特許第5997968号(P5997968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5997968
(24)【登録日】2016年9月2日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】側溝用蓋体及び側溝用蓋体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/04 20060101AFI20160915BHJP
【FI】
   E03F5/04 D
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-173858(P2012-173858)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-31677(P2014-31677A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年5月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595136483
【氏名又は名称】永井コンクリート工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】306032316
【氏名又は名称】新日鉄住金マテリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康範
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 尚
(72)【発明者】
【氏名】喜多 茂
(72)【発明者】
【氏名】福岡 紀枝
(72)【発明者】
【氏名】小森 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】小森 篤也
(72)【発明者】
【氏名】秀熊 佑哉
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭59−144082(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/00−5/06
E01D 22/00
E04G 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側溝の開口部を閉鎖するコンクリート製の上板と、
前記上板の厚み方向の内部であって、前記上板の下面から所定のかぶりに、上面視において1.0mm〜20.0mmの間隔を有して平行に配置されている複数の棒状の繊維強化プラスチック材とを備えている側溝用蓋体
【請求項2】
前記繊維強化プラスチック材表面にエポキシ系樹脂接着剤層が備えられている請求項に記載の側溝用蓋体。
【請求項3】
前記上板の厚みが、50.0mm〜65.0mmである請求項1又は2に記載の側溝用蓋体。
【請求項4】
前記かぶりが、前記上板の下面から5.0mm〜60.0mmである請求項1乃至のいずれか一項に記載の側溝用蓋体。
【請求項5】
コンクリート組成物を型枠に充填する第一充填工程と、
前記第一充填工程で充填されたコンクリート組成物の表面に、複数の棒状の繊維強化プラスチック材を1.0mm〜20.0mmの間隔を有して平行に配置する配置工程と、
前記配置工程で配置された前記繊維強化プラスチック材の上に、前記繊維強化プラスチック材が被覆されるようにコンクリート組成物を充填する第二充填工程と、
前記コンクリート組成物を硬化させる硬化工程とを実施する側溝用蓋体の製造方法。
【請求項6】
前記繊維強化プラスチック材にエポキシ系樹脂接着剤を塗布する接着剤塗布工程を実施する請求項に記載の側溝用蓋体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、側溝用蓋体および側溝用蓋体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や線路等の側部に設けられているコンクリート製等の側溝は、上面の開口部にコンクリート製等の蓋体が設置されて、前記蓋体の上面を人や車両が通行できるように構成されている。
前記蓋体には、前記のように上面を人や車両が通行可能な強度が要求されるため、コンクリート製の蓋体の場合、厚みを厚くすることで、必要な強度を持たせている。特に、道路用側溝蓋体については、道路の種類に応じて強度に関する基準が存在するため、かかる基準を満たすことが要求される。
しかし、強度を上げるために厚みを厚くすれば、蓋体の質量は厚みに比例して重くなり、蓋体の設置作業者に負荷がかかる。また、蓋体は、設置後にも側溝の清掃等を行う場合には取り外すことが必要であり、かかる清掃等の作業者にも負荷がかかる。
【0003】
側溝用蓋体を軽量化するためには、例えば、特許文献1には、蓋体の一面にT型の梁を形成し、且つコンクリートの内部に鉄筋等の鋼材を埋め込み蓋体を強化しつつ、使用するコンクリート組成物の量を減少させることが記載されている。
また、特許文献2には、プラスチック製の側溝用蓋体が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2に記載の側溝用蓋体は、強度および軽量化を共に十分に満足できる程度に実現できるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−270061号公報
【特許文献2】特開2000−34701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、十分な強度を備えつつ、十分に軽量化された側溝用蓋体およびその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる側溝用蓋体は、上記課題を解決するために、
側溝の開口部を閉鎖するコンクリート製の上板と、
前記上板の厚み方向の内部であって、前記上板の下面から所定のかぶりに、上面視において1.0mm〜20.0mmの間隔を有して平行に配置されている複数の棒状の繊維強化プラスチック材とを備える。
【0008】
本発明によれば、側溝の開口部を閉鎖するコンクリート製の上板と、前記上板の厚み方向の内部であって、前記上板の下面から所定のかぶりに、上面視において所定間隔を有して平行に配置されている複数の棒状の繊維強化プラスチック材とを備えていることにより、前記繊維強化プラスチック材によって前記上板が補強され、上板の厚みを薄くしても強度が維持できる。従って、蓋体を軽量化することが可能になる。
尚、本発明において前記所定のかぶりとは、前記上板の下面の表面から所定の深さをいう。
【0010】
前記間隔を有して前記繊維強化プラスチック材が配置されている場合には、より上板の強度を向上させることができる。
【0011】
本発明の他の一態様として、前記繊維強化プラスチック材表面にエポキシ系樹脂接着剤層が備えられていてもよい。
【0012】
前記繊維強化プラスチック材表面にエポキシ系樹脂接着剤層が備えられている場合には、前記繊維強化プラスチック材と前記上板のコンクリートとの付着が強固になり、より、上板の強度を向上させることができる。
【0013】
本発明の一態様として、前記上板の厚みが、50.0mm〜65.0mmであってもよい。
【0014】
本発明によれば、十分な強度を有したまま、前記上板の厚みを前記範囲にすることができ、蓋体を比較的軽量化することができる。
【0015】
本発明の他の一態様として、前記かぶりが、前記上板の下面から5.0mm〜60.0mmであってもよい。
【0016】
前記かぶりに前記繊維強化プラスチック材が配置されている場合には、より上板の強度を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る側溝用蓋体の製造方法においては、
コンクリート組成物を型枠に充填する第一充填工程と、
前記第一充填工程で充填されたコンクリート組成物の表面に、複数の棒状の繊維強化プラスチック材を所定間隔を有して平行に配置する配置工程と、
前記配置工程で配置された前記繊維強化プラスチック材の上に、前記繊維強化プラスチック材が被覆されるようにコンクリート組成物を充填する第二充填工程と、
前記コンクリート組成物を硬化させる硬化工程とを実施する。
【0018】
側溝用蓋体の製造方法の本発明の他の一態様としては、前記繊維強化プラスチック材にエポキシ系樹脂接着剤を塗布する接着剤塗布工程を実施してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、十分な強度を備えつつ、軽量化することが可能な側溝用蓋体およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)本発明にかかる側溝用蓋体の上面図、(b)同側面図。
図2】実施例に用いた試験方法を示す模式図であって、(a)装置および供試体の正面図、(b)供試体の底面図、(c)装置及び供試体の側面図を示す。
図3】荷重−変位関係を示すグラフ。
図4】荷重−ひずみ関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の側溝用蓋体10は、図1に示すように、側溝の開口部を閉鎖するコンクリート製の上板1と、前記上板1の厚み方向の内部であって、前記上板1の下面1aから所定のかぶりに、上面視において所定間隔を有して平行に配置されている複数の棒状の繊維強化プラスチック材2とを備えている。
【0022】
本実施形態の側溝用蓋体は、例えば、JIS A 5372:2010「プレキャスト鉄筋コンクリート製品」に推奨仕様E−2、E−3として記載されている「上ふた式U形側溝」、「落ちふた式U形側溝」等の側溝に用いられるコンクリート製の蓋体として使用されるものである。
【0023】
前記上板1は、図1に示すように、コンクリート製の上面視長方形状の板状体である。
前記上板1の大きさは、側溝の開口部の幅にもよるが、「落ちふた式U形側溝」によれば通常、b(幅)360mm〜630mm程度、l(長さ)500mmである。
【0024】
前記上板1の厚みは、50.0mm〜65.0mm、好ましくは50.0mm程度である。前記上板1の厚みを前記範囲に設定し、例えば、JIS A 5372:2010で推奨仕様に記載のE−3の3種における呼び300(スパン350mm)に適合する蓋体を形成した場合、該蓋体の質量は約21kg〜25kgになる。
【0025】
前記上板1は、例えば、セメントに細骨材および粗骨材、必要に応じて、減水剤などの添加剤を配合し、所定の水セメント比になるように水を添加して得られるコンクリート組成物を型枠に入れて、所定の条件で養生を行い、硬化させることで得られるコンクリートを用いることができる。
【0026】
前記繊維強化プラスチック材2としては、例えば、炭素繊維束に接着剤を含浸させる等して棒状の繊維強化プラスチック材等が挙げられる。
前記繊維強化プラスチック材は、断面視円形または楕円形の棒状体であって、その断面径は、長径が1.0mm〜2.0mm程度の棒状体等を用いることができる。
前記のような複数の繊維強化プラスチック材は、各繊維強化プラスチック材を所定間隔を有して一方向において平行に配置して、すだれ状に固定したいわゆるストランドシートの形状で用いても良い。
あるいは、前記のような繊維強化プラスチック材を二方向において所定間隔を有して格子状に配置した繊維強化プラスチック材からなるシート材を用いても良い。
【0027】
前記繊維強化プラスチック材間の所定間隔は、例えば、1.0mm〜20.0mm、好ましくは1.5mm〜5.0mm程度であることが好ましい。
前記範囲の所定間隔であれば、前記繊維強化プラスチック材の間隔を介して前記繊維強化プラスチック材とコンクリート組成物が接触する面積が適切に保たれるため、上板1内部で前記繊維強化プラスチック材2とコンクリート組成物とが剥離するおそれがない。また、前記範囲の所定間隔であることにより、適度な密度で前記繊維強化プラスチック材が上板の内部に配置されるため、繊維強化プラスチック材による上板の補強効果が確実に得られる。
また、前記繊維強化プラスチック材は、隣接する繊維強化プラスチック材の中心線同士の間隔が2.5mm〜5.5mm程度の間隔を有して配置されることが好ましい。
【0028】
前記繊維強化プラスチック材2が配置される位置は、図1(b)に示すように、前記上板1の底面から1aから所定のかぶりXに配置されている。
前記かぶりXは、例えば、前記上板1の下面1aから、5.0mm〜60.0mm、好ましくは5.0mm〜30.0mm、より好ましくは5.0mm〜15.0mm、さらに好ましくは、7.5mm〜12.5mm程度の深さであることが好ましい。
尚、前記かぶりXは、前記上板1の下面1aから、前記繊維強化プラスチック材2までの最短距離をいう。
かかる位置に前記繊維強化プラスチック材2を配置した場合には、上板1の強度をより向上させることができる。
【0029】
本実施形態の繊維強化プラスチック材表面には、必要に応じて、エポキシ系樹脂接着剤層が形成されている。
前記エポキシ系樹脂接着剤層は、前記繊維強化プラスチック材の両面にエポキシ系樹脂接着剤を塗布することで形成される。
前記エポキシ系樹脂接着剤としては、エポキシ樹脂を含む主剤と、ポリアミン混合物等の硬化成分を含む硬化剤との2成分を使用時に混合する接着剤のうち、フレッシュコンクリートとの接着性が良好で、且つフレッシュコンクリートの硬化反応を阻害しないものを用いなければならない。
【0030】
前記エポキシ系樹脂接着剤層は、繊維強化プラスチック材2の全面に形成してもよく、あるいは繊維強化プラスチック材2の一部に形成してもよい。
前記エポキシ系樹脂接着剤の好ましい塗布量は300g/m2〜3000g/m2、好ましくは、500g/m2〜600g/m2程度である。
【0031】
前記のような本実施形態の側溝用蓋体は、JIS A 5371:2010に記載の方法に準拠して測定した曲げ強度荷重が、前記呼び300(スパン350mm)に適合するものであれば、27kN以上の強度が得られる。
【0032】
側溝用蓋体としては、通常、前記呼び300(スパン350mm)に適合するものであれば、27kN以上の強度が前記JISの規格で要求されており、このような強度基準を満たすために、一般的な蓋体の厚みは、90mm〜100mm前後になっている。かかる一般的な厚みの蓋体は、質量も40kg〜50kg程度とかなり重たいものであり、設置あるいは、取り外しに不便である。
本実施形態の側溝用蓋体は、前記のような比較的薄い厚みにしても、曲げ強度荷重は27kN以上という基準を満たすことができるため、蓋体の質量も軽量化することができる。
【0033】
次に本実施形態の側溝用蓋体の製造方法について説明する。
本実施形態の側溝用蓋体の製造方法は、
コンクリート組成物を型枠に充填する第一充填工程と、
前記第一充填工程で充填されたコンクリート組成物の表面に、複数の棒状の繊維強化プラスチック材を所定間隔を有して平行に配置する配置工程と、
前記配置工程で配置された前記繊維強化プラスチック材の上に、前記繊維強化プラスチック材が被覆されるようにコンクリート組成物を充填する第二充填工程と、
前記コンクリート組成物を硬化させる硬化工程とを実施する方法である。
【0034】
《第一充填工程》
本実施形態で用いるコンクリート組成物としては、セメントと、細骨材及び粗骨材、必要に応じて添加剤などを配合した組成物が挙げられる。
前記セメントとしては、特に限定されるものではないが、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、アルミナセメント、ジェットセメント等が挙げられる。
前記セメントの配合量は、350kg/m3〜1200kg/m3となるようにコンクリート組成物中に配合されることが好ましい。
【0035】
前記細骨材及び粗骨材としては、コンクリートやモルタルに一般的に用いられる細骨材、粗骨材であれば、特に制限されることなく用いることができる。
例えば、砂や砂利などの天然骨材、砕石などの人工骨材、あるいは再生骨材などから適宜選択して用いることができる。
前記細骨材の配合量は、前記セメント100質量部に対して30質量部〜250質量部であることが好ましい。
前記粗骨材の配合量は、前記セメント100質量部に対して70質量部〜300質量部であることが好ましい。
【0036】
前記添加剤としては、減水剤、分散剤、硬化促進剤等の通常のコンクリート組成物に配合される添加剤を適宜用いることができる。
前記添加剤の配合量はセメント質量に対して0.65質量%〜2.50質量%程度であることが好ましい。
【0037】
前記コンクリート組成物は、前記各成分にさらに所定の水セメント比、例えば、水セメント比10%〜55%程度になるように水が添加されて、ペースト状のフレッシュコンクリートとして調整される。
【0038】
第一充填工程では、前記のようなコンクリート組成物(フレッシュコンクリート)を型枠に充填するが、蓋体として成形された時のかぶりXに相当する高さまで前記フレッシュコンクリートを充填する。
すなわち、型枠の底面が前記蓋体の下面1aになり、かかる第一充填工程で充填されたフレッシュコンクリートの高さがかぶりXに相当する。
【0039】
《配置工程/接着剤塗布工程》
次に、前記繊維強化プラスチック材を、前記コンクリート組成物の上面に配置する。
本実施形態では、前記繊維強化プラスチック材を配置する前に、前記繊維強化プラスチック材にエポキシ系樹脂接着剤を塗布する接着剤塗布工程を実施する。
例えば、前記繊維強化プラスチック材の表面に、ハケやローラー等を用いて前記ポキシ系樹脂接着剤を塗布するか、あるいは、スプレーなどを用いて前記ポキシ系樹脂接着剤を噴霧することで、前記エポキシ系樹脂接着剤層を設けることができる。
【0040】
前記エポキシ系樹脂接着剤層が設けられた繊維強化プラスチック材を、前記型枠内のコンクリート組成物の上面に配置する。
本実施形態において前記繊維強化プラスチック材としてストランドシートを用いた場合には、前記ストランドシートを構成する各棒状の繊維強化プラスチック材が、蓋体が側溝に設置された場合に、幅方向(溝の長手方向と直交する方向であり、JIS A 5372:2010のE−3にbと記載されている方向)と平行になるように前記ストランドシートを配置する。
【0041】
《第二充填工程》
次に、前記配置工程で配置された前記繊維強化プラスチック材の上に、前記繊維強化プラスチック材が被覆されるようにコンクリート組成物を充填する第二充填工程を実施する。
第二充填工程においては、前記フレッシュコンクリートを蓋体の厚みが得られる高さまで、前記型枠内に充填する。
尚、前記第一充填工程で充填されたフレッシュコンクリートの表面が完全に硬化しない間に、第二充填工程を実施することが、蓋体としてのコンクリート組成物の強度を維持する観点から好ましい。
例えば、前記充填工程でコンクリート組成物を充填してから5分間〜60分間以内に第二充填工程を実施することが好ましい。
【0042】
《硬化工程》
さらに、前記型枠内のコンクリート組成物を硬化させる硬化工程を実施する。
本実施形態では、前記コンクリート組成物を蒸気養生させることが好ましい。
前記蒸気養生の条件は、例えば、養生槽内に型枠ごと前記コンクリート組成物を設置し、前置き時間3時間以上確保した後、昇温速度10℃/時間〜25℃/時間で、最高温度を40℃〜65℃とし、その最高温度で2時間〜4時間保持し、その後降温速度10℃/時間〜20℃/時間で常温まで降温させ、コンクリートの打込みより2週間静置させることが好ましい。
かかる蒸気養生を行うことで、短時間で硬化反応を促進させることができる。
【0043】
前記のような養生の終了後、型枠から硬化したコンクリート組成物をはずことで、前記側溝用蓋体が得られる。
【0044】
尚、本実施形態にかかる側溝用蓋体及びその製造方法は以上のとおりであるが、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【実施例】
【0045】
以下に実施例を示して、本発明にかかる側溝用蓋体およびその製造方法についてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0046】
(コンクリート組成物)
本実施例で用いるコンクリート組成物の配合は表1に示すとおりの配合No.1から3までのものを使用した。
【0047】
【表1】
*1:セメント又は結合材に対する質量%で表示した。

セメント:普通ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)
結合材(B):低熱ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)と、早強ポルトランドセメント(住友大阪セメント社製)と、ジルコニア起源シリカ質微粉末(密度2.25g/cm3、BET比表面積10.2m2/g、非晶質SiO296質量%、ZrO23質量%)を質量比7:2:1で混合したもの。
細骨材:静岡県掛川産山砂、密度2.58g/cm3
粗骨材:大阪府高槻産硬質砂岩砕石、密度2.70g/cm3、粗骨材の最大寸法10mm
d1:高性能AE減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤
d2:空気量調整剤:変性ロジン酸化合物系AE剤
W/B:水結合材比
【0048】
(繊維強化プラスチック材)
繊維強化プラスチック材として、炭素繊維製のストランドシート(新日鉄マテリアルズ社製FSS−HT−300)を用いた。
ストランドシートの物性は表2に示すとおりである。
【0049】
【表2】
【0050】
前記ストランドシートを構成する棒状繊維強化プラスチック材の幅(配置した場合の幅方向にあたる位置の径)は平均1.5mm、各棒状繊維強化プラスチック材の間隔は2.0mmのもの(ストランドシート1)と、平均1.0mmのもの(ストランドシート2)の2種類を用意した。
【0051】
(エポキシ系樹脂接着剤)
エポキシ系樹脂接着剤として、高耐久型エポキシ樹脂接着剤(商品名:KSボンド、鹿島道路社製)を用いた。
【0052】
(実施例1)
表1に示す配合No.1のコンクリート組成物を用いて、以下の方法で実施例1の供試体を作製した。
まず、内面における幅(b)412mm×長さ(l)500mm×深さ50mmの型枠内に前記コンクリート組成物をかぶりに相当する厚さ10mmになるまで充填した。
表面を平らにして、前記ストランドシート1を配置した。尚、ストランドシートを構成する棒状の繊維強化プラスチック材が、前記幅方向と平行になるように配置した。
ストランドシートを配置した上からさらにコンクリート組成物を打ち込んだ。
コンクリート組成物を打ち込み終えたら、型枠を蒸気養生槽へ設置して、以下の蒸気養生条件で計20時間蒸気養生して、実施例1の供試体を得た。
《蒸気養生条件》
初期温度:20℃
最高温度:50℃
昇温速度:20℃/h
最高温度保持時間:4時間
降温速度:10℃/h
【0053】
得られた実施例1の供試体は、幅(b)412mm、長さ(l)500mm、厚さ50mmの供試体であって、底面から10mmの位置に前記ストランドシートが存在していた。
【0054】
(実施例2〜6)
実施例2および3の供試体を、セメント組成物としてそれぞれ表3に示すようなものを用いた他は実施例1と同様の方法で作製した。
実施例4および5の供試体は、セメント組成物としてそれぞれ表3に示すようなものを用い、さらに、ストランドシートを配置する前に、エポキシ系樹脂接着剤を、ストランドシートの両面に塗布し、5分間放置した後に、コンクリート組成物上に配置した他は、実施例1と同様に作製した。
実施例6の供試体については、セメント組成物として配合No.2を用いて、且つストランドシート2を用いた他は実施例1と同様の方法で作製した。
【0055】
(比較例1および2)
比較例1の供試体は、内部にストランドシートを設置せず、型枠内にセメント組成物(配合No.2)を一度に充填した他は、実施例1と同様に作製した。
比較例2の供試体は、セメント組成物として配合No.2を用いて、ストランドシートの代わりに4本の異形棒鋼(JIS G 3112:2010「鉄筋コンクリート用棒鋼」、SD295、呼び名D10、公称直径9.53mm)を均等間隔に幅方向に平行になるように配置した他は、実施例1と同様に作製した。
【0056】
前記各実施例および比較例について、JIS A 5372:2010 E−3.6に規定する曲げ強度試験の方法に準じて、図2に示す装置を用いて以下のような強度試験を行なった。
まず、各実施例および比較例を2個ずつ準備し、図2に示すようにセットし、JIS A 5372:2010「推奨仕様5−3 落ちふた式U形側溝3種」に従い中央に荷重を加え、さらに、下面の変位2点、下面のひずみ(PL−60)3点の計6点を、前記中央の荷重が27kNになるまで載荷した。
その後、荷重を保持し、この時の0.05mm以上のひび割れの有無を目視で確認し,再び載荷し、最大曲げ強さおよび曲げ強さ荷重を測定した。なお、27kNまでは0.6N/mm2・秒で荷重制御により載荷し、27kN以降は0.005mm/秒の変位制御で載荷した。
【0057】
前記方法に従い、各実施例および比較例が破壊するまで、ひずみ、および、変位を測定し、各実施例および比較例について最大曲げ強さおよび曲げ強さ荷重を測定した結果を2個の試験体の平均値で求め、表3に示す。
【0058】
また、ひび割れの評価として、前記目視による27kN載荷時のひび割れの有無に加えて、荷重−変位、荷重−ひずみ関係をグラフ化し、かかるグラフにおいてひび割れが発生していないかどうかを確認した。
すなわち、荷重−変位関係は図3のようなグラフになり、ひび割れが発生した場合には、グラフの曲線が不連続になる点(図3に示すa点)が生じる。
また、荷重−ひずみ関係のグラフにおいては、ひび割れが発生した場合には、ひずみが計測できなくなる点(図4に示すb点)が生じる。
本実施例では、目視によって前記27kN載荷時に0.05mm以上のひび割れが発生しておらず、前記27kN載荷時に至るまでの間の荷重−変位関係、荷重−ひずみ関係のいずれの確認方法においてもひび割れが発生していなかったと認められる場合を、27kN載荷時にひび割れ無し、とし、27kN載荷時に目視によって0.05mm以上のひび割れが認められず、前記27kN載荷時に至るまでの間の荷重−変位関係、荷重−ひずみ関係のいずれかの確認方法でひび割れが発生したと認められる場合には、27kN載荷時に0.05mm以下のひび割れが発生した、とし、27kN載荷時に目視によって0.05mm以上のひび割れが発生したと認められる場合には、27kN載荷時0.05mm以上のひび割れが発生、と評価した。
ただし、0.05mm以下のひび割れが生じたものはなかった。
【0059】
(質量)
各実施例及び比較例の供試体の質量を測定した結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
表3より、各実施例ではひび割れが発生しなかったが、各比較例では、破壊或いは大きいひび割れが発生した。
また、各実施例は各比較例に比べて曲げ強さ荷重及び最大曲げ強さは大きかった。
さらに、各実施例は各比較例に比べて軽量であった。
以上より、各実施例は、各比較例に比べて軽量で且つ強度も高いことが明らかである。
【符号の説明】
【0062】
1:上板、2:繊維強化プラスチック材、10:側溝用蓋体。
図1
図2
図3
図4