(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前胴回り域内の前記製品長手方向の端部から、前記使い捨ておむつにおける前記製品長手方向の中心に向かうにつれて、配置されているシートの枚数が、順次、多くなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本発明の第1の実施形態)
図1乃至
図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る使い捨ておむつ10について説明する。
【0014】
なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0015】
したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。
【0016】
図1は、本実施形態に係る使い捨ておむつ10の展開平面図である。
図2は、
図1に示したF-F線に沿った使い捨ておむつ10の断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、前胴回り域20と、股下域25と、後胴回り域30とを有する。また、使い捨ておむつ10には、一対の脚回り開口部35が形成されている。
【0018】
ここで、前胴回り域20は、着用者の前胴回り部と接する部分であり、後胴回り域30は、着用者の後胴回り部と接する部分であり、股下域25は、前胴回り域20と後胴回り域30との間に位置する部分である。
【0019】
なお、本実施形態では、前胴回り域20から後胴回り域30に向かう方向を製品長手方向Lと呼び、製品長手方向Lと直交する方向を製品幅方向Wと呼ぶこととする。
【0020】
本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、股下域25を跨ぎ前胴回り域20及び後胴回り域30に延びる吸収体40を備える。
図2に示すように、吸収体40は、吸収体コア40aとコアラップ40bとによって構成されている。
【0021】
吸収体コア40aは、従来の使い捨ておむつで用いられているものと同様であり、粉砕パルプや高吸収ポリマー等、公知の部材や材料を用いて、吸収体コア40aを適宜構成することができる。吸収体コア40aは、シート状のコアラップ40bによって包まれている。
【0022】
コアラップ40bは、吸収体コア40aを被覆するシートである。コアラップ40bの少なくとも肌当接面側の一部は、液透過性を有する各種の繊維不織布若しくはティッシュシートによって構成されている。
【0023】
例えば、コアラップ40bを構成する部材としては、質量約10〜30g/m
2のエアスルー繊維不織布や、スパンボンド不織布や、SMS(スパンボンド-メルトブロン-スパンボンド)不織布や、質量約10〜30g/m
2のティッシュシートを用いることができる。
【0024】
また、
図2に示すように、吸収体40の表面側(肌当接面側)には、液透過性のトップシート50が備えられており、吸収体40の裏面側(非肌当接面側)には、液不透過性のバックシート60aが備えられている。 さらに、
図2に示すように、バックシート60aの裏面側(非肌当接面側)に、外装シート60(不織布シート)が備えられていてもよい。
【0025】
吸収体40の製品幅方向Wにおける側縁部には、サイドフラップ70がそれぞれ備えられている。サイドフラップ70は、1枚又は2枚以上の複数枚重ねた不織布によって構成されている。
【0026】
また、
図1に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、後胴回り域30において、一対のファスニングテープ90を備えており、前胴回り域20の非肌当接面側の所定領域において、ターゲットテープ90aを備えている。
【0027】
ここで、ファスニングテープ90が、ターゲットテープ90aに取り付けられることによって、使い捨ておむつ10を着用者の身体に保持することができる。
【0028】
また、
図1に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10は、股下域25内において吸収体40が配置されている吸収体配置領域内に形成され伸縮可能なクロッチ伸縮部200aを備えていてもよい。
【0029】
具体的には、
図2に示すように、クロッチ伸縮部200aは、吸収体40(コアラップ40b)とバックシート60aとの間に備えられていてもよい。
【0030】
ここで、クロッチ伸縮部200aは、製品長手方向Lに伸縮可能であってもよいし、製品幅方向Wに伸縮可能であってもよいし、製品長手方向L及び製品幅方向Wの両方に伸縮可能であってもよい。
【0031】
クロッチ伸縮部200aは、吸収体40の他の部分よりも、使い捨ておむつ10の着用時において、股下域25の一部に平坦な形状を維持できるように構成されている。
【0032】
クロッチ伸縮部200aは、後述するレッグ伸縮部75とは個別独立して設けられており、吸収性コア40aと重なる位置(本実施形態では、コアラップ40b
とバックシート60aとの間の位置)において、吸収性コア40aの製品幅方向Wの長さの60%以上を収縮させるように構成されている。
【0033】
このように、クロッチ伸縮部200aによって、吸収性コア40aが配置された部分を収縮させることにより、吸収性コア40aが縮む。その結果、吸収性コア40aが縮まない部分は、吸収性コア40aが縮まない部分と比較して平坦な形状を維持し易くなる。
【0034】
一方、クロッチ伸縮部200aよりも製品長手方向Lの外側に位置する前胴回り域20や後胴回り域30に位置する吸収性コア40aは、クロッチ伸縮部200aによって収縮していない。
【0035】
したがって、ファスニングテープ90により、使い捨ておむつ10が着用者の腰や胴回りに保持された状態において、使い捨ておむつ10の股下域25において平坦な形状で維持されるクロッチ伸縮部200aが、過度に着用者の身体に密着することなく、適度に着用者の身体に沿って配置される。
【0036】
また、クロッチ伸縮部200aが、製品長手方向Lに沿って伸縮可能である場合、前胴回り域20及び後胴回り域30が、クロッチ伸縮部200aの収縮によって立ち上がり易くなり、着用時には、着用者の股部にて身体に沿って平坦な股下域を形成することができる。
【0037】
その結果、クロッチ伸縮部200aから前胴回り域20及び後胴回り域30が立ち上がるので、使い捨ておむつ10の着用者へのフィット性が向上する。
【0038】
すなわち、クロッチ伸縮
部200aの収縮によって、使い捨ておむつ10の股下域25が、着用者の股下部に配置されるように、安定して使い捨ておむつ100を装着することができる。
【0039】
さらに、クロッチ伸縮部200aは、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心O1を跨いで前胴回り域20側及び後胴回り域30側に延びるように構成されていてもよい。
【0040】
また、製品長手方向Lにおけるクロッチ伸縮部200aの中心O2は、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心O1よりも、前胴回り域20側に配置されている。
【0041】
一方、着用者の動きがあった場合(特に、足を上げたり、立ったり、座ったりした際)には、着用者の身体の表面の皮膚の伸縮量(長さの変化量)は、腹側によりも背側(臀部)の方が大きくなる。
【0042】
そのため、製品長手方向Lにおけるクロッチ伸縮部200aの中心O2は、製品長手方向Lにおける使い捨ておむつ10の中心O1よりも、前胴回り域20側に配置することによって、後胴回り域30の製品長手方向Lの長さを前胴回り域20の製品長手方向Lの長さよりも長くすることで、着用者の動きがあった場合であっても、着用者の皮膚の動きに影響を受けて、使い捨ておむつ10の前胴回り域20及び後胴回り域30が、製品長手方向Lに沿う向きに動いてしまうという事態を抑制することが可能となり、着用者のおへそ部分と使い捨ておむつ10の前胴回り域20とが干渉してしまう頻度及び度合いを抑制できる。
【0043】
つまり、上述の構成によれば、着用者の動きがあった場合にも、おへそ部分の周辺を保護することができる。
【0044】
本実施形態では、クロッチ伸縮部200aは、伸縮性シート部材によって構成されていてもよい。
【0045】
例えば、かかる伸縮性シート部材としては、ウレタンやスチレンのような熱可塑性エラストマ樹脂を溶融しフィルム状とした伸縮性フィルムや、伸縮繊維からなる伸縮性不織布や、伸縮性フィルムや伸縮性不織布に部分的に切断され又は脆弱化された非伸張性シートを張り合わせた複合シート等を用いることができる。
【0046】
また、かかる伸縮性シート部材の代わりに、ポリウレタン弾性繊維や天然ゴムからなる糸状・帯状の伸縮可能な弾性部材を、互いに並列に並べることによってクロッチ伸縮部200aを構成してもよい。
【0047】
かかる場合、吸収体コア40aの剛性及び使い捨ておむつ10を構成する他の部材の剛性を考慮して、用いる弾性部材の太さや配置するピッチを適宜選択できるが、使い捨ておむつ10本体を自然状態(非伸張状態)とした際に吸収体コア40aの製品幅方向Wにおける側縁部全域が収縮した状態となるようにすることが好ましい。
【0048】
具体的には、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、1.2倍以上1.8倍以下であることが好ましい。例えば、本実施形態では、クロッチ伸縮部200aの伸縮率は、1.4倍に設定されていてもよい。
【0049】
伸縮率は、伸縮方向(本実施形態では、製品長手方向L)におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮の程度を意味し、以下のように規定される。
【0050】
伸縮率=(最大伸張状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ)/(自然状態におけるクロッチ伸縮部200aの伸縮方向における長さ)
【0051】
なお、本明細書において、かかる伸縮率は、例えば、次のように測定されるものとする。
【0052】
第1に、使い捨ておむつ10がパッケージ等に封入されている場合には、パッケージから使い捨ておむつ10を取り出し、その状態にて20℃±2℃、相対湿度60%±5%RHの雰囲気下において60分間放置する。
【0053】
第2に、かかる状態(すなわち、自然状態)における所望領域の伸縮方向における長さ、及び、自然状態から弾性部材による皺が目視にて確認できない状態まで延伸した時(すなわち、最大伸張状態)の所望領域の伸縮方向における長さを測定する。
【0054】
このように、クロッチ伸縮部200aの伸縮率を、1.2倍以上1.8倍以下とすることによって、着用者の皮膚の伸縮に好適に追従することができる。
【0055】
例えば、着用者が、身体前側が縮むような前屈みの姿勢をとると、着用者の臀部側の皮膚が、身体を伸ばした状態に対して30%程度伸びる。
【0056】
つまり、クロッチ伸縮部200aの伸縮率を1.2倍以下とすると、自然状態におけるクロッチ伸縮部200aの収縮が十分でなく、クロッチ伸縮部200aが設けられていない場合と比較して、使い捨ておむつ10の曲げ易さの差が小さく、所望の位置において前胴回り域20が立ち上がらなくなってしまう。
【0057】
一方、クロッチ伸縮部200aの伸縮率を1.8倍よりも大きくすると、クロッチ伸縮部200aの収縮方向における収縮寸法が大きくなり過ぎるため、クロッチ伸縮部200aが存在する領域が、身体に沿うよりも密着する状態となり易く、使い捨ておむつ10が、着用者の下方にズレ易くなってしまう。
【0058】
また、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量は、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%となるように構成されていてもよい。
【0059】
なお、収縮量は、皺が十分に小さくなり、サンプルの表面が平滑に近くなるように伸長した状態での長さ「b(mm)」と、サンプルの伸縮方向に沿う向きにおける自然状態での長さ「a(mm)」との差であり、(b-a)によって算出されることができる。
【0060】
本発明者は、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量を、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さの2〜8%とすると、使い捨ておむつ10を着用者に対して装着する過程において、クロッチ伸縮部200aが、好ましく着用者の身体に沿い易くなることを確認することができた。
【0061】
ここで、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量を、8%より大きくすると、クロッチ伸縮部200aが、縮み過ぎてしまい、使い捨ておむつ10の製品長手方向Lにおける長さが足りず、使い捨ておむつ10を着用者の身体に付け難くなったり、使い捨ておむつ10及び着用者の身体が、股下域25において、過度に密着してズレ易くなったりしてしまう。
【0062】
一方、クロッチ伸縮部200aの製品長手方向Lにおける収縮量を、2%以下とすると、使い捨ておむつ10を着用者の身体に近付けるというクロッチ伸縮部200aの効果そのものが発現し難くなってしまう。
【0063】
また、
図1に示すように、吸収体40の表面側(トップシート50側)には、脚回り開口部35に沿って形成され、少なくとも製品長手方向Lに伸縮可能な一対のレッグ伸縮部(レッグギャザー)75が備えられている。
【0064】
レッグ伸縮部75は、製品長手方向Lにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも長いと共に、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aよりも外側に備えられている。
【0065】
例えば、
図1に示すように、レッグ伸縮部75は、所定本数の弾性部材(
図1の例では、3本の弾性部材)によって構成されていてもよい。
【0066】
また、レッグ伸縮部75は、クロッチ伸縮部200aと同様に、伸縮性シート部材で形成されていてもよい。
【0067】
具体的には、かかる伸縮性シート部材の幅(使い捨ておむつ10の自然状態における製品幅方向Wにおける幅)は、少なくとも股下域25において、5mm以上45mm以下であることが好ましく、12.5mm以上35mm以下であることがより好ましい。
【0068】
ここで、かかる伸縮性シート部材の幅が5mm未満では、実質的に面で着用者の脚回りに沿うという効果が発現せず、かかる伸縮性シート部材の幅が45mmを超えると、脚回りに沿う領域が広くなり、かかる伸縮性シート部材が着用者の身体側に巻き込んだり、めくれたりし易くなってしまう。
【0069】
レッグ伸縮部75の伸縮率は、1.5〜2.4倍であることが好ましい。例えば、本実施形態では、レッグ伸縮部75の伸縮率は、1.9倍に設定されていてもよい。かかるレッグ伸縮部75の伸縮率は、上述のクロッチ伸縮部200aの伸縮率と同様に規定されるものとする。
【0070】
また、
図1に示すように、一対のレッグ伸縮部75の内側(製品幅方向Wにおける中央寄り)には、製品長手方向Lに沿って延びる一対のレッグサイドギャザー80が備えられていてもよい。
【0071】
図1に示すように、レッグサイドギャザー80は、接合部分81と、かかる接合部分81と反対側に位置し、弾性部材83が配置された自由端部分82とを有する。
【0072】
ここで、接合部分81は、トップシート50やバックシート60aや外装シート60に接合されていてもよい。
【0073】
また、自由端部分82の製品長手方向Lにおける前胴回り域20側の端部及び後胴回り域30側の端部は、トップシート50に接合される。接合部分81は、製品幅方向Wにおいて、クロッチ伸縮部200aとレッグ伸縮部75との間に配置されている。
【0074】
レッグサイドギャザー80は、着用時には、接合部分81を基端部として立ち上がり、自由端部分82が頂点部として着用者の肌と接触する。
【0075】
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10には、
図1に示すように、前胴回り域20内で、製品幅方向Wの中心付近で且つ製品長手方向Lの端部E1を含み、少なくとも2枚以上の不織布シートが配置されている領域に、切り欠き部500が形成されている。
【0076】
例えば、
図2に示すように、かかる切り欠き部500は、少なくとも2枚以上の不織布シートとして、トップシート50及び外装シート60が配置されている領域に形成されている。
【0077】
ここで、通気性及び柔軟性の観点から、かかる切り欠き部500は、2枚の不織布シート、すなわち、トップシート50及び外装シート60のみが配置されている領域に形成されていることが好ましい。
【0078】
かかる構成によれば、切り欠き部500が形成されている領域には、フィルムシートが配置されていないため、かかる領域における硬さを低減することができる。
【0079】
なお、バックシート60aが、不織布シートである場合には、かかる切り欠き部500は、トップシート50及び外装シート60が配置されている領域から、トップシート50、バックシート60a及び外装シート60が配置されている領域に渡って形成されていてもよい。
【0080】
ただし、バックシート60aが、不織布シートではなく、フィルムシート等である場合には、かかる切り欠き部500は、バックシート60aが配置されている領域に形成されていてはいけない。
【0081】
また、切り欠き部500は、使い捨ておむつ10の製品幅方向Wの中心に向かう凸形状を有しており、使い捨ておむつ10を平面視した場合に、切り欠き部500の切り欠きラインは、蛇行する形状となっていてもよい。
【0082】
換言すると、使い捨ておむつ10を平面視した場合に、切り欠き部500の切り欠きラインは、2段に重ねた凸形状からなる曲線となっており、2段目の凸形状の頂点は、製品幅方向Wの中央に配置されていてもよい。
【0083】
ここで、切り欠き部500の切り欠きラインが、1段の凸形状からなる曲線となっていると、使い捨ておむつ10の前胴回り域20が深く切り抜かれている印象を与えてしまう。
【0084】
例えば、製品幅方向Wの中央における製品長手方向Lの長さが20mmの切り欠き部500を形成する場合、1段の凸形状からなる曲線によって、かかる切り欠き部500を形成すると、漏れに対する不安が生じる印象を与えてしまうが、2段に重ねた凸形状からなる曲線によって、かかる切り欠き部500を形成すると、漏れに対する不安が生じる印象を与えることなく、使い捨ておむつ10と乳児のへそ部分とがすれるという事態を回避することができる。
【0085】
また、2段に重ねた凸形状からなる曲線によって、切り欠き部500を形成すると、使い捨ておむつ10が、着用者の腹部から離れた際には、製品幅方向Wにおいて、製品長手方向Lの長さの変化点が複数設けられた切り欠きラインを形成することによって、着用者の腹部と使い捨ておむつ10と間の隙間を小さくすることができ、隙間を目立たせなくすることができる。
【0086】
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、前胴回り域20内の製品長手方向Lの端部E1から、使い捨ておむつ10における製品長手方向Lの中心Oに向かうにつれて、配置されているシートの枚数が、順次、多くなるように構成されていてもよい。
【0087】
例えば、
図2に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、第1に、前胴回り域20内の製品長手方向Lの端部E1の周辺領域において、トップシート50及び外装シート60が配置されている。
【0088】
第2に、前胴回り域20内の製品長手方向Lの端部E1の周辺領域に隣接する領域では、トップシート50、バックシート60a及び外装シート60が配置されている。
【0089】
第3に、前胴回り域20内の製品長手方向Lの中心Oを含む領域では、トップシート50、コアラップ40b、バックシート60a及び外装シート60が配置されている。
【0090】
上述のように、切り欠き部500を設けると、切り欠き部500が変曲起点となり、使い捨ておむつ10と着用者の身体(腹部や腰部周り)との間に隙間が生じると、切り欠き部500から製品長手方向Lに伸びる皺が発生しやすくなる。
【0091】
また、新生児や低月齢の乳児特有の体型的特徴として、腹部周りが外側に張り出しており、へそ部分から股下部に向かう傾斜の変化がより大きい。
【0092】
そこで、このような体型的特徴にある身体に、より使い捨ておむつ10の前胴回り域20側の端部が沿うように、ターゲットテープ90aから、随時、前胴回り域20内の製品長手方向Lの端部E1側に向けて、使い捨ておむつ10本体の厚みが薄くなっていくようにすることで、へそ部分用の切り欠き部500の周辺が、着用者(新生児等)の身体に沿い易く、使い捨ておむつ10と着用者の身体との間に隙間が生じ難くなる。
【0093】
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、前胴回り域20内の製品長手方向Lの端部E1において、トップシート50及び外装シート60内の繊維が圧縮され、嵩が低減するように構成されており、トップシート50及び外装シート60内の繊維が溶解せずに交絡する状態によって接合されていてもよい。
【0094】
ここで、前胴回り域20内の製品長手方向Lの端部E1は、フィルムシートが配置されておらず不織布シート(繊維層)のみで構成されているため、かかる端部E1を構成する繊維の融点よりも低い温度のカッターにて切断することにより、トップシート50及び外装シート60内の繊維が溶解せずに交絡する状態によって接合することができる。
【0095】
例えば、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、前胴回り域20内の製品長手方向Lの端部E1の形状は、
図3(a)に示すような形状であってもよいし、
図3(b)に示すような形状であってもよい。
【0096】
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、
図4に示すように、トップシート50に、凸部50a及び凹部50bが設けられていてもよい。例えば、
図4に示すように、凸部50a及び凹部50bは、製品長手方向Lに連続して延びるように構成されていてもよい。
【0097】
かかる構成によれば、着用者のへそ部分及びへそ部分の周りにおける肌と接する部位である切り欠き部500の肌面当接側の接触面積そのものを減らすことができ、且つ、製品長手方向Lに伸びる凹凸とすることで、着用者の身体に沿う方向の通気性を高めることができ、着用者のへそ部分の周りにおける肌が、使い捨ておむつ10によって蒸れてしまうという事態を抑制することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、
図4に示すように、トップシート50に、開孔50cが設けられていてもよい。ここで、
図4に示すように、開孔50cは、凹部50bに設けられていてもよい。
【0099】
かかる構成によれば、着用者のへそ部分及びへそ部分の周りにおける肌が、使い捨ておむつ10によって蒸れてしまうという事態を抑制することができる。また、開孔50cを凹部50bに設けることで、着用者の身体と直接接することなく、着用者の肌表面の湿気を使い捨ておむつ10の外部に放出することができるようになる。
【0100】
さらに、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、不織布シート同士、例えば、トップシート50及び外装シート60は、
図5に示すように、線状に塗布された接着剤50dによって接合されていてもよい。
【0101】
そして、
図5に示すように、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、塗布されている接着剤50d同士の製品幅方向Wにおける間隔W2は、開孔50cの製品幅方向Wにおける間隔W1よりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0102】
かかる構成によれば、全ての開孔50cが、接着剤50dで覆われることがないので、開孔50cが設けられたトップシート50における通気性を、着用者の臍部の周りで実現することができる。
【0103】
例えば、トップシート50に対して、面状に接着剤50dが塗布されていてもよい。ここで、「面状」とは、一定の幅にて、トップシート50に対して接着剤50dが塗布されている状態を指す。ただし、接着剤50dの面状の塗布領域の一部に非塗布部分が存在してもよい。
【0104】
このような面状の接着剤50dの塗布は、コーターー塗工で、トップシート50と接触させて、接着剤50dを塗布する形で行われる。
【0105】
その結果、トップシート50に開孔50cが設けられており、かかる開孔50cの上に接着剤50dが塗布されたとしても、接着剤50dが開孔50cを埋めることはない。
【0106】
このように、トップシート50に設けられた開孔50cを接着剤50dにて埋めることなく構成できるため、開孔50cが設けられたトップシート50における高い通気性を、着用者のへそ部分の周りにて実現することができる。
【0107】
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10では、外装シート60においてエンボス加工が施されるように構成されていてもよい。
【0108】
ここで、外装シート60におけるエンボス率は、5%〜15%となるように構成されていてもよい。
【0109】
かかる構成によれば、エンボス加工が施されていない部位は、通気性が高くなり易く、固くなり難い。エンボスのピッチ間を広くした方が、シートを構成する繊維の自由度を高くすることができ、繊維の絡みを起こり易くすることができる。
【0110】
本実施形態に係る使い捨ておむつ10によれば、乳児のへそ部分に当たる位置において、バックシート60aを配置させず、トップシート50及び外装シート60内の繊維を圧縮され、嵩が低減するように構成し、トップシート50及び外装シート60内の繊維が溶解せずに交絡する状態によって接合することによって、できる限り、乳児のへそ部分に、違和感や痛みを与えないようにすることができる。
【0111】
また、本実施形態に係る使い捨ておむつ10によれば、トップシート50に、凸部50a、凹部50b及び開孔50cを設けることによって、乳児のへそ部分の周辺の肌に対して与える違和感や痛みを最小現にしつつ、乳児のへそ部分の周辺の十分な通気性を確保でき、乳児のへそ部分の乾燥を促すことができる。
【0112】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。