【文献】
中村芳樹,リアル・アピアランス画像を用いた視環境設計法,日本建築学会環境系論文集,2012年 7月,第77巻,第677号,第551−558頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1には、照明空間における輝度分布のシミュレーション結果から「明るさ感」を算出し、照明設計の善し悪しを評価したいくつかの事例が記載されている。しかしながら、従来の評価方法では、算出した「明るさ感」が許容できる範囲から外れていた場合に、照明器具の配置をどのように変更すれば「明るさ感」が理想値に近づくのかを、コンピュータ上で直ちに知ることはできなかった。
【0006】
このため、従来の評価方法では、設計ソフトで照明の配置を変更したCADデータを作り直したり、実在の照明空間に照明器具を配置し直したりした後に、当該照明空間の輝度分布を取得し、再度「明るさ感」を算出する等、明るさを評価し直す必要があった。そして、評価対象の照明空間が所望の状態となるまで、このようなトライアンドエラーを繰り返して、照明設計を行う必要があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、照明空間を理想状態に近づけるための設計作業を短縮できる、照明空間評価方法、照明空間評価プログラム、および照明空間評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、情報処理装置にインストールされたプログラムにより、照明空間を評価する照明空間評価方法であって、a)前記照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を、前記情報処理装置の表示部に表示する工程と、b)前記第1輝度画像に基づいて、前記照明空間から人間が受ける明るさの印象を表した評価値を計算する工程と、c)前記第1輝度画像に、特定の輝度分布をもつ輝度図形を追加することにより、第2輝度画像を生成する工程と、d)前記第2輝度画像に基づいて、前記評価値を再計算する工程と、を有する。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の照明空間評価方法であって、e)前記輝度図形に対して、輝度値が徐々に変化するグラデーションをかける工程、をさらに有する。
【0010】
本願の第3発明は、第2発明の照明空間評価方法であって、前記工程e)では、楕円形の前記輝度図形に対して、長軸方向と短軸方向とで異なる輝度勾配のグラデーションをかける。
【0011】
本願の第4発明は、第1発明ないし第3発明のいずれか1つの照明空間評価方法であって、f)前記輝度図形に対応する照明器具の情報を、前記表示部に表示する工程、をさらに有する。
【0012】
本願の第5発明は、照明空間評価プログラムであって、情報処理装置にインストールされて、前記情報処理装置に、a)照明空間の輝度分布を示す第1輝度画像を、前記情報処理装置の表示部に表示する工程と、b)前記第1輝度画像に基づいて、前記照明空間から人間が受ける明るさの印象を表した評価値を計算する工程と、c)前記第1輝度画像に、特定の輝度分布をもつ輝度図形を追加することにより、第2輝度画像を生成する工程と、d)前記第2輝度画像に基づいて、前記評価値を再計算する工程と、を実行させる。
【0013】
本願の第6発明は、第5発明の照明空間評価プログラムであって、前記情報処理装置に、e)前記輝度図形に対して、輝度値が徐々に変化するグラデーションをかける工程、をさらに実行させる。
【0014】
本願の第7発明は、第6発明の照明空間評価プログラムであって、前記工程e)では、楕円形の輝度図形に対して、長軸方向と短軸方向とで異なる輝度勾配のグラデーションをかける。
【0015】
本願の第8発明は、第5発明ないし第8発明のいずれか1つの照明空間評価プログラムであって、前記情報処理装置に、f)前記輝度図形に対応する照明器具の情報を、前記表示部に表示する工程、をさらに実行させる。
【0016】
本願の第9発明は、情報処理装置を備えた照明空間評価装置であって、前記情報処理装置にインストールされたプログラムにより、照明空間の輝度分布を示す輝度画像に基づいて、前記照明空間から人間が受ける明るさの印象を表した評価値を計算する算出部と、前記輝度画像に、特定の輝度分布をもつ輝度図形を追加する輝度図形追加部と、の各機能を実現し、前記算出部は、前記輝度図形追加部による輝度図形の追加の前後において、前記評価値を計算する。
【0017】
本願の第10発明は、第9発明の照明空間評価装置であって、前記照明空間の画像を撮影するカメラをさらに有し、前記プログラムにより、前記照明空間の撮影画像から、前記輝度画像を生成する輝度画像生成部の機能をさらに実現する。
【発明の効果】
【0018】
本願の第1発明〜第10発明によれば、単一のプログラム上で、輝度画像に輝度図形を追加するとともに、その前後における評価値を得ることができる。このため、照明空間内のどの位置にどのような照明器具を追加すれば、評価値が理想値に近づくのかを、直ちに知ることができる。これにより、照明空間の設計作業を短縮できる。
【0019】
特に、本願の第2発明または第6発明によれば、輝度図形に、実際の照明器具に近い輝度分布を付与することができる。したがって、より精度の高い評価値を得ることができる。
【0020】
特に、本願の第3発明または第7発明によれば、グラデーションの輝度勾配を、照明空間の縦、横、奥行きの縮尺の違いに応じて変化させることができる。これにより、輝度図形に、実際の照明器具により近い輝度分布を付与することができる。
【0021】
特に、本願の第4発明または第8発明によれば、照明空間に追加すべき照明器具を、容易に知ることができる。
【0022】
特に、本願の第10発明によれば、実在の照明空間に対して、評価値を向上させるための設計を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<1.第1実施形態>
<1−1.照明空間評価方法を実現するためのシステム構成について>
図1は、本発明の第1実施形態に係る照明空間評価方法を実現するためのシステム構成の例を示した図である。
図1では、本発明における「情報処理装置」の一例として、コンピュータ1が用いられている。コンピュータ1には、例えば、汎用のパーソナルコンピュータを適用することができる。
図1に示すように、コンピュータ1は、コンピュータ本体10と、表示部20と、入力部30とを有する。表示部20および入力部30は、それぞれ、コンピュータ本体10と電気的に接続されている。
【0026】
コンピュータ本体10は、CPU等の演算処理部(図示省略)、RAM等のメモリ(図示省略)、およびハードディスクドライブ等の記憶部11を有する。記憶部11は、
図1のように、コンピュータ本体10を構成するハードウエアの一部であってもよく、あるいは、コンピュータ本体10に接続された外付けの記憶装置であってもよい。
【0027】
表示部20は、照明空間評価プログラム9の実行時に、後述するウインドウ21を表示するためのデバイスである。表示部20には、例えば、液晶ディスプレイが使用される。入力部30は、コンピュータ本体10に対して種々のコマンドを入力するためのデバイスである。入力部30には、例えば、キーボードやマウスが使用される。ユーザは、表示部20を確認しながら、入力部30を操作して、種々のコマンドをコンピュータ本体10に入力できる。
【0028】
なお、表示部20の機能と、入力部30の機能との双方が、タッチパネル式のディスプレイなどの単一のデバイスにより、実現されていてもよい。
【0029】
照明空間評価プログラム9は、照明空間の設計を補助するためのソフトウエアである。
図1に示すように、照明空間評価プログラム9は、CDやDVDなどのコンピュータ1により読み取り可能な記憶媒体90から読み取られて、記憶部11に記憶される。ただし、照明空間評価プログラム9は、ネットワーク経由でコンピュータ本体10にダウンロードされるものであってもよい。
【0030】
照明空間評価プログラム9がコンピュータ本体10にインストールされると、
図1中に概念的に示したように、コンピュータ本体10内において、輝度画像生成部12、表示出力部13、入力指示部14、明るさ感算出部15、および輝度図形追加部16の各機能が実現される。コンピュータ本体10は、記憶部11から読み出した照明空間評価プログラム9に従って演算処理を行うことにより、上記の各機能を実行する。
【0031】
輝度画像生成部12は、他の設計ソフトによって作成された照明空間のCADデータ81から、輝度の情報を抽出することにより、輝度画像83を生成する。輝度画像83は、画像内の座標位置ごとに、輝度の大きさを示す情報を有する。すなわち、輝度画像83は、照明空間をある位置から見たときの輝度の分布を示す画像となる。なお、
図1に示すように、本実施形態の輝度画像生成部12は、カメラ40によって取得された撮影画像82を、輝度画像83に変換することもできる。
【0032】
表示出力部13は、表示部20の画面上に、照明空間評価プログラム9のグラフィカルユーザインタフェースとなるウインドウ21を表示させる。また、表示出力部13は、ウインドウ21内に、輝度画像83に関する種々の情報や、各種コマンドを実行するためのボタン等を表示する。
【0033】
入力指示部14は、入力部30からの入力信号に基づいて、コンピュータ本体10内の各機能に動作指示を与える。輝度画像生成部12、表示出力部13、明るさ感算出部15、および輝度図形追加部16は、上述した照明空間評価プログラム9と、入力指示部14からの動作指示とに従って、各々の機能を実行する。
【0034】
明るさ感算出部15は、輝度画像83に基づいて、明るさ感85を計算する。明るさ感85は、評価対象の照明空間において人間が受ける明るさの印象を表した評価値である。明るさ感85は、例えば、輝度画像83内における算術平均輝度と、輝度の常用対数値の標準偏差とを、所定の数式に代入することによって得られる。ただし、本発明における評価値は、算術平均輝度と輝度の常用対数値の標準偏差とに基づいて算出される値に限らず、輝度画像83内の輝度の情報を用いて、予め定められた方法で算出される値であればよい。
【0035】
輝度図形追加部16は、入力指示部14からの動作指示に基づき、輝度画像83に輝度図形84を追加する。コンピュータ本体10内の記憶部11には、予め複数の輝度図形84が記憶されている。各輝度図形84は、照明空間に追加可能な照明器具に対応した特定の輝度分布を有する。輝度画像83内に輝度図形84を追加すると、輝度画像83内の当該部分が、輝度図形84に応じた輝度分布に変更される。
【0036】
<1−2.照明空間評価方法の実行手順について>
続いて、
図1のシステムにおける照明空間評価方法の実行手順について、
図2のフローチャートを参照しつつ、説明する。
【0037】
本実施形態の照明空間評価方法を実行するときには、まず、コンピュータ本体10内の照明空間評価プログラム9を起動させる(ステップS1)。具体的には、ユーザが、表示部20を参照しながら、入力部30を操作することにより、コンピュータ本体10に、照明空間評価プログラム9の起動指示を与える。照明空間評価プログラム9が起動すると、
図1に示した輝度画像生成部12、表示出力部13、入力指示部14、明るさ感算出部15、および輝度図形追加部16の各機能が能動化される。
【0038】
次に、表示出力部13が、表示部20の画面に、照明空間評価プログラム9のウインドウ21を表示する(ステップS2)。
図3は、ウインドウ21の例を示した図である。
図3のウインドウ21内には、輝度画像83を表示するための画像表示領域211が、設けられている。また、画像表示領域211の上部には、輝度画像生成ボタン212と、明るさ感算出ボタン213とが、配置されている。また、画像表示領域211の右隣には、輝度画像83に輝度図形84を追加するための輝度図形編集部214と、追加済みの輝度図形84を一覧表示するリスト表示部215とが、配置されている。また、画像表示領域211の下部には、輝度画像83内の輝度に関する種々の情報(明るさ感、輝度の平均値、輝度のばらつき、輝度の最小値、および輝度の最大値)を表示するための情報表示部216が、配置されている。また、情報表示部216のさらに下側には、照明空間の用途を選択する用途選択部217が、配置されている。
【0039】
ユーザは、入力部30を操作して、輝度画像生成ボタン212を選択するとともに、評価対象となる照明空間のCADデータ81または撮影画像82を指定する。そうすると、輝度画像生成部12が、当該CADデータ81または撮影画像82から、輝度画像83を生成する(ステップS3)。ここで生成される輝度画像83は、本発明における「第1輝度画像」に相当する。輝度画像83が生成されると、表示出力部13は、
図4のように、ウインドウ21内の画像表示領域211に、当該輝度画像83を表示する(ステップS4)。
【0040】
次に、ユーザは、入力部30を操作して、明るさ感算出ボタン213を選択する。そうすると、明るさ感算出部15が、輝度画像83に基づいて明るさ感85を計算する(ステップS5)。明るさ感85が算出されると、表示出力部13は、
図5のように、ウインドウ21内の情報表示部216に、算出された明るさ感85の値を表示する。この際、当該輝度画像83に関する輝度の平均値、輝度のばらつき、輝度の最小値、および輝度の最大値の情報も、情報表示部216に、併せて表示される。輝度のばらつきの欄には、例えば、輝度の常用対数値の標準偏差が表示される。
【0041】
また、ユーザは、用途選択部217のプルダウンメニューを操作することによって、照明空間の用途(例えば、執務室、レストラン、店舗、リビング、寝室など)を選択することができる。コンピュータ本体10の記憶部11には、予め、各用途に適した明るさ感85の数値範囲が、記憶されている。用途選択部217において照明空間の用途が選択されると、当該用途に対応する数値範囲が記憶部11から読み出されて、用途選択部217の隣に表示される。ユーザは、算出された明るさ感85の値と、表示された数値範囲とを比較して、照明空間が適切な設計になっているかどうかを判断することができる。
【0042】
続いて、ユーザは、輝度画像83に輝度図形84を追加するかどうかを選択する(ステップS6)。輝度図形84を追加する場合には、輝度図形編集部214において、予め用意された輝度図形84の中から任意の図形を選択するとともに、グラデーションの設定を行う。これにより、選択された輝度図形84に、輝度値が徐々に変化するグラデーションが施される。そして、グラデーション済みの輝度図形84が、画像表示領域211に現れる。
【0043】
ユーザは、入力部30を操作して、輝度画像83上の任意の位置に、輝度図形84を配置する。そうすると、輝度図形追加部16が、輝度画像83に輝度図形84を合成して、新たな輝度画像83を生成する(ステップS7)。
図6は、輝度図形84追加後のウインドウ21の例を示している。このように、輝度図形84の追加により新たに生成される輝度画像83は、本発明における「第2輝度画像」に相当する。
【0044】
図6のように、ウインドウ21内のリスト表示部215には、輝度画像83に追加された輝度図形84が、一覧表示される。また、コンピュータ1内の記憶部11には、各輝度図形84と実在の照明器具との対応関係が、予め記憶されている。コンピュータ1は、その対応関係を参照して、リスト表示部215に、各輝度図形84に対応する照明器具を特定するための情報(照明器具の名称や型番など)を表示する。
【0045】
その後、ユーザは、入力部30を操作して、明るさ感算出ボタン213を選択する。そうすると、明るさ感算出部15が、輝度図形84追加後の輝度画像83に基づいて、明るさ感85を再計算する(ステップS5)。そして、表示出力部13が、情報表示部216の明るさ感85の値を、再計算された明るさ感85の値に書き換える。また、情報表示部216に表示された輝度の平均値、輝度のばらつき、輝度の最小値、および輝度の最大値の情報も、新たな値に書き換える。
【0046】
以後、ユーザは、所望の結果が得られるまで、輝度図形84の追加(ステップS7)と、明るさ感85の再計算(ステップS5)とを繰り返す。そして、納得する結果が得られたら、終了ボタン218を選択して、ウインドウ21を閉じ、照明空間評価プログラム9を終了させる(ステップS8)。
【0047】
このように、この照明空間評価プログラム9を用いれば、単一のプログラム上で、輝度画像83に輝度図形84を追加するとともに、その前後における明るさ感85の値を得ることができる。このため、他の設計ソフトでCADデータを作り直したり、実在の照明空間に照明器具を配置し直したりすることなく、当該照明空間に照明器具を追加した場合の明るさ感85の変化を、直ちに知ることができる。したがって、トライアンドエラーの手間を削減でき、照明空間を理想状態に近づけるための設計作業を、大幅に短縮できる、
【0048】
また、本実施形態の照明空間評価プログラム9では、輝度図形84に対して、輝度値が徐々に変化するグラデーションをかけることができる。このため、輝度図形84に、実際の照明器具に近い輝度分布を付与することができる。したがって、明るさ感85の変化を、より精度よく評価することができる。
【0049】
なお、輝度画像83は、三次元の照明空間を二次元に表しているため、縦、横、奥行きの縮尺が、互いに異なる場合がある。このため、当該縮尺の違いに応じた輝度図形84を作成することが好ましい。
図7は、この点を考慮した輝度図形84の作成例を示した図である。
図7の例では、縦、横、奥行きの縮尺の違いを考慮して、輝度図形84が楕円に成形されている。また、当該輝度図形84に対して、楕円の中心Oから外側へ向かうにつれて輝度が徐々に低下するように、グラデーションがかけられている。ただし、短軸方向(点Oと点Aとの間)は、長軸方向(点Oと点Bとの間)よりも、輝度勾配が急となっている。その結果、点Aと点Bとが、同等の輝度に設定されている。
【0050】
このように、縦、横、奥行きの縮尺の違いに応じて、グラデーションの勾配を調整すれば、照明器具を追加したときの輝度分布の変化を、より精度良くシミュレーションすることができる。したがって、明るさ感85の変化を、より精度良く評価することができる。
【0051】
また、本実施形態では、輝度画像83上に配置された各輝度図形84に対応する照明器具の情報が、リスト表示部215に一覧表示される。このため、ユーザは、追加した輝度図形84に対応する照明器具を別途調べることなく、照明空間評価プログラム9のウインドウ21上で、照明空間に追加すべき照明器具を、容易に知ることができる。これにより、照明空間の設計作業を、さらに短縮できる。
【0052】
<2.第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、スマートフォンやタブレット型PC等の携帯端末2を用いて、照明空間評価方法を実現する。すなわち、第2実施形態では、携帯端末2が、本発明の「情報処理装置」に相当する。
【0053】
図8および
図9は、携帯端末2の例を示した図である。
図10は、携帯端末2の使用時の様子を示した図である。これらの図に示すように、携帯端末2の前面には、操作部の機能を兼ね備えたタッチパネル式の表示部51が、設けられている。また、携帯端末2は、筐体の内部に、CPU等の演算処理部、RAM等の記憶部、およびバッテリーを有する。また、
図10に破線で示したように、携帯端末2の背面には、照明空間100を撮影するカメラ52が設けられている。
【0054】
この携帯端末2では、照明空間評価プログラムが、いわゆるアプリ(アプリケーションソフトウエア)として、ネットワークからダウンロードされる。そして、携帯端末2に照明空間評価プログラムがインストールされると、第1実施形態の輝度画像生成部12、表示出力部13、入力指示部14、明るさ感算出部15、および輝度図形追加部16と同等の機能が、携帯端末2において実現される。ただし、携帯端末2の画面サイズの制限等を考慮して、一部の機能が省略されていてもよい。
【0055】
照明空間評価プログラムを起動させると、携帯端末2の表示部51に、
図8および
図9の画面が表示される。これらの画面は、スクロールによって切り替え可能となっている。
【0056】
図8の画面では、表示部51に、画像表示領域511、輝度図形選択部512、および明るさ感表示部513が、表示されている。画像表示領域511には、輝度画像83が表示される。ユーザは、輝度図形選択部512において、予め用意された複数の輝度図形84の中から、任意の輝度図形84を選んで、輝度画像83上に追加することができる。また、携帯端末2は、輝度図形84の追加前および追加後における明るさ感85を計算し、明るさ感表示部513に表示する。
【0057】
一方、
図9の画面に切り替えると、情報表示部514と、用途選択部515とが現れる。情報表示部514には、輝度画像83内の輝度に関する種々の情報(明るさ感、輝度の平均値、輝度のばらつき、輝度の最小値、および輝度の最大値)が表示される。また、ユーザが、用途選択部515において、照明空間の用途を選択すると、当該用途に適した明るさ感85の数値範囲が表示される。
【0058】
このような携帯端末2を用いれば、
図10のように、実在の照明空間100を、携帯端末2のカメラ52で撮影し、取得された撮影画像を、携帯端末2内の照明空間評価プログラムに入力することができる。したがって、当該撮影画像から生成された輝度画像83に基づいて、照明空間100の明るさ感85を評価することができる。また、
図8の画面に表示された輝度画像83に、輝度図形84を追加して、明るさ感85がどのように変化するかを、その場で知ることができる。このように、評価対象となる照明空間100の現場において、携帯端末2を見ながら、快適性を高めるための検討や提案を行うことができる。
【0059】
<3.変形例>
以上、本発明の主たる実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
【0060】
上記の第1実施形態および第2実施形態では、汎用のコンピュータ1または汎用の携帯端末2を用いていたが、同等の機能を有する情報処理装置を用いて、照明空間を評価するための専用の照明空間評価装置を構成してもよい。
【0061】
また、上記の第1実施形態では、ユーザが、ウインドウ21内の明るさ感算出ボタン213を選択することによって、明るさ感85の算出処理が実行されていた。しかしながら、このユーザの操作を省略し、輝度画像83の表示後すぐに、あるいは、輝度図形84の追加後すぐに、コンピュータ本体10内の明るさ感算出部15が、自動的に明るさ感85を算出するようにしてもよい。
【0062】
また、照明空間評価プログラム9がインストールされたコンピュータ1または携帯端末2は、追加した輝度図形84を削除する機能や、輝度画像83を初期状態に戻す機能を、さらに有していてもよい。
【0063】
また、上記の第1実施形態および第2実施形態では、照明空間評価プログラムによって実現される機能の中に、輝度画像83を生成する機能が含まれていた。しかしながら、輝度画像83の生成自体は、他のソフトウエアで行い、生成済みの輝度画像83を、照明空間評価プログラムに入力するようにしてもよい。
【0064】
また、コンピュータ1の表示部20に表示されるウインドウ21や、携帯端末2の表示部51の画面は、同等の内容を表示するものであれば、他の表示態様であってもよい。例えば、各種ボタンや各種情報の表示位置については、本願の各図に示した通りの位置でなくてもよい。また、一部の情報が、ポップアップウインドウ等の別ウインドウに表示されるようになっていてもよい。また、プルダウンメニュー等の操作ツールを、公知の他の操作ツールに置き換えてもよい。
【0065】
また、本願の
図4〜
図8では、輝度画像83および輝度図形84を、グレースケールで示した。しかしながら、輝度画像83および輝度図形84は、輝度の値に応じて多色に色分けされて、表示部にカラー表示されるようになっていてもよい。
【0066】
また、上記の第1実施形態および第2実施形態の輝度画像83は、ある方向から見た輝度値そのものの分布を示すものであった。しかしながら、本発明における「輝度画像」は、視野全体との対比における各画素の相対的な明るさなど、輝度値から二次的に得られる尺度値の分布を示す画像またはデータであってもよい。また、本発明における「輝度画像」は、複数の方向から見た明るさの分布を示す画像またはデータであってもよい。
【0067】
また、上記の各実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、任意に組み合わせてもよい。