(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。 以下に、Ar
1及びAr
2で記載されている置換基について説明する。
【0019】
上記一般式(1)で表されるアミン化合物において、Ar
1及びAr
2は、各々独立して、不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらの基は、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)を表す。
【0020】
なお、正孔輸送特性に優れる点で、不飽和6員環については、水素、炭素、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選ばれる元素で構成される不飽和6員環であることが好ましく、不飽和5員環については、水素、炭素、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選ばれる元素で構成される不飽和5員環であることが好ましい。
【0021】
Ar
1及びAr
2は、各々独立して、不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、ベンゼン、シクロペンタジエン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、チアゾール、オキサゾール等が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基が挙げられる。
【0022】
Ar
1及びAr
2は、各々独立して、不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基としては、特に限定するものではないが、(1)連結の無い置換基として、例えば、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、インドリル基、カルバゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、チオフェニル基、ジベンゾチオフェニル基等が挙げられ、(2)連結を1つ有する置換基として、例えば、ビフェニリル基、ナフチルフェニル基、ピリジルフェニル基、フェニルピリジル基、ビピリジル基、フルオレニルフェニル基、ベンゾフルオレニルフェニル基、カルバゾリルフェニル基、フェニルカルバゾリル基等が挙げられ、(3)連結を2つ以上有する置換基として、例えば、ターフェニリル基、ピリジルビフェニリル基、2,4−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−6−イル基、2,4−ジビフェニリル−1,3,5−トリアジン−6−イル基等が挙げられる。
【0023】
炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルブチル基、4−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デカニル基、n−ドデカニル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基等が挙げられる。
【0024】
炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定するものではないが、例えば、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基等が挙げられる。
【0025】
炭素数6〜18の芳香族オキシ基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ピリジルオキシ基、メチルピリジルオキシ基等が挙げられる。
【0026】
異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基としては、特に限定するものではないが、例えば、ジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基、ジトリルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基、フェニルビフェニルアミノ基、ジナフチルアミノ基等が挙げられる。
【0027】
なお、前記の炭素数6〜18のアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、アントリル基、フルオレニル基、9,9−ジメチルフルオレニル基、フェナントリル基、ピレニル基、べンゾ[a]フルオレニル基、べンゾ[b]フルオレニル基、べンゾ[c]フルオレニル基等が挙げられる。
【0028】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0029】
なお、一般式(1)で表されるアミン化合物におけるAr
1及びAr
2については、正孔輸送特性の点で、各々独立して、ベンゼン、シクロペンタジエン、ピリジン、ピロール、フラン、及びチオフェンからなる群より選ばれる1種以上の環構造が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらの基は、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)であることがより好ましく、各々独立して、ベンゼン、ピロール、又はベンゼン及びピロールが1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらの基は、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)であることが更に好ましい。
【0030】
Ar
1及びAr
2の具体例としては、特に限定するものではないが、例えば、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、2−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−tert−オクチルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、4−トリチルフェニル基、3−トリチルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブトキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、3,5−ジフェニルフェニル基、4−トリフェニルシリルフェニル基、3−トリフェニルシリルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、2−(2−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−フェノキシフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、3−エチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、3,5−ジ−n−ブトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−6−エトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−(9−カルバゾリル)フェニル基、3−(9−カルバゾリル)フェニル基、9−フェニル−3−カルバゾリル基、9−(4−ビフェニリル)−3−カルバゾリル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、4−(1−ナフチル)フェニル基、4−(2−ナフチル)フェニル基、3−(1−ナフチル)フェニル基、3−(2−ナフチル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、6−フェニル−2−ナフチル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブトキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、4−n−ブトキシ−1−ナフチル基、7−n−ブトキシ−2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、10−(3,5−ジフェニルフェニル)−9−アントリル基、2−フルオレニル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9−エチル−2−フルオレニル基、9−n−ヘキシル−2−フルオレニル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−オクチル−2−フルオレニル基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニル基、9,9’−スピロビフルオレニル基、9−フェナントリル基、2−フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フルオランテニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ピセニル基、4−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、2−ビフェニリル基、p−ターフェニリル基、m−ターフェニリル基、o−ターフェニリル基等が挙げられる。このうち、正孔輸送特性の点で、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−ビフェニリル基、p−ターフェニリル基、4−(9−カルバゾリル)フェニル基がより好ましく、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−ビフェニリル基、p−ターフェニリル基、4−(9−カルバゾリル)フェニル基が、更に好ましい。
【0031】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0032】
以下に、R
1及びR
2に記載されている置換基について説明する。
【0033】
上記一般式(1)で表されるアミン化合物において、R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、又は炭素数3〜18のヘテロアリール基を表す。
【0034】
炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、Ar
1及びAr
2で示した炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基と同じものを例示することができる。
【0035】
炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定するものではないが、例えば、Ar
1及びAr
2で示した炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基と同じものを例示することができる。
【0036】
炭素数6〜18のアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、Ar
1及びAr
2で示した炭素数6〜18のアリール基と同じものを例示することができる。
【0037】
炭素数3〜18のヘテロアリール基としては、特に限定するものではないが、例えば、キノリル基、ピリジル基、メチルピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基、フラニル基、カルバゾリル基、メチルカルバゾリル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基等が挙げられる。
【0038】
なお、R
1及びR
2については、正孔輸送特性の点で、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基であることが好ましく、各々独立して、水素原子、メチル基、フェニル基であることがより好ましい。
【0039】
以下にR
3及びR
4に記載されている置換基を説明する。
【0040】
R
3及びR
4は、各々独立して、不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらの基は、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐もしくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は異なっていてもよい2個の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基を表す。
【0041】
不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらの基は、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)としては、特に限定するものではないが、例えば、Ar
1及びAr
2で例示した置換基[不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらの基は、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)]と同じものを例示することができる。
【0042】
なお、正孔輸送特性に優れる点で、不飽和6員環については、水素、炭素、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選ばれる元素で構成される不飽和6員環であることが好ましく、不飽和5員環については、水素、炭素、窒素、酸素、及び硫黄からなる群より選ばれる元素で構成される不飽和5員環であることが好ましい。
【0043】
炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、及びハロゲン原子についても、それぞれ、Ar
1及びAr
2で例示した置換基(炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、及びハロゲン原子)と同じものを例示することができる。
【0044】
なお、R
3及びR
4については、正孔輸送特性に優れる点で、各々独立して、水素原子、フェニル基、トリル基、メチル基、メトキシ基、ジフェニルアミノ基、フェニルトリルアミノ基、又はジトリルアミノ基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0045】
以下に、一般式(1)で表されるアミン化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0054】
上記の一般式(1)で表される化合物については、正孔輸送特性に優れる点で、下記一般式(2)で表されるアミン化合物であることが好ましい。
【0056】
(式中、Ar
1、Ar
2、R
1、R
2、R
3、R
4、X、n、m、及びpについては、一般式(1)と同じ定義を表す。)
以下に一般式(1)で表されるアミン化合物の製造方法について述べる。
【0057】
一般式(1)で表されるアミン化合物は、公知の方法(例えば、Tetrahedron Letters,1998年,第39巻,2367頁)に従って、一般式(3)で表される化合物をアミノ化(以下、「アリールアミノ化反応」と称す)することによって、効率良く合成することができる。
【0059】
(式(1)、(3)、(4)、及び(5)中、
Ar
1、Ar
2、R
1、R
2、R
3、及びR
4は上記一般式(1)と同じ定義を表す。
Xは硫黄又は酸素原子を表す。
Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。
nは1〜2の整数を表し、mは0〜2の整数を表し、pは0〜2の整数を表し、且つn+m+p=3である。)
上記のアリールアミノ化反応は、パラジウム化合物、トリアルキルホスフィン化合物及び塩基の存在下、通常、有機溶媒中で実施される。
【0060】
パラジウム化合物としては、特に限定されないが、具体例として、塩化パラジウム(II)、臭化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、パラジウム(II)アセチルアセトナート、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロテトラアンミンパラジウム(II)、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム(II)、パラジウム(II)トリフルオロアセテート等の2価パラジウム化合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、パラジウム−カーボン等の0価パラジウム化合物を挙げることができる。これらのうち、触媒活性に優れる点で、酢酸パラジウム(II)又はトリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)が好ましい。
【0061】
パラジウム化合物の使用量は、特に限定するものではないが、上記一般式(4)若しくは(5)で表されるアミン化合物の1モルに対し、パラジウム原子換算で0.00001〜0.1倍モルであり、反応速度の点で、0.00005〜0.05倍モルであることが好ましい。ここで、0.00001〜0.1倍モルの範囲であれば十分な触媒活性が得られ、0.00005〜0.5倍モルの範囲であればさらに経済的にも好ましい。
【0062】
トリアルキルホスフィン化合物としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、n−ブチル−ジ(1−アダマンチル)ホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等が挙げられる。このうち、触媒活性の良さから、特にトリ−tert−ブチルホスフィンが好適に用いられる。
【0063】
トリアルキルホスフィン類の使用量は、特に限定されないが、パラジウム金属1モルに対し、0.5〜5倍モル、好ましくは1〜4倍モルの範囲から選ばれる。ここで、0.5〜5倍モルの範囲であれば十分な触媒活性が得られ、1〜4倍モルの範囲であればさらに経済的にも好ましい。
【0064】
塩基としては、特に限定されないが、有機塩基及び無機塩基からなる群より選択することが出来る。有機塩基及び無機塩基の具体例として、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムアミド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウム金属、カリウム金属、リチウム金属、メトキシナトリウム、メトキシカリウム、エトキシナトリウム、エトキシカリウム、エトキシリチウム、tert−ブトキシリチウム、tert−ブトキシナトリウム、tert−ブトキシカリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、触媒活性に優れる点で、tert−ブトキシナトリウムが好適に用いられる。
【0065】
これらの塩基の使用量は、特に限定されないが、通常、一般式(3)で表される化合物1モルに対し、1〜5倍モルの範囲から選ばれる。ここで、1〜5倍モルの範囲であれば十分な触媒活性が得られるうえ経済的にも好ましい。
【0066】
アリールアミノ化反応の反応溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に限定されないが、具体例として、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホトリアミド等が挙げられる。これらのうち、沸点や溶解性の点で、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が好適に用いられる。反応溶媒は、単一又は混合溶媒として用いることが出来る。
【0067】
反応溶媒の使用量は、特に限定されないが、一般式(3)で表される化合物に対し、通常、2〜40重量比である。
【0068】
アリールアミノ化反応は、通常、常圧下、窒素又はアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施されるが、加圧条件下で実施することも出来る。
【0069】
アリールアミノ化反応は、20〜300℃の温度範囲で実施されるが、製造設備の点から50〜200℃の温度範囲がより好ましい。
【0070】
アリールアミノ化反応の反応時間は、一般式(3)で表される化合物、一般式(4)若しくは(5)で表されるアミン化合物の使用量、パラジウム化合物、トリアルキルホスフィン化合物、若しくは塩基の使用量、及び反応温度等により異なるため、特に限定されないが、例えば、数分〜72時間である。
【0071】
アリールアミノ化反応において、一般式(4)で示されるアミン化合物の使用量は一般式(3)で示される化合物1モルに対し1.0〜1.2倍モルが、反応収率及び生産効率の点で好ましい。また、一般式(5)で示されるアミン化合物の使用量は一般式(3)で示される化合物1モルに対し0.3〜0.5倍モルが、反応収率及び生産効率の点で好ましい。
【0072】
以上の操作により、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を合成することができるが、当該化合物は、一般公知の方法によって、分離、乾燥、精製等を行うことができる。有機EL素子材料等として用いる場合、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は出来るだけ高純度であることが好ましい。
【0073】
なお、一般式(1)で表されるアミン化合物の製造中間体である、一般式(3)で表される化合物は、一般式(1)で表されるアミン化合物を製造する上で必須となる重要な化合物であり、且つ新規化合物である。
【0075】
(式中、
R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、又は炭素数3〜18のヘテロアリール基を表す。
R
3及びR
4は、各々独立して、不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらの基は、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は異なっていてもよい2個の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基を表す。
Xは硫黄又は酸素原子を表す。
Yは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
一般式(3)におけるR
1、及びR
2で表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)のR
1、及びR
2で例示した置換基と同じものがあげられる。
【0076】
一般式(3)におけるR
3、及びR
4で表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)のR
3、及びR
4で例示した置換基と同じものがあげられる。
【0077】
一般式(3)で表される化合物は、本発明の有機EL用材料の中間体としてだけでなく、太陽電池やトランジスタ等の電子材料中間体、医農薬中間体としての利用が期待できる。
【0078】
なお、一般式(3)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の製造中間体であるため、個々の置換基の好ましい範囲は、一般式(1)で表される化合物の置換基の好ましい範囲と同じである。
【0079】
以下に、一般式(3)で表される化合物の製造方法について説明する。
【0080】
一般式(3)で表される化合物は、遷移金属触媒及び塩基の存在下、下記一般式(a)で表されるイミン化合物と、下記一般式(b)で表される複素環化合物とを反応させて下記一般式(c)で表される化合物を製造し(以下、「カップリング工程」と称す)、次にカップリング工程で得られた一般式(c)で表される化合物を酸存在下で加水分解して下記一般式(d)で表されるアルデヒド化合物を製造し(以下、「加水分解工程」と称す)、次いで、該アルデヒド化合物から下記一般式(3)で表される化合物を製造することができる。
【0081】
なお、一般式(d)で表されるアルデヒド化合物から下記一般式(3)で表される化合物を製造する方法については後述する。
【0083】
(式(a)、(b)、(c)、(d)、及び(3)中、
R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、又は炭素数3〜18のヘテロアリール基を表す。
R
3及びR
4は、各々独立して、不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は異なっていてもよい2個の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基を表す。
R
5は、フェニル基又はベンジル基(これらの基は、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、及びフェニル基からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有しても良い)を表す。
Xは硫黄または酸素原子を表す。
Y及びZは、各々独立して、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
以下に、一般式(a)、(b)、(c)、(d)、及び(3)で記載した置換基について説明する。
【0084】
R
1、及びR
2で表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)のR
1、及びR
2で例示した置換基と同じものがあげられる。
【0085】
R
3、及びR
4で表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)のR
3、及びR
4で例示した置換基と同じものがあげられる。
【0086】
R
5における炭素数3〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)で示した炭素数3〜18の直鎖、分岐もしくは環状アルキル基と同じ置換基を例示することができる。
【0087】
R
5における炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)で示した炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基と同じ置換基を例示することができる。
【0088】
なお、一般式(a)、(b)、(c)、(d)、及び(3)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の製造中間体であるため、個々の置換基の好ましい範囲は、一般式(1)で表される化合物の置換基の好ましい範囲と同じである。
【0089】
一般式(a)で表されるイミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、2−ヨード−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、2−ブロモ−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、2−クロロ−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、3−ヨード−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、3−ブロモ−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、3−クロロ−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、4−ヨード−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、4−ブロモ−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、4−クロロ−1−(4−メトキシフェニルイミノメチル)ベンゼン、2−ヨード−1−フェニルイミノメチルベンゼン、2−ブロモ−1−フェニルイミノメチルベンゼン、2−クロロ−1−フェニルイミノメチルベンゼン、3−ヨード−1−フェニルイミノメチルベンゼン、3−ブロモ−1−フェニルイミノメチルベンゼン、3−クロロ−1−フェニルイミノメチルベンゼン、4−ヨード−1−フェニルイミノメチルベンゼン、4−ブロモ−1−フェニルイミノメチルベンゼン、4−クロロ−1−フェニルイミノメチルベンゼン等が挙げられる。
【0090】
一般式(b)で表される複素環化合物としては、特に限定されないが、例えば、3−ヨードベンゾ[b]チオフェン、3−ブロモベンゾ[b]チオフェン、3−クロロベンゾ[b]チオフェン、5−メチル−3−ヨードベンゾ[b]チオフェン、5−メチル−3−ブロモベンゾ[b]チオフェン、5−メチル−3−クロロベンゾ[b]チオフェン、2−メチル−3−ブロモベンゾ[b]チオフェン、3,5−ジブロモベンゾ[b]チオフェン、3−ブロモ−5−クロロベンゾ[b]チオフェン、3−ヨードベンゾ[b]フラン、3−ブロモベンゾ[b]フラン、3−クロロベンゾ[b]フラン、5−メチル−3−ヨードベンゾ[b]フラン、5−メチル−3−ブロモベンゾ[b]フラン、5−メチル−3−クロロベンゾ[b]フラン、5−メトキシ−3−ヨードベンゾ[b]フラン、5−メトキシ−3−ブロモベンゾ[b]フラン、2−メチル−3−ブロモベンゾ[b]フラン、3,5−ジブロモベンゾ[b]フラン、3−ブロモ−5−クロロベンゾ[b]フラン等が挙げられる。
【0091】
以下に、カップリング工程について説明する。
【0092】
カップリング工程に用いる遷移金属触媒としては、特に限定されないが、例えば、ロジウム触媒、ルテニウム触媒を挙げることができる。
【0093】
ロジウム触媒としては、特に限定されないが、例えば、アセチルアセトナフトビス(エチレン)ロジウム(I)、アセチルアセトナートビス(1,5−シクロオクテン)ロジウム(I)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)テトラフルオロボレート、クロロビス(シクロオクテン)ロジウム(I)ダイマー、クロロカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、ヒドリドカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、酢酸ロジウム(II)ダイマー、塩化ロジウム(III)、ロジウム(III)アセチルアセトナート等が挙げられる。
【0094】
ルテニウム触媒としては、特に限定されないが、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(0)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、カルボニル(ジヒドリド)トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、クロロ(1,5−シクロオクタジエン)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、クロロ(シクロペンタジエニル)ビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロ(ベンゼン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー、ジクロロ(p−シメン)トリシクロヘキシルホスフィンルテニウム(II)、ジクロロジカルボニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)、ルテニウム(III)アセチルアセトナート、塩化ルテニウム(III)、沃化ルテニウム(III)等が挙げられる。
【0095】
遷移金属触媒の使用量は、反応が円滑に進行する限りにおいて、特に制限はないが、通常、イミン化合物1モルに対して、遷移金属原子のモル数換算で0.0001〜0.1倍モルである。0.0001倍モル以上であれば反応が十分に進行し、0.1倍モル以下であれば経済的に好ましい。
【0096】
これら遷移金属触媒は、公知の配位子と組み合わせて用いることもできる。
【0097】
配位子としては、特に限定されないが、例えば、トリ(n−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(フリル)ホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−ビフェニル、2−ジ(tert−ブチル)ホスフィノ−ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−ジメチルアミノビフェニル、2−ジメチルアミノメチル−1−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン、ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ナフチル、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン等のホスフィン化合物、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウムクロリド、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン、1,3−ビス(1−アダマンチル)イミダゾリウムクロリド、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウムクロリド等のカルベン化合物を挙げることができる。このうち、トリフェニルホスフィン等のトリアリールホスフィン化合物は、高収率で目的物を得られる点で好ましい。
【0098】
上記配位子は、遷移金属触媒中に含まれる遷移金属1モルに対して0.5〜10倍モルの範囲で添加して使用するのが好ましく、1〜4倍モルの範囲がより好ましい。0.5倍モル以上であれば反応が十分に進行し、10倍モル以下であれば経済的に好ましい。
【0099】
カップリング工程に用いる塩基としては、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、燐酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属塩基、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化バリウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩基を挙げることができる
塩基の使用量は、イミン化合物1モルに対して1〜10倍モルの範囲が好ましく、1〜5倍モルの範囲がより好ましい。1倍モル以上であれば反応が十分に進行し、10倍モル以下であれば経済的に好ましい。
【0100】
カップリング工程は、通常、有機溶媒存在下で実施される。有機溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に制限はないが、通常は、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。
【0101】
カップリング工程の反応温度及び反応時間は、イミン化合物、複素環化合物、遷移金属触媒、塩基及び有機溶媒の種類、使用量等によって異なるが、通常、それぞれ0〜200℃及び1〜72時間の範囲から選ばれる。反応温度は、0℃以上であれば反応が十分に進行し、200℃以下であれば経済的に好ましい。
【0102】
カップリング工程においては、原料を数回に分けて反応容器に添加して反応させることもできるし、2種以上の原料を交互又は同時に、及び断続的又は継続的に反応容器に添加して反応させることもできる。
【0103】
以下に、加水分解工程について説明する。
【0104】
加水分解工程は、通常、一般式(c)で表されるイミン化合物と酸の水溶液を接触、混合することにより行われる。
【0105】
酸としては、特に限定されないが、例えば、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、ギ酸等の有機酸が用いられ、通常、酸の水溶液との混合物が酸性となる量の酸が用いられる。このうち、酸としては塩酸が好ましく、酸の水溶液との混合物がpH3以下となる量を用いるのが好ましい。
【0106】
加水分解工程は通常10〜100℃の温度範囲で行われ、反応時間は反応温度や酸の量によって異なるが、通常、数分〜24時間の範囲で行われる。反応温度は、10℃以上であれば反応が十分に進行し、100℃以下であれば経済的に好ましい。
【0107】
加水分解工程は、有機溶媒の存在下に実施してもよい。有機溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に制限はないが、通常は、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量は特に制限されない。
【0108】
加水分解工程においては、原料を数回に分けて反応容器に添加して反応させることもできるし、2種以上の原料を交互又は同時に、及び断続的又は連続的に反応容器に添加して反応させることもできる。
【0109】
加水分解工程後、水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理することにより、一般式(d)で表されるアルデヒド化合物を含む有機層が得られる。得られた該有機層を濃縮処理することにより、一般式(d)で表されるアルデヒド化合物を取り出すことができる。
【0110】
一般式(d)で表されるアルデヒド化合物は、必要に応じて、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィー等の操作により単離精製することができる。
【0111】
以下に、一般式(d)で表されるアルデヒド化合物を出発物質として一般式(3)で表される化合物を製造する方法について説明する。
【0112】
一般式(3)で表される化合物は、一般式(d)で表されるアルデヒド化合物を原料として下記の工程A〜工程Cを含む製造方法によって合成される。
【0113】
工程A:下記一般式(d)で表されるアルデヒド化合物に炭素求核剤を反応させて一般式(e)で表される化合物を得る工程;
工程B:工程Aで得られた一般式(e)で表される化合物を酸触媒と反応させて一般式(f)で表される化合物を得る工程;及び
工程C:工程Bで得られた一般式(f)で表される化合物をハロゲン化アルキルと反応させて一般式(3)で表される化合物を得る工程。
【0115】
(式(d)、(e)、(f)、及び(3)中、
R
1及びR
2は、各々独立して、水素原子、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、又は炭素数3〜18のヘテロアリール基を表す。
R
3及びR
4は、各々独立して、不飽和6員環、及び不飽和5員環からなる群より選ばれる1種以上の環が1〜5個連結、縮環、又は連結及び縮環してなる置換基(これらは、各々独立して、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族オキシ基、異なっていてもよい2種の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基、シアノ基、及びハロゲン原子からなる群より選ばれる1種以上の置換基を複数有していてもよい)、水素原子、水酸基、メチル基、エチル基、炭素数3〜18の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、炭素数3〜18の直鎖若しくは分岐のアルコキシ基、ハロゲン原子、又は異なっていてもよい2個の炭素数6〜18のアリール基を結合してなるジアリールアミノ基を表す。
Xは硫黄または酸素原子を表す。
Yは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基を表す。)
一般式(d)、(e)、(f)、及び(3)において、R
1、及びR
2で表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)のR
1、及びR
2で例示した置換基と同じものがあげられる。
【0116】
一般式(d)、(e)、(f)、及び(3)において、R
3、及びR
4で表される置換基としては、特に限定するものではないが、例えば、一般式(1)のR
3、及びR
4で例示した置換基と同じものがあげられる。
【0117】
なお、一般式(d)、(e)、(f)、及び(3)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物の製造中間体であるため、個々の置換基の好ましい範囲は、一般式(1)で表される化合物の置換基の好ましい範囲と同じである。
【0118】
工程Aにおいては、一般式(e)で表されるアルコール化合物は、公知の方法(例えば、Handbook of Grignard reagents, Marcel Dekker Inc.)に従って、一般式(d)で表されるアルデヒド化合物をグリニャール試薬と反応させることによって、上記一般式(e)で表される第二級アルコールを合成することができる。
【0119】
工程Bにおいては、一般式(e)で表される化合物を有機溶媒存在下で酸触媒と反応させる。
【0120】
酸触媒としては、特に限定されるものではないが、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等のブレンステッド酸、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)等の鉄化合物、塩化亜鉛、臭化亜鉛等の亜鉛化合物、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム等のアルミニウム化合物、三フッ化ボロン・エーテル錯体、三フッ化ボロン・酢酸錯体、三臭化ボロン等のボロン化合物等のルイス酸が挙げられる。このうちブレンステッド酸が好ましく、硫酸が触媒活性を示すため特に好ましい。
【0121】
溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に制限はないが、通常、蟻酸、酢酸、プロピオン酸などのプロトン酸溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
【0122】
反応温度及び反応時間としては、アルデヒド化合物、酸触媒及び有機溶媒の使用量等によって異なるが、通常、それぞれ−10〜200℃及び1〜48時間の範囲から選ばれる。反応温度は、0℃以上であれば反応が十分に進行し、100℃以下であれば経済的に好ましく、反応時間は1〜24時間の範囲が好ましい。
【0123】
酸触媒の使用量は、通常、アルデヒド化合物1モルに対して0.1〜20倍モルの範囲が好ましく、0.1〜20倍モルの範囲であれば経済的に好ましい。
【0124】
工程Bは、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことも、また加圧下でも行うこともできる。
【0125】
工程Cにおいては、工程Bで得られた一般式(f)で表される化合物を有機溶媒、塩基存在下でハロゲン化アルキルと反応させる。
【0126】
ハロゲン化アルキルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ヨードメタン、ブロモメタン、1−ヨードエタン、1−ブロモエタン、1−ヨードブロパン、1−ブロモプロパン、1−ヨードブタン、2−ヨードブタン、1−ヨード−3−メチルブタン、1−ヨード−2−メチルブタン、1−ヨードヘキサン、1−ヨードヘプタン、1−ヨードデカン等が挙げられる。
【0127】
塩基としては、特に限定されないが、例えば、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、水酸化カリウム、燐酸カリウム、炭酸セシウム、酢酸セシウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属塩基、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化バリウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属塩基を挙げることができる
塩基の使用量は、一般式(f)で表される化合物1モルに対して1〜10倍モルの範囲が好ましく、1〜5倍モルの範囲がより好ましい。1倍モル以上であれば反応が十分に進行し、10倍モル以下であれば経済的に好ましい。
【0128】
溶媒としては、反応に対して不活性なものであれば特に制限はなく、通常は、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性有機溶媒を挙げることができる。
【0129】
反応温度及び反応時間としては、触媒及び有機溶媒の使用量等によって異なるが、通常、それぞれ−50〜150℃及び1〜48時間の範囲から選ばれる。反応温度は、−20℃以上であれば反応が十分に進行し、100℃以下であれば経済的に好ましく、反応時間は1〜24時間の範囲が好ましい。
【0130】
工程Cは、例えばテトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド等の四級塩、18−クラウン−6−エーテル等の相関移動触媒を用いて反応を行うこともできる。
【0131】
工程Cは、常圧下、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことも、また加圧下でも行うこともできる。
【0132】
以下、一般式(1)で表されるアミン化合物の用途などについて説明する。
【0133】
本発明の前記一般式(1)で表されるアミン化合物は、有機EL素子の発光層、正孔輸送層及び/又は正孔注入層として使用することができる。
【0134】
特に、前記一般式(1)で表されるアミン化合物は正孔注入輸送能に優れることから、正孔輸送層及び/又は正孔注入層として使用した際に、有機EL素子の低駆動電圧化、高発光効率化及び耐久性の向上を実現することができる。
【0135】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物を有機EL素子の正孔注入層及び/又は正孔輸送層として使用する際の発光層には、従来から使用されている公知の発光材料を使用することができる。発光層は1種類の発光材料のみで形成されていても、ホスト材料中に1種類以上の発光材料がドープされていても良い。また、近年、高い外部量子効率を実現できる理由から、発光材料として燐光材料を使用した有機EL素子が注目されているが、前記一般式(1)で表されるアミン化合物は燐光材料とも組み合わせて使用することができる。
【0136】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物からなる正孔注入層及び/又は正孔輸送層を形成する際には、必要に応じて2種類以上の材料を含有若しくは積層させてもよく、例えば、酸化モリブデン等の酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン等の公知の電子受容性材料を含有若しくは積層させても良い。
【0137】
一般式(1)で表されるアミン化合物を有機EL素子の発光層として使用する場合には、アミン化合物を単独で使用、公知の発光ホスト材料にドープして使用、又は公知の蛍光もしくは燐光材料をドープして使用することができる。
【0138】
前記一般式(1)で表されるアミン化合物を含有する正孔注入層又は正孔輸送層を形成する方法としては、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法を適用することができる。
【実施例】
【0139】
本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
【0140】
実施例において、測定に用いた装置及び条件は下記のとおりである。
[
1H,
13C−NMR測定]
測定装置: Gemini200(バリアン社製)
[元素分析]
元素分析計: 全自動元素分析装置 2400II(パーキンエルマー社製)
酸素フラスコ燃焼−IC測定法: イオンクロマトグラフ IC−2001(東ソー社製)
[質量分析]
測定装置: M−80B(日立製作所製)
測定方法: FD−MS分析
[ガスクロマトグラフィー測定]
装置: GC−17A(島津製作所製)
カラム: キャピラリーカラム(GL Science社製 NB−5)
キャリアガス: ヘリウム
カラム温度: 150℃ → 10℃/min → 300℃
インジェクション: 280℃
検出器: FID
[HPLC分析]
装置: マルチステーション LC−8020(東ソー社製)
カラム:Inertsil ODS−3V(4.6mmΦ×250mm、ジーエルサイエンス社製)
検出器:UV検出(波長 254nm)
溶離液:メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
[HOMO測定]
測定装置: HA−501、HB−104(北斗電工社製)
測定方法: 作用電極 グラッシーカーボン電極
カウンター電極 白金電極、
参照電極 Ag/Ag
+
支持電解質 過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム
溶媒 ジクロロメタン
[LUMO測定]
測定装置: 紫外可視分光分析計 U−2010(日立製作所製)
測定方法: 溶媒 テトラヒドロフラン(10
−5mol/l溶液)
[ガラス転移温度測定]
測定装置: DSC−3100(マックサイエンス社製)
測定方法:標準試料=Al
2O
3 5.0mg、昇温速度=10℃/分(窒素雰囲気)
[有機EL素子の電流−電圧特性及び発光特性]
測定装置: ソースメータ(2400)(ケースレーインスツルメンツ社製)
輝度計LUMINANCE METER BM−9(TOPCON社製)
【0141】
【化16】
【0142】
合成例1 化合物(E−1)の合成
3−クロロベンズアルデヒド 24.6g(175.0mmol)、p−アニシジン 21.6g(175.0mmol)、及びエタノール 150mLを300mLナス型フラスコに窒素雰囲気下加え、4時間、加熱還流した。反応液を濃縮後、析出した固体を濾取し、41.4gの淡黄色結晶を得た(収率=96%、GC純度=99.9%)。
【0143】
1H及び
13C−NMRから、化合物(E−1)であることを同定した。
1H−NMR(CDCl
3)δ(ppm):8.43(s,1H),7.91(d,1H),7.72(dt,1H),7.44−7.37(m,2H),7.27(t,1H),7.22(t,1H),6.96(t,1H),6.91(t,1H),3.83(s,3H)
13C−NMR(CDCl
3)δ(ppm):158.42,156.20,144.06,138.07,134.76,130.69,129.76,127.93,126.72,122.14,114.28,55.41
実施例1 化合物(E−2)の合成
合成例1で得られた化合物(E−1) 12.3g(50.0mmol)、3−ブロモベンゾ[b]チオフェン 12.8g(60.0mmol)、ジクロロ(p−シメン)ルテニウム(II)ダイマー 918mg(1.50mmol,化合物(E−1)の0.025倍モルに相当)、トリフェニルホスフィン 1.57g(6.00mmol)、炭酸カリウム 13.8g(100mmol)及びN−メチルピロリドン 130mLを500mLナス型フラスコに加え、窒素雰囲気下、20時間、120℃で反応させた。
【0144】
冷却後、テトラヒドロフラン 60mL、10%塩酸水溶液 200mLを加えて室温下攪拌した。トルエン 60mLを加えて有機層を抽出したのち、有機層をH
2O、飽和食塩水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、得られた有機層を濃縮し、更にシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=7/3体積比)にて精製することにより、淡赤色の液体を7.70g得た(収率=56%)。
【0145】
1H及び
13C−NMRから、化合物(E−2)であることを同定した。
1H−NMR(CDCl
3)δ(ppm):9.80(s,1H),8.06(d,1H),7.97−7.92(m,1H),7.66(dd,1H),7.53−7.38(m,5H)
13C−NMR(CDCl
3)δ(ppm):190.30,139.83,138.86,137.30,135.75,134.81,133.66,132.58,131.99,127.34,126.75,124.90,122.80,122.29
合成例2 化合物(E−3)の合成
実施例1で得られた化合物(E−2) 7.69g(28.2mmol)、テトラヒドロフラン 35mLを200mLナス型フラスコに窒素雰囲気下加え、反応液の温度を0℃に冷却した。その後、メチルマグネシウムブロミド(1.4mol/Lのトルエン/テトラヒドロフラン溶液)24.1mLを滴下した。更に、室温で2時間撹拌した後、3.5%塩酸水溶液 35mLを滴下して反応を終了させた。トルエンを加えて有機層を抽出した後、有機層をH
2O、飽和食塩水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムによる乾燥処理の後、溶媒を留去して淡黄色油状物を8.10g得た(収率=99%)。
【0146】
13C−NMRから、化合物(E−2)のカルボニル基のピークが消失していることを確認し、生成物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
合成例3 化合物(E−4)の合成
200mLナス型フラスコにジクロロメタン 33mL及び硫酸 5.53g(56.4mmol)を加え、反応液の温度を0℃に冷却した。その後、合成例2で得られた化合物(E−3) 8.10g(28.2mmol)にジクロロメタン 43.0mLを加えた溶液を滴下し、室温にて1時間攪拌した。H
2O を添加して反応を終了した後、10%水酸化ナトリウム水溶液 46gを攪拌しながら滴下し、中和した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムによる乾燥処理の後、濃縮して淡黄色固体を7.5g得た(収率=98%)。
【0147】
1H及び
13C−NMRから、化合物(E−4)であることを同定し、生成物は精製せずにそのまま次の反応に用いた。
1H−NMR(CDCl
3)δ(ppm):8.08(d,1H),7.90(d,1H),7.69(d,1H),7.51−7.31(m,4H),4.04(q,1H),1.55(d,3H)
13C−NMR(CDCl
3)δ(ppm):153.47,152.45,144.48,137.81,136.90,132.61,130.33,126.94,124.69,123.99,123.84,123.70,121.68,119.47,41.71,18.46
合成例4 化合物(E−5)の合成
合成例3で得られた化合物(E−4) 7.50g(27.7mmol)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド 6.31g(27.7mmol)、ヨウ化メチル 7.86g(55.4mmol)をジメチルスルホキシド 60mLに溶解し、0℃に冷却後、48%水酸化ナトリウム水溶液 4.64gを攪拌しながら滴下した。室温にて1時間攪拌後、H
2O 45mL、トルエン 45mLを加えてから混合撹拌し、水層を分離除去した。有機層を硫酸マグネシウムによる乾燥した後、抽出液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン)にて精製することにより、白色固体を5.7g得た(収率72%)。
【0148】
1H及び
13C−NMRから、化合物(E−5)であることを同定した。
1H−NMR(CDCl
3)δ(ppm):8.06(d,1H),7.88(d,1H),7.67(d,1H),7.51−7.30(m,4H),1.56(s,6H)
13C−NMR(CDCl
3)δ(ppm):158.03,157.81,144.21,135.67,135.38,132.74,130.51,126.90,124.71,123.77,122.60,121.72,119.67,47.37,26.92
実施例2 化合物(A−16)の合成
合成例4で得られた化合物(E−5) 729.1mg(2.56mmol)、N−フェニル−N−4−(9−カルバゾリル)フェニルアミン 899.6mg(2.69mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 344.0mg(3.58mmol)、酢酸パラジウム 12mg(0.051mmol、化合物(E−5)の0.02倍モルに相当)、トリ−tert−ブチルホスフィン 41mg(0.205mmol)、o−キシレン 6mLを加え、140℃で15時間攪拌した。反応終了後、H
2O 10mLを添加し、室温にて0.5時間攪拌して静置した後、水層を分離除去した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、その後、抽出液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/トルエン=3/1体積比)で精製することにより、白色固体を1.25g得た(収率84%、純度99.9%)。
【0149】
1H及び
13C−NMRから、化合物(A−16)であることを同定した。
1H−NMR(CDCl
3)δ(ppm):8.12(t,3H),7.88(d,1H),7.71(d,1H),7.50−7.18(m,18H),7.12(t,1H),1.55(s,6H)
13C−NMR(CDCl
3)δ(ppm):144.22,140.91,132.93,129.28,127.65,125.67,124.61,124.14,123.77,123.55,123.06,121.72,120.13,119.58,109.69,27.05
DSC分析により、化合物(A−16)のガラス転移温度は108℃であった。
実施例3 化合物(A−20)の合成
合成例4で得られた化合物(E−5) 1.17g(4.1mmol)、アニリン 186.2mg(2.00mmol)、ナトリウム−tert−ブトキシド 538.2mg(5.60mmol)、酢酸パラジウム 18mg(0.082mmol,化合物(E−5)の0.02倍モルに相当)、トリ−tert−ブチルホスフィン 65mg(0.328mmol)、o−キシレン 6mLを加え、140℃で15時間攪拌した。反応終了後、H
2O 10mLを添加し、析出した固体を濾取し、メタノールで洗浄することにより、白色固体を1.18g得た(収率88%、純度99.9%)。
【0150】
質量分析及び元素分析により、化合物(A−20)であることを同定した。
質量分析(FDMS):589(M+)
元素分析(計算値):C=81.4, H=5.3, N=2.4, S=10.9
元素分析(実測値):C=81.3, H=5.4, N=2.3, S=10.9
DSC分析により、化合物(A−
20)のガラス転移温度は118℃であった。
実施例4 化合物(A−16)の素子評価
厚さ130nmのITO透明電極を積層したガラス基板を、アセトン及び純水による超音波洗浄、イソプロピルアルコールによる煮沸洗浄した後、乾燥した。さらに、UV/オゾン処理を行い、真空蒸着装置へ設置後、1×10
−4Paになるまで真空ポンプにて排気した。ITO透明電極(陽極)上に、銅フタロシアニンを真空蒸着法により25nmの膜厚で成膜し、正孔注入層を形成した。次に、実施例2で合成した化合物(A−16)を真空蒸着法により45nmの膜厚で成膜し、正孔輸送層を形成した。次に、アルミニウムトリスキノリノール錯体を真空蒸着法により60nmの膜厚で成膜し、発光層兼電子輸送層を形成した。次に、陰極としてLiFを0.5nm、Alを100nm成膜して金属電極を形成した。さらに、窒素雰囲気下、封止用ガラス基板をUV硬化樹脂で接着し、評価用の有機EL素子とした。このようにして得られた素子に、電流密度20mA/cm
2の定電流密度条件下で駆動させた際の駆動電圧(V)、輝度(cd/m
2)、電流効率(cd/A)、電力効率(lm/W)を測定した。結果を表1に示す。
実施例5 化合物(A−20)の素子評価
実施例4において、化合物(A−16)の代わりにA−20を用いた以外は同様の実験操作で有機EL素子を作製し、実施例4と同じ条件で評価した。結果を表1に示す。
比較例1 α−NPDの素子評価
実施例4において、化合物(A−16)の代わりにα−NPD(市販品)を用いた以外は同様の実験操作で有機EL素子を作製し、実施例4と同じ条件で評価した。結果を表1に示す。
参考例1 化合物1の素子評価
実施例4において、化合物(A−16)の代わりに化合物1を用いた以外は同様の実験操作で有機EL素子を作製し、実施例4と同じ条件で評価した。結果を表1に示す。
【0151】
なお、化合物1は、特開2008−201769号公報の実施例に基づいて合成した。
【0152】
【化17】
【0153】
【表1】