(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着剤層の端部は、前記偏光板のうち前記粘着剤層側にある全ての辺に対してそれぞれ前記四角形の内側に位置する凹み部を、前記各辺が延びる方向にそれぞれ延在して有している、請求項1又は2記載の粘着剤層付き偏光板。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各図面の寸法比率は必ずしも実際のものとは一致せず、特に、フィルムの厚さや凹み部の凹みの程度に関しては誇張して描いてある。
【0020】
図1及び
図2に示されているとおり、本実施形態の粘着剤層付き偏光板10は、薄膜状に形成された偏光子2の両面の全面に保護フィルム3,3が積層された偏光板1を備えている。また、一方の保護フィルム3には仮保護フィルム6が積層されており、他方の保護フィルム3には粘着剤層5を介してセパレータ4が積層されている。
【0021】
偏光子2、保護フィルム3,3、仮保護フィルム6、及びセパレータ4は、いずれも平面視長方形の同形に成形されており、これらの各フィルムは互いに、どの方向からの側面視においても同幅である。すなわち、偏光子2の端部2a、保護フィルム3,3の端部3a,3a、仮保護フィルム6の端部6a、及びセパレータ4の端部4aは全周に亘って位置が揃っており、粘着剤層付き偏光板10は、平面視長方形の外観をなしている。
【0022】
ここで「長方形」とは、四つの内角が90度である四角形のほか、その四角形の角が丸められた形状も含むものとする。また、「長方形」は対向する辺が平行であるもののほか、厳密には平行ではないが外観を視認したときに平行であると認識できる形状も含むものとする。
【0023】
偏光板1の長方形の大きさ、すなわち粘着剤層付き偏光板10がなす長方形の大きさは、粘着剤層付き偏光板10の適用対象に応じて任意に設定することができ、例えば10〜500cm
2であってもよく、50〜300cm
2であってもよく、100〜300cm
2であってもよい。面積がこれらの範囲内にあると、反りに対する許容度が小さい物品に対して、偏光板1を好適に適用することができる。
【0024】
また、隣り合う辺の長さの比、すなわち粘着剤層付き偏光板10の縦横比は、10:90〜45:55であることが好ましく、20:80〜45:55であることがより好ましく、30:70〜45:55であることが更に好ましい。ここで、粘着剤層付き偏光板10の長辺が延びる方向と、偏光子2の偏光軸の方向とが一致していてもよい。これらが一致していると偏光板1を貼着した物品が反りやすい傾向があるが、本実施形態の粘着剤層付き偏光板1では当該反りを抑制することができるため、都合がよい。
【0025】
また、粘着剤層付き偏光板10の長方形の対角線の長さとしては、3インチ〜15インチが好ましく、5インチ〜10インチがより好ましい。
【0026】
偏光子2と保護フィルム3との積層は、フィルム状に成形された偏光子2と保護フィルム3とを接着剤を介して貼合して構成されていてもよい。なお、
図1及び
図2では接着剤層を図示していない。
【0027】
偏光子2の材料としては、従来から偏光板の製造に使用されている公知の材料を用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。なかでもポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。保護フィルム3と貼合するためにフィルム状に成形する場合は、一軸延伸したフィルムにヨウ素又は二色性染料による染色を施し、ついでホウ酸処理することが好ましい。後述するとおり、フィルム状の偏光子は、偏光板の製造時に任意の大きさに切り出して用いることができる。
【0028】
偏光子2の厚さは、2〜75μmであることが好ましく、2〜50μmであることがより好ましく、2〜30μmであることが更に好ましい。
【0029】
保護フィルム3は、偏光子2の主面や端部の割れや傷つきを防止するフィルムである。ここで「保護フィルム」とは、偏光子2に種々積層され得るフィルムのなかでも、偏光子2に最も近い位置に物理的に積層されたフィルムを指している。
【0030】
保護フィルム3は、偏光板の分野で知られている各種の透明樹脂フィルムで構成することができる。例えば、トリアセチルセルロースを代表例とするセルロース系樹脂、ポリプロピレン系樹脂を代表例とするポリオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂を代表例とする環状オレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂を代表例とするアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂を代表例とするポリエステル系樹脂等が挙げられる。なかでも、セルロース系樹脂が代表的である。
【0031】
保護フィルム3としては、光学機能を有しないフィルムであってもよいし、位相差フィルムや輝度向上フィルムといった光学機能を併せもつフィルムであってもよい。
【0032】
保護フィルム3の厚さは、5〜90μmであることが好ましく、5〜80μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが更に好ましい。
【0033】
偏光子2と保護フィルム3との積層において接着剤を用いる場合、接着剤としては、従来から偏光板の製造に使用されている各種の接着剤を使用することができる。例えば、耐候性や屈折率、カチオン重合性等の観点から、分子内に芳香環を含まないエポキシ樹脂が好ましい。また、活性エネルギー線(紫外線又は熱線)の照射によって硬化するものが好ましい。
【0034】
エポキシ樹脂としては、例えば水素化エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が好ましい。エポキシ樹脂に対して、重合開始剤(例えば紫外線照射で重合させるための光カチオン重合開始剤、熱線照射によって重合させるための熱カチオン重合開始剤)や、更に他の添加剤(増感剤等)を添加して、塗布用のエポキシ樹脂組成物を調製して使用することができる。
【0035】
また、接着剤としては、アクリルアミド、アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル系樹脂や、ポリビニルアルコール系の水系接着剤を使用することもできる。
【0036】
偏光板1は、液晶セル等の表示用セル(画像表示素子)の片面又は両面に貼合されるものである。偏光板1は、保護フィルム3上に積層される他の光学層を更に含むことができる。他の光学層としては、ある種の偏光を透過し、それと逆の性質を示す偏光を反射する反射型偏光フィルム;表面に凹凸形状を有する防眩機能付フィルム;表面反射防止機能付フィルム;表面に反射機能を有する反射フィルム;反射機能と透過機能とを併せ持つ半透過反射フィルム;視野角補償フィルム等が挙げられる。
【0037】
偏光子2と保護フィルム3,3との三層からなる偏光板1の厚さは、10〜500μmであることが好ましく、10〜300μmであることがより好ましく、10〜200μmであることが更に好ましい。
【0038】
仮保護フィルム6は、剥離可能なフィルムであり、仮保護フィルム6を積層した保護フィルム3の表面を損傷、摩損等から保護するためのフィルムである。仮保護フィルム6の材料としては、保護フィルム3と同様のものを用いることができ、なかでもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましい。
【0039】
仮保護フィルム6は、基材となるフィルムの他に、このフィルムの表面に積層された弱い接着性を有する粘着剤層を有していてもよい。仮保護フィルム6は、保護フィルム3に積層された後、偏光板1の使用時まで保護フィルム3に貼合されており、使用時において保護フィルム3から剥離される。仮保護フィルム6の端部6aは、全周に亘って保護フィルム3の端部3aと位置が揃っていることが好ましいが、位置が揃っていなくてもよい。
【0040】
仮保護フィルム6の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましく、5〜100μmであることが更に好ましい。
【0041】
粘着剤層5は、偏光板1を他の物品(例えば液晶セル)に貼着させるときに機能する層である。粘着剤層5は、アクリル系樹脂や、シリコーン系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等で構成することができる。
【0042】
粘着剤層5の厚さは、2〜500μmであることが好ましく、2〜200μmであることがより好ましく、2〜50μmであることが更に好ましい。
【0043】
粘着剤層5を保護フィルム3に積層する方法としては、例えば、保護フィルム3に上記樹脂や任意の添加成分を含む溶液を塗布する方法でもよく、セパレータ4上に当該溶液で粘着剤層5を形成した後に保護フィルム3に積層する方法でもよい。
【0044】
図3は、粘着剤層付き偏光板10からセパレータ4を剥がした状態を、粘着剤層5側から見た平面図(又は底面図)である。この平面視(又は底面視)において、粘着剤層5は、偏光板1における保護フィルム3のうち、粘着剤層5側にある各辺3b(3b
1,3b
2,3b
3,3b
4)に対して凹んだ凹み部5a(5a
1,5a
2,5a
3,5a
4)をそれぞれ有している。すなわち、粘着剤層5の端部は、偏光板1の四角形形状に対して内側に位置する凹み部5aを有している。この凹み部5aにより、粘着剤層5の端部が粘着剤層付き偏光板10全体の端部からはみ出すことがなく、糊欠けを防止することができ、従って糊汚れも防止することができる。また、この凹み部5aにより、偏光板1が何らかの要因によって収縮する際に生じる応力を緩和することができ、偏光板を貼着した物品に対して変形を生じにくくすることができる。例えば貼着する対象がガラス板である場合は、ガラス板が反ることを防止することができる。
【0045】
凹み部5a
1は、辺3b
1が延びる方向に延在しており、凹み部5a
1と辺3b
1との距離は、辺3b
1の両端側(角に近い側)から中央側(辺の中点側)へ向うに従って湾曲しながら連続的に大きくなっている。すなわち、一つの凹み部5a
1全体としては、一つの辺3a
1の中央に対応する部分が、辺3b
1との距離L11が最も大きくなるように湾曲している。平面視における粘着剤層5の端部が辺3b
1に対して等距離で一様に凹んでいるのではなく粘着剤層5の頂点部分が辺3b
1の近くに残っていることによって、偏光板1を他の物品に貼着したときの密着力が過度に低下することを防止することができる。
【0046】
同様の観点から、凹み部5a
1と辺3b
1との最も離れた部分の距離L11の最大値は、10μm以上であることが好ましい。例えば25μmであってもよく、75μmであってもよく、250μmであってもよく、750μmであってもよい。距離L11の最大値の上限は、粘着剤層5の端部が、例えば貼着対象である液晶セルの有効表示領域に侵入しない程度に適宜設定することができる。この観点から、例えば1000μmが上限である。
【0047】
また、距離L11の最大値は、偏光板1の対角線の長さの0.004%以上であることが好ましく、0.02%以上であることが好ましい。最大値の上限としては、0.4%であることが好ましい。
【0048】
粘着剤層5の端部のうち、他の凹み部5a
2,5a
3,5a
4も同様に、辺3b
2,3b
3,3b
4に対してそれぞれ距離L12,L13,L14を有して湾曲している。
【0049】
ここで、各距離L11,L12,L13,L14は、互いに同一であっても異なっていてもよいが、粘着剤層5を設ける際の容易さから、同一であることが好ましい。
【0050】
平面視における粘着剤層5の頂点部分は、密着力をより強く維持する観点からは、
図3に示されているとおり保護フィルム3の面の隅部に達していることが好ましい。また、後述する実施例2で用いる態様(
図5参照)のように、粘着剤層5の頂点部分は、保護フィルム3の隅部に達していなくてもよい。この場合、粘着剤層5の各頂点部分と保護フィルム3の各辺との距離(
図5のL21,L22,L23,L24参照)は、1〜100μmが好ましく、5〜75μmがより好ましい。これらの範囲内であると、粘着剤層の密着力が発揮されやすく、貼着した偏光板が剥がれにくい傾向となるので好ましい。
【0051】
なお、距離L12,L13,L14の好ましい値については、
図3に示した態様の場合と同様である。
【0052】
セパレータ4は、粘着剤層5の保護や異物の付着防止等を目的として貼着される剥離可能なフィルムであって、偏光板1の使用時に剥がされて粘着剤層5が露出される。セパレータ4は、例えばポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂等で構成することができる。中でも、ポリエチレンテレフタレートの延伸フィルムが好ましい。
【0053】
セパレータ4の端部4aは、全周に亘って保護フィルム3の端部3aと位置が揃っていることが好ましい。すなわち、セパレータ4の形状は偏光板1の形状と同一であることが好ましい。ただし、必ずしも当該位置が揃っていなくてもよい。また、セパレータ4は、偏光板1の使用時に容易に剥がすことができるように、粘着剤層5に接する面にシリコーン樹脂等による離型処理を施してもよい。
【0054】
セパレータ4の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましく、5〜100μmであることが更に好ましい。
【0055】
粘着剤層付き偏光板10は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、保護フィルム3を構成する材料からなる長尺のフィルムロールから、二枚の保護フィルム3,3を長方形に切り出す。切り出す長方形の大きさや縦横比は、偏光板1の適用対象に応じて決めたものとする。一方の保護フィルム3の片面に接着剤を塗布する。
【0056】
次に、偏光子2を構成する材料からなる長尺のフィルムロールから、偏光子2を長方形に切り出す。切り出す長方形の大きさは、保護フィルム3の大きさと同一とする。切り出したフィルム状の偏光子2を、接着剤を塗布した保護フィルム3の面に積層する。接着剤として活性エネルギー線硬化性樹脂を用いた場合は、ここで活性エネルギー線を照射して接着剤を硬化させる。
【0057】
次に、偏光子2の他方の片面に接着剤を塗布し、残る一枚の保護フィルム3を積層する。接着剤として活性エネルギー線硬化性樹脂を用いた場合は、ここでも活性エネルギー線を照射して接着剤を硬化させる。こうして偏光板1が製造される。
【0058】
そして、片方の保護フィルム3に対して、偏光板1と同形状に切り出された仮保護フィルム6を積層する。このとき、弱い接着性を有する粘着剤を用いてもよい。
【0059】
粘着剤層5の原料となる樹脂を適当な溶媒に溶解し、これを仮保護フィルム6を積層した側とは反対側の保護フィルム3に対して塗布する。このとき、溶液を塗布する領域として、例えば
図2に示したような、端部となる辺が湾曲した長方形となるようにする。
【0060】
粘着剤層5を塗布する方法としては、例えばロボットディスペンサーを用いることができる。粘着剤層5の端部形状に関するプログラムをロボットに記憶させて、偏光板をXYステージに載せ、これに粘着剤の溶液を自動塗布する。
【0061】
また、粘着剤層5を塗布する方法としては、スクリーン印刷を用いてもよい。粘着剤層5の塗布形状に孔を開けた孔版を用意し、スクリーン印刷機を用いて粘着剤の溶液を自動塗布する。
【0062】
粘着剤層5を乾燥させた後、これに偏光板1と同形状に切り出したセパレータ4を積層する。
【0063】
以上の手順によって、
図1及び
図2に示された粘着剤層付き偏光板10が製造される。
【0064】
また、粘着剤層5は、セパレータ4上に塗布形成し、これを偏光板の保護フィルム3に貼りつけることで粘着剤層付き偏光板10を製造してもよい。
【0065】
また、各フィルムをそれぞれ個別に長方形に切り出して貼り合わせることに代えて、それぞれ長尺の偏光子2、保護フィルム3,3、及び仮保護フィルム6を用意し、それぞれを搬送しながら一対の貼合ロールを用いて貼合してもよい。この場合、これらが積層された長尺の偏光板を所定の長方形の形状に切断した後、粘着剤層5の塗布及びセパレータ4の積層を上記と同様に行う。
【0066】
また、他の製造方法としては、粘着剤層5の辺が所望の形状となるようにあらかじめ成形しておき、これを偏光板1に転写する方法がある。すなわち、粘着剤層5の両面にセパレータが積層された積層体を用意し、この積層体を辺が湾曲した形状となるように切り出す。そして、片方のセパレータを剥がし、上記いずれかの手順で用意した偏光子2、保護フィルム3,3、及び仮保護フィルム6の積層体に対して粘着剤層5を貼り合わせる。この状態では、セパレータの辺が粘着剤層5と同様に湾曲した形状であるため、当該セパレータを剥がし、別途偏光板1の形状と同一形状に切断したセパレータ4を積層する。こうして
図1及び
図2に示された粘着剤層付き偏光板10が製造される。
【0067】
以上に説明した本実施形態の粘着剤層付き偏光板10は、粘着剤層5の端部が偏光板1の辺(保護フィルム3の辺3b)に対して内側に位置する凹み部5aを有しているため、輸送その他のハンドリング時における糊欠けや糊汚れを防止することができ、且つ貼着後の物品に反りが生じにくい。また、凹み部5aと辺3bとの距離(L11,L12,L13,L14)が辺の端側から中央側へ向うに従って連続的に大きくなっているため、密着力の低下が防止される。
【0068】
また、
図2及び
図3に示した粘着剤層付き偏光板10では、セパレータ4の形状が偏光板1の形状と同一であるため、輸送その他のハンドリング時に粘着剤層付き偏光板10の取り扱いが容易である。
【0069】
また、偏光板1は平面視長方形であるため、画像表示装置等、種々の物品に適用しやすい。粘着剤層付き偏光板10の使用時には、セパレータ4を剥がして粘着剤層5を露出させ、その粘着力によって偏光板1を他の物品、例えば液晶セル、有機ELデバイスに貼着することができる。液晶セルを例にすると、
図4に示されているとおり、セパレータ4を剥がした粘着剤層付き偏光板10を液晶セル8の両面に貼着して液晶パネル9を構成し、これにバックライト(面光源装置;図示省略)その他の部材を組み合わせることで、液晶表示装置20を作製することができる。他方、仮保護フィルム6を剥がして露出した面にはタッチパネル等を設けることができる。
【0070】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、上記実施形態では凹み部5aと辺3bとの距離が辺3bの端側から中央側へ向うに従って連続的に大きくなっている態様を示したが、連続的ではなく段階的に大きくなっている態様であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態では凹み部5aが保護フィルム3の各辺3bに対して内側に位置している態様を示したが、一つないし三つの辺3bに対して凹み部5bを有していない態様であってもよい。このとき、凹み部5bを有している辺3bが延びる方向と、偏光子2の偏光軸の方向とが一致していてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では粘着剤層付き偏光板10がセパレータ4を備える態様を示したが、セパレータ4を備えない態様であってもよい。
【0073】
また、上記実施形態では偏光子2の両面に保護フィルム3,3が積層されている態様を示したが、片方の保護フィルム3を備えない態様であってもよい。
【0074】
また、上記実施形態では粘着剤層付き偏光板10が仮保護フィルム6を備える態様を示したが、仮保護フィルム6を備えない態様であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では粘着剤層付き偏光板10が平面視長方形である態様を示したが、平面視した場合の形状は、正方形、菱形、平行四辺形、台形等、他の四角形であってもよい。
【実施例】
【0076】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0077】
<実施例1−1>
それぞれ長尺の偏光子、保護フィルム及び仮保護フィルムを用意し、これらが
図1及び
図2の積層順となるように、それぞれを搬送しながら一対の貼合ロールにて貼合した。これを長辺150mm、短辺95mmの長方形の形状に切断した。ここでは、長方形の長辺が延びる方向と偏光子の偏光軸の方向が一致する形状となるように切断した。
【0078】
他方、粘着剤層の両面にセパレータが積層された積層体を用意し、この積層体を
図3に示されたように辺が湾曲した形状となるように切り出した。そして、片方のセパレータを剥がし、上記長方形に切断した偏光板の仮保護フィルムが設けられていない側の面に粘着剤層を貼り合わせた。セパレータを剥がし、別途偏光板の形状と同一形状に切断したセパレータを積層し、粘着剤層付き偏光板を完成させた。ここで、湾曲幅(凹み部と辺との距離)の最大値はいずれも10μmとした。すなわち、
図3において、L11=L12=L13=L14=10μmである。
【0079】
試験に供するため、この粘着剤層付き偏光板からセパレータを剥がし、ガラス板(長辺116mm、短辺67mm、厚さ0.4mm)に貼着して、貼着体を得た。
【0080】
貼着体を85℃の環境下で100時間加熱し、その後、23℃の環境下で1時間冷却した。その後、反った貼着体を、側面視において下方に凸となるように石定盤の上に載置した。貼着体の反りによって浮き上がった四隅と石定盤との距離をすきまゲージによって測定し、その四つの距離の平均値を反り量とした。
【0081】
以下の式によって、反り量から反り割合を求めた。
反り割合={反り量(mm)/偏光板の面積(cm
2)}×100
【0082】
また、偏光板の上記ガラス体への貼着から反り量の測定までにおいて、偏光板がガラス体から剥がれていないかどうかを顕微鏡によって確認した。
【0083】
また、上記一連の製造及び測定の工程において、偏光板又は仮保護フィルムに糊汚れが生じていないかどうかを目視によって確認した。
【0084】
<実施例1−2、実施例1−3、実施例1−4、実施例1−5>
実施例1−1において粘着剤層の湾曲幅を50μm、100μm、500μm、1000μmに変更したこと以外は同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、各測定を行った。
【0085】
<実施例1−6>
実施例1−3において、粘着剤層の辺のうち一つの長辺のみを湾曲させたこと以外は同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、各測定を行った。
【0086】
<実施例2−1、実施例2−2>
粘着剤層の頂点部分が偏光板の隅部に達しない態様(
図5参照)となるように変更したこと以外は実施例1−4と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、各測定を行った。ここで、隅部の隔離幅(粘着剤層の各頂点部分と各辺との距離)は、実施例2−1及び実施例2−2でそれぞれ10μm、50μmとした。また、各実施例において隅部の隔離幅をいずれも同一とした。すなわち、
図5において、L21=L22=L23=L24である。
【0087】
<実施例3、実施例4>
偏光板のサイズを小さく(長辺105mm、短辺55mm)、又は大きく(長辺190mm、短辺140mm)したこと以外は実施例1−4と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、各測定を行った。
【0088】
<比較例1−1、比較例1−2、比較例1−3>
偏光子、保護フィルム、仮保護フィルム、粘着剤層及びセパレータが全て積層された長尺の積層体を用意し、それぞれ実施例1−1、実施例3、実施例4と同様の大きさに切り出した。これらの比較例では、粘着剤層は偏光板の片面の全面に存在する。それぞれについて実施例1と同様に各測定を行った。
【0089】
<比較例2−1、2−2>
図6に示したとおり粘着剤層を各辺から等距離で離間するように設けたこと以外はそれぞれ実施例1−3及び実施例1−4と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、各測定を行った。ここで、離間距離は比較例2−1及び比較例2−2でそれぞれ100μm、500μmとした。
【0090】
<比較例2−3、2−4>
偏光板のサイズを小さく(長辺105mm、短辺55mm)、又は大きく(長辺190mm、短辺140mm)したこと以外は比較例2−2と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、各測定を行った。
【0091】
<比較例3>
図7に示したとおり粘着剤層を楕円形のように設けたこと以外は実施例1−2と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造し、各測定を行った。ここで、粘着剤層のうち、偏光板の四辺にもっとも近い部分をいずれも同一距離とし(L31=L32=L33=L34=50μm)、且つ、偏光板の隅部にもっとも近い部分と辺との距離をいずれも同一とした(L41=L42=L43=L44=100μm)。
【0092】
以上の結果を表1に示した。表1において、「反り割合」、「剥がれ」、「糊汚れ及び糊欠け」、「総合判定」の評価結果は、以下のとおりである。
・反り割合
1.5未満 …「A」
1.5以上 …「B」
・剥がれ
1mm未満 …「A」
1mm以上 …「B」
・糊汚れ及び糊欠け
なし …「A」
あり …「B」
・総合判定
上記三項目がすべて「A」 …「A」
上記三項目の少なくとも一つが「B」 …「B」
【0093】
【表1】
【0094】
なお、表1において「偏光板のサイズ」の値は、偏光板の大きさを業界で慣用されているインチ単位で示した参考値であって、厳密な値ではない。また、反り量の測定時に使用したガラス板のサイズは、表2に示したとおりである。
【表2】
【0095】
表1の結果によれば、粘着剤層が凹み部を有していることにより、反り割合が小さく、糊汚れが生じにくいことがわかる。また、粘着剤層が湾曲した形状をしていることにより、粘着剤が剥がれにくい、すなわち密着力が高いことがわかる。更に、粘着剤層の湾曲は一辺のみでも発明の効果が奏されることが分かる。
【解決手段】粘着剤層付き偏光板は、偏光板1と、偏光板1の少なくとも一方の面に積層された粘着剤層5とを備えている。偏光板1は平面視四角形であり、粘着剤層5の端部は、偏光板1のうち粘着剤層5側にある少なくとも一つの辺3bに対して四角形の内側に位置する凹み部5aを、辺3bが延びる方向に延在して有しており、凹み部5aと辺3bとの距離は、辺3bの端側から中央側へ向うに従って大きくなっている。