【実施例】
【0040】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の測定結果は以下に示す方法により試料調製及び測定を行ったものである。
【0041】
1)芳香族ビスハロメチル化合物、及びビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物のGPC純度
分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃で行った。UV検出器(波長:254nm)で検出された各ピークの面積比により算出した。分子量は単分散ポリスチレンによる検量線を用い、ポリスチレン換算分子量として測定を行った。
【0042】
2)芳香族ビスハロメチル化合物、及びビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物の構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、
13C−NMR及び
1H−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−d
1を使用した。NMR測定溶媒であるテトラクロロエタン−d
2の共鳴線を内部標準として使用した。
【0043】
3)粘度
ビス(メタ)アクリロイル末端ベンジルエーテル化合物を含む硬化性樹脂組成物の粘度は、E型粘度計を使用して、25℃の温度で測定を行った。
【0044】
4)誘電率及び誘電正接
硬化性樹脂組成物ワニスを0.2mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm
2、UV照射量:6,000mJ/cm
2でUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について諸特性を測定した。また、この厚み0.2mmの平板硬化物を0.3cm×10cmに切り出して試験片を作成し、JIS C2565規格に準拠し、株式会社エーイーティー製、空洞共振器法誘電率測定装置により、絶乾後23℃、湿度50%の室内に24時間保管した後の、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。
【0045】
5)線膨張係数(CTE)及びガラス転移温度(Tg)測定用試験片の調製及び測定
硬化性樹脂組成物をシリコンゴム製の200μm厚のスペーサーを介した2枚のガラス基板からなる型の間に流し込むことによって、注型サンプルを作成し、減圧下、気泡を取り除いた。その後、熱硬化型サンプルについては、窒素気流下のイナートオーブンに注型サンプルをセットし、段階的に15分かけて昇温操作を行った後、200℃で60分間熱硬化させた。一方、UV硬化型サンプルについては、高圧水銀ランプを光源とするコンベア式UV照射装置を使用して、UV照射量:6,000mJ/cm
2でUV硬化を行った。熱硬化サンプル及びUV硬化サンプルのいずれについても、空気気流下、イナートオーブンを使用して、200℃で30分間、ポストキュアを行った。得られた200μm厚の平板から3mm幅の平板サンプルを作成し、CTE測定(TMA法)及びTg測定(DMA法)用の試験片として使用した。
CTE測定(TMA法)は、上記の方法で作成した試験片をTMA(熱機械分析装置)測定装置の分析用プローブにセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャンさせることにより測定を行い、0〜40℃の温度範囲に於ける平均線膨張係数を求めた。
一方、上記の方法で作成した硬化試験片のTgの測定は動的粘弾性測定装置を使用し、昇温速度2℃/minで測定を行い、損失弾性率のピークより決定した。
【0046】
6)難燃性の測定
線膨張係数(CTE)及びガラス転移温度(Tg)測定用試験片を作成する際に、作成した平板からサンプリングをおこなった硬化サンプルを用いて、TGA(熱天秤)測定装置を使用して、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から600℃までスキャンさせることにより測定を行い、550℃に於けるチャー(炭化物)生成量により下記の通り、難燃性を求めた。
難燃性A:チャー生成量>40wt%
難燃性B:25wt%<チャー生成量≦40wt%
難燃性C:18wt%<チャー生成量≦25wt%
難燃性D:10wt%<チャー生成量≦18wt%
難燃性E:チャー生成量≦10wt%
【0047】
7)YI、Haze及び全光線透過率の測定
YI、Haze及び全光線透過率の測定は、調製した硬化性樹脂組成物ワニスを1.0mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm
2、UV照射量:6,000mJ/cm
2でUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について、濁度計及び色差計を使用して測定した。
【0048】
8)屈折率及びアッベ数の測定
屈折率及びアッベ数の測定は、調製した硬化性樹脂組成物ワニスを1.0mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm
2、UV照射量:6,000mJ/cm
2でUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、硬化物平板を得た。得られた硬化物平板の端面をプリズム加工し、真空乾燥器で、60℃で5時間乾燥させた後、20℃、60%RHの恒温恒湿器の槽内に2日間以上置き、状態調節を行った。カルニュー屈折率計KPR-2000(島津デバイス製造社製)を用いて、25℃にて、屈折率を測定し、得られた屈折率データよりアッベ数を算出した。
【0049】
9)成形性
銅箔光沢面に黒化処理を行った銅張り積層板(銅箔層/コア層=35μm/300μm)の黒化処理を行った銅箔面の上に、硬化性樹脂組成物の未硬化フィルムを積層し、真空ラミネーターを用いて、温度:110℃、プレス圧:0.1MPaで真空ラミネートを行い、黒化処理銅箔とフィルムの接着状態により評価を行った。評価は黒化処理銅箔とフィルムの接着状態が良好であったものを「○」、黒化処理銅箔とフィルムとが容易に剥離することができる接着状態のものを「×」として評価した。
【0050】
実施例1
反応容器に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン140.16g(0.40モル)、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル141.40g(0.88モル)、及び、アセトン1200mlを加え攪拌しながら78℃に昇温した。次いで、78℃に保った反応容器にKOH−MeOH(KOH:0.88モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに78℃で4h攪拌を継続した。4h後、室温まで冷却し、トルエン900mlを加え、さらに10%HClを加えて中和した。その後、水相を分液することにより分離し、さらに水300mlで3回分液洗浄した。
【0051】
得られた有機相を蒸留することにより濃縮し、メタノールを加えて生成物を再沈殿した。沈殿を濾過・乾燥し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンと4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルとの反応生成物である芳香族ビスクロロメチル化合物A(2CM−DMBP−BPFZ)169.33gを得た。得られた2CM−DMBP−BPFZは白色紛体であった。
【0052】
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、
1H核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)で行った。その結果、1)GPC測定の結果より、回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、2)IR測定結果より、フェノール性水酸基に由来するピークが減少していること、3)
1H−NMR測定結果に於いて、4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルのクロロメチル基に由来するプロトンの共鳴線が減少し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線が生成していることが確認され、芳香族ビスクロロメチル化合物A(2CM−DMBP−BPFZ)が得られていることを確認した。
【0053】
図1に2CM−DMBP−BPFZ及び原料である9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのGPCチャートのGPCチャートを示す。2CM−DMBP−BPFZは実線で示し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンは点線で示す。
図1の2CM−DMBP−BPFZのGPC溶出曲線から原料である9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのピークは消失し、高分子量側にシフトしているのがわかる。
【0054】
そして、2CM−DMBP−BPFZのn=1以上の成分のGPC純度(面積比)は、下記の通りであった。
n=1成分:7.8%
n=2成分:27.2%
n=3成分:30.6%
n=4成分:18.2%
n=5以上の成分:15.1%
その他の成分(低分子量成分):1.2%
【0055】
また、2CM−DMBP−BPFZのTGA測定を行ったところ、TGA測定結果に於ける示差熱分析(DTA)曲線には、220℃と271℃に発熱ピークが観察された。そして、220℃の発熱ピークでは0.75wt%、271℃の発熱ピークでは、4.88wt%の重量減少が観察された。また、600℃に於ける、炭化物生成量は、62.2wt%であった。
【0056】
実施例2
反応容器に9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン140.16g(0.40モル)、α,α’−ジクロロ−p−キシレン157.20g(0.88モル)、及び、MEK1200mlを加え攪拌しながら78℃に昇温した。次いで、78℃に保った反応容器にKOH−MeOH(KOH:0.88モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに78℃で4h攪拌を継続した。4h後、室温まで冷却し、トルエン900mlを加え、さらに10%HClを加えて中和した。その後、水相を分液することにより分離し、さらに水300mlで3回分液洗浄した。
【0057】
得られた有機相を蒸留することにより濃縮し、メタノールを加えて生成物を再沈殿した。沈殿を濾過・乾燥し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとα,α’−ジクロロ−p−キシレンとの反応生成物である芳香族ビスクロロメチル化合物B(2CM−Xy−BPFZ)123.57gを得た。
【0058】
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、1H核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)で行った。その結果、1)GPC測定の結果より、回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、2)IR測定結果より、フェノール性水酸基に由来するピークが減少していること、3)
1H−NMRで、α,α’−ジクロロ−p−キシレンのクロロメチル基に由来するプロトンの共鳴線が減少し、代わりに、5.02ppm付近にベンジルエーテル基に由来するプロトンの共鳴線が生成していることが確認され、芳香族ビスクロロメチル化合物B(2CM−Xy−BPFZ)が得られていることを確認した。
【0059】
図2に2CM−Xy−BPFZ及び原料である9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのGPCチャートのGPCチャートを示す。2CM−Xy−BPFZは実線で示し、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンは点線で示す。
図2のGPC溶出曲線から、原料である9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンのピークは消失し、高分子量側にシフトしているのが確認された。そして、2CM−Xy−BPFZのn=1以上の成分のGPC純度は、下記の通りであった。
n=1成分:36.3%
n=2成分:28.5%
n=3成分:19.6%
n=4成分:10.6%
n=5以上の成分:4.1%
その他の成分(低分子量成分):0.9%
【0060】
2CM−Xy−BPFZのTGA測定を行ったところ、TGA測定結果に於ける、示差熱分析(DTA)曲線には、219℃と268℃に発熱ピークが観察された。そして、219℃の発熱ピークでは0.81wt%、271℃の発熱ピークでは、5.21wt%の重量減少が観察された。また、600℃に於ける、炭化物生成量は、57.8wt%であった。
【0061】
実施例3
反応容器に、炭酸カリウム15.28g(0.11モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、メタクリル酸19.13g(0.22モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、実施例1で得た2CM−DMBP−BPFZ58.27gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−DMBP−BPFZとメタクリル酸との反応生成物である2MA−DMBP−BPFZ52.64gを得た。
【0062】
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、
1H核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)で行った。その結果、1)GPC測定の結果より、回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、2)IR測定結果より、カルボニル基が生成していること、
1H−NMRで、メタクリル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、2MA−DMBP−BPFZが得られていることを確認した。
【0063】
実施例4
反応容器に、炭酸カリウム14.59g(0.105モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、メタクリル酸18.26g(0.21モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、実施例2で得た2CM−Xy−BPFZ 62.76gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−Xy−BPFZとメタクリル酸との反応生成物である2MA−Xy−BPFZ69.53gを得た。
【0064】
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、
1H核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)で行った。その結果、1)GPC測定の結果より、回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、2)IR測定結果より、カルボニル基が生成していること、
1H−NMRで、メタクリル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、2MA−Xy−BPFZが得られていることを確認した。
【0065】
合成例1
500ml四つ口フラスコ中にビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂231g(エポキシ当量231)と、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド450mgと、2,6−ジ−イソブチルフェノール100mgと、アクリル酸72.0gを仕込んで混合し、空気を毎分25mlの速度で吹き込みながら90〜100℃で加熱して溶解させた。この溶液は白濁していたがそのまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全に溶解させた。溶液は次第に透明粘稠になったがそのまま攪拌し続け、この間に酸価を測定して酸価が2.0mgKOH/g未満になるまでこの加熱攪拌を継続した。酸価が目標(酸価0.8)に達するまで8時間を要した。その後、室温まで冷却し、無色透明な固体のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂243.6gを得た。
【0066】
実施例5
実施例3で得られた2MA−DMBP−BPFZ 8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスA)を得た。
【0067】
調製したワニスAを0.2mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm
2、UV照射量:6,000mJ/cm
2でUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について諸特性を測定した。また、この厚み0.2mmの平板硬化物を0.3cm×10cmに切り出して試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表1に示した。
【0068】
比較例1
合成例1で得られたビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスB)を得た。
【0069】
調製したワニスBを0.2mm厚のスペーサーを挟んだ2枚のガラス板の間に流し込み、高圧水銀ランプを備えたUV照射装置で、照射強度:30mW/cm
2、UV照射量:6,000mJ/cm
2でUV硬化を行った。UV硬化を行って得られた平板サンプルをさらに200℃のオーブンで30分間ポストキュアを行い、得られた硬化物平板について諸特性を測定した。また、この厚み0.2mmの平板硬化物を0.3cm×10cmに切り出して試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表1に示した。
表中、BPF樹脂は、ビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート樹脂である。
【0070】
【表1】
【0071】
実施例6
反応容器に、炭酸カリウム15.28g(0.11モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、アクリル酸15.85g(0.22モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンと4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニルとの反応生成物である芳香族ビスクロロメチル化合物(実施例1の2CM−DMBP−BPFZ)58.27gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−DMBP−BPFZとアクリル酸との反応生成物である2A−DMBP−BPFZ49.87gを得た。
【0072】
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、
1H核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)で行ったところ、GPCより回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、IRよりカルボニル基が生成していること、
1H−NMRで、アクリル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、2A−DMBP−BPFZが得られていることを確認した。
【0073】
実施例7
反応容器に、炭酸カリウム14.59g(0.105モル)とN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)500mlを入れ、加熱・撹拌を行う。反応容器の内温が80℃に達したら、アクリル酸15.13g(0.21モル)をDMF50mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下する。そのままの温度を維持して、1時間反応させる。次に、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンとα,α’−ジクロロ−p−キシレンとの反応生成物である芳香族ビスクロロメチル化合物(実施例2の2CM−Xy−BPFZ)62.76gをDMF500mlに溶解させた溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに80℃で3h攪拌を継続した。3h後、室温まで冷却し、固体の析出物を濾別した。そして、反応溶液にトルエン2000mlを加えた。その後、反応溶液を水で4回洗浄し、油相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過を行った。得られた有機相を水/メタノールの混合溶媒により、生成物を再沈殿した。
沈殿を濾過・乾燥し、2CM−Xy−BPFZとメタクリル酸との反応生成物である2A−Xy−BPFZ54.3gを得た。
【0074】
生成物の確認をゲル浸透クロマトグラフ(GPC)、赤外線スペクトル(IR)、
1H核磁気共鳴スペクトル(
1H−NMR)で行ったところ、GPCより回収された反応生成物では、原料に由来するピークが消失し、高分子量側に新しいピークが生成していること、IRよりカルボニル基が生成していること、
1H−NMRで、アクリル基に由来するプロトンの共鳴線を有することが確認され、2A−Xy−BPFZが得られていることを確認した。
【0075】
実施例8
実施例6で得られた2A−DMBP−BPFZ 8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスC)を得た。
【0076】
調製したワニスCを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表2に示した。
【0077】
実施例9
実施例7で得られた2A−Xy−BPFZ 8gと反応性希釈剤としてo−フェニル−フェノキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、商品名:NKエステル A−LEN−10)12g、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスD)を得た。
【0078】
調製したワニスDを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表2に示した。
【0079】
【表2】
【0080】
実施例10
実施例3で得られた2MA−DMBP−BPFZ 11gと反応性希釈剤としてジビニルベンゼン(新日鐵化学(株)製、商品名:DVB960)2g、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、商品名:オグソールEA−0200)1g及び、フェニルチオエチルアクリレート(BIMAX社製、商品名:BX−PTEA)6g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40g、及び、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーブチルO)0.04gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスE)を得た。
【0081】
調製したワニスEを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示した。
【0082】
実施例11
実施例4で得られた2MA−Xy−BPFZ 11gと反応性希釈剤としてジビニルベンゼン(新日鐵化学(株)製、商品名:DVB960)2g、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(大阪ガスケミカル(株)製、商品名:オグソールEA−0200)1g及び、フェニルチオエチルアクリレート(BIMAX社製、商品名:BX−PTEA)6g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ製、商品名:イルガキュア184)0.40g、及び、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、商品名:パーブチルO)0.04gを混合・溶解し硬化性組成物(ワニスF)を得た。
【0083】
調製したワニスFを実施例5と同様の手順により、硬化物平板を作成し、諸特性を測定した。また、厚み0.2mmの平板硬化物から0.3cm×10cmの試験片を作成し、2.0GHzの誘電率と誘電正接を測定した。これら測定により得られた結果を表3に示した。
【0084】
【表3】