(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6000364
(24)【登録日】2016年9月9日
(45)【発行日】2016年9月28日
(54)【発明の名称】新規な構造の電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/647 20140101AFI20160915BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20160915BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20160915BHJP
H01M 10/6555 20140101ALI20160915BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20160915BHJP
H01M 10/627 20140101ALI20160915BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20160915BHJP
【FI】
H01M10/647
H01M10/613
H01M2/10 Y
H01M10/6555
H01M10/625
H01M10/627
H01M10/6556
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-539890(P2014-539890)
(86)(22)【出願日】2013年1月22日
(65)【公表番号】特表2014-534597(P2014-534597A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】KR2013000497
(87)【国際公開番号】WO2013111959
(87)【国際公開日】20130801
【審査請求日】2014年5月1日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0007513
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ブム・ヒュン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ダル・モ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ソク・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジェミン・イ
【審査官】
猪瀬 隆広
(56)【参考文献】
【文献】
特表2009−529218(JP,A)
【文献】
特開2009−140714(JP,A)
【文献】
特開2009−283148(JP,A)
【文献】
特開2010−287487(JP,A)
【文献】
特表2009−510687(JP,A)
【文献】
特表2011−504286(JP,A)
【文献】
特表2011−503793(JP,A)
【文献】
特表2009−529216(JP,A)
【文献】
特表2009−529217(JP,A)
【文献】
特表2012−507829(JP,A)
【文献】
特開2010−218716(JP,A)
【文献】
特開2008−047371(JP,A)
【文献】
韓国特許第10−2008−0027504(KR,B1)
【文献】
国際公開第2007/078147(WO,A1)
【文献】
国際公開第2006/101342(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52−10/667
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な電池セルがモジュールケースに装着されている電池モジュールであって、
前記電池セルは、電極端子が位置していない側面方向に積層されてモジュールケースに装着されており、
前記モジュールケースは、一面以上が開放されたフレーム構造であって、電池セルの装着のための収納部を有しており、前記収納部には、電池セルの装着が可能であるとともに、電池セルと直接又は間接接触による熱伝導によって電池セルの放熱を可能にする放熱支持部材が装着され、
前記電池セルは、電極端子が一側端部又は両側対向端部に設けられている板状電池セルであり、
前記板状電池セルは、一つ以上の単位でセルケースに装着されて単位モジュールを構成しており、
前記セルケースは、内面が板状電池セルと直接接触し、外面がモジュールケースの放熱支持部材と直接接触する金属素材のカバーを備えていることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記板状電池セルは、金属層及び樹脂層を含むラミネートシートのパウチ形ケースに電
極組立体が内蔵されているパウチ形電池セルであることを特徴とする、請求項1に記載の
電池モジュール。
【請求項3】
前記セルケースは、一つ以上の板状電池セルが一面又は両面が開放された状態で装着されるカートリッジと、電極端子部位以外の電池セルを取り囲む形態でカートリッジに締結されるカバーと、を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記カートリッジは、電池セルの外周面を固定し、中央が開放されたフレーム構造になっていることを特徴とする、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記カバーの両側縁部は、カートリッジとの締結のために下方又は上方に折れ曲がった折り曲げ締結部を有しており、前記カバーの折り曲げ締結部とカートリッジとが組立締結方式で結合されることを特徴とする、請求項3に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記組立締結方式は、カバーの折り曲げ締結部に設けられている締結具又は締結溝と、折り曲げ締結部に対応してカートリッジに設けられている締結溝又は締結具によって達成されることを特徴とする、請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記単位モジュールは、直列連結された2つ以上の電池セルを含んでいることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記電池セルは、電極端子が両側対向端部に設けられている板状電池セルであり、電極端子がモジュールケースの前面及び後面に向かうように側面方向に積層されて電池セル積層体を構成しており、
前記モジュールケースの本体は、上面及び両側面が開放された状態で電池セル積層体の各側面角を支持するように上方に延びた側面支持部を有していることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記側面支持部には、電池セル積層体を固定し、他の電池モジュール又はデバイスとの締結のために、上下方向に外面に溝が設けられていることを特徴とする、請求項8に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記放熱支持部材は、上面が電池セル方向に露出され、下面が外部に露出されるようにモジュールケースの本体に装着されたことを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記放熱支持部材は、電池セルの装着のための凹凸構造の装着部を有していることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記放熱支持部材は、金属素材の板材であることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記放熱支持部材は、電池セル積層体の下端と両側面の少なくとも一部を取り囲むように両側縁部が上方に折れ曲がっていることを特徴とする、請求項12に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記電池モジュールは、放熱支持部材の下端に装着される空冷用又は水冷用熱交換部材をさらに備えており、充放電時に電池セルから発生した熱が前記放熱支持部材を経由して前記熱交換部材で熱伝導によって除去されることを特徴とする、請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項15】
請求項1による一つ以上の電池モジュールがパックケースに装着されていることを特徴とする電池パック。
【請求項16】
請求項15による電池パックを電源として備えることを特徴とするデバイス。
【請求項17】
前記デバイスは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、又は電力貯蔵装置であることを特徴とする、請求項16に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な構造の電池モジュールに関し、特に、充放電が可能な電池セルがモジュールケースに装着されている電池モジュールであって、これらの電池セルは、電極端子が位置していない側面方向に積層されてモジュールケースに装着されており、該モジュールケースは、一面以上が開放されたフレーム構造であって、電池セルの装着のための収納部を有しており、該収納部には電池セルの装着が可能であるとともに、電池セルと直接又は間接接触による熱電導によって電池セルの放熱を可能にする放熱支持部材を備えている電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、充放電可能な二次電池がワイヤレスモバイル機器のエネルギー源として広範囲に使用されている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリン車両、ディーゼル車両などにおける大気汚染などを解決するための方案として提示されている電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(Plug−In HEV)などの動力源としても注目を浴びている。
【0003】
小型のモバイルデバイスには1台当たりに1個又は2〜3個の電池セルが使用されるのに対し、自動車などの中大型デバイスには、高出力・大容量の必要性から、多数の電池セルを電気的に連結した中大型電池モジュールが使用されている。
【0004】
中大型電池モジュールは、可能な限り、小型・軽量に作製されるのが好ましい。そのため、高集積度に集積可能であり、且つ容量対重量比の小さい角形電池、パウチ形電池などが中大型電池モジュールの電池セル(単位電池)として主に使用されている。特に、アルミニウムラミネートシートなどを外装部材として使用するパウチ形電池は、軽量、低製造コスト、形態変形の容易さといった点から、最近、高い関心を集めている。
【0005】
図1には、従来の代表的なパウチ形電池の斜視図が模式的に示されている。
図1のパウチ形電池10は、2つの電極端子11,12が互いに対向して電池本体13の上端部と下端部にそれぞれ突出している構造になっている。外装材14は、上下2単位になっており、その内面に形成されている収納部に電極組立体(図示せず)を装着した状態で、相互接触部位である、両側面14a、上端部及び下端部14b,14cを貼り合わせることによって電池10が作られる。外装材14は、樹脂層/金属箔層/樹脂層のラミネート構造になっており、互いに接する両側面14a、上端部及び下端部14b、14cに熱と圧力を加えて、樹脂層を相互融着させることによって貼り付けることができ、場合によっては、接着剤を使って貼り付けることもできる。両側面14aは、上下外装材14の各樹脂層が互いに直接接するため、溶融によって均一な密封が可能である。これに対し、上端部14bと下端部14cには電極端子11,12が突出しているため、電極端子11,12の厚さ及び外装材14の素材との異質性を考慮し、電極端子11,12と外装材14との間にそれぞれフィルム状のシーリング部材16を挟んだ状態で熱融着させることによって、密封性の向上を図っている。
【0006】
一方、外装材14自体の機械的剛性が優れていないことから、安定した構造の電池モジュールを製造するために、一般に、電池セル(単位電池)をカートリッジなどのパックケースに装着して電池モジュールを製造している。しかし、中大型電池モジュールが装着される装置又は車両などは一般に限定した装着空間を有しているため、カートリッジのようなパックケースの使用によって電池モジュールの大きさが嵩む場合は、低い空間活用度といった問題点を招く。また、電池セルの低い機械的剛性は、充放電時に電池セルの反復的な膨脹及び収縮につながり、結果として熱融着部位が分離されることもある。
【0007】
一方、このような中大型電池モジュールを構成する電池セルは充放電可能な二次電池で構成されているため、高出力大容量の二次電池は充放電過程で多量の熱を発生させる。特に、上述した電池モジュールに広く使用されるパウチ形電池のラミネートシートは、熱伝導性の低い高分子物質で表面がコートされているため、電池セル全体の温度を効果的に下げることが難しい。
【0008】
充放電過程で発生した電池モジュールの熱が效果的に除去されないと、熱蓄積が生じ、電池モジュールの劣化を促進することになり、場合によっては、発火又は爆発につながることもある。そのため、高出力大容量の電池である車両用電池パックには、それに内蔵されている電池セルを冷却させる冷却システムが必要である。
【0009】
中大型電池パックに装着される電池モジュールは、一般に、多数の電池セルを高密集度に積層する方法で製造し、充放電時に発生した熱を除去できるように、隣接した電池セルを一定の間隔をおいて積層する。例えば、電池セル自体を別の部材無しで所定の間隔で離隔しつつ順次に積層したり、又は、機械的剛性の低い電池セルの場合は、それを1つ又は2つ以上の組合せでカートリッジなどに内蔵し、このカートリッジを複数個積層することによって電池モジュールを構成することができる。積層された電池セル又は電池モジュールの間には、蓄積される熱を效果的に除去できるように冷媒の流路を形成している。
【0010】
しかしながら、このような構造は、多数の電池セルに対応して多数の冷媒流路を確保しなければならず、電池モジュールの全体大きさが嵩むという問題がある。
【0011】
しかも、電池モジュールの大きさを考慮して、多数の電池セルを積層するほど相対的に狭い間隔の冷媒流路を形成することがあるが、その場合、冷却構造の設計が複雑になる問題点がある。すなわち、冷媒の流入口対比狭い間隔の冷媒流路は、高い圧力損失を招くため、冷媒の流入口及び排出口の形態及び位置などの設計に多くの制約が伴う。また、このような圧力損失を防止するためにファンをさらに取り付けることもあるが、電力消耗、ファン騒音、空間などといった設計上の制約が伴う。
【0012】
さらに、冷却構造の構成のために使われた部材の間に存在する熱伝導抵抗によって、設計した冷却効率性が得られないことも度々ある。
【0013】
そこで、高出力大容量の電力を提供するとともに、簡単でコンパクトな構造を有し、且つ寿命特性及び安全性に優れた電池モジュールが強く望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような従来技術の問題点、及び過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0015】
本発明の目的は、水冷又は空冷を用いた熱伝導によって熱を除去することによって、電池モジュール全体の大きさが嵩むことを抑えるとともに、全体温度を均一にして温度のばらつきを抑えることができる電池モジュールを提供することにある。
【0016】
本発明の他の目的は、電池モジュールの構成のために使用される部材の間に存在する熱伝導抵抗を最小化することによって、同一構造で冷却効率性を極大化することができる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このような目的を達成するための本発明に係る電池モジュールは、
充放電可能な電池セルがモジュールケースに装着されている電池モジュールであって、
前記電池セルは、電極端子が位置していない側面方向に積層されてモジュールケースに装着されており、
前記モジュールケースは、一面以上が開放されたフレーム構造であって、電池セルの装着のための収納部を有しており、該収納部には、電池セルの装着が可能であるとともに、電池セルと直接又は間接接触による熱電導によって電池セルの放熱を可能にする放熱支持部材が装着されている構造になっている。
【0018】
上述した通り、一般の電池モジュールは、冷媒流路の形成のために電池セルを所定の距離で離隔させた状態で積層して構成し、このような離隔した空間に空気を流動(空冷式)させて電池セルの過熱を防止しているが、充分の放熱効果は得られていない実情である。
【0019】
これに対し、本発明の電池モジュールは、特定の形状のモジュールケース及び放熱支持部材を備えているため、電池セル同士間に離隔空間を必要としないか、又は極めて小さい離隔空間を設けるだけでも、従来の冷却システムに比べてより高効率で電池セル積層体の冷却を行うことができる。その結果、電池モジュールの放熱効率性を極大化でき、高集積度に電池セルを積層することができる。
【0020】
本発明において、前記電池セルは、電極端子を一側端部又は両側対向端部に有することができる。また、前記電池セルは、好適には板状電池セルであって、電池モジュールの構成のために積層された時、全体大きさを最小化できるよう、薄い厚さと相対的に大きい幅及び長さを有する二次電池であればよい。
【0021】
このような二次電池の好適な例には、樹脂層と金属層を有するラミネートシートの電池ケースに正極/分離膜/負極構造の電極組立体が内蔵されており、前記電池ケースの両端から正極端子及び負極端子が突出している構造の二次電池が挙げられる。その具体例として、アルミニウムラミネートシートのパウチ形ケースに電極組立体が内蔵されている構造の二次電池が挙げられる。このような構造の二次電池を「パウチ形電池セル」と呼ぶこともできる。
【0022】
好適な一例において、前記板状電池セルは一つ以上の単位でセルケースに装着されて単位モジュールを構成しており、該セルケースは、内面が板状電池セルと直接接触し、外面の少なくとも一部がモジュールケースの放熱支持部材と直接接触する金属素材のカバーを備えることができる。
【0023】
前記単位モジュールは、好ましくは、直列連結された2つ以上の電池セルを含んでいればよい。
【0024】
前記金属素材のカバーは、前記電池セルから発生した熱を吸収して前記放熱支持部材に伝達できるような熱伝導率に優れている素材であれば特に制限されないが、好ましくは、アルミニウム素材のカバーであればよい。
【0025】
このような金属素材のカバーは、板状電池セルの側面部に直接接触するため、電池セルから発生した熱を迅速で效率的に伝導することができる。したがって、少なくとも一つの単位モジュールに含まれた電池セル間に離隔空間を必要とせず、従来のシステムに比べてより高効率で電池セル積層体の冷却を行うことができるため、電池モジュールの放熱効率性を極大化し、且つ高集積度で電池セルを積層することが可能になる。
【0026】
一方、前記カートリッジは、好ましくは、電池セルの外周面を固定し、中央が開放されたフレーム構造であり、前記カバーの両側縁部は、カートリッジとの締結のために下方又は上方に折れ曲がっている折り曲げ締結部を有しており、前記カバーの折り曲げ締結部とカートリッジとが組立締結方式で結合される構造であればよい。
【0027】
前記組立締結方式は、例えば、カバーの折り曲げ締結部に設けられている締結具又は締結溝と、折り曲げ締結部に対応してカートリッジに設けられている締結溝又は締結具によって達成することができる。
【0028】
このような組立締結方式は、追加的な締結用連結部材を必要としない方式である。連結部材の装着による追加的な空間及び連結部材の装着のための追加的な工程を必要としないため、電池モジュールのコンパクトな構造及び効率的な組立工程を達成することが可能になる。
【0029】
一方、前記電池セルの外装材自体の機械的剛性が優れていないため、安定した構造の電池モジュールを製造するには、前記モジュールケース本体及び/又はカートリッジを機械的剛性に優れた電気絶縁性素材で作ればよく、好ましくは、プラスチック素材で作ればよい。こうすると、カートリッジの内部に装着された電池セルを外部の機械的衝撃から保護すると同時に、電池セルが電池モジュールに安定して装着されるようにすることが可能になる。
【0030】
好ましくは、前記電池セルは、電極端子が両側対向端部に設けられている板状電池セルであって、電極端子がモジュールケースの前面及び後面に向かうように側面方向に積層されて電池セル積層体を構成する構造であればよく、前記モジュールケースの本体は、上面及び両側面が開放された状態で電池セル積層体の各側面角を支持するように上方に延びた側面支持部を有する構造であればよい。
【0031】
前記側面支持部には、電池セル積層体を固定し、他の電池モジュール又はデバイスとの締結のために、上下方向に外面に溝が設けられていればよい。
【0032】
モジュールケースの本体への放熱支持部材の結合関係は様々なものが可能である。
【0033】
一例として、前記放熱支持部材は、上面が電池セル方向に露出され、下面が外部に露出されるようにモジュールケースの本体にインサート射出成形された構造であってよい。
【0034】
他の例として、前記放熱支持部材とモジュールケース本体とが組立締結方式で結合される構造であってもよい。この組立締結方式の例には、締結突起と締結溝との結合構造、接着方式の結合構造などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
このような放熱支持部材は、電池セルから発生した熱を吸収して外部に放熱できる素材であれば特に制限されないが、好ましくは、金属素材の板材であればよい。
【0036】
前記放熱支持部材は、好ましくは、電池セルの装着のための凹凸構造の装着部を有する構造であればよい。
【0037】
一つの具体例において、前記インサート射出成形によって作られた放熱支持部材は、電池セルの装着のための凹凸構造の装着部を有しており、電池セル積層体の下端と両側面の少なくとも一部を取り囲むように両側縁部が上方に折れ曲がっており、この上方に折れ曲がった部分に絶縁性の側面支持部が設けられている構造になっているため、金属が持つ機械的剛性、高い熱伝導率及び導電性を得ることができるとともに、絶縁性部材の電気絶縁性、着色性、高い柔軟性及び加工性を達成することができる。
【0038】
また、インサート射出成形によって放熱支持部材が作製されるため、金属素材と絶縁素材との締結に必要な追加的な部材を必要としない。したがって、追加的な部材の装着による追加的な空間、及び追加的な部材の装着のための追加的な工程を必要とせず、電池モジュールの効率的な組立工程を達成することが可能になる。
【0039】
好適な一例において、前記電池モジュールは、放熱支持部材の下端に装着される空冷用又は水冷用熱交換部材をさらに備える構造であってもよく、この場合、充放電時に電池セルから発生した熱が放熱支持部材を経由して前記熱交換部材で熱伝導によって除去されるため、より優れた冷却特性を発揮することが可能になる。
【0040】
場合によっては、前記電池セルと前記モジュールケースとが結合する接触面又は空間に熱伝導媒介体を挟んでもよい。この場合、熱伝導媒介体は、熱伝導率に優れている熱伝導素材であれば特に制限されないが、好ましくは、放熱グリース(thermally conductive grease)、放熱エポキシ系接着剤(thermally conductive epoxy−based bond)、放熱シリコンパッド(thermally conductive silicone pad)、放熱接着テープ(thermally conductive adhesive tape)及び黒鉛シート(graphite sheet)からなる群から選ばれる1種以上である。
【0041】
本発明はまた、一つ以上の前記電池モジュールがパックケースに装着されている電池パック、及びこの電池パックを電源として備えるデバイスを提供することができる。このデバイスは、具体的に、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、又は電力貯蔵装置であってよい。
【0042】
このようなデバイスの構造及び作製方法は当業界に公知のものであり、本明細書ではその詳細な説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】
図1は、本発明に係る単位モジュールを構成する電池セルの斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る単位モジュールを構成する1対の電池セルを折り曲げる過程を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明に係る単位モジュールを構成する1対の電池セルを折り曲げる過程を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明に係るセルケースの分解図である。
【
図5】
図5は、本発明に係るセルケースの分解図である。
【
図6】
図6は、本発明に係るセルケースの斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明に係る放熱支持部材の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明に係る電池モジュールの斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明に係る電池モジュールに熱交換部材が装着された様子を示す側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、図面を参照しつつ本発明についてより詳しく説明するが、これに本発明の範疇が限定されるものではない。
【0045】
図1は、本発明に係る単位モジュールを構成する電池セルの一例を示す斜視図である。
【0046】
図1を参照すると、板状のパウチ形電池10は、2つの電極端子11,12が電池本体13の両側端部に互いに対向してそれぞれ突設されている。
【0047】
外装材14は、樹脂層/金属箔層/樹脂層のラミネート構造になっているラミネートシートである。また、外装材14によって作製されたパウチ形ケースの内部に電極組立体(図示せず)が組み込まれている。
【0048】
図2及び
図3は、本発明の一実施例に係る単位モジュールを構成する1対の電池セルを折り曲げる過程を示す斜視図である。
【0049】
図2及び
図3を参照すると、2つのパウチ形電池セル10,20をその電極端子12,21が連続して互いに隣接するように長さ方向に直列に並べた状態で、電極端子12,21を溶接して相互結合(30)させた後、2つの単位に電池セル10,20を重なるように折り曲げる。場合によっては、電池セル10,20の電極端子12,21を重なるように折り曲げた状態で溶接して相互結合(30)させてもよい。
【0050】
図4及び
図5は、本発明の一実施例に係るセルケースの分解図であり、
図6は、
図5に示したセルケースの斜視図である。
【0051】
図4及び
図5を参照すると、セルケース400は、カートリッジ300及びカバー200からなり、2個の板状の電池セル10,20がセルケース400に装着されて1個の単位モジュール100を構成している。具体的に、セルケース400は、2個の板状電池セル10,20がその両面が開放された状態で装着されるカートリッジ300と、電極端子部位30,40を除く電池セル10,20を取り囲む形態でカートリッジ300に締結されるカバー200と、を備えている。
【0052】
カートリッジ300は、電池セル10,20の外周面を固定し、中央が開放されているフレーム構造320であり、プラスチックのような電気絶縁性の素材で作られている。
【0053】
カバー200は、内面が板状電池セル10と直接接触し、外面が放熱支持部材500と直接接触する板材構造物であり、金属素材で作られている。
【0054】
カバー200の両側縁部は、カートリッジ300との締結のために下方に折り曲がっている(221)折り曲げ締結部220を含んでおり、カートリッジカバー200の折り曲げ締結部220とカートリッジ300とは組立締結方式で結合される。
【0055】
このような組立締結方式は、カバー200の折り曲げ締結部220に対応してカートリッジ300に設けられている締結溝321によって達成される。
【0056】
図7は、本発明の一実施例に係る放熱支持部材を示す図であり、
図8は、本発明の一実施例に係る電池モジュールの斜視図であり、
図9は、
図8の部分拡大図である。
【0057】
図7乃至
図9を参照すると、単位モジュール401,402,403,404,405,406,407は側面方向に積層されて、アルミニウム素材の放熱支持部材500の凹凸構造510,520からなる装着部510に装着されている。
【0058】
電池モジュール700は、上面及び両側面が開放された状態で、単位モジュール401,402,403,404,405,406,407の側面角を支持するように上方に延びた側面支持部540を有しており、各側面支持部540には、単位モジュール401,402,403,404,405,406,407を固定し、他の電池モジュール又はデバイスとの締結のために、上下方向に外面に溝541が設けられている。
【0059】
放熱支持部材500は、単位モジュール401,402,403,404,405,406,407の下端と両側面の一部を取り囲むように両側縁部530が上方に折れ曲がっている。
【0060】
図10は、本発明に係る電池モジュールに熱交換部材が装着された様子を示す側面模式図であり、
図11は、
図10の部分拡大図である。
【0061】
図10及び
図11を参照すると、電池モジュール700において放熱支持部材500の下端には水冷用熱交換部材600が装着されており、充放電時に電池セル10,20から発生した熱は、放熱支持部材500を経由して熱交換部材600で熱伝導によって除去される。
【0062】
具体的に、冷媒(図示せず)は、熱交換部材600の冷媒流入口601から流入(610)し、流入した冷媒の流れ630は、放熱支持部材500を経由して伝導された熱を吸収(640)するようになり、熱を吸収した冷媒は、熱交換部材600の冷媒排出口602から排出(620)される。
【0063】
放熱支持部材500と単位モジュール401,402,403,404,405,406,407とが結合する接触面220又は空間540には、場合によって、熱伝導媒体540を挟持してもよい。
【0064】
以上、本発明の実施例に係る図面を参照して説明してきたが、本発明の属する分野における通常の知識を有する者にとっては、上記の内容に基づき、本発明の範疇内で様々な応用及び変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明した通り、本発明に係る電池モジュールは、特定の形状のモジュールケースと放熱支持部材を備えることによって、電池モジュールの大きさが嵩むことを最小限に抑えるとともに、電池セルから発生した熱を效果的に外部に放出することが可能になる。
【符号の説明】
【0066】
10 単位セル
11 電極端子
12 電極端子
13 電池本体
14 外装材
14a 側面
14b 上端部
14c 下端部
16 シーリング材
20 単位セル
21 電極端子
22 電極端子
30 相互結合
40 電極端子部位
200 カバー
220 折り曲げ締結部
221 折り曲がり部
300 カートリッジ
320 フレーム構造
321 締結溝
400 セルケース
401 単位モジュール
402 単位モジュール
403 単位モジュール
404 単位モジュール
405 単位モジュール
406 単位モジュール
500 放熱支持部材
510 装着部
520 凹凸構造
530 側縁部
540 側面支持部
541 溝
600 水冷用熱交換部材
601 冷媒流入口
602 冷媒排出口
630 冷媒の流れ