特許第6005057号(P6005057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6005057-半導体構造およびその製造方法 図000042
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6005057
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】半導体構造およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/30 20060101AFI20160929BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20160929BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20160929BHJP
   C08G 61/12 20060101ALI20160929BHJP
【FI】
   H01L29/28 250G
   H01L29/78 626A
   H01L29/78 618B
   H01L29/28 100A
   C08G61/12
【請求項の数】16
【全頁数】34
(21)【出願番号】特願2013-545237(P2013-545237)
(86)(22)【出願日】2011年12月19日
(65)【公表番号】特表2014-507787(P2014-507787A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2011073159
(87)【国際公開番号】WO2012084757
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月16日
(31)【優先権主張番号】61/425,777
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】10196429.4
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】テロ ムストネン
(72)【発明者】
【氏名】ロジェ プレト
(72)【発明者】
【氏名】トミ ハッシネン
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−335557(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/000664(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/157284(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/30
C08G 61/12
H01L 29/786
H01L 51/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの導体領域と前記少なくとも1つの導体領域によって部分的に分離されている少なくとも2つの半導体領域とを含み、前記少なくとも1つの導体領域が、前記それぞれの導体領域によって部分的に分離されている前記半導体領域の間に延びる開口部を含む半導体構造であって、前記半導体領域の少なくとも1つが半導体材料としてジケトピロロピロールポリマーを含有し、前記半導体領域が、最高被占分子軌道エネルギーレベルEHを有する少なくとも1種の有機半導体材料を含み、EHが、5.0eV≦|EH|≦5.8eVによって定義され、ならびに前記導体領域が、|EH|−1.5eV≦|EC|≦|EH|−0.4eVによって定義される仕事関数ECを有する導体材料を含むことを特徴とする前記半導体構造。
【請求項2】
前記有機半導体材料が、Np≦1×1016cm-3、Np≦8×1015cm-3、Np≦6×1015cm-3、Np≦5×1015cm-3p≦4×1015cm-3、Np≦2×1015cm-3、もしくはNp≦1×1015cm-3、正電荷キャリア濃度Npを有する、請求項1に記載の半導体構造。
【請求項3】
前記有機半導体材料が、Np≦2.3×1015cm-3の、正電荷キャリア濃度Npを有する、請求項2に記載の半導体構造。
【請求項4】
H、EC、およびNpが、前記半導体領域内において、100nm超の空乏幅Idが得られるように適合される、請求項2または3に記載の半導体構造。
【請求項5】
前記少なくとも1種の有機半導体材料が、繰り返しユニット中に、以下の式:
【化1】
[式中、R1およびR2は、互いに同じである、または異なっており、ならびに、水素;C1〜C100アルキル基;−COOR3;1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、−CN、またはC6〜C18アリール基によって置換されている、および/または−O−、−COO−、−OCO−、または−S−で中断されているC1〜C100アルキル基;C7〜C100アリールアルキル基;カルバモイル基;C1〜C8アルキル基および/またはC1〜C8アルコキシ基で1〜3回置換されていてもよいC5〜C12シクロアルキル基;C1〜C8アルキル基、C1〜C25チオアルコキシ基、および/またはC1〜C25アルコキシ基で1〜3回置換されていてもよいC6〜C24アリール基;およびペンタフルオロフェニルからなる群より選択され、
3は、C1〜C50アルキル基である]によって表される1つ以上のジケトピロロピロール骨格を有するジケトピロロピロールポリマーを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の半導体構造。
【請求項6】
前記ジケトピロロピロールポリマーが、
式(Ia):
【化2】
のポリマー、
式(Ib):
【化3】
のコポリマー、
式(Ic):
【化4】
のコポリマー、および
式(Id):
【化5】
のコポリマー
からなる群より選択され
ここで、x=0.995〜0.005であり、y=0.005〜0.995でありただし、x+y=1であり;
r=0.985〜0.005であり、s=0.005〜0.985であり、t=0.005〜0.985であり、u=0.005〜0.985であり、ただし、r+s+t+u=1であり;
n=4〜1000であり、
Aは、式:
【化6】
[式中、a’=1、2、または3であり;a''=0、1、2、または3であり;b=0、1、2、または3であり;b’=0、1、2、または3であり;c=0、1、2、または3であり;c’=0、1、2、または3であり;d=0、1、2、または3であり;d’=0、1、2、または3であり;ただし、a''が0の場合、b’は0ではなく;
Ar1、Ar1’、Ar2、Ar2’、Ar3、Ar3’、Ar4、およびAr4’は、互いに独立して、場合により、縮合および/または置換されていてもよいヘテロ芳香族環または芳香環であり
らびに
B、D、およびEは、互いに独立して、式:
【化7】
または式(X)の基であり、ただし、B、D、およびEが式(X)の基である場合、それらはAとは異なっており、式中、k=1であり;l=0または1であり;r=0または1であり;z=0または1であり;ならびに
Ar4、Ar5、Ar6、およびAr7は、互いに独立して、式:
【化8】
の基であり、
5およびX6のうちの1つはNであり、もう一方はCR14であり、
14、R14’、R17、およびR17’は、互いに独立して、H、または場合により、1つ以上の酸素原子によって中断されていてよいC1〜C25アルキル基である]の基である、請求項に記載の半導体構造。
【請求項7】
前記ジケトピロロピロールポリマーが、式(Ib−1)、(Ib−9)、(Ib−10):
【化9】
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、C8〜C36アルキル基であり、n=4〜1000である]によるポリマーである、請求項に記載の半導体構造。
【請求項8】
前記有機半導体材料が、1.01〜10の範囲の多分散度を有する、請求項1から7までのいずれか一項に記載の半導体構造
【請求項9】
前記導体領域に含まれる前記開口部が、200nm超の内側幅を有する、請求項1から8までのいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項10】
前記導体領域の前記導体材料が、金属、合金、または導電性ポリマーを含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項11】
さらに、前記半導体領域の端面に少なくとも2つの電極を備え、前記電極および前記導体領域が、それぞれ、接触領域を含む、または外部接触に適した導体を備える、請求項1から10までのいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項12】
前記それぞれの導体領域によって部分的に分離されている前記半導体領域が、前記導体領域の前記開口部を介して互いに直接接触しており、前記半導体領域が、前記それぞれの導体領域のセクションによる前記それぞれの導体領域によって分離されており、前記セクションが前記開口部の側方に位置している、請求項1から11までのいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項13】
2つの半導体領域を部分的に分離している導体領域を含む半導体構造であって、前記導体領域および前記2つの半導体領域が縦型トランジスタ構造を提供し、かつ前記導体領域が、前記半導体領域間の導電率制御のために適合されたゲートを提供し、前記2つの半導体領域が、同じ有機半導体材料を含む、請求項1から12までのいずれか一項に記載の半導体構造。
【請求項14】
少なくとも1つの導体領域および前記少なくとも1つの導体領域によって部分的に分離されている少なくとも2つの半導体領域を含む半導体構造であって、前記少なくとも1つの導体領域が、前記それぞれの導体領域によって部分的に分離されている前記半導体領域間に延びる開口部を含み、前記半導体領域が、請求項4〜8に記載されるジケトピロロピロールポリマーから選択される少なくとも1種の有機半導体材料を含み、前記導体領域が、Al、Cr、Cu、Fe、In、Sb、Si、Sn、およびZnからなる群より選択される金属を含む、半導体構造。
【請求項15】
請求項1から14までのいずれか一項に記載の半導体構造を製造する方法であって、
(a)少なくとも1種の有機半導体材料を含む少なくとも2つの半導体領域を提供する工程;
(b)前記少なくとも2つの半導体領域間に少なくとも1つの導体領域を提供する工程;
(c)導体領域全体にわたって広がる前記少なくとも1つの導体領域に開口部を提供する工程;および
(d)前記少なくとも1つの導体領域の前記開口部を介して前記少なくとも2つの半導体領域を部分的に接触させる工程;
を含み、
工程(a)の前記有機半導体材料が、HOMO(最高被占分子軌道)エネルギーレベルEHを有し、EHが、5.0eV≦|EH|≦5.8eVによって定義され、ならびに工程(b)において提供される前記少なくとも1つの導体領域が、|EH|−1.5eV≦|EC|≦|EH|−0.4eVによって定義される仕事関数ECを有する導体材料を含む前記方法。
【請求項16】
工程(b)が、前記導体材料の連続層として前記少なくとも1つの導体領域を提供する工程を含み、工程(c)が、前記連続層を通る、200nm超の内側幅の開口部を、エンボス加工、機械的切断、またはレーザーカットする工程を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体構造の分野、特に、ジケトピロロピロール(DPP)ポリマーをベースとする縦型半導体構造の分野に関する。特に、本発明は、半導体構造およびその製造方法に関し、当該半導体構造は、少なくとも1つの導体領域と当該少なくとも1つの導体領域によって部分的に分離されている少なくとも2つの半導体領域を含み、当該少なくとも1つの導体領域は、それぞれの導体領域によって部分的に分離されている当該半導体領域の間に延びる開口部を含み、当該半導体領域は、特定のHOMO(最高被占分子軌道)エネルギーレベルを有する少なくとも1種の有機半導体材料、特にDPP(ジケトピロロピロール)ポリマー、を含み、当該導体領域は、特定の仕事関数を有する導体材料を含む。
【0002】
国際公開第2010/049321号および同第2008/000664号には、半導体材料がジケトピロロピロール(DPP)ポリマーである有機半導体構造について記載されている。さらに、当該構造内におけるゲート誘電体によって絶縁されたゲートの使用について、概して開示されている。しかしながら、これらの先行技術文献は、ゲートの形態または構造には触れていない。
【0003】
米国特許出願公開第2006/0086933(A1)号には、櫛形電極またはメッシュ状電極を有する有機半導体構造が記載されている。当該ゲート電極は、フォトリソグラフィをベースとしてパターン形成されている。
【0004】
米国特許出願公開第2009/0001362(A1)号には、電子ビーム直接リソグラフィによってパターン形成された櫛形電極を有する有機半導体構造が記載されている。
【0005】
先行技術におけるこれらのパターン形成方法は、かなりの時間を必要とし、高スループット加工には適していない。
【0006】
さらに、Yu−Chiang Chao et.al.,"High−performance solution−processed polymer spacecharge−limited transistor",Organic Electronics 9(2008),pp.310−316には、200nmの直径を有する開口部を備えた導電性Al層の使用について記載されている。それらのサイズに起因して、開口部は、Alおよびポリスチレン球を被着させてからそれを除去することによって形成されている。半導体として、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)などの材料が用いられている。なお、この技術に関して、ポリスチレン球の除去は、自動化されたハイスループットプロセスでは信頼性高く実現することができない。さらに、結果として得られるパターンは、統計的に配置された球に基づくことになる。特に、球が詰まることで、結果として、詰まったクラスター当たりの球の数に依存する開口部のサイズが生じており、これは、かなりの程度まで変わり得る。したがって、当該パターンは、信頼性高く決定することができず、ならびに不適当に大きな開口部サイズを排除することができない。
【0007】
米国特許出願公開第2009/0181513(A1)号ならびにChao et al., Applied Physics Letters 88(2006)223510では、200nmおよび500nmのサイズにおいて、導電性Al層に開口部を導入している。200nmおよびとりわけ500nmの大きな開口部は、トランジスタにおいて大きなオフ電流を示しているが、これは、Alとポリ(ヘキシル−チオフェン)の間の小さい空乏幅は電荷輸送を防ぐには不十分であるため、これが、結果として大きなオフ電流および低いトランジスタ性能の原因となっている。
【0008】
Yasuyuki Watanabe et.al.,"Characteristics of organic inverters using vertical− and lateral−type organic transistors",Thin Solid Films 516(2008),pp.2731−2734において、半導体としてペンタセンをベースとするトランジスタが示されており、ペンタセン内のゲートは、スリット状の形態である。しかしながら、スリットは、ゲート材料の周期系列と、一方向、すなわちスリットに対して垂直な方向、のみにおける中間の空間とを提供している。ゲート材料に起因する高いゲート電圧感度と中間の空間に起因する高いソース−ドレイン電流とを同じエリアにおいて提供することができないような代替の方法では、スリットに沿って、ゲート材料および中間の空間は提供されない。このことが、結果として、トランジスタの乏しい電気特性の原因となっている。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0196895(A1)号ならびに同第2009/0042142(A1)号において、グリッドとして表された導体材料による穿孔された中間層を有する有機半導体デバイスが示されている。グリッドの開口部は、50〜200nmの突起を備えるパターン形成ダイによって提供される。当該グリッドは、有機半導体材料に関して絶縁されている。p型半導体材料として、PTCDA、CuPc、およびa−NPDのような有機半導体材料が提案されている。パターン形成ダイは、機械的に当該パターンを半導体材料に転写する。しかしながら、これらのサイズ、すなわち、50〜200nm、の当該突起は、当該パターン形成ダイのかなりの公差により、ならびに当該突起の摩耗および変形により、信頼性高い方法において提供することができない。したがって、当該開口部サイズから結果として生じる当該半導体デバイスの電気特性(利得、ドレイン−ソース電流など)も、信頼性高く再現することができない。
【0010】
したがって、本発明の目的は、半導体構造と、信頼性高い電気特性およびハイスループットを可能にするそのような半導体構造を製造する方法とを提供する。
【0011】
驚くべきことに、前記課題は少なくとも1つの導体領域と該少なくとも1つの導体領域によって部分的に分離されている少なくとも2つの半導体領域とを含み、該少なくとも1つの導体領域が、該それぞれの導体領域によって部分的に分離されている該半導体領域の間に延びる開口部を含む半導体構造であって、該有機半導体領域が、HOMO(最高被占分子軌道)エネルギーレベルEHを有する少なくとも1種の有機半導体材料を含み、EHがサイクリック・ボルタンメトリー(下記参照)により決定される、5.0eV≦|EH|≦5.8eVによって定義され、ならびに該導体領域が、|EH|−1.5eV≦|EC|≦|EH|−0.4eVによって定義される仕事関数ECを有する導体材料を含むことを特徴とする、半導体構造によって解決されることが判明した。
【0012】
エネルギーレベルEHに対する代替の範囲は:5.1eV≦|EH|≦5.8eVまたは5.0eV≦|EH|≦5.7eV、または好ましくは5.1eV≦|EH|≦5.7eVである。
【0013】
当該少なくとも1つの導体領域のそれぞれは、当該少なくとも2つの半導体領域を分離している。各導体領域の各側において、半導体領域のうちの1つが、当該導体領域に接している。各導体領域と各半導体領域との接触は、ショットキー接触である。
【0014】
当該少なくとも1つの導体領域によって分離された半導体領域の間の自由電荷キャリアの流れは、自由電荷キャリアが一方の半導体領域から導体領域の向こう側のもう一方の半導体領域へと通過することができる開口部を含む導体領域によって制御することができる。したがって、当該導体領域は、当該半導体領域と当該少なくとも1つの導体領域とによって形成された縦型トランジスタのゲートまたは基盤と見なすことができる。さらに、当該導体領域は、電子管構造の固体同等物のグリッドと見なすことができる。当該少なくとも1つの導体領域は、少なくとも1つの半導体領域内に電界を生じさせるように適合され、当該電界によって、自由電荷キャリアの流れを制御することができる。少なくとも2つの半導体領域の間におけるそのような自由電荷キャリアの流れは、ソース−ドレイン電圧という意味において当該半導体領域に印加された電圧の結果であり、当該流れは、ゲートの機能を有する導体領域の電圧によって制御することができる。導電性領域におけるゲート電圧は、グリッド開口部まで広がる空乏領域の幅を制御する。さらに、当該空乏層の幅は、開口部を通る電流を制御する。本発明の半導体構造の特定の電気特性は、導体領域を通る最大バルク電流密度ならびに、当該少なくとも1つの導電層に印加された制御電圧または制御電流に対する当該電流の依存性によって定義される利得である。本発明の半導体構造は、著しく改良された電気特性を示すことがわかった。
【0015】
さらに、当該改良された電気特性は、導電層の構造要素がより大きい寸法において提供される場合にも達成される。本発明によれば、より大きなゲート構造により、公差または変形の絶対的影響が低減されるので、より高い精度において半導体構造を製造することができる。さらに、複数のパターン形成メカニズム、特に、より大きな構造寸法にのみ適しているパターン形成メカニズム、を使用することができる。その上、本発明における材料の組み合わせにより、大きな空乏幅を提供することができる。より大きな開口部により、公差の影響が低減され、精度を向上させることができる。したがって、構造に関連する電気特性を、より高い精度において確定することができる。結果として、製造された半導体構造の不良率が著しく減じられる。
【0016】
本発明により、当該少なくとも1つの導体領域は、導体材料によって作成された1つ以上の導体領域である。導体材料として、104Ωm未満、103Ωm未満、102Ωm未満、または10Ωm未満の電気比抵抗を有する材料を指定する。好ましくは、当該導体材料は、10-3Ωm未満、10-5Ωm未満、または10-6Ωm未満の電気比抵抗を有する。最も好ましくは、当該導体材料の電気比抵抗は、5×10-7Ωm未満、または1×10-7Ωm未満、特に、アルミの電気比抵抗の範囲である。
【0017】
導体領域は、一体化領域であり、ならびに各半導体領域については、当該半導体領域のすべての部分領域が電気的に接続されている。さらに、2つの導体領域を分離している半導体領域は、これらの半導体領域と同じ広さに広がっている、またはこれらの半導体領域の一部と同じ広さに広がっている。特に、当該少なくとも1つの導体領域および当該少なくとも2つの半導体領域は、重畳することができる、または積層構造において提供することができる。本発明の文脈内において、半導体領域は、少なくとも1つの導体領域によって部分的に分離されており、当該半導体領域は、中間の導体領域における開口部によって接続されている。さらに、当該開口部の外側、すなわち当該開口部の側部、における導体材料は、それぞれの半導体領域を物理的に分離している。
【0018】
当該少なくとも1つの導体領域内の開口部は、好ましくは、同じ形状であり、ならびに、特に、同じ断面である。さらに、当該開口部は、好ましくは、同じ断面積を有する。当該開口部は、貫通孔である。これにより、導体領域に両側から隣接する半導体領域を接続することが可能となる。当該開口部は、導体領域が広がる方向に対して、傾斜した方向または実質的に垂直な方向に延びている。
【0019】
当該半導体領域は、少なくとも1種の有機半導体材料を含む。当該少なくとも1種の有機半導体材料は、p型半導体であり、自由正電荷を提供する。さらに、当該半導体材料は、好ましくは、それぞれの半導体領域の全幅にわたって広がっている。したがって、当該半導体領域は、一体化半導電性領域を形成する。当該半導体領域は、各半導体領域の全幅にわたって電流が流れることを可能にする。当該半導体領域は、導体領域の間、または電極と導体領域との間に提供することができる。さらに、半導体領域のうちの少なくとも1つにおける半導体材料は、導体領域によって分離された半導体領域の間に、当該導体領域内の開口部によって物理的接触が与えられるように、開口部に沿って広がっている。このことは、好ましくは、当該半導体構造のすべての導体領域および半導体領域に適用される。
【0020】
当該少なくとも1つの導体領域および当該少なくとも2つの半導体領域は、好ましくは、重畳された構造または積層構造を提供する重畳された状態において、互いに平行に広がっている。さらに、電極も備え得、当該電極も、半導体領域および少なくとも1つの導体領域に対して平行に広がっている。当該少なくとも1つの導体領域および当該少なくとも2つの半導体領域は、好ましくは層として提供される。さらに、当該導体領域は、当該半導体領域のうちの一方から当該半導体領域のもう一方へと広がっている。好ましくは、当該少なくとも1つの導体領域および当該少なくとも2つの半導体領域のそれぞれは、一定の厚さにおいて提供され、当該厚さは、当該領域のうちの1つが広がっている方向に対して垂直な方向において提供される。
【0021】
当該半導体領域の有機半導体材料は、HOMOとも表される最高被占分子軌道のエネルギーレベルに対応する特定のエネルギーレベルEHを有する。HOMOレベルEHは、自由電荷キャリアを提供するための有機半導体材料の親和力を反映している。特に、当該HOMOレベルは、当該有機半導体材料から自由電荷キャリアを提供するために必要なエネルギーを反映しており、励起エネルギーと比較することができる。本発明により、EHの絶対値は、少なくとも5.0eVまたは少なくとも5.1であり、5.7eVまたは5.8eVを超えない。さらに、LUMOレベル、すなわち、最低空分子軌道のレベル、の絶対値は、好ましくは3.3〜4.1である。
【0022】
本発明による導体領域の導体材料は、本発明の半導体構造の有益な電気特性および機械特性を提供するために、半導体材料のエネルギーレベルEHに適合される。当該導体材料は、その絶対値が1.5eVを減じたEHの絶対値以上の仕事関数ECを有する。当該仕事関数ECの絶対値は、0.4eVを減じたEHの絶対値を超えない。したがって、仕事関数ECの絶対値は、EHの絶対値より低い。特に、仕事関数ECの絶対値は、EHの絶対値と少なくとも0.4eV異なる。さらに、仕事関数ECの絶対値は、EHの絶対値との差が1.5eVを超えない。
【0023】
好ましい実施形態において、前記有機半導体材料は、Np≦1×1016cm-3、Np≦8×1015cm-3、Np≦6×1015cm-3、Np≦5×1015cm-3、Np≦1016cm-3、Np≦4×1015cm-3、Np≦2×1015cm-3、もしくはNp≦1×1015cm-3の、正電荷キャリア等価物のバルク濃度Npを有する。正電荷キャリア同等物は、自由正電荷キャリア、例えば正孔、の電気的効果を有する有機半導体材料内の正電荷分布である。正電荷キャリア同等物の静電効果が、1電荷単位によって荷電されている自由正電荷キャリアの静電効果に相当する場合、当該正電荷キャリア同等物は、電荷単位に相当する。
【0024】
有機半導体材料内の電荷キャリア同等物のバルク濃度が有機半導体材料の構造に依存しているため、有機半導体材料内の異なるバルク濃度は、有機半導体材料における異なる物理構造によって提供され得る。特に、このことは、溶液として被着された有機半導体材料に当てはまり、電荷キャリア同等物は、当該溶液の濃度、溶媒の種類、プロセス温度、当該半導体材料に加えられた機械的圧力、例えば遠心力、プロセス所要時間、および当該溶液の製造後の経過時間のうちの少なくとも1つによって確定される。
【0025】
より好ましい実施形態により、半導体構造は少なくとも100nm、好ましくは少なくとも125nm、および最も好ましくは少なくとも250nmの空乏幅Idが得られるように適合される。空乏幅は、外部電圧が導体領域に印加されていない状態に対して適用される。さらに、当該半導体構造は、少なくとも75nm、少なくとも100nm、少なくとも150nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも500nm、少なくとも600nm、少なくとも700nm、少なくとも800nm、少なくとも900nm、または少なくとも1μmの空乏幅Idを提供するように適合される。当該空乏幅は、少なくとも1種の有機半導体材料の最高被占分子軌道のエネルギーレベルEH、導体材料の仕事関数EC、および適切なレベルでの正電荷キャリア同等物のバルク濃度Npのうちの少なくとも1つによって提供または適合することができる。当該空乏幅は、導体領域に外部電圧が印加されていない状態での空乏ゾーンの幅である。
【0026】
半導体領域の材料に関する限り、本発明における上記において説明した実施形態を実現することができれば、いかなる特定の制限も存在しない。
【0027】
好ましい実施形態により、本発明の半導体構造の半導体領域のうちの少なくとも1つは、半導体材料として少なくとも1種の好適なジケトピロロピロール(DPP)ポリマーを含有する。好ましくは、半導体領域のうちの少なくとも1つは、半導体材料として、少なくとも1種の好適なDPPポリマーを含む。より好ましくは、半導体領域のうちの少なくとも1つのそれぞれは、半伝導性材料として、少なくとも1種の好適なDPPポリマーを含み、所定の半導体領域に含まれる当該少なくとも1種のDPPポリマーは、別の半導体領域の少なくとも1種のDPPポリマーと同じまたは異なっている。
【0028】
概して、本発明のDPPポリマーは、繰り返しユニットにおいて、以下の式:
【化1】
によって表される1種以上のDPP骨格を有するポリマーである。DPPポリマーおよびそれらの合成の例は、例えば、米国特許第6451459(B1)号、国際公開第05/049695号、同第2008/000664号、同第2010/049321号、同第2010/049323号、同第2010/108873号、同第2010/115767号、同第2010/136353号、国際出願第PCT/EP2011/060283号、および国際公開第2010/136352号に記載されている。
【0029】
好ましい実施形態により、前記少なくとも1種の有機半導体材料は、繰り返しユニット中に、以下の式:
【化2】
[式中、R1およびR2は、互いに同じである、または異なっており、ならびに、水素;C1〜C100アルキル基;−COOR3;1つ以上のハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、−CN、またはC6〜C18アリール基によって置換されている、および/または−O−、−COO−、−OCO−、または−S−で中断されているC1〜C100アルキル基;C7〜C100アリールアルキル基;カルバモイル基;C1〜C8アルキル基および/またはC1〜C8アルコキシ基で1〜3回置換されていてもよいC5〜C12シクロアルキル基;C1〜C8アルキル基、C1〜C25チオアルコキシ基、および/またはC1〜C25アルコキシ基で1〜3回置換されていてもよいC6〜C24アリール基、特に、フェニルまたは1−ナフチルもしくは2−ナフチル;およびペンタフルオロフェニル;からなる群より選択され、
3は、C1〜C50アルキル基、好ましくはC4〜C25アルキル基である]によって表される1つ以上のジケトピロロピロール(DPP)骨格を有するDPPポリマーを含む。
【0030】
さらにより好ましくは、本発明の半導体構造の少なくとも1つの半導体領域に含まれるDPPポリマーは、式(Ia):
【化3】
のポリマー、式(Ib):
【化4】
のコポリマー、式(Ic):
【化5】
のコポリマー、および式(Id):
【化6】
のコポリマー
[式中、x=0.995〜0.005であり、y=0.005〜0.995であり、好ましくはx=0.2〜0.8であり、y=0.8〜0.2であり、ただし、x+y=1であり;
r=0.985〜0.005であり、s=0.005〜0.985であり、t=0.005〜0.985であり、u=0.005〜0.985であり、ただし、r+s+t+u=1であり;
n=4〜1000、好ましくは4〜200、より好ましくは5〜100であり、
Aは、式:
【化7】
[式中、a’=1、2、または3であり;a''=0、1、2、または3であり;b=0、1、2、または3であり;b’=0、1、2、または3であり;c=0、1、2、または3であり;c’=0、1、2、または3であり;d=0、1、2、または3であり;d’=0、1、2、または3であり;ただし、a''が0の場合、b’は0ではなく;
Ar1、Ar1’、Ar2、Ar2’、Ar3、Ar3’、Ar4、およびAr4’は、互いに独立して、場合により、縮合および/または置換されていてもよいヘテロ芳香族環または芳香環であり、好ましくは、
【化8】
であり、
3およびX4のうちの1つはNであり、かつもう一方はCR99であり;
99、R104、R104’、R123、およびR123’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、とりわけ、F、または場合により1つ以上の酸素原子または硫黄原子で中断されていてもよいC1〜C25アルキル基、とりわけ、C4〜C25アルキル、C7〜C25アリールアルキル、またはC1〜C25アルコキシ基であり;
105、R105’、R106、およびR106’は、互いに独立して、水素、ハロゲン、場合により、1つ以上の酸素または硫黄原子で中断されていてもよいC1〜C25アルキル;C7〜C25アリールアルキル、またはC1〜C18アルコキシであり;
107は、C7〜C25アリールアルキル、C6〜C18アリール;C1〜C18アルキル、C1〜C18ペルフルオロアルキル、またはC1〜C18アルコキシで置換されているC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;−O−または−S−によって中断されているC1〜C18アルキル;または−COOR124であり;
124は、場合により、1つ以上の酸素または硫黄原子によって中断されているC1〜C25アルキル基、とりわけ、C4〜C25アルキル、C7〜C25アリールアルキルであり;
108およびR109は、互いに独立して、H、C1〜C25アルキル、Eで置換されている、および/またはDで中断されているC1〜C25アルキル、C7〜C25アリールアルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されているC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されているC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されている、および/またはDで中断されているC1〜C18アルコキシ、またはC7〜C25アラルキルであり;または
108およびR109が一緒に、式=CR110111の基を形成し、式中、R110およびR111は、互いに独立して、H、C1〜C18アルキル、Eで置換されている、および/またはDで中断されているC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されているC6〜C24アリール、またはC2〜C20ヘテロアリール、もしくはGで置換されているC2〜C20ヘテロアリールであり;または、
108およびR109は一緒に、5または6員環を形成し、これらは、場合により、C1〜C18アルキル、Eで置換されている、および/またはDで中断されているC1〜C18アルキル、C6〜C24アリール、Gで置換されているC6〜C24アリール、C2〜C20ヘテロアリール、Gで置換されているC2〜C20ヘテロアリール、C2〜C18アルケニル、C2〜C18アルキニル、C1〜C18アルコキシ、Eで置換されている、および/またはDで中断されているC1〜C18アルコキシ、またはC7〜C25アラルキルで置換されていてもよく;
Dは、−CO−、−COO−、−S−、−O−、または−NR112−であり;
Eは、C1〜C8チオアルコキシ、C1−C8アルコキシ、CN、−NR112113、−CONR112113、またはハロゲンであり、
Gは、EまたはC1〜C18アルキルであり、ならびに
112およびR113は、互いに独立して、H;C6〜C18アリール;C1〜C18アルキルまたはC1〜C18アルコキシで置換されているC6〜C18アリール;C1〜C18アルキル;または−O−で中断されているC1〜C18アルキルであり、ならびに
B、D、およびEは、互いに独立して、式:
【化9】
または式(X)の基であり、ただし、B、D、およびEが式(X)の基である場合、それらはAとは異なっており、k=1であり;l=0または1であり;r=0または1であり;z=0または1であり;ならびに
Ar4、Ar5、Ar6、およびAr7は、互いに独立して、式:
【化10】
の基であり、
式中、X5およびX6のうちの1つはNであり、もう一方はCR14であり、
cは、1、2、または3の整数であり、
dは、1、2、または3の整数であり、
Ar8およびAr8’は、互いに独立して、式:
【化11】
の基であり、
1およびX2は、上記において定義した通りであり、
1''およびR2''は、同じ、または異なっていてもよく、ならびに、水素、C1〜C36アルキル基、とりわけC6〜C24アルキル基、C6〜C24アリール、特に、C1〜C8アルキル、C1〜C8チオアルコキシ、および/またはC1〜C8アルコキシで1〜3回置換されていてもよいフェニルまたは1−ナフチルもしくは2−ナフチル、あるいはペンタフルオロフェニルから選択され、
14、R14’、R17、およびR17’は、互いに独立して、H、または場合により1つ以上の酸素原子で中断されていてもよいC1〜C25アルキル基、とりわけC6〜C25アルキルである]からなる群より選択される。
【0031】
Ar1およびAr1’は、好ましくは、
【化12】
であり、より好ましくは、
【化13】
であり、
【化14】
が最も好ましい。
【0032】
Ar2、Ar2’、Ar3、Ar3’、Ar4、およびAr4’は、好ましくは、
【化15】
であり、より好ましくは、
【化16】
である。
【0033】
式:
【化17】
の基は、好ましくは、
【化18】
であり、より好ましくは、
【化19】
であり、最も好ましくは、
【化20】
である。
【0034】
1およびR2は、同じまたは異なっていてもよく、好ましくは、水素、C1〜C100アルキル基、とりわけC8〜C36アルキル基、から選択される。
【0035】
基Aは、好ましくは、
【化21】
から選択される。
【0036】
式:
【化22】
の基は、好ましくは、式:
【化23】
の基である。
【0037】
式Iaの好ましいDPPポリマーの例は、例えば、
【化24】
である。
【0038】
式Ibの好ましいDPPポリマーの例は、例えば、
【化25】
【0039】
【化26】
である。
【0040】
式Icの好ましいDPPポリマーの例は、例えば、
【化27】
である。
【0041】
特に、構造(Ia)、(Ib)、および(Ic)の、上記において説明した好ましいDPPポリマーにおいて、基R1およびR2は、互いに独立して、C1〜C36アルキル基、とりわけC8〜C36アルキル基である。nは、好ましくは4〜1000、とりわけ4〜200、非常にとりわけ5〜100である。R3は、好ましくはC1〜C18アルキル基である。R15は、好ましくはC4〜C18アルキル基である。添え字に関して、xは、好ましくは0.995〜0.005であり、yは、好ましくは0.005〜0.995である。より好ましくは、x=0.4〜0.9、およびy=0.6〜0.1であって、x+y=1である。
【0042】
本発明のとりわけ好ましい実施形態により、少なくとも1つの半導体領域に含まれる少なくとも1種のDPPポリマーは、構造(Ib)のDPPポリマーであり、さらにより好ましくは、構造(Ib−1)、(Ib−9)、(Ib−10)のDPPポリマーである。したがって、本発明は、上記において説明した半導体構造であって、DPPポリマーが、例えば、式(Ib−1):
【化28】
[式中、R1およびR2は、互いに独立して、C8〜C36アルキル基であり、n=4〜1000、好ましくは4〜200、より好ましくは5〜100である]のポリマーである、半導体構造に関する。構造(Ib−1)による1つのとりわけ好ましいDPPポリマーは、例えば、
【化29】
であり、Mw=39,500、および多分散度=2.2(HT−GPCによって測定)である。例えば、国際公開第2010/049321号の実施例1を参照する。
【0043】
ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードであり、特にフルオロである。
【0044】
1〜C25アルキル(C1〜C18アルキル)は、典型的には、可能な直鎖状または分岐鎖状である。その例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチルプロピル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチルおよび2−エチルヘキシル、n−ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ヘンエイコシル、ドコシル、テトラコシル、またはペンタコシルである。C1〜C8アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2,2−ジメチル−プロピル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、および2−エチルヘキシルである。C1〜C4アルキルは、典型的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0045】
1〜C25アルコキシ(C1〜C18アルコキシ)基は、直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシまたはtert−アミルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、ペンタデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、ヘプタデシルオキシ、およびオクタデシルオキシである。C1〜C8アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、2,2−ジメチルプロポキシ、n−ヘキソキシ、n−ヘプトキシ、n−オクトキシ、1,1,3,3−テトラメチルブトキシ、および2−エチルヘキソキシであり、好ましくはC1〜C4アルコキシ、例えば、典型的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシである。「アルキルチオ基」なる用語は、エーテル結合の酸素原子が硫黄原子で置換されていることを除いてアルコキシ基と同じ基を意味する。
【0046】
2〜C25アルケニル(C2〜C18アルケニル)基は、直鎖状または分岐鎖状のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、n−ペンタ−2,4−ジエニル、3−メチル−ブタ−2−エニル、n−オクタ−2−エニル、n−ドデカ−2−エニル、イソドデセニル、n−ドデカ−2−エニル、またはn−オクタデカ−4−エニルである。
【0047】
2〜24アルキニル(C2〜18アルキニル)は、直鎖状または分岐鎖状であり、ならびに、好ましくは、非置換であってもまたは置換されていてもよいC2〜8アルキニル、例えば、エチニル、1−プロピン−3−イル、1−ブチン−4−イル、1−ペンチン−5−イル、2−メチル−3−ブチン−2−イル、1,4−ペンタジイン−3−イル、1,3−ペンタジイン−5−イル、1−ヘキシン−6−イル、cis−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、トランス−3−メチル−2−ペンテン−4−イン−1−イル、1,3−ヘキサジイン−5−イル、1−オクチン−8−イル、1−ノニン−9−イル、1−デシン−10−イル、または1−テトラコシン−24−イルである。
【0048】
5〜C12シクロアルキルは、典型的には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシルであり、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであり、これらは、非置換であっても置換されていてもよい。シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基は、C1〜C4アルキル、ハロゲン、およびシアノで1〜3回置換されていてもよいフェニルによって、1回または2回縮合されていてもよい。そのような縮合されたシクロヘキシル基の例は:
【化30】
であり、特に、
【化31】
であり、式中、R151、R152、R153、R154、R155、およびR156は、互いに独立して、C1〜C8−アルキル、C1〜C8−アルコキシ、ハロゲン、およびシアノであり、特に水素である。
【0049】
6〜C24アリール(C6〜C18アリール)は、典型的には、フェニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、ビフェニル、as−インダセニル、s−インダセニル、アセナフチレニル、フルオレニル、フェナントリル、フルオランテニル、トリフェンレニル、クリセニル、ナフタセン、ピセニル、ペリレニル、ペンタフェニル、ヘキサセニル、ピレニル、またはアントラセニルであり、好ましくは、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、9−フェナントリル、2−フルオレニルもしくは9−フルオレニル、3−ビフェニルもしくは4−ビフェニルであり、これらは、非置換であっても置換されていてもよい。C6〜C12アリールの例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、3−ビフェニルもしくは4−ビフェニル、2−フルオレニルもしくは9−フルオレニル、または9−フェナントリルであり、これらは、非置換であっても置換されていてもよい。
【0050】
7〜C25アラルキルは、典型的には、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル、ω−フェニル−オクタデシル、ω−フェニル−エイコシル、またはω−フェニル−ドコシルであり、好ましくは、C7〜C18アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、ω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチル、ω−フェニル−ドデシル、またはω−フェニル−オクタデシルであり、特に好ましいのは、C7〜C12アラルキル、例えば、ベンジル、2−ベンジル−2−プロピル、β−フェニル−エチル、α,α−ジメチルベンジル、ω−フェニル−ブチル、またはω,ω−ジメチル−ω−フェニル−ブチルであり、これらの脂肪族炭化水素基および芳香族炭化水素基の両方は、非置換であっても置換されていてもよい。好ましい例は、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、ナフチルエチル、ナフチルメチル、およびクミルである。
【0051】
「カルバモイル基」なる用語は、典型的には、C1〜18カルバモイル基、好ましくはC1〜8カルバモイル基を表し、これらは、非置換であっても置換されていてもよく、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、tert−ブチルカルバモイル、ジメチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイル、またはピロリジノカルバモイルである。
【0052】
ヘテロアリールは、典型的には、C2〜C26ヘテロアリール(C2〜C20ヘテロアリール)、すなわち、5〜7個の環原子を有する環または縮合した環系であり、窒素、酸素、または硫黄が、可能なヘテロ原子であり、ならびに、典型的には、少なくとも6つの共役したπ電子を有する5〜30個の原子を有する不飽和複素環基、例えば、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ジベンゾ[b,d]チエニル、チアントレニル、フリル、フルフリル、2H−ピラニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、フェノキシチエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ビピリジル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、カルボリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズオキサゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソオキサゾリル、フラザニル、またはフェノキサジニルであり、これらは、非置換であっても置換されていてもよい。
【0053】
上記において言及した基の可能な置換基は、C1〜C8アルキル、ヒドロキシル基、メルカプト基、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、シアノ基、カルバモイル基、ニトロ基、またはシリル基であり、とりわけC1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルキルチオ、ハロゲン、ハロ−C1〜C8アルキル、またはシアノ基である。
【0054】
考えられる実施形態によれば、本発明の半導体構造が、1つの導体領域によって部分的に分離された2つの半導体領域を有する場合、当該2つの半導体領域のそれぞれは、構造(Ib)の少なくとも1種のDPPポリマー、より好ましくは、構造(Ib−1)の少なくとも1種のDPPポリマー、さらにより好ましくは構造(Ib−1)[式中、R1およびR2が、互いに独立して、C8〜C36アルキル基であり、n=4〜1000、好ましくは4〜200、より好ましくは5〜100である]の少なくとも1種のDPPポリマーを含むことが好ましい。本発明のさらにより好ましい実施形態により、両方の半導体領域は、同じDPPポリマー、さらにより好ましくは厳密に1種のDPPポリマーを含有する。
【0055】
特に、当該少なくとも1種の有機半導体材料によって構成されるポリマー、好ましくは当該少なくとも1種のDPPポリマー、の多分散度は、1.01〜10、好ましくは1.1〜3.0、より好ましくは1.5〜2.5である。
【0056】
当該少なくとも1つの導体領域内の開口部は、少なくとも200nm、好ましくは少なくとも250nm、最も好ましくは少なくとも500nmの内側幅を有する。さらに、当該開口部の内側幅は、少なくとも150nm、少なくとも200nm、少なくとも300nm、少なくとも400nm、少なくとも600nm、少なくとも800nm、少なくとも1000nm、少なくとも1200nm、少なくとも1400nm、少なくとも1600nm、少なくとも1800nm、または少なくとも2μmであり得る。そのような開口部を提供するために、様々な簡単な方法を用いることができる。特に、開口部の内側サイズが大きいことに起因して、当該開口部を、機械的方法により容易に提供することができる。そのような開口部を提供するための特定の方法工程は、本発明の方法との関連において以下に示す。当該開口部は、実質的に円形の内側断面を有する。
【0057】
本発明の実施形態により、当該少なくとも1つの導体領域内の開口部は、エンボス加工された開口部、機械的に切断された開口部、またはレーザーカットされた開口部である。特に、当該開口部は、エンボス加工された開口部であり得、これは、導体材料の層中へとプレスすることによって形成される。パターン形成されたマトリックスを使用することもでき、これを導電層中へとプレスして、導体材料を機械的に除去することにより、結果として得られる開口部を形成する。したがって、当該開口部は、パターン形成されたマトリックスを使用して形成することができる。さらに、当該開口部は、切断することによって形成することができ、2つの切断マトリックスを使用して、それらを導体材料の層中へと当該層の両側からプレスし、それによって当該開口部の位置から導体材料を切除する。特に、開口部を提供するために使用されるそのようなマトリックスは、ローラーの形状を有していてもよい。エンボス加工された開口部が提供される場合、導体材料の層は、個別の層、または基材によって支持された層、例えば、半導体領域によって支持された層であり得る。さらに、当該開口部は、レーザーカットされた開口部であり得、それらは、開口部の位置において層内の導体材料を蒸発させることによって形成される。レーザーカットされた開口部の場合、当該開口部は、導体領域を形成している導体材料の個別の層内に形成することができ、または、基材、例えば半導体領域によって、支持されている層により形成することができる。開口部を含む導体領域は、ホイル、シート、または導体材料の被着層によって提供することができる。
【0058】
導体領域の導体材料は、金属、合金、または導電性ポリマー、好ましくは金属、より好ましくは、Al、Cr、Cu、Fe、In、Sb、Si、Sn、およびZnからなる群より選択される金属、を含む、または好ましくは当該金属からなり、当該金属は、特にAlである。当該合金は、好ましくは、これらの金属のうちの少なくとも2種を含む合金である。当該導体材料は、金属、合金、または導電性ポリマーの均一な構造として提供することができ、または、金属、合金、または導電性ポリマーの少なくとも2種を含む化合物であってもよい。特定の実施形態において、当該導体材料は、ナノチューブによって提供され、これは、金属、合金、または導電性ポリマーの混合物内において提供することができる。別の実施形態において、導体材料は、濃くドープされた半導体材料によって提供される。濃くドープされた半導体材料は、高い電気伝導性を提供するので、そのような濃くドープされた半導体材料は、導体材料の電気比抵抗を示す限り、本発明の意味において、導体材料と見なされる。さらに、金属または合金の代わりに、それらの電気伝導性化合物を使用することもできる。特に、導体材料として、インジウムスズ酸化物を使用することができる。特に、濃くドープされた半導体材料は、高濃度においてp型ドーパント、または好ましくはn型ドーパントでドープすることにより結果として高い電気伝導性を有している半導体材料である。導体材料および、特に、濃くドープされた半導体材料は、1×102Ωm未満、1×101Ωm未満、または1Ωm未満の電気比抵抗を有する。
【0059】
したがって、本発明は、少なくとも1つの導体領域と当該少なくとも1つの導体領域によって部分的に分離されている少なくとも2つの半導体領域とを含む半導体構造を含み、当該少なくとも1つの導体領域は、それぞれの導体領域によって部分的に分離されている当該半導体領域の間に延びる開口部を含み、当該半導体領域は、上記において説明したDPPポリマーから選択される少なくとも1種の有機半導体材料を含み、当該導体領域は、Al、Cr、Cu、Fe、In、Sb、Si、Sn、およびZnからなる群より選択される金属を含み、当該金属は、特にAlである。
【0060】
本発明の半導体構造の一実施形態は、半導体領域の端面に少なくとも2つの電極を備え、好ましくは当該半導体領域の両端面のそれぞれに1つの電極を備える。電極ならびに導体領域はそれぞれ、接触領域を含む、または外部接触に適した導体を備える。当該電極は、半導体の面にあり、これは、導体領域によって覆われていない。好ましくは、すべての導体領域は、2つの半導体領域間に位置し、結果として、2つの電極間に位置する。当該電極は、当該半導体領域および当該少なくとも1つの導体領域と同じ広さに広がっている。電極は、導体材料によって、好ましくは|EE|≧|EH|−0.3eVの仕事関数EEを有する導体材料によって提供される。さらに、当該電極材料の仕事関数EEの絶対値は、好ましくは、|EH|+0.9eV以下である。当該電極は、一体化層であり、これは、好ましくは連続している。一例として、当該電極は、実質的にAuまたはAgからなる。しかしながら、さらに、他の導体材料、例えばインジウムスズ酸化物または酸化亜鉛を使用することもでき、または、材料は少なくとも1種の導電性ポリマーを含む。導体が、外部接触のために提供される場合、当該導体は、少なくとも部分的に、電極の横方向に広がっている。さらに、各電極は、多層化された部分構造を有することができ、EEの仕事関数を有する電極材料は、半導体領域に隣接する部分構造または半導体領域のコーティングによって提供され、このコーティングは、EEの仕事関数を有する電気伝導性基材上に提供される。それぞれの導体領域によって部分的に分離されている半導体領域は、上記導体領域の開口部を介して互いに直接接触している。当該半導体領域は、開口部の側方に位置するそれぞれの導体領域のセクションによるそれぞれの導体領域によって分離されている。当該半導体領域は、開口部の側方に位置するセクション内の導体領域の材料によって分離されている。これらのセクションは、半導体領域のうちの少なくとも1つに電界を適用するために提供される。それぞれの導体領域の両側に位置する半導体領域は、開口部を介して互いに物理的に接続されている。好ましくは、開口部を通って延びる半導体材料が、連続的な内側開口部セクションを形成している。当該半導体領域は、それぞれの導体領域の両側に位置しており、好ましくは当該半導体材料の内側開口部セクションを介して、連続的にかつ物理的に互いと接続されている。このように、本発明の半導体構造は、導体領域によって部分的に分離されている半導体領域間に自由電荷キャリアの輸送を提供するよう適合される。
【0061】
本発明の半導体構造は、2つの半導体領域を部分的に分離している導体領域を含む、または好ましくは、実質的に、2つの半導体領域を部分的に分離している導体領域からなる。当該導体領域および当該2つの半導体領域は、縦型トランジスタ構造を提供し、当該導体領域は、半導体領域間の導電率制御に適したゲート、基盤、またはグリッドを提供する。そのような半導体構造の特定の実施形態は、2つの半導体領域を分離している1つの導体領域、ならびに2つの電極を含む。導体領域とは反対側の、半導体領域のそれぞれの端面は、それぞれ、電極のうちの1つを備える。結果として得られる縦型トランジスタ構造は、電極間に、電流を制御可能に提供するよう適合されており、当該電流は、ゲート、すなわち、片側の導体領域と他方の片側の電極のうちの1つの間の電圧または電流によって制御される。そのような構造において、好ましくは、2つの半導体領域のそれぞれは、同じ有機半導体材料、好ましくは同じDPPポリマー、を含む。特に、当該2つの半導体領域のそれぞれは、同じ有機半導体材料、好ましくは同じDPPポリマーからなる。
【0062】
当該半導体領域のうちの少なくとも1つの当該有機半導体材料は、最も好ましくは、キャストされた材料、特にスピンキャストされた材料、コーティングされた材料、または印刷された材料である。キャストされた材料は、少なくとも1種の溶媒中における有機半導体材料の溶液によって、ならびにそのような溶媒を、例えば蒸発によって、除去することにより提供される。当該半導体材料の電気特性は、有機半導体材料の微細構造によって設定することができ、当該微細構造は、主に、当該キャストされた材料の被着方法によって確定される。さらに、当該材料は、溶解された半導体材料の形態において印刷することができる。特に、当該半導体材料は、インクジェット印刷された材料であってもよい。インクジェット印刷された材料は、半導体構造が広がる方向に沿って半導体構造をパターン形成するために、所望のパターンにおいて提供することができる。
【0063】
本発明のさらなる態様により、本発明の半導体構造を製造する方法が提供される。当該方法は、以下の工程:
(a)少なくとも1つ種の有機半導体材料を含む少なくとも2つの半導体領域を提供する工程;
(b)当該少なくとも2つの半導体領域間に少なくとも1つの導体領域を提供する工程;
(c)当該導体領域全体にわたって広がる当該少なくとも1つの導体領域に開口部を提供する工程;および
(d)当該少なくとも1つの導体領域の開口部を介して当該少なくとも2つの半導体領域を部分的に接触させる工程
を含む。
【0064】
好ましい方法において、工程(b)は、導体材料の連続層として当該少なくとも1つの導体領域を提供する工程を含み、工程(c)は、当該連続層を通る、200nm超の、好ましくは250nm超の、より好ましくは500nm超の内側幅の開口部を、エンボス加工、機械的切断、またはレーザーカットする工程を含む。この好ましい方法工程(b)において、導体領域のうちの少なくとも1つは、通常、個別の連続シートとして提供され、ならびに工程(c)は、(b)の完了前かつ当該導体領域が少なくとも2つの半導体領域のうちの1つと接合される前、途中、または後に実施される。当該個別の連続シートは、好ましくは、作成済みのシートである。
【0065】
あるいは、上記の好ましい方法は、工程(b)において、当該導体領域の少なくとも1つが、(a)において提供される少なくとも2つの半導体領域のうちの1つの上に、好ましくは蒸着によって被着され、ならびに(b)の完了前かつ当該導体領域が被着される途中または後に工程(c)が実施されるように、実施され得る。
【0066】
さらに好ましいのは、各半導体領域に対して、(a)が、1つ以上の工程において基材上にまたは当該少なくとも1つの導体領域上に有機半導体材料を適用する工程を含む方法であって、当該有機半導体材料が、当該有機半導体材料を含む、溶液、懸濁液、またはエマルションのような自由流動形態において、好ましくはキャスト、噴霧、または印刷によって適用される、または当該有機半導体材料が固体形態において適用され、ならびに(d)が、これらの半導体領域のうちの少なくとも1つにおける当該有機半導体材料を、特にキャストにより、好ましくは(a)の途中に、開口部中に適用する工程を含む方法である。この方法により、当該有機半導体材料は、多くの場合、少なくとも1種の有機溶媒中における材料の溶液または分散液として提供され、当該溶液は、好ましくは、当該溶液または分散液の総質量に対して0.5〜20質量%の有機半導体材料を含有する。当該溶液または分散液は、基材上にスピンキャストされ得る。
【0067】
好ましい方法において、上記のプロセスは、下記の工程:
(i)少なくとも1種の有機半導体材料を含む少なくとも1つの半導体領域を提供する工程;
(ii)当該半導体領域に接触する少なくとも1つの導体領域を提供する工程;
(iii)導体領域全体にわたって広がる当該少なくとも1つの導体領域に、開口部を提供する工程;
(iv)導体領域が少なくとも2つの半導体領域間に存在するように、当該導体領域と接触する、少なくとも1種の有機半導体材料を含む少なくとも1つの半導体領域を提供する工程;および
(v)当該少なくとも1つの導体領域の開口部を通って、当該少なくとも2つの半導体領域5を部分的に接触させる工程
を実施することにより行われる。
【0068】
上記の方法の工程(ii)および(iii)の一実施形態は、予め形成された開口部(ii)を有する導体を適用しており、それらの別の実施形態は、第一半導体(iii)への適用後に開口部を形成する工程、すなわち、
(a)当該半導体領域に接触している、導体領域全体にわたって広がる当該少なくとも1つの導体領域における開口部を備える当該少なくとも1つの導体領域を提供する工程;または
(b)当該半導体領域に接触する少なくとも1つの導体領域を提供し、続いて、導体領域全体に広がる当該少なくとも1つの導体領域における開口部を提供する工程
を含む。
【0069】
当該第二半導体領域が提供される場合(工程iv)、開口部を通っての当該第一半導体層との接触(工程v)は、別の工程として、または好ましくは直ちに形成され得る。
【0070】
さらに、電極材料を半導体領域の端面の少なくとも一方の上に被着させることによって、または電極材料を提供してその上に半導体領域の少なくとも1つを適用することによって、少なくとも2つの電極が半導体領域の端面に適用される方法であって、当該電極材料が、好ましくはAu、Ag、Pt、Pd、またはこれらの材料のうち少なくとも2つの合金である方法が好ましい。
【0071】
工程(a)の有機半導体材料は、HOMO(最高被占分子軌道)エネルギーレベルEHを有し、EHは、5.0eV≦|EH|≦5.8eVによって定義される。工程(b)において提供される少なくとも1つの導体領域は、|EH|−1.5eV≦|EC|≦|EH|−0.4eVによって定義される仕事関数ECを有する導体材料を含む。
【0072】
エネルギーレベルEHの範囲に対する代替の範囲は、5.1eV≦|EH|≦5.8eV、5.0eV≦|EH|≦5.7eV、または好ましくは5.1eV≦|EH|≦5.7eVである。
【0073】
HOMO/LUMO値は、サイクリックボルタンメトリー(Autolab PGSTAT30(登録商標) Potentiostat)を使用して、Pt作用電極、Agカウンター電極、および疑似参照電極としてAgClでコーティングされたAgを使用して実験的に得られ;電解質は、O−ジクロロベンゼン中における0.1Mテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートであり;内部参照はフェロセンである。
【0074】
特に、当該半導体領域、当該有機半導体材料、当該少なくとも1つの導体領域、および/または当該導体材料は、本発明の半導体構造に関して上記において提供された定義に従って提供される。
【0075】
好ましくは、工程(b)は、導体材料の連続層として少なくとも1つの導体領域を提供する工程を含む。さらに、工程(c)は、当該連続層を通る、200nm超の、好ましくは250nm超の、より好ましくは500nm超の内側幅の開口部を、エンボス加工、機械的切断、またはレーザーカットする工程を含む。特に、工程(c)によって提供される開口部は、少なくとも150nm、200nm、300nm、400nm、または600nmの内側幅で提供される。さらに、当該内側幅は、少なくとも800nm、少なくとも1000nm、少なくとも1200nm、少なくとも1400nm、少なくとも1600nm、少なくとも1800nm、または少なくとも2μmであり得る。当該導体領域はコーティングすることができ、ならびに当該開口部は、コーティングとして連続層を適用した後に提供することができる。あるいは、当該導体領域は、当該導体領域が提供されるときに当該開口部が形成されるようにパターン形成することによって、適用することもできる。
【0076】
当該導体領域は、導体材料をコーティングまたはパターン形成することによって、特に、溶媒中に溶解された導体材料をコーティングまたはパターン形成することによって、提供することができる。当該導体材料は、例えば化学蒸着によって、または他の好適なコーティング方法もしくはパターン形成方法によって、スプレーコーティング、印刷(特にインクジェット印刷)、被着することができる。概して、当該導体領域を提供するためにサブトラクティブ法またはアディティブ法を使用することができる。特に、これらの方法は、ロールツーロール技術である。アディティブ法は、導体材料の、特に、蒸着、スパッタリング、コーティング、または印刷による被着を含む。当該パターンは、当該導体材料の除去または改質によって形成される。特に、除去は、当該導体材料のエッチング、リフトオフ、層間剥離、またはレーザーアブレーション/レーザーカットと組み合わされたリソグラフ法を含む。改質は、当該導体材料のエンボス加工、酸化、露光、または化学処理を含む。サブトラクティブ法は、印刷、例えば、グラビア印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、マイクロコンタクトプリント法を含む。さらに、サブトラクティブ法は、導体材料を加える前のシャドウマスクの適用を含み、当該導体材料は、蒸発またはスパッタリングによって加えられる。さらに、サブトラクティブ法は、特にスタンピングによる、ラミネート加工による、または熱転写による、導体材料の転写を含む。
【0077】
これらの方法は、半導体材料の端面に電極を提供するために使用することもでき、導体材料の代わりに電極材料が用いられる。
【0078】
有利なことに、導体領域のうちの少なくとも1つは、個別の連続シートとして提供される。さらに、開口部を提供する工程(c)は、当該少なくとも1つの導体領域を提供する工程(b)の完了前に実施される。当該開口部は、個別の連続シートを使用して、この個別の連続シートに、エンボス加工、機械的切断、またはレーザーカットにより穿孔し、当該穿孔された連続シートを、特にラミネート加工によって半導体領域上に適用することによって、当該少なくとも1つの導体領域に提供することができる。さらに、1工程として、当該開口部は、連続シートを当該半導体領域のうちの1つと接合することによって、例えば、当該シート中に当該開口部をプレスまたは切断するのに適した外構造を有するローラーを使用して、当該連続シートを当該半導体領域上にプレスすることによって提供することができる。したがって、当該ローラーは、導体領域と半導体領域を接合すると同時に当該シートに開口部をエンボス加工または切断するために、当該シートを当該半導体領域上にプレスする。さらに、当該開口部は、導体領域が半導体領域と接合された後に、レーザーカットによって、機械的切断によって、またはエンボス加工によって提供することができる。このように、第一工程として、例えばラミネート加工または蒸着によって、導体領域が半導体領域と接合され、続く第二工程として、既に半導体領域と接合されているシート中に、開口部が切断またはエンボス加工される。好ましくは、エンボス加工は、当該開口部の構造に対して相補的な構造を有するスタンプを使用したナノインプリンティングによって提供される。
【0079】
例示的実施形態において、当該個別の連続シートは、作成済みのシートである。当該個別の連続シートは、当該シートを半導体領域と接合する前に、既にすべての構造的特徴を備えている。当該作成済みのシートと半導体構造内の導体領域は、開口部をはじめとする同じ構造的特徴を有する。
【0080】
別の実施形態において、当該少なくとも1つの導体領域は、工程(a)において提供される少なくとも2つの半導体領域のうちの1つの上に被着される。当該少なくとも1つの導体領域は、好ましくは、蒸着によって被着される。開口部を提供する工程(c)は、当該少なくとも1つの導体領域を提供する工程(b)の完了前、かつ当該導体領域が被着される途中または後に実施される。したがって、当該開口部は、当該導体領域が当該少なくとも2つの半導体領域のうちの1つと接合される途中または後に、工程(c)により提供される。したがって、当該開口部は、隣接する半導体領域と既に接合されている導体領域中に、エンボス加工、機械的切断、またはレーザーカットされる。
【0081】
各半導体領域に対して、工程(a)は、1つ以上の工程において、基材上または少なくとも1つの導体領域上に有機半導体材料を適用する工程を含む。有機半導体材料は、当該有機半導体材料を含む、溶液、懸濁液、またはエマルションのような自由流動形態において、好ましくはキャスト、噴霧、または印刷によって適用される。あるいは、当該有機半導体材料は、固体形態において適用され、工程(d)は、好ましくは当該半導体領域を提供する工程(a)の途中に、これらの半導体領域のうちの少なくとも1つにおける当該有機半導体材料を、特にキャストすることによって、開口部中に適用する工程を含む。当該有機半導体材料は、特に、スプレーコーティング、ナイフコーティング、または他の適切な被着技術により、自由流動形態において適用される。
【0082】
当該半導体材料を適用するための好適なコーティング方法としては、スピンコーティング、スロットダイコーティング(押出コーティングとも呼ばれる)、カーテンコーティング、リバースグラビアコーティング、ブレードコーティング、スプレーコーティング、およびディップコーティングが挙げられる。
【0083】
半導体材料を適用するための好適な印刷方法としては、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、特に順方向でのグラビア印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、およびリバースオフセット印刷が挙げられる。
【0084】
スピンコーティングおよびインクジェット印刷は、好ましい方法である。概して、当該少なくとも2つの半導体領域を適用するための方法は、同じ方法である、または異なる方法である。特に、少なくとも2つの半導体領域のうちの1つは、スピンコーティングによって適用することができ、ならびにこれらの少なくとも2つの半導体領域のうちの別の1つは、インクジェット印刷によって提供することができる。
【0085】
さらに、当該有機半導体材料は、固体形態において、特に半導体材料の固体層として適用することができ、当該層は、ラミネート加工によって適用される。
【0086】
これらの半導体領域のうちの少なくとも1つにおける有機半導体材料は、液体形態において、特に溶液として、特に当該半導体材料をキャストすることによって、開口部中に適用される。このようにして、当該開口部は、開口部を含む導体領域によって分離された2つの半導体領域間に物理的接触を提供するために、半導体材料によって満たされる。当該開口部中への半導体材料の適用は、半導体材料を当該開口部に向かってプレスすることによって、例えば、スピンコーティングによってまたは開口部に向かって表面を当該半導体材料上にプレスすることによって、支援することができる。
【0087】
自由流動形態において有機半導体材料を適用する場合、当該半導体材料は、少なくとも1種の溶媒中における当該材料の溶液または分散液として提供される。当該溶液は、好ましくは、0.1〜20質量%の当該有機半導体材料を含有する。特に、当該含有量は、0.1〜8質量%、例えば、1〜8質量%、とりわけ0.5〜4質量%、または1〜2質量%の有機半導体材料であり、当該半導体材料のさらに有利な範囲は、2〜6質量%または3〜5質量%である。有利には、有機半導体材料の含有量は、10質量%、または8質量%、あるいは5質量%を超えず、ならびに、少なくとも0.5質量%、好ましくは少なくとも1質量%、より好ましくは少なくとも2質量%である。当該有機溶媒は、単一の溶媒または二成分溶媒(すなわち、2種以上の溶媒の混合物)であってもよく、それらは、添加剤を用いてまたは用いずに使用することができる。特に、ジクロロベンゼン、好ましくは1,2−ジクロロベンゼンまたは1,3−ジクロロベンゼン、を使用することができる。さらに、トルエンも溶媒として使用することができる。
【0088】
本出願により配合物を製造する好適な溶媒は、DPPポリマーと可能な添加剤とが十分な溶解性を有する有機溶媒である。さらなる好適な有機溶媒の例としては、これらに限定されるわけではないが、石油エーテル、芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、トルエン、アニソール、キシレン、ナフタレン、クロロナフタレン、テトラリン、インデン、インダン、シクロオクタジエン、スチレン、デカリン、およびメシチレン;ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、および塩化エチレン;エーテル、例えば、ジオキサン、およびジオキソラン;ケトン、例えば、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノン;脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサンおよびシクロヘキサン;ならびに上記溶媒の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0089】
好ましい溶媒は、ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン、テトラリン、クロロホルム、メシチレン、およびそれらの2つ以上の混合物である。
【0090】
好ましくは、当該有機半導体材料は、自由流動形態において、溶液として、特に、少なくとも1種の有機溶媒中における当該半導体材料の溶液として適用され、当該溶液は、有機半導体材料が適用される基材上にスピンキャストされる。当該基材および/または溶液は、当該半導体材料の適用の際に、少なくとも45℃、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも70℃で加熱することができる。さらに、適用の際の当該基材および/または当該有機半導体材料の温度は、150℃、140℃、好ましくは120℃を超えない。特に、当該半導体材料の適用中、当該溶液および/または基材の温度は、当該少なくとも1種の有機溶媒の沸点を超えない。しかしながら、当該半導体材料(ならびに、適切であれば基材も)は、好ましくは、その適用の際に室温である。
【0091】
当該少なくとも1種の溶媒を除去するため、当該基材および/または溶液は、当該少なくとも1種の溶媒を強制的に蒸発させるために加熱される。当該溶媒は、溶存形態における半導体材料の適用の後に除去される。当該加熱工程は、熱気流を適用することによって、赤外線を基材および/または溶液に照射することによって、または基材および/または溶液をホットプレート上もしくは乾燥オーブン内に置くことによって、実施することができる。
【0092】
好ましい実施形態の場合、当該半導体材料は、室温(20℃)において適用される。当該半導体材料は、より高い温度において、ただし、好ましくは溶媒の沸騰より低い温度において乾燥される。当該半導体材料は、好ましくは、少なくとも45℃、少なくとも60℃、有利には70℃の温度において乾燥される。好ましくは、当該半導体材料は、150℃、140℃、または好ましくは120℃を超えない温度において乾燥される。
【0093】
本発明の方法のさらなる実施形態は、電極の適用に関する。この実施形態において、少なくとも2つの電極は、電極材料を半導体領域の端面の少なくとも一方の上に被着させることによって、またはその上に半導体材料のうちの少なくとも1種が適用される半導体材料を提供することによって、当該半導体領域の両面に適用される。したがって、使用される電極材料は、好ましくはAu、Ag、Pt、Pd、これらの金属のうちの少なくとも2つの合金もしくは化合物、または電極に使用される任意の他の導体材料である。当該電極材料は、金属、少なくとも2種の金属の合金、少なくとも1種の導電性ポリマー、または少なくとも電気伝導性の金属化合物であり得る。特に、インジウムスズ酸化物(ITO)または他の電気伝導性金属化合物を使用することができる。さらに、導電性ポリマー、例えば、PEDOT:PSSまたはポリアニリンを、電極材料として使用することができる。当該電極材料は、蒸着によって適用することができ、または当該半導体領域の端面上にラミネート加工することができる。さらに、当該電極材料は、導電性接着剤を使用して、当該端面のうちの少なくとも一方に取り付けることができる。
【0094】
さらに、当該電極は、半導体材料と反対側に接触領域を備え得る、またはそれらに取り付けられた、外部接触を提供するために適した導体を備え得る。
【0095】
好ましくは、開口部の内側幅と、当該開口部が提供されている半導体領域の厚さとの比率は、少なくとも2、4、5、10、または20である。
【0096】
本発明を、以下の実施例によって説明する。特に明示されない限り、室温は、18〜23℃を意味し、「仕事関数」なる用語は、真空での仕事関数を意味し、百分率は、質量百分率である(多くの場合、質量%または質量%なる略語)。
【0097】
実施例
実施例1
厚さ40nmの金電極が上に蒸着されているガラス基板を提供した。次に、国際公開第2010/049321号の実施例1によるDPPポリマー(サイクリックボルタンメトリー/Autolab PGSTAT(登録商標) 30によって特定した場合のHOMO:|EH|=5.35eV)を、トルエン中における5%のDPPの溶液の形態において適用する。5%のDPPを含有する当該溶液を、1000rpmでスピンキャストし、90℃で乾燥させる。当該スピンキャストしたDPPは、第一半導体領域を形成する。特に、当該溶液は、50℃未満、または室温(20℃)において乾燥させることができる。
【0098】
この第一半導体領域を適用した後に、当該半導体領域の上に導体領域を、厚さ40nmにおいて、蒸発させたアルミニウムの形態において適用する(仕事関数|EC|=4.3eV)。当該蒸発させたアルミニウムに、ナノインプリントリソグラフィによって開口部を提供する。当該開口部は、300〜500nmの直径を有している。当該開口部はグリッド状において配置し、当該開口部は、2μmの中心間距離を有する。導体領域の面積に対する当該開口部の断面積の比率は0.196%である。当該第一半導体領域の厚さは1μmである。当該導体層は、蒸発技術によって、特にスパッタリングによって適用した。
【0099】
当該開口部は、シリコンウェハを含むナノインプリントスタンプによって提供する。当該シリコンウェハは、100mmの直径を有する。当該スタンプは、およそ135nmの高さと350nmの直径を有する突起部を備える。当該突起部は、およそ円形の断面を有する。当該スタンプを、20〜80Nの力、特に20〜40Nの力で導体領域上にプレスした。この力を、100mmのシリコンウェハのエリアに適用した。当該導体層(およびその下の半導体層)内の、結果として得られる窪みは、およそ100nmの深さおよび300〜500nmの幅を有する。当該スタンプを、室温(20℃)において導体層中へとプレスする。好ましくは、100℃未満、特に50℃未満において、当該スタンプを導体領域中へとプレスする。
【0100】
当該スタンプは、UVリソグラフィによって形成されており、レジストは、酸素プラズマによって除去される。結果として得られる構造は、アイソトープ乾式エッチングにより形成する。
【0101】
40nmのアルミニウム層の形態において導体領域を適用した後、ジクロロベンゼン中におけるDPPの4%溶液を、インクジェット印刷によって適用する。当該溶液を被着させ、75℃で乾燥させる。結果として得られる半導体領域は、1μmの平均厚さを有する。
【0102】
第二半導体領域を適用した後、厚さ40nmの金の電極を、蒸着により適用した。
【0103】
100μAの電流が、3Vのゲート電圧において達成された。さらに、移動度は0.05cm2/Vsであった。バルク電荷キャリア濃度は、2×1015cm-3であり、バルク導電率は500Ωmであった。第一半導体領域の厚さは、キャパシタンス法を用いて測定した。当該移動度は、結果として得られる、FET構成の半導体構造を用いて測定し、当該バルク電荷キャリア濃度は、導体領域と第一半導体領域とによって形成されるショットキー接触における容量/電圧法を用いて測定した。トランジスタは、0.1mm2の断面積を有しており、導体領域内の開口部の総数は24000であった。
【0104】
半導体材料としてのDPPと導体材料としてのアルミニウムとを含む半導体構造により、1〜2×1015cm-3のバルク電荷キャリア密度および0.8〜0.4Vの順バイアス電圧降下を有するショットキー接触を形成することができた。さらに、0.3〜0.8μmの空乏幅が得られた。これらの結果は、4%または5%のDPPの溶液をスピンキャストすることによって提供される半導体領域と、33nmまたは40nmのアルミニウムによる導体領域とを備える半導体構造を意味する。当該導体領域は、直径200〜500nmの開口部を有するアルミニウムによって形成した。
【0105】
実施例2
第二実施例において、導体領域は、200nmの内側幅の開口部を有する、蒸着された40nmのアルミニウム層により形成した。当該開口部は、500nmの中心間距離においてグリッド状に整列させた。当該半導体領域は、実施例1に従って製造した。実施例1と対照的に、結果として得られた実施例2の開口部は、結果として、導体領域の面積に対する当該開口部の断面積の比率が0.126であった。実施例1のように、実施例2では、3Vにおいて0.53A/cm2のバルク電流密度が得られた。実施例2の開口部の総数は、0.16mm2の面積に対して600000であった。実施例1のように、キャパシタンス法により測定した半導体領域の厚さ1μmにおいて、3Vにおいて100μAの電流が得られた。バルク電荷キャリア濃度、導電率、および移動度に関して、実施例1と同じ結果が得られた。
【0106】
半導体材料としてDDPおよび導体材料としてアルミニウムを用いた、本発明のさらなる実施例において、1.3×1015cm-3の電荷キャリア濃度ならびに760nmの空乏幅が得られた。さらに、2.3×1015cm-3の電荷キャリア濃度および450nmの空乏幅が、半導体材料としてのDPPおよび導体材料としてのアルミニウムによって得られた。
【図面の簡単な説明】
【0107】
図1図1は本発明の半導体構造の概略図である。
【0108】
図の詳細な説明
図1において、本発明の半導体構造の実施形態が、側断面図において示されている。当該描画は、特に当該構造の要素の幅に関して、一定の縮尺で描かれているわけではない。当該半導体構造は、電気接続12を有する電極10を備える。電極10は、導体材料で作成されている。さらに、当該構造は、導体領域20を含み、これは開口部22を備える。当該開口部22は、導体領域20が広がる方向に対して垂直に延びている。第一電極10と導体領域20との間に、第一電極10から導体領域20へと広がっている第一半導体領域30が提供されている。半導体領域30と反対側の、導体領域20の側部に、第二半導体領域40が位置している。さらに、第二電極50は、電気接続52を有する。第二電極50は、導体領域20および第一半導体領域30の反対側の、第二半導体領域40の側部に配置されている。したがって、第一電極10および第二電極50は、半導体構造の反対側の端面に位置している。特に、電極10および50は、導体領域20の反対側の、半導体領域30および40の端面に位置している。
【0109】
図1の構造は、電極10および50、導体領域20、ならびに第一および第二半導体領域30および40が、一定の厚さの層として提供されるような積層構造である。第一半導体領域30および第二半導体領域40が、開口部22内において半導体材料によって互いに物理的に接続されるよう、開口部22は半導体材料で満たされている。導体領域20は、当該導体領域20に対してある特定の電圧を印加するために、電気コネクタを備えていてもよい。
【0110】
例えば、ある特定の電圧が第二電極50と導体領域20の間に印加される場合、中間の半導体領域40、すなわち、第二半導体領域は、その電気特性に関して変化する。特に、導体領域20と第二電極50の間の電圧は、第二半導体領域40内に電界を生じ、これが、第二半導体領域40内の自由電荷キャリアまたはそれらの同等物のバルク濃度を上昇させる。したがって、追加の電圧が電極50および10に印加される場合、半導体領域30、40内の自由電荷キャリアに基づいて電流が発生し、当該自由電荷キャリアのバルク濃度は、導体領域20に適用される電圧によって制御される。このように、利得が発生され得、ならびに導体領域20における電圧は、第一および第二電極10、50の電気接続12と52の間の電流を制御する。特に、電極10と50の間に電圧差を適用することより、電荷キャリア移動が、導体領域20に電圧を印加することによって制御される。この電圧は、導体領域20および半導体領域30に広がる空乏の範囲を変える。さらに、導体領域20および半導体領域40に広がる空乏の範囲を変えることができる。これにより、電荷キャリアのためのチャネルが開かれ、当該電荷キャリアが、当該開口部22を通って半導体領域30から半導体領域40へと移動する。導体領域20に電圧が印加されていない場合、空乏の範囲は、22のエリアを覆い、電荷は、開口部を通って移動せず、結果、半導体領域30と40の間の輸送電流はゼロとなる。
【0111】
例示的実施形態により、電極10および50は、金の層を蒸着させることによって形成することができ、ならびに第一および第二半導体領域30、40は、DPPの層によって提供することができ、当該層は、好ましくは、溶媒中に溶解させた有機半導体材料をキャストすることによって製造される。当然のことながら、溶解させた有機半導体材料を適用した後、当該溶媒は、それぞれの半導体領域30、40に別の構造要素が適用される前に除去しなければならない。導体領域20は、好ましくは100nm未満または50nm未満の厚さを有する、アルミニウムの層によって形成することができる。導体領域20における開口部22は、アルミニウムの層中にナノインプリンティングリソグラフィによって提供され、当該アルミニウムの層は、導体領域20を提供し、ならびに半導体領域30または40のうちの一方へのアルミニウムの蒸着によって形成される。当該開口部22は、例えば500nmの内側幅を有する。
【0112】
引用文献
・ 国際公開第2010/049321号
・ 国際公開第2008/000664号
・ 米国特許出願公開第2006/0086933(A1)号
・ 米国特許出願公開第2009/0001362(A1)号
・ Yu−Chiang Chao et.al.,"High−performance solution−processed polymer space−chargelimited transistor",Organic Electronics 9(2008),pp.310−316
・ Yasuyuki Watanabe et.al.,"Characteristics of organic inverters using vertical− and lateral−type organic transistors",Thin Solid Films 516(2008),pp.2731−2734
・ 米国特許出願公開第2005/0196895(A1)号
・ 米国特許出願公開第2009/0042142(A1)号
・ 米国特許第6,451,459(B1)号
・ 国際公開第05/049695号
・ 国際公開第2010/049323号
・ 国際出願第PCT/EP2010/053655号
・ 国際出願第PCT/EP2010/054152号
・ 国際出願第PCT/EP2010/056778号
・ 国際出願第PCT/EP2010/056776号
【符号の説明】
【0113】
10 第一電極、 12 電気接続、 20 導体領域、 22 開口部、 30 第一半導体領域、 40 第二半導体領域、 50 第二電極、 52 電気接続
図1