(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一の反応器装置(2)が、ステーター内のローターおよびローターとステーターとの間に形成される複数の空洞部を含み、そこにモノマーまたはモノマー混合物が入り、その中で前記モノマーまたはモノマー混合物が、部分的に重合中の単数または複数のモノマーとして第一の反応器装置(2)の入口から出口(3)へと移送される、請求項1に記載の方法。
さらなる反応器装置(5)が、さらなる反応器装置の上面直径(d1)と反応器の内壁との間の角度(α)が90°未満であるが45°より大きい、1つの垂直の完全円錐形の反応器であるか、または、垂直の完全円錐形の部品が互いの上に2〜5個接続されて構成され、その各々が部品の上面直径と内壁との間の角度が90°未満であるが45°より大きいかのいずれかである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
モノエチレン性不飽和モノマーが、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリル酸(またはそれらの塩)、メタクリル酸(またはそれらの塩)、イタコン酸(またはそれらの塩)、マレイン酸(またはそれらの塩)、2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸(またはそれらの塩)、ビニルスルホン酸(またはそれらの塩)、アリルスルホン酸(またはそれらの塩)、ジメチルアミノエチルアクリレート(またはそれらの酸塩または四級アンモニウム塩)、ジメチルアミノエチルメタクリレート(またはそれらの酸塩または四級アンモニウム塩)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(またはそれらの酸塩または四級アンモニウム塩)、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(またはそれらの酸塩または四級アンモニウム塩)および上記のいずれかの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
1つまたはそれより多くのモノエチレン性不飽和モノマーが、化学的に触媒された方法、生物学的に触媒された方法、または生物学的な方法によって調製されている、請求項8に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明はポリマーの製造方法および反応装置に関する。
【0002】
GB1054028号は、水溶性ポリマーのバッチ式の製造方法であって、水性媒体中でモノマーを重合させて、ポリマーを含む粘性溶液を形成し、且つ、前記粘性溶液を密に取り付けられた仕切りを使用して反応器の外に絞り出すことを含む前記方法を記載している。前記の反応器は垂直の管または水平の管のいずれかである。垂直の管である場合は、それは円錐形の下部を有する。この反応器の欠点は、ポリマーの連続的な製造が可能ではないことである。
【0003】
EP0725084号A1は、水性媒体中でモノマーを重合して、ポリマーを含有するゲル状の混合物を形成すること、およびゲル状の混合物を、不活性ガスを使用して反応器の底の外に絞り出すことを含むポリマーの製造方法を記載している。重合のために使用される反応器は、垂直の管である上部、および円錐形である下部からなる。
【0004】
この反応器の欠点は、いくらかのモノマーが水性媒体中の溶液として反応器の内壁をつたい落ち、且つ重合のための時間が非常に減少し、従っていくらかの未反応のモノマーがポリマーと一緒に反応器に残ることである。このことは、作業上の問題を引き起こす。さらには、得られるポリマーは未反応のモノマーで汚染されており、より多量の未反応のモノマーの存在はさらに、ポリマーの造粒および乾燥の際に加工上の問題をもたらしかねない。
【0005】
未反応のモノマーの含有率が低いポリマーが必要とされる場合、未反応のモノマーを追加的な段階において、例えばさらなる開始剤での処理によって除去しなければならない。しかしながら、多量の開始剤を含有するポリマーは経時劣化しやすく、従って好ましくない。
【0006】
WO2006/117292号は、1つの垂直の完全円錐形(fully conical)の反応器か、2〜5個の垂直の円錐形の部品が互いの上に接続されて構成されるかのいずれかである円錐形の反応器内で重合工程を行うことによってこの問題を克服することを述べている。この方法は、上述の問題の克服において著しい進歩をもたらした。残念ながら、この方法は時として、未反応のモノマーで汚染されたポリマー生成物という問題がある傾向が未だにある。
【0007】
従って、本発明の課題は、残留の未反応モノマーが少ないポリマーをより均質に製造する方法を提供することである。さらには、連続的に稼働できる方法を提供することも望ましい。
【0008】
従って、本発明によれば、ポリマー生成物の製造方法は、以下の段階:
i) モノエチレン性不飽和のモノマーまたはモノエチレン性不飽和モノマーの混合物を含む水性混合物を、第一の反応器装置(2)に少なくとも1つの入口を通じて供給する段階、
ii) 単数または複数のモノマーを部分的に重合し、且つ、重合中のモノマーまたはモノマー混合物を、第一の反応器装置(2)の入口から出口(3)へと移送して、部分的に重合された生成物を準備する段階、
iii) 前記の部分的に重合された生成物を第一の反応器装置(2)の出口(3)から流出させ、その際、第一の反応器装置(2)の出口を出る時点で、部分的に重合された生成物中で60%以下のモノマーまたはモノマー混合物が重合されており、且つ、入口および出口(6)を有するさらなる反応器装置(5)にそれを移送する段階、
iv) さらなる反応器装置(5)内で重合を継続し、且つポリマー生成物をさらなる反応器装置(5)の出口(6)から取り出す段階
を含み、第一の反応器装置(2)が容積移送式ポンプを含むことを特徴とする。
【0009】
容積移送式ポンプとは、第一の反応器装置を通じて、重合中のモノマーおよび部分的に重合された生成物を推進する装置を意味する。
【0010】
前記容積移送式ポンプは、往復型であっても回転型であってもよい。
【0011】
往復ポンプは例えば、チャンバー内で往復運動する部品の動作を含む。往復ポンプは一般に2つのカテゴリに分けられ、第一のものはダイヤフラムを含み、第二のものはピストンまたはプランジャーを含む。ダイヤフラムポンプの例は単一の動作および多重の動作のいずれかを含む。ピストンまたはプランジャーポンプの例は、単独の動作または2つの動作であってよいパワーピストンまたはプランジャーポンプを含み、且つ、単一、二重、三重、または多重の動作を含む。選択的に、ピストンまたはプランジャーポンプは単一または二重のいずれかである傾向がある2つの動作機構であってよい。
【0012】
ロータリーポンプは多重ローターポンプまたはシングルローターポンプを含む。多重ローターは、ギア型、ローブ型、環状ピストン型またはスクリュー型のものであってよい。シングルローターポンプは、ベーン型、ピストン型、一軸ねじ(progressing cavity)型または蠕動型のものであってよい。ギアポンプは、2つまたはそれより多くのインペラをロータリーポンプのケーシング内に含むポンプを含む。典型的には、ギアポンプ内のインペラは、ヘリカルギヤの歯付ギヤホイールの形態、またはローブカムの形態を取ることができる。多重ローターポンプは、ギア型、ローブ型または環状ピストン型のものであってよい。
【0013】
しかしながら、どの種類のポンプが選択されても、重合中のモノマーおよび部分的に重合された生成物を第一の反応器装置に沿って移送できることが重要である。重合中のモノマーと部分的に重合された生成物との両方をこのように移送できないポンプは、本発明によれば容積移送式ポンプであるとはみなされない。
【0014】
本発明によれば、ポリマー生成物の製造装置であって、
i) 第一の反応器装置(2)、および
ii) 入口および出口(6)を有するさらなる反応器装置(5)
を有し、前記第一の反応器装置(2)が容積移送式ポンプを有する、前記装置も提供される。
【0015】
図1は、モノマー貯蔵器(1)が、一軸ねじポンプである第一の反応器装置(2)の第一の入口を通じてモノマー溶液を供給する、好ましい配置を示す。部分的に重合された生成物(プレポリマー)は、プレポリマー排出点(出口)を通じて第一の反応器装置を出て、そこで粘度が測定され(4)、そして第二の反応器装置(5)に入り、そこで重合が継続して、最終的にポリマー排出点(出口)(6)を通じて出て、下流の作業(7)に入る。
【0016】
図2は、容積移送式ポンプがギアポンプである、他の好ましい設定を示す。
【0017】
好ましくは、第一の反応器装置はステーター内のローターおよびローターとステーターとの間に形成された複数の空洞部を含み、そこにモノマーまたはモノマーの混合物が入り、且つその中でそれが部分的に重合中の単数または複数モノマーとして、第一の反応器装置の入口から出口へと移送される。より好ましくは、第一の反応器装置は一軸ねじポンプを有するか、または一軸ねじポンプである。
【0018】
本発明の発明者らは、第一の反応器装置内で部分的にモノマーを重合し、その後、部分的に重合された生成物をさらなる反応器装置の上部に導入することによって、ポリマー生成物をより均質に、未反応のモノマーからの汚染なく製造できることを発見した。
【0019】
しかしながら本発明者らは、部分的に重合された生成物の製造において特別な注意を払わなければならないことも見出した。第一の反応器装置の特別な特徴がなければ、部分的に重合された生成物は、部分的に重合された生成物から分離された未反応のモノマーを含有し得ることが発見された。さらには、連続方式で工程を稼働させる場合、モノマーが部分的に重合された生成物を迂回し得ることすらあることも見出された。意外なことに、容積移送式ポンプを有する第一の反応器装置、および好ましくはステーター内のローター、およびローターとステーターとの間の複数の空洞部を含む装置を用いることによって、より均質な部分的に重合された生成物を得ることができることが発見された。一般にこの方法において、未反応のモノマーは部分的に重合された生成物全体にわたって分布する傾向がある。
【0020】
適切には60質量%以下のモノマーまたはモノマー混合物が、第一の反応器装置の出口を出る時点で、部分的に重合された生成物中で重合されているべきである。モノマーまたはモノマー混合物の変換率がこの水準を上回らなければ、一般に部分的に重合された生成物を第一の反応装置から取り出すことはより困難であり、且つ、第一の反応器装置内または出口で閉塞が起きる危険もある。典型的には、部分的に重合された生成物中で、50%以下、通常は40%以下、多くの場合、20%または30%以下、および普通は15%以下のモノマーまたはモノマー混合物が、出口を出る時点で重合されているべきである。モノマーまたはモノマー混合物のポリマー種への不充分な変換が生じると、ポリマー生成物が未反応のモノマーで汚染されていないことが確実になることが困難になり得る。一般に0.1質量%より多くのモノマーまたはモノマー混合物が、部分的に重合された生成物中で重合されているべきである。適切には、これは少なくとも1.0質量%、且つ多くの場合、少なくとも2.0質量%、またはさらに少なくとも3質量%であるべきである。
【0021】
一般に、第一の反応器装置を出る部分的に重合された生成物が、部分的に重合された生成物をさらなる反応器装置に移送することを容易にするために適した流動特性を示すことが確実であることが望ましい。さらには、さらなる反応器装置に入る部分的に重合された生成物の流動特性は、さらなる反応器装置内部で重合中の生成物の流れを容易にすることもできる。部分的に重合された生成物は、入口を通じて第一の端部でさらなる反応器装置に適切に入り、且つ、さらなる反応器装置内で重合を継続し、且つポリマー生成物が、さらなる反応器装置の第二の端部で適切に出口から取り出される。好ましくは、部分的に重合された生成物が重合を継続する際、それはさらなる反応器装置内を第一の端部から第二の端部へと移動し、さらなる反応器装置内で、重合中の材料の層が、重合中の材料の層と顕著に混合することなく移送すべきである。
【0022】
適切には、第一の反応器装置を出る、部分的に重合された生成物の粘度は、50,000mPasまで、または30,000mPasまでであってよい。多くの場合、粘度は、20,000mPas未満、典型的には10,000mPas以下であってよい。粘度は適切には少なくとも100mPas、通常は少なくとも250mPas、およびしばしば少なくとも500mPasであってよい。粘度の特に適した範囲は、1000〜5000mPasであることが判明している。部分的に重合された生成物の粘度は、どんな温度で第一の反応器装置を出ても測定される。一般に温度は−5℃〜100℃、典型的には5℃〜30℃である。インラインで搭載できる適切な粘度測定装置によって、粘度を測定することができる。
【0023】
適した装置はCambridge Viscosity Incorporated(Medford、Massachusetts、米国)製のインライン粘度計を含む。一般的な文献、例えば、「In Line Ultrasonic Rheology by Pulsed Doppler」、David M Pfund et al、Ultrasonics 44 (2006)、e477−e482、および「Methodology for In−Line Rheology by Ultrasound Doppler Velocity Profiling and Pressure Difference Techniques」、Chemical Engineering Science 62 (2007) 4277−4293に、インラインのこの流体測定機器が記載される。米国特許第5059914号は、粘性媒体の粘度の連続的な測定のためのマイクロ波装置を記載している。
【0024】
重合中のモノマーまたはモノマー混合物の、第一の反応器装置の入口から出口までの滞留時間は通常、少なくとも20秒、且つ多くの場合、少なくとも30秒である。一般に滞留時間は30分を超えず、且つ、典型的には20分以下、且つ多くの場合、10分以下である。望ましくは、滞留時間は0.5〜10分、特に1〜8分であるべきである。
【0025】
典型的には、第一の反応器装置は、一方の端部での入口、および他方の端部での出口を含む。ローターおよびステーターは一般に、一軸ねじポンプのローターおよびステーターと類似しているとみなすことができる。好ましくは、第一の反応器装置は一軸ねじポンプである。ローターは典型的には適切に硬質の構成であり、偏心らせん状である。一般に、それは金属、例えば鋼で構成される。ステーターは一般に柔軟性のある材料、例えばゴムまたは他の弾性樹脂材料で形成されることができ、且つ、望ましくはローターにフィットするスリーブとして形成されて、ローターと、ステーターの内部表面との間に複数の空洞部を作り出す。空洞部の正確な数は重要ではないが、一般に、少なくとも2つの空洞部、且つ通常は少なくとも4つの空洞部である。場合によっては、30個またはそれより多くの空洞部があることが望ましいこともあるが、しかし、通常は20個以下の空洞部である。
【0026】
適切にはローターはステーター内でフィットして、空洞間のモノマーまたは重合中の材料が著しく浸出することを防ぐための封止ももたらすべきである。工程の稼働の間、ローターは、空洞部が第一の反応器装置の入口側の端部から出口側の端部へと進行するように回転すべきである。モノマーまたはモノマー混合物は、第一の反応器装置の空洞部および入口側の端部に導入されるべきである。ローターが回転する際、空洞部は第一の反応器装置の入口側の端部から出口側の端部へと動く。各々の空洞部内で、モノマーまたはモノマー混合物が重合して、部分的に重合された生成物が生じる。発明者らは、重合中のモノマーが、第一の反応器装置を通じて、本質的に栓流で進行する傾向があることを見出した。このことは、重合中のモノマーおよび部分的に重合された生成物の、異なる空洞部の間での移動は本質的にないことを意味する。「本質的に」とは、空洞部間の移動の量が一般に0.5質量%未満、且つ通常は0.1質量%未満であることを意味する。
【0027】
ローターは適切には少なくとも0.25rpm且つ典型的には少なくとも0.5rpmの速度で回転すべきである。回転速度は50rpm以上の速さであってもよいが、一般には30rpm未満、多くの場合、20rpm未満である。好ましくは、回転速度は1〜15rpmであるべきである。
【0028】
容積移送式ポンプは、任意の適した動力源、例えばモーターまたはポンプを稼働させる他の装置によって動力を供給され得る。動力源を第一の反応器装置のいずれかの端部に配置することが可能である。しかしながら、動力源を第一の反応器装置の出口側の端部に配置することが好ましい。これは特に、容積移送式ポンプが、ステーター内のローターおよびローターとステーターとの間に形成された複数の空洞部である、特に一軸ねじポンプである場合にあてはまる。望ましくは、動力源、例えばモーターは、ポンプのローターと直接的に接続していてよく、且つ好ましくはローターが第一の反応器装置の出口側の端部から駆動されるように配置される。発明者らは、ローターを第一の反応器装置の他の端部から駆動することにより、第一の反応器装置を通じた部分的に重合された生成物の移動が改善され、且つ、部分的に重合された生成物を、第一の反応器装置の出口を通じて且つさらなる反応器装置に押しやる能力が改善されることを見出した。
【0029】
さらなる反応器装置は、モノマーまたは部分的に重合された生成物が入口を通じて入れられ、且つ重合されてポリマー生成物が形成され、それが出口から取り出される、任意の適した重合ユニットであってよい。
【0030】
さらなる重合装置が本質的に垂直に載置されることが望ましいことがある。第一の端部がさらなる反応器装置の上端にあり且つ第二の端部が下端にあることが望ましいことがある。この場合、部分的に重合された生成物が、上端(第一の端部)の入口を通じてさらなる反応器装置に入り、且つ、ポリマー生成物がさらなる反応器装置の下端(第二の端部)の出口から取り出される。部分的に重合された生成物は、さらなる反応器装置内を下降しながら、さらなる反応器装置内部で重合を継続する。
【0031】
選択的に、入口側の端部が、さらなる反応器装置の下端(第一の端部)に載置されてよく、且つ、出口側の端部がさらなる反応器装置の上端(第二の端部)に載置されてよい。この場合、部分的に重合された生成物が、下端の入口を通じてさらなる反応器装置に入り、且つ、ポリマー生成物がさらなる反応器装置の上端の出口から取り出される。部分的に重合された生成物は、さらなる反応器装置内部で重合を継続する。
【0032】
適切には、さらなる反応器装置は、入口、側壁および出口を有する直立した円筒型の反応器であってよい。さらなる反応器装置の断面は円形、楕円形または任意の多角形の形状であってよい。さらなる反応器装置の壁は本質的に平行であってよく、例えばシリンダーを形成し、従って管状の構成である。選択的に、さらなる反応器装置は円錐形であってよいか、または少なくとも円錐形の部分を含む。さらには、さらなる反応器装置は、少なくとも1つの管状の部分、または少なくとも1つの円錐形の部分、または少なくとも1つの管状の部分と少なくとも1つの円錐形の部分との組み合わせを含むことができる。
【0033】
好ましくは、さらなる反応器装置は、さらなる反応器装置の上面直径(d1)と反応器の内壁との間の角度(α)が90°未満であるが45°より大きい、1つの垂直の完全円錐形(fully conical)の反応器か、または、垂直の完全円錐形の部品が互いの上に2〜5個接続されて構成され、その各々が部品の上面直径と内壁との間の角度が90°未満であるが45°より大きいかのいずれかである。
【0034】
望ましくは、さらなる反応器装置は、反応器の上面直径(d1)と反応器の内壁との間の角度(α)が90°未満であるが45°より大きい、垂直の完全円錐形の反応器である。
【0035】
好ましくは、前記角度は90°未満であるが60°より大きい。より好ましくは、前記角度は90°未満であるが70°より大きい。さらにより好ましくは、前記角度は90°未満であるが80°より大きい。最も好ましくは、前記角度は87°未満であり且つ83°より大きい。
【0036】
反応器の上面直径(d1)対下面直径(d2)の比は、1.1/1〜24/1であってよい。好ましくは、それは2/1〜10/1である。より好ましくは、それは3/1〜8/1である。最も好ましくは、それは5/1〜6/1である。
【0037】
さらなる反応器装置が2〜5個の接続された完全円錐形の部品で構成される場合、垂直の円錐形の部品は同一であっても異なっていてもよい。垂直の円錐形の部品の1つの上面直径対下面直径の比は、1.1/1〜24/1であってよい。好ましくは、それは1.1/1〜10/1である。より好ましくは、それは1.2/1〜5/1である。最も好ましくは、それは1.5/1〜3/1である。
【0038】
さらなる反応器装置は、任意の適した材料、例えば鋼、軟鋼、ステンレス鋼またはガラス繊維強化プラスチック製であってよい。反応器の内壁は、接着防止コーティング、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシコポリマー(PFA)またはフルオロエチレンプロピレン(FEP)で被覆される。反応器は、少なくとも1つのガスの入口、およびモノマーおよび開始剤を供給するための少なくとも1つの入口を、反応器の上部に有し、且つ、ポリマーを取り出すための少なくとも1つの出口を反応器下部に有する。反応器は封止され、耐圧性であることができる。反応器は冷却/加熱素子、および撹拌装置を有することができるが、好ましくは、反応器はそのような装置を有さない。
【0039】
部分的に重合された生成物は、約2〜6時間の滞留時間を可能する速度でさらなる反応器装置に入ることができる。滞留時間は使用されるモノマーに依存し、且つ、当業者が適合させることができる。
【0040】
好ましくは、酸素の不在下で且つ不活性ガス、例えば窒素の存在下で重合を実施する。好ましくは、重合の間の不活性ガスの圧力は、1〜10bar、より好ましくは1〜5bar、および最も好ましくは1〜3barである。反応混合物の温度は重合の間に100℃まで上昇することができる。好ましくは、反応混合物の温度は重合の間、85〜95℃である。装置を加熱および冷却することによって温度を制御することができるが、好ましくは、反応器の上部に供給される水性媒体中のモノマーおよび開始剤の量によって温度を調節する。重合はポリマーをもたらし、それは水性の媒体中でゲル状の混合物を形成する。生じるポリマーは通常、1および10
8のモノマー単位を含有し、且つ、水溶性または水不溶性であるかのいずれかである。それは水膨潤性または水非膨潤性であってよい。
【0041】
さらなる反応器装置の底部でポリマーがゲル状の混合物を形成したらすぐに、底部の出口を開け、且つ反応混合物を反応器の底部から、不活性ガス例えば窒素を使用して絞り出すことができる。好ましくは、印加される不活性ガスの圧力は、1〜10bar、より好ましくは1〜5bar、および最も好ましくは1〜3barである。
【0042】
好ましくは、得られるポリマー内の未反応のモノマーの含有率は、ポリマーの質量に対して0.15質量%未満である。より好ましくは、それはポリマーの質量に対して0.1質量%未満である。最も好ましくは、それはポリマーの質量に対して0.01質量%未満である。
【0043】
ポリマーを含む得られたゲル状混合物は、通常の造粒および乾燥装置において造粒および乾燥されて、含水率12質量%未満を有するポリマーをもたらすことができる。
【0044】
該工程をバッチ式または連続式で実施することができる。好ましくは、連続式で実施する。
【0045】
該工程によって製造されるポリマーを、固体粒子を水中で凝集させて、採鉱から下水処理わたる産業における浄水を補助するために、製紙工程の間に紙繊維を結合するために、および金属鉱微粒子を固めて金属採収を強化するために使用することができる。
【0046】
本発明の方法のために適合された反応器も本発明の一部である。反応器に関する詳細は上記で説明されている。
【0047】
本発明の方法によって製造されたポリマーも本発明の一部である。
【0048】
モノエチレン性不飽和モノマーは、水溶性または水不溶性のモノエチレン性不飽和モノマーであってよい。モノエチレン性不飽和モノマーを、化学的に触媒された方法、生物学的に触媒された方法、または生物学的な方法によって得ることができる。
【0049】
水溶性のモノエチレン性不飽和モノマーは、以下の式のカルボン酸またはその塩:
【化1】
[式中、
R
1、R
2およびR
3は同一または異なり、且つ、水素、C
1〜C
2−アルキル、カルボキシまたはカルボキシで置換されたC
1〜C
2−アルキルである]、
【化2】
[式中、
R
7、R
8およびR
9は同一または異なり、且つ水素またはC
1〜C
2−アルキルであり、EはC
2〜C
5−アルキレンであり、R
4、R
5およびR
6は同一または異なり、且つC
1〜C
4−アルキルであり、且つ、Xは適したアニオンである]、
以下の式のアミド:
【化3】
[式中、
R
7、R
8、R
9、E、R
4、R
5、R
6およびXは上記で示されたものと同じ意味を有し、R
10は水素またはメチルであり、LはC
2〜C
5−アルキレンであり、且つMは適したカチオンである]、
ビニル誘導体またはジアリルアンモニウム誘導体
であってよい。
【0050】
式Iのカルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸である。それらの塩は、それらのアンモニウムまたはアルカリ金属塩であってよい。アルカリ金属の例は、ナトリウムおよびカリウムである。
【0051】
C
1〜C
2−アルキルは、メチルまたはエチルであってよい。C
2〜C
5−アルキレンの例は、エチレン、トリメチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、テトラメチレン、エチルエチレンおよびペンタメチレンである。C
1〜C
4−アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、およびブチル、イソ−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチルである。適したアニオンの例は、ハロゲン化物イオン、硫酸イオンおよびC
1〜C
4−アルキル硫酸イオンである。C
1〜C
4−アルキル硫酸イオンの例は、硫酸メチルイオンである。ハロゲン化物イオンの例は、臭化物イオンおよび塩化物イオンである。好ましいハロゲン化物イオンは塩化物イオンである。適したカチオンの例は、水素、アンモニウムおよびアルカリ金属である。
【0052】
式IIのエステルの例は、ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロリド四級塩、ジエチルアミノエチルアクリレートエチルクロリド四級塩、およびジメチルアミノエチルメタクリレートメチルクロリド四級塩である。
【0053】
式III、IVまたはVのアミドの例は、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、ジメチルアミノエチルアクリルアミドメチルクロリド四級塩、ジエチルアミノエチルアクリルアミドエチルクロリド四級塩、ジメチルアミノエチルメタクリルアミドメチルクロリド四級塩および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
【0054】
ビニル誘導体の例は、ビニルホスホン酸またはビニルスルホン酸およびそれらの塩、例えば、それらのアンモニウムまたはアルカリ金属塩、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドンおよび1−ビニルイミダゾールである。ジアリルアンモニウム誘導体の例は、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0055】
水不溶性のモノエチレン性不飽和モノマーは、式Iのカルボン酸とC
1〜C
18−アルカノールとのエステルであってよい。
【0056】
C
1〜C
18−アルカノールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノールおよびオクタデカノールである。
【0057】
水不溶性のモノエチレン性不飽和モノマーの例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、およびステアリルメタクリレートである。
【0058】
好ましくは、モノエチレン性不飽和モノマーは水溶性である。
【0059】
より好ましいモノエチレン性不飽和モノマーは、水溶性であり、且つ、以下からなる群から選択される:
以下の式のカルボン酸またはその塩:
【化4】
[式中、
R
1、R
2およびR
3は同一または異なり、且つ、水素またはメチル、カルボキシ、またはカルボキシで置換されたメチルである]、
以下の式のエステル:
【化5】
[式中、
R
7、R
8およびR
9は同一または異なり、且つ水素またはメチルであり、EはC
2〜C
3−アルキレンであり、R
4、R
5およびR
6は同一または異なり、且つC
1〜C
3−アルキルであり、且つ、Xは適したアニオンである]、
以下の式のアミド:
【化6】
[式中、
R
7、R
8、R
9、E、R
4、R
5、R
6およびXは上記で示されたものと同じ意味を有し、R
10は水素またはメチルであり、LはC
2〜C
5−アルキレンであり、且つMは適したカチオンである]。
【0060】
C
2〜C
3−アルキレンの例は、エチレン、トリメチレンおよびプロピレンである。C
1〜C
3−アルキルの例は、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルである。
【0061】
さらにより好ましいモノエチレン性不飽和モノマーは、水溶性であり、且つ、以下からなる群から選択される:
以下の式のカルボン酸またはその塩:
【化7】
[式中、
R
1は水素またはメチルであり、且つ、R
2およびR
3は両方とも水素である]、
以下の式のエステル:
【化8】
[式中、
R
7は水素またはメチルであり、且つ、R
8およびR
9は両方とも水素であり、Eはエチレンであり、R
4、R
5およびR
6は同一または異なり、且つC
1〜C
2−アルキルであり、且つXはハロゲン化物イオン、硫酸イオンまたはC
1〜C
4−アルキル硫酸イオンである]、
以下の式のアミド:
【化9】
[式中、
R
7、R
8、R
9、E、R
4、R
5、R
6およびXは上記で示されたものと同じ意味を有し、R
10は水素またはメチルであり、LはC
2〜C
5−アルキレンであり、且つMは水素、アンモニウムまたはアルカリ金属である]。
【0062】
最も好ましいモノエチレン性不飽和モノマーは、水溶性であり、且つ、以下からなる群から選択される:
アクリル酸またはそれらの塩、以下の式のエステル:
【化10】
[式中、
R
7、R
8およびR
9は水素であり、Eはエチレンであり、R
4、R
5およびR
6は同一または異なり、且つC
1〜C
2−アルキルであり、且つXは塩化物イオン、硫酸イオンまたはC
1〜C
4−アルキル硫酸イオンである]、
アクリルアミドおよび以下の式のアミド:
【化11】
[式中、
R
7、R
8、R
9は上記で示されたものと同じ意味を有し、LはC
2〜C
4−アルキレンであり、R
10は水素であり、且つMは水素、アンモニウムまたはアルカリ金属である]。
【0063】
C
2〜C
4−アルキレンの例は、エチレン、トリメチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、テトラメチレンおよびエチルエチレンである。
【0064】
さらに最も好ましいモノエチレン性不飽和モノマーは、水溶性であり、且つ、アクリルアミド、またはアクリルアミドと、アクリル酸またはそれらの塩、以下の式のエステルからなる群から選択される水溶性モノエチレン性不飽和モノマーとの混合物である:
【化12】
[式中、
R
7、R
8およびR
9は水素であり、Eはエチレンであり、R
4、R
5およびR
6は同一または異なり、且つC
1〜C
2−アルキルであり、且つXは塩化物イオン、硫酸イオンまたはC
1〜C
4−アルキル硫酸イオンである]。
【0065】
好ましくは、アクリルアミドと、アクリル酸またはそれらの塩、および式
【化13】
[式中、
R
7、R
8およびR
9は水素であり、Eはエチレンであり、R
4、R
5およびR
6は同一または異なり、且つC
1〜C
2−アルキルであり、且つXは塩化物イオン、硫酸イオンまたはC
1〜C
4−アルキル硫酸イオンである]
のエステルからなる群から選択される水溶性モノエチレン性不飽和モノマーとの混合物中のアクリルアミドの量は、モノマー混合物の質量に対して少なくとも30質量%である。
【0066】
モノマーまたはモノマー混合物がアクリルアミドを含む場合、アクリルアミドを適した方法によって、例えばアクリロニトリルの加水分解によって製造されたものであってよい。典型的にはこれは、無機触媒、例えばラネー銅を使用する公知の化学的に触媒された方法の1つであってよい。しかしながら好ましくは、アクリルアミドは生物学的または生物学的に触媒された方法を使用して製造される。適切には、これはアクリロニトリルと、ニトリルヒドラターゼ酵素とを、例えば特許および文献内に記載されるとおりに、接触させることによって達成できる。優れたポリアクリルアミド生成物は、本発明の方法を用いてアクリルアミドを、場合により他のエチレン性不飽和モノマーと組み合わせて重合することによって得ることができ、その際、アクリルアミドは生物学的な方法によって得られる。かかるポリアクリルアミドは、例えば水処理(下水汚泥処理を含む)、採鉱用途のための凝集剤として、および製紙産業における保持/濾水剤として、優れた特性を示す。
【0067】
使用されるモノエチレン性不飽和モノマーまたはモノマー混合物に依存して、本発明の方法によって製造されるポリマーは、アニオン性、カチオン性または非イオン性であってよい。
【0068】
任意の適した開始剤を使用できる。開始剤は例えば、過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物、硫酸塩、レドックス対、またはそれらの混合物であってよい。
【0069】
過酸化物の例は、過酸化水素、過酸化カリウム、tert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドおよびベンゾイルペルオキシドである。過硫酸塩の例は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムまたは過硫酸カリウムである。アゾ化合物の例は、2,2−アゾ−ビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)および2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロリド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)および2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドである。硫酸塩の例は、硫酸第一鉄アンモニウムおよび硫酸アンモニウムである。レドックス対は、酸化剤および還元剤からなる。酸化剤は、上記の過酸化物、過硫酸塩、硫酸塩またはアゾ化合物またはアルカリ金属塩素酸塩または臭素酸塩の1つであってよい。アルカリ金属の例は上に示されている。還元剤の例は、アスコルビン酸、グルコースまたはアンモニウムまたはアルカリ金属の亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩または硫化物、または硫酸第一鉄アンモニウムである。
【0070】
好ましくは、開始剤はレドックス対と、過酸化物、過硫酸塩およびアゾ化合物からなる群から選択される1つまたはそれより多くの開始剤との混合物である。
【0071】
より好ましくは、開始剤はレドックス対と、1つまたはそれより多くのアゾ化合物開始剤との混合物であり、その際、酸化剤は過酸化物およびアルカリ金属の臭素酸塩からなる群から選択され、且つ、還元剤はアンモニウムまたはアルカリ金属の亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩または硫化物、または硫酸第一鉄アンモニウムからなる群から選択される。
【0072】
さらにより好ましくは、開始剤はレドックス対と、1つまたはそれより多くのアゾ化合物開始剤との混合物であり、その際、酸化剤は過酸化水素およびアルカリ金属の臭素酸塩からなる群から選択され、且つ、還元剤はアルカリ金属の亜硫酸水素塩または亜硫酸塩である。
【0073】
最も好ましくは、開始剤はレドックス対と、2,2−アゾビスアゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)および2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)からなる群から選択される1つまたはそれより多くのアゾ化合物開始剤との混合物であり、その際、酸化剤はtert−ブチルヒドロペルオキシドおよび臭素酸カリウムからなる群から選択され、且つ、還元剤は亜硫酸ナトリウムである。
【0074】
モノエチレン性不飽和モノマーまたはモノマー混合物、および開始剤を含む水性混合物は、モノマーおよび開始剤の水または緩衝剤中の溶液、分散液または懸濁液であってよい。好ましくはそれは、モノマーおよび開始剤の水中での溶液である。
【0075】
モノマーおよび開始剤を含む水性混合物は、添加剤、例えばウレア、金属イオン封鎖剤、有機酸、連鎖移動剤および架橋剤を含有できる。
【0076】
金属イオン封鎖剤の例は、ジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩、およびジエチレンジアミン四酢酸、四ナトリウム塩である。
【0077】
有機酸の例は、アジピン酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、リンゴ酸および安息香酸である。
【0078】
連鎖移動剤の例は、チオグリコール酸、次亜リン酸ナトリウム、2−メルカプトエタノール、N−ドデシルメルカプタンおよびtert−ドデシルメルカプタンである。
【0079】
架橋剤の例は、ポリエチレン性不飽和モノマー、例えばN,N’−モノメチレンビスアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート、テトラアリルアンモニウムクロリドおよびジアリルフタレートである。
【0080】
好ましくは、水性媒体はウレア、金属イオン封鎖剤および/または有機酸も含有する。より好ましくは、水性媒体は、ウレア、ジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩および/またはアジピン酸も含有する。
【0081】
本発明の方法によって製造されるポリマーがカチオン性である場合、水性媒体は最も好ましくはジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩、およびアジピン酸も含有する。製造されるポリマーがアニオン性である場合、水性媒体は最も好ましくはジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩およびウレアも含有する。製造されるポリマーが非イオン性である場合、水性媒体は最も好ましくはジエチレントリアミン五酢酸、五ナトリウム塩、ウレアおよびアジピン酸も含有する。
【0082】
好ましくは、モノエチレン性不飽和モノマーまたはモノマー混合物の水性混合物中での量は、反応器上部に供給される水性混合物の質量に対して5〜60質量%である。より好ましくは、水性混合物の質量に対して10〜50質量%である。さらにより好ましくは、水性混合物の質量に対して25〜40質量%である。最も好ましくは、水性混合物の質量に対して28〜35質量%である。
【0083】
第一の反応器装置内に導入されたモノマーまたはモノマー混合物の重合の開始を、通常の重合開始剤、例えばフリーラジカル開始剤系、例えばレドックス開始剤および/または熱開始剤を使用することによって達成できる。適した開始剤は、過酸化物、例えばt−ブチルペルオキシド、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル; 無機化合物、例えば過硫酸カリウムおよびレドックス対、例えば硫酸第一鉄アンモニウム/過硫酸アンモニウムを含む。第一の反応器装置への導入に先立ち、開始剤を単数または複数のモノマー中に含ませることが望ましいことがある。選択的に、第一の反応器装置内で、開始剤を単数または複数のモノマー中に直接的に導入することができる。状況によっては、第一の反応器装置内に入る前に、開始剤を単数または複数のモノマー中に導入し、その後、さらなる開始剤を第一の反応器装置内で単数または複数のモノマーに追加することが望ましいことがある。
【0084】
重合を、光化学照射法、例えば紫外線照射によって、またはコバルト60源からのイオン化照射によって行うこともできる。
【0085】
好ましくは、水性混合物の開始剤の総量は、モノマーまたはモノマー混合物の質量に対して0.001〜5質量%である。より好ましくは、モノマーまたはモノマー混合物の質量に対して0.005〜2質量%である。最も好ましくは、モノマーまたはモノマー混合物の質量に対して0.05〜1質量%である。開始剤がレドックス対を含む開始剤混合物である場合、酸化剤の量はモノマーの質量に対して好ましくは0.0001〜1質量%、より好ましくは0.0002〜0.01質量%であり、且つ、還元剤対酸化剤の比は、3/1〜1/4、好ましくは2.5/1〜1/3である。
【0086】
好ましくは、添加剤の量は、モノマーの質量に対して0.0001〜20質量%である。より好ましくは、それはモノマーの質量に対して0.001〜15質量%である。
【0087】
モノマーまたはモノマー混合物および開始剤を含む水性混合物が、モノマーまたはモノマー混合物の水溶液と開始剤の水溶液とを力強く混合し、その後、生じる溶液を反応器の入口に供給することによって調製されることが望ましいことがある。選択的に、開始剤の水溶液を、第一の反応器装置内でモノマーまたはモノマー混合物の水溶液中に導入し、且つ例えば一緒に力強く混合することができる。好ましくは、エチレン性不飽和モノマーの水溶液を脱気し、その後、開始剤溶液と混合する。
【0088】
好ましくは、モノマーまたはモノマー混合物および開始剤を含む水性混合物を、モノマーまたはモノマー混合物と、1つまたはそれより多くのアゾ化合物開始剤と添加剤、例えばウレア、有機酸または金属イオン封鎖剤とを含有する水溶液を、レドックス対開始剤と、場合により追加的なアゾ化合物開始剤とを含有する水溶液と力強く混合し、その後、生じる溶液を第一の反応器装置に供給するか、またはその前にモノマーまたはモノマー混合物を含有する水溶液を第一の反応器装置内に導入することによって調製できる。
【0089】
好ましくは、モノマーおよび開始剤を含む水性混合物を25℃未満に冷却し、その後、第一の反応器装置内に供給する。より好ましくはそれを10℃に冷却する。さらにより好ましくはそれを0℃に冷却する。最も好ましくはそれを−5℃に冷却する。
【0090】
本発明の方法の利点は、著しい圧力の変化なく反応器設備を連続的に稼働し、未反応のモノマーの含有率が低いポリマーが製造できることである。従って、従来の方法の問題、即ち反応の間の圧力の不便な制御、未反応のモノマーによる乾燥機の汚染、および未反応のモノマー量を減少させるためのポリマーの後処理が回避される。
【0091】
本発明によって製造されたポリマー生成物は、典型的には少なくとも4dl/g、例えば少なくとも5または6dl/gまたはそれより上、例えば少なくとも10dl/gまたはさらには14または15dl/gより上の固有粘度(IV)を有することができる。固有粘度は、30dl/gの高さであってもよいが、通常は25または26dl/gまで、例えば21または22dl/gまでである。
【0092】
ポリマーの固有粘度を、ポリマーの有効含分に対してポリマー(0.5〜1%w/w)の水溶液を調製することによって測定できる。この0.5〜1%のポリマー溶液2gを、50mlの2Mの塩化ナトリウム溶液を有する100ml容量フラスコ内に希釈し、前記がpH7.0に緩衝され(脱イオン水1リットルあたり1.56gのリン酸二水素ナトリウムおよび32.26gのリン酸水素二ナトリウムを使用)、且つその全体を脱イオン水で100mlの印まで希釈する。Number 1懸垂液面型粘度計(suspended level viscometer)を使用し、25℃で1Mの緩衝塩溶液中でポリマーの固有粘度を測定する。記載される固有粘度値は、特段記載されない限り、この方法によって測定される。
【0093】
ポリマービーズの質量平均分子量は一般に、少なくとも100万、例えば少なくとも200万、および多くの場合、少なくとも300万、好ましくは少なくとも500万であるべきである。場合により、質量平均分子量は、少なくとも700万、および場合により少なくとも1000万であってよい。質量平均分子量は、1800または2000万程度の大きさ、例えば2500万の大きさ、またはさらに3000万以上の大きさであってよい。分子量を例えば静的光散乱、小角中性子散乱、X線散乱または沈降速度によって測定することができる。