特許第6000047号(P6000047)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000047
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】切削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 27/06 20060101AFI20160915BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20160915BHJP
   B24B 47/26 20060101ALI20160915BHJP
   H01L 21/301 20060101ALN20160915BHJP
【FI】
   B24B27/06 M
   B24B49/12
   B24B47/26
   !H01L21/78 F
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-222692(P2012-222692)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2014-73563(P2014-73563A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】田中 万平
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−022154(JP,A)
【文献】 特開2009−206363(JP,A)
【文献】 特開2001−110756(JP,A)
【文献】 特開2010−186863(JP,A)
【文献】 特開平10−189496(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/119792(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 27/06
B24B 47/26
B24B 49/12
H01L 21/301
B24B 41/06
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ基板を切削する切削装置であって、
パッケージ基板を吸引保持する保持手段と、
該保持手段で保持されたパッケージ基板を切削する切削ブレードを有した切削手段と、
パッケージ基板を複数収容可能なカセットが載置されるカセット載置台と、
該カセット載置台に載置された該カセットに収容されたパッケージ基板を仮置きして位置決めする仮置き部と、
該カセット載置台に載置された該カセットに収容されたパッケージ基板を該仮置き部へ搬出する搬出手段と、
該仮置き部で位置決めされたパッケージ基板を該保持手段へと搬送する搬送手段と、
該仮置き部に仮置きされたパッケージ基板の反り量を検出する反り検出手段と、
を備え
前記反り検出手段は、パッケージ基板の上面の高さ位置を複数点で測定する高さ位置測定手段を有し、
測定した複数点における最頂点と最低点との差からパッケージ基板の該反り量を検出することを特徴とする切削装置。
【請求項2】
前記反り検出手段で検出された該反り量が所定の許容値を超えたパッケージ基板を、前記搬送手段で前記保持手段への搬送を実施することなく前記搬出手段で該カセットへと搬入する、請求項1記載の切削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ基板を切削する切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パッケージ基板は複数の材質が積層されることにより形成され、さらに樹脂によって半導体チップを封止する際の熱の影響やリードフレームやプリント基板に半導体チップをマウントする際のリフロー加熱による熱の影響などにより、パッケージ基板には反りが生じ易い。
【0003】
反りのあるパッケージ基板を切削装置の保持テーブルで吸引保持しようとしても、パッケージ基板と保持テーブルとが密接しない部分から負圧がリークして、パッケージ基板を吸引保持できない。
【0004】
切削装置は、一度保持テーブルで負圧がリークしてパッケージ基板を吸引保持できなくても、再度吸引保持を実施するように制御される。複数回吸引保持を試み、吸引保持できない場合には、切削装置はエラーメッセージを発信する。作業者はエラーメッセージを受けて、そのパッケージ基板を保持テーブル上から除去し、残りのパッケージ基板の切削加工を再開するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−051081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、反りのあるパッケージ基板を保持テーブルまで搬送し、複数回吸引保持を試み、最終的に吸引保持ができずに切削装置がエラーメッセージを発信して作業者が保持テーブル上のパッケージ基板を取り除くのでは、非常に効率が悪く生産性が低いという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであって、従来の切削装置に比べて生産性が向上する切削装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、パッケージ基板を切削する切削装置であって、パッケージ基板を吸引保持する保持手段と、該保持手段で保持されたパッケージ基板を切削する切削ブレードを有した切削手段と、パッケージ基板を複数収容可能なカセットが載置されるカセット載置台と、該カセット載置台に載置された該カセットに収容されたパッケージ基板を仮置きして位置決めする仮置き部と、該カセット載置台に載置された該カセットに収容されたパッケージ基板を該仮置き部へ搬出する搬出手段と、該仮置き部で位置決めされたパッケージ基板を該保持手段へと搬送する搬送手段と、該仮置き部に仮置きされたパッケージ基板の反り量を検出する反り検出手段と、を備え、前記反り検出手段は、パッケージ基板の上面の高さ位置を複数点で測定する高さ位置測定手段を有し、測定した複数点における最頂点と最低点との差からパッケージ基板の該反り量を検出することを特徴とする切削装置が提供される。
【0010】
好ましくは、前記反り検出手段で検出された該反り量が所定の許容値を超えたパッケージ基板を、前記搬送手段で前記保持手段への搬送を実施することなく前記搬出手段でカセットへと搬入する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、パッケージ基板は保持テーブル(保持手段)上に搬送される前に、仮置き部で反り検出手段によりパッケージ基板の反り量が検出される。保持テーブルでの吸引保持ができない程の反り量の反りを有したパッケージ基板を予め保持テーブルに搬送しないようにできるため、従来の切削装置に比べて生産性を向上する切削装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る切削装置の斜視図である。
図2】パッケージ基板が複数収納されたカセットの正面図である。
図3】反り検出手段がパッケージ基板の反り量を検出する工程を説明する一部断面側面図である。
図4】反り検出手段が図3が示すパッケージ基板とは異なるパッケージ基板の反り量を検出する工程を説明する一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1を参照すると、本発明の実施形態に係る切削装置2の斜視図が示されている。切削装置2のベース4の上にカセット5を載置するカセット載置台6が設けられている。
【0014】
カセット載置台6にはカセット5をZ軸方向(上下方向)に移動させるカセットエレベータ8が取り付けられている。カセット5には複数枚のパッケージ基板11が収納されている。パッケージ基板11の裏面には、パッケージ基板11の裏面と同じ寸法のテープ13が貼着されている。
【0015】
ベース4の上に、カセット5に収納されたパッケージ基板11を引き出してY軸方向に搬送する搬出手段10が設けられている。カセット載置台6と搬出手段10の間に、搬出手段10が搬出したパッケージ基板11を一時的に載置する仮置き領域14が設けられている。
【0016】
仮置き領域14の両端に、パッケージ基板11の中心位置合わせ(位置決め)をする一対のセンタリングガイド16が設けられている。仮置き領域14と一対のセンタリングガイド16により、仮置き部19が構成される。
【0017】
仮置き領域14の上方にパッケージ基板の高さ位置を検出する非接触式の高さ位置測定器17が設けられており、仮置き領域14に隣接してパッケージ基板11を搬送する搬送手段18が設けられている。高さ位置測定器17はX方向及びY方向に移動可能であり、高さ位置測定器17と切削装置2のコントローラ19とで反り検出手段21を構成する。
【0018】
さらに、ベース4の上に搬送手段18が搬送したパッケージ基板11を保持する保持テーブル20が設けられている。保持テーブル20には図示しない回転機構及び加工送り手段が設けられており、保持テーブル20は加工送り手段により図示したホームポジションAと加工領域Bとの間でX軸方向に移動される。
【0019】
ベース4にはハウジング34が一体的に連結されており、ハウジング34から突出して、保持テーブル20に保持されたパッケージ基板11を切削加工する第1の切削ブレード(図示せず)が装着された第1の切削ユニット22と第2の切削ブレード23が装着された第2の切削ユニット24がY軸方向に独立して移動可能に配設されている。
【0020】
さらに、ベース4には切削加工が完了したパッケージ基板11を洗浄するスピンナ洗浄ユニット28が設けられ、ハウジング34には切削加工されたパッケージ基板11を保持テーブル20からスピンナ洗浄ユニット28に搬送する搬出ユニット26が設けられている。
【0021】
保持テーブル20に隣接して、切削加工の条件を入力する操作パネル32が設けられ、ハウジング34には表示モニタ36が設けられている。
【0022】
図2を参照すると、パッケージ基板が複数収納されたカセット5の正面図が示されている。カセット5にはパッケージ基板を収納するカセット段(収納部)がカセット段15からカセット段15Iまで10段設けられている。カセット段15から順にパッケージ基板11からパッケージ基板11Iまでが一枚ずつ収納されている。上述したように、各パッケージ基板の裏面にはテープ13が貼着されている。
【0023】
以下、このように構成された本発明実施形態の切削装置2の作用について説明する。
カセットエレベータ8によりカセット5を載置したカセット載置台6が、搬出手段10がカセット5に収納されたパッケージ基板11を取り出し可能な高さまで上昇すると、搬出手段10がカセット5に収容されたパッケージ基板を一枚ずつ仮置き部14に搬出する。その後、一対のセンタリングガイド16により、パッケージ基板の中心位置合わせが実施される。
【0024】
パッケージ基板の中心位置合わせが実施された後、パッケージ基板11の高さ位置を複数点で測定してパッケージ基板11の反り量を検出す反り量検出工程を実施する。この反り量検出工程では、図3に示すように、高さ位置検出器17をパッケージ基板11の左端から右端まで走査して、複数点でパッケージ基板11の高さ位置を測定する。
【0025】
次いで、高さ位置測定器17をY軸方向(図1参照)に移動して、最初の測定点からY軸方向に相当離れた場所に高さ位置検出器17を位置づけ、パッケージ基板11の右端から左端まで走査して、パッケージ基板11の上面の高さ位置を複数点で測定する。
【0026】
非接触式の高さ位置測定器17としては、レーザー式又は超音波式の高さ位置測定器を採用可能である。非接触式の高さ位置測定器17に変えて、接触式高さ位置検出器でセンタリングガイド16により支持されたパッケージ基板11の高さ位置を測定するようにしてもよい。
【0027】
測定した複数のパッケージ基板11の上面の高さ位置の内、最高の高さ位置である点を最頂点38とし最低の高さ位置である点を最低点40として、最頂点38と最低点40の差からパッケージ基板の反り量41をコントローラ19で算出する。
【0028】
図3に示すパッケージ基板11では、パッケージ基板11の反り量41は所定の許容値42を超えないため、搬送手段18によりパッケージ基板11は保持テーブル20に搬送される。所定の許容値42は限定されないが、パッケージ基板11の厚みや材質に応じて適宜保持テーブル20でパッケージ基板11が吸引吸着可能となる値に設定する。本実施形態では約5mmに設定した。
【0029】
保持テーブル20に吸引保持されたパッケージ基板11は加工送り手段によりX軸方向に移動され、第1の切削ユニット22と第2の切削ユニット24により切削加工が実施される。
【0030】
切削加工が完了したパッケージ基板11を吸引保持した保持テーブル20は加工送り手段により図1に示すホームポジションAに戻され、搬送ユニット26によりパッケージ基板11はスピンナ洗浄ユニット28に搬送されて、スピンナ洗浄ユニット28により洗浄される。
【0031】
洗浄されたパッケージ基板11は搬送手段18により仮置き部19に搬送され、その後搬出手段10によりカセット5に収納される。
【0032】
図4を参照すると、高さ位置測定器17が図3が示すパッケージ基板11とは異なるパッケージ基板11Bの高さ位置を測定する工程を説明する一部断面側面図が示されている。図3と同様に、高さ位置測定器17は、パッケージ基板11Bの上面の高さ位置を複数点で測定し、最頂点38と最低点40を検出してパッケージ基板11Bの反り量41をコントローラ19で算出する。
【0033】
図4に示したパッケージ基板11Bでは、パッケージ基板11Bの反り量41が所定の許容値42を超えるため、搬送手段18でパッケージ基板11を保持テーブル20へ搬送することなく、搬出手段10でパッケージ基板11Bを仮置き部14からカセット5に搬入する。
【0034】
これにより、保持テーブル20での吸引保持ができない程の反り量41の反りを有したパッケージ基板11Bを保持テーブル20に搬送しないようにできるため、切削装置2の生産性が向上する。
【0035】
このように、全てのパッケージ基板11〜11Iについて反り検出手段21により、パッケージ基板11の反り量41を検出し、反り量41が所定の許容値42を超えるか否かを判定する。
【0036】
反り量41が所定の許容値42を超えるパッケージ基板は切削加工が実施されることなく搬出手段10によりカセット5に戻され、そのパッケージ基板が収納されたカセット段をメモリに格納する。反り量41が所定の許容値42を超えないパッケージ基板は搬送手段18により、保持テーブル20に搬送され、第1及び第2の切削ユニット22、24で切削加工を実施する。
【0037】
カセット5に収納されたパッケージ基板のうち、反り量41が所定の許容値42を超えないパッケージ基板の切削加工が全て完了すると、表示モニタ36に切削加工が完了したことを表示し、さらに切削加工が実施されなかったパッケージ基板が収納されたカセット段を表示する。本実施形態では、カセット段15Bとカセット段15Eが表示される。
【0038】
以下、代替実施形態を説明する。この代替実施形態では、パッケージ基板にテープ13を貼着して環状フレームに支持し、保持テーブル20にクランプを設けてクランプで環状フレームを固定することによりパッケージ基板を切削加工を実施する。
【0039】
他の代替実施形態では、パッケージ基板にテープ13を貼着せず、切削加工されたパッケージ基板を全面吸着してキャニスタに搬送して収容する。あるいは、ベース4にピックアップユニットを設けて、ピックアップユニットにより切削加工されたパッケージ基板をチップトレイに収納するようにしても良い。
【0040】
以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以上に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以上に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0041】
2 切削装置
5 カセット
6 カセット載置台
10 搬出手段
11 パッケージ基板
17 高さ位置測定器
18 搬送手段
19 仮置き部
20 保持テーブル(保持手段)
22 第1の切削ユニット(切削手段)
23 第2の切削ブレード
24 第2の切削ユニット(切削手段)
38 最頂点
40 最低点
41 反り量
42 所定の許容値
図1
図2
図3
図4