【実施例】
【0029】
以下、実施例を挙げて更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に記載の「%」は、特に記載のない限りに「重量%」を意味する。
【0030】
製造例
油性菓子の製造
カカオマス20重量部、砂糖50重量部、全粉乳20重量部、ココアバター10重量部、レシチン0.5重量部をミキサーにて混合後、チョコレート製造の常法通りレファイナーロールにより粉砕し、粉末チョコレートを得た。
回転釜に直径10mm、一粒あたり重量0.2gの略球状の小麦パフを投入し、24℃、12rpmにて上記粉末チョコレートを回転釜に徐々に投入し、製品一粒あたりの重量が0.45gになるまで小麦パフ表面に粉末チョコレートを被覆した。
得られたチョコレート複合菓子は、チョコレートからなる金平糖様の突起物を有していた。突起物の高さは平均0.7mmであった。
【0031】
苦味低減シェラックの製造
精製セラックGSN(株式会社岐阜セラツク製造所製)10gに酢酸エチル100mLを加え、還流下で30分間撹拌した後室温まで冷却した。1時間静置した後、上清をデカンテーションにて除いた。残った沈殿に、再び酢酸エチル100mLを加え、還流下で30分間撹拌した。室温まで冷却した後1時間静置し、上清をデカンテーションにて除いた。
【0032】
得られた上清を合わせ濃縮、真空乾燥し、3.7gの画分(Fr.1)を得た。また、沈殿を減圧濃縮、真空乾燥し、6.2gの画分(Fr.2)を得た。Fr.1を、できるだけ少量のメタノールに溶解し、コスモシール 75C18−OPN(商品名,ナカライテスク株式会社製)300mLを充填したカラムに負荷した後、メタノール:水=4:1の溶媒にて溶出した。これを減圧濃縮、真空乾燥し、1.3gの画分(Fr.3)を得た。続いてカラムをメタノールにて溶出し、得られた溶出液を減圧濃縮、真空乾燥し、2.4gの画分(Fr.4)を得た。
【0033】
F r.2、Fr.4を一まとめにして、苦味低減シェラック(便宜上シェラックAと称する)を製造した。
【0034】
シェラックAをエタノールにて溶解し、100mg/mLの溶液を作成した。この溶液を便宜上溶液Bと称する。LC/MS-MSを用いてシェラックAにおけるアレウリチン酸-5-ジャラール酸エステルの含有率を測定した所、1.74重量%であることが分かった。
【0035】
苦味評価
上記溶液B(1mL)に4vol%エタノール99mLを加え、シェラックAが1mg/mLの濃度となる5vol%エタノール溶液を作成した。この溶液を便宜上溶液Cと称する。溶液Cに単離したアレウリチン酸-5-ジャラール酸エステルを添加し、アレウリチン酸-5-ジャラール酸エステルの含有率が2.00重量%となる溶液、2.25重量%となる溶液、2.50重量%となる溶液、2.75重量%となる溶液、2.75重量%となる溶液、3.00重量%を作成した。なお、ここでいう含有量とは、溶液中の含有量ではなく、シェラック単体に換算した場合のアレウリチン酸-5-ジャラール酸エステルの含有量である。
【0036】
作成した各試験溶液0.1mLを評価者の舌の上に垂らし、苦味を感じ始める限界濃度を調べた。評価者(試験官)は20代の女性7名と20〜30代の男性7名とした。
【0037】
シェラック中のアレウリチン酸-5-ジャラール酸エステルの含有量が、2.5重量%の場合、苦味が十分に低減されることが分かった。さらに、2.0重量%であれば苦味の低減がより顕著であることが分かった。
【0038】
製品例1
製造例1で得られたチョコレート複合菓子を別の回転釜に投入し、24℃、12rpmにて溶液濃度25%の苦味低減シェラックのエタノール溶液を投入した。溶媒であるエタノールを揮発させながら、シェラックの塗布率が1.0%となったところでシェラックの投入を終了し、苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られた苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は全体が苦味低減シェラックで十分被覆されて光沢を有し、チョコレート部分が露出することなくとても良好な状態であった。
該被膜チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコが溶けて指に付着することもなく、とても良好であった。
【0039】
製品例2
苦味低減シェラックの塗布量が0.5%である以外は製品例1と同様の方法で、苦味低減シェラックの塗布率が0.5%であるシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られた苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は光沢は弱いが全体が苦味低減シェラックで十分被覆されており、チョコレート部分が露出することなくとても良好な状態であった。
該被膜チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコが溶けて指に付着することもなく、とても良好であった。
【0040】
製品例3
苦味低減シェラックの塗布量が0.3%である以外は製品例1と同様の方法で、苦味低減シェラックの塗布率が0.3%であるシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られた苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は、光沢はないが全体が苦味低減シェラックで被覆されており、チョコレート部分が露出することなく良好な状態であった。
該被膜チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコが溶けて指に付着することもほとんどなく、良好であった。
【0041】
製品例4
苦味低減シェラックの塗布量が0.1%である以外は製品例1と同様の方法で、苦味低減シェラックの塗布率が0.1%であるシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られた苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は、凹部にシェラックで被覆されていない部分があるが、やや良好な状態であった。
該被膜チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコが溶けて指に付着することもほとんどなく、やや良好であった。
【0042】
製品例5
投入するシェラックのエタノール溶液が従来品(商品名:精製セラックGSN、株式会社岐阜セラツク製造所製)である以外は製品例2と同じ方法で、シェラックの塗布率が0.5%であるシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られたシェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は光沢は弱いが全体がシェラックで十分被覆されており、チョコレート部分が露出することなく良好な状態であった。
該被膜チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコが溶けて指に付着することもなく、とても良好であった。
【0043】
製品例6
投入するシェラックのエタノール溶液が従来品(商品名:精製セラックGSN、株式会社岐阜セラツク製造所製)である以外は製品例3と同じ方法で、シェラックの塗布率が0.3%であるシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られた苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は、光沢は無いが全体が苦味低減シェラックで被覆されており、チョコレート部分が露出することなくやや良好な状態であった。
【0044】
製品例7
投入するシェラックのエタノール溶液が従来品(商品名:精製セラックGSN、株式会社岐阜セラツク製造所製)である以外は製品例4と同じ方法で、シェラックの塗布率が0.1%であるシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られたシェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は、凹部に被膜されていない部分があるが、やや良好な状態であった。
該被膜チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコが溶けて指に付着することもほとんどなく、やや良好であった。
【0045】
比較例1
投入するシェラックのエタノール溶液が従来品(商品名:精製セラックGSN、株式会社岐阜セラツク製造所製)であることとその投入量以外は製品例4と同じ方法で、シェラックの塗布率が0.05%であるシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られたシェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は、凸部においてもシェラックの被覆がない部分があり、劣った状態であった。
該被膜チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコが溶けて指に付着し、劣ったものだった。
【0046】
摩耗耐性および耐熱保形性
以上の通り、製品例1〜7(塗布率0.1〜1.0重量%)では、チョコが溶けて指に付着することはなく、摩耗耐性および耐熱保形性が確認された。一方、比較例1(塗布率0.05)では、チョコが溶けて指に付着し、耐熱保形性は確認されなかった。
【0047】
試験例1
官能評価
製品例1〜7、比較例1で得たシェラック被覆チョコレート複合菓子の官能評価を、1を最低、5を最高として5段階評価を行った。
苦味低減シェラックを用いた製品例1〜4の製品が、シェラックの苦味の影響が少なく、概ね評価が高かった。
通常のシェラックを用いた製品例5〜7、比較例1の製品は、シェラック塗布率の増加と共に苦味が強く感じられることでチョコレート、パフの風味が抑えられ、評価が下がっていった。
【0048】
【表1】
【0049】
摩耗耐性・耐熱保形性と官能評価の総合評価
上記実験の結果、製品例1〜4(塗布率0.1〜1.0重量%)の苦味低減シェラックを用いた場合では、凹凸を有するチョコレートにおいて、摩耗耐性・耐熱保形性および官能評価がいずれも良好であった。
特に、製品例1〜3(苦味低減シェラック:塗布率0.3〜1.0重量%)では、製品例5および6(精製セラックGSN:塗布率0.3〜0.5重量%)と比較しても官能評価スコアが大幅に高かった。このことは、同レベルの塗布率の製品例2(スコア:3.6)と製品例5(スコア:1.9)、製品例3(スコア:4.0)と製品例6(スコア:2.8)の比較により示される。
以上の結果から、苦味低減シェラックが0.3重量%以上で被覆されたチョコレート複合菓子では、高用量のシェラックを用いているにもかかわらず苦味が抑制され、食品の風味を損なうことなくかつ良好なテクスチャー・外観を保持しうることが確認された。
【0050】
製品例8
縦78mm、横160mm、高さ7mm、上面凹部深さ3mm、凹部平面に更にロゴマーク形状の溝状凹部(深さ0.3mm)を有する重量58gの板チョコレート(商品名:meijiミルクチョコレート、株式会社明治製)を溶液濃度25%の苦味低減シェラックエタノール溶液を満たした槽に1秒間浸漬し、引き上げ、凹部の余剰シェラック溶液を除去し、20℃の冷風にて十分乾燥し、苦味低減シェラック被覆板チョコレートを得た。
得られた苦味低減シェラック被覆板チョコレートのシェラック塗布率は0.6%であった。苦味低減シェラックは製品全体を均一に被覆しており、指で摘んで保持しても指にチョコレートが付着せず良好な状態であった。
得られた苦味低減シェラック被覆板チョコレートを食したところ、チョコレート本来の風味を有し、良好であった。
【0051】
製品例9
使用するシェラックが従来品(商品名:精製シェラックGSN、株式会社岐阜セラツク製造所)である以外は製品例3と同じ方法でシェラック被覆板チョコレートを得た。
得られたシェラック被覆板チョコレートのシェラック塗布率は0.6%であった。
シェラックは製品全体を均一に被覆しており、指で摘んで保持しても指にチョコレートが付着せず良好な状態であった。
得られた苦味低減シェラック被覆板チョコレートを食したところ、製品例8に比べシェラックの苦味が強く、チョコレートの風味が抑えられていた。
【0052】
凹凸を有するチョコレートを用いた製品例8および9(塗布率0.6重量%)では、摩耗耐性・耐熱保形性は良好であった。苦味低減シェラックが0.6重量%以上で被覆された凹凸を有するチョコレートにおいては、高用量のシェラックを用いているにもかかわらず苦味が抑制され、チョコレートの風味が保たれていることが確認された。
【0053】
製品例10
砂糖不使用ビスケットボール
ショートニング15重量部、マルチトール15重量部、脱脂粉乳8重量部、小麦粉60重量部、ベーキングパウダー1重量部、香料1重量部をミキサーボウルに投入し、撹拌混合した後、略球状に成形し、オーブンを使用して180℃、10分間焼成し、一粒あたり重量1gの砂糖不使用ビスケットボールを得た。
カカオマス20重量部、全粉乳20重量部、マルチトール40重量部、ココアバター20重量部、レシチン0.8重量部、香料0.1重量部を使用し、チョコレート製造の常法にて砂糖不使用チョコレート生地を得た。
【0054】
得られた砂糖不使用ビスケットボールを回転釜に投入し、24℃、12rpmにて上記砂糖不使用チョコレート生地を回転釜に徐々に投入し、製品一粒あたりの重量が2.5gになるまで砂糖不使用ビスケットボール表面に砂糖不使用チョコレート生地を被覆し、チョコレート複合菓子を得た。
得られたチョコレート生地を回転釜に投入し、24℃、12rpmにて、溶液濃度30%の苦味低減シェラックのエタノール溶液を投入した。溶媒であるエタノールを揮発させながら、シェラックの塗布率が0.2%となったところでシェラックの投入を終了し、苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
得られた苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は全体が、苦味低減シェラックで十分被覆されて光沢を有し、チョコレートの部分が露出することなくとても良好な状態であった。
【0055】
該苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコレートが溶けて指に付着することもなく、とても良好であった。また、該苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子は、シェラック特有の苦味もなく、パネラーによる美味しいとの評価を得た。
【0056】
製品例11
砂糖不使用ビスケットボール
製品例10の製造工程中で得たチョコレート複合菓子を別の回転釜に投入し、24℃、12rpmにて、従来のシェラックのエタノール溶液(商品名:精製セラックGSN、株式会社岐阜セラツク製造所制)を投入した。溶媒であるエタノールを揮発させながら、シェラックの塗布率が0.2%となったところでシェラックの投入を終了し、砂糖不使用シェラック被服チョコレート複合菓子を得た。
【0057】
得られた砂糖不使用シェラック被覆チョコレート複合菓子の表面は全体がシェラックで十分被覆されて光沢を有し、チョコレートの部分が露出することなくとても良好な状態であった。
また、砂糖不使用シェラック被覆チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコレートが溶けて指に付着することもなく、とても良好であった。
しかし、該砂糖不使用シェラック被覆チョコレート複合菓子を食したところ、上記製品例10の砂糖不使用苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子に比べてシェラック独特の苦味が強く、チョコレートおよびクッキーの風味は劣るものであった。
【0058】
製品例12
砂糖不使用ビスケットボール
砂糖40重量部、水分25%の水飴60重量部を混合し、砂糖を撹拌溶解し、下掛け液を得た。
製品例10の製造工程中で得たチョコレート複合菓子を別の回転釜に投入し、24℃、12rpmにて上記下掛け液を投入した。溶媒である水を蒸発乾燥させながら、下掛け液の塗布率が0.1%となったところで下掛け液の投入を終了した。さらに、従来のシェラックのエタノール溶液(商品名:精製セラックGSN、株式会社岐阜セラツク製造所製)を投入した。溶媒であるエタノールを揮発させながら、シェラックの塗布率が0.1%となったところでシェラックの投入を終了し、砂糖を使用したシェラック被覆チョコレート複合菓子を得た。
該砂糖を使用した苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子を指で摘んで保持したところ、チョコレートが溶けて指に付着することもなく、とても良好であった。また、該苦味低減シェラック被覆チョコレート複合菓子は、シェラック特有の苦味もなく、おいしいものであった。
しかしながら、従来の方法で砂糖を使用した下掛けを行ったため、砂糖不使用とはならなかった。