(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力された記録データを、2次元符号に符号化し変調素子上に配置して、前記変調素子に対向する受光素子の再生領域で前記記録データの変調データを受光して再生するホログラム記録再生装置において再生された、前記変調データの再生データから、前記変調素子と前記受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に前記受光素子の再生領域で再生すべき前記2次元符号を推定して復号する2次元符号復号装置であって、
前記2次元符号の全てのパターンを仮想変調表示領域にそれぞれ仮想的に配置するときの仮想変調素子の各ピクセルと、前記仮想変調素子の前記仮想変調表示領域で仮想的に変調された仮想変調データを仮想再生表示領域でそれぞれ仮想的に受光して再生するときの仮想受光素子の前記仮想再生表示領域の各ピクセルとを、同じ大きさの微小領域で仮想的に分割して微小領域ごとにそれぞれ2次元座標を割り当てる2次元座標割り当て手段と、
前記変調素子に対する前記受光素子の位置ずれ量に基づいて、前記2次元座標割り当て手段で割り当てられた前記各仮想変調表示領域の各ピクセルの2次元座標系を、それぞれ対応する前記仮想再生表示領域の各ピクセルの2次元座標系に変換する変換式を生成する変換式生成手段と、
前記変換式生成手段で生成された前記変換式により、前記仮想変調素子の前記仮想変調表示領域の各ピクセルの2次元座標系を、それぞれ対応する前記仮想受光素子の前記仮想再生表示領域の各ピクセルの2次元座標系にそれぞれ変換し、さらに、前記仮想変調表示領域の各ピクセルの前記微小領域上の前記仮想変調データを、それぞれ対応する前記仮想再生表示領域の各ピクセルの前記微小領域にそれぞれ割り当て、前記仮想再生表示領域の各ピクセルの前記微小領域に割り当てられた前記仮想変調データに基づいて仮想再生データを生成する仮想再生データ生成手段と、
前記仮想再生データ生成手段で前記2次元符号のパターンの数だけ生成された前記仮想再生データと、前記再生データとをそれぞれ対比し、前記再生データに最も近い前記仮想再生データを、前記変調素子と前記受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に、前記仮想再生データに対応する前記受光素子の前記再生領域で再生すべき前記2次元符号であると推定し、推定した前記2次元符号を復号する復号データ推定手段と、を備え、
前記2次元座標割り当て手段は、前記微小領域の大きさを、前記仮想受光素子を微小領域で分割し、一定の位置ずれ量の場合とずれのない場合との出力振幅比が所定の値以内になるように前記仮想受光素子における前記仮想再生表示領域の各ピクセルについて予め求めた仮想分割数に応じて設定することを特徴とする2次元符号復号装置。
入力された記録データを、2次元符号に符号化し変調素子上に配置して、前記変調素子に対向する受光素子の再生領域で前記記録データの変調データを受光して再生するホログラム記録再生装置であって、
前記2次元符号の全てのパターンを仮想変調表示領域にそれぞれ仮想的に配置するときの仮想変調素子の各ピクセルと、前記仮想変調素子の前記仮想変調表示領域で仮想的に変調された仮想変調データを仮想再生表示領域でそれぞれ仮想的に受光して再生するときの仮想受光素子の前記仮想再生表示領域の各ピクセルとを、同じ大きさの微小領域で仮想的に分割して微小領域ごとにそれぞれ2次元座標を割り当てる2次元座標割り当て手段と、
前記変調素子に対する前記受光素子の位置ずれ量に基づいて、前記2次元座標割り当て手段で割り当てられた前記各仮想変調表示領域の各ピクセルの2次元座標系を、それぞれ対応する前記仮想再生表示領域の各ピクセルの2次元座標系に変換する変換式を生成する変換式生成手段と、
前記変換式生成手段で生成された前記変換式により、前記仮想変調素子の前記仮想変調表示領域の各ピクセルの2次元座標系を、それぞれ対応する前記仮想受光素子の前記仮想再生表示領域の各ピクセルの2次元座標系にそれぞれ変換し、さらに、前記仮想変調表示領域の各ピクセルの前記微小領域上の前記仮想変調データを、それぞれ対応する前記仮想再生表示領域の各ピクセルの前記微小領域にそれぞれ割り当て、前記仮想再生表示領域の各ピクセルの前記微小領域に割り当てられた前記仮想変調データに基づいて仮想再生データを生成する仮想再生データ生成手段と、
前記仮想再生データ生成手段で前記2次元符号のパターンの数だけ生成された前記仮想再生データと、前記変調データの再生データとをそれぞれ対比し、前記再生データに最も近い前記仮想再生データを、前記変調素子と前記受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に、前記仮想再生データに対応する前記受光素子の前記再生領域で再生すべき前記2次元符号であると推定し、推定した前記2次元符号を復号する復号データ推定手段と、を備え、
前記2次元座標割り当て手段は、前記微小領域の大きさを、前記仮想受光素子を微小領域で分割し、一定の位置ずれ量の場合とずれのない場合との出力振幅比が所定の値以内になるように前記仮想受光素子における前記仮想再生表示領域の各ピクセルについて予め求めた仮想分割数に応じて設定することを特徴とするホログラム記録再生装置。
入力された記録データを、2次元符号に符号化し変調素子上に配置して、前記変調素子に対向する受光素子の再生領域で前記記録データの変調データを受光して再生するホログラム記録再生装置において再生された、前記変調データの再生データから、前記変調素子と前記受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に前記受光素子の再生領域で再生すべき前記2次元符号を推定して復号するために、コンピュータを、
前記2次元符号の全てのパターンを仮想変調表示領域にそれぞれ仮想的に配置するときの仮想変調素子の各ピクセルと、前記仮想変調素子の前記仮想変調表示領域で仮想的に変調された仮想変調データを仮想再生表示領域でそれぞれ仮想的に受光して再生するときの仮想受光素子の前記仮想再生表示領域の各ピクセルとを、同じ大きさの微小領域で仮想的に分割して微小領域ごとにそれぞれ2次元座標を割り当てる2次元座標割り当て手段、
前記変調素子に対する前記受光素子の位置ずれ量に基づいて、前記2次元座標割り当て手段で割り当てられた前記各仮想変調表示領域の各ピクセルの2次元座標系を、それぞれ対応する前記仮想再生表示領域の各ピクセルの2次元座標系に変換する変換式を生成する変換式生成手段、
前記変換式生成手段で生成された前記変換式により、前記仮想変調素子の前記仮想変調表示領域の各ピクセルの2次元座標系を、それぞれ対応する前記仮想受光素子の前記仮想再生表示領域の各ピクセルの2次元座標系にそれぞれ変換し、さらに、前記仮想変調表示領域の各ピクセルの前記微小領域上の前記仮想変調データを、それぞれ対応する前記仮想再生表示領域の各ピクセルの前記微小領域にそれぞれ割り当て、前記仮想再生表示領域の各ピクセルの前記微小領域に割り当てられた前記仮想変調データに基づいて仮想再生データを生成する仮想再生データ生成手段、
前記仮想再生データ生成手段で前記2次元符号のパターンの数だけ生成された前記仮想再生データと、前記再生データとをそれぞれ対比し、前記再生データに最も近い前記仮想再生データを、前記変調素子と前記受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に、前記仮想再生データに対応する前記受光素子の前記再生領域で再生すべき前記2次元符号であると推定し、推定した前記2次元符号を復号する復号データ推定手段、として機能させるための2次元符号復号プログラムであって、
前記2次元座標割り当て手段は、前記微小領域の大きさを、前記仮想受光素子を微小領域で分割し、一定の位置ずれ量の場合とずれのない場合との出力振幅比が所定の値以内になるように前記仮想受光素子における前記仮想再生表示領域の各ピクセルについて予め求めた仮想分割数に応じて設定することを特徴とする2次元符号復号プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、一般的なホログラム記録再生方式では、受光素子としてCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを用いたものが主流となっている。CCDイメージセンサは、例えば、2048×2048のピクセルで構成されている。
また、一般的なホログラム記録再生方式では、例えば、2次元ページデータの四隅にマーカを表示し、この四隅のマーカを基準に変調素子と受光素子とを対向させて位置決めしている。
【0008】
しかしながら、仮に、変調素子と受光素子のピクセルサイズが揃っている場合であっても、マーカを基準として変調素子と受光素子とを対向させて位置決めすると、受光素子の縦および横方向に、1ピクセル程度、変調素子と位置ずれが生じてしまう。つまり、この場合、変調素子と受光素子のピクセルサイズが揃っていても、最も左上のピクセルでは変調素子と受光素子との位置が合うが、最も右下のピクセルでは変調素子と受光素子とが1ピクセル程度ずれてしまう。受光素子の縦および横方向の2048ピクセルに対する1ピクセルは、角度にすると0.028度であり、極めてわずかな誤差である。しかし、このような誤差が生じると、変調素子のピクセルと受光素子のピクセルとを1対1で対向させて、変調素子から受光素子に変調データを授受することはできない。そして、変調素子と受光素子のピクセルサイズが不揃いである場合、さらに誤差が大きくなると考えられるので、なおさら、1対1でのデータの授受はできない。
【0009】
そこで、本発明は、変調素子と受光素子のピクセルサイズによらずに、変調素子と受光素子とを等価的に1対1で対向させてデータの授受を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決した請求項1に記載の発明は、入力された記録データを、2次元符号に符号化し、変調素子上に配置して、前記変調素子に対向する受光素子の再生領域で前記記録データの変調データを受光して再生するホログラム記録再生装置において再生された、前記変調データの再生データから、前記変調素子と前記受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に前記受光素子の再生領域で再生すべき前記2次元符号を推定して復号する2次元符号復号装置であって、2次元座標割り当て手段と、変換式生成手段と、仮想再生データ生成手段と、復号データ推定手段とを備えて構成される。
【0011】
かかる構成によれば、2次元符号復号装置は、2次元座標割り当て手段によって、2次元符号のパターンを仮想変調表示領域にそれぞれ配置した仮想変調素子の仮想変調表示領域の各ピクセルと、仮想変調素子の仮想変調表示領域で仮想的に変調された仮想変調データを、仮想再生表示領域でそれぞれ受光して再生する仮想受光素子の仮想再生表示領域の各ピクセルとを、同じ大きさの微小領域で仮想的に分割して微小領域ごとにそれぞれ2次元座標を割り当てる。
【0012】
ここで、仮想変調表示領域とは、2次元符号の1つのパターンを仮想的に表示するのに必要な領域であり、例えば、2次元符号が2/4符号である場合、仮想変調素子4ピクセル分の領域である。また、仮想再生表示領域とは、1つの2次元符号の変調データを仮想的に再生するのに必要な領域であり、例えば、2次元符号が2/4符号である場合、仮想受光素子9ピクセル分の領域とすることができる。なお、仮想再生表示領域のピクセル数は、適宜変更することができる。また、仮想変調表示領域または仮想再生表示領域は、変調素子の表示領域または受光素子の再生領域に対応している。
【0013】
これによって、受光素子における再生領域のピクセルと変調素子における表示領域のピクセルとが、それぞれの仮想分割数に対応する微小領域に仮想的に分割される。このそれぞれの微小領域ごとに2次元座標をアドレスとして割り当てることで、受光素子における再生領域のピクセルと変調素子における表示領域のピクセルとを微小領域単位で対向させることができる。
【0014】
また、2次元符号復号装置は、変換式生成手段によって、変調素子に対する受光素子の位置ずれ量に基づいて、各仮想変調表示領域の各ピクセルの2次元座標系をそれぞれ対応する仮想再生表示領域の各ピクセルの2次元座標系に変換する変換式を生成する。
【0015】
さらに、2次元符号復号装置は、仮想再生データ生成手段によって、変換式生成手段で生成された変換式により、仮想変調素子の各ピクセルの2次元座標系を、対応する仮想受光素子の各ピクセルの2次元座標系にそれぞれ変換し、さらに、仮想変調表示領域の各ピクセルの微小領域上の仮想変調データを、それぞれ対応する仮想再生表示領域の各ピクセルの微小領域にそれぞれ割り当て、割り当てられた仮想再生表示領域内の微小領域単位の仮想変調データに基づいて、仮想再生データをそれぞれ生成する。
【0016】
そして、2次元符号復号装置は、復号データ推定手段によって、仮想再生データ生成手段で2次元符号のパターンの数だけ生成された複数の仮想再生データと、再生データとをそれぞれ対比し、再生データに最も近い仮想再生データを、変調素子と受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ位置ずれがない場合に、仮想再生データに対応する受光素子における再生領域で再生すべき2次元符号であると推定し、推定した2次元符号を復号する。
【0017】
これによって、2次元符号復号装置は、変調素子における表示領域に対応する仮想変調素子の仮想変調表示領域のピクセルと受光素子における再生領域に対応する仮想受光素子の仮想再生表示領域のピクセルとを微小領域に分割し、仮想変調表示領域のピクセルと仮想再生表示領域のピクセルとを微小領域単位で対向させて、仮想変調素子の仮想変調表示領域のピクセルから仮想受光素子の仮想再生表示領域のピクセルに変調データの授受を行い、仮想再生表示領域の微小領域に受け渡された変調データを仮想再生表示領域のすべてのピクセルに対してピクセル単位に合計することで、変調素子のピクセルと受光素子のピクセルとを等価的に1対1で対向させるのと同等の状態が得られる。
【0018】
また
、請求項1に記載の2次元符号復号装置において、前記2次元座標割り当て手段は、前記微小領域の大きさを、前記仮想受光素子を微小領域で分割し、一定の位置ずれ量の場合とずれのない場合との出力振幅比が所定の値以内になるように前記仮想受光素子における前記仮想再生表示領域の各ピクセルについて予め求めた仮想分割数に応じて設定することとした。
【0019】
かかる構成によれば、2次元符号復号装置は、仮想受光素子のピクセルを微小領域に分割し、縦方向と横方向に1微小領域分だけずれ、かつ45度回転した場合の仮想受光素子の1ピクセル出力と縦方向と横方向のずれがなく、かつ回転がない場合の仮想受光素子の1ピクセルの出力との偏差を低減するように微小領域の大きさを設定する。
【0020】
さらに、請求項
2に記載の発明は、請求項
1に記載の2次元符号復号装置において、前記復号データ推定手段は、複数の前記仮想再生データと、前記再生データとの間で最尤復号を行い、符号誤り率が最も小さい前記仮想再生データに対応する前記2次元符号を復号することとした。
【0021】
かかる構成によれば、2次元符号復号装置は、復号データ推定手段によって、複数の仮想再生データと再生データとの間で最尤復号を行うことで、再生データとして最もふさわしい2次元符号をより厳密に推定する。
【0022】
さらに、請求項
3に記載の発明は、変調素子と受光素子とを対向させ、入力された記録データを2次元符号に符号化し、前記変調素子上に配置して、前記受光素子で受光して再生するホログラム記録再生装置であって、2次元座標割り当て手段と、変換式生成手段と、仮想再生データ生成手段と、復号データ推定手段とを備える2次元符号復号手段を備える構成とした。
【0023】
かかる構成によれば、ホログラム記録再生装置は、2次元符号復号装置の2次元座標割り当て手段によって、2次元符号のパターンを仮想変調表示領域にそれぞれ配置した仮想変調素子の仮想変調表示領域の各ピクセルと、仮想変調素子の仮想変調表示領域で仮想的に変調された仮想変調データを、仮想再生表示領域でそれぞれ仮想的に受光して再生する仮想受光素子の仮想再生表示領域の各ピクセルとを、同じ大きさの微小領域で仮想的に分割して微小領域ごとにそれぞれ2次元座標を割り当てる。
ここで、2次元座標割り当て手段は、微小領域の大きさを、仮想受光素子を微小領域で分割し、一定の位置ずれ量の場合とずれのない場合との出力振幅比が所定の値以内になるように仮想受光素子における仮想再生表示領域の各ピクセルについて予め求めた仮想分割数に応じて設定する。
また、ホログラム記録再生装置は、2次元符号復号装置の変換式生成手段によって、変調素子に対する受光素子の位置ずれ量に基づいて、仮想変調素子の各ピクセルの2次元座標系を仮想受光素子の各ピクセルの2次元座標系に変換する変換式を生成する。
【0024】
さらに、ホログラム記録再生装置は、2次元符号復号装置の仮想再生データ生成手段によって、変換式生成手段で生成された変換式により、仮想変調素子の各ピクセルの2次元座標系を、対応する仮想受光素子の各ピクセルの2次元座標系にそれぞれ変換し、さらに、仮想変調表示領域の各ピクセルの微小領域上の仮想変調データを、それぞれ対応する仮想再生表示領域の各ピクセルの微小領域にそれぞれ割り当て、ピクセルごとに割り当てられた仮想再生表示領域内の微小領域単位の仮想変調データに基づいて、仮想再生データをそれぞれ生成する。
【0025】
そして、ホログラム記録再生装置は、2次元符号復号装置の復号データ推定手段によって、仮想再生データ生成手段で2次元符号のパターンの数だけ生成された複数の仮想再生データと、
変調データの再生データとをそれぞれ対比し、再生データに最も近い仮想再生データを、変調素子と受光素子とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に、仮想再生データに対応する受光素子における再生領域で再生すべき2次元符号であると推定し、推定した2次元符号を復号する。
【0026】
また、請求項
4に記載の発明は、CPU、メモリやハードディスク等のハードウェア資源を備えるコンピュータを、請求項1に係る2次元符号復号装置の変換式生成手段と、仮想再生データ生成手段と、復号データ推定手段として協調動作させるための2次元符号復号プログラムとして実現することとした。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、以下のような優れた効果を奏する。
請求項1,
4に記載の発明によれば、2次元符号復号装置(2次元符号復号プログラム)は、変調素子と受光素子とにピクセルサイズの不一致、または、位置ずれがある場合であっても、受光素子で再生すべき2次元符号を正確に推定して復号することが可能となる。つまり、変調素子のピクセルと受光素子のピクセルとを等価的に1対1で対向させてデータの授受を行うことが可能となる。
また、請求項
1,4に記載の発明によれば、2次元符号復号装置は、仮想変調素子のピクセルと仮想受光素子のピクセルを分割する微小領域を仮想変調素子のピクセルと仮想受光素子のピクセルを対向させて、一定の位置ずれ量の場合とずれのない場合との出力振幅比が所定の値以内になるように仮想受光素子における仮想再生表示領域の各ピクセルについて予め求めた仮想分割数に応じて設定することで、変調素子のピクセルと受光素子のピクセルとをほぼ正確に対向させることができる。
請求項
2に記載の発明によれば、2次元符号復号装置は、2次元符号の推定精度をより向上することができる。
請求項
3に記載の発明によれば、ホログラム記録再生装置は、変調素子と受光素子とにピクセルサイズの不一致、または、位置ずれがある場合であっても、変調素子のピクセルと受光素子のピクセルとを等価的に1対1で対向させてデータの授受を行うことが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[ホログラム記録再生装置の構成]
以下、本発明のホログラム記録再生装置の構成について、
図1を参照して説明する。なお、以下では、ホログラム記録再生装置に入力される記録データが“00”の場合について説明する。
図1に示すように、ホログラム記録再生装置1は、予めレーザ装置(図示せず)からの出射ビームをビームスプリッタ(図示せず)等で二分割したビーム1とビーム2を入力としており、空間光変調器2と、レンズ3と、レンズ4と、光検出器5と、計算機6とを備えている。また、ホログラム記録再生装置1は、空間光変調器2に表示された2次元ページデータを変調データとして記録する記録媒体Kを備えている。さらに、ホログラム記録再生装置1は、計算機6が、2次元符号復号手段10を備えている。
【0030】
空間光変調器2は、2次元状に複数配列されたピクセル20a(
図3(a)参照)を備える変調素子20(
図3(a)参照)上に、外部から入力された、2次元符号化された記録データを表示することで、ビーム1を2次元変調して記録データの変調データとするものである。
【0031】
ここで、2次元符号とは、ホログラム記録再生方式において、一般的に用いられる変調符号であり、1次元の元のデータを2次元の平面状で表現したものである。一般的なホログラム記録再生方式では、2次元符号として、2/4符号、5/9符号などがよく用いられる。ここでは、空間光変調器2は、外部の2次元符号符号化器40において、2ビットの記録データ“00”を2/4符号を用いて4ビットのデータに変調した結果を入力し、変調素子20上に表示している。この変調素子20をビーム1が透過、あるいは反射することで、記録データの変調データが生成される。このようにして生成された変調データは、レンズ3に出力される。
【0032】
なお、2/4符号の変調データは、記録媒体Kに、縦および横方向に2ピクセルずつ並べて正方形状に記録してもよいし、縦方向に4ピクセル並べて長方形状(一直線状)に記録してもよく、記録の仕方は自由である。ただし、4ピクセル分のデータを、円形に近い正方形状に並べて記録媒体Kに記録した場合、それぞれのピクセルが近いので、信号伝送における劣化がほぼ等しくなることから、信号等化という観点から有利となる。ここでは、空間光変調器2によりビーム1から変換された変調データは、記録媒体Kに、縦および横方向に2ピクセルずつ並べられた4個のピクセル20aにより正方形状に記録されるものとする。
【0033】
レンズ3は、2次元符号符号化器40からの2次元変調符号により空間光変調器2で変調された信号光を記録媒体Kに照射するものである。ここでは、レンズ3は、空間光変調器2において変調データで変調された信号光を記録媒体Kに照射する。これと同時に、参照光が記録媒体K中の信号光が照射される領域へ重ねて照射される。これら信号光と参照光により、干渉縞(干渉縞パターン)が記録媒体K中で生じ、光の明暗パターンに応じて、記録媒体Kの屈折率変化等となって変調データの記録が完了する。
【0034】
レンズ4は、再生時に記録媒体Kの記録済み領域へ照射された参照光が、当既記録済み領域における干渉縞パターンに応じた屈折率変化によって回折された再生光を、光検出器5に出射するものである。
【0035】
光検出器5は、レンズ4から出射された再生光を、受光素子30のピクセル30a(
図2、
図3(b)参照)を2次元状に複数配列した再生領域33(
図4参照)で受光(撮影)してデータ化し、この再生データを計算機6に出力するもので、CCD撮像素子やCMOS撮像素子が用いられる。
また、光検出器5は、再生光の例えば4隅に表示されたマーカ(図示せず)により、変調素子20(
図3(a)参照)と受光素子30(
図3(b)参照)との位置ずれ量を計算により求める。空間光変調器2で得られた変調データの再生光を、光検出器5が受光素子30の再生領域33(
図4参照)によって受光することで、変調データに対し、変調素子20と受光素子30の位置ずれ量の分だけ位置がずれた再生データが得られる。この再生データと位置ずれ量は、計算機6の2次元符号復号手段10に出力される。
【0036】
なお、ここでは、変調素子20の4個のピクセル20aに表示された2/4符号を、受光素子30の、縦および横方向に3ピクセルずつ並べられた9個のピクセル30aで受光して再生するものとする。以下では、
図4に示すように、2/4符号を表示する変調素子20の4個のピクセル20aを含む領域を「表示領域23」と呼称し、2/4符号を再生する受光素子30の9個のピクセル30aを含む領域を「再生領域33」と呼称する場合があるものとする。
前記した空間光変調器2と、レンズ3と、レンズ4と、光検出器5とは、一般的なホログラム記録再生装置と同様のものを適宜用いることができる。
【0037】
図1に示すように、計算機6は、再生時に、光検出器5から入力された再生データを信号処理してデータの復元を行うものである。
計算機6は、再生データからデータ領域を切り出して信号処理するために、空間光変調器2の変調素子20の表示領域23に表示する記録データの外部若しくは内部にマーカと呼ばれる位置検出用画像群を予め表示しておき、これによって切り出すデータ領域を特定することとしている。このマーカは、前記したように、光検出器5によって、変調素子20(
図3(a)参照)と受光素子30(
図2、
図3(b)参照)とを対向させた時に生じるこれらの位置ずれ量を計算するためにも用いられる。
【0038】
この計算機6は、データの復元を行う手段として、2次元符号復号手段10を備えている。2次元符号復号手段10は、光検出器5から再生データと位置ずれ量とを入力し、この再生データと位置ずれ量から2/4符号を推定し、推定した2/4符号を復号し、外部の2次元符号符号化器40に入力された記録データと同様の2ビットのデータ(推定復号データ)を生成する。
【0039】
ここで、2次元符号復号手段10の説明に先立ち、空間光変調器2の変調素子20(
図3(a)参照)と光検出器5の受光素子30(
図2、
図3(b)参照)について説明する。
【0040】
[受光素子の構造]
まず、
図2を特に参照して受光素子30の構造について説明する。
図2では、受光素子30のピクセル30aを拡大して図示している。
ピクセル30aは、
図2に示すように、受光面31と受光面31の外側に沿って表示される配線部32とを備えている。ピクセル30a全体に対する受光面31の広さの割合を示す開口率は、x方向開口率aとy方向開口率bとによって表現される。x方向開口率aは、x方向における、ピクセル30a全体の1辺の長さx1に対する受光面31の1辺の長さax1の割合であり、y方向開口率bは、y方向における、ピクセル30a全体の1辺の長さy1に対する受光面31の1辺の長さby1の割合である。x方向開口率aとy方向開口率bとは、ともに通常0.8〜0.9程度であるが、ここでは、説明を簡単化するために、x方向開口率aとy方向開口率bとを、ともに1とする。
【0041】
受光素子30は、
図2に示すように、ピクセル30aをx方向およびy方向に2次元状に複数配列して構成されている。受光素子30は、一般的なCCDが想定される。なお、以下では、ピクセル30aというときは、受光面31のみを指すこととする。
【0042】
[変調素子の構造]
次に、
図3(a)を参照して変調素子20の構造について説明する。
図3(a)では、変調素子20のピクセル20aを拡大して図示している。
変調素子20は、
図3(a)に示すように、ピクセル20aをx方向およびy方向に2次元状に複数表示して構成されている。ピクセル20aは、ここでは図示しないが、受光素子30のピクセル30aと同様に受光面と配線部とを備えている。以下では、ピクセル20aというときは、受光面のみを指すこととする。
【0043】
[変調素子と受光素子とのサイズの関係]
次に、変調素子20と受光素子30とのサイズの関係について
図3(a),(b)を特に参照して説明する。
ホログラム記録再生装置1は、変調素子20と受光素子30とを対向させて変調データの授受、すなわちデータ伝送を行っている。データ伝送の手法としては、標本化定理を満たす方法とサンプル値伝送方式の2通りの方法がある。
まず、標本化定理を満たす方法であるが、ホログラム記録再生装置1におけるデータ伝送は、変調素子20で表される2次元符号を受光素子30においてサンプリングしていることと等価であるから、
図3(a)に示す変調素子20のピクセル20aと、
図3(b)に示す受光素子30のピクセル30aとの位置関係は、縦方向、横方向ともに、標本化定理を満たしている必要がある。すなわち、受光素子30のピクセルサイズを変調素子20のピクセルサイズの縦方向と横方向共に1/2以下にする必要があるので、受光素子30のピクセル数は変調素子20のピクセル数の少なくとも4倍以上必要となる。これは、直接的な記録密度の減少になる。
【0044】
つぎにサンプル値伝送は、変調素子20と受光素子30とのピクセルサイズを一致させてデータを伝送する方法である。この方法は受光素子30のピクセル数を節約でき、記録密度の減少はないが、変調素子20と受光素子30のピクセルサイズや位置関係を正確に一致させる必要があり、少しでもずれると大きなノイズを発生させ、SNRの劣化の結果の原因となる。そこで、SNRを稼ぐためにピクセルサイズを大きくすると記録密度の減少につながる。
【0045】
本発明では、受光素子30のピクセル数を節約するためにサンプル値伝送方式を採用し、変調素子20と受光素子30のピクセルサイズはほぼ同一のものを選定し、ピクセルサイズの違いと位置ずれによる影響(誤差)は、信号処理で除去することとし、SNRの劣化を低減し記録密度の減少を抑えた。
本説明では、受光素子30のピクセルを正方形として、変調素子20のピクセルは受光素子30のピクセルの縦横共に1.1倍と設定した。
【0046】
[変調素子と受光素子との位置ずれ量]
次に、光検出器5による変調素子20と受光素子30との位置合わせ、および、位置ずれ量の計算について、
図4を特に参照して説明する。なお、以下では、変調素子20(仮想変調素子120)の座標系を(x,y)と表記し、受光素子30(仮想受光素子130)の座標系を(x´,y´)と表記して区別する。
光検出器5は、ここでは、変調素子20と受光素子30との相対的な位置関係を、空間光変調器2で生成された変調データの4隅に書き込まれたマーカ(図示せず)を用いて調整する。なお、このマーカ(図示せず)は、前記したように計算機6によって、空間光変調器2の変調素子20に表示する2次元ページデータの4隅に予め書き込まれている。
【0047】
光検出器5は、このマーカ(図示せず)を基準として変調素子20と受光素子30との位置を合わせることで、変調素子20と受光素子30とを、1ピクセル程度の誤差で位置合わせすることができる。ただし、変調素子20のピクセル20aと受光素子30のピクセル30aのサイズは互いに異なっているので、4つのマーカ(図示せず)のうちの1つの位置を正確に合わせたとしても他の3つは位置がずれることになる。
【0048】
光検出器5は、1つのマーカ(図示せず)の位置を正確に合わせた場合において、例えば、
図4に示すように、2/4符号が表示される変調素子20の表示領域23の4個のピクセル20aのうち、左上のピクセル20aのx方向の位置に対する、受光素子30の再生領域33の左上のピクセル30aのx方向の位置ずれ量である水平移動量x
aを計算により求める。光検出器5は、同様にして、変調素子20の表示領域23の左上のピクセル20aのy方向の位置に対する、受光素子30の再生領域33の左上のピクセル30aのy方向の位置ずれ量である垂直移動量y
aを計算により求めるとともに、変調素子20の表示領域23の左上のピクセル20aに対する受光素子30の再生領域33の左上のピクセル30aの傾きである回転角度θを計算により求める。
【0049】
このようにして求められた位置ずれ量、つまり、変調素子20に対する受光素子30の水平移動量x
a、垂直移動量y
a、および、回転角度θは、計算機6の2次元符号復号手段10に出力される。なお、光検出器5は、レンズ4から再生光を入射する都度、位置ずれ量を求める必要はなく、適宜の間隔で求めればよい。光検出器5は、位置ずれ量を求めてから次に求めるまでの間にレンズ4から再生光を入射した場合、予め求めておいた位置ずれ量を適宜用いることができる。
【0050】
[2次元符号復号手段の構成]
以下、2次元符号復号手段10の構成について、
図1〜4に加え、
図5を参照して説明する。
図5に示すように、2次元符号復号手段10は、2次元座標割り当て手段11と、変換式生成手段12と、仮想再生データ生成手段13と、復号データ推定手段14とを備えている。
【0051】
2次元座標割り当て手段11は、
図6に示すように仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aと仮想受光素子130の仮想再生表示領域の各ピクセル130aを、それぞれ予め定めた仮想分割数n
2に応じて、仮想的に分割するものである。
【0052】
ここで、仮想変調素子120とは、仮想変調表示領域123に2次元符号のパターンを仮想的に配置したものである。ここでは、2次元符号を2/4符号としているので、4種類の仮想変調素子120を想定する。仮想変調表示領域123とは、2次元符号のパターンをそれぞれ仮想的に表示する領域である。ここでは、変調素子20の表示領域23(
図4参照)に対応して、2×2ピクセルの領域を指す。
また、仮想受光素子130とは、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123により仮想的に変調された仮想変調データを仮想再生表示領域133によって再生するものであり、ここでは、4種類の仮想変調素子120に対応して、4つの仮想受光素子130を想定する。仮想再生表示領域133とは、仮想変調データを仮想的に再生する領域であり、ここでは、受光素子30の再生領域33(
図4参照)に対応して、3×3ピクセルの領域を指す。
【0053】
2次元座標割り当て手段11は、
図6(a)に示すように、仮想変調表示領域123に(x,y)座標系を割り当て、
図6(b)に示すように、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133に(x´,y´)座標系を割り当てる。
【0054】
ここで、受光素子30は、各ピクセル30aが、受光面31(
図2参照)に入る光パワーの平均に対応した出力を出すので、変調素子20のピクセル20aと受光素子30のピクセル30aのサイズが異なる場合には、変調素子20で表される変調データ1ビット(ピクセル20a)に対して単純に、受光素子30のピクセル30aを整数ビットで対応させることはできない。そこで、ここでは、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aおよび仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aを、それぞれ同じ大きさの微小領域で仮想的に分割し、これらを微小領域単位で対応させることとした。
【0055】
ここでは、
図6(b)に示すように、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの仮想分割数n
2をn=10としているので、2次元座標割り当て手段11は、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aを10×10の微小領域に仮想的に細分化する。
また、2次元座標割り当て手段11は、前記したように、仮想変調表示領域123の各ピクセル120aを、仮想再生表示領域133の各ピクセル130aを仮想的に細分化した微小領域と同じ大きさの微小領域で仮想的に細分化する。ここで、仮想変調表示領域123の各ピクセル120aは、仮想再生表示領域133の各ピクセル130aよりもサイズが1.1倍大きいと設定している。
そのため、仮想再生表示領域133の各ピクセル130aを仮想的に細分化した微小領域と同じ大きさの微小領域で仮想変調表示領域123の各ピクセル120aを仮想的に細分化すると、
図6(a)に示すように、11×11の微小領域に仮想的に細分化されることになる。
【0056】
ここで、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの仮想分割数n
2の設定について説明する。ここでは、1ピクセルを微小領域に仮想的に分割する場合について、仮想分割数n
2と出力誤差との関係から、必要な仮想分割数n
2を検討する。
なお、1ピクセルを分割した微小領域の出力は“0”か“1”とし、1ピクセルの出力は、仮想微小領域の出力の合計を仮想分割数で割ったものとする。また、ノイズの影響は無視できるものとする。
【0057】
まず、1次元の場合に、1ピクセルをいくつかの微小領域に仮想的に分割して、1微小領域分だけ位置がずれたときの1ピクセルの出力振幅と、位置ずれがないときの1ピクセルの出力振幅との振幅比について検討する。
【0058】
例えば、1ピクセルを2分割する場合、1微小領域(1ピクセルの1/2)分だけ位置がずれたとき、一方の微小領域の出力は“1”となり、他方の微小領域の出力は“0”となるので、1ピクセルの出力は“0.5”となる。一方、1ピクセルを2分割する場合、位置ずれがないとき、双方のセルの出力は互いに“1”となるので、1ピクセルの出力は“1”となる。したがって、1ピクセルを2分割する場合、1微小領域分だけ位置がずれたときの1ピクセルの出力振幅と、位置ずれがないときの1ピクセルの出力振幅との振幅比は、“0.5”となる。これをデシベル表示すると、−6.02dB(=20log(0.5))である。
【0059】
また例えば、1ピクセルを3分割する場合、1微小領域分だけ位置がずれたとき、そのピクセル中の2つのセルの出力は“1”となり、残りの1つのセルの出力は“0”となるので、1ピクセルの出力は“2/3”となる。したがって、1ピクセルを3分割する場合、1微小領域分だけ位置がずれたときの1ピクセルの出力振幅と、位置ずれがないときの1ピクセルの出力振幅(=“1”)との振幅比は、“2/3”(−3.52dB)となる。以下、同様に計算できる。
【0060】
次に、この考え方を2次元に拡張する。ピクセルは正方形と仮定し、微小領域も正方形と仮定する。ここでは、1ピクセルの中で、水平方向と垂直方向とにそれぞれ1微小領域ずつ位置がずれた場合の出力振幅と、位置ずれがない場合の出力振幅との振幅比のシミュレーションを行った。
図7(a)にシミュレーション結果の表を示し、
図7(b)にシミュレーション結果のグラフを示している。
一般的に有意差が出るのは、振幅比が−3dBを上回るときであるといわれている。そのため、
図7(b)に示したグラフから、振幅比が−3dBとなる仮想分割数n
2のnの数を求めると約6.29となる。仮想分割数n
2は整数であるので、前記した結果から、nが7以上であれば、振幅比を−3dB以内に抑えることができるといえる。
【0061】
なお、ここでは、仮想変調素子120に対する仮想受光素子130の水平方向と垂直方向の平行移動のみを考慮したため、次に回転を考慮する。仮想変調素子120に対して仮想受光素子130が回転することにより、微小領域による分割間隔が長くなる。ここで、微小領域は正方形を仮定しているので、45度に傾いたときにその間隔が最も長くなり、分割間隔は、√2倍広がる。よって、仮想分割数を√2倍する必要があるので、仮想分割数は9以上(8.90≒6.29×√2)必要となる。現実的には、回転角度θは、わずか(数度程度)であると考えられるが、本実施形態では、仮想変調素子120に対する仮想受光素子130の回転角度θが45度である場合を想定し、さらに、余裕をもたせて、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの仮想分割数n
2を、n=10と設定した。
【0062】
このようにして仮想変調素子120の各ピクセル120aおよび仮想受光素子130の各ピクセル130aにそれぞれ割り当てられた2次元座標の情報は、変換式生成手段12に出力される。なお、2次元座標割り当て手段11は、適宜のタイミングで仮想変調素子120の各ピクセル120aおよび仮想受光素子130の各ピクセル130aにそれぞれ2次元座標を割り当てることができる。
【0063】
再び、
図5に戻って、変換式生成手段12について説明する。
変換式生成手段12は、光検出器5によって計算により求められた変調素子20に対する受光素子30の位置ずれ量(ここでは、水平移動量x
a、垂直移動量y
aおよび回転角度θ:
図4参照)を入力し、この位置ずれ量に合わせて、2次元座標割り当て手段11で割り当てられた、
図6(a)に示す仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの2次元座標系を、
図6(b)に示す対応する仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの2次元座標系に変換する変換式を生成するものである。
【0064】
まず、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの2次元座標を(x,y)とし、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの2次元座標を(x´,y´)とした場合、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの2次元座標(x´,y´)は、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの2次元座標(x,y)と、水平移動量x
aと、垂直移動量y
aと、回転角度θとによって次の式(1)に示すように表すことができる。
【0066】
前記式(1)を1つの行列にまとめると、次の式(2)となる。
【0068】
変換式生成手段12は、このようにして、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの2次元座標系を位置ずれ量に基づいて、対応する仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの2次元座標系に変換する変換式(式(2))を生成する。ここで生成された変換式は、仮想再生データ生成手段13に出力される。なお、変換式生成手段12は、光検出器5から位置ずれ量を受け取ったタイミングで変換式を生成してもよいし、外部から変換式の生成指示が入力されたタイミングで変換式を生成してもよい。
【0069】
仮想再生データ生成手段13は、変換式生成手段12で生成された変換式に基づいて、複数の仮想変調素子120より成る仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの2次元座標系を、対応する複数の仮想受光素子130より成る仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの2次元座標系に変換する。これとともに、仮想再生データ生成手段13は、複数の仮想変調素子120の仮想変調表示領域123で仮想的に変調された仮想変調データを、対応する複数の仮想受光素子130の仮想再生表示領域133で仮想的に受光したときの仮想再生データをそれぞれ生成するものである。
以下、2次元符号復号手段10の仮想再生データ生成手段13,復号データ推定手段14で行われる処理の概要について、
図8を適宜参照して説明する。
【0070】
図5に示すように、仮想再生データ生成手段13は、変換式生成手段12から変換式を入力し、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの2次元座標系を前記式(1),(2)に示す変換式に基づいて仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの2次元座標系に変換する。
【0071】
また、仮想再生データ生成手段13は、
図8に示すように、仮想変調表示領域123に2次元符号の各パターンをそれぞれ表示した複数の仮想変調素子120を想定する。そして、仮想再生データ生成手段13は、この仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの2次元座標上の仮想変調データを、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの2次元座標にそれぞれ割り当てることで、仮想変調データを仮想的に再生する。
【0072】
前記したように、ここでは、2次元符号として2/4符号を想定しているので、2/4符号の4つのパターンを仮想変調表示領域123にそれぞれ配置した4種類の仮想変調素子120を想定する。そして、仮想再生データ生成手段13は、4種類の仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの微小領域上のデータを、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの微小領域にそれぞれ割り当てる。これにより、4種類の仮想変調素子120の仮想変調表示領域123上の4種類の仮想変調データを仮想受光素子130の仮想再生表示領域133でそれぞれ仮想的に再生する。
【0073】
なお、仮想受光素子130の各ピクセル130aは、ここでは、1つのピクセルは10×10の微小領域に仮想的に分割されているので、仮想再生データ生成手段13は、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの微小領域に、それぞれ対応する仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの微小領域のデータを割り当てるものとする。
【0074】
ここで、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル123aは、ここでは、11×11の微小領域に仮想的に分割されており、仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの微小領域のデータは、“0”か“1”であるので、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの各微小領域にも“0”か“1”のデータが割り当てられる。この仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの微小領域に割り当てられたデータ“1”の合計数を仮想分割数で除算したものを仮想再生表示領域133の各ピクセル130aの出力とする。
【0075】
したがって、仮想再生データ生成手段13は、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133のピクセル130aごとに“1”が割り当てられた微小領域の数を数え、この数をピクセル130aの分割数(ここでは、100)で除算して出力を算出する。仮想再生データ生成手段13は、これを9ピクセル分行うことで、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133全体の出力である仮想再生データを生成する。
仮想再生データ生成手段13は、このようにして、後記する復号データ推定手段14において、受光素子30の再生領域33の出力である再生データと対比可能な4種類の仮想再生データを生成する。例えば、1つの仮想再生データは行列表示を行うと[0.5 0.7 0.1;0.6 0.5 0.1;0.1 0.2 0.1]などの数値データとなる。1.2等の数値データとなる。ここで生成された4種類の仮想再生データは、復号データ推定手段14に出力される。
【0076】
図5に示すように、復号データ推定手段14は、仮想再生データ生成手段13で生成された複数の仮想再生データと、光検出器5の受光素子30の再生領域33で再生された再生データとを対比して、再生データに最も近い仮想再生データを、変調素子20と受光素子30との位置ずれがない場合に、受光素子30の再生領域33で再生される再生データであると推定する。復号データ推定手段14は、さらに、推定した仮想再生データの2次元符号を復号して、復号した2次元符号を2ビットのデータに変換して推定復号データを生成する。
【0077】
復号データ推定手段14は、ここでは、
図8に示すように、光検出器5の受光素子30の再生領域33で、ある2/4符号の変調データを再生した再生データと、仮想再生データ生成手段13により、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133で、4種類の仮想変調データをそれぞれ仮想的に再生した4種類の仮想再生データとをそれぞれ対比する。そして、復号データ推定手段14は、4種類の仮想再生データのうち、再生データに最も近い仮想再生データを、変調素子20と受光素子30との位置ずれがない場合に、再生領域33で再生すべき再生データであると推定する。
【0078】
また、復号データ推定手段14は、ここでは、最尤復号により、ピクセル30aで再生すべき2次元符号を推定する。
最尤復号は、符号を推定して復号する際に、尤度関数を最大にすることにより、最も確からしい符号を推定する復号方法である。
最尤復号と復号データの符号誤り率との関係は、次のように表すことができる。
ベイズの定理により、符号の事後確率と尤度関数との間には、「事後確率∝尤度関数×事前確率」の関係が成立する。
【0079】
ホログラム記録再生装置1をモデルとして考えると、事前確率は記録符号語の発生確率に、尤度関数は伝送路が誤らない確率に、事後確率は復号符号が誤らない確率に相当する。よって、事前確率が一定な符号(等確率に発生する符号=ランダム符号)に対して、尤度が最も高い場合に事後確率が最も高くなり、復号データの2次元符号の誤り率が最小になる。ホログラム記録再生装置の場合、変調データは、予めランドマイズを行い、擬似ランダムデータ化を行うので、事前確率がほぼ一定となり尤度関数を最大とすることで、復号データの符号誤り率が最小となる。
【0080】
ここで、符号間の尤度関数について説明する。符号Pの要素をp
i、符号Qの要素をq
iとする(p
i∈P,q
i∈Q)。符号Pと符号Qに関する尤度とは、PとQが似ている度合いを示す数値であり、受信信号語Q
rを受信したときに送信信号語P
rが送られた確率を示す条件付き確率で表される。情報理論の用語で表現すると、PとQのクロスエントロピーが負の対数尤度となる。ここで、クロスエントロピーは、次の式(3)で表される。
【0082】
なお、最尤復号では、前記したようなクロスエントロピー以外にカルバック・ライブラー距離やユークリッド距離などを用いてもよい。このカルバック・ライブラー距離は、クロスエントロピーと次の式(4)に示すような密接な関係がある。
【0084】
式(4)において、H(P,Q)は、符号Pと符号Qのクロスエントロピーを示し、H(P)は、符号Pのエントロピーを示し、D
KL(P||Q)は、符号Pと符号Qのカルバック・ライブラー距離を示す。
【0085】
復号データ推定手段14は、
図8に示すように、前記したような最尤復号の結果、再生データと4種類の仮想再生データとでそれぞれ尤度の計算を行い、最も尤度の高い仮想再生データを受光素子30の再生領域33で再生すべきデータであると推定し、推定した仮想再生データに対応する2/4符号を復号し、この2/4符号を2ビットのデータに変換して推定復号データを生成する。
ホログラム記録再生装置1は、以上のように構成される。
【0086】
[ホログラム記録再生装置の動作]
次に、
図9、および、適宜
図1〜
図8を参照して、本発明の実施形態に係るホログラム記録再生装置1の動作について説明する。なお、ここでは、ホログラム記録再生装置1は、光検出器5によって、変調素子20に対する受光素子30の位置ずれ量を予め計算により求め、2次元符号復号手段10に通知しているものとする。
【0087】
図9に示すように、ホログラム記録再生装置1は、空間光変調器2によって、外部の2次元符号符号化器40において2次元符号化された記録データ“00”を入力し、この記録データ“00”に対応する2次元符号を、ピクセル20aを複数配列した変調素子20上に表示して、この空間光変調器2の表示面を透過、または、反射することによりビーム1を2次元符号で変調することで、記録データ“00”の変調データを生成する(ステップS101)。
【0088】
また次に、ホログラム記録再生装置1は、レンズ3によって、空間光変調器2で生成された変調データを信号光として記録媒体Kに照射するとともに、ビーム2を参照光として記録媒体Kに照射する(ステップS102)。
さらに、ホログラム記録再生装置1は、記録媒体Kによって、変調データを記録する(ステップS103)。
続いて、ホログラム記録再生装置1は、レンズ4によって、再生光を光検出器5に出射する(ステップS104)。
【0089】
さらに続いて、ホログラム記録再生装置1は、光検出器5によって、レンズ4から出射された再生光を、ピクセル30aを2次元状に複数配列して構成した受光素子30の再生領域33で受光(撮影)し、再生領域33の出力(再生データ)を生成する(ステップS105)。ホログラム記録再生装置1は、光検出器5によって、生成した再生データを計算機6の2次元符号復号手段10に出力する。
【0090】
そして、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の2次元座標割り当て手段11によって、受光素子30のピクセル30aを仮想分割数n
2の微小領域に仮想的に細分化して仮想受光素子130を生成するとともに、変調素子20のピクセル20aを、受光素子30のピクセル30aを細分化した微小領域と同じサイズの微小領域で仮想的に細分化し、仮想変調素子120を生成する(ステップS106)。本実施形態では、仮想受光素子130の各ピクセル130aが100(10×10)の微小領域で構成され、仮想変調素子120の各ピクセル120aが121(11×11)の微小領域で構成されている。ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の2次元座標割り当て手段11によって、割り当てた2次元座標の情報を変換式生成手段12に出力する。
【0091】
そして、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の変換式生成手段12によって、予め計算により求められた変調素子20に対する受光素子30の位置ずれ量に基づいて、仮想変調素子120の各ピクセル120aの2次元座標系を、仮想受光素子130の対応するピクセル130aの2次元座標系に変換する変換式を生成する(ステップS107)。ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の変換式生成手段12によって、生成した変換式を仮想再生データ生成手段13に出力する。
【0092】
次に、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の仮想再生データ生成手段13によって、変換式生成手段12から変換式を入力し、この変換式にしたがって、仮想変調素子120の各ピクセル120aの2次元座標系を、仮想受光素子130の対応するピクセル130aの2次元座標系に変換する。
続いて、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の仮想再生データ生成手段13によって、仮想変調表示領域123に2/4符号の4つのパターンをそれぞれ配置した4種類の仮想変調素子120を想定し、この仮想変調素子120ごとに、仮想変調表示領域123の各ピクセル120aの微小領域上の“0”または“1”の仮想変調データを、仮想受光素子130の対応するピクセル130aの微小領域に割り当てる(ステップS108)。つまり、4種類の仮想変調素子120でそれぞれ仮想的に表示された仮想変調データを、対応する4つの仮想受光素子130でそれぞれ仮想的に受光する。
【0093】
さらに、続いて、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の仮想再生データ生成手段13によって、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133のピクセル130aごとに、当該ピクセル130aに割り当てられた“1”の数を数え、“1”の合計数を微小領域の総数、つまり、分割数(ここでは、100(10×10))で除算して、仮想再生表示領域133のそれぞれのピクセル130aの出力を求める。そして、仮想再生表示領域133を構成するピクセル130aの数(ここでは、9個)分の出力を計算することで、仮想再生表示領域133の出力である仮想再生データを生成する(ステップS109)。これを、4つの仮想受光素子130の全てについて行う。そして、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の仮想再生データ生成手段13によって、生成した4種類の仮想再生データを、復号データ推定手段14に出力する。
【0094】
そして、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の復号データ推定手段14によって、仮想再生データ生成手段13から4種類の仮想再生データを入力するとともに、光検出器5から再生データを入力する。そして、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の復号データ推定手段14によって、4種類の仮想再生データと再生データとをそれぞれ対比する。さらに、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の復号データ推定手段14によって、4種類の仮想再生データと再生データとをそれぞれ対比した結果、再生データに最も近い仮想再生データに対応する2次元符号を、再生データを再生した受光素子30の再生領域33で再生すべきデータであると推定する(ステップS110)。
【0095】
そして、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10の復号データ推定手段14によって、推定した2次元符号を復号し、復号した2次元符号を、空間光変調器2に入力した記録データと同様の2ビットのデータに変換して推定復号データを生成する(ステップS111)。
ホログラム記録再生装置1は、以上のように動作する。
【0096】
以上説明した、ホログラム記録再生装置1によれば、2次元符号復号手段10により、空間光変調器2の変調素子20の表示領域23に対応する仮想変調素子120の仮想変調表示領域123の各ピクセル120aと、光検出器5の受光素子30の再生領域33に対応する仮想受光素子130の仮想再生表示領域133の各ピクセル130aとを、2次元座標上で対応させることができる。また、ホログラム記録再生装置1によれば、2次元符号復号手段10により、受光素子30の再生領域33で再生した再生データと、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133で仮想的に再生した4種類の仮想再生データとをそれぞれ対比することで、変調素子20と受光素子30とのピクセルサイズが同一で、かつ、位置ずれがない場合に、受光素子30の再生領域33で本来再生すべき2次元符号を推定することができる。したがって、ホログラム記録再生装置1によれば、2次元符号復号手段10を備えることによって、変調素子20のピクセル20aと受光素子30のピクセル30aとを等価的に1対1で対向させてデータの授受を行うことが可能となる。
【0097】
また、ホログラム記録再生装置1は、2次元符号復号手段10によって、受光素子30の再生領域33で再生すべき2次元符号を推定するときに、受光素子30の再生領域33で実際に再生した再生データと仮想受光素子130の仮想再生表示領域133で仮想的に再生した4種類の仮想再生データとの間で最尤復号を行うので、受光素子30の再生領域33で再生すべき2次元符号を、より正確に推定することができる。
【0098】
[シミュレーション]
以上説明した本実施形態に係るホログラム記録再生装置1では、
図4に示すように、空間光変調器2の変調素子20に対して光検出器5の受光素子30は、回転角度θ分だけ傾いている。このような位置ずれを吸収するため、変調素子20の2×2ピクセルの表示領域23に表示した2/4符号を、受光素子30の3×3ピクセルの再生領域33で受光して再生している。このように受光素子30の再生領域33は、変調素子20の表示領域23より大きいため、変調素子20の表示領域23に表示された2/4符号だけでなく、その周辺データも受光することになる。
【0099】
そのため、受光素子30の再生領域33で再生された、2/4符号の周辺データも含む変調データの再生データと、仮想受光素子130の仮想再生表示領域133で仮想的に再生された、2/4符号の全てのパターンの仮想再生データとの間との尤度に基づいて2/4符号を推定するときに、周辺データの影響が推定結果に現れる可能性がある。そこで、2次元符号の推定結果に現れる周辺データが尤度に与える影響を調べるためのシミュレーションを行うこととした。
具体的には、変調素子20の表示領域23を、2/4符号に対応するデータ(2×2のデータ)の表示領域だけでなく周辺データも含めた4×4ピクセルとし、この表示領域23のデータを受光素子の3×3の再生領域33に写像して、受光素子30の再生領域33のデータから2/4符号を推定するシミュレーションを行った。
【0100】
ここで、変調素子20上で横方向に連続する4ピクセルを含む連続領域24を切り出すと、
図10(a)に示すように、変調素子20が、連続領域24内に2/4符号を2つ含む場合と、
図11(a)に示すように、変調素子20が、連続領域24内に2/4符号を1つ含み、その前後を別の2/4符号で囲まれている場合が考えられる。
2/4符号は、前記したように、隣り合う2×2ピクセルにおいて、1個のピクセルをON“1”、残りの3個のピクセルをOFF“0”にして、2ビットのデータを4ピクセルで表現する符号である。そのため、連続領域24内では、このような2/4符号の性質上、“1”が4つ続くことはない。つまり、
図10(a)に示すように、連続領域24内に2/4符号を2つ含む場合、4ピクセル中に“1”は、0〜2個のいずれかになる。また、
図11(a)に示すように、連続領域24内に2/4符号を1つ含みその前後を他の2/4符号で囲まれている場合、4ピクセル中に“1”は0〜3個のいずれかになる。そこで、
図10(a),11(a)にそれぞれ示したような場合における“1”の発生確率を計算により求め、その結果を、
図10(b)の表1、
図11(b)の表2にそれぞれ示した。
【0101】
図10(b)の表1に示すように、変調素子20が、連続領域24内に2/4符号を2つ含む場合、連続領域24内の4ピクセル中1ピクセルが“1”の確率は、50パーセント(1/2)であり、連続領域24内の4ピクセル中0または2ピクセルが“1”の確率は、25(1/4)パーセントであることが確認された。
【0102】
一方、
図11(b)の表2に示すように、変調素子20が、連続領域24内に2/4符号を1つ含みその前後を別の2/4符号で囲まれている場合、連続領域24内の4ピクセル中1ピクセルが“1”の確率は、約50パーセント(30/64)であり、連続領域24内の4ピクセル中0または2ピクセルが“1”の確率は、約24パーセント(18/64または14/64)であり、連続領域24内の4ピクセル中3ピクセルが“1”の確率は、約3パーセント(2/64)であることが確認された。
【0103】
次に、変調素子20上において、2/4符号の表示領域23の周辺データが全て“0”である場合と、表示領域23の周辺データに“1”を含む場合のそれぞれについて、受光素子30の再生領域33で再生した再生データと仮想再生データとの尤度を計算により求めた。
まず、変調素子20上において、2/4符号の表示領域23の周辺データが全て“0”である場合については、
図12に示すデータを用いた。
図12において、仮想変調素子120上の4×4ピクセルのデータは、[0000;0100;0000;0000]であるものとした。このデータにおいて、2項目の「0100」中の2,3番目の数字「10」と3項目の「0000」中の2,3番目の数字「00」が2/4符号を表すものとする。
【0104】
図12(a)〜(d)において、変調素子20の太枠内の2×2ピクセルが表示領域23である。
図12(a)は、表示領域23に“00”を示す2/4符号が表示されており、(b)は、表示領域23に“01”を示す2/4符号が表示されており、(c)は、表示領域23に“10”を示す2/4符号が表示されており、(d)は、表示領域23に“11”を示す2/4符号が表示されているものとする。また、
図12(a)〜(d)において、表示領域23の周辺データは全て“0”であるものとする。
【0105】
次に、変調素子20上において、2/4符号の表示領域23の周辺データに“1”が含まれる場合については、
図13に示すデータを用いた。ここでは、2/4符号の性質を考慮して、横方向に連続する4ピクセル中に“1”が0〜3個のいずれか含まれるように、周辺データを設定した。
すなわち、
図13において、変調素子20上の4×4ピクセルのデータは、[0010;1101;0000;1000]であるものとした。このデータにおいて、2項目の「1101」中の2,3番目の数字「10」と3項目の「0000」中の2,3番目の数字「00」が2/4符号を表すものとする。
【0106】
また、
図13(a)〜(d)において、変調素子20の太枠内の2×2のピクセルが表示領域23である。
図13(a)は、表示領域23に“00”を示す2/4符号が表示されており、(b)は、表示領域23に“01”を示す2/4符号が表示されており、(c)は、表示領域23に“10”を示す2/4符号が表示されており、(d)は、表示領域23に“11”を示す2/4符号が表示されているものとする。また、
図13(a)〜(d)において、表示領域23の周辺データに連続する4ピクセル中の“1”の確率が
図10(b),11(b)を参照して説明した条件を満たすように“1”を配置する。
【0107】
図12,13に示すそれぞれの場合について、尤度の計算を行った結果を
図14(a)の表3、
図14(b)の表4にそれぞれ示した。なお、尤度の計算は、前記式(3)により行い、最大値により規格化した。また、パラメータは、水平移動量x
a、垂直移動量y
aおよび回転角度θに加え、より実際の状況に近づけるためSNRを追加した。ここで、水平移動量x
aおよび垂直移動量y
aは、微小領域単位とし、本シミュレーションでは、受光素子30のピクセル幅の10分の1単位で設定した。
【0108】
図12(a)〜(d)に示したように記録データを“00”として、その周辺データが全て“0”である場合に、位置ずれ量とSNRを変化させて、各記録データに対する尤度を計算した結果を、
図14(a)の表1に示す。いずれの結果もデータ“00”の場合に尤度が最も高く、データ“00”が推定値として選択されることが確認できた。
【0109】
また、
図13(a)〜(d)に示したように記録データを“00”として、その周辺データに“1”が含まれる場合に、位置ずれ量とSNRを変化させて、各記録データに対する尤度を計算した結果を、
図14(b)の表2に示す。
図14(a)の表1に示した周辺データが全て“0”である場合の結果と比較して比率的には低くなっているものの、いずれの結果もデータ“00”の場合に尤度が最も高く、データ“00”が推定値として選択されることが確認できた。
【0110】
以上から、本発明の第1実施形態に係るホログラム記録再生装置1の2次元符号復号手段10によって、再生データから2/4符号を推定する場合、受光素子30の再生領域33で再生した再生データが、変調素子20の表示領域23の周辺データを含むとしても、2/4符号の推定結果にほとんど影響を及ぼさないことが確認できた。
【0111】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0112】
例えば、前記した実施形態において、ホログラム記録再生装置1が備える2次元符号復号手段10を、当該2次元符号復号手段10の各手段を備える2次元符号復号装置として構成してもよい。このように、2次元符号復号装置として独立した構成とすることで、例えば、地上に空間光変調器2と、レンズ3と、記録媒体Kと、レンズ4と、光検出器5とを備えるホログラム記録再生装置を設け、一方、海上の船舶等に2次元符号復号装置を設け、空間や光ファイバ等を介して、ホログラム記録再生装置の光検出器5から2次元符号復号装置に、再生データを伝送することが可能となる。
【0113】
また例えば、2次元符号復号手段10は、CPU、メモリやハードディスク等のハードウェア資源を備えるコンピュータで、2次元座標割り当て手段11と、変換式生成手段12と、仮想再生データ生成手段13と、復号データ推定手段14における処理を実行可能に記述したプログラム(2次元符号復号プログラム)とすることも可能である。この場合、2次元符号復号プログラムは、対応する2次元符号復号手段10と同様の効果を奏する。この2次元符号復号プログラムは、ネットワークを介して配布してもよく、CD−ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布してもよい。
【0114】
さらに例えば、2次元符号復号プログラムを、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などによりハードウェア化してもよい。このようにすると、実用的速度で演算を実行することができる。