(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997942
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】攪拌棒洗浄機構および自動分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
G01N35/02 D
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-128764(P2012-128764)
(22)【出願日】2012年6月6日
(65)【公開番号】特開2013-253826(P2013-253826A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(72)【発明者】
【氏名】宮川 拓士
(72)【発明者】
【氏名】神原 克宏
(72)【発明者】
【氏名】坂下 敬道
【審査官】
赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2000−506979(JP,A)
【文献】
特開2005−291730(JP,A)
【文献】
実開昭62−031933(JP,U)
【文献】
特開2010−071765(JP,A)
【文献】
特開平09−292398(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0185161(US,A1)
【文献】
国際公開第97/035173(WO,A2)
【文献】
特開昭62−242858(JP,A)
【文献】
実開昭59−172357(JP,U)
【文献】
特開2010−216876(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0003731(US,A1)
【文献】
特開2009−041961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00 − 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の攪拌を行う攪拌部材および前記攪拌部材を回転させる攪拌軸から構成される攪拌棒を洗浄する攪拌棒洗浄機構であって、
前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄液を吐出する洗浄液供給口と、
前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を用いて、前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄容器と、
前記洗浄容器による洗浄の後、前記攪拌棒を回転駆動させ、脱水する脱水槽とを備え、
前記攪拌部材は、前記脱水槽内での前記攪拌棒の回転駆動により、前記脱水槽内に前記攪拌軸から前記攪拌部材の方向の気流を発生させる形状であり、
前記脱水槽は、洗浄後の攪拌棒を当該脱水槽内に受け入れる第一の開口部と、前記気流が通り抜けるよう、大気開放された第二の開口部を有する、攪拌棒洗浄機構。
【請求項2】
流体の攪拌を行う攪拌部材および前記攪拌部材を回転させる攪拌軸から構成される攪拌棒を洗浄する攪拌棒洗浄機構であって、
前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄液を吐出する洗浄液供給口と、
前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を用いて、前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄容器、および前記洗浄容器による洗浄の後、前記攪拌棒を回転駆動させ、脱水する脱水槽の機能を併せ持つ容器と、を備え、
前記攪拌部材は、前記容器内での前記攪拌棒の回転駆動により、前記容器内に前記攪拌軸から前記攪拌部材の方向の気流を発生させる形状であり、
前記容器は、前記攪拌棒を受け入れる第一の開口部と、前記攪拌部材により発生した前記気流が通り抜けるよう、大気開放された第二の開口部を有し、前記第一の開口部から前記第二の開口部の間が湾曲した形状をしており、前記第一の開口部から前記第二の開口部の間に、前記洗浄液供給口から供給された前記洗浄液を貯めることができ、前記攪拌棒の洗浄と前記脱水の動作を前記容器内の同一の位置で行う、攪拌棒洗浄機構。
【請求項3】
請求項1に記載の攪拌棒洗浄機構において、
前記洗浄容器と前記脱水槽を前記攪拌棒の攪拌軸方向に並べて配置した、攪拌棒洗浄機構。
【請求項4】
請求項1または2に記載の攪拌棒洗浄機構において、
前記洗浄液の洗浄液供給流路および洗浄液排出流路の少なくとも1つの流路内に弁を設け、前記弁を制御して、前記洗浄容器内の前記洗浄液の液量を制御する、攪拌棒洗浄機構。
【請求項5】
請求項4に記載の攪拌棒洗浄機構において、
前記攪拌棒による前記流体の攪拌時における攪拌位置に応じて、前記洗浄容器内の前記洗浄液の液量を制御する、攪拌棒洗浄機構。
【請求項6】
請求項1または2に記載の攪拌棒洗浄機構において、
前記攪拌部材は、プロペラ型である、攪拌棒洗浄機構。
【請求項7】
検体の分析を行う自動分析装置であって、
前記検体の分析に使用される流体の攪拌を行う攪拌部材および前記攪拌部材を回転させる攪拌軸から構成される攪拌棒と、
前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄液を供給する洗浄液供給口、前記洗浄液を用いて、前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄容器、および前記洗浄容器による洗浄の後、前記攪拌棒を回転駆動させ、脱水する脱水槽を有する攪拌棒洗浄機構とを備え、
前記攪拌部材は、前記脱水槽内での前記攪拌棒の回転駆動により、前記脱水槽内に前記攪拌軸から前記攪拌部材の方向の気流を発生させる形状であり、
前記脱水槽は、洗浄後の攪拌棒を当該脱水槽内に受け入れる第一の開口部と、前記気流が通り抜けるよう、大気開放された第二の開口部を有する、自動分析装置。
【請求項8】
検体の分析を行う自動分析装置であって、
前記検体の分析に使用される流体の攪拌を行う攪拌部材および前記攪拌部材を回転させる攪拌軸から構成される攪拌棒と、
前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄液を供給する洗浄液供給口、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を用いて、前記攪拌棒の洗浄を行う洗浄容器、および前記洗浄容器による洗浄の後、前記攪拌棒を回転駆動させ、脱水する脱水槽を有する攪拌棒洗浄機構とを備え、
前記攪拌棒洗浄機構の前記洗浄容器および前記脱水槽は、前記洗浄容器と前記脱水槽のの機能を併せ持つ容器として構成され、
前記攪拌部材は、前記容器内での前記攪拌棒の回転駆動により、前記容器内に前記攪拌軸から前記攪拌部材の方向の気流を発生させる形状であり、
前記容器は、前記攪拌棒を受け入れる第一の開口部と、前記攪拌部材により発生した前記気流が通り抜けるよう、大気開放された第二の開口部を有し、前記第一の開口部から前記第二の開口部の間が湾曲した形状をしており、前記第一の開口部から前記第二の開口部の間に、前記洗浄液供給口から供給された前記洗浄液を貯めることができ、前記攪拌棒の洗浄と前記脱水の動作を前記容器内の同一の位置で行う、自動分析装置。
【請求項9】
請求項7に記載の自動分析装置において、
前記洗浄容器と前記脱水槽を前記攪拌棒の攪拌軸方向に並べて配置した、自動分析装置。
【請求項10】
請求項7または8に記載の自動分析装置において、
前記洗浄液の洗浄液供給流路および洗浄液排出流路の少なくとも1つの流路内に弁を設け、前記弁を制御して、前記洗浄容器内の前記洗浄液の液量を制御する、自動分析装置。
【請求項11】
請求項10に記載の自動分析装置において、
前記攪拌棒による前記流体の攪拌時における攪拌位置に応じて、前記洗浄容器内の前記洗浄液の液量を制御する、自動分析装置。
【請求項12】
請求項7または8に記載の自動分析装置において、
前記攪拌部材は、プロペラ型である、自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は攪拌機構を有する自動分析装置に関し、特に、攪拌部材の洗浄に関するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫反応を利用して血液や尿などの検体中の特定成分を自動で分析する自動分析装置が知られている。この免疫反応を利用した免疫分析法では、抗原抗体反応により測定対象成分と標識物質を結合させ、標識物質から得られる信号(発光、吸光等)により、当該物質の定量や定性を行う。
【0003】
この際、過剰に加えられた標識物質を除去するために、対象物質と結合していない標識物質を除去するBF分離という操作が行われる。自動分析装置では、BF分離を自動的に行うために磁性粒子を使用した方法が広く採られている。磁性粒子を使用したBF分離では、測定対象物質と標識物質が結合した免疫複合体にさらに磁性粒子を結合させ、磁石で磁性粒子を吸着させた状態で溶液を置換するなどして過剰な標識物質を反応液から除去している。この方法は自動化に向いているため、自動分析装置で広く用いられている。
【0004】
しかし、磁性粒子は比重が溶液より大きいため重力により沈降し、濃度の不均一性が生じる。磁性粒子の濃度不均一化は、分析結果が正しく得られない原因となる。このため、自動分析装置では、磁性粒子溶液を攪拌して濃度を均一にするための機構を有する。
【0005】
磁性粒子の攪拌は、パドル状の構造を持った攪拌部材を試薬溶液中にいれて、攪拌部材を回転して行うことが多い。試薬攪拌後には攪拌部材に攪拌した液体が付着する。このように液体を付着させたまま別の液体の攪拌を行うと、液体同士の混合が発生し、組成が変化し、分析が正しく行われなくなる可能性がある。
【0006】
そのため、攪拌後は攪拌部材を洗浄する必要がある。攪拌棒の洗浄は、洗浄液に攪拌部材を浸す、あるいは掛けるなどをして行う。いずれの洗浄法を用いても、洗浄後の攪拌部材には洗浄液が付着し、残留する。
【0007】
これらが付着したまま次の攪拌を行うと、他の被攪拌溶液に混入し、溶液の組成の変化を引き起こし、分析結果に影響を及ぼす可能性がある。したがって、洗浄液の混入による分析結果の影響を防止するためには、攪拌部材の洗浄後に付着した洗浄液を除去あるいは乾燥する必要がある。
【0008】
従来、洗浄液や試薬を除去する方法としては、攪拌棒を洗浄容器内で回転させ、付着した液滴を飛ばす方法が一般的である[例えば、特開平9−292398号公報(特許文献1)参照]。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−292398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、例えば、特許文献に記載のような従来の攪拌機構および攪拌部材洗浄機構で用いられている、回転動作により生みだされる遠心力を用いた洗浄液除去では、攪拌棒に付着した洗浄液を十分に除去することができず、特に攪拌棒の構成部材である攪拌軸に付着している洗浄液は、得られる遠心力が小さいため除去しきれなかった。
【0011】
そこで、本発明の目的は攪拌棒、特に攪拌軸に付着している洗浄液を低減する攪拌棒洗浄機構を備えた自動分析装置を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
【0014】
すなわち、代表的なものの概要は、流体の攪拌を行う攪拌部材および攪拌部材を回転させる攪拌軸から構成される攪拌棒を洗浄する攪拌棒洗浄機構であって、攪拌棒の洗浄を行う洗浄液と、洗浄液を用いて、攪拌棒の洗浄を行う洗浄容器と、洗浄容器による洗浄の後、攪拌棒を回転駆動させ、脱水する脱水槽とを備え、攪拌部材は、脱水槽内での攪拌棒の回転駆動により、脱水槽内に攪拌軸から攪拌部材の方向の気流を発生させる形状であり、脱水槽は、気流が通り抜ける形状である。
【0015】
また、検体の分析を行う自動分析装置であって、検体の分析に使用される流体の攪拌を行う攪拌部材および攪拌部材を回転させる攪拌軸から構成される攪拌棒と、攪拌棒の洗浄を行う洗浄液、洗浄液を用いて、攪拌棒の洗浄を行う洗浄容器、および洗浄容器による洗浄の後、攪拌棒を回転駆動させ、脱水する脱水槽を有する攪拌棒洗浄機構とを備え、攪拌部材は、脱水槽内での攪拌棒の回転駆動により、脱水槽内に攪拌軸から攪拌部材の方向の気流を発生させる形状であり、脱水槽は、気流が通り抜ける形状である。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下の通りである。
【0017】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、洗浄後に攪拌部材に付着した洗浄液を遠心力による除去に加えて、一定方向の気流を生み出すことができる。この気流により、攪拌軸へ付着した洗浄液を攪拌部材側に誘導することで攪拌軸に付着した液滴についても遠心力による除去を可能とし、気流による乾燥促進を行うことができる。
【0018】
これにより攪拌軸および攪拌部材の十分な洗浄液除去乾燥が可能となり、洗浄液と、例えば試薬などの溶液との意図しない混合を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成を示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬攪拌機構および攪拌棒洗浄機構の構成を示す構成図である。
【
図3】(a)、(b)は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の攪拌棒洗浄機構の他の構成を示す構成図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の攪拌棒洗浄機構の他の構成を示す構成図である。
【
図5】(a)、(b)は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の攪拌棒洗浄機構の他の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
<自動分析装置の構成>
図1により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成について説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の構成を示す構成図である。
【0022】
図1において、自動分析装置は主に試薬架設部101、インキュベータ102、試薬分注ノズル103、反応検出部104、反応溶液をインキュベータ102から反応検出部に輸送するシッパ105、検体分注ノズル106、使い捨て反応容器107、検体分注用チップ109、使い捨て反応容器107と検体分注用チップ109の搬送機構111、試薬攪拌機構112、攪拌棒洗浄機構113、試薬分注ノズル洗浄機構114から構成されている。
【0023】
はじめに反応容器ホルダ108に設置された使い捨て反応容器107が搬送機構111によりインキュベータ102上に設置される。検体は試験管等の検体容器117に入れられており、検体搬送ラック118に載せられて検体吸引場所まで運ばれる。
【0024】
検体分注用チップホルダ110に設置された検体分注用チップ109は、搬送機構111によりチップ装着場所119に運ばれる。ここで検体分注ノズル106の先端に検体分注用チップ109が装着され、チップを装着した検体ノズルにより検体が吸引され、検体分注場所120でインキュベータ102上の反応容器に吐出される。検体分注後のチップはチップ廃棄場所123から図示されていない廃棄箱に廃棄される。
【0025】
試薬架設部101には、複数の試薬容器115が設置されている。試薬分注ノズル103は回転と上下移動が可能であり、試薬分注ノズル103の先端を所定の試薬容器内の試薬に浸漬して、所定量の試薬を吸引する。次いで、試薬分注ノズル103は上昇した後に、インキュベータ102の所定位置の上方に回転移動して、反応容器107に試薬を吐出する。
【0026】
インキュベータ102上で所定の時間反応させた後、シッパ105により反応溶液を反応検出部104に輸送して、反応溶液からの信号の検出がなされる。
【0027】
また、シッパ105はあらかじめ決められた動作指示にしたがい、反応溶液の他に緩衝液121と検出流路洗浄溶液122をそれぞれ吸引する。試薬分注後の試薬分注ノズル103は試薬分注ノズル洗浄機構114により洗浄される。
【0028】
また、試薬攪拌機構112による試薬攪拌後の攪拌棒は攪拌棒洗浄機構113により洗浄される。
【0029】
また、試薬分注ノズル103は液面検知機能を有しており、試薬の残量を計測することが可能である。また、試薬攪拌機構112は試薬ノズルにより検知された液面高さを基準として攪拌高さを規定することができる。
【0030】
<試薬攪拌機構および攪拌棒洗浄機構の構成>
次に、
図2により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬攪拌機構および攪拌棒洗浄機構の構成について説明する。
図2は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の試薬攪拌機構および攪拌棒洗浄機構の構成を示す構成図である。
【0031】
図2において、試薬攪拌機構112は攪拌軸220および攪拌部材221から構成される攪拌棒と攪拌棒が取り付けられた攪拌機構駆動部222とから構成されている。攪拌部材221は、例えばプロペラ型のように、回転によって気体や液体等の流体に方向性を持った流れを生じさせるものである。
【0032】
攪拌棒洗浄機構113は、洗浄液を一時的に溜めておく洗浄容器210を備え、洗浄容器210には洗浄液を供給する洗浄液供給口211と、洗浄液を排出する洗浄液排出口212と、気体入口230と、気体出口231を有する脱水槽242が設けられている。
【0033】
試薬攪拌機構112は試薬攪拌を行った後、攪拌棒洗浄機構113の位置に移動する。
【0034】
攪拌機構洗浄動作時には、まず、洗浄容器210に洗浄液201を溜めておく。洗浄液201を溜めるためには、洗浄液供給口211から洗浄液201を供給する。この時、洗浄液排出口212は電磁弁などの弁を設け、排水口を閉じた状態にしておくか、流入量に対して少ない流出量になるような構造とし、洗浄容器210内に洗浄液201を一時的に蓄積させる。
【0035】
そして、洗浄液201が蓄積された状態の洗浄容器210内に試薬攪拌機構112を移動させ、攪拌部材221および攪拌軸220の一部を洗浄液201に浸す。その後洗浄液内で一定時間攪拌動作(回転動作)を行い洗浄する。
【0036】
洗浄動作終了後、洗浄液除去動作に移る。洗浄液除去動作を行うために、試薬攪拌機構112の移動を行い、攪拌部材221を脱水槽242内に位置させる。脱水槽242内で攪拌部材221を回転させることで、遠心力による洗浄液除去と伴に、一定方向の気流235を発生させる。気流235により攪拌部材221近傍の気体を循環させることができ、乾燥を促進させることができる。
【0037】
さらに、この試薬攪拌機構112は、攪拌部材221の形状および攪拌部材221の回転方向より決まる気流の方向が、攪拌軸220から攪拌部材221へ向かう方向に発生するようになっている。
【0038】
このような試薬攪拌機構112を脱水槽242内に位置させることにより、試薬攪拌機構112から得られた気流からの力を受け、攪拌軸220に付着した洗浄液滴が攪拌部材221の方へと誘導され、攪拌部材221に流れ着いた液滴は遠心力により除去され、また、意図しない部位に、遠心力により飛散した液滴を付着させるというリスクを低減させることができる。
【0039】
また、攪拌部材221の脱水位置における脱水槽242の断面において、攪拌部材221の外形にほぼ等しく、干渉しない構造とすれば一定方向の気流235が生じやすい。
【0040】
また、脱水槽242に備えられた気体入口230および気体出口231の形状を丸み付の構造とすれば、流体の損失係数が減少し、より強い気流が得られ、乾燥を促進させることができる。
【0041】
<攪拌棒洗浄機構の他の構成>
次に、
図3〜
図5により、本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の攪拌棒洗浄機構の他の構成について説明する。
図3〜
図5は本発明の一実施の形態に係る自動分析装置の攪拌棒洗浄機構の他の構成を示す構成図である。
【0042】
図3は洗浄容器210と脱水槽242を兼ね備えた構成にしたものであり、
図3(a)は洗浄時の状態、
図3(b)は洗浄液除去時の状態を示している。
図4は洗浄液入口と洗浄液出口を共用させた構成、
図5は洗浄容器210と脱水槽242を攪拌軸方向に並べた構成としたものであり、
図5(a)は洗浄時の状態、
図5(b)は洗浄液除去時の状態を示している。
【0043】
図3においては、洗浄容器を湾曲させ、気体入口230と気体出口231の間に、洗浄液の液体を貯めることができる構成であり、この構成によれば、攪拌部材の洗浄位置と、洗浄液除去位置を共用することができる。
【0044】
なお,
図2に示す例では、洗浄容器210に備えられた洗浄液供給口211、洗浄液排出口212、気体入口230および気体出口231は各々1つずつ設けられていたが、本発明はこれらの位置や数に限定されない。
【0045】
また、
図4においては、例えば、3方弁や複数の電磁弁などから構成される配管流路制御機構441を設け、洗浄液入口と洗浄液出口を共用させている。この構成によれば、洗浄容器内の形状を単純化することができ、より抵抗が少なく、流体を流れやすくすることができる。
【0046】
図4における気体出口は、洗浄液のオーバーフロー液排出口413としての機能を有してもよく、このように構成すれば洗浄液の液面高さを洗浄液流入量に制限されずに規定できる。これにより、攪拌部材洗浄位置基準を構造的に設けることが可能となる。
【0047】
なお、オーバーフローを用いる場合には、
図4に示すようなオーバーフロー液排出流路414の様な構造を別途設ける必要がある。
【0048】
図5においては、洗浄容器と脱水槽を攪拌軸方向に並べた構成であり、この構成によれば、攪拌部材の洗浄後に脱水槽242で、気流235と共に遠心除去された洗浄液は特別な廃液流路を設けることなく、洗浄容器を介して排出することが可能である。
【0049】
なお、
図2〜
図5に示す攪拌棒洗浄機構において、洗浄液供給側または洗浄液排出側、またはその両方の流路に弁などを設け、洗浄液の液量を制御させることで、洗浄槽内の液面高さを制御し、一定の液面高さにすることができる。このように、洗浄液高さを例えば試薬ノズルによる液面検知より得られた攪拌機構の攪拌高さに基づき制御を行うことにより、試薬攪拌時等に液体に触れていない攪拌軸部分において、洗浄時に洗浄液の付着を回避することができ、結果として余分な洗浄液の付着量を低減させることが可能である。
【0050】
以上の説明では、洗浄動作から洗浄液除去動作の間で攪拌棒の回転を止め、洗浄液の排出を以って再度攪拌棒の回転を行っていたが、本発明はこれに限定されず、攪拌棒が回転したまま洗浄液の排出を行い、そのまま洗浄液除去動作に移ってもよい。
【0051】
また、脱水槽を洗浄するための洗浄液供給口を脱水槽に設け、攪拌棒の脱水が終わった後に、脱水槽を洗浄するようにしてもよい。
【0052】
また、以上の説明では、免疫自動分析装置を代表例として試薬攪拌機構および攪拌棒洗浄機構について説明したが、本発明はこれに限定されず、生化学自動分析装置をはじめ、攪拌機構の洗浄機構を有する自動分析装置に対し有効である。
【0053】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、液体を攪拌する攪拌機構を有する装置に関し、攪拌部材を洗浄する洗浄機構を有する装置やシステムなどに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
101…試薬架設部、102…インキュベータ、103…試薬分注ノズル、104…反応検出部、105…シッパ、106…検体分注ノズル、107…反応容器、108…反応容器ホルダ、109…検体分注用チップ、110…検体分注用チップホルダ、111…搬送機構、112…試薬攪拌機構、113…攪拌棒洗浄機構、115…試薬容器、114…試薬分注ノズル洗浄機構、115…試薬容器、116…試薬分注場所、117…検体容器、118…検体搬送ラック、119…チップ装着場所、120…検体分注場所、121…緩衝液、122…検出流路洗浄溶液、123…チップ廃棄場所、201…洗浄液、210…洗浄容器、211…洗浄液供給口、212…洗浄液排出口、220…攪拌軸、221…攪拌部材、222…攪拌機構駆動部、230…気体入口、231…気体出口、235…気流、242…脱水槽、413…オーバーフロー液排出口、414…オーバーフロー液排出流路、441…配管流路制御機構。