【文献】
GREEN.T.W. et al.,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS THIRD EDITION,JOHN WILEY & SONS, INC.,1999年,p.442-449, 518-525
【文献】
日本化学会編,光学異性体の分離[季刊 化学総説 No.6],株式会社 学会出版センター,1996年 6月10日,第3版,P45-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
使用される鏡像異性的に純粋な助剤が、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−1−フェニルプロピルアミン、(S)−1−ナフチルエチルアミン、(R)−1−ナフチルエチルアミン、(S)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(R)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−1−シクロプロピルエチルアミン又は(R)−1−シクロプロピルエチルアミンである、請求項1に記載の方法。
使用される有機溶媒が、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル又はメチルtert−ブチルエーテルである、請求項1又は2に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0007】
従って、本発明は、式Iの化合物を得るための方法に関し:
【化2】
ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I、Br、(C
1−C
4)−アルキル又は−CNであり;
R2は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−オキシド、トリアゾロン、オキサジアゾロン、イソオキサゾロン、オキサジアゾリジンジオン、トリアゾール、3−ヒドロキシピロール−2,4−ジオン、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インドール、イソインドール、インダゾール、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン及びβ−カルボリンから成るシリーズから選択されるヘテロアリール残基であり;ここで、ヘテロアリール残基は、無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり;
ここでアリール残基は、無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
R3は、水素原子であり;
又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここで、アリール残基は、無置換であるか、又は−NO
2、−O−(C
1−C
4)−アルキル、F、Cl及びBrから選択される置換基で一回、二回又は三回互いに独立に置換され;
又は−O−C(CH
3)
3であり;
又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及び、無置換であるか、又は−NO
2、−O−CH
3、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され、及びここで、R7は、水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
【0008】
ここで:
a)R1、R2及びR3が式Iの化合物の通りに定義され式IIの化合物を鏡像異性的に純粋な助剤と一緒に有機溶媒又は有機溶媒の混合物中に混合し;
【化3】
b)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物より構成された塩を分別結晶により分離し;及び
c)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物より構成された塩から式Iの化合物を単離する;
ことを含む。
【0009】
一実施態様において、本発明は式Iの化合物を得るための方法に関し、ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I又はBrであり;
R2は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であるか、又はフッ素又は塩素で置換され;
R3は、フェニル、メチル又は−O−C(CH
3)
3であり;
ここで:
a)R1、R2及びR3が式Iの化合物の通りに定義された式IIの化合物を酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル及びジエチルエーテルから成るシリーズから選択される有機溶媒又は有機溶媒の混合物に、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−ナフチルエチルアミン、(R)−1−ナフチルエチルアミン、(S)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(R)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−1−シクロプロピルエチルアミン及び(R)−1−シクロプロピルエチルアミンから成るシリーズからエナンチオマ純粋な助剤と一緒に混合し;
b)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物より構成される塩を分別結晶により分離し;及び
c)式Iの化合物を鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物より構成された塩より単離すること;
を含む。
【0010】
一実施態様において、式I及びIIの化合物などの上記及び下記で概略述べる本発明に基づく化合物及び方法における基R1は、水素原子、F又はClであり、別の実施態様において、それは水素原子又はFであり、別の実施態様においてそれは水素原子である。
【0011】
一実施態様において、式I及びIIの化合物などの上記及び下記で概略述べる本発明に基づく化合物及び方法における基R2は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾー、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−オキシド、トリアゾロン、オキサジアゾロン、イソオキサゾロン、オキサジアゾリジンジオン、トリアゾー、3−ヒドロキシピロール−2,4−ジオン、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インドール、イソインドール、インダゾール、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン及びβ−カルボリンから成るシリーズから選択されるヘテロアリール残基であり、ここで、ヘテロアリール残基は、無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され、及び別の実施態様においては、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、1,2,3,5−オキサチアジアゾール−2−オキシド、トリアゾロン、オキサジアゾロン、イソオキサゾロン、オキサジアゾリジンジオン、トリアゾール、3−ヒドロキシピロール−2,4−ジオン、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インドール、イソインドール、インダゾール、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン及びβ−カルボリンから成るシリーズから選択され、ここで、ヘテロアリール残基は、無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ及びハロゲンから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され、及び別の実施態様において、(C
1−C
5)−アルキル及びハロゲンから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換される。別の実施態様において、R2は、フェニル、ピリジニル又はピリミジニルであり、別の実施態様において、それは、フェニル又はピリジニルであり、別の実施態様において、それは、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、別の実施態様において、それは、ピリジニル又はピリミジニルであり、別の実施態様において、それは、フェニルであり、別の実施態様において、それは、ピリジニルであり、別の実施態様において、それは、ピリミジニルであり、別の実施態様において、それは、チアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であり又はフッ素若しくは塩素で置換され、及び、別の実施態様において、無置換であり又はフッ素で置換され、及び、別の実施態様において、無置換である。ピリジニルを表すR2は、基ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル及びピリジン−4−イルのいずれか一つ又はそれより多くてもよく、ピリミジニルを表すR2は、基ピリミジン−2−イル、ピリミジン−4−イル及びピリミジン−5−イルのいずれか一つ又はそれより多くてもよく、チアゾリルを表すR2は、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル及びチアゾール−5−イルのいずれか一つ又はそれより多くてもよい。
【0012】
一実施態様において、式I及びIIの化合物などの上記及び下記で概略述べる本発明に基づく化合物及び方法における基R3は、メチル、−O−C(CH
3)
3又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは、無置換フェニルであり、別の実施態様において、それは、−O−C(CH
3)
3又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは、無置換フェニルであり、別の実施態様において、それはメチルであり、別の実施態様において、それは−O−C(CH
3)
3、即ち、tert−ブトキシ基であり、別の実施態様において、それは、−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは、無置換フェニル、即ち、ベンジルオキシ基である。
【0013】
本発明は、一つ又はそれより多くの実施態様及び/又は他の機能及び/又は基の特定の意味又は本明細書に特定した機能を有する化合物及び方法の定義の全ての組合せに関する。
【0014】
用語「(C
1−C
3)−アルキル」、「(C
1−C
4)−アルキル」及び「(C
1−C
5)−アルキル」は、その炭素鎖が直鎖又は分枝鎖であり、及び、1、2又は3個の炭素原子、又は1、2、3又は4個の炭素原子、又は1、2、3、4又は5個の炭素原子をそれぞれ含む炭化水素残基の意味として理解される。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル及びペンチルがある。
【0015】
用語「−CH(R7)−」は、メチレン、エチレン、イソプロピレン、イソブチレン又はペンチレンなどの直鎖又は分枝鎖の炭化水素残基の意味として理解される。R7が水素原子であり、アリールがフェニルである残基「−CH(R7)−」の例は、ベンジルである。
【0016】
R1が水素原子(H)である場合、これは、式I及びIIの化合物、及び基R1を含む以下に定義される他の化合物におけるフェニル残基が、無置換のフェニル残基であることを意味する。R1がF、Cl、I又はBrなどの水素原子以外の意味を有する場合、これは、R1を含むフェニル残基の場合、水素原子がそれぞれの基又は原子で代替されたこと、即ち、前記フェニル残基は、置換基としてそれぞれの基又は原子を含む置換フェニル残基であることを意味する。そのような置換基は、2−位、3−位、及び4−位を含むフェニル残基のいかなる位置に存在してもよい。それは、一般的に、式I及びIIの化合物及び下記に定義する他の化合物の全ての基に適用し、例えば、置換基がいかなる好適な位置にも存在でき、及び一つより多くの置換基が基に存在する場合、置換基が同一又は異なっていてもよいヘテロアリール残基及びアリール残基を表すR2にも適用する。
【0017】
用語「ハロゲン」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、ヨウ素(I)及び臭素 (Br)の意味として理解される。一実施態様において、ハロゲンはF又はClであり、別の実施態様において、それはFである。
【0018】
式I及び以下で定義する他の化合物における炭素原子に隣接したアステリスクは、それぞれの化合物は、R−エナンチオマ又はS−エナンチオマのいずれかの個別のエナンチオマとして存在することを意味し、ここで、用語「個別のエナンチオマとして存在する」は、化合物が反対のエナンチオマの存在に対して本質的に純粋なエナンチオマとして存在することの意味として理解される。一実施態様において、ee値、即ち本発明に基づく実質的に純粋なエナンチオマのパーセントでのエナンチオマ過剰率は、>90%であり、別の実施態様において、>95%であり、別の実施態様において、>98%であり、別の実施態様において、>99%であり、ここで、サンプルの更なる使用を期待され、及び採用された条件下で入手可能な本発明に基づいて得られる特定サンプルのee値は、特定な場合の特異性に依存して自然に変化する。
【0019】
用語「鏡像異性的に純粋な助剤」は、式I及びIIのカルボン酸を有するジアステレオ塩を形成することができる少なくとも一つのキラリティ中心を有する鏡像異性的に純粋なアミン化合物を意味するとして理解される。一実施態様において、一つのキラリティを有するそのような助剤が採用される。別の実施態様において、そのような助剤は、キラル性の1−アリール−エチルアミン、1−シクロアルキル−エチルアミン、1−アリール−プロピルアミン及び1−シクロアルキル−プロピルアミンの物質分類からの化合物であり、ここで、アリールは、例えば、フェニル、又は1−ナフチル及び2−ナフチルを含むナフチルであり、及び無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ及びハロゲンから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立して、一回、二回又は三回置換され、及びシクロアルキルは、例えば、シクロプロピル又はシクロヘキシルである。一実施態様において、鏡像異性的に純粋な助剤は、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−フェニルプロピルアミン、(R)−1−フェニルプロピルアミン、(S)−1−ナフチルエチルアミン、(R)−1−ナフチルエチルアミン、(S)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(R)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−1−シクロプロピルエチルアミン及び(R)−1−シクロプロピルエチルアミンから成るシリーズから選択され、別の実施態様において、それは、(S)−1−フェニルエチルアミン及び(R)−1−フェニルエチルアミンから成るシリーズから選択され、及び別の実施態様において、それは(S)−1−フェニルエチルアミンである。採用した鏡像異性的に純粋な助剤の化学的純度は、>95%、エナンチオマ過剰率は、>90%であるべきである。特定の場合に採用される助剤のキラリティは、その場合の特異性及び式Iの化合物の望ましいキラリティに依存する。
【0020】
用語「分別結晶」は、結晶を分離するために物質の溶解性の差異を活用する分離方法を意味するとして理解される。結晶化は、濃度変化、温度変化又は、例えば、種結晶の使用など他の誘因によっても発生することができる。
【0021】
分別結晶方法のために、式IIのラセミ化合物は、好適な溶媒又は溶媒混合物に懸濁し、又は溶解できる。好適な溶媒としては、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸エチル又は酢酸イソプロピル及びジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル又はジエチルエーテルなどのエーテルがある。一実施態様において、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル及びメチルtert−ブチエーテルから成るシリーズから選択される溶媒、別の実施態様において、酢酸n−ブチル及びジイソプロピルエーテル又はその混合物から成るシリーズから選択される溶媒が採用される。鏡像異性的に純粋な助剤、例えば、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−ナフチルエチルアミン、(R)−1−ナフチルエチルアミン、(S)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(R)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−1−シクロプロピルエチルアミン、(R)−1−シクロプロピルエチルアミン、特に、(S)−1−フェニルエチルアミン又は(R)−1−フェニルエチルアミンは、その後、この溶液又は懸濁液に撹拌しながら加えられる。式IIの化合物及び鏡像異性的に純粋な助剤が導入される順序は、また、逆転可能である。式IIの化合物の鏡像異性的に純粋な助剤に対するモル比は、好ましくは、約0.5〜約1.1である。一実施態様において、 式IIの化合物の鏡像異性的に純粋な助剤に対するモル比は、約0.9〜約1.1である。別の実施態様において、約0.9〜約 1.0であり、別の実施態様において、約1.0〜約 1.1である。
【0022】
式IIの化合物の鏡像異性的に純粋な助剤との混合操作は、通常、約20℃から、採用された溶媒又は溶媒混合物の沸点までの温度で、好ましくは、沸点までの上昇温度で、例えば、約20℃〜約60℃の温度で、又は、約40℃〜約60℃の温度で、又は40℃〜沸点の温度で実施される。混合は、普通は、ある時間範囲内で、例えば、約1時間〜約5時間の範囲で起こる。式IIの化合物の助剤との完全な反応を確実にするために、混合物は、通常、しばらくの間、温度で保持される。
【0023】
分別結晶は、式IIの化合物及び鏡像異性的に純粋な助剤を含む加熱混合物の冷却、及び/又は、溶媒の部分蒸発、及び/又は、更なる溶媒の添加、及び/又は、種結晶の添加により開始できる。冷却は、式Iの化合物及び鏡像異性的に純粋な助剤より構成された塩を含む結晶が沈殿するまで、好ましくは、徐々に実施される。結晶化の完結のために、混合物は普通は約0℃〜約30°の温度、特に、約5℃〜約20℃の終了温度に冷却される。式Iの化合物及び鏡像異性的に純粋な助剤より構成される塩を含む結晶は分離され、及び好適な溶媒で洗浄される。分離は、例えば、濾過又は遠心分離により起こり得る。好適な溶媒は、例えば、酢酸n−ブチル、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルなどのエステル又はジイソプロピルエーテル若しくはメチルtert−ブチルエーテルなどのエーテルである。希望すれば、得られた結晶は、例えば、減圧下又は大気圧で、約60℃などの上昇温度で乾燥できる。
【0024】
式Iの化合物及び鏡像異性的に純粋な助剤より構成された塩を含む結晶が分離された残存母液は溶液中に残存し、式Iの化合物の望まない反対のエナンチオマ及び鏡像異性的に純粋な助剤より成る塩を含む。鏡像異性的に純粋な助剤から式Iの化合物を後処理し、分離した後、望まないエナンチオマは、場合により、例えば、無水物の塩基誘導ラセミ化、又はその場生成した活性エステルを経由してラセミ化でき、及び前述の方法に準拠した更なるラセミ分割を実施しなければならない。即ち、望まないエナンチオマがリサイクルできる。
【0025】
鏡像異性的に純粋な助剤との塩の形成中に存在する分離した結晶からの式Iの望ましい化合物の単離は、当業者に公知の方法に基づき実施できる。例えば、式Iの化合物及び鏡像異性的に純粋な助剤より構成された塩を含む結晶は、好適な溶媒中で懸濁させ、又は溶解させ、及び懸濁液若しくは溶液は、好適な酸、例えば、硫酸と、例えば、室温などの約10℃〜約30℃の温度で混合される。助剤は、その後、溶液中に溶解し、又は残存し、式Iの化合物は、一般的に沈殿し、又は、さもなくば、標準的な手法で得ることができる。好適な溶媒は、例えば、メタノール、エタノール及びイソプロパノールなどのアルコール又は酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び酢酸n−ブチルなどのエステル又はアルコールの水との混合物を含む溶媒の混合物である。式Iの化合物及び鏡像異性的に純粋な助剤より構成された塩を得るための手法に関する上記の説明は、式Iの化合物を得るための手法に対応して適用される。
【0026】
本発明は、また、式IVの化合物又はその塩を得るための方法に関し、
【化4】
ここで、R1、R2及びR3は、式Iの化合物の通りに定義され;
R5は、−NH
2、−N(H)−R6又は−N(R6)
2であり、ここで、R6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され;
ここで:
a)R1、R2及びR3が式Iの化合物の通りに定義された式IIの化合物を、有機溶媒又は有機溶媒と鏡像異性的に純粋な助剤との混合物中に混合し;
b)鏡像異性的に純粋な助剤と式Iの化合物より構成された塩を分別結晶により分離し;
c)鏡像異性的に純粋な助剤と式Iの化合物より構成された塩から式Iの化合物を単離し;及び
d)得られた式Iの化合物をアンモニア又は式H
2N−R6若しくはHN(R6)
2のアミンで、式IVの化合物又はその塩に変換し、ここでR6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択される;
を含む。
【0027】
一実施態様において、本発明は、式IVの化合物又はその塩を得るための方法に関し、ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I又はBrであり;
R2は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であるか、又はフッ素若しくは塩素で置換され;
R3は、フェニル、メチル又は−O−C(CH
3)
3であり;
R5は、−NH
2、−N(H)−R6又は−N(R6)
2であり、ここで、R6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され;
ここで、
a)R1、R2及びR3が式Iの化合物の通りに定義された式IIの化合物を、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル及びジエチルエーテルから選択される有機溶媒又は有機溶媒の混合物中で、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−ナフチルエチルアミン、(R)−1−ナフチルエチルアミン、(S)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(R)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−1−シクロプロピルエチルアミン及び(R)−1−シクロプロピルエチルアミンから成るシリーズから選択される鏡像異性的に純粋な助剤と混合し;
b)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物から構成された塩を分別結晶により分離し;
c)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物から構成された塩から式Iの化合物を単離し;及び
d)得られた式Iの化合物をアンモニア又は式H
2N−R6若しくはHN(R6)
2のアミンで、式IVの化合物又はその塩に変換し、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択される;を含む。
【0028】
一実施態様において、式IV化合物などの、本発明に基づく化合物及び方法における上記及び下記で概略述べる基R5は、−NH
2又は−N(H)−R6であり、別の実施態様において、それは−NH
2である。
【0029】
一実施態様において、式IV化合物などの、本発明に基づく化合物及び方法における上記及び下記で概略述べる基R6は、(C
1−C
4)−アルキルであり、別の実施態様において、それはメチルである。
【0030】
基R1、R2及びR3又は製造工程a)、b)及びc)に関する上記の説明は、対応して、式IVの化合物及び上記で定義した製造工程に適合する。製造工程d)は、例えば、当業者に公知で、例えば、M.B. Smith and J. March, March's Advanced Organic Chemistry, 5th edition, Wiley-Interscience, New York, 2001に記載のカルボン酸からカルボキサミド生成のための方法及び反応条件に基づき実施できる。一般的に、カルボキサミド生成のために、カルボン酸は、1,1′−カルボニルジイミダゾール又はN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N′−エチルカルボジイミド塩酸塩のようなカルボジイミドなどの好適な試薬で、テトラヒドロフランのようなエーテル又はアセトニトリルなど不活性溶媒中で、−20℃〜溶媒の沸点までの温度で活性化し、及びアンモニア又は望ましいアミンを加えて、式IVのそれぞれのアミドへ転換する。
【0031】
本発明は、また、式IIIの化合物又はその塩を得るための方法に関し、
【化5】
ここで、R1及びR2は式Iの化合物の通りに定義され;
R5は、−NH
2、−N(H)−R6又は−N(R6)
2であり、ここで、R6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され;
ここで、
a)R1、R2及びR3が式Iの化合物の通りに定義された式IIの化合物を有機溶媒又は有機溶媒の混合物中で、鏡像異性的に純粋な助剤と混合し;
b)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物より構成された塩を分別結晶により分離し;
c)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物より構成された塩から式Iの化合物を単離し;
d)生成した式Iの化合物をアンモニア又は式H
2N−R6若しくはHN(R6)
2で、式IVの化合物又はその塩に変換し、ここで、R6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され;及び
e)生成した式IVの化合物又はその塩を生成した式IIIの化合物又はその塩に変換すること;
を含む。
【0032】
一実施態様において、本発明は、式IIIの化合物又はその塩を得るための方法に関し、ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I又はBrであり;
R2は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であるか、又はフッ素若しくは塩素で置換され;
R5は、−NH
2、−N(H)−R6又は−N(R6)
2であり、ここで、R6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され;
ここで:
a)R1、R2及びR3が式Iの化合物の通りに定義された式IIの化合物を、酢酸n−ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル及びジエチルエーテルから成るシリーズから選択される有機溶媒又は有機溶媒の混合物中で、(S)−1−フェニルエチルアミン、(R)−1−フェニルエチルアミン、(S)−1−ナフチルエチルアミン、(R)−1−ナフチルエチルアミン、(S)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(R)−1−シクロヘキシルエチルアミン、(S)−1−シクロプロピルエチルアミン及び(R)−1−シクロプロピルエチルアミンから成るシリーズから選択される鏡像異性的に純粋な助剤と混合し;
b)鏡像異性的に純粋な助剤及び式Iの化合物より構成された塩を分別結晶により分離し;
d)生成した式Iの化合物をアンモニア又は式H
2N−R6若しくはHN(R6)
2で、式IVの化合物又はその塩に変換し、ここで、R6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され;及び
e)生成した式IVの化合物又はその塩を式IIIの化合物又はその塩に変換すること;
を含む。
【0033】
基R1、R2、R3及びR5又は製造工程a)、b)、c)及びd)に関する上記の説明は、対応して、式IIIの化合物及び上記で定義した製造工程に適合する。製造工程e)は、例えば、当業者に公知で、例えば、M.B. Smith and J. March, March's Advanced Organic Chemistry, 5th edition, Wiley-Interscience, New York, 2001;又は M. J. Burk et al., J. Org. Chem. 1997, 62, 7054;又は M. J. Burk et al., J. Org. Chem. 1997, 62, 7054 に記載のアミンを得るためのカルボキサミド及びカルバメートの開裂ための方法及び反応条件に基づき実施できる。例えば、式IIIの化合物を得るために式IVの化合物における基R3C(O)−で表されるtert−ブトキシカルボニル基の開裂は、ジクロロメタンなどの塩素化炭化水素又は水などの好適な溶媒中、約0℃〜約50℃の温度で、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸又はp−トルエンスルホン酸による処理などの標準条件で達成できる。
【0034】
製造工程d)及びe)における立体異性体を含む塩生成が可能な式III及びIVの化合物の塩の製造は、それ自体公知の標準的手法に基づき実施できる。式III及びIVの化合物が酸基を含む場合、安定なアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及び場合により置換されるアンモニウム塩及びアミジニウム塩は、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、アルコラート、アンモニア又は有機塩基、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタモールなどのアミン;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンなどのアミジン;リシン、オルニチン又はアルギニンなどの塩基性アミノ酸などの塩基性試薬を用いて製造できる。式III及びIVの化合物が塩基性基を含む場合、安定な酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、 p−トルエスルホン酸、4−ブロモベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルアミドスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、グリセロールリン酸、乳酸、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、グルコン酸、グルクロン酸、パルミチン酸又はトリフルオロ酢酸などの無機酸及び有機酸を含む酸性試薬を用いて製造できる。これらの説明は、同様に、式I、II又はIIbの化合物など本発明に記載の他の化合物の塩にも適用され、それらは塩の生成が可能であり、及び本発明の方法に採用することができ、又はそれらにより得られ、又はその塩の生成が丁度本発明の主題である。
【0035】
このような条件下で、>99%eeのエナンチオマ純度が、再結晶化などの繰り返しの追加の富化段階の必要なしで、本発明の方法に基づき式I、III及びIVの化合物の製造で達成される。
【0036】
式IIの出発化合物は公知であり、又は文献に記載された方法に基づき、又はそれに類似の方法で製造できる。例えば、K. El Abdioui et al., Bull. Soc. Chim. Belg. 1997,
106, 425 又は、P.M.T. Ferreira et al., J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 1999, 3697に記載の方法と類似の方法で合成できる式VIの化合物は、式IIaの化合物を得るために、式Vのアミンと、テトラヒドロフランなどのエーテル又はジイソプロピルエーテルなどの好適な溶媒中、好ましくは、リチウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド又は炭酸セシウムなどのアルカリ金属の炭酸塩などの塩基の存在下で、約−10℃〜約30℃の温度で反応できる。
【0038】
生成した式IIaの化合物は、式IIbの化合物へ、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ルビジウム(RbOH)又は水酸化セシウム(CsOH)、例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物により、水又はテトラヒドロフラン若しくはジオキサンなどのエーテル又は水及びエーテルの混合物などの好適な溶媒又は溶媒の混合物中で、約0℃〜約120℃の温度で、例えば、約20℃〜約80℃の温度で、又は約20℃〜約60℃の温度での処理により転換することができ、ここで、R4は、水素原子又はリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム又はセシウムなどのアルカリ金属であり、即ち、基R4−O−C(O)−は、カルボン酸基又はそのアルカリ金属塩である。反応時間は、一般的に、約0.5時間〜約8時間であり、反応混合物の組成及び選択される温度範囲に依存する。生成した式IIbの化合物は、その後、本発明に基づき製造された全ての化合物の単離に適用される標準的方法により、例えば、水性の後処理、場合により、硫酸などの酸の添加により、例えば、酢酸エチル 又はジクロロメタンなどの好適な溶媒による抽出により、又は結晶化により、反応混合物から単離される。
【0040】
式VI、V、IIa及びIIbの化合物において、
R1、R2及びR3は、式Iの化合物の通りに定義し;
R4は、水素原子又はアルカリ金属イオンであり;
R9は、(C
1−C
4)−アルキル又は−CH(R8)−アリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及びここで、R8は、水素原子又は (C
1−C
4)−アルキルであり;
R10及びR11は、互いに独立して、
水素原子であり;
又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここで、アリール残基は無置換であるか、又は互いに独立して、−NO
2、−O−(C
1−C
4)−アルキル、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、一回、二回又は三回置換され;
又は、−O−C(CH
3)
3;
又は、−O−CH(R7)−アリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及び、無置換であるか、又は互いに独立に、−NO
2、−O−CH
3、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、一回、二回又は三回置換され、及びここで、R7は、水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルである。式IIaの化合物の式IIbへの転換における、二つの異なった保護基の、即ち、窒素原子におけるアシル基R3−C(O)−及びR10−C(O)−の内の一つ及びカルボン酸基を保護するエステル機能R9OC(O)の同時開裂は、驚くべきことに、選択的手法で、副生成物の生成なしで進行し、その結果、式IIbの化合物を高収率で製造する。この新規で、高度に選択的なワンポット反応は、その結果、場合により工業生産に適する。
【0041】
本発明は、それ故、また、式IIbの化合物を得るための方法に関し、
【化8】
ここで、
R1、R2及びR3は、式Iの化合物の通りに定義し;
R4は、水素原子又はアルカリ金属イオンであり;
R11は水素原子であり;
又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここで、アリール残基は無置換であるか、又は互いに独立して、−NO
2、−O−(C
1−C
4)−アルキル、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、一回、二回又は三回置換され;
又は、−O−C(CH
3)
3であり;
又は、−O−CH(R7)−アリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及び、無置換でり、又は互いに独立に、−NO
2、−O−CH
3、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、一回、二回又は三回置換され、及びここで、R7は、水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
【0042】
ここで、式IIbの化合物を得るために、式IIaの化合物をアルカリ金属の水酸化物と反応させることを含み;
【化9】
ここで;
R1、R2及びR3は、式Iの化合物の通りに定義し;
R9は、(C
1−C
4)−アルキル又は−CH(R8)−アリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及びここで、R8は水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
R10は水素原子であり;、
又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここでアリール残基は、無置換であるか、又は互いに独立に、−NO
2、−O−(C
1−C
4)−アルキル、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、一回、二回又は三回置換され;
又は−O−C(CH
3)
3であり;
又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及び、無置換であるか、又は互いに独立に、−NO
2、−O−CH
3、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、一回、二回又は三回置換され、及びここで、R7は、水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルである。
【0043】
基R1、R2、R3及びR5に関する上記の説明は、対応して、式IIb及び式IIaの化合物及びその転換方法に適合する。式IIaの化合物の式IIbの化合物への転換に関する具体的な説明は既に上述した通りである。
【0044】
一実施態様において、本発明は式IIbの化合物を得るための方法に関し、
ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I又はBrであり;
R2は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、ここで、フェニ、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であるか、又はフッ素若しくは塩素で置換され;
R4は、水素原子であり;
R11は、フェニル、メチル又は−O−C(CH
3)
3であり;
ここで、式IIbの化合物を得るために、式IIaの化合物をアルカリ金属水酸化物と反応させることを含み、
ここで、
R1及びR2は、式IIbの化合物の通りに定義され;
R3及びR10は、互いに独立して、フェニル、メチル又は−O−C(CH
3)
3であり;
R9は、メチル又はエチルである。
【0045】
一実施態様において、式IIbの化合物など、上記及び下記で概略を示す本発明に基づく化合物及び方法における基R4は、水素原子又はナトリウムイオンであり、別の実施態様において、それは水素原子である。
【0046】
一実施態様において、式IIaの化合物など、上記及び下記で概略を示す本発明に基づく化合物及び方法における基R9は、(C
1−C
4)−アルキルであり、別の実施態様において、それは(C
1−C
3)−アルキルであり、別の実施態様において、それはメチル又はエチルであり、別の実施態様において、それはメチルである。
【0047】
一実施態様において、式IIaの化合物など、上記及び下記で概略を示す本発明に基づく化合物及び方法における基R10は、メチル、−O−C(CH
3)
3又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここで、R7は水素原子であり、及びアリールは、無置換フェニルであり、別の実施態様において、それは、−O−C(CH
3)
3又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは無置換フェニルであり、別の実施態様において、それはメチルであり、別の実施態様において、それは、−O−C(CH
3)
3であり、別の実施態様において、それは、−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは、無置換フェニルである。
【0048】
一実施態様において、式IIbの化合物など、上記及び下記で概略を示す本発明に基づく化合物及び方法における基R11は、メチル、−O−C(CH
3)
3又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは無置換フェニルであり、別の実施態様において、それは、−O−C(CH
3)
3又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは無置換フェニルであり、別の実施態様において、 それはメチルであり、別の実施態様において、それは、−O−C(CH
3)
3であり、別の実施態様において、 それは、−O−CH(R7)−アリールであり、ここでR7は水素原子であり、及びアリールは、無置換フェニルである。
【0049】
本発明の更なる態様は、式I、III及びIVそれ自身、また、本発明で更に提供されるそれらの塩の形体における、2,3−ジアミノプロピオン酸誘導体又は2,3−ジアミノプロパン酸誘導体である。用語「エナンチオマの混合物」は、本明細書において、特に、一つのエナンチオマがその反対のエナンチオマと比較して富化され、又は実質的に純粋な形体として存在し、及び、例えば、エナンチオマ過剰率eeが、一実施態様において、>90%であり、又は別の実施態様において、>95%であり、又は別の実施態様において、>98%であり、又は別の実施態様において、>99%であるとの意味として理解すべきである。
【0050】
その結果、本発明は、また、式Iの新規な化合物に関し、
【化10】
ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I、Br、(C
1−C
4)−アルキル又は−CNであり;
R2は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、1,2,3,5−オキサチアジアゾール2−オキシド、トリアゾロン、オキサジアゾロン、イソオキサゾロン、オキサジアゾリジンジオン、トリアゾール、3−ヒドロキシピロール−2,4−ジオン、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インドール、イソインドール、インダゾール、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン及びβ−カルボリンから成るシリーズから選択されるヘテロアリール残基であり、ここでヘテロアリール残基は、無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここでアリール残基は無置換であるか、又は
(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
R3は水素原子であり;
又は、(C
1−C
4)−アルキルであり;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここでアリール残基は無置換であるか、又は−NO
2、−O−(C
1−C
4)−アルキル、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択
される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
又は−O−C(CH
3)
3であり;
又は−O−CH(R7)−アリール、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及び無置換であるか、又は−NO
2、−O−CH
3、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され、及びここで、R7は、水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
但し、式Iの化合物は(S)−2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ジフェニルアミノ−プロピオン酸、即ち、R1が水素原子であり、R2が無置換フェニルであり、R3が−O−CH(R7)−アリールであり、ここでアリールは無置換フェニルであり、R7が水素原子であり、キラル炭素原子がS構成を有する式Iの化合物ではない。
【0051】
一実施態様において、本発明は式Iの新規化合物に関し、
ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I又はBrであり;
R2は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であるか、又はフッ素若しくは塩素で置換され;
R3は、フェニル、メチル又は−O−C(CH
3)
3である。
【0052】
本発明の別の態様は、式IIの新規化合物に関し、それは本発明に基づく式Iの化合物の製造のための出発物質であり、
【化11】
ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I、Br、(C
1−C
4)−アルキル又は−CNであり;
R2は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、1,2,3,5−オキサチアジアゾール2−オキシド、トリアゾロン、オキサジアゾロン、イソオキサゾロン、オキサジアゾリジンジオン、トリアゾール、3−ヒドロキシピロール−2,4−ジオン、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インドール、イソインドール、インダゾール、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン及びβ−カルボリンから成るシリーズから選択されるヘテロアリール残基であり、ここでヘテロアリール残基は無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここで、アリール残基は無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択さ
れる置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
R3は、水素原子であり;
又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
又はフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここでアリール残基は無置換であるか、又は、−NO
2、−O−(C
1−C
4)−アルキル、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
又は−O−C(CH
3)
3であり;
又は−O−CH(R7)−アリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及び無置換であるか、又は−NO
2、−O−CH
3、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され、及びここで、R7は、水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルである。
【0053】
一実施態様において、本発明は式IIの新規化合物に関し、
ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I又はBrであり;
R2は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であるか、又はフッ素若しくは塩素で置換され;
R3は、フェニル、メチル又は−O−C(CH
3)
3である。
【0054】
本発明は、更に、(S)−2−アミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸アミド(式IIIa)、又はその塩、及び(R)−2−アミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸アミド(式IIIb)、又はその塩、から成るシリーズから選択される式IIIの化合物に関する。一実施態様において、式IIIの化合物は、式IIIaの化合物、又はその塩であり、及び別の実施態様において、それは式IIIbの化合物、又はその塩である。
【0056】
本発明は、更に、式IVの新規化合物に関し、
【化13】
ここで、
R1は、水素原子、F、Cl、I、Br、(C
1−C
4)−アルキル又は−CNであり;
R2は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、テトラゾール、1,2,3,5−オキサチアジアゾール2−オキシド、トリアゾロン、オキサジアゾロン、イソオキサゾロン、オキサジアゾリジンジオン、トリアゾール、3−ヒドロキシピロール−2,4−ジオン、5−オキソ−1,2,4−チアジアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、インドール、イソインドール、インダゾール、フタラジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン及びβ−カルボリンから成るシリーズから選択されるヘテロアリール残基であり、ここで、ヘテロアリール残基は、無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
又はフェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここで、アリール残基は無置換であるか、又は(C
1−C
5)−アルキル、(C
1−C
5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−(C
1−C
4)−アルキル−、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル−、アミノカルボニル−及び(C
1−C
4)−アルコキシカルボニル−から成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
R3は、水素原子であり;
又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
又は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択されるアリール残基であり、ここでアリール残基は、無置換であるか、又は−NO
2、−O−(C
1−C
4)−アルキル、F、Cl及びBrから成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され;
又は、−O−C(CH
3)
3であり;
又は、−O−CH(R7)−アリールであり、ここで、アリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され、及び無置換であるか、又は−NO
2、−O−CH
3、F、Cl及びBr成るシリーズから選択される置換基で、互いに独立に、一回、二回又は三回置換され、及びここで、R7は、水素原子又は(C
1−C
4)−アルキルであり;
R5は、−NH
2、−N(H)−R6又は−N(R6)
2であり、ここで、R6は、(C
1−C
4)−アルキル又はアリールであり、ここでアリール残基は、フェニル、ナフチル、1−ナフチル、2−ナフチル、ビフェニリル、2−ビフェニリル、3−ビフェニリル、4−ビフェニリル、アントリル及びフルオレニルから成るシリーズから選択され;
【0057】
一実施態様において、本発明は式IVの新規化合物に関し、
ここで
R1は、水素原子、F、Cl、I又はBrであり;
R2は、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル及びチアゾリルは、無置換であるか、又はフッ素若しくは塩素で置換され;
R3は、フェニル、メチル又は−O−C(CH
3)
3であり;
R5は、−NH
2である。
【0058】
既に示した通り、基R1、R2、R3及びR5に関する上記の説明及び上記で定義した実施態様は、対応して、化合物それ自体が本発明の主題である式I、II、III及びIVの化合物に適用する。式I、II、III及びIVの化合物は、例えば、WO第01/30774号A1、WO第2004/022553号A1及びUS第2007/0142417号A1に記載のIkbキナーゼ阻害剤製造のための中間化合物として好適である。
【0059】
本発明は、以下の実施態様を参照してより詳細に示す。最終生成物は、一般的に、
1H−NMR(400MHz、DMSO−d
6中、特に指示しない限り)、質量分析、及び、場合により、キラルHPLC分析により特徴化される。温度データは、摂氏の温度で示されるRTは、室温(約22℃〜26℃)を意味する。使用するいかなる略号も、説明されるか、又は標準的な慣例に対応する。
【0060】
実施例1
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸の製造
工程1:
2−アニリノ−ピリミジン(71g、415mmol;T. Matsukawa et al., Yakugaku Zasshi 1951, 71, 933に準拠して製造)及びリチウムtert−ブトキシド(14g、175mmol)のテトラヒドロフラン(170ml)溶液を−5℃に冷却した。この温度で、2−[ビス「(tert−ブトキシカルボニル)]アミノ−プロパ−2−エン酸メチル(100g、332mmol;K. El Abdioui et al., Bull. Soc. Chim. Belg. 1997, 106, 425に準拠して製造)の テトラヒドロフラン (70 ml) 溶液を加え、混合物を、更に、−5℃で4時間撹拌し、その後、RTに暖めた。
工程2:
工程1で得られた反応混合物を、23%の水酸化ナトリウム溶液(290g、1.6mol)と混合し、そして還流下で7時間加熱した。テトラヒドロフランは蒸留して除去し、反応溶液をRTに冷却し、そしてメチルtert−ブチルエーテル(400ml)で抽出した。水相はイソプロパノール(260ml)で希釈し、そして、pH4に到達するまで2Nの硫酸を加えた。沈殿した固体を吸引ろ過し、乾燥して、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(82g、69%)をクリーム色の固体として得た。
C18H22N4O4,M=358.40g/mol;MS(ESI):m/z=359((M+1)
+,100%);
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ=12.60(bs,1H),8.36(d,J=4.8Hz,2H),7.42−7.36(m,2H),7.30−7.21(m,3H),7.05(t,J=8.3Hz,1H),6.76(t,J=4.8Hz,1H),4.48−4.30(m,2H),4.12−4.01(m,1H),1.31(s,9H)ppm;融点:165℃(分解)。
【0061】
実施例2
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(S)−1−フェニルエチル−アンモニウムの製造
工程1
実施例1の通りに製造した、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(120g、335 mmol)の酢酸n−ブチル(1000ml)中の懸濁液に、50℃で、(S)−1−フェニルエチル−アミン(38.5g,318mmol;99.7%:化学的純度;99.3%ee(エナンチオマ過剰率);BASF)を混合し、混合物は、この温度で、更に、2時間撹拌し、そしてその後、RTに冷却した。沈殿した固体を吸引ろ過し、そして乾燥してクリーム色の結晶性の粗生成物(83.9g)を得て、それは、直接、工程2において用いた。
工程2
工程1で得られた粗生成物(83.9g)を酢酸エチル(590ml)中で2時間還流下で加熱し、その後、5℃に冷却した。固体を吸引ろ過し、乾燥して、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(S)−1−フェニルエチル−アンモニウム(72.1g;45%;99.5%de(ジアステレオマ過剰率))を無色の固体として得た。
C26H33N5O4,M=479.58g/mol;
1H−NMR(400MHz,メタノール−d
4):δ=8.31(d,J=5.0Hz,2H),7.51−7.41(m,7H),7.39−7.30(m,3H),6.69(m,1H),4.55(m,1H),4.43(m,1H),4.40(q,J=7.0Hz,1H),4.18(m,1H),1.60(d,J=7.0Hz,3H),1.31(s,9H)ppm;融点:174℃。
【0062】
実施例3
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸の製造
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(S)−1−フェニルエチル−アンモニウム(37.2g、77.5mmol,99.5%:de)の水性イソプロパノール(50%強度、90ml)中の懸濁液を、1Nの硫酸(97ml、48.5mmol)と混合し、そしてRTで1時間撹拌した。固体を吸引ろ過して、乾燥し、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(26.5g、95%、>99.9%ee) を無色の固体として得た。
C18H22N4O4,M=358.40g/mol;MS(ESI):m/z=359((M+1)
+,100%);
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ=12.60(bs,1H),8.36(d,J=4.8Hz,2H),7.42−7.36(m,2H),7.30−7.21(m,3H),7.05(t,J=8.3Hz,1H),6.76(t,J=4.8Hz,1H),4.48−4.30(m,2H),4.12−4.01(m,1H),1.31(s,9H)ppm;HPLC(カラム:ChiralpakAD−H,250x4.6mm,n−ヘプタン+0.1%TFA:エタノール+0.1%TFA95:5,1ml/min,254nm):保持時間[min]=19.1(S),21.4(R)。
【0063】
実施例4
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸アミドの製造
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(11.9g,33.2mmol,>99.9%ee)のアセトニトリル(36ml)中の懸濁液を、1,1′−カルボニルジイミダゾール(8.36g,51.6mmol)のアセトニトリル(125ml)溶液と−15℃で混合し、そして反応混合物をこの温度で2時間撹拌した。その後、アンモニア(4.0g,222mmol)を導入し、混合物を、更に1時間撹拌し、そして、その後、2Nの硫酸を用いてpH4.5に調整した。アセトニトリルを蒸留して除去し、そして沈殿した固体を吸引ろ過し、乾燥して、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸アミド(11.3g、95%、>99.9% ee)を無色の固体として得た。
C18H23N5O3,M=357.42g/mol;MS(ESI):m/z=358((M+1)+,100%);
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ=8.41(d,J=5.0Hz,2H),7.50−7.43(m,2H),7.35−7.28(m,4H),7.17(s,1H),6.79(t,J=5.0Hz,1H),6.68(d,J=9.0Hz,1H),4.36(m,1H),4.23(m,1H),4.08(m,1H),1.31(s,9H)ppm;HPLC(カラム:ChiralpakAD−H,250x4.6mm,n−ヘプタン:エタノール80:20,1ml/min,254nm):保持時間[min]=7.2(S),9.2(R);融点:157℃(分解)。
【0064】
実施例5
(S)−2−アミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸アミドの製造
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸アミド(48.5g、136mmol、> 99.9%ee)を、40℃で、塩酸(16%強度、80ml)内に分割して導入し、そして得られた溶液を、この温度で1時間撹拌した。5℃に冷却した後、pHを、濃水酸化カリウム溶液を加えて10に調整した。沈殿した固体を吸引ろ過し、乾燥して、(S)−2−アミノ−3−(フェニル−ピリミジン−2−イルアミノ)−プロパン酸アミド(35.3g、80%収率、79%含量、99.8%ee)を無色の固体として得て、それは、更に、反応させるか、あるいは、希望通り、再度水溶液から結晶化した。
C13H15N5O,M=257.29g/mol;MS(ESI):m/z=258((M+1)+,100%);
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ=8.37(d,J=4.8Hz,2H),7.50−7.39(m,5H),7.28(t,J=7.3Hz,1H),7.06(bs,1H),6.73(t,J=4.8Hz,1H),4.30(dd,J=9.6及び14.4Hz,1H),3.92(dd,J=5.3及び14.3Hz,1H),3.43(dd,J=5.2及び9.5Hz,1H),1.83(bs,2H)ppm;HPLC(カラム:ChiralpakAS,250x4.6mm,エタノール+0.1%ジエチルアミン:メタノール+0.1%ジエチルアミン50:50,1ml/min,231nm):保持時間[min]=4.5(S),6.8(R);融点:139℃。
【0065】
実施例6
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸
工程1
2−アニリノ−ピリジン(3.40g,20.0mmol)及び炭酸セシウム(3.26g、10.0mmol)のジイソプロピルエーテル(12ml)中の懸濁液を、2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)]アミノ−プロパ−2−エン酸メチル(6.03g、20.0mmol)と混合し、そして還流下で23時間加熱した。懸濁液を熱ろ過し、そして得られた溶液を減圧下で蒸発させた。
工程2
工程1で得られた粗生成物をテトラヒドロフラン(30ml)に溶解し、32%強度の水酸化ナトリウム溶液(10ml)と混合し、4時間還流下で加熱した。得られた懸濁液を濾過し、そして得られた溶液を水と混合した。テトラヒドロフランを蒸留して除去し、水溶液をメチルtert−ブチルエーテルで抽出した。水相をイソプロパノール(30ml)で希釈し、そしてpH4に到達するまで、2Nの硫酸と混合した。沈殿した固体を吸引ろ過し、乾燥して、2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(2.25g、32%)をクリーム色の固体として得た。
C19H23N3O4,M=357.41g/mol;MS(ESI):m/z=358((M+1)
+,100%);
1H−NMR(400MHz,メタノール−d4):δ=8.17(m,1H),7.51−7.32(m,6H),6.73(t,J=6.1Hz,1H),6.39(m,1H),4.41(m,2H),4.28(m,1H),1.39(s,9H)ppm;融点140℃(分解)。
【0066】
実施例7
2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)]アミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸メチル
実施例6の工程1で得られた一定量の反応混合物を、ジイソプロピルエーテルで希釈し、そしてpH5に到達するまで、2Nの硫酸と混合し、乾燥して、2−[ビス(tert−ブトキシカルボニル)]アミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸メチルを黄色の固体として得た。
C25H33N3O6,M=471.56g/mol;MS(ESI):m/z=472((M+1)
+,100%);
1H−NMR(400MHz,DMSO−d
6):δ=8.17(d,J=3.9Hz,1H),7.45(m,2H),7.38(m,1H),7.30−7.20(m,3H),6.67(t,J=6.2Hz,1H),6.26(d,J=8.6Hz,1H),5.71(dd,J=4.3及び10.1Hz,1H),4.67(dd,J=4.3及び14.1Hz,1H),4.17(dd,J=10.3及び14.1Hz,1H),3.67(s,3H),1.20(s,18H)ppm;融点103℃。
【0067】
実施例8
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(S)−1−フェニルエチル−アンモニウム
工程1
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(6.80g、19.0mmol)のジイソプロピル エーテル(50ml)中の懸濁液を、60℃で、(S)−1−フェニルエチル−アミン(2.20g、18.2mmol)のジイソプロピルエーテル(10ml)溶液と混合した。混合物をこの温度で更に一時間撹拌し、その後、RTに冷却した。沈殿した固体を、吸引ろ過し、乾燥して、クリーム色の結晶性の粗生成物(3.50g)を得て、それは工程2で直接使用した。
工程2
工程1で得られた粗生成物(3.50g)は、ジイソプロピルエーテル(70ml)中、1時間還流下で加熱し、その後、RTに冷却した。固体を吸引ろ過し、乾燥して、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(S)−1−フェニルエチル−アンモニウム(2.40g、28%、99.5%de)を無色の固体として得た。
C27H34N4O4,M=478.6g/mol;
1H−NMR(400MHz,メタノール−d
4):δ=8.10(m,1H),7.50−7.25(m,11H),6.65(m,1H),6.38(m,1H),4.61(m,1H),4.40(q,J=7.1Hz,1H),4.30(m,1H),4.05(m,1H),1.61(d,J=7.1Hz,3H),1.30(s,9H)ppm;融点131℃〜136℃。
【0068】
実施例9
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸
(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(S)−1−フェニルエチル−アンモニウム (2.25g、4.69mmol、99.5%de)の水性イソプロパノール(50%強度、6ml)中の懸濁液を、1Nの硫酸(6ml、5.85mmol)と混合し、そしてRTで2時間撹拌した。固体を吸引ろ過し、乾燥して、(S)−2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)−プロパン酸(1.35g、81%、>99.9%ee)を無色の固体として得た。
C19H23N3O4,M=357.41g/mol;MS(ESI):m/z=358((M+1)
+,100%);
1H−NMR(400MHz,メタノール−d4):δ=8.17(m,1H),7.51−7.32(m,6H),6.73(t,J=6.1Hz,1H),6.39(m,1H),4.41(m,2H),4.28(m,1H),1.39(s,9H)ppm;HPLC(カラム:ChiralcelOD−H,250x4.6mm,n−ヘプタン+0.1%TFA:エタノール+0.1%TFA97:3,1.2ml/min,240nm):保持時間[min]=9.7(S),11.5(R);融点144℃(分解)。