(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
触媒中に含まれる1以上のOSC材料は、ジルコニア、セリア、ランタン、プラセオジミア、ネオジミア、及びこれらの混合物からなる群から選択された1以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒。
触媒中に含まれるアルカリ及び/またはアルカリ土類金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒。
触媒中に含まれるアルカリ及び/またはアルカリ土類金属は、それぞれ炭酸塩類及び/または酸化物類として1以上の窒素酸化物吸蔵材料に含まれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒。
触媒被覆は、Pt及びBaを含み、白金とバリウムの質量比でPt:BaOを0.01〜1.0の範囲で含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の触媒。
内燃エンジン及び該内燃エンジンに連通する排気ガス管を有する排気ガス処理システムに触媒が設けられ、該触媒は排気ガス管に配置されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の触媒。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の趣旨によれば、「窒素酸化物吸蔵材料」の語、特に「1以上の窒素酸化物吸蔵材料」の語はそれぞれ、特に言及する場合を除き、本発明で特定された窒素酸化物吸蔵材料及び1以上の窒素酸化物吸蔵材料の実施の形態及び好適な実施の形態によるアルカリ及び/またはアルカリ土類金属の群から選択された1以上の要素を含む窒素酸化物吸蔵材料及び1以上の窒素酸化物吸蔵材料のことをさす。
【0012】
基板としては、触媒の層を支持しかつ排気ガス処理プロセスの間において生じる状況に耐え得るものであれば、どのような基板であっても用いることができる。本発明による基板は、その上に積層される層の少なくとも一部が流体による接触を許容するものであれば、想定しうるあらゆる形状のものを用いることができる。好適には、基板はモノリスであり、より好適には、モノリスはフロースルーモノリスである。好適な基板は、一般的に、触媒の調製に用いられる任意の材料であり、通常は、セラミックまたは金属のハニカム構造を有する。従って、モノリス状の基板は、基板の表面に、入口から出口まで延びる細かくかつ平行なガス流路を有する。この流路は、流体の流下に用いられる(このような基板をハニカムフロースルー基板と称する)。流体入口から流体出口までが必然的に直線通路となる流路は、層が配置される壁部により区画される。その結果、流路を流下するガスは、触媒材料に接触する。モノリス状の基板の流路は薄壁の溝であり、任意の好適な断面形状及びサイズをとる。例えば、その形状としては台形、長方形、四辺形、シヌソイド形、楕円形、または円形といったものが挙げられる。このような構造は、ガス入口の開口部(すなわちセル)を単位断面積平方インチ当たり900程度有し、本発明に係る構造は、好適には単位平方インチ当たり50〜600の開口部を有し、より好適には300〜500、さらに好適には350〜400の開口部を有する。
【0013】
このように、本発明の実施の形態によれば、触媒は、モノリス、好適にはフロースルーモノリス、より好適にはハニカム構造を有するモノリス状の基板を有する。
【0014】
一般的に、基板は、公知の材料によって形成される。このために、多孔質材料が基板材料として好適に用いられ、特に、コーディエライト、αアルミナ、アルミノケイ酸塩、コーディエライトアルミナ、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、シリコン窒化物、ジルコニア、ムライト、ジルコン、ジルコンムライト、ケイ酸ジルコン、五酸化アルミニウムケイ素、ケイ酸マグネシウム、ペタライト、スポジュメン、アルミナシリカマグネシア、ケイ酸ジルコニウム、及びこれらの耐熱性を有する金属類及び酸化物類といったセラミックあるいはセラミック類似の材料が用いられる。本発明によれば、“耐熱性を有する金属”は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及びReからなる族から選択された1以上の金属類を意味する。基板は、セラミック繊維複合材料で形成されていてもよい。本発明によれば、基板は、コーディエライト、炭化ケイ素、及び/またはチタン酸アルミニウムで形成されることが好適である。一般に、基板の材料は、特に、自動車の排気ガスの処理に用いられて触媒が曝露される高温に耐え得るものが好ましい。さらに、ウォールフロー基板上に担持される触媒成分は、多孔性及び壁部の厚みといった基板の特性に依存する。
【0015】
本発明の実施の形態における触媒類に有用な基板は、天然の金属からなり、あるいは1以上の金属類または合金からなるものが好適である。金属基板は、例えば波形(コルゲート状)またはモノリス状といった種々の形態を採用することができる。好適な金属担持材は、耐熱性金属類、及びチタンやステンレス鋼や鉄あるいは鉄を主成分とする他の合金といった合金を含む。このような合金は1以上のニッケル、クロミウム、及び/またはアルミニウムを有し、これらの金属の総質量は、少なくとも合金が15質量%、例えばクロミウムが10〜25質量%、アルミニウムが3〜8質量%及びニッケルが20質量%以内である。合金は、例えばマンガン、銅、バナジウム、チタン及びその類の1以上の金属類を少量あるいは微量、含む。表面あるいは金属基板は、例えば1000℃及びそれ以上の高温で酸化されて、基板の表面上に酸化層を形成することによる合金の腐蝕への抗性が改善される。このような高温誘導酸化は、基板への成分のその後の固着力を向上させる。
【0016】
本発明によれば、第1及び第2層は、1以上の酸素吸蔵成分(OSC)材料類を含有する。基本的に、酸素を可逆的に吸蔵するのであれば、任意の酸素吸蔵成分材料を用いることができる。好適には、上記の酸素吸蔵成分材料は、ジルコニア、レアアース金属類及びこれらの混合物、より好適にはジルコニア、セリア、酸化ランタン、プラセオジミア、ネオジミア、イットリア及びこれらの混合物からなる群から選択された1以上の成分を含み、好適には、1以上のOSC材料はセリア及び/またはジルコニアを含む。特により好適な実施の形態によれば、OSC材料は、セリア及びジルコニアの双方を含み、好適には、セリアにはLa及び/またはZr、より好適にはLa及びZrの双方がドープされる。
【0017】
Laがドープされたセリアを含む本発明に係る好適な実施の形態によれば、Laがドープされたセリア全体の100%を基準として、セリアには1〜20%のLa、より好適には2〜10%、より好適には3〜8%、さらにより好適には4〜6%のLaがドープされる。さらに、Zrがドープされたセリアを含む本発明に係る好適な実施の形態によれば、セリアには、Zrがドープされたセリアの100%を基準として、1〜20%のZr、より好適には2〜10%、より好適には3〜8%、さらにより好適には4〜6%のZrがドープされる。
【0018】
La及びZrがドープされたセリアを含む本発明に係る特に好適な実施の形態によれば、La及びZrがドープされたセリアの100%を基準として、1〜20%のLa及びZrのそれぞれ、より好適には2〜10%、より好適には3〜8%、さらにより好適には4〜6%のLa及びZrがドープされる。
【0019】
本発明に係るより好適な実施の形態によれば、OSC材料は、固溶体を形成するセリア及びジルコニアの双方を含む。このセリア及びジルコニアの固溶体は、好適にはPr及び/またはNdがドープされ、より好適にはPr及びNdの双方がドープされる。
【0020】
Ndがドープされたセリア−ジルコニア混合酸化物を含有する本発明の好適な実施の形態によれば、セリアには、Ndがドープされたセリアの100%を基準として、好適には1〜20%のNd、より好適には2〜15%、より好適には3〜10%、さらにより好適には5〜8%がドープされる。さらに、Prがドープされたセリア−ジルコニア混合酸化物を含有する本発明の好適な実施の形態によれば、Prがドープされたセリア−ジルコニア混合酸化物の100%を基準として、セリアには、好適には1〜20%のPr、より好適には2〜15%、より好適には3〜10%、さらにより好適には5〜8%がドープされる。
【0021】
Nd及びPrの双方がドープされたセリア−ジルコニア混合酸化物を含む本発明の特に好適な実施の形態によれば、セリア−ジルコニア混合酸化物は、Nd及びPrがドープされたセリアの100%を基準として、1〜20%のNd及びPrがそれぞれ、より好適には2〜15%、より好適には3〜10%、さらにより好適には5〜8%がドープされる。
【0022】
本発明の趣旨の範囲内において、%で示された数値は、一般的に、他に特に限定しない限り、質量%を意味する。さらに、本発明で用いられる“含む”の語は、一般的に、特定の成分中に含まれる成分を意味するものであるが、この成分中に他の材料や化合物が存在することを除外するものではない。しかし、本発明の好ましい意義によれば、“含む”の語は、“からなる”の意味で用いられ、特に示された他の成分以外の存在が除外される。
【0023】
本発明によれば、触媒被覆の第1及び第2層に含まれる1以上のOSC材料は、互いに同じあるいは異なるものであってもよい。好適な実施の形態によれば、第1層及び第2層の双方は、La及びZrがドープされたセリアを含む1以上のOSC材料を含み、より好適には、第2層のみがLa及びZrがドープされたセリアを含む1以上のOSC材料を含む。本発明の好適な実施の形態によれば、第1及び第2層の双方は、Pr及びNdがドープされたセリア−ジルコニア混合酸化物を有する1以上のOSC材料を含み、より好適には、第2層のみがPr及びNdがドープされたセリア−ジルコニア混合酸化物を含む1以上のOSC材料を有する。
【0024】
一般的に、酸素の吸蔵が十分な水準でもたらされ、かつ酸素吸蔵能力がNO及びHCの双方の高い水準の酸化活性をもたらす能力により阻害されないように、触媒内の1以上のOSC材料が選択される。一般的に、触媒に含まれる1以上のOSC材料の総量は、0.5〜4.5g/in
3の範囲であり、好適には1.0〜3.8g/in
3、より好適には1.5〜3.3g/in
3、より好適には2.0〜2.8g/in
3、さらにより好適には2.1〜2.7g/in
3の範囲である。本発明によれば、第1層に特に含まれる1以上のOSC材料の総量は、0.2〜3.5g/in
3、好適には0.5〜3.0g/in
3、より好適には1.0〜2.6g/in
3、1.2〜2.4g/in
3、さらにより好適には1.5〜2.1g/in
3である。さらにあるいは一方で、第2層に特に含有される1以上のOSC材料の量は、0.1〜10g/in
3、好適には0.3〜0.9g/in
3、より好適には0.4〜0.8g/in
3、及びさらに好適には0.5〜0.7g/in
3である。
【0025】
本発明によれば、触媒被覆中の第1層は、Pt及び/またはPdを含有し、好適にはPt及びPdの双方を有する。さらに、触媒被覆中の第2層は、Ptを有する。基本的に、これらの白金族金属類の想定しうる任意の量は、触媒被覆中に含有され、好適には、第1及び第2層中に含まれている。このように、触媒は、5〜180g/ft
3のPtを有し、好適には10〜140g/ft
3、より好適には30〜120g/ft
3、より好適には45〜110g/ft
3、さらにより好適には55〜105g/ft
3の範囲で有する。さらにあるいは一方で、触媒は、0.5〜18g/ft
3のPdを有し、好適には1〜14g/ft
3、より好適には3〜12g/ft
3、より好適には4.5〜11g/ft
3、さらにより好適には5.5〜10.5g/ft
3の範囲で有する。
【0026】
一般に、これら白金族金属類の含有は触媒中の含有量を意味し、これら白金族金属類は触媒被覆中に好適に含有され、より好適には上記の被覆中の第1及び第2層に好適な含有量で含まれる。Ptが第1層に含まれた、好適には第1層にさらにPdが含まれた本発明の好適な実施の形態によれば、上記層のPtの量は1〜150g/ft
3、好適には10〜100g/ft
3、より好適には20〜80g/ft
3、より好適には25〜70g/ft
3、より好適には30〜65g/ft
3、さらにより好適には35〜59g/ft
3である。さらにあるいは一方で、第2層のPtの含有量は、1〜100g/ft
3、好適には5〜80g/ft
3、より好適には10〜60g/ft
3、より好適には15〜50g/ft
3、より好適には20〜45g/ft
3、さらにより好適には25〜42g/ft
3である。
【0027】
本発明によれば、白金族金属類が排気ガスの処理についての触媒の能力、特にHC及びNOの双方の高レベルの酸化活動を妨げない場合において、触媒中のさらなる白金族金属類の存在に関しては、一般的に何の制限もない。本発明の趣旨によれば、他に明示しない限り、“白金族金属類”の語は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtといった要素を意味する。
【0028】
触媒中のRhの特有の含有量に関しては、HC及びNOの双方の高レベルの酸化活動をもたらす触媒の能力を妨げない場合において、任意の好適な量において本発明の触媒に含まれる。一般に、Rhは例えば、50g/ft
3を上限として触媒中に含まれ、好適には30g/ft
3またはそれ以下、好適には20g/ft
3またはそれ以下、より好適には15g/ft
3またはそれ以下、より好適には10g/ft
3またはそれ以下、より好適には5g/ft
3またはそれ以下、より好適には1g/ft
3またはそれ以下であり、さらにより好適には、500ppm以下である。
【0029】
本発明の特有の実施の形態によれば、第1層は500ppm以下のRhを有し、より好適にはさらにPt及び/またはPd、さらにはPt及びPd以外の白金族金属を500ppm以下で有する。この好適な実施の形態によれば、これらを50ppm以下で含有し、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下で有する。さらにあるいは一方で、本発明によれば、第2層は好適には500ppm以下のRhを有し、より好適には500ppm以下のRh及びPd、さらにより好適にはPt以外の他の白金族金属を500ppm以下で有する。再び、上記の好適な実施の形態では、第1層は好適にはこれらを50ppm以下で有し、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下で有する。
【0030】
特に好適な実施の形態によれば、触媒は、500ppm以下のRhを有していることが好適であり、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下である。特に好適な実施の形態によれば、触媒は、触媒被覆の第1層及び第2層に含まれるもの以外の白金族金属類を500ppm以下で有し、好適にはPt及びPd以外の他の白金族金属類を500ppm以下、より好適には上記の他の白金族金属類を50ppm以下、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には上記の他の白金族金属類を0.1ppm以下で有することが好適である。
【0031】
従って、本発明の実施の形態は、第1層は500ppm以下のRhを有し、より好適にはPt及び/またはPd、好適にはPt及びPd以外の他の白金族金属を500ppm以下で有する。及び/または好適には、第2層はRhを500ppm以下で有し、より好適にはRh及びPdを500ppm以下で有し、より好適にはPt以外の他の白金族金属を500ppm以下で有する。さらにより好適には、上記1以上の金属類の含有量はそれぞれ、50ppm以下、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下である。
【0032】
一般的に、本発明によれば、Pt及びPdの双方を含有する触媒の実施の形態では、含まれるPtとPdとの質量比に関しては特別な制限はない。特に特定する場合を除き、本発明による要素類及び/または成分の比率は、一般的に、これらの質量比のことを意味する。このように、触媒中のPt:Pdの質量比は、1:10〜100:1の範囲に及び、好適には1:5〜70:1、より好適には1:2〜50:1、より好適には1:1〜30:1、より好適には2:1〜20:1、より好適には5:1〜15:1、さらにより好適には6:1〜11:1である。さらにはあるいは一方で、触媒の第1層に特に含まれるPt及びPdの質量比に関しては、Pt:Pdの質量比は1:2〜50:1の範囲が好適であり、より好適には3:1〜10:1、さらにより好適には4:1〜7:1である。
【0033】
一般的に、触媒の白金族金属成分、特にPt及びPdは、排気ガス処理において触媒が高いレベルでHC及びNO酸化活性を示すのであれば、任意の態様で触媒に含まれる。このように、白金族金属成分は触媒中にそのままの態様で含まれ、及び/または1以上の触媒成分で担持される。この触媒成分は、好適には触媒被覆中の第1層及び第2層に含まれる1以上の他の成分であることが好適である。このように、白金族金属成分は少なくとも部分的にあるいは全体的に、任意の1以上の粒子担持材料、1以上のOSC材料、及び/または1以上の窒素酸化物吸蔵材料により担持される。本発明において用いられる“窒素酸化物”の語は、一般的に、窒素及び酸素の二元化合物、好適にはNO、NO
2及びN
2O、さらにより好適にはNO及びNO
2を意味する。さらには、本発明の趣旨の範囲において、“NO
X”の語は、NO及びNO
2の化合物を意味する。
【0034】
本発明による触媒の好適な実施の形態では、白金族金属、特にPt及び/またはPdは、少なくとも部分的、好適には全体として1以上の粒子担持材料で担持されている。1以上の白金族金属、特にPt及びPdの双方の実施の形態では、これらの金属は触媒被覆の第1及び/または第2層に含まれ、好適には、Pt及びPdの双方は触媒被覆の第1層に含まれ、上記の白金族金属類は、同じまたは異なる粒子担持材料に担持される。一方、白金族金属類は、第1及び/または第2層において、同じ粒子担持材料で部分的にのみ担持され、1以上の白金族金属類もまた、1以上の粒子担持材料及び/または第1及び/または第2層に含まれる1以上の他の成分に担持される。
【0035】
一般的に、排気ガス処理プロセスにおいて遭遇する状況に耐え得るものであり、かつ1以上の他の触媒成分、特に好適にはPd及び/またはPtである1以上の白金族金属類を好適に担持するものであれば、触媒中に、任意に想定し得る粒子担持材料を有し得る。好適な実施の形態によれば、粒子担持材料は1以上の酸化物、好適には1以上の金属酸化物を有し得る。好適には、“ガンマアルミナ”または“活性化アルミナ”とも称されるアルミナ担持材料といった高表面領域耐熱性金属酸化担持物が用いられる。このような材料は、60〜200m
2/gまたはそれ以上の範囲のBET表面積を呈する。このような活性化アルミナは、一般的に、アルミナのガンマ及びデルタ相の混合物であるが、相当量のエータ、カッパ及びシータアルミナ相を有しうる。活性化アルミナ以外の耐熱性金属酸化物は、少なくともある種の触媒成分に用いられ得る。例えば、大量のセリア、ジルコニア、アルファアルミナ及び他の材料は、このような用途のものとして公知である。このような材料の多くは活性化アルミナに比べてかなりの低BET表面積を有するという欠点があるものの、この欠点は、生成される触媒の大きな耐久性によって相殺される傾向にある。“BET表面積”は、Brunauer、Emmett、Tellerの、N
2吸収による表面積の決定方法の意味で通常用いられている。孔の直径及び孔の容積は、BET型N
2吸収を用いて決定される。好適には、活性アルミナは、60〜350m
2/g、一般的には90〜250m
2/gの範囲内に含まれる特定の表面積を有する。
【0036】
本発明の好適な実施の形態によれば、金属酸化物、特に金属酸化担持粒子は、好適には、アルミナ、チタニア、チタニア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、バリア−アルミナ、セリア−アルミナ、バリア−セリア−アルミナ、ランタン−アルミナ、ランタン−ジルコニア−アルミナ、チタニア−ジルコニア及びこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1の化合物を好適に有する1以上の粒子担持材料に含まれる。さらに好適には、少なくとも1の化合物は、アルミナ、ジルコニア−アルミナ、ランタン−アルミナ、ランタン−ジルコニア−アルミナ及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好適には、ジルコニア−アルミナ、ランタン−アルミナ、ランタン−ジルコニア−アルミナ及びこれらの混合物からなる群から選択され、さらにより好適には、1以上の粒子担持材料は、ランタン−ジルコニア−アルミナを有する。
【0037】
特に好適な実施の形態によれば、1以上の金属酸化物、特に、1以上の粒子担持材料に含まれる金属酸化物担持粒子は、1以上の化合物にドープされる。このように、好適にはアルミナである金属酸化物は、好適には1以上の化合物、好適にはランタン及び/またはジルコニア、より好適にはランタン及びジルコニアの双方でドープされる。上記の実施の形態では、金属酸化物粒子をドープする1以上の化合物の量については特に限定はない。このように、金属酸化物、好適にはアルミナは、1以上の化合物の50%またはそれ以下、好適には40%またはそれ以下、より好適には30%またはそれ以下、より好適には20%またはそれ以下、さらに好適には16%またはそれ以下でドープされる。ランタンでドープされるアルミナを有する特に好適な実施の形態によれば、アルミナは、0.05〜5%の範囲のランタン、好適には0.1〜2%、より好適には0.2〜1%、さらにより好適には0.3〜0.5%の範囲のランタンでドープされる。さらにあるいは一方で、ジルコニアでドープされたアルミナを有する特に好適な実施の形態によれば、アルミナは、1〜50%の範囲のジルコニア、好適には5〜30%、より好適には10〜20%、より好適には12〜18%、さらにより好適には14〜16%の範囲のジルコニアでドープされる。ランタン及びジルコニアの双方でドープされたアルミナを有する実施の形態が特に好適であり、アルミナは、1〜50%の範囲のジルコニア、好適には5〜30%、より好適には10〜20%、より好適には12〜18%、さらにより好適には14〜16%の範囲のジルコニアでドープされる。アルミナはさらに、0.05〜5%の範囲のランタン、好適には0.1〜2%、より好適には0.2〜1%、さらにより好適には0.3〜0.5%の範囲のランタンでドープされる。
【0038】
一般に、触媒の技術的な特性が、特に高レベルのNO及びHC酸化活性度にもたらされるのであれば、触媒は、1以上の粒子担持材料を任意の好適な量で有しうる。このように、触媒は、1以上の粒子担持材料を、0.5〜7.0g/in
3の範囲、好適には1.5〜4.5g/in
3、より好適には2.0〜3.8g/in
3、より好適には2.2〜3.5g/in
3、さらにより好適には2.5〜3.3g/in
3の範囲で有する。これらの好適な実施の形態によれば、触媒被覆の第1層における1以上の粒子担持材料の含有量は、0.5〜5.0g/in
3の範囲、より好適には1.0〜3.0g/in
3、より好適には1.2〜2.5g/in
3、さらにより好適には1.4〜2.2g/in
3の範囲である。さらにはあるいは一方で、第2層における1以上の粒子担持材料の含有量は、好適には0.1〜3.0g/in
3の範囲、より好適には0.5〜2.0g/in
3、より好適には0.8〜1.4g/in
3、さらにより好適には1.0〜1.2g/in
3の範囲である。
【0039】
本発明によれば、触媒被覆の第1層及び第2層は、アルカリ及び/またはアルカリ土類金属から選択された1以上の要素を含有する1以上の窒素酸化物吸蔵材料を含む。一般的に、本発明の技術的作用、特に高レベルのHC及びNO酸化特性が触媒によってもたらされるのであれば、アルカリ及び/アルカリ土類金属の群から選択された任意の要素または要素の結合は、本発明による触媒に含まれる。本発明によれば、窒素酸化物吸蔵材料に含有される1以上のアルカリ及び/またはアルカリ土類金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBa、あるいはK、Mg、Sr及びBaからなる群から選択される。特に好適な実施の形態によれば、1以上のアルカリ及び/またはアルカリ土類金属は、K、Mg及びBaからなる群から選択され、より好適には、1以上の窒素酸化物吸蔵材料はMg及び/またはBaを有し、さらにより好適にはBaを有する。
【0040】
一般的に、窒素酸化物吸蔵材料に含まれる1以上のアルカリ及び/またはアルカリ土類金属は、触媒が窒素酸化物を可逆的に固定する能力を有するのであれば、任意の形態で窒素酸化物吸蔵材料に含まれる。好適には、1以上のアルカリ及び/またはアルカリ土類金属は、これらのそれぞれの酸化物類及び/またはこれらのそれぞれの炭酸塩類として含まれる。特に好適な実施の形態によれば、1以上のアルカリ及び/またはアルカリ土類金属は、これらのそれぞれの炭酸塩類として、少なくとも部分的に、好適には全体として含まれる。
【0041】
触媒被覆の第1及び第2層に含有される窒素酸化物吸蔵材料に関しては、要素または成分が可逆的に窒素酸化物を固定する能力があるのであれば、アルカリ及び/またはアルカリ土類金属の群から選択された上記の1以上の元素に加えて、任意の想定し得る元素または成分を用いることができる。特に、窒素酸化物を低温で固定しかつ続く高温で解放できるように窒素酸化物吸蔵材料が選択され、特に、触媒それ自体が効果的に変換する温度が達成される。より好適には、本発明で用いられる低温は、エンジンが環境温度となる前の冷態始動状態の間に自動車の排気ガスの浄化における温度を意味する。一方、高温は、特に窒素酸化物の排出の効率的な変換に関して、排気ガス処理システムが十分に稼働する温度に到達した際の温度のことを意味する。
【0042】
本発明の趣旨の範囲内において、“変換”の語は、排気ガスを他の化合物へと化学的に変換すること、及び化学的及び/または吸着的に適当な脱臭材料に固定することにより排気ガスを脱臭することの双方を包含する意味で用いられる。これは特に、排気ガスの効果的な脱臭は一般的に、排気ガス処理の高温状態において効果的な変換が達成されるまで一時的に貯蔵される効果を有することから、自動車の排気ガス処理における冷態始動の間に適用される。本発明の趣旨において用いられる“排気ガス”の語は、好適には排気ガスの排出を意味し、より好適にはNO
X、CO及び炭化水素を有する排気ガスの排出、さらにより好適には自動車の排気ガスに含まれるNO
X、CO及び炭化水素を意味する。
【0043】
本発明によれば、アルカリ及び/またはアルカリ土類金属の群から選択された1以上の要素に加え、レアアース金属化合物類から選択された少なくとも1の金属化合物を含む窒素酸化物吸蔵材料、特に、Ce、La、Pr、Nd及びこれらの混合物からなる群からのそれぞれの酸化物が好適であり、1以上の窒素酸化物吸蔵材料を有する他の要素は、好適にはセリアとしてのCeである。
【0044】
基本的に、窒素酸化物が十分な量で蓄積され、かつNO
X吸蔵触媒に含まれる残留成分の機能が損なわれることがない場合は、任意に想定し得る量の窒素酸化物吸蔵材料が選択される。一般的に、触媒中の窒素酸化物吸蔵材料の総含有量は、0.18〜7g/in
3の範囲、好適には0.2〜5g/in
3、より好適には0.5〜4.5g/in
3、より好適には1.0〜4.0g/in
3、より好適には2.0〜3.7g/in
3、さらにより好適には2.5〜3.5g/in
3の範囲である。これらの好適な実施の形態によれば、第1層中の窒素酸化物吸蔵材料の含有量は、0.2〜7g/in
3、より好適には0.5〜4.5g/in
3、より好適には1.0〜3.5g/in
3、より好適には1.6〜3.0g/in
3、さらにより好適には1.9〜2.7g/in
3の範囲である。さらにあるいは一方で、第2層中の窒素酸化物吸蔵材料の含有量は、0.05〜3.0g/in
3、より好適には0.1〜2.0g/in
3、より好適には0.3〜1.5g/in
3、より好適には0.5〜1.0g/in
3、さらにより好適には0.6〜0.8g/in
3の範囲である。
【0045】
1以上の窒素酸化物吸蔵材料にBaが含まれる本発明の特に好適な実施の形態に関しては、Baは、BaOとして測定された0.18〜2.0g/in
3の範囲の量で触媒中に好適に含まれ、より好適には0.20〜1.5g/in
3、より好適には0.23〜1.3g/in
3、より好適には0.25〜1.0g/in
3、より好適には0.27〜0.80g/in
3、さらにより好適には0.28〜0.72g/in
3の範囲である。さらにあるいは一方で、上記の1以上の窒素酸化物吸蔵材料にBaが含まれる本発明の好適な実施の形態では、Pt:BaOとして測定されたプラチナとバリウムとの質量比は、好適には0.01〜1.0、より好適には0.05〜0.5、より好適には0.10〜0.3、より好適には0.15〜0.25、さらにより好適には0.17〜0.21である。
【0046】
本発明によれば、特に好適には、第2層は500ppm以下のBaを有し、より好適には50ppm以下、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下である。さらに好適な実施の形態によれば、第2層はアルカリ及び/またはアルカリ土類金属類、好適にはアルカリ土類金属を500ppm以下で含有し、より好適にはこれらを50ppm以下で有し、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下で含有する。本発明の好適な他の実施の形態によれば、第2層は500ppm以下の窒素酸化物吸蔵材料を有し、好適には50ppm以下、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下である。
【0047】
本発明では、特に第1層及び第2層を有する触媒被覆は、高いレベルのHC及びNO酸化活性に関する本発明の技術的な効果が達成されるのであれば、任意の想定し得る手法で施与される。しかし、第1及び第2層、及び好適には上記の層を含む触媒被覆は、触媒中にウォッシュコート層として好適に含まれる。ここで用いられるように、“ウォッシュコート”の語は、薄くかつ例えばハニカム型キャリアメンバといった基板キャリア材料に施与される触媒または他の材料の固着性のある被覆を意味し、好適には処理されるガス流の通過を許容する十分な多孔質性を有する。
【0048】
さらに、本発明によれば、第1及び第2層に加え、触媒被覆には1以上の他の層が含まれる。本発明の特に好適な実施の形態によれば、第1層それ自体は2以上の分離層を含み、より好適には2の分離層が含まれる。上記の層は、同じ化学的成分を有し、Pt及び/またはPd、好適にはPt及びPdを有する。同様に、1以上の粒子担持材料、1以上のOSC材料、及び本発明に係る触媒の第1層に含まれる上記2以上の分離層にそれぞれ含まれる1以上の窒素酸化物吸蔵材料を有する。あるいは一方で、上記2以上の分離層にそれぞれ含有される1以上の上記の成分とは異なるものであってもよい。特に、本発明の趣旨の範囲内では、触媒の第1層に含有される2以上の分離層は、互いに施与された分離層を意味し、個々の層のそれぞれの化学的成分は、実施の形態に係る化学的成分であり、発明に係る触媒の第1層の実施の形態が好適である。
【0049】
このように、本発明に係る触媒の好適な実施の形態によれば、第1層は2以上の分離層を有し、上記の分離層は互いに施与される。
【0050】
触媒被覆、特にこれに含まれる第1層は、触媒被覆を施与する技術として通常用いられる1以上の促進剤、1以上の安定剤、または1以上のバインダといった添加剤を更に有する。好適な実施の形態によれば、触媒被覆は1以上のバインダを有し、このバインダは、好適にはアルミニウム酸化物の水和物、好適にはナノ粒子フォーム、さらに好適にはベーマイトを有する。
【0051】
本発明の好適な実施の形態によれば、触媒は、排気ガス処理システム中に含まれる。特に、本発明による処理システムは、内燃エンジン、エンジンと連通する排気ガス管を備え、上記の触媒は排気ガス管内に設けられる。基本的に、本発明の処理システムには任意に想定し得る内燃エンジンが用いられ、ディーゼルエンジンまたはリーン燃焼ガソリンエンジン、より好適にはリーン燃焼ガソリンエンジン、さらにより好適にはガソリン直噴射型エンジンといったリーン燃焼エンジンが用いられる。
【0052】
このように、本発明は、内燃エンジン及び内燃エンジンと連通する排気ガス管を有する排気ガス処理システムに関し、触媒は排気ガス管内に存在し、内燃エンジンは好適にはガソリンエンジンであり、より好適にはガソリン直噴射型エンジンである。
【0053】
特に好適な実施の形態によれば、触媒が含まれる排気ガス処理システムは、1以上の他の構成を含む。特に、排気ガス処理システムは、好適には、排気ガス管内に配置された選択的触媒還元(SCR)触媒を有し、SCR触媒は、好適には、触媒の下流に配置される。さらにあるいは一方では、排気ガス処理システムは、排気ガス管に還元剤を供給する手段をさらに有し、この手段は、触媒とSCR触媒との間に配置される。還元剤に関しては、特にSCR触媒において窒素酸化物を還元することに好適であれば、任意に想定し得る化合物が用いられる。還元剤は、好適にはアンモニア及び/または尿素、好適にはアンモニアを有する。
【0054】
排気ガス処理システムで用いられる好適なSCR触媒成分は、600℃以下の温度でNO
X成分の還元物に効果的に触媒作用を及ぼすことができ、その結果、一般的に排気ガスが低温である低負荷の状態下でも適切なNO
Xレベルで処理することができる成分であることが好適である。好適には、触媒粒子は、システムに好適に添加されるNH
3といった還元剤の量に基づいて、少なくとも50%のNO
X成分をN
2に変換することができる。この点において、成分が有する他の好適な属性としては、O
2とNH
3の任意の過剰分との反応に触媒作用を及ぼしてN
2とH
2OとにしてNH
3を大気中に排出することのない能力を有することが挙げられる。排出処理システムに用いられる有用なSCR触媒成分には、650℃以上の温度に対する熱的耐性を有することも望まれる。
【0055】
例えば、US特許4961917及びUS特許5516497には、好適なSCR触媒成分が開示されている。好適な成分には、ゼオライトが付加された促進剤の全質量を基準として0.1〜30質量%、好適には1〜5質量%のゼオライト中に存在する鉄及び銅促進剤のうちの1つあるいは双方が含まれる。NO
XとNH
3との還元に触媒作用を及ぼしてN
2とする能力に加えて、開示された成分は、過剰分のNH
3をO
2と反応させて酸化することを促進することができ、特にこのような成分は、高い促進剤濃度を有する。本発明によれば、Cu含有SCR触媒を排気ガス処理システムに用いることが好適であり、このシステムには好適には触媒が含まれ、より好適にはCuに加えてFeを含んだSCR触媒が用いられることが好適である。
【0056】
本発明による触媒は、公知技術による手法で容易に調製することが可能である。特に、触媒材料の複数の成分が、連続する工程で1以上の成分の混合物として基板に施与される手法は、触媒製造の分野において公知である。本発明に係る触媒の一般的な製造方法は、1以上の白金族金属類、1以上の粒子担持材料、1以上の酸素貯蔵成分(OSC)、及び好適なキャリアメンバのガス流路の壁部上の被覆またはウォッシュコート層としての1以上の窒素酸化物吸蔵材料がそれぞれ施与されることである。触媒被覆に含まれる第1及び第2層のそれぞれの成分は、基板上の2以上のウォッシュコート層として施与される。
【0057】
本発明によれば、個々のウォッシュコート層の成分はそれぞれ、スラリー、好適には水性スラリーに加工される。基板は、個々のウォッシュコート用のそれぞれのスラリーに連続的に浸され、余剰のスラリーが除去された後、基板のガス流路の壁部上に、2以上のスラリーの薄い被覆が施される。被覆された基板は、流路の壁部にそれぞれの成分の固着性被覆を施すために、乾燥され、かつか焼される。このように、基板にウォッシュコート層が施された後、被覆された基板は、第1のウォッシュコート層が配置された上に第2のウォッシュコート層を形成するために、更にスラリーに浸される。基板は乾燥及び/またはか焼され、乾燥及び/またはか焼の工程は、好適には、基板上にウォッシュコート層が施与された後、または第2あるいはそれ以上のウォッシュコート層が触媒に施与された後のそれぞれの工程において実行される。
【0058】
このように、本発明は触媒の製造方法にも関し、この方法は以下の工程を有する。
(i)基板を準備し、
(ii)1以上の粒子担持材料を少なくとも1のPt及び/または少なくとも1のPd源、好適にはPt及びPd源と含浸させ、含浸は初期の湿潤により好適に達成され、
(iii)生成混合物を混合することにより好適にスラリーを得るために、1以上の酸素吸蔵成分(OSC)材料、アルカリ及び/またはアルカリ土類金属の群から選択された1以上の元素を有する1以上の窒素酸化物吸蔵材料、及び好適には水あるいはより好適には蒸留水である溶媒を、工程(ii)で得られた生成物に添加し、
(iv)工程(iii)で得られたスラリーを、好適にはd90が50μmまたはそれ以下、あるいは30μmまたはそれ以下、さらには20μmまたはそれ以下、さらに好適には10μmまたはそれ以下に粉砕し、
(v)工程(iv)で得られたスラリーを、層、好適にはウォッシュコート層として1以上の被覆工程において基板に施与し、
(vi)任意に、工程(ii)〜(v)を1回以上、好適には一度繰り返し、
(vii)1以上の粒子担持材料を少なくとも1のPt源と含浸させ、含浸は所期の湿潤により好適に達成され、
(viii)1以上の酸素吸蔵成分(OSC)材料、アルカリ及び/またはアルカリ土類金属の群から選択された1以上の要素を有する1以上の窒素酸化物吸蔵材料、及び好適には水あるいはより好適には蒸留水である溶媒を、工程(vii)で得られた生成物に添加してスラリーを得、好ましくは得られた混合物を混合し、
(ix)工程(viii)で得られたスラリーを、好適にはd90の50μmまたはそれ以下、あるいは30μmまたはそれ以下、さらには20μmまたはそれ以下、さらに好適には10μmまたはそれ以下に粉砕し、
(x)工程(ix)で得られたスラリーを、層、好適にはウォッシュコート層として1以上の被覆工程において基板に施与し、
乾燥及び/またはか焼工程は、好適には工程(v)及び/または工程(x)の後に実行され、より好適には乾燥工程の後にか焼工程が実行され、さらにより好適には乾燥工程及び/またはか焼工程、好適にはか焼工程が後に続く乾燥工程が、工程(v)及び工程(x)の後に実行され、
触媒に含まれる1以上の窒素酸化物吸蔵材料に含まれるアルカリ及びアルカリ土類金属の総量は、アルカリ金属酸化物M2O及びアルカリ土類金属酸化物MOとしてそれぞれ測定され、0.18〜2.5g/in
3の範囲、好適には0.2〜2.0g/in
3、より好適には0.4〜1.5g/in
3、より好適には0.5〜1.3g/in
3、さらにより好適には0.6〜1.2g/in
3の範囲であり、
工程(x)において層に施与される生成された触媒は、好適には、Baを500ppm以下、より好適には窒素酸化物吸蔵材料を500ppm以下で有する。
【0059】
本発明に係る方法の好適な実施の形態によれば、工程(x)において施与される触媒層は、Baを50ppm以下、より好適には10ppm以下、より好適には1ppm以下、さらにより好適には0.1ppm以下で有する。
【0060】
本発明の趣旨の範囲内において、“含浸される”の語は、方法による結果物に対して用いられ、この方法では、1以上の成分、特にPt及び/またはPdを有する溶液が、所定の担持材料、特に粒子担持材料の孔に投入される。好適な実施の形態では、上記成分の含浸は、初期の湿潤により達成され、例えば、溶液に含まれて希釈化されたPt及び/またはPdの量は、担持体の孔の容積に等しい。初期の湿潤含浸は、一般的に、担持体の孔構造を通過する1以上の成分を含む溶液の実質的に均一な配分につながる。
【0061】
本発明の好適な他の実施の形態によれば、触媒は、触媒を生成する発明に係る方法、特に、実施の形態に係る触媒の製造方法、及び発明に係る触媒の好適な実施の形態によって得られ、あるいは得ることが可能である。このように、本発明によれば、触媒を製造する方法で生成される触媒は、本発明の実施の形態及び好適な実施の形態による触媒であることが好適である。
【0062】
これらの実施の形態に加えて、本発明はまた、本発明の触媒を用いるガス流を含有する窒素酸化物の処理方法に関する。より好適には、本発明に係る方法は、窒素酸化物を発明に係る触媒に接触させ、及び/または通過させる方法に関する。発明に係る方法の好適な実施の形態によれば、ガス流は、内燃エンジンで生成される排気ガス流であることが好適であり、より好適にはガソリンエンジンであり、より好適には、リーン燃焼ガソリンエンジンにおける燃焼から生成される排気ガス、さらにより好適にはガソリン直噴射エンジンから生成される排気ガスであることが好適である。
【0063】
このように、本発明は、本発明に係る触媒に接触させる及び/または通過させる上記のガス流を有する窒素酸化物を有するガス流の処理方法に関し、ガス流は、内燃エンジンで生じる排気ガス流が好適であり、より好適にはガソリンエンジン、より好適にはリーン燃焼ガソリンエンジン、さらにより好適にはガソリン直噴射エンジンが好適である。
【0064】
最終的に、本発明は、酸化プレ触媒として発明に係る触媒を使用することに関する。特に、炭化水素及び/または窒素酸化物の酸化、好適には炭化水素及び窒素酸化物の双方の酸化に使用することに関する。本発明によれば、触媒は、好適には自動車の排気ガスの処理に使用され、より好適にはガソリンエンジン排気ガスの処理、さらにより好適にはリーン燃焼ガソリンエンジン、好適にはガソリン直噴射エンジンからの排気ガスの処理に使用される。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
(内層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の状態のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、パラジウム硝化溶液の形態のパラジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における10g/ft
3のPt及び2g/ft
3のPdの最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdの量が選択された。
【0066】
水性スラリーは、触媒がか焼された質量を基準として、Pt及びPdが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、セリウム酸化物、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ33%、44%、3%、11.5%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0067】
スラリーは、コーディライトキャリア上に被覆され、内層としての第1ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。内層の総含有量は、2g/in
3であった。
【0068】
(中層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、パラジウム硝化溶液の形態のパラジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における25g/ft
3のPt及び4g/ft
3のPdの最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdの量が選択された。
【0069】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びPdが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、セリア、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ32%、44%、3%、11.5%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0070】
スラリーは、内層の上に被覆され、中層としての第2ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層及び中層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。中層の総含有量は、2.3g/in
3であった。
【0071】
(外層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の状態のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、パラジウム硝化溶液の形態のパラジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における25g/ft
3のPtの最終的濃縮を達成するために、Ptの量が選択された。
【0072】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Ptが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ55%、24%、3%、9%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0073】
スラリーは、中層の上に被覆され、触媒の外層としての第3ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層、中層及び外層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。外層の総含有量は、2g/in
3であった。
【0074】
(実施例2)
(内層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、パラジウム硝化溶液の形態のパラジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における10g/ft
3のPt及び2g/ft
3のPdの最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdの量が選択された。
【0075】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びPdが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、セリウム酸化物、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ54%、30%、3%、7%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0076】
スラリーは、コーディライトキャリア上に被覆され、内層としての第1ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。内層の総含有量は、2g/in
3であった。
【0077】
(中層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、パラジウム硝化溶液の形態のパラジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における25g/ft
3のPt及び4g/ft
3のPdの最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdの量が選択された。
【0078】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びPdが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、セリア、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ50%、30%、3%、7%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0079】
スラリーは、内層の上に被覆され、中層としての第2ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層及び中層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。中層の総含有量は、2.3g/in
3であった。
【0080】
(外層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、ロジウム硝化溶液の形態のロジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における25g/ft
3のPtと10g/ft
3のRhの最終的濃縮を達成するために、Ptの量が選択された。
【0081】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びRhが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ55%、24%、3%、9%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0082】
スラリーは、中層の上に被覆され、触媒の外層としての第3ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層、中層及び外層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。外層の総含有量は、2g/in
3であった。
【0083】
(実施例3)
実施例3の触媒は、実施例2の手法によって生成され、内層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の内層におけるPtの13g/ft
3及びPdの3g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdとともに含有された。内層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt及びPd、セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ33%、44%、3%、11.5%、7%及び1%の濃度で含まれていた。内層の全含有量は、2g/in
3であった。
【0084】
中層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の中層におけるPtの31g/ft
3及びPdの5g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdとともに含まれた。中層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt及びPd、セリア、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ32%、44%、3%、11.5%、7%及び1%の濃度で含まれていた。中層の全含有量は、2.2g/in
3であった。
【0085】
外層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の外層におけるPtの31g/ft
3及びRhの5g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びRhとともに含まれていた。外層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt及びRh、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ60%、26%、3%、7%及び1%の濃度で含まれていた。外層の全含有量は、1.8g/in
3であった。
【0086】
(実施例4)
実施例4の触媒は、実施例1の手法によって生成され、内層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の内層におけるPtの15g/ft
3及びPdの3g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdとともに含まれていた。内層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt及びPd、セリウム酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ54%、30%、3%、7%、7%及び1%の濃度で含まれていた。内層の全含有量は、2g/in
3であった。
【0087】
中層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の中層におけるPtの42g/ft
3及びPdの7g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdとともに含まれていた。中層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt及びPd、セリア、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ50%、30%、3%、7%、7%及び1%の濃度で含まれていた。中層の全含有量は、2.3g/in
3であった。
【0088】
外層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の外層におけるPtの42g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Ptとともに含まれた。外層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ60%、26%、3%、7%及び1%の濃度で含有されていた。外層の全含有量は、2g/in
3であった。
【0089】
(実施例5)
(内層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、パラジウム硝化溶液の形態のパラジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における17g/ft
3のPt及び3g/ft
3のPdの最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdの量が選択された。
【0090】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びPdが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、セリウム酸化物、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ33%、44%、3%、11.5%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0091】
スラリーは、コーディライトキャリア上に被覆され、内層としての第1ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。内層の総含有量は、2g/in
3であった。
【0092】
(中層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、パラジウム硝化溶液の形態のパラジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における42g/ft
3のPt及び7g/ft
3のPdの最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdの量が選択された。
【0093】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びPdが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、セリア、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ32%、44%、3%、11.5%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0094】
スラリーは、内層の上に被覆され、中層としての第2ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層及び中層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。中層の総含有量は、2.3g/in
3であった。
【0095】
(外層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、ロジウム硝化溶液の形態のロジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における42g/ft
3のPt及び10g/ft
3のRhの最終的濃縮を達成するために、Pt及びRhの量が選択された。
【0096】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びRhが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニア酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物及びバインダが、それぞれがおよそ55%、24%、3%、9%、7%及び1%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、バリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0097】
スラリーは、中層の上に被覆され、触媒の外層としての第3ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層、中層及び外層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。外層の総含有量は、2g/in
3であった。
【0098】
(実施例6)
実施例6の触媒は、実施例5の手法によって生成され、内層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の内層におけるPtの12g/ft
3及びPdの3g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdとともに含まれていた。内層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt及びPd、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ33%、45%、3%、12%、7%及び1%の濃度で含まれていた。内層の全含有量は、2.2g/in
3であった。
【0099】
中層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の中層におけるPtの29g/ft
3及びPdの7g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びPdとともに含まれていた。中層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt及びPd、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ33%、45%、3%、12%、7%及び1%の濃度で含まれていた。中層の全含有量は、2.2g/in
3であった。
【0100】
外層を生成するために、0.4%のランタンと15%のジルコニアでドープされた高表面領域ガンマアルミナが、触媒の外層におけるPtの29g/ft
3及びRhの4g/ft
3の最終的濃縮を達成するために、Pt及びRhとともに含まれていた。外層に存在する成分は、高表面領域ガンマアルミナに含まれたPt、5%のランタン及び5%のジルコニウムでドープされたセリア、ジルコニウム酸化物、マグネシウム酸化物、及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ46%、34%、3%、9%、7%及び1%の濃度で含まれていた。外層の全含有量は、2g/in
3であった。
【0101】
(比較例1)
(内層)
水性スラリーは、高表面領域ガンマアルミナ、48質量%のセリアを有するセリア−ジルコニア化合物、ジルコニウム酸化物、セリウム酸化物、バリウム酸化物、ネオジミウム酸化物及びバインダが、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ60%、17%、11%、3%及び3%の濃度で結合されることによって形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、セリウム硝酸塩及びバリウム酸化物はバリウムアセテート溶液として導入された。
【0102】
スラリーは、コーディライトキャリア上に被覆され、内層としての第1ウォッシュコート層が施与される。被覆の後、内層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。内層の総含有量は、0.9g/in
3であった。
【0103】
(中層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するためにプラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。触媒層における90g/ft
3のPtの最終的濃縮を達成するために、Ptの量が選択された。
【0104】
水性スラリーは、Ptを有した高表面領域ガンマアルミナ、47質量%のセリアを含有するセリア−ジルコニア化合物、ランタンを10質量%ドープしたジルコニウム酸化物が、か焼された触媒の質量を基準として、それぞれがおよそ53%、28%、17%及び3%の濃度で結合されることによって形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0105】
スラリーは、内層の上に被覆され、中層としての第2ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層及び中層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。中層の総含有量は、1.8g/in
3であった。
【0106】
(外層)
プラチナテトラメチルアンモニア水素複合溶液の形態中のプラチナは、プラネタリミキサ(P−mixer)で含浸された。続いて、ロジウム硝化溶液の形態のロジウムが、初期湿潤を達成するまでの間において、湿潤パウダを形成するために高表面領域ガンマアルミナ上で含浸された。触媒層における10g/ft
3のPt及び10g/ft
3のRhの最終的濃縮を達成するために、Ptの量が選択された。
【0107】
水性スラリーは、か焼された触媒の質量を基準として、Pt及びPdが含まれた高表面領域ガンマアルミナ、47質量%のセリアを有するセリア−ジルコニア化合物、5質量%のセリウム及び7質量%のネオジミウムでドープされたジルコニウム酸化物、ジルコニウム酸化物が、それぞれがおよそ22%、33%、11%及び4%の濃度で水と結合されることにより形成された。ジルコニウム酸化物は、アセテートコロイド溶液として、及びジルコニウム水酸化物サスペンションとして導入された。生成されたスラリーは、10ミクロン以下の90%の粒子サイズとなるように粉砕された。
【0108】
スラリーは、中層の上に被覆され、触媒の外層としての第3ウォッシュコート層が施与された。被覆の後、内層、中層及び外層を有するキャリアは乾燥され、1時間に亘って550℃でか焼された。外層の総含有量は、0.9g/in
3であった。
【0109】
(HC及びNO酸化効率性の試験の詳細)
実施例1〜6及び比較例1から得られる触媒の炭化水素酸化及びNO酸化の効率性は、エンジンベンチが290℃で、リーン排気ガス状態で試験された。この結果、実施例及び比較例で生成された触媒は、第2の空気噴射を与えつつ、触媒ベッド温度を最大950℃として25時間に亘って試験した場合よりも先に劣化した。この方法は、ラムダ1でベッド温度を950℃として25秒間隔で、かつラムダ2で最小温度を650℃として8秒で実行された。
【0110】
その後、ラムダ2.5において排気ガス流を41m
3/hとし、炭化水素を135ppm、かつ触媒の入口温度を290℃でエンジンを運転するように設定することによって、炭化水素酸化が評価された。触媒温度を305〜320℃に到達させるために、エンジン負荷が増大されかつ排気ガス流は50m
3/hが達成された。炭化水素の全濃度は、触媒を通過する前後において、最新鋭のフレームイオン化検知器を用いて測定された。CO
2に酸化された炭化水素の全量(THC)の割合は、以下の式で算出された。
【0111】
【数1】
【0112】
同時に、本試験では、NO及びNO
2の濃度は、触媒を通過する前後において、最新鋭の化学発光検知器を用いて測定された。排気ガスの温度が290℃であり、流量が41m
3/h、かつラムダが2.5のNO
Xの濃度は、1030ppmであった。生成されたNO
2の量の割合は、以下の式で算出された。
【0113】
【数2】
【0114】
実施例1〜6及び比較例1の触媒は、異なる入口温度におけるHC(炭化水素)の酸化効率及びNO酸化効率に関しての試験が実施され、その結果を
図1〜
図4に示す。特に、HC及びNO酸化特性に関する本発明による実施例1〜5の触媒の特性は、
図1及び
図2にそれぞれ示されており、入口温度がそれぞれ285℃及び312℃で測定が実行された。
【0115】
図3及び
図4は、実施例1及び6に係る本発明による触媒で実施された試験結果、及び比較例1により得られた触媒で実施された試験結果を示す。
図3のHC酸化活性の結果は、入口温度がそれぞれ280℃及び305℃の試験により得られたものであり、
図4で示されるNO酸化特性の結果は、入口温度が305℃の試験により得られたものである。
図3の試験結果から得られることとして、実施例1及び6による発明に係る触媒は、比較例1の触媒と比較可能なHC酸化特性を示すことである。しかし、
図4で示されるように、発明に係る実施例により達成されるNO酸化活性は、比較例よりも明らかに優れている。
【0116】
従って、実施例1〜6の発明に係る触媒の試験、特に比較例1の触媒との比較により示されたように、先行技術においてみられる触媒技術の特性を大きく上回る自動車の排気ガスの処理におけるNO酸化特性を示すものである。特に、上記の例外的な特性は、比較例1の触媒により達成される特性と依然として比較可能であるにも関わらず、HC酸化活性を損なうことがない。