Aは、インラインセンサ82を用いて画像欠陥100以外に不良ノズルの検出を行い、この検出結果に基づき不吐出補正処理を行う。
【0089】
図14に示すように、インクジェット記録装置10Aは、不良ノズル検出部190、補正処理部192を備える点を除けば、第1実施形態のインクジェット記録装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0090】
第2実施形態のプリント制御部180は、システムコントローラ172の制御の下、不良ノズルの検出を行うタイミングで、インクジェットヘッド48を制御して、不良ノズル検出用のテストチャート87Aを記録媒体14に記録させる。なお、不良ノズルの検出を行うタイミングとは、例えば、インクジェット記録装置10の起動時、インクジェットヘッド48の交換後、所定枚数の画像記録後、一定期間経過後などであり、前述の画像欠陥100の検出を行うタイミングと同じ又は異なっていてもよい。
【0091】
図15は、不良ノズル検出用のテストチャート87Aの概略図である。図15に示すように、テストチャート87Aは、インクジェットヘッド48の各ノズルNにより記録媒体14上にそれぞれ記録されたラインパターン196により構成される。テストチャート87Aでは、互いに隣接するノズルNに対応するラインパターン196が重なり合わず、全てのノズルNについてそれぞれ他のノズルNと区別可能な独立したラインパターン196が形成される。従って、テストチャート87Aは、いわゆる「1オンnオフ」型のラインパターンである。
【0092】
テストチャート87Aでは、図中の矩形枠内の「不吐出」で表されるように、インク滴を吐出することができない不吐出ノズルに対応するラインパターン196が欠落する。また、テストチャート87Aでは、図中の矩形枠内の「曲がり」で表されるように、インクの飛翔曲がり量が大きくなる曲がりノズルに対応するラインパターン196が曲がる。このため、テストチャート87Aの読取結果に基づき、不吐出ノズルや曲がりノズルなどの不良ノズルN(本発明の不良素子に相当)の位置を特定することができる。なお、不良ノズルNは、不吐出ノズルや曲がりノズルに限るものではなく、各種の吐出異常が発生している吐出異常ノズルを含む。
【0093】
インラインセンサ82は、テストチャート87Aの記録後の記録媒体14がインラインセンサ82の撮像領域を通過するタイミングで、記録媒体14に記録されているテストチャート87Aを読み取る。この際には、テストチャート87Aの像光が複屈折板91による複屈折によって少なくともX方向にずらされて二重化されている。そして、イメージセンサ92により二重化されたテストチャート87Aの像光が撮像され、この撮像により得られた撮像信号がイメージセンサ92から不良ノズル検出部190へ出力される。
【0094】
図16(A),(B)は、イメージセンサ92に入射するテストチャート87Aのラインパターン196の像光を説明するための説明図である。前述の通り、テストチャート87Aの像光は複屈折により二重化されているので、ラインパターン196の像光も二重化されている。このため、図16(A)に示すような二重化されたラインパターン196の像光K1を足し合わせたもの、すなわち、図16(B)に示すような像光K2がイメージセンサの撮像面(読み取り画素92a)に入射する。この像光K2の光量分布のエッジの立ち上がり及び立ち下がりは、複屈折を行わないで像光を拡大したり或いはぼかしたりした場合と比較して急角度になるので、読み取り画素92a上においてラインパターン196の位置を正確に判別することができる。
【0095】
一方、テストチャート87A(ラインパターン196)の像光を二重化することなく、拡大したり、あるいはぼかしたりすると、図16(B)中の点線で示すように、イメージセンサ92の撮像面に入射するラインパターン196の像光K3の光量分布のエッジの立ち上がり及び立ち下がりは、二重化した場合と比較して緩やかな角度になる。その結果、ラインパターン196の位置を正確に判別することができないので、曲がりノズル等の不良ノズルNの検出を正確に行うことができないおそれがある。
【0096】
これに対して、テストチャート87A(ラインパターン196)の像光を二重化して撮像する本発明のインラインセンサ82では、前述の通り、ラインパターン196の位置を正確に判別することができるので、不良ノズルNの検出に用いることができる。
【0097】
図15に戻って、不良ノズル検出部190は、インラインセンサ82から入力されるテストチャート87Aの撮像信号(読取結果)を解析して不良ノズルNの位置を検出し、その位置を示す不良ノズル情報198(例えばノズル番号)を生成して、この不良ノズル情報198をプリント制御部180に出力する。不良ノズル情報198は、プリント制御部180からシステムコントローラ172を経てメモリ175等に記憶される。
【0098】
図17は、補正処理部192による不吐出補正処理を説明するための説明図である。図17に示すように、補正処理部192は、メモリ175等に記憶された不良ノズル情報198を参照して、各ノズルNの中に不良ノズルNが発生した場合に、不良ノズルNの位置(ノズル番号等)を特定する。そして、補正処理部192は、特定した不良ノズルNに対してインク滴の吐出(出力)を停止させる出力停止処理を行う。また、補正処理部192は、不良ノズルNに隣接する正常なノズルNのインク滴の吐出量が所定の補正量だけ増加するように、隣接するノズルNに対応する印字データに対して信号変換処理を施す。このように、不良ノズルNからのインク滴の吐出を停止させ、かつ隣接するノズルNのインク滴の吐出量を増加させる不吐出補正処理を行うことで、不良ノズルNに起因する画像欠陥100(スジムラ)の発生を抑えることができる。
【0099】
以上の通り、インクジェット記録装置10Aでは、画像欠陥100の検出に用いるインラインセンサ82を用いて不良ノズルNの検出を行い、この検出結果に基づき不吐出補正処理を行うことができる。すなわち、画像欠陥100の検出と不良ノズルNの検出とに用いるインラインセンサ82を兼用することができるので、インクジェット記録装置10Aの製造コストを抑えることができる。
【0100】
[別解決手段]
上記第1実施形態では、テストチャート87の像光を複屈折板91により複屈折することで、画像欠陥100の像の読み取り画素92a上でのX方向の幅を拡大しているが、例えば、イメージセンサ92の撮像面上でのテストチャート87の像を拡大することで、画像欠陥100の像の読み取り画素92a上でのX方向の幅を拡大してもよい。
【0101】
具体的には、インラインセンサ82におけるテストチャート87等の像光の光路上に、複屈折板91の代わりに絞り等を配置して、この絞りの開口径を狭くする開口制限を行う。これにより、テストチャート87の像のMTF(Modulation Transfer Function)が低下して、テストチャート87の像がぼけるため、イメージセンサ92の撮像面上でのテストチャート87の像を拡大することができる。例えば、絞りの開口径を半分にすることで、イメージセンサ92の撮像面上でのテストチャート87の像のサイズはおおよそ2倍以上になる。
【0102】
また、インラインセンサ82におけるテストチャート87等の像光の光路上に、複屈折板91の代わりに、収差(波面位相差)を与える素子あるいは散乱特性を与える素子を挿入することにより、イメージセンサ92の撮像面上でのテストチャート87の像をぼかして拡大してもよい。
【0103】
また、インラインセンサ82におけるレンズ90やイメージセンサ92の位置を光軸OA方向にずらして、イメージセンサ92の撮像面上におけるテストチャート87の像をデフォーカスさせることにより、撮像面上でのテストチャート87の像をぼかして拡大してもよい。
【0104】
[その他]
上記実施形態では、圧胴搬送方式のインクジェット記録装置について説明を行ったが、他の搬送方式のインクジェット記録装置にも本発明を適用することができる。
【0105】
上記実施形態では、インクジェット記録装置にインラインセンサ82や画像欠陥検出部185が設けられているが、インクジェット方式以外のシングルパス方式の記録ヘッドを有する画像記録装置にインラインセンサ82や画像欠陥検出部185が設けられていてもよい。
【0106】
上記実施形態では、インクジェット記録装置にインラインセンサ82が設けられているが、本発明の撮像ユニットに相当するインラインセンサ82がインクジェット記録装置とは別体に設けられていてもよい。さらに、本発明の画像欠陥検出装置に相当するインラインセンサ82及び画像欠陥検出部185がインクジェット記録装置とは別体に設けられていてもよい。すなわち、本発明の画像欠陥検出装置がインクジェット記録装置とは独立して設けられていてもよい。
【0107】
更に、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0108】
10…インクジェット記録装置,10A…インクジェット記録装置,14…記録媒体,48…インクジェットヘッド,82…インラインセンサ,91…複屈折板,92…イメージセンサ,92a…読み取り画素,100…画像欠陥,180…プリント制御部,185…画像欠陥検出部
図1
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