(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0015】
実施形態を説明する前に、基礎となる予備的事項について説明する。予備的事項では、一枚の下側基板の平面上に複数の上側基板をはんだ接合で順次接続する場合の問題点について説明する。
【0016】
予備的事項に係る電子部品搭載装置は、
図1(a)に示すように、ステージ100と搭載ヘッド200とを備えている。ステージ100には、鉄―クロムーアルミニウム系又はニッケルークロム系などの電熱線120が巻かれて配置されており、電熱線120に電流を流すことにより抵抗加熱によって発熱する。これにより、ステージ100の全体が一体的に加熱されて、その上に配置されるワークを所要の温度で加熱することができる。
【0017】
また、搭載ヘッド200にも同様な電熱線220が設けられており、搭載ヘッド200に吸着されるワークを所要の温度で加熱することができる。
【0018】
そして、
図1(b)に示すように、ステージ100の上に下側基板300を配置し、電熱線120に電流を流して下側基板300を加熱する。このとき、下側基板300の加熱温度は、はんだがリフローしない程度の200℃以下に設定される。
【0019】
後述するように、下側基板300の平面上に複数の上側基板がリフローはんだ付けによって順次接続されるため、実装済の最初の上側基板のはんだ電極が再リフローしないようにするためである。
【0020】
次いで、
図1(c)に示すように、一方の面にはんだ電極420を備えた第1上側基板400の他方の面を搭載ヘッド200に吸着させる。さらに、下側基板300の上にフラックス(不図示)を塗布すると共に、第1上側基板400のはんだ電極420にフラックス(不図示)を付着させる。
【0021】
続いて、
図2(a)に示すように、第1上側基板400のはんだ電極420が下側基板300の接続電極(不図示)上に配置されるように位置合わせを行い、搭載ヘッド200を下側基板300上に押圧して配置する。
【0022】
次いで、搭載ヘッド200の電熱線220に電流を流して第1上側基板400を280℃程度で加熱することにより、第1上側基板400のはんだ電極420をリフローさせる。
【0023】
その後に、搭載ヘッド200の電熱線220に流していた電流を切り、第1上側基板400を搭載ヘッド200で押圧した状態で、自然放熱によって第1上側基板400を200℃以下の温度になるまで冷却する。
【0024】
これにより、第1上側基板400がはんだ電極420を介して下側基板300の接続電極(不図示)に電気的に接続される。
【0025】
その後に、
図2(b)に示すように、搭載ヘッド200を上側に持ち上げて
第1上側基板
400から分離する。次いで、
図2(c)に示すように、同様な方法で、搭載ヘッド200に吸着させた第2上側基板400aを下側基板300の上に配置し、搭載ヘッド200の電熱線220に電流を流して280℃程度の温度でリフロー加熱を行う。これにより、第2上側基板400aがはんだ電極420を介して下側基板300の接続電極(不図示)に接続される。
【0026】
このとき、実装済の第1上側基板400のはんだ電極420が再リフローしないように、ステージ100の温度は200℃以下に設定されている。実装済の第1上側基板400のはんだ電極420が再リフローすると、接合部で剥離が発生することがあり、電気接続の十分な信頼性が得られなくなるからである。
【0027】
以上のように、第1、第2上側基板400,400aを下側基板300に接続する際に、下側基板300の温度が200℃以下に設定され、上側基板400の温度が280℃程度に設定される。
【0028】
このように、リフロー加熱する際には、下側基板300と第1、第2上側基板400,400aとの間でかなりの温度差が発生した状態となる。このため、下側基板300と第1、第2上側基板400,400aとの間で熱膨張の差によって強い熱応力が発生し、基板に反りが発生しやすく、電気接続の十分な信頼性が得られない問題がある。
【0029】
また、搭載ヘッド200は、電熱線220に連続して電流を流して加熱を行うため、所定の加熱温度まで昇温し、温度を制御する際に時間がかかる。また、第1、第2上側基板400,400aを自然放熱で冷却するため、はんだを硬化させる際にも時間がかかる。このため、製造に係るタクト時間が長くかかり、生産効率が低いという課題がある。
【0030】
以下に説明する実施形態の電子部品搭載装置を使用することにより、前述した不具合を解消することができる。
【0031】
(実施形態)
図3〜
図5は実施形態の電子部品搭載装置を説明するための図、
図6〜
図17は実施形態の電子装置の製造方法を示す断面図である。
【0032】
図3(a)の断面図に示すように、実施形態の電子部品搭載装置1は、底部筐体10a、側壁筐体10b及び天井筐体10cを有する筐体10を備え、これによって処理室CHが形成されている。
【0033】
図3(b)の平面図を同時に参照すると、処理室CHの底部筐体10aの上に支持部材12が配置されており、支持部材12の上にステージ20が設けられている。ステージ20は、第1ステージ部20a、第2ステージ部20b及び第3ステージ部20cを備えている。
【0034】
第1〜第3ステージ部20a〜20cは分割された状態で接合されていてもよいし、繋がっていてもよく、ステージ20に複数のステージ部が画定されていればよい。また、複数のステージ部の個数は任意に設定することができる。ステージ20は駆動装置(不図示)に接続されており、支持部材12上で水平方向に移動することができる。
【0035】
さらに、電子部品搭載装置1は、天井筐体10cにフラックス転写用ヘッド30と搭載ヘッド40とを備えている。フラックス転写用ヘッド30及び搭載ヘッド40の各先端面にはワークを真空吸着で固定するための多数の吸引口(不図示)がそれぞれ形成されている。フラックス転写用ヘッド30及び搭載ヘッド40は、駆動装置(不図示)にそれぞれ接続されており、垂直方向に移動することができる。
【0036】
また、電子部品搭載装置1は、ステージ20の横方向の支持部材12の上にはフラックス32aが入ったフラックステーブル32を備えている。フラックステーブル32は、駆動装置(不図示)に接続されており、支持部材12上で水平方向に移動することができる。
【0037】
さらに、電子部品搭載装置1は、天井筐体10cに第1アライメントカメラ34を備え、支持部材12の上に第2アライメントカメラ36を備えている。第1アライメントカメラ34によって、ステージ20の上に配置されるワークの第1位置合わせマークが撮像される。
【0038】
また、第2アライメントカメラ36によって、フラックス転写用ヘッド30及び搭載ヘッド40に固定されるワークの第2位置合わせマークが撮像される。第2アライメントカメラ36は、駆動装置(不図示)に接続されており、支持部材12上で水平方向に移動することができる。
【0039】
このようにして、ステージ20上のワークの第1位置合わせマークとフラックス転写用ヘッド30又は搭載ヘッド40に固定されるワークの第2位置合わせマークとを撮像することに基づいて、位置合わせを行ってステージ20の座標を決定する。
【0040】
次に、
図3(a)及び(b)の電子部品搭載装置1のステージ20及び搭載ヘッド40についてさらに詳しく説明する。
図4(a)には、
図3(a)のステージ20が拡大されて描かれている。
図4(a)に示すように、ステージ20の第1ステージ部20aには、第1パルスヒータ22aが設けられており、第1パルスヒータ22aは第1配線経路W1によってパルス電源25に接続されている。
【0041】
また、同様に、ステージ20の第2ステージ部20bには、第2パルスヒータ22bが設けられており、第2パルスヒータ22bは第2配線経路W2によってパルス電源25に接続されている。さらに、同様に、ステージ20の第3ステージ部20cには、第3パルスヒータ22cが設けられており、第3パルスヒータ22cは第3配線経路W3によってパルス電源25に接続されている。
【0042】
図4(b)に示すように、第1パルスヒータ22aは、平板状の電熱板24が熱伝導度の高いセラミックス部26で被覆された構造を有し、電熱板24に第1配線経路W1が接続されている。
【0043】
第1パルスヒータ22aの電熱板24は、抵抗値が高く発熱しやすいタングステン又はモリブデンなどの金属から形成される。第2、第3ステージ部20b,20cの第2、第3パルスヒータ22b,22cにおいても、第1ステージ部20aの第1パルスヒータ22aと同一の構造を有する。
【0044】
第1〜第3ステージ部20a〜20cに設けられた第1〜第3パルスヒータ22a〜22cは、独立して制御することが可能である。これにより、第1〜第3ステージ部20a〜20cのうち、いずれかを部分的に加熱することができる。あるいは、第1〜第3ステージ部20a〜20cのうちの2つ以上を同時に加熱できることはもちろんである。
【0045】
パルス電源25から電熱板24にパルス電流を供給することにより、すばやく設定温度に昇温できると共に、精密な温度制御が可能になる。
【0046】
図4(a)の例では、第1ステージ部20aに一つの第1パルスヒータ22aが設けられているが、第1ステージ部20aの領域内に複数のパルスヒータを分割して配置してもよい。
【0047】
これにより、第1ステージ部20aの平面領域内において、所望の領域を部分的に加熱することも可能になる。第2、第3ステージ部20b,20cにおいても、同様に、その平面領域でパルスヒータを分割して配置してもよい。
【0048】
また、第1ステージ部20aの表面には複数の溝部23aが形成されており、その底部に空気供給経路23bが連通して形成されている。第1ステージ部20aの下面には空気供給経路23bの入口Eが設けられている。空気供給経路23bは一つの入口Eから分岐されて配置されている。
【0049】
第2、第3ステージ部20b,20cにおいても、第1ステージ部20aと同様に、溝部23a及びその底部に連通する空気供給経路23bが形成されている。
【0050】
また、第1〜第3ステージ部20a〜20cの上には伝熱シート28が形成されている。伝熱シート28としては、高い熱伝導率を有する窒化アルミニウム(AlN)などが使用される。
【0051】
そして、第1ステージ部20aの下面の空気供給経路23bの入口Eから空気供給経路23bを通って溝部23aに冷却用の圧縮空気が供給される。溝部23aに供給された圧縮空気によって伝熱シート28を介してワークが冷却される。冷却用の圧縮空気は、第1ステージ部20aの表面と伝熱シート28との隙間から外部に放出される。
【0052】
このように、実施形態の電子部品搭載装置1は、第1〜第3ステージ部20a〜20cは第1〜第3パルスヒータ22a〜22cをそれぞれ独立して備えており、ワークに対して高速昇温を行うことができる。
【0053】
また、ステージ20の第1〜第3ステージ部20a〜20cは、圧縮空気を供給して冷却するための空気供給経路23b及びそれに連通する溝部23aをそれぞれ独立して備えており、ワークに対して高速冷却を行うことができる。
【0054】
例えば、第1ステージ部20aを100℃に設定しておき、250℃に昇温する場合は10秒程度で行うことができる。また、逆に、第1ステージ部20aを250℃から100℃まで降温する場合は20秒程度で行うことができる。
【0055】
図5には、
図3(a)の搭載ヘッド40が拡大されて描かれている。
図5に示すように、搭載ヘッド40にも同様なパルスヒータ22xが備えられており、パルスヒータ22xは配線経路Wによってパルス電源25に接続されている。また、搭載ヘッド40の先端面には、AlNなどから形成される伝熱シート28aが形成されている。
【0056】
なお、前述したフラックス転写用ヘッド
30については、フラックスを転写する際には加熱を行わないため、パルスヒータを設ける必要はない。
【0057】
次に、本実施形態の電子部品搭載装置1を使用して下側電子部品に複数の上側電子部品をはんだ接合によって順次接続する方法について説明する。
【0058】
図6に示すように、まず、下側電子部品2を用意する。下側電子部品2は配線基板50の上に半導体チップ60が実装された構造を有する。配線基板50では、絶縁基板52にその厚み方向に貫通する貫通電極TEが形成されている。絶縁基板52は、ポリイミドフィルムなどから形成されるフレキシブル基板であってもよいし、ガラスエポキシ樹脂などからなるリジッド基板であってもよい。
【0059】
絶縁基板52の両面側には貫通電極TEを介して相互接続される配線層がそれぞれ形成されており、配線層の接続電極CEが図示されている。接続電極CEの一例としては、
図6の部分拡大断面図に示すように、金(Au)層54の上にめっきによってはんだ層56が形成された積層構造が採用される。
【0060】
そして、配線基板50の上面側の接続電極CEに半導体チップ60のバンプ電極62がフリップチップ接続されている。さらに、半導体チップ60の下側の隙間にアンダーフィル樹脂64が充填されている。
【0061】
次いで、
図7に示すように、前述した電子部品搭載装置1のステージ20上の伝熱シート28の上に、
図6の下側電子部品2を配置する。下側電子部品2は第1〜第3ステージ部20a〜20cを跨いで配置される、このとき、第1〜第3ステージ部20a〜20cのパルスヒータ22a〜22cは、はんだがリフローしない温度、例えば100℃程度に設定されている。
【0062】
続いて、
図8に示すように、
図3(a)の電子部品搭載装置1のフラックス転写用ヘッド30に第1上側電子部品3aを真空吸着によって固定する。第1上側電子部品3aでは、絶縁基板70の両面側に形成された配線層72が貫通電極TEを介して相互接続されている。そして、絶縁基板70の下面側の配線層72の接続部にバンプ状のはんだ電極SEが形成されている。
【0063】
フラックス転写用ヘッド30に第1上側電子部品3aのはんだ電極SEが設けられた面と反対面が固定される。
【0064】
次いで、第1上側電子部品3aのはんだ電極SEから下側電子部品2の接続電極CEにフラックスを転写するための位置合わせを行う。まず、
図3(a)の第1アライメントカメラ34により、第1ステージ部20a上の下側電子部品2の位置合わせマークを撮像する。また、
図3(a)の第2アライメントカメラ36により、フラックス転写用ヘッド30に固定された第1上側電子部品3aの位置合わせマークを撮像する。
【0065】
これに基づいて、下側電子部品2と第1上側電子部品3aとの位置合わせされた座標が求められてステージ20がその位置に配置される。
【0066】
次いで、
図9(a)に示すように、
図3(a)のフラックステーブル32を水平方向に移動させ、フラックス転写用ヘッド30に固定された第1上側電子部品3aのはんだ電極SEをフラックステーブル32内のフラックス32aに押しつける。これにより、
図9(b)に示すように、フラックス転写用ヘッド30を引き上げると、第1上側電子部品3aのはんだ電極SEにフラックス32aが転写される。
【0067】
続いて、
図10に示すように、フラックス転写用ヘッド30に固定された第1上側電子部品3aのはんだ電極SEを第1ステージ部20a上の下側電子部品2の接続電極CEに押圧して配置する。
【0068】
その後に、
図11に示すように、フラックス転写用ヘッド30を引き上げると、第1上側電子部品3aのはんだ電極SEに付着したフラックス32aが下側電子部品2の接続電極CEに転写される。
【0069】
このようにして、第1上側電子部品3aのはんだ電極SE及び下側電子部品2の接続電極CEにフラックス32aを付着させる。
【0070】
フラックス32aは、120℃〜150℃程度の温度で加熱されると蒸発する特性を有する。このため、本実施形態では、加熱手段をもたないフラックス転写用ヘッド30を使用することにより、フラックス32が蒸発することなく、第1上側電子部品3aのはんだ電極SE及び下側電子部品2の接続電極CEに安定してフラックス32aを付着させることができる。
【0071】
なお、電子部品搭載装置1は、必ずしもフラックス転写ヘッド30を備えている必要はなく、スプレー塗布などの他の方法でフラックスを形成することも可能である。
【0072】
次いで、
図12に示すように、第1上側電子部品3aからフラックス転写用ヘッド30を分離し、搭載ヘッド40の伝熱シート28a上に第1上側電子部品3aを真空吸着によって固定する。この時点では、第1上側電子部品3aのはんだ電極SEに付着したフラックス32aが蒸発しないように、搭載ヘッド40のパルスヒータ22xの温度を100℃程度に設定しておく。
【0073】
さらに、下側電子部品2と第1上側電子部品3aとを接合するための位置合わせを行う。
図3(a)の第1アライメントカメラ34により第1ステージ部20a上の下側電子部品2の位置合わせマークを撮像する。また、
図3(a)の第2アライメントカメラ36により第1上側電子部品3aの位置合わせマークを撮像する。これに基づいて、ステージ20が位置合わされた座標の位置に配置される。
【0074】
次いで、
図13に示すように、搭載ヘッド40に固定された第1上側電子部品3aを第1ステージ部20a上の下側電子部品2に押圧して配置する。これにより、第1上側電子部品3aのはんだ電極SEが下側電子部品2の接続電極CEに配置される。さらに、搭載ヘッド40のパルスヒータ22xの温度を250℃程度まで上昇させる。
【0075】
これと同時に、第1ステージ部20aの第1パルスヒータ22aの温度を100℃から250℃程度まで上昇させる。パルスヒータを使用することにより、10秒程度で100℃から250℃に高速昇温することができる。
【0076】
このようにして、第1ステージ部20a上の下側電子部品2と第1上側電子部品3aとが同じリフロー温度で加熱される。はんだをリフローさせる際に上昇させる温度、例えば250℃程度を便宜上、第1の温度とする。
【0077】
ここで、本実施形態のリフロー温度が前述した予備的事項の方法のリフロー温度よりも低く設定できる理由について説明する。例えば、予備的事項の方法のリフロー温度は280℃であり、本実施形態のリフロー温度はそれより低い250℃に設定されている。
【0078】
前述した予備的事項の
図2(a)の工程では、搭載ヘッド200に固定された第1上側基板400をリフロー加熱によって下側基板300に接続する際に、ステージ100の温度は、はんだが再リフローしない低い温度、例えば200℃以下に設定されている。つまり、ステージ100の温度は、第1上側基板400のはんだ電極420の溶融温度よりも低く設定される。
【0079】
このため、搭載ヘッド200の電熱線220から発生する熱がステージ100側に吸収されてしまうため、搭載ヘッド200の設定温度をはんだ電極420の溶融温度に対して余分に高い温度、例えば280℃に設定する必要がある。
【0080】
これに対して、本実施形態の
図4の電子部品搭載装置1では、搭載ヘッド40のパルスヒータ22xと第1ステージ部20aの第1パルスヒータ22aとによって上下側から同じ加熱温度で加熱することができる。
【0081】
従って、搭載ヘッド40に固定された第1上側電子部品3aをリフロー加熱によって下側電子部品2に接続する際に、搭載ヘッド40と第1ステージ部20aとの間で熱の吸収が発生しない。このため、予備的事項と違って、リフロー温度をはんだの溶融温度に対して余分に高い温度に設定する必要がない。これより、第1上側電子部品3a及び下側電子部品2を、はんだ電極SEの溶融温度付近、例えば250℃の加熱温度に設定することで接合することができる。
【0082】
その結果、予備的事項の方法よりも電子部品への熱負荷が少なくなり、電子部品の信頼性を向上させることができる。また、予備的事項の方法よりも設定温度を低くできるので、昇温降温時間を短縮することができ、生産能力を向上させることができる。
【0083】
このようにして、第1上側電子部品3aのはんだ電極SEと下側電子部品2の接続電極CEのはんだ層56(
図6)がリフローする。フラックス転写ヘッド30を使用することにより、第1上側電子部品3aのはんだ電極SE及び下側電子部品2の接続電極CEにフラックス32aを安定して付着させることができる。
【0084】
これにより、接合金属表面に生成された酸化膜を除去して接合しやすくすると共に、はんだの接合金属表面への濡れ性が促進され、安定してはんだ付けを行うことができる。
【0085】
さらに、搭載ヘッド40のパルスヒータ22x及び第1ステージ部20aの第1パルスヒータ22aに流していた電流を切り、第1上側電子部品3aを搭載ヘッド40で押圧した状態とする。
【0086】
この状態で、第1ステージ部20aの空気供給経路23bの入口Eから圧縮空気を溝部23aに供給し、伝熱シート28を介して第1ステージ部20a上の下側電子部品2を100℃以下になるように冷却する。圧縮空気によって冷却するので、20秒程度で250℃から100℃に高速降温することができる。
【0087】
第1の温度、例えば250℃より低く、はんだがリフローしない温度、例えば100℃を便宜上、第2の温度とする。リフロー加熱が行われる第1ステージ部20aが第1の温度、例えば250℃程度に設定されるとき、第2ステージ部20b及び第3ステージ部20cが第2の温度、例えば100℃程度に設定される。
【0088】
これにより、
図14に示すように、下側電子部品2と第1上側電子部品3aとの間のはんだが硬化し、両者がはんだ電極SEを介して電気的に接続される。
【0089】
このようにすることにより、下側電子部品2と第1上側電子部品3aとはリフロー加熱する際に同じ温度で加熱されるため、熱膨張の差による熱応力が発生しにくくなり、下側電子部品2に反りが発生することが防止される。これにより、下側電子部品2と第1上側電子部品3aとがはんだ電極SEを介して信頼性よく電気的に接続される。
【0090】
また、下側電子部品2を第1ステージ部20aの第1パルスヒータ22aで加熱し、第1上側電子部品3aを搭載ヘッド40のパルスヒータ22xで加熱しているため、高速で昇温できると共に、高精度で温度制御することができる。
【0091】
また、下側電子部品2を冷却してはんだを硬化させる際には、圧縮空気によって高速で冷却することができる。
【0092】
以上のことから、昇温及び降温する際の時間が短縮されるので、製造に係るタクト時間が短くなり、生産効率を向上させることができる。
【0093】
第1上側電子部品3aのはんだ電極SEとしては、好適には鉛フリーはんだが使用され、錫(Sn)−銀(Ag)系のはんだ、錫−銀−銅系のはんだ、錫(Sn)−アンチモン(Sb)系はんだなどが使用される。例えば、錫(Sn)−銀(Ag)系のはんだから形成される場合は、リフロー温度として、その融点である221℃より20℃〜50℃ほど高い温度に設定される。
【0094】
なお、好適な形態として、第1〜第3ステージ部20a〜20cが第1〜第3パルスヒータ22a〜22cを備えているが、生産効率を重視しない場合は、予備的事項で説明した一般的な電熱線を使用するヒータを使用することも可能である。
【0095】
次いで、
図15に示すように、同様な方法により、搭載ヘッド40に第2上側電子部品3bを固定し、第2ステージ部20b上の下側電子部品2に対して位置合わせを行う。さらに、搭載ヘッド40に固定した第2上側電子部品3bのはんだ電極SEを第2ステージ部20b上の下側電子部品2の接続電極CEの上に配置する。
【0096】
さらに、同様な方法により、第2ステージ部20bの第2パルスヒータ22bを100℃から250℃に昇温する。これと同時に、搭載ヘッド40のパルスヒータ22xを100℃から250℃に昇温する。これにより、第2上側電子部品3bのはんだ電極SEと下側電子部品2の接続電極CEのはんだ層56(
図6)とをリフローさせる。
【0097】
前述したように、第1〜第3ステージ部20a〜20cの第1〜第3パルスヒータ22a〜22cは独立して制御することができる。このため、第2上側電子部品3bを搭載する際に、第2ステージ部20bの第2パルスヒータ22bのみを250℃に昇温することができ、第1ステージ部20a及び第3ステージ部20cを100℃に設定した状態とすることができる。
【0098】
これにより、第2ステージ部20b上で、下側電子部品2と第2上側電子部品3bとをリフロー加熱する際に、実装済の第1上側電子部品3aのはんだ電極SEが再リフローすることが回避される。その結果、第1上側電子部品3aと下側電子部品2との電気接続の信頼性を確保することができる。
【0099】
さらに、同様な方法で、圧縮空気によって第2ステージ部20b上の下側電子部品2を100℃程度になるように冷却する。
【0100】
これにより、
図16に示すように、下側電子部品2と第2上側電子部品3bとの間のはんだが硬化し、両者がはんだ電SEを介して電気的に接続される。
【0101】
次いで、同じく
図16に示すように、同様な方法により、搭載ヘッド40に第3上側電子部品3cを固定し、位置合わせを行った後に、第3上側電子部品3cのはんだ電極SEを第3ステージ部20c上の下側電子部品2の接続電極CEの上に配置する。
【0102】
さらに、同様な方法により、第3ステージ部20cの第3パルスヒータ22cを100℃から250℃に昇温する。これと同時に、搭載ヘッド40のパルスヒータ22xを100℃から250℃に昇温する。
【0103】
これにより、第3上側電子部品3cのはんだ電極SEと下側電子部品2の接続電極CEのはんだ層56(
図6)とをリフローさせる。さらに、同様な方法で、圧縮空気によって第3ステージ部20c上の下側電子部品2を100℃以下になるように冷却する。
【0104】
これにより、下側電子部品2と第3上側電子部品3cとの間のはんだが硬化し、両者がはんだ電極SEを介して電気的に接続される。
【0105】
第3上側電子部品3cを搭載する際にも、第3ステージ部20cのみが第3パルスヒータ22cで250℃に加熱され、第1、第2ステージ部20a,20bを100℃に設定した状態とすることができる。従って、第3上側電子部品3cをリフロー加熱する際に、実装済の第1、第2上側電子部品3a,3bのはんだ電極SEが再リフローすることが回避される。
【0106】
その後に、
図17(a)に示すように、第3上側電子部品3cから搭載ヘッド40を分離し、下側電子部品2の上に第1〜第3上側電子部品3a〜3cが積層された積層型電子部材4を電子部品搭載装置1から外部に搬送する。
【0107】
次いで、
図17(b)に示すように、下側電子部品2と第1〜第3上側電子部品3a〜3cとの間、及び第1〜第3上側電子部品3a〜3cの横方向の間に封止樹脂80を充填する。
【0108】
その後に、
図17(c)に示すように、
図17(b)の積層型電子部材4の第1〜第3上側電子部品3a〜3cの間の封止樹脂80の上面から下側電子部品2まで切断することにより、個々の積層型電子装置5を得る。積層型電子装置5の第1上側電子部品3aの上にさらに電子部品を積層してもよい。
【0109】
以上説明したように、本実施形態の電子部品搭載装置1を使用することにより、各ステージ部20a〜20cを独立して温度制御することができる。従って、実装済みの第1上側電子部品3aをはんだがリフローしない温度に降温した状態で、第2上側電子部品3bをリフロー加熱することができる。
【0110】
従って、搭載ヘッド40ばかりではなく、第2ステージ部20bもリフロー加熱の温度に設定することができる。これにより、下側電子部品2及び第2上側電子部品3bを同一温度でリフロー加熱して接続することが可能になる。
【0111】
以上のことから、下側電子部品2と第1〜第3上側電子部品3a〜3cとの間で各実装時に温度差がなくなるため、熱膨張の差による熱応力が発生しにくくなり、基板に反りが発生することが防止される。これにより、下側電子部品2と第1〜第3上側電子部品3a〜3cとが信頼性よく電気的に接続される。
【0112】
また、第1〜第3ステージ部20a〜20c及び搭載ヘッド40はパルスヒータで加熱するので、高速で昇温できると共に、高精度で温度制御することができる。また、第1〜第3ステージ部20a〜20cを冷却する際には、圧縮空気によって高速で冷却することができる。
【0113】
これにより、昇温及び降温する際の時間が短縮されるので、製造に係るタクト時間が短くなり、生産効率を向上させることができる。
【0114】
また、常温のフラックス転写ヘッド30を使用することにより、第1〜第3上側電子部品3a〜3c及び下側電子部品2にフラックスを付着させるので、フラックスの蒸発が防止され、安定してフラックスを形成することができる。
【0115】
(その他の形態)
前述した実施形態では、下側電子部品2の接続電極CEに第1〜第3上側電子部品3a〜3cのはんだ電極SEをはんだ接合で順次接続する形態を説明した。この形態以外にも、下側電子部品の電極と上側電子部品の電極のうち、一方が金(Au)電極から形成され、他方がインジウム(In)電極から形成されるようにしてもよい。
【0116】
この場合は、480℃〜500℃でインジウム電極をリフローさせることにより、下側電子部品と上側電子部品とがAu−In接合によって接続される。
【0117】
この場合も同様に、第2ステージ部に第2上側電子部品を搭載する際に、実装済の第1上側電子部品が搭載された第1ステージ部をインジウム電極がリフローしない温度に設定することができる。これにより、実装済の第1上側電子部品のインジウム電極が再リフローすることが回避される。
【0118】
また、前述した実施形態では、下側電子部品として半導体チップが実装された配線基板を例示し、その上に搭載される上側電子部品として配線基板を例示した。これ以外にも、下側電子部品及び上側電子部品として各種のものを使用することができる。
【0119】
例えば、下側電子部品として各種素子が形成されたシリコンウェハなどの半導体ウェハを使用し、その上に上側電子部品として半導体チップ又は配線基板を搭載してもよい。この場合は、最終的に半導体ウェハが切断されて積層型半導体装置となる。