【課題を解決するための手段】
【0010】
驚くべきことには、連続気泡発泡体の存在下で、ラクタムモノマーを触媒アニオン重合させることによって、上記の目的が達成されることがわかった。
【0011】
したがって本発明は、連続気泡発泡体(S)の少なくとも一部を、ラクタム類からなる群の少なくとも一種のモノマー(M)で浸し、次いで触媒を用いて前記モノマー(M)を少なくとも一部、アニオン重合させる、複合材料の製造方法を提供する。
【0012】
本発明のさらなる主題は、本発明の方法で得られる複合材料であり、また、本発明の方法で得られる複合材料を、スポーツ用品において、または難燃性の材料または強化材料として使用することである。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、相(phases)の一つが他の相の積極的な改質(相互強化効果)を引き起こす。この効果は、例えば、複合材料の強化、衝撃改質または破断伸びの改良に利用できる。さらに有利な点は、従来製造された複合材料と比べて本発明の複合材料は吸水性が低いことである。
【0014】
本発明において、用語「複合材料」とは、2種またはそれ以上の非類似の構成材料を結合したエンジニアリング材料をいう。
【0015】
用語「メラミン−ホルムアルデヒド発泡体」は、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物を含み、メラミンに加えて、熱硬化性樹脂を形成することのできる他の化合物を50重量%まで、好ましくは20重量%まで含むことができ、ホルムアルデヒドに加えて、他のアルデヒドを共縮合単位として50重量%まで、好ましくは20重量%まで含むことができる。
【0016】
しかしながら、本発明では、未変性のメラミン−ホルムアルデヒド縮合物が好ましい。
【0017】
熱硬化性樹脂を形成することのできる他の化合物の例としては、アルキル置換メラミン、ウレタン、脂肪族アミン、フェノール、およびフェノール誘導体があげられる。有用なアルデヒドの例は、アセトアルデヒド、アクロレイン、およびベンズアルデヒドである。
【0018】
メラミン−ホルムアルデヒド縮合物についての詳細な記載は、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,volume 14/2,1963,page 319 to 402に認められる。
【0019】
熱硬化性樹脂を形成することのできる化合物対アルデヒドのモル比は、1:1.5〜1:4.5の広い制限内で変更でき、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物の場合は、その比は1:2.5〜1:3.5である。
【0020】
メラミン樹脂は有利にも共縮合した硫酸基(sulfite groups)を含有する。メラミン−ホルムアルデヒド縮合物のさらなる詳細については、米国特許第4,540,717号明細書に記載されている。
【0021】
本発明の工程の後では、発泡体とポリアミドは各々、連続相を形成する。したがって、この工程の終わりでは、この反応系は少なくとも2つの連続相または少なくとも2つの主要な相を有する。本発明の複合材料のモルフォロジーは主として気孔のサイズによって決定されると思われる。
【0022】
特に、本発明の方法は以下のように実施される。ここでは発泡体は乾燥したものが好ましい。
【0023】
発泡体(S)は混合物、例えば、モノマー(M)、触媒、および任意選択的に活性剤を含有する溶液、と接触させる。これは、例えば、発泡体をモノマー(M)、触媒、および任意選択的に活性剤を含有する溶液に浸漬するか、または発泡体(S)をこの溶液でスプレーするか、または発泡体にこの溶液を塗るか、によって完成することができる。この工程は減圧下で行うことが好ましい。
【0024】
その後の重合の温度は、通常、85℃〜200℃の範囲、好ましくは95℃〜180℃の範囲、さらに好ましくは105℃〜160℃の範囲である。
【0025】
モノマー(M)は、もっぱら発泡体(S)の気孔の中に入れることができる。しかしながら、発泡体(S)の表面、すなわち複合材料(W)の表面に薄いポリマーフィルムを設けるのも有利である。
【0026】
発泡体(S)対モノマー(M)の比は変化させることができる。この比は、90:10〜10:90の範囲、好ましくは80:20〜20:80の範囲、さらに好ましくは60:40〜40:60の範囲である。
【0027】
本発明において、発泡体は、例えば、金属、プラスチック、または天然の材料、例えば、木材(例えば、バルサ材)から作ることができる。発泡体はまた、これらの材料の混合物から作ることもできる。
【0028】
好ましい実施形態では、発泡体は金属またはプラスチックと金属の混合物からなる。アルミニウムおよびマグネシウムからなる群の金属が好ましい。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、発泡体はプラスチックからなる。
【0030】
適切な発泡体を形成することができるプラスチックの例としては、PSU(ポリスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PI(ポリイミド)、ポリウレタン、PA(ポリアミド)、PLA(ポリラクチド)、PPE/PS(ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン)、amsan(アクリロニトリル/アルファ−メチルスチレン)、PC(ポリカーボネート)、ポリプロピレン、メラミン−ホルムアルデヒドがあげられる。
【0031】
特に好ましくは、メラミン−ホルムアルデヒド発泡体、例えば、BASF SEのBasotect(登録商標)である。
【0032】
本発明において、発泡体は90℃までは熱的に安定でなければならず、好ましくは105℃まで、さらに好ましくは130℃までである。
【0033】
発泡体は、規則的または不規則的な気孔構造をもつことができる。後者の例は、蜂の巣で生じるハニカム構造である。この構造は通常、6角形の気孔構造を有する。
【0034】
モノマー(M)は、ラクタム類の群の化合物である。その例としては、カプロラクタム、ピペリドン、ピロリドン、ラウロラクタム、またはそれらの混合物があげられ、好ましくはカプロラクタム、ラウロラクタム、またはそれらの混合物、さらに好ましくはカプロラクタムまたはラウロラクタムである。
【0035】
有用な触媒としては特に、カプロラタムナトリウム、カプロラクタムカリウム、カプロラクタムマグネシウムブロミド、マグネシウムカプロラクタムクロライド、ビスカプロラクタムマグネシウム、ナトリウムハイドライド、ナトリウム金属、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムハイドライド、カリウム金属、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムプロポキシド、およびカリウムブトキシド、好ましくはナトリウムハイドライド、ナトリウム金属、カプロラタムナトリウム、およびさらに好ましくはカプロラタムナトリウム(例えば、Bruggolen(登録商標)C10;カプロラタムナトリウム18重合%のカプロラクタム溶液)があげられる。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種の活性剤(開始剤としても公知)を用いる。しかし、活性剤を用いることが絶対に必要というわけではない。
【0037】
有用な活性剤としては、特に脂肪族ジイソシアネート、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ウンドデカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート;または芳香族ジイソシアネート、例えば、トルイルジイソシアネート(トリレンジイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、またはポリイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアネート、Basonat(登録商標)HI 100(BASF SE製)、アロファネート、例えば、エチルアロファネートまたはそれらの混合物あげられ;好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、さらに好ましくはヘキサメチレンジイソシアネートがあげられる。有用な活性剤としては、さらにアシルハライド、またはアシルハライドまたはイソシアネートとラクタムとの反応生成物があげられる。
【0038】
ラクタム対触媒のモル比は広い範囲内で変化可能であるが、通常、1:1〜10000:1の範囲、好ましくは10:1〜1000:1の範囲、さらに好ましくは50:1〜300:1の範囲である。活性剤:触媒のモル比は、広い範囲内で変化可能であるが、通常、100:1〜1:10000の範囲、好ましくは10:1〜1:100の範囲、さらに好ましくは1:1〜1:10の範囲である。
【0039】
本発明による方法の完了後、すなわちモノマー(M)の重合の後でも、複合材料は任意選択的に後成形、例えば、加熱および曲げが可能である。
【0040】
本発明の方法により得られる複合材料は、防炎要素または強化要素として、例えば、車の製造やスポーツ用品の分野で大変有用である。