(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
≪感光性樹脂組成物≫
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)加水分解性シラン化合物、加水分解性シラン化合物の加水分解物、及びこれらの縮合物(以下、(A)成分とも記す。)、(B)光塩基発生剤又は光酸発生剤(以下、(B)成分とも記す。)、(C)光によりイミダゾール化合物を発生する化合物(以下、(C)成分とも記す。)を含む。また、本発明の感光性樹脂組成物は、任意に、(D)反応性希釈剤、及び(E)有機溶剤を含んでいてもよい。以下、感光性樹脂組成物の成分について順に説明する。
【0013】
〔(A)加水分解性シラン化合物、加水分解性シラン化合物の加水分解物、及びこれらの縮合物〕
感光性樹脂組成物は、(A)下記一般式:
R
nSiX
4−n・・・(1)
(一般式(1)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜20の有機基であり、Xは加水分解性基であり、nは0〜2の整数である。)
で表される加水分解性シラン化合物、加水分解性シラン化合物の加水分解物、及びこれらの縮合物からなる群より選択される1種以上を含む。
【0014】
Xである加水分解性基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基、塩素及び臭素のようなハロゲン原子、アミノ基、及び炭素数1〜12のアシルオキシ基が挙げられる。一般式(1)で表される加水分解性シランの入手が容易であることや、加水分解反応性が良好である点から、加水分解基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基が特に好ましい。
【0015】
Rは炭素数1〜20の有機基である。有機基の例としては、アルキル基、アリール基、アリル基、及びグリシジル基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基及びアリール基が好ましい。アルキル基の炭素数は1〜5が好ましい。具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等が挙げられる。アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基の水素原子は、フッ素原子により置換されていてもよい。アリール基の炭素数は6〜20が好ましい。アリール基としては、例えばフェニル基及びナフチル基等を挙げることができる。
【0016】
上記一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0017】
((a1)n=0の場合)
n=0の場合、上記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の好適な例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、及びテトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0018】
((a2)n=1の場合)
n=1の場合、上記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の好適な例としては、モノメチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、モノメチルトリプロポキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリプロポキシシラン、モノプロピルトリメトキシシラン、及びモノプロピルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン;モノフェニルトリメトキシシラン及びモノフェニルトリエトキシシラン等のモノフェニルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0019】
((a3)n=2の場合)
n=2の場合、上記一般式(1)で示される加水分解性シラン化合物としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、及びジプロピルジプロポキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;ジフェニルジメトキシシラン及びジフェニルジエトキシシラン等のジフェニルジアルコキシシラン等を挙げることができる。
【0020】
上記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解物は、上記一般式(1)で表される加水分解性シラン化合物を、水の存在下に有機溶媒中で、酸触媒又は塩基触媒の存在下で反応させる常法に従って加水分解することで得られる。加水分解性シラン化合物を加水分解する際、加水分解性シラン化合物は1種であっても、複数種を混合したものであってもよい。加水分解性シラン化合物を加水分解する際の水の量は、加水分解性シラン化合物の合計モル数に対して、1.0〜10.0倍モルが好ましく、1.5〜8.0倍モルがより好ましい。水の添加量を1.0倍モル以上とすることにより、十分に速い速度で加水分解性シラン化合物を加水分解できる。
【0021】
加水分解反応に用いる触媒としては酸触媒が好ましい。加水分解反応に用いられる酸触媒は特に限定されず、従来酸触媒として使用されている有機酸、無機酸のいずれも使用することができる。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、及び酪酸等の有機カルボン酸を使用することができる。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、及びリン酸等を挙げることができる。酸触媒は加水分解性シラン化合物と水との混合物に直接添加してもよいし、水とともに酸性水溶液として添加してもよい。
【0022】
加水分解性シラン化合物の加水分解反応は、室温で通常5時間から100時間程度で完了する。また、室温以上の加熱温度において、上記一般式(1)で示される1種以上の加水分解性シラン化合物を含む有機溶剤に酸触媒又は塩基触媒を添加して反応させることにより、短い反応時間で加水分解反応を完了させることも可能である。
【0023】
加水分解性シランの加水分解反応後、さらに反応を継続させることで、シラノール基同士の脱水縮合反応により加水分解性シランの縮合物が生成する。加水分解性シランの縮合物を形成させる場合、原料となる一般式(1)で表される加水分解性シランに、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリエチルプロポキシシラン、トリプロピルメトキシシラン、及びトリプロピルエトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン;トリフェニルメトキシシラン、及びトリフェニルエトキシシラン等のトリフェニルアルコキシシラン等を加水分解時に添加してもよい。なお、加水分解縮合反応で用いられる水や副生成物として生じるアルコール等は、反応後に必要に応じて除去してもよい。
【0024】
加水分解性シランの加水分解縮合物の質量平均分子量は、200〜50000が好ましく、500〜30000がより好ましく、500〜10000が特に好ましい。加水分解性シランの縮合物の質量平均分子量は、ゲル濾過クロマトグラフィーによりポリスチレン換算の分子量として求められる。
【0025】
〔(B)光塩基発生剤又は光酸発生剤〕
感光性樹脂組成物は、(B)光塩基発生剤又は光酸発生剤を含む。感光性樹脂組成物が(B)成分を含む場合、感光性樹脂組成物が露光される場合に後述する(C)成分から発生するイミダゾール化合物により促進される(A)成分の縮合がさらに促進される。このため、感光性樹脂組成物に(B)成分を配合すると、低露光量で感光性樹脂組成物の硬化をすすめ、所望する形状のパターンを形成しやすい。以下、光塩基発生剤、及び光酸発生剤について順に説明する。
【0026】
(光塩基発生剤)
光塩基発生剤は、光の作用により塩基を発生する化合物であれば特に限定されず、従来から種々の用途で使用されている光塩基発生剤から適宜選択し得る。なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、後述する(C)成分は光塩基発生剤に含まれないものとする。光塩基発生剤としては、(C)成分から発生するイミダゾール化合物の(A)成分の縮合を促進する作用を高めやすいことから、オキシムエステル系の光塩基発生剤が好ましい。オキシムエステル系の光塩基発生剤が露光されると、塩基としてイミンが発生し、このイミンが、イミダゾール化合物の(A)成分の縮合を促進する作用をさらに高める。
【0027】
オキシムエステル化合物の中では、下記一般式(b1)で表される化合物が好ましい。
【化2】
【0028】
上記一般式(b1)中、R
b1は、炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、又は置換基を有してもよいカルバゾリル基を示す。pは、0又は1である。R
b2は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基を示す。R
b3は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。
【0029】
R
b1が炭素数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0030】
R
b1が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。フェニル基が有していてもよい置換基の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
b1が、置換基を有してもよいフェニル基であり、フェニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合、その炭素数は、1〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。また、アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。この場合、フェニル基が有する置換基としては、例えば、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシアルキル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がアルコキシアルキル基である場合、−R
b4−O−R
b5で表される基が好ましい。R
b4は、炭素数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキレン基である。R
b5は、炭素数1〜10の直鎖でも分岐鎖であってもよいアルキル基である。R
b4の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。R
b5の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましく、1が最も好ましい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0032】
フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合、その炭素数は、1〜20が好ましく、1〜6がより好ましい。また、アルコキシ基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。フェニル基が有する置換基がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、2−メトキシ−1−メチルエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0033】
フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基、又はシクロアルコキシ基である場合、その炭素数は、3〜10が好ましく、3〜6がより好ましい。フェニル基が有する置換基がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0034】
フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基、又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、その炭素数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0035】
フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合、その炭素数は、2〜20が好ましく、2〜7がより好ましい。フェニル基が有する置換基がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0036】
フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合、その炭素数は、7〜20が好ましく、7〜10がより好ましい。またフェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合、その炭素数は、11〜20が好ましく、11〜14がより好ましい。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基がフェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、置換基は、フェニル基又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0037】
フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。フェニル基が有する置換基がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0038】
フェニル基が有する置換基が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例としては、フェニル基が有する置換基について上記したものと同様のものが挙げられる。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、β−ナフトイルアミノ基、及びN−アセチル−N−アセチルオキシアミノ基等が挙げられる。
【0039】
フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基が有する置換基に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0040】
以上、R
b1が置換基を有してもよいフェニル基である場合の置換基について説明したが、これらの置換基の中では、アルキル基又はアルコキシアルキル基が好ましい。
【0041】
R
b1が置換基を有してもよいフェニル基である場合、置換基の数と、置換基の結合位置とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R
b1が、置換基を有してもよいフェニル基である場合、塩基の発生効率に優れる点で、置換基を有してもよいフェニル基は、置換基を有していてもよいo−トリル基であるのが好ましい。
【0042】
R
b1が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、置換基の種類は本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カルバゾリル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいフェニルカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフチルカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
【0043】
R
b1が置換基を有してもよいカルバゾリル基である場合、カルバゾリル基が窒素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。これらの置換基の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0044】
カルバゾリル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、R
b1が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
【0045】
R
b1において、カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。カルバゾリル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0046】
R
b2は、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、又は置換基を有してもよいフェニル基である。
【0047】
R
b2が置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基である場合、アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよい。この場合、アルキル基の炭素数は、1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
【0048】
R
b2において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルコキシ基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、及びピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
フェニル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基の例としては、アルキル基が炭素原子上に有してもよい好適な置換基として上記で例示した基に加えて、炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
【0049】
アルキル基又はフェニル基が有してもよい置換基の具体例について、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び1又は2の有機基で置換されたアミノ基に関しては、R
b1が置換基を有してもよいフェニル基である場合の、フェニル基が有する置換基の例と同様である。
【0050】
R
b2において、アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基の例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。アルキル基又はフェニル基が有する置換基に含まれるフェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0051】
一般式(b1)で表される化合物の塩基発生効率の点から、R
b1としては、下記一般式(b2):
【化3】
で表される基が好ましく、R
b2としては、下記一般式(b3):
【化4】
で表される基が好ましい。
【0052】
一般式(b2)中、R
b6及びR
b7は、それぞれ1価の有機基であり、qは0又は1である。一般式(b3)中、R
b8は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、AはS又はOであり、rは0〜4の整数である。
【0053】
一般式(b2)におけるR
b6は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。R
b6の好適な例としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0054】
R
b6の中では、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、エチル基が特に好ましい。
【0055】
一般式(b2)におけるR
b7は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、種々の有機基から選択できる。R
b7として好適な基の具体例としては、炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリル基が挙げられる。R
b7として、これらの基の中では置換基を有してもよいフェニル基、及び置換基を有してもよいナフチル基がより好ましく、2−メチルフェニル基及びナフチル基が特に好ましい。
【0056】
R
b6又はR
b7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
b6又はR
b7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R
b6又はR
b7に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0057】
一般式(b3)におけるR
b8が有機基である場合、R
b8は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。一般式(b3)においてR
b8が有機基である場合の好適な例としては、炭素数1〜6のアルキル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基;炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基;炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基;フェニル基;ナフチル基;ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基;炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基;モルホリン−1−イル基;ピペラジン−1−イル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基が挙げられる。
【0058】
R
b8の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素数1〜6のアルキル基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2−メチルフェニルカルボニル基;4−(ピペラジン−1−イル)フェニルカルボニル基;4−(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0059】
また、一般式(b3)において、rは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1であるのが特に好ましい。rが1である場合、R
b8の結合する位置は、R
b8が結合するフェニル基が硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0060】
R
b3は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基である。置換基を有していてもよいフェニル基である場合、フェニル基が有していてもよい置換基は、R
b1が置換基を有していてもよいフェニル基である場合と同様である。R
b3としては、メチル基、エチル基、又はフェニル基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0061】
上記一般式(b1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが0である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、R
b2−CO−R
b1で表されるケトン化合物を、ヒドロキシルアミンによりオキシム化して、R
b2−(C=N−OH)−R
b1で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、R
b3−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(R
b3CO)
2Oで表される酸無水物によりアシルして、pが0である上記一般式(b1)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
【0062】
また、上記一般式(b1)で表されるオキシムエステル化合物は、pが1である場合、例えば、以下に説明する方法により合成できる。まず、R
b2−CO−CH
2−R
b1で表されるケトン化合物を、塩酸の存在下に亜硝酸エステルと反応させ、R
b2−CO−(C=N−OH)−R
b1で表されるオキシム化合物を得る。次いで、得られたオキシム化合物を、R
b3−CO−Hal(Halはハロゲンを示す)で表される酸ハロゲン化物や、(R
b3CO)
2Oで表される酸無水物によりアシルして、pが1である上記一般式(b1)で表されるオキシムエステル化合物が得られる。
【0063】
上記一般式(b1)で表される化合物としては、下記一般式(b4)で表される化合物が挙げられる。
【化5】
【0064】
上記一般式(b4)中、p及びR
b2は上記の通りである。R
b9は、1価の有機基、アミノ基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、sは0〜4の整数であり、R
b10は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。
【0065】
上記一般式(b4)中、R
b9は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、有機基である場合、種々の有機基から適宜選択される。R
b9の好適な例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、アミノ基、1又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。sが2〜4の整数である場合、R
b9は同一であっても異なっていてもよい。また、置換基の炭素数には、置換基がさらに有する置換基の炭素数を含まない。
【0066】
R
b9がアルキル基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、R
b9がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
b9がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、R
b9がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0067】
R
b9がアルコキシ基である場合、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜6がより好ましい。また、R
b9がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。R
b9がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、tert−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec−オクチオキシル基、tert−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、R
b9がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(−O−)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0068】
R
b9がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜6がより好ましい。R
b9がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。R
b9がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0069】
R
b9が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。R
b9が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n−ブタノイル基、2−メチルプロパノイル基、n−ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロパノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ウンデカノイル基、n−ドデカノイル基、n−トリデカノイル基、n−テトラデカノイル基、n−ペンタデカノイル基、及びn−ヘキサデカノイル基等が挙げられる。R
b9が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n−ブタノイルオキシ基、2−メチルプロパノイルオキシ基、n−ペンタノイルオキシ基、2,2−ジメチルプロパノイルオキシ基、n−ヘキサノイルオキシ基、n−ヘプタノイルオキシ基、n−オクタノイルオキシ基、n−ノナノイルオキシ基、n−デカノイルオキシ基、n−ウンデカノイルオキシ基、n−ドデカノイルオキシ基、n−トリデカノイルオキシ基、n−テトラデカノイルオキシ基、n−ペンタデカノイルオキシ基、及びn−ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0070】
R
b9がアルコキシカルボニル基である場合、炭素数2〜20が好ましく、炭素数2〜7がより好ましい。R
b9がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、tert−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチオキシルカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0071】
R
b9がフェニルアルキル基である場合、炭素数7〜20が好ましく、炭素数7〜10がより好ましい。またR
b9がナフチルアルキル基である場合、炭素数11〜20が好ましく、炭素数11〜14がより好ましい。R
b9がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、及び4−フェニルブチル基が挙げられる。R
b9がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α−ナフチルメチル基、β−ナフチルメチル基、2−(α−ナフチル)エチル基、及び2−(β−ナフチル)エチル基が挙げられる。R
b9が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、R
b9は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0072】
R
b9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、及びキノキサリン等が挙げられる。R
b9がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
【0073】
R
b9が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、炭素数2〜20の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素数7〜20のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素数11〜20のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、R
b9と同様である。1又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n−ブタノイルアミノ基、n−ペンタノイルアミノ基、n−ヘキサノイルアミノ基、n−ヘプタノイルアミノ基、n−オクタノイルアミノ基、n−デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α−ナフトイルアミノ基、及びβ−ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0074】
R
b9に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素数1〜6のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。R
b9に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1〜4が好ましい。R
b9に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0075】
R
b9の中では、化学的に安定であることや、立体的な障害が少なく、オキシムエステル化合物の合成が容易であること等から、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、及び炭素数2〜7の飽和脂肪族アシル基からなる群より選択される基が好ましく、炭素数1〜6のアルキルがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0076】
R
b9がフェニル基に結合する位置は、R
b9が結合するフェニル基について、フェニル基とオキシムエステル化合物の主骨格との結合手の位置を1位とし、メチル基の位置を2位とする場合に、4位、又は5位が好ましく、5位がより好ましい。また、sは、0〜3の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0又は1が特に好ましい。
【0077】
上記一般式(b4)におけるR
b10は、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。R
b10としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0078】
(B)成分として使用される光塩基発生剤として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
【化6】
【0079】
(光酸発生剤)
光酸発生剤は特に限定されず、従来から種々の用途に使用されている、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する光酸発生剤を使用することができる。光酸発生剤としては、以下に説明する、第一〜第五の態様の酸発生剤が好ましい。以下、光酸発生剤のうち好適なものについて、第一から第五の態様として説明する。
【0080】
光酸発生剤における第一の態様としては、下記一般式(b5)で表される化合物が挙げられる。
【0082】
上記一般式(b5)中、X
b1は、原子価gの硫黄原子又はヨウ素原子を表し、gは1又は2である。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。R
b11は、X
b1に結合している有機基であり、炭素数6〜30のアリール基、炭素数4〜30の複素環基、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、又は炭素数2〜30のアルキニル基を表し、R
b11は、アルキル、ヒドロキシ、アルコシキ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコシキカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオカルボニル、アシロキシ、アリールチオ、アルキルチオ、アリール、複素環、アリールオキシ、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキレンオキシ、アミノ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。R
b11の個数はg+h(g−1)+1であり、R
b11はそれぞれ互いに同じであっても異なっていてもよい。また、2個以上のR
b11が互いに直接、又は−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−NH−、−NR
b12−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、若しくはフェニレン基を介して結合し、X
b1を含む環構造を形成してもよい。R
b12は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基である。
【0083】
X
b2は下記一般式(b6)で表される構造である。
【0085】
上記一般式(b6)中、X
b4は炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数8〜20の複素環化合物の2価の基を表し、X
b4は炭素数1〜8のアルキル、炭素数1〜8のアルコキシ、炭素数6〜10のアリール、ヒドロキシ、シアノ、ニトロの各基、及びハロゲンからなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。X
b5は−O−、−S−、−SO−、−SO
2−、−NH−、−NR
b12−、−CO−、−COO−、−CONH−、炭素数1〜3のアルキレン基、又はフェニレン基を表す。hは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。h+1個のX
b4及びh個のX
b5はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。R
b12は前述の定義と同じである。
【0086】
X
b3−はオニウムの対イオンであり、下記一般式(b21)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオン又は下記一般式(b22)で表されるボレートアニオンが挙げられる。
【0088】
上記一般式(b21)中、R
b13は水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。jはその個数を示し、1〜5の整数である。j個のR
b13はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0090】
上記一般式(b22)中、R
b14〜R
b17は、それぞれ独立にフッ素原子又はフェニル基を表し、該フェニル基の水素原子の一部又は全部は、フッ素原子及びトリフルオロメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい。
【0091】
上記一般式(b5)で表される化合物中のオニウムイオンとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウム、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシ)フェニルヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、又は4−イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、等が挙げられる。
【0092】
上記一般式(b5)で表される化合物中のオニウムイオンのうち、好ましいオニウムイオンとしては下記一般式(b23)で表されるスルホニウムイオンが挙げられる。
【0094】
上記一般式(b23)中、R
b18はそれぞれ独立に水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルオキシカルボニル、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアリール、アリールカルボニル、からなる群より選ばれる基を表す。X
b2は、上記一般式(b5)中のX
b2と同じ意味を表す。
【0095】
上記一般式(b23)で表されるスルホニウムイオンの具体例としては、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]4−ビフェニルスルホニウム、フェニル[4−(4−ビフェニルチオ)フェニル]3−ビフェニルスルホニウム、[4−(4−アセトフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウム、ジフェニル[4−(p−ターフェニルチオ)フェニル]ジフェニルスルホニウムが挙げられる。
【0096】
上記一般式(b21)で表されるフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンにおいて、R
b13はフッ素原子で置換されたアルキル基を表し、好ましい炭素数は1〜8、さらに好ましい炭素数は1〜4である。アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、オクチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐アルキル基;さらにシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクヘキシル等のシクロアルキル基等が挙げられ、アルキル基の水素原子がフッ素原子に置換された割合は、通常、80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは100%である。フッ素原子の置換率が80%未満である場合には、上記式(b5)で表されるオニウムフッ素化アルキルフルオロリン酸塩の酸強度が低下する。
【0097】
特に好ましいR
b13は、炭素数が1〜4、且つフッ素原子の置換率が100%の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキル基であり、具体例としては、CF
3、CF
3CF
2、(CF
3)
2CF、CF
3CF
2CF
2、CF
3CF
2CF
2CF
2、(CF
3)
2CFCF
2、CF
3CF
2(CF
3)CF、(CF
3)
3Cが挙げられる。R
b13の個数jは、1〜5の整数であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2又は3である。
【0098】
好ましいフッ素化アルキルフルオロリン酸アニオンの具体例としては、[(CF
3CF
2)
2PF
4]
−、[(CF
3CF
2)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CF)
2PF
4]
−、[((CF
3)
2CF)
3PF
3]
−、[(CF
3CF
2CF
2)
2PF
4]
−、[(CF
3CF
2CF
2)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CFCF
2)
2PF
4]
−、[((CF
3)
2CFCF
2)
3PF
3]
−、[(CF
3CF
2CF
2CF
2)
2PF
4]
−、又は[(CF
3CF
2CF
2)
3PF
3]
−が挙げられ、これらのうち、[(CF
3CF
2)
3PF
3]
−、[(CF
3CF
2CF
2)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CF)
3PF
3]
−、[((CF
3)
2CF)
2PF
4]
−、[((CF
3)
2CFCF
2)
3PF
3]
−、又は[((CF
3)
2CFCF
2)
2PF
4]
−が特に好ましい。
【0099】
上記一般式(b22)で表されるボレートアニオンの好ましい具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C
6F
5)
4]
−)、テトラキス[(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート([B(C
6H
4CF
3)
4]
−)、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C
6F
5)
2BF
2]
−)、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ボレート([(C
6F
5)BF
3]
−)、テトラキス(ジフルオロフェニル)ボレート([B(C
6H
3F
2)
4]
−)等が挙げられる。これらの中でも、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート([B(C
6F
5)
4]
−)が特に好ましい。
【0100】
光酸発生剤における第二の態様としては、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−エチル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−プロピル−2−フリル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジエトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,5−ジプロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−エトキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3−メトキシ−5−プロポキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)エテニル]−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)フェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(2−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−メトキシ)スチリルフェニル−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(5−メチル−2−フリル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(1,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン等のハロゲン含有トリアジン化合物、並びにトリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレ−ト等の下記一般式(b7)で表されるハロゲン含有トリアジン化合物が挙げられる。
【0102】
上記一般式(b7)中、R
b19、R
b20、R
b21は、それぞれ独立にハロゲン化アルキル基を表す。
【0103】
また、光酸発生剤における第三の態様としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、並びにオキシムスルホネ−ト基を含有する下記一般式(b8)で表される化合物が挙げられる。
【0105】
上記一般式(b8)中、R
b22は、1価、2価、又は3価の有機基を表し、R
b23は、置換若しくは未置換の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、又は芳香族性化合物基を表し、kは括弧内の構造の繰り返し単位数を表す。
【0106】
上記一般式(b8)中、芳香族性化合物基とは、芳香族化合物に特有な物理的・化学的性質を示す化合物の基を示し、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基や、フリル基、チエニル基等のヘテロアリール基が挙げられる。これらは環上に適当な置換基、例えばハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基等を1個以上有していてもよい。また、R
b23は、炭素数1〜6のアルキル基が特に好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が挙げられる。特に、R
b22が芳香族性化合物基であり、R
b23が炭素数1〜4のアルキル基である化合物が好ましい。
【0107】
上記一般式(b8)で表される酸発生剤としては、k=1のとき、R
b22がフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル基のいずれかであって、R
b23がメチル基の化合物、具体的にはα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−(p−メトキシフェニル)アセトニトリル、〔2−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−2,3−ジヒドロキシチオフェン−3−イリデン〕(o−トリル)アセトニトリル等が挙げられる。n=2のとき、上記一般式(b8)で表される光酸発生剤としては、具体的には下記式で表される光酸発生剤が挙げられる。
【0109】
また、光酸発生剤における第四の態様としては、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩が挙げられる。この「ナフタレン環を有する」とは、ナフタレンに由来する構造を有することを意味し、少なくとも2つの環の構造と、それらの芳香族性が維持されていることを意味する。このナフタレン環は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基等の置換基を有していてもよい。ナフタレン環に由来する構造は、1価基(遊離原子価が1つ)であっても、2価基(遊離原子価が2つ)以上であってもよいが、1価基であることが望ましい(ただし、このとき、上記置換基と結合する部分を除いて遊離原子価を数えるものとする)。ナフタレン環の数は1〜3が好ましい。
【0110】
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のカチオン部としては、下記一般式(b9)で表される構造が好ましい。
【0112】
上記一般式(b9)中、R
b24、R
b25、R
b26のうち少なくとも1つは下記一般式(b10)で表される基を表し、残りは炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、水酸基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表す。あるいは、R
b24、R
b25、R
b26のうちの1つが下記一般式(b10)で表される基であり、残りの2つはそれぞれ独立に炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。
【0114】
上記一般式(b10)中、R
b27、R
b28は、それぞれ独立に水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を表し、R
b29は、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表す。l及びmは、それぞれ独立に0〜2の整数を表し、l+mは3以下である。ただし、R
b27が複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。また、R
b28が複数存在する場合、それらは互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0115】
上記R
b24、R
b25、R
b26のうち上記一般式(b10)で表される基の数は、化合物の安定性の点から好ましくは1つであり、残りは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、これらの末端が結合して環状になっていてもよい。この場合、上記2つのアルキレン基は、硫黄原子を含めて3〜9員環を構成する。環を構成する原子(硫黄原子を含む)の数は、好ましくは5〜6である。
【0116】
また、上記アルキレン基が有していてもよい置換基としては、酸素原子(この場合、アルキレン基を構成する炭素原子とともにカルボニル基を形成する)、水酸基等が挙げられる。
【0117】
また、フェニル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルコキシ基、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキル基等が挙げられる。
【0118】
これらのカチオン部として好適なものとしては、下記式(b11)、(b12)で表されるもの等を挙げることができ、特に下記式(b12)で表される構造が好ましい。
【0120】
このようなカチオン部としては、ヨ−ドニウム塩であってもスルホニウム塩であってもよいが、酸発生効率等の点からスルホニウム塩が望ましい。
【0121】
従って、カチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩のアニオン部として好適なものとしては、スルホニウム塩を形成可能なアニオンが望ましい。
【0122】
このような酸発生剤のアニオン部としては、水素原子の一部又は全部がフッ素化されたフルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンである。
【0123】
フルオロアルキルスルホン酸イオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状でも分岐状でも環状でもよく、発生する酸の嵩高さとその拡散距離から、炭素数1〜10であることが好ましい。特に、分岐状や環状のものは拡散距離が短いため好ましい。また、安価に合成可能なことから、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基等を好ましいものとして挙げることができる。
【0124】
アリールスルホン酸イオンにおけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であって、アルキル基、ハロゲン原子で置換されていてもされていなくてもよいフェニル基、ナフチル基が挙げられる。特に、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。好ましいものの具体例として、フェニル基、トルエンスルホニル基、エチルフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基等を挙げることができる。
【0125】
上記フルオロアルキルスルホン酸イオン又はアリールスルホン酸イオンにおいて、水素原子の一部又は全部がフッ素化されている場合のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、より好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。このようなものとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、パ−フルオロブタンスルホネート、パーフルオロオクタンスルホネート、パーフルオロベンゼンスルホネート等が挙げられる。
【0126】
これらの中でも、好ましいアニオン部として、下記一般式(b13)で表されるものが挙げられる。
R
b30SO
3− (b13)
【0127】
上記式(b13)において、R
b30は、下記式(b14)、下記一般式(b15)で表される基や、下記式(b16)で表される基である。
【0129】
上記式(b14)中、xは1〜4の整数を表す。また、上記一般式(b15)中、R
b31は、水素原子、水酸基、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を表し、yは1〜3の整数を表す。これらの中でも、安全性の観点からトリフルオロメタンスルホネート、パーフルオロブタンスルホネートが好ましい。
【0130】
また、アニオン部としては、下記一般式(b17)、(b18)で表される窒素を含有するものを用いることもできる。
【0132】
上記一般式(b17)、(b18)中、X
bは、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは3〜5、最も好ましくは炭素数3である。また、Y
b、Z
bは、それぞれ独立に少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基を表し、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは1〜7、より好ましくは1〜3である。
【0133】
X
bのアルキレン基の炭素数、又はY
b、Z
bのアルキル基の炭素数が小さいほど有機溶剤への溶解性も良好であるため好ましい。
【0134】
また、X
bのアルキレン基又はY
b、Z
bのアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、より好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0135】
このようなカチオン部にナフタレン環を有するオニウム塩として好ましいものとしては、下記式(b19)、(b20)で表される化合物が挙げられる。
【0137】
また、光酸発生剤における第五の態様としては、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン類;p−トルエンスルホン酸2−ニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、ニトロベンジルトシレ−ト、ジニトロベンジルトシラート、ニトロベンジルスルホナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナート等のニトロベンジル誘導体;ピロガロールトリメシラート、ピロガロールトリトシラート、ベンジルトシラート、ベンジルスルホナート、N−メチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−トリクロロメチルスルホニルオキシスクシンイミド、N−フェニルスルホニルオキシマレイミド、N−メチルスルホニルオキシフタルイミド等のスルホン酸エステル類;N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシナフタルイミド等のトリフルオロメタンスルホン酸エステル類;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等のオニウム塩類;ベンゾイントシラート、α−メチルベンゾイントシラート等のベンゾイントシレート類;その他のジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、フェニルジアゾニウム塩、ベンジルカルボナート等が挙げられる。
【0138】
感光性樹脂組成物における(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましく、0.05〜5質量部が特に好ましい。感光性樹脂組成物がこのような量の(B)成分を含むことで、低露光量で、経時的に形状が変化しにくい精度に優れるパターンを形成しやすい。
【0139】
〔(C)光によりイミダゾール化合物を発生する化合物〕
感光性樹脂組成物は、(C)光により下記一般式:
【化21】
(一般式(c1)中、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。)
で表されるイミダゾール化合物(以下、(C)成分とも記す。)を発生する化合物を含有する。
【0140】
本発明の感光性樹脂組成物は(C)成分を含むため、選択的に露光された際に、露光部においてのみ光の作用により(C)成分よりイミダゾール化合物が発生する。イミダゾール化合物は(A)成分の縮合を促進させるが、本発明の感光性樹脂組成物が(C)成分を含む場合、露光されるまで感光性樹脂組成物中でイミダゾール化合物が発生しないため、感光性樹脂組成物の保存安定性が良好である。
【0141】
R
1、R
2、及びR
3における有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。この有機基は、通常は1価であるが、環状構造を形成する場合等には、2価以上の有機基となり得る。
【0142】
R
1及びR
2は、それらが結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合をさらに含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。
【0143】
R
1、R
2、及びR
3の有機基に含まれる結合は、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、有機基は、酸素原子、窒素原子、珪素原子等のヘテロ原子を含む結合を含んでいてもよい。ヘテロ原子を含む結合の具体例としては、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合、アゾ結合等が挙げられる。
【0144】
R
1、R
2、及びR
3の有機基が有してもよいヘテロ原子を含む結合としては、イミダゾール化合物の耐熱性の観点から、エーテル結合、チオエーテル結合、カルボニル結合、チオカルボニル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、イミノ結合(−N=C(−R)−、−C(=NR)−:Rは水素原子又は1価の有機基を示す)、カーボネート結合、スルホニル結合、スルフィニル結合が好ましい。
【0145】
R
1、R
2、及びR
3が炭化水素基以外の置換基である場合、R
1、R
2、及びR
3は本発明の効果が損なわれない限り特に限定されない。R
1、R
2、及びR
3の具体例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、アルキルエーテル基、アルケニルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アルケニルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
【0146】
R
1、R
2、及びR
3としては、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアリール基、炭素数1〜12のアルコキシ基、及びハロゲン原子が好ましく、水素原子がより好ましい。R
1、R
2、及びR
3がいずれも水素原子であるイミダゾール化合物は、立体的な障害の少ない単純な構造であるため、(A)ポリイミド樹脂が有するイミド基に含まれるカルボニル基の攻撃が容易である。
【0147】
(C)成分は、光の作用により上記一般式(c1)で表されるイミダゾール化合物を発生させることができる化合物であれば特に限定されない。従来から感光性組成物に配合されている、光の作用によりアミンを発生する化合物について、露光時に発生するアミンに由来する骨格を、上記一般式(c1)で表されるイミダゾール化合物に由来する骨格に置換することにより、(C)成分として使用される化合物が得られる。
【0148】
好適な(C)成分としては、下記一般式(c2):
【化22】
(一般式(c2)中、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R
4及びR
5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
【0149】
一般式(c2)において、R
1、R
2、及びR
3は、一般式(c1)について説明したものと同様である。
【0150】
一般式(c2)において、R
4及びR
5は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、又は有機基を示す。
【0151】
R
4及びR
5における有機基としては、R
1、R
2、及びR
3について例示したものが挙げられる。この有機基は、R
1、R
2、及びR
3の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0152】
以上の中でも、R
4及びR
5としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基(−COOR、−OCOR:Rは炭化水素基を示す)、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基であることが好ましい。より好ましくは、R
4及びR
5の両方が水素原子であるか、又はR
4がメチル基であり、R
5が水素原子である。
【0153】
一般式(c2)において、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、又は有機基を示す。
【0154】
R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10における有機基としては、R
1、R
2、及びR
3において例示したものが挙げられる。この有機基は、R
1及びR
2の場合と同様に、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
【0155】
R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。環状構造としては、ヘテロシクロアルキル基、ヘテロアリール基等が挙げられ、縮合環であってもよい。例えば、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10は、それらの2つ以上が結合して、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成してもよい。
【0156】
以上の中でも、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルキル基、炭素数4〜13のシクロアルケニル基、炭素数7〜16のアリールオキシアルキル基、炭素数7〜20のアラルキル基、シアノ基を有する炭素数2〜11のアルキル基、水酸基を有する炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数2〜11のアミド基、炭素数1〜10のアルキルチオ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数2〜11のエステル基、炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換した炭素数6〜20のアリール基、電子供与性基及び/又は電子吸引性基が置換したベンジル基、シアノ基、メチルチオ基、ニトロ基であることが好ましい。
【0157】
また、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10としては、それらの2つ以上が結合して、R
6、R
7、R
8、R
9、及びR
10が結合しているベンゼン環の原子を共有してナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン等の縮合環を形成している場合も、吸収波長が長波長化する点から好ましい。
【0158】
上記一般式(c2)で表される化合物の中では、下記一般式(c3):
【化23】
(一般式(c3)中、R
1、R
2、及びR
3は、一般式(c1)及び(c2)と同義である。R
4〜R
9は一般式(c2)と同義である。R
11は、水素原子又は有機基を示す。R
6及びR
7が水酸基となることはない。R
6、R
7、R
8、及びR
9は、それらの2つ以上が結合して環状構造を形成していてもよく、ヘテロ原子の結合を含んでいてもよい。)
で表される化合物が好ましい。
【0159】
一般式(c3)で表される化合物は、置換基−O−R
11を有するため、感光性樹脂組成物中に均一に溶解しやすい。
【0160】
一般式(c3)において、R
11は、水素原子又は有機基である。R
11が有機基である場合、有機基としては、R
1、R
2、及びR
3において例示したものが挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。R
11としては、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0161】
(C)成分として特に好適な化合物の具体例を以下に示す。
【0163】
感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。ポジ型感光性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.05〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0164】
〔(D)反応性希釈剤〕
感光性樹脂組成物は(D)反応性希釈剤(以下、(D)成分とも記す。)を含んでいてもよい。感光性樹脂組成物が(D)反応性希釈剤を含む場合、露光された感光性樹脂組成物について、収縮を抑制し、機械的強度向上させやすい。
【0165】
(D)反応性希釈剤としては、カチオン重合性モノマー及びエチレン性不飽和モノマーの少なくとも一方を用いるのが好ましい。カチオン重合性モノマーは、光酸発生剤の存在下で光照射されることで重合反応や架橋反応を起こす有機化合物である。カチオン重合性モノマーとしては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、オキソラン化合物、環状アセタール化合物、環状ラクトン化合物、チイラン化合物、チエタン化合物、ビニルエーテル化合物、エポキシ化合物とラクトンとの反応生成物であるスピロオルソエステル化合物、エチレン性不飽和化合物、環状エーテル化合物、環状チオエーテル化合物、及びビニル化合物等が挙げられる。カチオン重合性モノマーは二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0166】
エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン性不飽和結合を分子中に有する化合物であれば、特に制限されるものではないが、例えば、1分子中に1個のエチレン性不飽和結合を有する単官能モノマーや、1分子中に2個以上のエチレン性不飽和結合を有する多官能モノマーが好ましい。
【0167】
感光性樹脂組成物中の、(D)成分の含有量は特に限定されない。(D)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、0.5〜80質量部がより好ましく、1〜50質量部が特に好ましい。感光性樹脂組成物中の(D)成分の含有量が過少であると、所望する(D)成分の添加による効果を得られない場合がある。感光性樹脂組成物中の(D)成分の含有量が過多であると、感光性樹脂組成物の硬化性や、感光性樹脂組成物を露光して形成されるシロキサン被膜のような硬化物の透明性や耐熱性が低下する場合がある。
【0168】
〔(E)有機溶媒〕
感光性樹脂組成物は、(E)有機溶媒(以下、(E)成分とも記す。)を含んでいてもよい。感光性樹脂組成物に(E)有機溶媒を含有させると、保存安定性に優れる感光性樹脂組成物を得やすい。また、感光性樹脂組成物に(E)有機溶媒を含有させることで感光性樹脂組成物の粘度を調製できる。感光性樹脂組成物に(E)有機溶媒を配合して粘度を調整することで、感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜を形成する際に、感光性樹脂組成物の塗布性を改良したり、塗布膜の厚さを調整したりすることができる。
【0169】
(E)有機溶媒の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。(E)有機溶媒の好適な具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−ブタノールのような一価アルコール;メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネートのようなアルキルカルボン酸エステル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのような多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのような多価アルコール誘導体;酢酸、プロピオン酸のような脂肪酸;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノンのようなケトン等が挙げられる。(E)有機溶媒は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0170】
感光性樹脂組成物中の(E)有機溶媒の量は特に限定されないが、感光性樹脂組成物中の固形分濃度が5質量%以上となる量が好ましく、20〜50質量%となる量がより好ましい。
【0171】
≪パターンの形成方法≫
以上説明した感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する方法は特に限定されない。好ましいパターン形成方法としては、前述の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、塗布膜を所定のパターンに露光する、露光工程と、塗布膜の未露光部を除去して現像する、現像工程とを含む方法が挙げられる。
【0172】
基板上に感光性樹脂組成物を塗布する方法は、所望する膜の塗布膜を形成できる方法であれば特に限定されない。基板上に感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター等の接触転写型塗布装置やスピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いる方法が挙げられる。感光性樹脂組成物が(E)溶剤を含む場合、基板上に形成された塗布膜を必要に応じて加熱して、塗布膜から(E)溶剤を除去してもよい。塗布膜の膜厚は0.05〜20μmが好ましく、0.05〜5μmがより好ましい。
【0173】
上記のような方法で形成される塗布膜は、形成するパターン形状に応じて選択的に露光される。選択的露光は、通常、パターン形状に応じた形状のマスクを介して行われる。露光に用いられる放射線としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、g線ステッパー、i線ステッパー等から放射される紫外線、電子線、レーザー光線等が挙げられる。露光量は、使用する光源や塗布膜の膜厚等によっても異なるが、通常、1〜1000mJ/cm
2、好ましくは10〜500mJ/cm
2である。
【0174】
露光後に、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液、水酸化カリウム等の現像液を用いて、未露光部を除去してパターンが現像される。現像後のパターンを、必要に応じて加熱、乾燥させることで、ポリシロキサン被膜からなるパターンが形成される。このようにして形成されるポリシロキサン被膜からなるパターンを絶縁材料や光学材料として使用することで、種々の電子部品を得ることができる。
【実施例】
【0175】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0176】
実施例及び比較例では、下記合成例1及び2に記載の方法に従って得られたポリシロキサン溶液SI−1及びSI−2に含まれるポリシロキサンを(A)成分として用いた。また、実施例及び比較例では以下の硬化促進剤を用いた
A:下記合成例3に記載の方法に従って得られた下式の化合物(C−1)
B:イミダゾール
C:濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウム硝酸塩水溶液
【0177】
【化25】
【0178】
[合成例1]
テトラエトシキシラン53.4gと、メチルトリエトキシシラン91.9gと、イオン交換水40gと、シュウ酸0.03gとを反応容器に仕込んだ。反応容器の内容物を、60℃で6時間撹拌して、テトラエトキシシランとメチルトリエトキシシランとの加水分解縮合反応を行った。次いで、容器内にジエチレングリコールジメチルエーテル363.3gを加えた後、エバポレーターを用いて、ジエチレングリコールジメチルエーテルと、加水分解より生じたエタノールとを除去した。エバポレーターにより濃縮された残渣を60℃の湯浴中で6時間加熱して、固形分濃度60質量%のポリシロキサン溶液241.1gを得た。得られたポリシロキサン溶液(SI−1)に含まれるポリシロキサンの質量平均分子量は780であった。
【0179】
[合成例2]
テトラエトキシシランをフェニルトリメトキシシランに変更することと、エバポレーターにより濃縮された残渣を加熱する条件を90℃、10時間に変更することとの他は、合成例1と同様にして、固形分濃度60質量%のポリシロキサン溶液211.2gを得た。得られたポリシロキサン溶液(SI−2)に含まれるポリシロキサンの質量平均分子量は5600であった。
【0180】
[合成例3]
3−(4−メトキシフェニル)アクリル酸クロリド5.90g(30mmol)を50mlの乾燥したエーテルに溶解し、トリエチルアミン4.59ml(当量比1.1)、イミダゾール2.25ml(当量比1.1)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液を、水50ml、飽和NaHCO
3水溶液50ml、及び1N塩酸で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。ヘキサン−酢酸エチルを展開溶媒とし、シリカゲルを支持担体としてカラムクロマトグラフィにより精製を行い、C−1(3.41g,15mmol)を得た。アクリル酸クロリド基準の収率は50%であった。
【0181】
〔実施例1〜3及び比較例1〜3〕
表1に記載の種類のポリシロキサン溶液100質量部と、光塩基発生剤(イルガキュアーOXE−02、オキシムエステル系化合物、BASF社製)1.0質量部と、表1に記載の種類の硬化促進剤1.0質量部と、脱水剤(オルト蟻酸メチル)3.0質量部とを、均一に混合して、実施例1〜3及び比較例1〜3の感光性樹脂組成物を得た。実施例では、硬化促進剤は(C)成分に相当する。
【0182】
〔パターン精度の評価〕
感光性樹脂組成物を5インチシリコンウエハの中心に2mL滴下し、スピン塗布法(700回転/分で30秒間回転)によりシリコンウエハ上に塗布膜を形成した。形成された塗布膜を100℃のホットプレートで60秒間乾燥させた。乾燥された塗布膜に対して、最小線幅が、10μmのライン状パターンを有するネガ用のマスクを介して、露光機(MPA−600FA、キャノン社製)を用いて表1に記載の露光量で紫外光を照射した。露光後の塗布膜を備えたシリコンウエハを100℃で60秒間加熱した後、シリコンウエハを室温まで自然冷却させた。その後、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液からなる現像液にそのシリコンウエハを30秒間浸漬して、未露光部を溶解させた。その後、シリコンウエハを水洗、スピン乾燥して、ポリシロキサン被膜からなるパターンを形成した。
【0183】
現像直後のポリシロキサン被膜からなるパターンの形状と、ポリシロキサン被膜からなるパターンを備えるシリコンウエハを、クリーンルーム環境下(室温24℃、湿度40%)に一週間放置した後のポリシロキサン被膜からなるパターンの形状とを比較し、パターン精度を評価した。なお、パターン形状は、パターン上部からの光学顕微鏡による観察と、パターン側面からのSEMによる観察とで確認した。一週間放置後のパターン形状が一週間放置前のパターン形状と同等であった場合を○と判定した。一週間放置後のパターン形状が一週間放置前のパターン形状から変化していた場合を×と判定した。パターン精度の評価結果を、表1に記す。
【0184】
〔保存安定性評価〕
調製直後の感光性樹脂組成物をクリーンルーム環境下(室温24℃、湿度40%)に一週間放置した。一週間放置後の感光性樹脂組成物を用いて、5インチシリコンウエハに対して、パターン精度の評価と同様にパターン形成操作を施した。所定の形状のパターンが形成された場合を○と判定した。所定の形状のパターンが形成されなかった場合を×と判定した。保存安定性の評価結果を、表1に記す。
【0185】
【表1】
【0186】
実施例1〜3によれば、所定の(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含む感光性樹脂組成物であれば、経時的に形状の変化しない精度に優れるパターンを形成でき、また、感光性樹脂組成物を一定期間保管した後でも所望する形状のパターンを形成できることが分かる。
【0187】
比較例1及び2によれば、硬化促進剤として上記一般式(c1)で表される化合物ではなくイミダゾールを含む感光性樹脂組成物を用いる場合、感光性樹脂組成物を保管する際にイミダゾールが(A)成分の縮合を進めてしまい、感光性樹脂組成物を一定期間保管した後に所望する形状のパターンを形成できないことが分かる。
【0188】
比較例3によれば、硬化促進剤としてテトラメチルアンモニウム硝酸塩を含む感光性樹脂組成物を用いる場合、実施例と同等の露光量ではパターン精度に優れるパターンを形成できず、また、感光性樹脂組成物を一定期間保管した後に所望する形状のパターンを形成できないことが分かる。