(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図7を参照して、実施形態に係る吸収性物品1及びこの吸収性物品1を包装シート70によって包装した吸収性物品の包装体100について説明する。
図1は、吸収性物品の包装体の肌当接面側から見た平面図であり、
図2は、吸収性物品の包装体の背面図である。
図3は、
図1に示すA−A断面の模式断面図である。吸収性物品の包装体100は、吸収性物品1と、この吸収性物品1を包装する包装シート70と、を有する。本実施形態に係る吸収性物品1は、例えば、生理用ナプキンである。
【0013】
吸収性物品の包装体100は、包装シート70上に吸収性物品1が配置された状態で包装シート70と吸収性物品1とが折り畳まれることにより、吸収性物品1が個別に包装される。
図1及び
図2は、包装シート70によって吸収性物品1を個別に包装した後、吸収性物品1を開いた状態を示している。この吸収性物品1の包装態様については、後述にて詳細に説明する。
【0014】
吸収性物品1は、液体を透過する液透過性の表面シート10、液体を透過しない液不透過性の裏面シート20、及び吸収体30を有する吸収性本体1Aと、吸収性本体1Aよりも幅方向外側に延出するフラップ部1Bと、を有する。吸収性本体1Aは、表面シート10、裏面シート20及び吸収体30が積層された部分であり、フラップ部1Bは、吸収体30よりも幅方向外側の部分である。
【0015】
吸収体30は、表面シート10(又は漢方薬材料を含むシート材80)と裏面シート20との間に配設される。従って、吸収体30は、
図1において破線で示される。吸収体30は、吸収性物品1の長手方向L及び幅方向Wにおける中央部分に配設される。
【0016】
フラップ部1Bは、着用者の排泄口に当接する排泄口当接領域の幅方向外側に配置されたウイングフラップ部43と、ウイングフラップ部43よりも後方に配置されたヒップフラップ部44と、を備える。更に、吸収性物品1は、幅方向Wにおいて吸収体30の外側に設けられるサイドシート41を備える。
【0017】
なお、排泄口当接領域は、吸収性物品1において着用者の膣口に当接する領域であり、例えば、着用者の下着に吸収性物品1が着用される際に、下着の2つの足回り開口の間に配置される領域である。また、排泄口当接領域の中心とは、着用者の排泄口が当接する領域の長手方向及び幅方向の中心である。例えば、ウイングフラップ部を有する吸収性物品においては、ウイングフラップ部の長手方向の中心が、排泄口当接領域の長手方向の中心となる。また、ウイングフラップ部を有しない吸収性物品においては、吸収体の幅方向の長さ寸法が最も短い位置が、排泄口当接領域の長手方向の中心となる。
【0018】
表面シート10は、体液等の液体を透過する液透過性のシートである。表面シート10は、少なくとも吸収体30とシート材80の表面を覆う。表面シート10は、不織布、織布、有孔プラスチックシート、メッシュシート等、液体を透過する構造のシート状の材料であれば、特に限定されない。織布や不織布の素材としては、天然繊維、化学繊維のいずれも使用できる。
【0019】
表面シート10上の液伝いを抑制するために、表面シート10の肌当接側の面に凹凸加工を施してもよいし、不織布からなる表面シート10の成形時にエアーを当てることによって、不織布に目付のむらを形成してもよい。また、表面シート10と吸収体30との間に、表面シート10側から吸収体30側へ体液を引き込むためのセカンドシートを設けてもよい。
【0020】
裏面シート20は、表面シート10の長さと略同一の長さを有する。裏面シート20は、ポリエチレン、ポリプロピレン等を主体としたフィルム、通気性の樹脂フィルム、スパンボンド、又はスパンレース等の不織布に通気性の樹脂フィルムが接合されたシートなどを用いることができる。裏面シート20は、着用時の違和感を生じさせない程度の柔軟性を有する材料とすることが好ましい。本実施の形態の裏面シート20は、液不透過性のポリエチレンのフィルムによって構成されている。
【0021】
吸収体30は、テッシュ又は不織布からなる吸収シート31と、吸収シート31よりも肌当接側に配置され、パルプ繊維が積層された吸収コア32と、を含む。吸収コア32は、吸収シート31の肌当接側の面に当接した下側吸収コア32Aと、下側吸収コア32Aよりも肌当接側の面に当接した上側吸収コア32Bと、を有する。
【0022】
吸収シートは、テッシュ又は不織布によって形成することができる。吸収シートを構成する不織布としては、熱可塑性繊維からなる不織布であって、親水性処理を施した不織布や、親水性繊維からなる不織布を用いることができる。また、吸収シートを構成する不織布として、親水性繊維又は粉体をエアレイド法によってシート状に成形したエアレイドシートを用いることも可能となる。
【0023】
吸収コア32は、パルプ繊維が積層されて構成されている。吸収コア32のパルプ繊維は、テッシュや不織布によって被覆されてなく、表面シート10に当接している。吸収コア32は、本発明における積層体として機能する。
【0024】
吸収コア32は、吸収シート31よりも長手方向L及び幅方向Wにおいて小さい。また、上側吸収コア32Bは、下側吸収コア32Aよりも長手方向L及び幅方向Wにおいて小さい。上側吸収コア32Bは、下側吸収コア32Aよりも吸収材料の目付が高く構成されており、排泄口当接領域を含む中央領域CAに配置されている。
【0025】
上側吸収コア32Bは、
図1に示す平面視において、表面シート10と吸収体30とが厚み方向に圧縮された圧搾部によって囲まれた領域に設けられている。中央領域CAは、平面視において後述する第1圧搾部によって囲まれた領域である。
【0026】
吸収シート31の密度は、吸収コア32の密度よりも高く、吸収シート31及び吸収コア32共に、長手方向に沿って配置され、後述する第1圧搾部よりも幅方向外側に延出している。第1圧搾部よりも幅方向外側に導かれた体液は、比較的密度の高い吸収シートに拡散し、吸収コア32の下方領域にも体液が輸送される。体液を拡散することによって吸収効率が向上するため、排泄口当接領域を含む中央領域における吸収容量を超過し難くなる。
【0027】
本実施の形態では、上側吸収コア32Bと下側吸収コア32Aとが一体化されている。上側吸収コア32Bと下側吸収コア32Aは、別個に構成されていてもよいし、一体化されていてもよい。本実施の形態に係る吸収コア32は、上側吸収コア32Bと下側吸収コア32Aとが一体化して形成されている。吸収シート31と吸収コア32とが別体によって構成される場合には、ホットメルト型接着剤等の接着剤によって貼り合わされていてもよい。
【0028】
吸収体30と表面シート10との間には、漢方薬材料を含むシート材80が設けられている。シート材80は、少なくとも排泄口当接領域に配置される。排泄口当接領域は、着用者に密着する領域である。この排泄口当接領域を含む中央領域にシート材80を設けることにより、漢方の成分を着用者に付与しやすくなる。また、排泄口当接領域は、最も体液が排出される領域である。中央領域にシート材80を設けることにより、香り成分によって体液のにおいを低減し、装着感を向上させることができる。
【0029】
シート材80は、吸収コアのパルプ繊維に当接している。シート材80は、平面視矩形のシート状であり、長手方向における外側端部かつ幅方向における外側端部である4つの角部80A、80B、80C、80Dを有する。シート材の角部は、前側に位置する前角部80A、80Bと、後側に位置する後角部80C、80Dと、を有する。シート材80の構成については、後述にて詳細に説明する。
【0030】
平面視において、シート材80の少なくとも一部の周囲には、圧搾部が形成されている。圧搾部は、吸収体30と、表面シート10と、が少なくとも厚み方向に圧縮されて形成されている。圧搾部は、シート材80よりも幅方向外側において長手方向に沿って配置された第1圧搾部23と、シート材80よりも長手方向外側に配置された第2圧搾部24と、を備える。第2圧搾部24は、シート材80の角部80A、80B、80C及び80Dよりも幅方向内側に配置されている。
【0031】
具体的には、シート材80の前角部80A、80Bよりも長手方向外側かつ幅方向内側に第2圧搾部24が配置され、前角部80A、80Bよりもよりも長手方向内側かつ幅方向外側に第1圧搾部23が配置されている。第1圧搾部23と第2圧搾部24とは、分離して配置されている。
【0032】
例えば、第1圧搾部23と第2圧搾部24とが連続して環状に配置され、その内側にシート材80を配置すると、シート材80の角部が環状の圧搾部に干渉し、シート材の面積を十分に大きくできないことがあった。
【0033】
しかし、第1圧搾部23と第2圧搾部24とが別々に配置され、その隙間にシート材の角部が配置されているため、第1圧搾部23と第2圧搾部24が連続して配置されている構成と比較して、第1圧搾部23と第2圧搾部24との間に角部を配置でき、より広い面積のシート材を配置できる。
【0034】
更に、第1圧搾部23と第2圧搾部24とが分断されて連なっていないため、体液が圧搾部に沿って過度に拡散することを抑制できる。例えば、第1圧搾部に沿って拡散する体液が第2圧搾部に沿っても拡散すると、体液が過度に長手方向に拡散するおそれがある。しかし、第1圧搾部の長手方向外側端部は、第2圧搾部と分断されており、第1圧搾部から第2圧搾部への体液の拡散を抑制できる。
【0035】
このように構成された吸収性物品1は、着用者に着用された状態で、幅方向外側から内側に押圧された際に、第1圧搾部を基点に幅方向内側に変形する。
図4は、装着状態における吸収性物品1の変形態様を模式的に示した図である。
図4は、
図3に示す断面を基準としており、下着Sに装着した状態である。
図4(a)は、変形前の状態であり、
図4(b)は、変形後の状態である。
【0036】
変形前の状態では、
図4(a)に示すように、吸収性物品1のシート材80は、略平滑な状態であり、着用者の排泄口に対向して配置される。この状態から上側吸収コア32Bが配置された中央領域に対して幅方向外側から幅方向内側に向かう力が加えられた状態では、
図4(b)に示すように、一対の第1圧搾部23が幅方向内側に変形する。
【0037】
吸収性物品1が幅方向外側から幅方向内側に押圧されると、圧搾部を介して、圧搾部よりも幅方向内側の吸収コアが押圧される。このとき、吸収コアのシート材側の面は、テッシュ等が配置されてなく、パルプ繊維が当接している。また、パルプ繊維は、比較的柔らかく柔軟に変形する。
【0038】
よって、吸収性物品1が幅方向内側に押圧された際に、パルプ繊維が凸状に変形し易くなり、また、パルプ繊維の変形がテッシュ等によって抑制されないため、直接的にシート材80に伝播する。変形前の状態と比較して、上側吸収コア32Bが着用者側に近づく。よって、表面シート10及びシート材80が着用者により近づいて配置される。
【0039】
また、第2圧搾部は、幅方向に延びている。幅方向外側から幅方向内側に向かって力が掛かった際に、第2圧搾部によって幅方向内側に向かう変形を抑制し、第1圧搾部間の吸収コアが過度に凸状に変形することを抑制できる。
【0040】
更に、圧搾部は、前側に位置する第2圧搾部24よりも前側に配置された第3圧搾部25と、後側に位置する第2圧搾部24よりも後側に配置された第4圧搾部26と、第1圧搾部23よりも幅方向外側と、第2圧搾部24よりも長手方向外側と、に配置された点状圧搾部27と、を有する。
【0041】
点状圧搾部27は、間隔を空けて複数形成されている。点状圧搾部27は、第1圧搾部23よりも幅方向外側において配置され第1圧搾部23よりも幅方向内側には配置されていない。よって、着用者の脚等によって吸収性物品1が幅方向外側から幅方向内側に向かって力が掛けられた際に、第1圧搾部よりも幅方向外側の領域(点状圧搾部が形成された領域)は、平滑な状態を維持しつつ、第1圧搾部よりも幅方向内側の領域(上側吸収コア32Bが配置された領域)が着用者側に近づき易くなる。
【0042】
また、第1圧搾部23よりも幅方向外側の領域は、点状圧搾部27が形成されていることにより、剛性が高まり、幅方向外側からの応力を第1圧搾部23に伝達し易くなる。よって、第1圧搾部23よりも幅方向内側に配置されたシート材80がより着用者に密着し易くなり、漢方薬材料の成分を着用者に付与することができる。
【0043】
また、第1圧搾部23の長手方向の中央は、幅方向外側に向かって突出する凸形状であって、第1圧搾部23の幅方向の長さが最も長くなるように構成されている。よって、吸収性物品に対して幅方向外側から幅方向内側に力が掛かって凸状に変形する場合に、変形部分の高さを確保し易くなるなり、シート材80が身体に密着し易くなる。また、第1圧搾部に沿って拡散する体液は、長手方向外側に向かって徐々に幅方向内側に向かって移行する。よって、横漏れを抑制できる。
【0044】
なお、吸収性物品の圧搾部は、少なくとも表面シート10及び吸収体30を厚み方向Tに圧搾されて形成されていればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、プレス加工やエンボス加工によって形成することができ、その形状は、格子網やハニカム形状であってもよい。また、本実施の形態の第1圧搾部23及び第2圧搾部24は、それぞれ非連続的に配置された複数の圧搾部によって構成されているが、連続して線状に形成されていてもよい。
【0045】
また、本実施の形態におけるシート材80は、吸収体30と分離可能な構成である。例えば、吸収性物品を長時間使用すると、湿気等によって吸収体30がよれ、吸収体30が着用者側に凸状に変形しないことがある。しかし、シート材80が吸収体30と分離可能であるため、吸収体30がよれて凸状に変形しない場合であっても、表面シート10とシート材80が吸収体30から解離して、表面シート10とシート材80とが身体側に変形可能となる。
【0046】
表面シート10、シート材80、吸収体30、裏面シート20は、それぞれの層間分離を防止するためにも接合されていてもよい。これらの接合は、エンボス加工、超音波、ホットメルト型接着剤等を単独もしくは組み合わせて使用することが可能である。また、着用時における吸収体の型崩れやヨレを防止したり、吸収体の厚みを調整したりするために、吸収体にエンボス加工を施してもよい。
【0047】
サイドシート41は、表面シート10の両側に配設される。サイドシート41は、表面シート10と同様の材料から選ぶことができる。但し、サイドシート41を乗り越えて吸収性物品1外方へ経血が流れることを防止するためには、疎水性又は撥水性を有することが好ましい。具体的には、スパンボンド不織布やSMS不織布などが挙げられ、特に、こすれによる肌への刺激を低減するためにはエアースルー不織布が好ましい。
【0048】
サイドシート41は、吸収体30の側縁の一部及びフラップ部1Bを覆う。サイドシート41の幅方向における内側端部41Eは、後述する第1長手折り目FL1及び第2長手折り目FL2よりも幅方向外側において、第1長手折り目FL1及び第2長手折り目FL2に隣接して配置されている。
【0049】
吸収性物品1では、表面シート10、サイドシート41及び裏面シート20の周縁が接合されて、吸収体30が内封される。表面シート10と裏面シート20との接合方法としては、ヒートエンボス加工、超音波、又はホットメルト型接着剤のいずれか一つ、又は複数を組み合わせることが可能である。
【0050】
裏面シート20において下着と接触する表面には、粘着剤が塗布された粘着領域が複数設けられている。粘着領域は、吸収性本体1Aの非肌当接側の面に設けられた本体粘着領域51(
図3参照)と、フラップ部1Bの非肌当接側の面に設けられたフラップ粘着領域52(
図3参照)と、を有する。なお、本実施の形態に係るフラップ粘着領域52は、ウイングフラップ部43のみに設けられているが、ヒップフラップ部44に設けられていてもよい。
【0051】
使用前の状態では、本体粘着領域51は、離型シートとしての本体シート61によって覆われ、フラップ粘着領域52は、離型シートとしてのフラップシート62によって覆われている。本体シート61及びフラップシート62によって、使用前に接着剤が劣化するのを防止している。
【0052】
本体シート61は、本体粘着領域51と包装シート70との間に配置されている。本体シート61の本体粘着領域51側の面には、離型処理が施されており、本体粘着領域51と離間可能に構成されている。フラップシート62のフラップ粘着領域52側の面には、離型処理が施されており、フラップ粘着領域52と離間可能に構成されている。
【0053】
本体シート61及びフラップシート62は、それぞれ、接着剤を介して包装シート70に接着されている。包装シート70の本体シート及びフラップシート側の面には、本体シート61を接着する接着剤が塗布された本体接着領域65と、フラップシート62を接着する接着剤が塗布されたフラップ接着領域66と、がそれぞれ複数設けられている。
【0054】
本体接着領域65は、長手方向に延びる筋状であり、本体粘着領域51よりも短い幅で、本体粘着領域51よりも多数並んで配置されている。また、フラップ接着領域66は、フラップ粘着領域52よりも短い幅で、フラップ粘着領域52よりも多数並んで配置されている。
【0055】
包装シート70は、吸収性物品1を個別に包装する。包装シート70は、吸収性物品1の裏面シート20側において吸収性物品1と対向する対向面71と、吸収性物品1を収容した状態で外側に位置する非対向面72と、を有する。
【0056】
なお、包装シート70は、質感向上等の目的のために包装シート70の表面に丸点エンボスや梨地エンボスのような表面加工が施されていてもよい。包装シート70の材質としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエステル等のプラスチックフィルムやナイロンフィルムなどの各種フィルム、不織布をラミネートさせたフィルム等が挙げられる。
【0057】
本体シート61及びフラップシート62は、包装シート70に接着されているため、包装シート70から吸収性物品1を離間させると、包装シート70と吸収性物品1から離間し、本体粘着領域51及びフラップ粘着領域52が露出する。
【0058】
なお、粘着剤及び接着剤は、例えば、ホットメルト型接着剤を用いることができる。また、本体シート及びフラップシートは、粘着剤の粘着力を低下させることなく剥離可能にする処理離型処理が施された紙,フィルム,不織布によって構成することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンフィルムにシリコーン樹脂塗工したシートや、紙にシリコーン樹脂塗工したポリエチレンフィルムをラミネートしたシートを、本体シート61及びフラップシート62として用いることができる。
【0059】
このように構成された吸収性物品1及び包装シート70は、幅方向W及び長手方向Lに沿った所定の折り位置において、吸収性物品1の表面シート10を内側にして折り畳まれる。吸収性物品1が折り畳まれた状態で、包装シート70の長手方向Lにおける一方の端部が包装シート70に貼着される。包装シート70の端部は、粘着テープ75によって包装シート70の一部と貼着される。
【0060】
次いで、
図5に基づいて、漢方薬材料を含むシート材80について詳細に説明する。
図5は、シート材80を示す図であり、(a)は、平面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図である。(c)は、後述する体液拡散部の変形例を示す図である。シート材80の少なくとも一部は、平面視において圧搾部によって囲まれている。
【0061】
シート材80は、少なくともパルプを含む吸収材料と漢方薬材料とを混合した混合材料81と、シート材の表面シート側の面及びシート材の積層体側の面に配置された外装シート82と、によって構成されている。
【0062】
シート材80の漢方薬材料は、具体的には、生薬である艾葉、当帰、香附子のうち、少なくとも1以上を使用することができる。本実施の形態に係る漢方薬材料は、目付7g/m
2の蓬、目付7g/m
2のトウキ,目付7g/m
2のコウブシによって構成されている。
【0063】
艾葉(ガイヨウ)の効能としては、身体を温め、食欲増進、胆汁分泌促進、止血作用があり、腹痛、胸やけ、下痢、便秘、鼻血、血尿、痔を挙げることができる。
当帰(トウキ)の効能としては、血色不良、冷え性、血行障害に対して補血、強壮、鎮痛薬として婦人病を挙げることができる。
香附子(コウブシ)の効能としては、通経、浄血、鎮痛、鎮静薬として月経不順、生理痛、更年期障害などの婦人病、慢性胃炎、十二指腸潰瘍、神経性胃炎を挙げることができる。
【0064】
シート材は80、着用者の排泄口と当接する排泄口当接領域に配置されていることが望ましい。シート材80の幅方向の長さは、例えば、20〜60mmであり、好ましくは、20〜40mmである。また、シート材の長手方向の長さは、20〜120mmであり、好ましくは、50〜80mmである。
【0065】
また、漢方薬材料と共に混合される吸収パルプは、吸収シート31に用いられる吸収パルプと同様のものを使用することができる。シート材80の密度は、吸収コア32の密度よりも高いことが望ましい。具体的には、本実施の形態の吸収コアの密度は、0.5〜0.10g/cm
3であり、シート材の密度は、0.10〜0.30g/cm
3である。
【0066】
シート材80の密度が吸収コア32の密度よりも高いことにより、シート材における体液の引き込み性を高め、肌に滞留する経血を瞬間的に引き込むことが可能である。また、シート材の密度が比較的高いため、吸収性物品を長時間使用した場合等、湿度が高い環境に晒された場合であっても剛性が低下し難く、シート材80のよれを防止できる。
【0067】
シート材80の密度が比較的高いことにより、体液の拡散性が高くなり、少量の経血であっても、多くの漢方薬材料と接触可能になる。一般的に、シート材の漢方薬成分は、液体に触れることにより効果的に拡散し易い。よって、シート材80の拡散性を高めることにより、少量の経血であってもより多くの漢方薬成分の効果を発揮することが可能になる。
【0068】
また、幅方向におけるシート材と第1圧搾部との間の領域は、シート材80が配置されてなく、かつ圧搾部が形成されていない。よって、幅方向におけるシート材と第1圧搾部の間の領域は、シート材が配置された領域よりも密度が低く、かつ第1圧搾部が形成された領域よりも密度が低い低密度領域となる。
【0069】
一般的に、一度に多量の経血が排出された場合には、経血は、高密度のシート材を通過せずに、表面シート上を移動する。このとき、シート材と第1圧搾部との間に低密度領域が設けられていることにより、表面シート上を移動した経血を低密度領域によって吸収体側に引き込むことができる。よって、横漏れを抑制できる。
【0070】
また、シート材80には、吸収性物品の長手方向に体液を拡散するための体液拡散部83が形成されている。シート材に含まれる漢方薬成分は、体液と接することによって、その成分が放出され易い。シート材に接触した体液を長手方向に拡散させることにより、より広い範囲における漢方薬材料の成分を放出でき、漢方薬成分の効果を高めることができる。
【0071】
体液拡散部83は、外装シートを厚み方向に圧縮した凹み部又は外装シートに形成された孔部によって形成することができる。凹み部又は孔部は、
図5(a)に示すように、長手方向に連続して形成されていてもよいし、
図5(c)で示すように、長手方向に間隔を空けて非連続に形成されていてもよい。例えば、凹み部又は孔部が長手方向に連続する構成によれば、少量の体液であっても製品の長手方向に拡散し易くなり、漢方薬材料の成分が全体に行き渡り易くなる。また、凹み部又は孔部が長手方向に連続しない構成によれば、着用者が、表面シート側から触った際に凹み部又は孔部による硬さを感じ難くなり、装着感を向上させることができる。
【0072】
本実施の形態に係る体液拡散部83は、外装シート82を厚み方向に圧縮した凹み部であって、長手方向に連続して形成されている。このように凹み部を形成することにより、凹み部によって体液を長手方向に拡散することができる。
【0073】
また、シート材80の外装シート82は、テッシュ又は不織布によって構成されている。本実施の形態は、目付14g/m
2のテッシュによって構成されている。外装シート82と混合材料81とは、接着剤等によって接合されていてもよいし、接合されていなくてもよい。
【0074】
なお、吸収性物品等の硬さは、例えば、JIS-1096に規定されているガーレー法を用いて測定することができる。また、吸収体の目付及び密度は、例えば、以下の測定方法によって測定することができる。包装体によって包装された吸収性物品においては包装体を開封し、折り畳まれた吸収性物品を展開して、目付及び密度を測定する部分の厚み及び面積を測定する。次いで、目付及び密度を測定する部分を吸収性物品から切り出し、切り出した部分の重量を測定する。次いで、切り出した部分から表面シート及び裏面シート等、吸収体以外の部分を取り除き、吸収体の重量を測定する。吸収体の重量と、目付及び密度を測定する部分の面積とに基づいて目付を算出する。目付及び厚みに基づいて、密度を算出する。
【0075】
なお、厚みは、以下のような測定方法によって測定することができる。具体的には、サンプルの吸収性物品を、液体窒素に含浸させて凍結させた後、剃刀でカットし、常温に戻した後、電子顕微鏡(例えば、キーエンス社VE7800)を用いて、50倍の倍率で測定する。ここで、サンプルの吸収性物品を凍結させる理由は、カット時の圧縮により厚みが変動するのを防ぐためである。
【0076】
次に、このように構成された吸収性物品1の製造方法の一部について説明する。なお、説明しない方法については、既存の方法を用いることができる。吸収性物品の製造方法は、第1ステップとして、表面シート生成工程を行う。具体的には、表面シートとサイドシート41とを、例えば熱溶着によって接着する。
【0077】
次いで、第2ステップとしてシート材成形工程を行う。具体的には、漢方薬材料と吸収材料を混合して混合材料を生成し、当該混合材料を外装シート同士の間に配置する。
【0078】
第3ステップとして、吸収体成型工程を行う。具体的には、成型ドラムによって吸収体の材料となるパルプを成型して吸収体30を成型する。なお、第1ステップから第3ステップの製造工程は、異なる順序であってもよい。
【0079】
第4ステップにおいて、接合工程を行う。具体的には、第1ステップにおいて接合した表面シート及びサイドシートと、第2ステップにおいて成型したシート材と、第3ステップにおいて成型した吸収体と、を接合する接合工程を行う。
【0080】
第5ステップにおいて、圧搾工程を行う。具体的には、吸収体30と表面シート10とを厚み方向に圧縮し、圧搾部を形成する。
【0081】
第6ステップにおいて、裏面シート接合工程を行う。具体的には、圧搾部を形成した吸収体及び表面シート等と、裏面シートとを接合する。裏面シートを接合した後、接着剤を塗布する工程を備える。上記の工程により、本実施の形態に係る吸収性物品を製造することができる。
【0082】
次いで、
図6及び
図7に基づいて、吸収性物品の包装体100の折り畳み方法を説明する。
図6は、吸収性物品の包装体100の折り畳み工程を模式的に示した図である。
図7は、吸収性物品の包装体の折り畳み態様を模式的に示す斜視図である。吸収性物品の包装体100の折り畳み工程は、吸収性物品載置工程と、第1折り工程と、第2折り工程と、切断工程と、第3折り工程と、第4折り工程と、テープ貼付工程と、を有する。
【0083】
吸収性物品載置工程S101では、包装シート70上に、吸収性物品1、本体シート61及びフラップシート62が配置される。なお、1個の吸収性物品1を個別に包装する寸法の包装シート70上に吸収性物品1を配置してもよいし、例えば、搬送方向に沿って連続する包装シート上に、所定間隔を空けて複数の吸収性物品を配置するように構成してもよい。
【0084】
第1折り工程S102では、包装シート70と吸収性物品1とが、幅方向における吸収性物品1の一方の端部側を含む端部領域側から、長手方向Lに沿った第1長手折り目FL1(
図1参照)を基点に内側に折り返される。
図7(a)は、第1折り工程によって折り畳まれた状態の吸収性物品の包装体を示している。
【0085】
第2折り工程S103では、包装シート70と吸収性物品1とが、幅方向Wにおける吸収性物品1の他方の端部側を含む端部領域側から、長手方向Lに沿った第2長手折り目FL2(
図1参照)を基点に内側に折り返される。
図7(b)は、第2折り工程によって折り畳まれた状態の吸収性物品の包装体を示している。
【0086】
次いで、切断工程S104では、第2長手折り目FL2を基点に折り返された吸収性物品1及び包装シート70の連続体が、幅方向に沿った切断線に沿って切断される。包装シート70及び吸収性物品1は、切断されることによって、個々の製品長となる。
【0087】
第3折り工程S105では、包装シート70と吸収性物品1とが、幅方向Wに沿った第1幅折り目FW1を基点に折り返される。第3折り工程S105は、搬送される吸収性物品1及び包装シート70が、折り畳みプレートPによって上方から押圧されることによって折り畳まれる。
【0088】
第4折り工程S106では、包装シート70と吸収性物品1とが、幅方向Wに沿った第2幅折り目FW2を基点に折り返される。
【0089】
テープ貼付工程S107では、粘着テープ75によって包装シートの長手方向の前端部が、包装シートの表面に貼付される。
図7(c)は、粘着テープ75が貼付された状態の吸収性物品の包装体を示している。粘着テープ75は、一端が包装シートの長手方向の前端部に接合され、他端が第2幅折り目FW2を基点として折り返された状態で包装シートの表面に剥離可能に貼付される。
【0090】
このような折り畳み方法によれば、吸収性物品1を包装シート70によってコンパクトに包装することができる。具体的には、吸収性物品及び包装シートの平面面積を広げた場合と比べて約1/9にすることができるため、吸収性物品をコンパクトにすることができる。吸収性物品1を小型化することにより、小物入れ、ポシェット等のバッグに収納する場合、バッグの収納スペースを大きく占有する事がなく、簡便な携帯を可能とする。また、吸収性物品1をコンパクトに包装することにより、使用時にトイレ等に携帯する際に、折り返さない状態でも手の中に配置し、他人から見えないように保持する事が可能となる。
【0091】
上述したように、本発明の実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0092】
本開示係る吸収性物品は、生理用ナプキン以外に、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等であってもよい。本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0093】
また、本実施の形態に係るシート材の非肌当接側の面は、パルプ繊維と接着せずに、パルプ繊維と当接しているが、パルプ繊維に接着していてもよい。パルプ繊維とシート材とを接着することにより、パルプ繊維の変形がシート材に伝播し易くなる。