(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の前記基材と前記粘着層との間の剥離強度が、他方の前記基材と前記粘着層との間の剥離強度よりも高くなっていることを特徴とする請求項1記載の粘着フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した粘着層は、保管・運搬時に埃等が付着するのを防止するために、剥離可能な基材で前記粘着層の両面を挟んだ状態の粘着フィルムとして取り扱うことが好ましい。また、前記粘着層は、対応する液晶表示装置の大きさに予め形成されていることが好ましい。ここで、粘着層を所望の形状にするために基材を含めて切断し、粘着層の外縁と基材の外縁とをそろえてしまうと、粘着層の切断面に埃等が付着し易くなる、又は粘着層から基材を剥がすことが困難になるという問題が生じる。そのため、少なくとも一方の基材の外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。このような構造の粘着フィルムを作製する方法としては、例えば、一方の基材上に粘着層を形成した後に、一方の基材を切断することなく粘着層だけを切断することが考えられる。その際、粘着層だけを完全に切断するためには、一方の基材に到達する深さでブレード等を通す必要がある。これに伴い、一方の基材には粘着層の外縁に沿って切込部が形成される。しかし、一方の基材に形成された切込部の状態によっては、粘着層から基材を剥離する際の剥離不良の要因となることが、本発明者らの鋭意検討の結果明らかとなった。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、粘着層と基材との剥離不良の発生を抑制できる粘着フィルム及び粘着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粘着フィルムは、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟む一対の基材と、を備えた粘着フィルムであって、基材のそれぞれの外縁は、粘着層の外縁よりも外側に張り出し、一方の基材の粘着層側の面には、粘着層の外縁に沿って切込部が形成され、一方の基材の厚みが50μm以上200μm以下であり、切込部の深さの平均値が5μm以上45μm以下であり、切込部の深さの標準偏差が15μm以下であることを特徴とする。
【0007】
このような粘着フィルムによれば、基材のそれぞれの外縁が粘着層の外縁よりも外側に張り出しているため、粘着層の外縁部が、粘着フィルムの保管・運搬等に際し確実に保護される。また、厚みが50μm以上200μm以下である一方の基材の粘着層側の面には、ブレード等による切込部が形成され、切込部の深さの平均値は5μm以上とされる。これにより、一方の基材側に確実にブレード等が通され、粘着層を完全に切断することができる。また、切込部の深さの平均値は45μm以下とされる。これにより、ブレード等で粘着層を切断する際に粘着層の一部が切込部内に深く入り込むことを防止できる。切込部内への粘着層の入り込みを抑えることで、粘着層と基材との剥離不良の発生を抑制することができる。更に、切込部の深さの標準偏差が15μmとされる。これにより、切込部の深さのばらつきが小さくなるため、粘着層を完全に切断することができると共に、粘着層と基材との剥離不良の発生を抑制することができる、という効果をより確実なものとすることができる。なお、このように切込部の深さを標準偏差で規定できるのは、粘着層の外縁に沿う切込部のうち、上述した深さの範囲外となる箇所が多少存在していても、本発明の効果を損なわないことに基づくものである。
【0008】
また、一方の基材と粘着層との間の剥離強度が、他方の基材と粘着層との間の剥離強度よりも高くなっていることが好ましい。このように、一方の基材側の剥離強度と、他方の基材側の剥離強度との間に差を設けることで、基材を順番に剥離させることが容易になる。
【0009】
また、粘着層の外縁が矩形状の平面形状をなし、粘着層の外縁の各辺上に少なくとも一箇所ずつ割り振られた複数の測定点での切込部の深さの平均値が5μm以上45μm以下であり、複数の測定点での切込部の深さの標準偏差が15μm以下であることが好ましい。この場合、粘着層を完全に切断することができると共に、粘着層と基材との剥離不良の発生を抑制することができる、という効果をより確実なものとすることができる。
【0010】
また、粘着層の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×10
3以上1.0×10
6Pa以下であることが好ましい。この場合、切込部の深さと粘着層の切断性及び剥離性との関係がより密接となるため、切込部の深さを上述した範囲とすることによる効果がより顕著となる。
【0011】
また、粘着層のガラス基板に対する剥離強度が5N/10mm以上20N/10mm以下であることが好ましい。この場合、切込部の深さと粘着層の切断性及び剥離性との関係がより一層密接となるため、切込部の深さを上述した範囲とすることによる効果がより一層顕著となる。
【0012】
また、本発明に係る粘着フィルムの製造方法は、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟む一対の基材と、を備えた粘着フィルムの製造方法であって、粘着層を一方の基材上に形成した母材フィルムに対し、粘着層側から一方の基材に到達する深さでブレードを通し、粘着層の外縁を所望の形状に切断する切断工程を備え、切断工程では、ブレードによって一方の基材に形成される切込部の深さの平均値が、5μm以上45μm以下となり、切込部の深さの標準偏差が15μm以下となるようにブレードを一方の基材に到達させることを特徴とする。
【0013】
このような粘着フィルムの製造方法によれば、切込部の深さの平均値が5μm以上とされる。これにより、一方の基材側に確実にブレードが通され、粘着層を完全に切断することができる。また、切込部の深さの平均値が45μm以下とされる。これにより、ブレードで粘着層を切断する際に粘着層の一部が切込部内に深く入り込むことを防止できる。切込部内への粘着層の入り込みを抑えることで、粘着層と基材との剥離不良の発生を抑制することができる。更に、切込部の深さの標準偏差が15μm以下とされる。これにより、切込部の深さのばらつきが小さくなるため、粘着層を完全に切断することができると共に、粘着層と基材との剥離不良の発生を抑制することができる、という効果をより確実なものとすることができる。
【0014】
また、切断工程の後に、粘着層に他方の基材を貼り付ける貼付工程を更に備えることが好ましい。この場合、他方の基材に妨げられることなく、ブレードを粘着層に通し易くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る粘着フィルム及び粘着フィルムの製造方法によれば、粘着層と基材との剥離不良の発生を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示されるように、本発明に係る粘着フィルム1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟む重剥離セパレータ3(一方の基材)及び軽剥離セパレータ4(他方の基材)とを備えている。この粘着フィルム1は、例えば携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイにおいて、保護パネルとタッチパネルとの間、又はタッチパネルと液晶パネルとの間に配置される透明なフィルムである。
【0018】
粘着層2は、例えば、(A)アクリル酸系誘導体ポリマ、(B)アクリル酸系誘導体、(C)重合開始剤等を含む粘着剤組成物によって形成される。(A)アクリル酸系誘導体ポリマーとしては、(B)アクリル酸系誘導体を重合させて得られるものが挙げられ、その重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものとする。アクリル酸系誘導体ポリマの重量平均分子量は、一般的な多孔性のポリマーゲルを用いたHPLC用のカラム、及び溶離液としてテトラヒドロフランを用いて、測定温度25〜40℃で測定できる。検出器は示差屈折計(RI検出器)を用いることが好ましい。)が10,000以上1,000,000以下であるものが好ましい。アクリル酸系誘導体ポリマーは、アクリル酸系誘導体以外のモノマーを併用して重合させて得られるポリマーであってもよい。
【0019】
本発明において(A)アクリル酸系誘導体ポリマの含有量は、粘着剤組成物の総量に対して、10質量%以上80質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましく、25質量%以上45質量%以下が特に好ましい。
【0020】
(B)アクリル酸系誘導体としては、アクリル酸又はメタクリル酸、それらの誘導体等が挙げられる。具体的には、重合性不飽和結合を分子内に1個有する、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキル、ベンジル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(ジエチレングリコールエチルエーテル)の(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールのモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル、フッ素化アルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用することができる。
【0021】
上記の重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーと共に、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを使用することができる。このようなモノマーとしては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール鎖とウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート(重量平均分子量が5,000〜100,000;ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものとし、一般的な多孔性のポリマーゲルを用いたHPLC用のカラム、及び溶離液としてテトラヒドロフランを用いて、測定温度25〜40℃で測定できる。検出器は示差屈折計(RI検出器)を用いることが好ましい。)等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。粘着層2の成形性の観点からは、(B)成分において重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを用いることが好ましい。
【0022】
なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0023】
本発明において(B)アクリル酸系誘導体の含有量は、粘着剤組成物の総量に対して、15質量%以上89.9質量%以下が好ましく、45質量%以上79.9質量%以下がより好ましく、50質量%以上74.9質量%以下が特に好ましい。
【0024】
(C)重合開始剤としては、光重合開始剤を使用することができ、ケトン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の材料から選ぶことができる。これらの中でも特に、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のケトン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を使用することが透明性及び硬化性の観点から好ましい。
【0025】
本発明において(C)重合開始剤の含有量は、粘着剤組成物の総量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.2質量%以上4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上2質量%以下が特に好ましい。
【0026】
このような粘着層2は、例えば、重剥離セパレータ3上に、上記(A)〜(C)成分を含む溶液状の粘着剤組成物を任意の厚みで塗工し、所望の大きさに切断することで形成される。塗工された粘着剤組成物に、紫外線等の活性光線を照射してもよい。粘着層2は、粘着性の観点から、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位を主に含むことが好ましい。ここで「主に含む」とは、粘着層2を構成する成分中で最も多い成分を意味する。また、粘着層2の厚みは、0.1mm以上1mm以下であることが好ましく、0.15mm(150μm)以上0.5mm(500μm)以下であることが更に好ましい。このような厚みにすることで、粘着層2をディスプレイに適用した場合により一層優れた効果を発揮させることができる。
【0027】
粘着層2の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×10
3Pa以上1.0×10
6Pa以下であることが好ましく、1.0×10
4Pa以上5.0×10
5Pa以下であることが更に好ましい。
【0028】
貯蔵弾性率は、厚み0.5mm、長さ10mm、及び幅10mmの試料(粘着層2)を作製して、動的粘弾性測定装置(例えば、Reometric Scientific RSA II:測定周波数 1Hz:シェアサンドイッチモード)で測定できる。
【0029】
また、粘着層2のガラス(ソーダライムガラス)基板に対する剥離強度(ピール強度)は、5N/10mm以上20N/10mm以下であることが好ましく、7N/10mm以上15N/10mm以下であることがより好ましい。粘着層2の厚みは、100μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上400μm以下であることがより好ましい。粘着層2の平面形状は、適用される被着物に応じて適宜設計されるが、例えば長辺が50mm以上500mm以下、短辺が30mm以上400mm以下の長方形となっていると、本発明の効果が顕著となり、長辺が100mm以上300mm以下、短辺が80mm以上280mm以下の長方形であると、本発明の効果がより顕著となる。粘着層2の光透過率は、可視光領域(波長:380〜780nm)の光線に対して80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。この光透過率は、分光光度計により測定することができる。分光光度計としては、例えば日立U−3310型分光光度計(積分球使用)を使用することができる。粘着層2の光透過率は、例えば厚さ500μmのガラス板と、厚さ175μmになるように作製された粘着層2とを貼り合わせた粘着層付きガラス板の光透過率を分光光度計により測定し、粘着層付きガラス板の光透過率からガラス板の光透過率を差し引くことで算出することができる。
【0030】
重剥離セパレータ3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。重剥離セパレータ3の厚みは、50μm以上200μm以下であるが、60μm以上150μm以下であることがより好ましく、70μm以上130μm以下であることが特に好ましい。重剥離セパレータ3の平面形状は、粘着層2の平面形状よりも大きく、重剥離セパレータ3の外縁3aは粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出している。外縁3aが外縁2aよりも張り出す量は、取り扱い易さ、剥がし易さ、及び埃等の付着をより低減できる観点から、2mm以上20mm以下であることが好ましく、4mm以上10mm以下であることがより好ましい。粘着層2及び重剥離セパレータ3の平面形状が長方形等の矩形状である場合には、外縁3aが外縁2aよりも張り出す量は、少なくとも1つの辺において2mm以上20mm以下であることが好ましく、少なくとも1つの辺において4mm以上10mm以下であることがより好ましく、全ての辺において2mm以上20mm以下であることが特に好ましく、全ての辺において4mm以上10mm以下であることが最も好ましい。
【0031】
軽剥離セパレータ4は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。軽剥離セパレータ4の厚みは、25μm以上150μm以下であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましく、40μm以上75μm以下であることが特に好ましい。軽剥離セパレータ4の平面形状は、粘着層2の平面形状よりも大きく、軽剥離セパレータ4の外縁4aは粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出している。外縁4aが外縁2aよりも張り出す量は、取り扱い易さ、剥がし易さ、及び埃等の付着をより低減できる観点から、2mm以上20mm以下であることが好ましく、4mm以上10mm以下であることがより好ましい。粘着層2及び軽剥離セパレータ4の平面形状が長方形等の矩形状である場合には、外縁4aが外縁2aよりも張り出す量は、少なくとも1つの辺において2mm以上20mm以下であることが好ましく、少なくとも1つの辺において4mm以上10mm以下であることがより好ましく、全ての辺において2mm以上20mm以下であることが特に好ましく、全ての辺において4mm以上10mm以下であることが最も好ましい。
【0032】
重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度よりも高くなっている。重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度(ピール強度)は、0.3N/25mm以上1.5N/25mm以下であることが好ましく、0.35N/25mm以上1.0N/25mm以下であることがより好ましい。軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、0.01N/25mm以上0.4N/25mm以下であることが好ましく、0.05N/25mm以上0.35N/25mm以下であることがより好ましい。ここで、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度をT、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度をSとした場合、T>Sであることが好ましい。セパレータ3,4と粘着層2との剥離強度は、例えば、セパレータ3,4の表面処理等によって調整される。表面処理方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物で離型処理することが挙げられる。
【0033】
上記剥離強度は、(株)エー・アンド・デイ製の万能試験機「テンシロン RTG−1210」により25℃で測定したものとする。測定条件は、「重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度」及び「軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度」は90度ピールによる。また、「ガラス基板と粘着層2との間の剥離強度」は180度ピールによる。また、90度ピール及び180度ピールの引っ張り速度は300mm/分である。
【0034】
重剥離セパレータ3の粘着層2側の面3bには、粘着層2の外縁2aに沿って切込部3cが形成されている。外縁2a全体での、切込部3cの深さDの平均値は、5μm以上45μm以下となっているが、10μm以上40μm以下であることがより好ましい。また、外縁2a全体での深さDの標準偏差は、15μm以下となっているが、12μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。更に、切込部3cの最小深さD
minが5μm以上であり、最大深さD
maxが45μm以下であることが好ましく、切込部3cの最小深さD
minが10μm以上であり、最大深さD
maxが40μm以下であることがより好ましい。
【0035】
切込部3cの深さDの平均値及び標準偏差は、例えば、粘着層2の外縁2a上に割り振られた複数の測定点で測定された深さDを用いて、例えば以下の式により容易に算出される。
平均値(相加平均)X
AV=(X1+X2+X3+・・・・・+Xn)/n
標準偏差σ=[{(X1−X
AV)
2+(X2−X
AV)
2+(X3−X
AV)
2+・・・+(Xn−X
AV)
2}/n]
1/2
X1、X2、X3、・・・・・Xn:n箇所の測定点での測定結果
【0036】
図2に示されるように、深さDの測定点Pは、粘着層2の外縁2a上のより多くの箇所に分散して割り振られていることが好ましい。例えば、粘着層2の外縁2aが矩形状である場合には、測定点Pは、外縁2aの各辺に少なくとも一箇所ずつ割り振られていることが好ましい。特に、測定点Pは、外縁2aの各辺に三箇所ずつ割り振られていることが好ましい。なお、切込部3cの深さDは、例えば、電子顕微鏡による断面観察、非接触段差測定等により測定できる。
【0037】
以上に説明した粘着フィルム1は、次のように製造される。まず、
図3に示されるように、重剥離セパレータ3上に粘着層2が形成され、粘着層2上に仮セパレータ5が形成された母材フィルム10を準備する。仮セパレータ5は、例えば、軽剥離セパレータ4と同じ素材からなる層である。
【0038】
続いて、
図4に示されるように、ブレードBを備えた打抜装置(不図示)により、仮セパレータ5及び粘着層2を所望の形状に切断する。打抜装置は、クランク式の打抜装置であってもよいし、レシプロ式の打抜装置であってもよいし、ロータリー式の打抜装置であってもよい。各基材の剥離性の観点からは、ロータリー式の打抜装置が好ましい。この工程では、重剥離セパレータ3に到達する深さでブレードBを仮セパレータ5及び粘着層2に通し、仮セパレータ5及び粘着層2を切断する。これにより、重剥離セパレータ3には切込部3cが形成される。また、この工程では、粘着層2の外縁2a全体での、切込部3cの深さDの平均値が、5μm以上45μm以下となるようにブレードBを重剥離セパレータ3に到達させる。更に、この工程では、粘着層2の外縁2a全体での、切込部3cの深さDの標準偏差が、15μm以下となるように、ブレードBを重剥離セパレータ3に到達させる。切込部3cの深さDの平均値が「5μm以上45μm以下」、及び標準偏差が「15μm以下」となるようにするためには、例えば、ロータリーブレードを用い、それと連動する制御手段(コンピューター等)とを組合せることで深さDを制御することができる。
【0039】
続いて、
図5に示されるように仮セパレータ5及び粘着層2の外側部分を除去し、
図6に示されるように粘着層2から仮セパレータ5を剥離し、
図7及び
図8に示されるように、重剥離セパレータ3にほぼ重なるように軽剥離セパレータ4を配置し、粘着層2に貼付する。以上の工程で粘着フィルム1が完成する。なお、重剥離セパレータ3及び軽剥離セパレータ4の形状及び大きさはほぼ同一であってもよいが、いずれか一方が他方より大きくてもよい。本発明においては、作業性の観点から、軽剥離セパレータ4が重剥離セパレータ3より大きいことが好ましい。
【0040】
また、粘着フィルム1は、タッチパネル式ディスプレイの組み立て等において次のように使用される。まず、
図9に示されるように、軽剥離セパレータ4を粘着層2から剥離して粘着層2の粘着面2bを露出させる。続いて、
図10に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラR等で押し付ける。被着物A1は、例えば液晶パネル、保護パネル(ガラス基板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等)、タッチパネル等である。続いて、
図11に示されるように、重剥離セパレータ3を粘着層2から剥離して粘着層2の粘着面2cを露出させる。続いて、
図12に示されるように、粘着層2の粘着面2cを被着物A2に貼り付け、加温・加圧する。被着物A2は、例えば液晶パネル、保護パネル(ガラス基板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等)、タッチパネル等である。以上の工程で、被着物A1と被着物A2との間に粘着層2が配置される。粘着層2は、特に、保護パネルとタッチパネルとの間、又はタッチパネルと液晶パネルとの間に配置されて使用されることが好ましい。近年、オンセル構造又はインセル構造と呼ばれる構造のタッチパネル式ディスプレイの開発が進んでいる。オンセル構造又はインセル構造のタッチパネル式ディスプレイは、タッチパネル機能が液晶パネルに組み込まれたものである。オンセル構造又はインセル構造のタッチパネル式ディスプレイは、保護パネル、偏光板、液晶パネル(タッチパネル機能付き液晶モジュール)等で構成されている。被着物A1,A2は、オンセル構造又はインセル構造のタッチパネル式ディスプレイの保護パネル、偏光板、液晶パネル等であってもよい。
【0041】
以上説明した粘着フィルム1によれば、セパレータ3,4の外縁3a,4aが粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出しているため、粘着層2の外縁部が、粘着フィルム1の保管・運搬等に際し確実に保護される。また、重剥離セパレータ3の粘着層2側の面3bにはブレードBによる切込部3cが形成される。
【0042】
切込部3cの深さDが小さすぎると、粘着層2の切断が不完全となる可能性がある。粘着層2の切断が不完全となると、
図13に示されるように、粘着層2の外縁2aのうち重剥離セパレータ3側の部分に、外側に張り出す残片2dが形成されてしまうおそれがある。残片2dが形成されると、例えば
図14に示されるように、重剥離セパレータ3を剥離した際に残片2dが粘着面2c上に折り返され、粘着層2の形状が変形してしまうおそれがある。そこで、粘着フィルム1では、切込部3cの深さDの平均値は5μm以上とされている。これにより、重剥離セパレータ3側に確実にブレードBが通され、粘着層2を完全に切断することができる。
【0043】
また、切込部3cの深さDが大きすぎると、ブレードBで粘着層2を切断する際に粘着層2の一部が
図15に示されるように切込部3c内に深く入り込むおそれがある。切込部3c内に深く入り込んだ部分2eは、切込部3cから抜け難くなる。このため、重剥離セパレータ3の剥離性が低下するという剥離不良が生じるおそれがある。また、例えば、
図16に示されるように、重剥離セパレータ3を剥離する際に粘着層2の外縁部が引きちぎられてしまうといった剥離不良が生じるおそれがある。そこで、粘着フィルム1では、切込部3cの深さDの平均値は45μm以下とされている。これにより、ブレードBで粘着層2を切断する際に粘着層2の一部が切込部3c内に深く入り込むことを防止できる。切込部3c内への粘着層2の入り込みを抑えることで、粘着層2と重剥離セパレータ3との剥離不良の発生を抑制することができる。
【0044】
また、切込部3cの深さDの標準偏差は15μm以下とされている。これにより、切込部3cの深さDのばらつきが小さくなるため、粘着層2を完全に切断することができると共に、粘着層2と重剥離セパレータ3との剥離不良の発生を抑制することができる、という効果をより確実なものとすることができる。なお、このように切込部3cの深さDを標準偏差で規定できるのは、粘着層2の外縁2aに沿う切込部3cのうち、上述した深さの範囲外となる箇所が多少存在していても、本発明の効果を損なわないことに基づくものである。
【0045】
ここで、切込部3cの深さDのばらつきが大きいと、粘着層2の切断不良、及び粘着層2と重剥離セパレータ3との剥離不良だけでなく、粘着層2と軽剥離セパレータ4との剥離不良が発生する場合がある。粘着層2と軽剥離セパレータ4との剥離不良とは、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度が設計値よりも高くなることを指す。この場合、タッチパネル式ディスプレイの組み立て時の作業性に支障を来すおそれがある。このため、切込部3cの深さDの標準偏差を15μm以下とすることで、粘着層2と軽剥離セパレータ4との剥離不良の発生も抑制することができる。粘着層2と軽剥離セパレータ4との剥離不良が発生しやすくなる要因としては、例えば、切込部3cの深さDがばらつくのに伴って、切込部3c付近での粘着層2の断面形状や厚みが不均一になることが考えられる。
【0046】
また、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度よりも高くなっている。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも粘着層2から剥離し難くなる。また、上述したように、粘着層2には、重剥離セパレータ3側に向かってブレードBが通されるため、粘着層2の外縁部が重剥離セパレータ3に押し付けられることとなる。これにより、重剥離セパレータ3は軽剥離セパレータ4よりも更に粘着層2から剥離し難くなり、重剥離セパレータ3に剥離が生じる前に軽剥離セパレータ4を剥離させることが可能となる。従って、セパレータ3,4を片方ずつ剥離させることができ、セパレータ3,4を剥離して粘着層2を被着物A1,A2に貼り付ける作業を、片方ずつ確実に行うことができる。
【0047】
また、粘着層2の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×10
3以上1.0×10
6Pa以下となっている。これにより、切込部3cの深さと粘着層2の切断性及び剥離性との関係がより密接となるため、切込部3cの深さを上述した範囲とすることによる効果がより顕著となる。
【0048】
また、粘着層2のガラス基板への剥離強度は、5N/10mm以上20N/10mm以下となっている。これにより、切込部3cの深さと粘着層2の切断性及び剥離性との関係がより一層密接となるため、切込部3cの深さを上述した範囲とすることによる効果がより一層顕著となる。
【0049】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【実施例】
【0050】
以下、粘着フィルム1の実施例を示す。
[粘着層2の厚み175μmの粘着フィルム1の作製]
【0051】
重剥離セパレータ3を厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)、軽剥離セパレータ4を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)とし、粘着層2の厚みを175μmとして、以下の(I)〜(V)の手順で粘着フィルム1の実施例1〜4及び比較例1〜3を作製した。
(I)以下のA〜C成分を含む常温で液状の粘着剤組成物を重剥離セパレータ3上に塗工し、紫外線照射装置を用い、700mJ/cm
2の紫外線を照射して粘着層2を調製した。
A:アクリル酸系誘導体ポリマ:2−エチルヘキシルアクリレート/2ヒドロキシエチルアクリレート=7/3(質量比)から合成される重量平均分子量が20万の共重合体:30質量部
B:アクリル酸系誘導体:2−エチルヘキシルアクリレート/2ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルモルホリン/ポリアルキレングリコール鎖とウレタン結合を有するジアクリレート(重量平均分子量が20,000)=40/10/14/5(質量比):69質量部
C:重合開始剤:1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:1質量部
【0052】
なお、ポリアルキレングリコール鎖とウレタン結合を有するジアクリレート(重量平均分子量が20,000)は、次のように合成した。冷却管、温度計、攪拌装置、滴下漏斗及び空気注入管のついた反応容器に、ポリプロピレングリコール(分子量2000)303.92g、ε−カプロラクトン2モルで変性した2−ヒドロキシエチルアクリレート(プラクセルFA2D:ダイセル化学工業株式会社、商品名)8.66g、2−ヒドロキシエチルアクリレート99.74g、p−メトキシフェノール0.12g及びジブチル錫ジラウレート0.5gを加えて空気を流しながら75℃に昇温し、さらに75℃で攪拌しつつ、イソホロンジイソシアネート36.41gを2時間かけて均一滴下し、反応させた。滴下終了後、5時間反応させたところで、さらに2−ヒドロキシエチルアクリレート44.88gを反応液に追加し、1時間反応させた。IR測定の結果、イソシアネートが消失したことを確認して反応を終了した。これにより、ポリアルキレングリコール鎖とウレタン結合を有するジアクリレート(重量平均分子量20000)を得た。
【0053】
上記アクリル酸系誘導体ポリマ及び上記ポリアルキレングリコール鎖とウレタン結合を有するジアクリレートの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用して行い、下記の装置及び測定条件を用いて標準ポリスチレンの検量線を使用して換算することによって決定した値である。検量線の作成にあたっては、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(PStQuick MP−H, PStQuick B(東ソー(株)製、商品名))を用いた。
装置:高速GPC装置 HCL−8320GPC(検出器:示差屈折計)(東ソー(株)製、商品名)
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:カラムTSKGEL SuperMultipore HZ−H(東ソー(株)製、商品名)
カラムサイズ:カラム長が15cm、カラム内径が4.6mm
測定温度:40℃
流量:0.35ml/分
試料濃度:10mg/THF5ml
注入量:20μl
(II)粘着層2上に仮セパレータ5(ポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)、厚み50μm)を積層した。
(III)220mm×180mmになるように重剥離セパレータ3、粘着層2、及び仮セパレータ5を直径72mmのロータリーブレードにより切断した。
(IV)粘着層2及び仮セパレータ5を205mm×160mmになるように直径72mmのロータリーブレードにより切断した。実施例1〜4及び比較例1〜2では、ロータリー式打抜装置を用いた。比較例3では、レシプロ式打抜装置を用いた。実施例1〜4及び比較例1〜3における重剥離セパレータ3に対する切込部3cの深さDの測定値、平均値、及び標準偏差を表1に示す。表1に示す測定値は、
図2に示される12点で測定したものである。
(V)仮セパレータ5を剥離し、215mm×170mmの軽剥離セパレータ4を粘着層2上に積層した。このとき、軽剥離セパレータ4の長辺が、粘着層2の長辺より5mm張り出すように、また、軽剥離セパレータ4の短辺が粘着層2の短辺より5mm張り出すように積層した。
【0054】
なお、実施例1〜4及び比較例1〜3の粘着層2の25℃における貯蔵弾性率は、約2×10
5Paであった。粘着層2のガラス基板への25℃における剥離強度は、8N/10mmであった。また、実施例1〜4における重剥離セパレータ3と粘着層2との剥離強度は、約1N/25mmであり、軽剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度は、約0.3N/25mmであった。
【0055】
貯蔵弾性率は、次のようにして測定した。まず、厚さ250μmの粘着層2を上記と同様の組成及び条件で作製し、これを2枚重ねて厚さ約500μmにし、一辺10mmの正方形状に裁断してサンプルSを作製する。2つのサンプルSを準備し、治具100を介して広域動的粘弾性測定装置にセットする。
図17に示されるように、治具100は、互いに対向するように広域動的粘弾性測定装置に取り付けられる一対の取付治具100A,100Bを有している。取付治具100Aには、取付治具100Bに向かって延在するプレートP1が設けられている。取付治具100Bには、取付治具100Aに向かって延在し、プレートP1の各面に対向する一対のプレートP2,P2が設けられている。各プレートP2とプレートP1とは、サンプルSを介して貼り合わされる。この状態で、広域動的粘弾性測定装置により取付治具100A,100Bを互いに離間させ、貯蔵弾性率を測定する。広域動的粘弾性測定装置としては、Rheometric Scientific社製、Solids Analyzer RSA−IIを用い、測定条件は「シェアサンドイッチモード、周波数1.0Hz、測定温度範囲−20〜100℃で昇温速度5℃/分」とする。
[粘着層2の厚み350μmの粘着フィルム1の作成]
【0056】
重剥離セパレータ3を厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)、軽剥離セパレータ4を厚み50μmのポリエチレンテレフタレート(藤森工業(株)社製)とし、粘着層2の厚みを350μmとして、実施例1〜4と同様の手順で粘着フィルム1の実施例5を作製した。実施例5における切込部3cの深さDの測定値、平均値、及び標準偏差を表1に示す。粘着層2の25℃における貯蔵弾性率、ガラス基板への剥離強度、重剥離セパレータ3と粘着層2との剥離強度、及び軽剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度は、実施例1〜4とほぼ同等であった。
[切断性の評価]
【0057】
次の基準で切断性を評価した。評価結果を表1に示す。
OK:粘着層2の外側部分の除去が容易である、又は外側部分の除去後に粘着層2の外縁2aに残片2dが形成されていない。
NG:粘着層2の外側部分の除去が困難である、又は外側部分の除去後に粘着層2の外縁2aに残片2dが形成されている。
[重剥離セパレータ3の剥離性の評価]
【0058】
次の基準で剥離性を評価した。評価結果を表1に示す。
OK:重剥離セパレータ3を剥離した後に粘着層2の外縁部にちぎれが発生しない、又は粘着層2の外縁部の形状が変化せず容易に剥離できる。
NG:重剥離セパレータ3を剥離した後に粘着層2の外縁部にちぎれが発生する、又は粘着層2の外縁部の形状が変化して剥離し難くなる。
[軽剥離セパレータ4の剥離性の評価]
【0059】
次の基準で剥離性を評価した。評価結果を表1に示す。
OK:軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度が、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度よりも低く、容易に剥離できる。
NG:軽剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度が、重剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度と同等、又はそれに近い値となり剥離し難くなる。
【表1】
[評価結果]
【0060】
表1に示されるように、切込部3cの深さDの平均値が5μm以上であれば、粘着層2の外縁2aに残片2dが形成されることはなく、重剥離セパレータ3が完全に切断されることが確認された。切込部3cの深さDの平均値が45μm以下であれば、重剥離セパレータ3と粘着層2との剥離不良が発生しないことが確認された。
【0061】
更に、切込部3cの深さDの平均値が5μm以上45μm以下であっても、切込部3cの深さDの標準偏差が15μmを超えていると、粘着層2の切断不良、及び軽剥離セパレータ4と粘着層2との剥離不良が発生することが確認された(比較例3)。