特許第5997483号(P5997483)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5997483整流カバーを備えたポンプ装置及び整流カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997483
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】整流カバーを備えたポンプ装置及び整流カバー
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/00 20060101AFI20160915BHJP
   F04D 13/08 20060101ALI20160915BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20160915BHJP
   F04D 29/54 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
   F04D13/00 F
   F04D13/08 X
   F04D29/66 A
   F04D29/54 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-88917(P2012-88917)
(22)【出願日】2012年4月10日
(65)【公開番号】特開2013-217299(P2013-217299A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100114487
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100117411
【弁理士】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 良之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 圭司
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】本田 修一郎
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−036559(JP,A)
【文献】 特開2009−197648(JP,A)
【文献】 特開平10−169589(JP,A)
【文献】 特開2008−88905(JP,A)
【文献】 米国特許第2243208(US,A)
【文献】 米国特許第2554191(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/177458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00−13/16
F04D 17/00−19/02
F04D 21/00−25/16
F04D 29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラムパイプ(102,202,302)と、
前記コラムパイプ内に配置された水中モータポンプ(104,204,304)と、
前記水中モータポンプに取り付けられた整流カバー(106,206,306)であって、取付位置において当該水中モータポンプのフレームから、流体流れの下流側に向かって角なく外形が徐々に減少する連続した流線形状の外形を有する整流カバー(106,206,306)と、
を有する、プルアウト形ポンプ装置(100,200,300)。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置において、
前記整流カバーは、当該整流カバーの外形が流れの下流に向けて小さくなる、ポンプ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポンプ装置において、
前記整流カバーは、耐腐食性を有する金属材料、高分子材料、セラミクス材料のうち少なくとも一つで形成された、ポンプ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポンプ装置において、
前記水中モータポンプの下流側で前記コラムパイプと直交して接続された吐出管(122)を更に有し、
前記整流カバーは、当該整流カバーの下流側端部が前記吐出管の中心軸より前記水中モータポンプに近い側になるように形成された、ポンプ装置。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポンプ装置において、
電源ケーブル及び吊下げワイヤの少なくともいずれか一方を収納して保護する保護パイプであって、前記整流カバーの下流側端部に取り付けられた保護パイプを更に有する、ポンプ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のポンプ装置において、
前記水中モータポンプの下流側で前記コラムパイプと直交して接続された吐出管を更に有し、
前記保護パイプは、前記吐出管の中心軸より前記水中モータポンプから遠い側で当該保護パイプの外径が前記整流カバーの外径より小さくなるように形成された、ポンプ装置。
【請求項7】
コラムパイプ(302)と、
前記コラムパイプ内に配置された水中モータポンプ(304)と、
前記コラムパイプと前記水中モータポンプとの間の流れの下流側で、当該水中モータポンプに取り付けられた整流カバー(306)であって、取付位置において当該水中モータポンプのフレームから、流体流れの下流側に向かって角なく外形が徐々に減少する連続した流線形状の外形を有する整流カバー(306)と、
を有し、
前記整流カバーは、当該整流カバーの下流側が延長された延長部(318)を有し、
前記延長部は、電源ケーブル(310)及び吊下げワイヤ(314)の少なくともいずれか一方を収納して保護する、プルアウト形ポンプ装置(300)。
【請求項8】
コラムパイプ(102,202,302)内に配置された水中モータポンプ(104,204,304)に取り付けられる整流カバーであって、
取付位置において前記水中モータポンプのフレームから、流体流れの下流側に向かって角なく外形が徐々に減少する連続した流線形状の外形を有する、整流カバー(106,206,306)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流カバーを備えたポンプ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部における市街地化や宅地化による舗装率の向上および下水管渠の普及等によって、雨水がポンプ設備の吸水槽に急激かつ大量に流入する傾向にある。しかし、この大量の雨水が流入するのに充分な容量の吸水槽を設備することは、土地が高価である等のため経済的に困難なこともある。その結果、吸水槽の容量が不充分で、水位が大幅に急激な変化を生じさせ易い。この吸水槽の雨水を排除するポンプの一例として、プルアウト形ポンプ装置が広く用いられている。
【0003】
また、台風等の天災による一度の大量の降雨によって雨水の排水が充分に行なわれず、低地等に出水の災害を生じさせる虞がある場合にも、出水を迅速に排水するためにプルアウト形ポンプ装置が用いられている。
【0004】
プルアウト形ポンプ装置の公報掲載の公知技術として、例えば特許文献1に開示の技術がある。
【0005】
図1は、ポンプユニット504がコラムパイプ502に挿入された構成を有する従来のポンプ装置500を説明する図である。揚水溜め中に浸漬するようにして取り付けたコラムパイプ502の下部に、ソールプレート532が取り付けられ、該ソールプレート532上にポンプユニット504が固定されている。このポンプユニット504は、インペラ526から吐き出された揚液をコラムパイプ502内に軸方向へ導くために案内羽根を備えた吐出ボウル534、その下部に取り付けられた吸込ベル536、上部に取り付けられたモータ516及び該モータ516の軸に取り付けられたインペラ526などの主要部品から構成されている。また、モータ516の上部には、動力用ケーブル510が取り付けられ揚水管502のコラムハッチ512を貫通して外部に引き出されており、またモータ516の下部には、メカニカルシール538が取り付けられており、モータ室内へ揚液が侵入するのを防いでいる。そして、上記吐出ボウル534の外周部には、ソールプレート532との取り付け位置に膨出部540が形成され、該膨出部540の外面とソールプレート532との取り付け面は、ポンプ軸芯に対しある角度をもった円錐状に形成されている。
【0006】
また、水中に吊り下げられて揚水作業を行う水中モータポンプを用いた揚水装置に関する公報掲載技術として、特許文献2に開示の技術もある。
【0007】
固定された外ケーシング内に着脱自在に水中モータポンプユニットを取付けた液体揚水装置において、水中モータポンプユニットの上部に吊り下げ管の下端を固着し、吊り下げ管の上端を外ケーシングの上部で支承すると共に、モータに至るケーブルおよびケーブルグランドを吊り下げ管内に位置させた技術が開示されている。
【0008】
更にまた、空転状態でも水中モータポンプが加熱により破損することがなく、継続した運転を可能とする公報掲載技術として、特許文献3に開示の技術もある。
【0009】
水中モータポンプのモータフレームの外周壁とコラムパイプの内周壁との間の流路内に、モータフレームから水流と平行に複数の放熱フィンを突出させる。コラムハッチに空転状態での空気の流路を形成する空気弁を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭60−32599号公報
【特許文献2】特開昭58−138293号公報
【特許文献3】特許第2632466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、一般的なプルアウト形水中モータポンプは、モータ部下流側が平坦な端面を有する円筒型であり、端面には吊下げ冶具や電源ケーブルのコネクタ等が複雑に配置されている。コラムパイプ内に水中モータポンプを設置した状態でポンプ装置を稼働させて流体を流すと、モータ部の下流側で流体の剥離が発生し、渦が生じる。この渦のために、流体の移送効率は低下し、ポンプ装置内でキャビテーションが発生し、騒音の原因となる。
【0012】
上記の問題を解決するために本発明はなされたのであって、その課題とするところは、水中モータポンプのモータ部の下流側で生じる流体の剥離や渦の発生を防ぐことで、流体移送の効率低下が少なく、キャビテ−ションや騒音を防止できるポンプ装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下、本発明について上記課題を解決するための手段を説明する。尚、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0014】
上記課題を解決するために、プルアウト形ポンプ装置(100,200,300)は、コラムパイプ(102,202,302)と、コラムパイプ内に配置された水中モータポンプ(104,204,304)と、水中モータポンプに取り付けられた整流カバー(106,206,306)であって、取付位置において水中モータポンプのフレームに連続した外形を有する整流カバー(106,206,306)とを有する。
【0015】
ここで、整流カバーは、整流カバーの外形が流れの下流に向けて小さくなることを特徴とすれば、流れの剥離を抑えることができる。
【0016】
また、整流カバーは、金属材料、高分子材料、セラミクス材料のうち少なくとも一つで形成されることを特徴とすれば、耐腐食性を確保し、モータの発生熱を外部に伝導することができる。
【0017】
更に、水中モータポンプの下流側でコラムパイプと直交して接続された吐出管(122)を更に有し、整流カバーは、整流カバーの下流側端部が吐出管の中心軸より水中モータポンプに近い側になるように形成されることを特徴とすれば、流路の有効断面積が確保することができる。
【0018】
更にまた、電源ケーブル及び吊下げワイヤの少なくともいずれか一方を収納して保護する保護パイプであって、整流カバーの下流側端部に取り付けられた保護パイプを更に有することを特徴とすれば、ケーブルの絡みがなくなり、流れを更にスムーズにすることができる。
【0019】
更にまた、水中モータポンプの下流側でコラムパイプと直交して接続された吐出管を更に有し、保護パイプは、吐出管の中心軸より水中モータポンプから遠い側で保護パイプの
外径が整流カバーの外径より小さくなるように形成されることを特徴とすれば、流路の有効断面積が確保することができる。
【0020】
上記課題を解決するために、プルアウト形ポンプ装置(300)は、コラムパイプ(302)と、コラムパイプ内に配置された水中モータポンプ(304)と、コラムパイプと水中モータポンプとの間の流れの下流側で、水中モータポンプに取り付けられた整流カバー(306)とを有し、整流カバーは、整流カバーの下流側が延長された延長部(318)を有し、延長部は、電源ケーブル(310)及び吊下げワイヤ(314)の少なくともいずれか一方を収納して保護する。
【0021】
上記課題を解決するために、整流カバー(106,206,306)は、コラムパイプ(102,202,302)内に配置された水中モータポンプ(104,204,304)に取り付けられる整流カバーであって、取付位置において水中モータポンプのフレームに連続した外形を有する。
【発明の効果】
【0022】
以上の構成を備えた本発明によれば、水中モータポンプのモータ部の下流側で生じる流体の剥離や渦の発生を防ぐので、流体移送の効率低下が少なく、キャビテ−ションや騒音を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】水中モータポンプがコラムパイプに挿入された構成を有する従来のポンプ装置を説明する図である。
図2】整流カバーが取り付けられていない水中モータポンプを有するプルアウト形ポンプ装置を示す図である。
図3図2のモータ部のフレーム下流側で発生する渦の様子を示す図である。
図4】第1実施形態に係る整流カバーが取り付けられた水中モータポンプを有するポンプ装置を示す図である。
図5】第2実施形態に係る整流カバーを有するポンプ装置の整流カバーの周囲の構成を示す拡大図である。
図6】第3実施形態に係る整流カバーが取り付けられた水中モータポンプを有するポンプ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
まず、従来技術のプルアウト形ポンプ装置を説明する。図2は、整流カバーが取り付けられていない水中モータポンプ604がコラムパイプ602内に固定された構成を有するプルアウト形ポンプ装置600を示す図である。
【0025】
図2に示されるように、ポンプ装置600は、コラムパイプ602と、コラムパイプ602内に配置された水中モータポンプ604とを有する。吐出管622は、水中モータポンプ604の下流側において、コラムパイプ602と直交して接続されている。水中モータポンプ604は、モータ部616が筒状のフレームで蓋われており、概ね円筒形状を有している。水中モータポンプ604の下流側端部は平坦な端面を有し、吊下げ冶具608や電源ケーブル610のコネクタ609等が配置されている。ポンプ装置600は、水中モータポンプ604の上流側に吸水口620を備えている。
【0026】
かかる構成のポンプ装置600を始動させると、水中モータポンプ604の上流側先端に取り付けられたインペラ626によって流体が吸水口620からポンプ装置600内に取り込まれる。流体は、コラムパイプ602と水中モータポンプ604との間の流路624を通り、コラムパイプ602の下流側において、向きを90°変えて吐出管622から
排出される。
【0027】
モータ部616のフレームが、下流側に向けて細くなる流線形状でなく、軸方向に外径が同一の円筒形状であるので、フレーム下流側において流体は剥離し渦を生じる。図3は、図2のモータ部616のフレーム下流側で発生する渦の様子を示す図である。流体が剥離して流れに渦ができると、流体の移送効率は低下する。また、渦の発生は、キャビテーションや騒音の発生原因となる。
【0028】
次に、本実施形態に係る整流カバーが取り付けられた水中モータポンプを有するプルアウト形ポンプ装置を説明する。図4は、第1実施形態に係る整流カバー106が取り付けられた水中モータポンプ104を有するプルアウト形ポンプ装置100を示す図である。
【0029】
図4に示されるように、ポンプ装置100は、コラムパイプ102と、コラムパイプ102内に配置された水中モータポンプ104とを有する。また、ポンプ装置100は、水中モータポンプ104の上流側に吸水口120を備えている。
【0030】
吐出管122は、水中モータポンプ104の下流側において、コラムパイプ102と直交して接続されている。また、ポンプ装置100は、コラムパイプ102と水中モータポンプ104との間の流路124を通る、吸水口120からの延長線上の最下流にコラムハッチ112を有している。整流カバー106は、水中モータポンプ104に電力を供給する電源ケーブル110が通過するポート107を有し、また、吊下げ冶具108を有して吊下げワイヤ114を介して水中モータポンプ104をコラムハッチ112に吊ることを可能にしている。
【0031】
水中モータポンプ104は、モータ部116が筒状のフレームで蓋われており、概ね円筒形状を有している。水中モータポンプ104の下流側には整流カバー106が取り付けられており、整流カバー106の内部に電源ケーブル110のコネクタ109が収納されている。尚、整流カバー106の下流側端部が吐出管122の中心軸より水中モータポンプ104に近い側になるように整流カバー106が形成されることで、コラムパイプ102と吐出管122との接続箇所における流路124の有効断面積を確保するようにしてもよい。
【0032】
かかる構成のポンプ装置100を始動させると、水中モータポンプ104の上流側先端に取り付けられたインペラ126によって流体が吸水口120からポンプ装置100内に取り込まれる。流体は、コラムパイプ102と水中モータポンプ104との間の流路124を通り、整流カバー106の下流側において向きを90°変えて吐出管122から排出される。
【0033】
整流カバー106の下流側の面には吊下げ冶具108が取り付けられており、整流カバー106は、図2に示された吊下げ冶具608の機能も果たしている。具体的には、整流カバー106の吊下げ冶具108は、ポンプ装置100をコラムハッチ112に接続する吊下げワイヤ114に接続されている。ここで、整流カバー106の材質は、SUSなどの金属材料のほか、樹脂などの高分子材料、セラミックス材料、2種類以上の材料を組み合わせた複合材料などいずれのものでもよいし、これらの材料を塗装したものでもよいが、耐食性及び、モータからの発生熱の伝導性に優れたものが好ましい。
【0034】
整流カバー106は、図4に示されるように、取付位置において水中モータポンプ104のフレームに連続した外形を有する。また、整流カバー106は、流体流れの下流に向かって外形が徐々に減少する形状を有している。よって、流体は、水中モータポンプ104の下流側において整流カバー106の外面に沿うように流れ、剥離や渦を軽減すること
ができる。尚、整流カバー106の縦断面形状は、半円形状でも、半楕円形状でも、三角形状でもよく、流体の剥離が減少する形状であればいずれでもよい。
【0035】
かかる構成を有する整流カバー106を採用することで、流体移送の効率低下が少なく、水中モータポンプ104の下流側でのキャビテ−ションや騒音を防止することができる。また、流体移送の効率の低下が少ないため、整流カバー106を取り付けたポンプ装置100は、整流カバーを備えないポンプ装置に比べ、ポンプ効率を上げることができ省エネルギーにつなげることができる。
【0036】
図5は、第2実施形態に係る整流カバー206を有するポンプ装置200の整流カバー206の周囲の構成を示す拡大図である。第2実施形態に係る整流カバー206は、吊下げ冶具の機能を果たさない点で、第1実施形態に係る整流カバー106と異なる。具体的には、電源ケーブル210のコネクタ209の他に吊下げ冶具208も整流カバー206内に収納され、吊下げ冶具208から延びた吊下げワイヤ214が整流カバー206を貫通して、コラムハッチ(不図示)に接続されている。整流カバー206は、図5に示されるように、取付位置において水中モータポンプ204のフレームに連続した外形を有する。尚、図5に示す整流カバー206の縦断面形状は、図4の例と異なり、三角形である。図5に示されるように、流体は、水中モータポンプ204の下流側において整流カバー206の外面に沿うように流れ、剥離や渦を軽減することができる。
【0037】
図6は、第3実施形態に係る整流カバー306が取り付けられた水中モータポンプ304を有するポンプ装置300を示す図である。第3実施形態に係る整流カバー306は、整流カバー306の下流側がコラムハッチ312まで延長されて、内部を電源ケーブル310や吊下げワイヤ314が通っている点で、第1又は第2実施形態に係る整流カバー106,206と異なる。第3実施形態に係る整流カバー306の延長部318は、電源ケーブル310や吊下げワイヤ314等の保護パイプとしての機能を果たす。整流カバー306は、図6に示されるように、取付位置において水中モータポンプ304のフレームに連続した外形を有する。
【0038】
延長部318は、水中モータポンプ304の下流側での流れの剥離や渦の発生を防ぎ、水の流れによって電源ケーブル310が絡むことを防止する。電源ケーブル310の絡みは、流体の移送効率の低下を招くばかりでなく、電源ケーブル310の損傷につながる。尚、吐出管322の中心軸より水中モータポンプ304から遠い側で延長部318の外径が整流カバー306の延長部318以外の部分の外径より小さくなるように延長部318を形成し、コラムパイプが長い場合は吐出管322の中心軸より近い側で小さくなるように形成し、これにより、コラムパイプ302と吐出管322との接続箇所における流路324の有効断面積を確保するようにしてもよい。
【0039】
ポンプ装置300を始動させると、水中モータポンプ304の上流側先端に取り付けられたインペラ326によって流体が吸水口320からポンプ装置300内に取り込まれる。流体は、コラムパイプ302と水中モータポンプ304との間の流路324を通り、水中モータポンプ304の下流側において向きを90°変えて吐出管322から排出される。
【0040】
第3実施形態に係る整流カバー306により、流体の剥離を防止し、電源ケーブル310の絡みや損傷を抑え、効率の良いポンプ装置300を提供することができる。
【0041】
尚、上記第3実施形態では、整流カバー306は、整流カバー306の頂部がコラムハッチ312まで延長されて延長部318が形成されるように、即ち、延長部318が整流カバー306の一部として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。整流カ
バーと保護パイプとを別部品とすることも可能である(図示省略)。このとき、吐出管の中心軸より水中モータポンプから遠い側で保護パイプの外径が整流カバーの外径より小さくなるように保護パイプが形成されることで、コラムパイプと吐出管との接続箇所における流路の有効断面積を確保するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
100,200,300:ポンプ装置、102,202,302:コラムパイプ、104,204,304:水中モータポンプ、106,206,306:整流カバー、107,207:ポート、108,208:吊下げ冶具、109,209:コネクタ、110,210,310:電源ケーブル、112,312:コラムハッチ、114,214,314:吊下げワイヤ、116,216,316:モータ部、318:延長部、120,320:吸水口、122,322:吐出管、124,324:流路、126,326:インペラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6