(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5999511
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】気相エピタキシャル成長装置及びそれを用いたエピタキシャルウェーハの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/205 20060101AFI20160915BHJP
C30B 25/12 20060101ALI20160915BHJP
C23C 16/44 20060101ALI20160915BHJP
【FI】
H01L21/205
C30B25/12
C23C16/44 J
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-174880(P2013-174880)
(22)【出願日】2013年8月26日
(65)【公開番号】特開2015-43387(P2015-43387A)
(43)【公開日】2015年3月5日
【審査請求日】2015年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】新井 祐司
【審査官】
長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−258895(JP,A)
【文献】
特開2012−124476(JP,A)
【文献】
特開2000−323487(JP,A)
【文献】
特開2010−034476(JP,A)
【文献】
特開2005−260095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/205−21/31、21/365、21/469、
21/86、
C23C 16/00−16/56、
C30B 1/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応ガスを基板に対して水平に導入して、基板上に薄膜を気相成長させるための反応容器と、前記反応容器内に水平に配置され、前記基板を載置するための座ぐり部を備え、該座ぐり部の最外周部より内側に2以上のサセプタ貫通孔が設けられているサセプタと、前記サセプタの上下に配設される加熱手段と、前記サセプタの下面に設けられ、前記サセプタを支持するサセプタサポートと、を有し、
前記サセプタサポート が、前記サセプタ貫通孔の全てを覆う領域まで前記サセプタ下面をカバーするようにその周縁端部を前記サセプタ下面に当接せしめて前記サセプタ下面との接触面に間隙がないように円周支持する漏斗状サセプタ下面カバー部と、前記サセプタ下面カバー部の中心に設けられたサポートシャフトと、前記サセプタ下面カバー部の中心付近に設けられた少なくとも一つのサセプタ下面カバー部貫通孔と、を備え、前記サセプタ下面カバー部貫通孔が、前記サセプタ下面カバー部の周縁端部よりも下方に位置することを特徴とする気相エピタキシャル成長装置。
【請求項2】
請求項1記載の気相エピタキシャル成長装置を用い、前記気相エピタキシャル成長装置のサセプタの座ぐり部に基板を載置し、前記加熱手段にて前記基板を加温し、反応ガスを前記反応容器内に前記基板に対して水平に導入しながら前記基板上にエピタキシャル層の気相成長を行うことを特徴とするエピタキシャルウェーハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャルウェーハの気相成長装置及びそれを用いたエピタキシャルウェーハの製造方法に関し、具体的には、ウェーハ裏面側へのエピタキシャル層の形成を抑制できる気相エピタキシャル成長装置及びそれを用いたエピタキシャルウェーハの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エピタキシャルウェーハは、半導体基板の表面にエピタキシャル成長によるエピタキシャル層が成層されたものである。近年、MOS(Metal Oxide Semiconductor)メモリデバイスの高集積化に伴い、α粒子によるメモリの誤動作(ソフトエラー)やCMOS・ICにおけるラッチアップが無視できなくなっている。これらの問題解決に、エピタキシャル層を有するエピタキシャルウェーハが有効であることが認識されており、最近ではCMOS・ICの製造にエピタキシャルウェーハが積極的に使用されている。エピタキシャル層を成層する装置には、枚葉式の気相エピタキシャル成長装置がある。この気相エピタキシャル成長装置は、コンパクトな反応室を有しており、ハロゲンランプによる輻射加熱方式を採用している。枚葉処理であるため、均熱条件、ガス流分布の設計が容易であり、エピタキシャル層特性を高くすることが可能である。したがって、大直径の半導体ウェーハを処理するのに有効な装置である。
【0003】
図6〜8に従来の枚葉式の気相エピタキシャル成長装置の構成を示す。従来の気相エピタキシャル成長装置100は、
図6によく示される如く、透明石英からなる反応容器101内に1枚ずつセットされた基板Wを、上下より赤外線ランプ106を用いて輻射加熱しながら、エピタキシャル層を気相成長させるものである。この赤外線ランプ106は反応容器101の外部上側及び外部下側に配置されている。
【0004】
前記反応容器101内には、基板Wを載置するためのサセプタ102が水平に配設されており、該サセプタ102はその一部が裏面に当接するサセプタサポート103により支持されている。サセプタサポート103は、
図7によく示される如く、中心部に設けられたサポートシャフト105と、前記サポートシャフト105から120°間隔を有して放射状に形成された3本の支持アーム105a〜105cとで構成されている。サセプタサポート103の下方には回転機構が連結されており、これにより、サセプタ102はサセプタサポート103とともに水平面内で回転できるようになっている。
【0005】
サセプタ102は、上面に形成された座ぐり部121に基板Wを収容し、座ぐり部121には、最外周部より内側に複数のサセプタ貫通孔108が設けられている。また、反応容器101の側壁部から該サセプタ102の外周至近部にかけて設けられるリング104により周回されている。このリング104は、前記サセプタ102と共働して反応容器101の内部空間を上部空間101aと下部空間101bとに分割する。上部空間101aでは、ガス供給口109aからキャリアガスと共に導入された反応ガスが、基板Wの表面をほぼ層流を形成しながら流れ、反対側の排気口120aから排気される。前記リング104は、ガス供給口109aから基板Wに至るまでの間に反応ガスの温度を前もって加熱する役割を果たすものである。一方の下部空間101bにおいては、ガス供給口109bから雰囲気ガスが供給され、反対側の排気口120bより排気される。
【0006】
上記のような枚葉式気相エピタキシャル成長装置では、サセプタ102が回転するため、サセプタ102とリング104の間に間隙107が設けられている。しかし、サセプタ102上面側に供給された反応ガスの一部が、
図8によく示される如く、この間隙107からサセプタ102下面側に侵入し、サセプタ102の座ぐり部121のサセプタ貫通孔108から基板Wの裏面側まで入り込んで、基板Wの裏面、特に外周領域において、厚いエピタキシャル層が形成することがあった。このように、ウェーハ裏面外周部に厚いエピタキシャル層が形成されると、ウェーハ外周部の平坦度が悪化し、フォトリソグラフィ工程でデフォーカスが発生しやすくなってしまう。
【0007】
上記問題の対策として、サセプタ102下面側に雰囲気ガスを供給し、反応ガスの、反応容器101の下部空間101bへの侵入を抑制する方法が用いられているが、雰囲気ガスの量が多いと、雰囲気ガスがサセプタ102とリング104の間隙107から上部空間101aに噴出し、上部空間101aのガスフローを乱して、エピタキシャル膜厚の面内均一性を悪化させることがあった。
【0008】
そこで特許文献1では、サセプタとリングのエッジ部に階段状のフランジを設け、このフランジを係合させることにより、反応容器の上下部空間の雰囲気遮蔽性を高める方法が開示されている。しかし、この方法を急速な昇降温を行うプロセスで用いると、フランジ部に局所的な温度差が発生し、ひびや割れが多発することが明らかになった。
【0009】
この問題を改善するために、特許文献2では、サセプタとリングのエッジ部に垂下したスカート状の縁を設ける方法が開示されているが、基板裏面外周部のエピタキシャル層形成を抑える効果はあまり高いものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平07−078863
【特許文献2】特開2000−012470
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、サセプタとリングにひびや割れを発生させることなく、サセプタの座ぐり部のサセプタ貫通孔からの反応ガスの流入を抑制し、基板裏面側へのエピタキシャル層の形成を抑制することができる気相エピタキシャル成長装置及びそれを用いたエピタキシャルウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ね、サセプタの座ぐり部内に設けられたサセプタ貫通孔に反応ガスが流入しないようにサセプタサポートでサセプタ貫通孔よりも外周側を遮蔽することでサセプタ裏面側に流れる反応ガスの基板側への流入を抑制し、基板裏面へのSi堆積などのエピタキシャル層の形成を改善することができるのではないかと考え、本発明に至った。
【0013】
すなわち、本発明に係る気相エピタキシャル成長装置は、反応ガスを基板に対して水平に導入して、基板上に薄膜を気相成長させるための反応容器と、前記反応容器内に水平に配置され、前記基板を載置するための座ぐり部を備え、該座ぐり部の最外周部より内側に2以上のサセプタ貫通孔が設けられているサセプタと、前記サセプタの上下に配設される加熱手段と、前記サセプタの下面に設けられ、前記サセプタを支持するサセプタサポートと、を有し、前記サセプタサポート が、前記サセプタ貫通孔の全てを覆う領域まで前記サセプタ下面をカバーするようにその周縁端部を前記サセプタ下面に当接せしめて前記サセプタ下面との接触面に間隙がないように円周支持する
漏斗状サセプタ下面カバー部と、前記サセプタ下面カバー部の中心に設けられたサポートシャフトと、前記サセプタ下面カバー部の中心付近に設けられた少なくとも一つのサセプタ下面カバー部貫通孔と、を備え、前記サセプタ下面カバー部貫通孔が、前記サセプタ下面カバー部の周縁端部よりも下方に位置することを特徴とする。
【0014】
このように、サセプタサポートでサセプタ貫通孔よりも外周側のサセプタ下面までを前記サセプタ下面カバー部で遮蔽することでサセプタ下面側に流れ込む反応ガスが基板側へ流入してしまうことを抑制し、基板裏面へのSi堆積などのエピタキシャル層の形成を抑制することができる。また、前記サセプタ下面カバー部貫通孔を、前記サセプタ下面カバー部の周縁端部よりも下方に位置せしめることで、反応ガスが前記サセプタ下面カバー部貫通孔を通って基板側へ流入することを抑制することができる。
【0015】
また、前記サセプタ下面カバー部が漏斗状であるのが好ましい。前記サセプタ下面カバー部を漏斗状とした場合、サポートシャフトの付け根付近の前記サセプタ下面カバー部に、少なくとも一つのサセプタ下面カバー部貫通孔を設けるのが好ましい。前記サセプタ下面カバー部貫通孔としては、対称位置に複数個形成するのが好ましく、2〜8個形成するのが好ましい。このように構成することで、サセプタ下面カバー部貫通孔が、前記サセプタ下面カバー部の周縁端部よりも下方に位置せしめられ、反応ガスが前記サセプタ下面カバー部貫通孔を通って基板側へ流入することを抑制することができる。
【0016】
本発明に係るエピタキシャルウェーハの製造方法は、前記気相エピタキシャル成長装置を用い、前記気相エピタキシャル成長装置のサセプタの座ぐり部に基板を載置し、前記加熱手段にて前記基板を加温し、反応ガスを前記反応容器内に前記基板に対して水平に導入しながら前記基板上にエピタキシャル層の気相成長を行うことを特徴とする。前記気相エピタキシャル成長装置を用いることで、サセプタの座ぐり部の貫通孔から反応ガスが流れ込まなくなり、基板裏面へのエピタキシャル層の形成を抑制することができ、基板裏面の平坦性が維持されたエピタキシャルウェーハを製造することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サセプタとリングにひびや割れを発生させることなく、サセプタの座ぐり部のサセプタ貫通孔からの反応ガスの流入を抑制し、基板裏面側へのエピタキシャル層の形成を抑制することができる気相エピタキシャル成長装置及びそれを用いたエピタキシャルウェーハの製造方法を提供することができるという著大な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る気相エピタキシャル成長装置の一つの実施の形態を示す側面概略断面図である。
【
図2】
図1で示したサセプタサポートの概略斜視図である。
【
図3】
図1で示したサセプタサポートの上面概略図である。
【
図4】本発明に係る気相エピタキシャル成長装置に用いられるサセプタサポートの側面概略断面説明図である。
【
図5】比較例及び実施例のウェーハ裏面外周部のSi堆積層厚を示すグラフである。
【
図6】従来の気相エピタキシャル成長装置の側面概略断面図である。
【
図7】
図6で示した従来のサセプタサポートの上面概略図である。
【
図8】従来の気相エピタキシャル成長装置に用いられるサセプタサポートの側面概略断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1〜4に、本発明に係る気相エピタキシャル成長装置の一つの実施の形態を示す。本発明の気相エピタキシャル成長装置10は、反応ガスを基板Wに対して水平に導入して、基板W上に薄膜を気相成長させるための反応容器11と、前記反応容器11内に水平に配置され、前記基板Wを載置するための座ぐり部21を備え、該座ぐり部21の最外周部より内側に2以上のサセプタ貫通孔18が設けられているサセプタ12と、前記サセプタ12の上下に配設される加熱手段16と、前記サセプタ12の下面23に設けられ、前記サセプタ12を支持するサセプタサポート13と、を有し、前記サセプタサポート13が、前記サセプタ貫通孔18の全てを覆う領域まで前記サセプタ下面23をカバーするようにその周縁端部22を前記サセプタ下面23に当接せしめて前記サセプタ下面23との接触面に間隙がないように円周支持するサセプタ下面カバー部24と、前記サセプタ下面カバー部24の中心に設けられたサポートシャフト15と、前記サセプタ下面カバー部24の中心付近に設けられた少なくとも一つのサセプタ下面カバー部貫通孔26a〜26dと、を備え、前記サセプタ下面カバー部貫通孔26a〜26dが、前記サセプタ下面カバー部24の周縁端部22よりも下方に位置するように構成されている。前記加熱手段16としては赤外線ランプを用いた例を示した。
【0021】
本発明に係る気相エピタキシャル成長装置は、反応容器11の側壁部から該サセプタ12の外周至近部にかけて設けられるリング14により周回されている。このリング14は、前記サセプタ12と共働して反応容器11の内部空間を上部空間11aと下部空間11bとに分割する。上部空間11aでは、ガス供給口19aからキャリアガスと共に導入された反応ガスが、基板Wの表面をほぼ層流を形成しながら流れ、反対側の排気口20aから排気される。前記リング14は、ガス供給口19aから基板Wに至るまでの間に反応ガスの温度を前もって加熱する役割を果たすものである。一方の下部空間11bにおいては、ガス供給口19bから雰囲気ガスが供給され、反対側の排気口20bより排気される。すなわち、
図6〜8に示した従来の気相エピタキシャル成長装置とは、サセプタサポート13の構成が異なる点を除けば、その他の基本的構成は同様である。
【0022】
図示例では、
図2〜3によく示される如く、サセプタ下面カバー部24としては漏斗状のものを使用した。また、サセプタ下面カバー部貫通孔としては、4箇所に設けた例を示した。
【0023】
上述のように、サセプタサポート13が前記基板Wに対し水平に導入される反応ガスがサセプタ下面に流入しないようにサセプタ下面23をカバーする形状を有するようにサセプタサポート13を構成することで、サセプタサポート13でサセプタ貫通孔18よりも外周側のサセプタ下面23までを前記サセプタ下面カバー部24で遮蔽することで前記サセプタ貫通孔18の全てが覆われるので、
図4によく示されるように、サセプタ下面23側に流れ込む反応ガスが基板W側へ流入してしまうことを抑制し、基板裏面へSiなどが堆積してしまうことによるエピタキシャル層の形成を抑制することができる。また、サセプタサポート13はサセプタ12のサセプタ下面23との接触面に間隙がないように配置されている。
【0024】
本発明の気相エピタキシャル成長装置10でも、サセプタ12が回転するため、サセプタ12とリング14の間に間隙17が設けられている。しかし、サセプタサポート13はサセプタ下面カバー部24を有する構成とされているため、
図4によく示される如く、サセプタ12上面側に供給された反応ガスが、この間隙17からサセプタ12の下面23側に侵入することを防ぐことが出来る。
【0025】
また、前記サセプタ下面カバー部貫通孔26a〜26dを、前記サセプタ下面カバー部24の周縁端部22よりも下方に位置せしめることで、前記反応ガスが流入しない下方の位置にサセプタ下面カバー部貫通孔が設けられるため、反応ガスが前記サセプタ下面カバー部貫通孔26a〜26dを通って基板W側へ流入することを抑制することができ、かつウェーハ下面からのアウトガスを排出することができる。
【実施例】
【0026】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0027】
(比較例)
はじめに、従来の
図6〜8に示されるサセプタサポート103を用いた従来の気相エピタキシャル成長装置を使用して、基板Wの表面にエピタキシャル層を成層した。成層条件は以下の通りである。
不純物としてボロンを含有した抵抗率が8.0〜12.0Ω・cm、直径が200mmのシリコン基板を用意した。そのシリコン基板上に、成長温度1130度、ドーパントガスにBH
3、成層ガスにトリクロロシラン(TCS)を用いてエピタキシャル層抵抗率10.0Ω・cm、エピタキシャル層厚2μmとなるようなエピタキシャル層を成長させるエピタキシャル成長(CVD法)を行うことによってエピタキシャルウェーハを製造し、ウェーハ裏面外周部のSi堆積層厚を測定した。
図5にウェーハ裏面外周部のSi堆積層厚を示す。
図5に示したように、比較例では、ウェーハ裏面外周部に30nmのSi層が堆積されていた。
【0028】
(実施例)
次に、
図1〜4に示されるサセプタサポート13を用いた本発明の気相エピタキシャル成長装置を使用して、基板Wの表面にエピタキシャル層を成層した。成層条件は以下の通りである。不純物としてボロンを含有した抵抗率が8.0〜12.0Ω・cm、直径が200mmのシリコン基板を用意した。そのシリコン基板上に、成長温度1130度、ドーパントガスにBH
3、成層ガスにトリクロロシラン(TCS)を用いてエピタキシャル層抵抗率10.0Ω・cm、エピタキシャル層厚2μmとなるようなエピタキシャル層を成長させるエピタキシャル成長(CVD法)を行うことによってエピタキシャルウェーハを製造し、ウェーハ裏面外周部のSi堆積層厚を測定した。
図5にウェーハ裏面外周部のSi堆積層厚を示す。
図5に示したように、実施例では、ウェーハ裏面外周部に0.5nmのSi層が堆積されていた。
【0029】
従来のサセプタサポートを用いた気相エピタキシャル成長装置(比較例)と本発明に係るサセプタサポートを用いた気相エピタキシャル成長装置(実施例)を比較すると、本発明に係るサセプタサポートを用いた気相エピタキシャル成長装置を使用することでウェーハ裏面外周部のSi堆積層厚を大きく改善することができることが示された。
【0030】
なお、上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0031】
10:本発明の気相エピタキシャル成長装置、11,101:反応容器、11a,101a:上部空間、11b,101b:下部空間、12,102:サセプタ、13,103:サセプタサポート、14,104:リング、15,105:サポートシャフト、16:加熱手段、17,107:間隙、18,108:サセプタ貫通孔、19a,19b,109a,109b:ガス供給口、20a,20b,120a,120b:排気口、21,121:座ぐり部、22:周縁端部、23:サセプタ下面、24:サセプタ下面カバー部、26a〜26d:サセプタ下面カバー部貫通孔、100:従来の気相エピタキシャル成長装置、105a〜105c:支持アーム、106:赤外線ランプ、W:基板。