特許第6005067号(P6005067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6005067カプセルコアとしてパラフィン組成物を有するマイクロカプセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6005067
(24)【登録日】2016年9月16日
(45)【発行日】2016年10月12日
(54)【発明の名称】カプセルコアとしてパラフィン組成物を有するマイクロカプセル
(51)【国際特許分類】
   B01J 13/14 20060101AFI20160929BHJP
   C09K 5/06 20060101ALI20160929BHJP
【FI】
   B01J13/14
   C09K5/06 J
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-553889(P2013-553889)
(86)(22)【出願日】2012年2月13日
(65)【公表番号】特表2014-512254(P2014-512254A)
(43)【公表日】2014年5月22日
(86)【国際出願番号】EP2012052383
(87)【国際公開番号】WO2012110443
(87)【国際公開日】20120823
【審査請求日】2015年2月10日
(31)【優先権主張番号】11154676.8
(32)【優先日】2011年2月16日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ティナ シュレーダー−グリモンポント
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ヴィラックス
(72)【発明者】
【氏名】ブリタ カッツ
(72)【発明者】
【氏名】ユタ ブルスト
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ シュミット
【審査官】 岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/004006(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/077525(WO,A1)
【文献】 特表2012−532741(JP,A)
【文献】 特表2011−509167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 13/14
C09K 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセルコアとしてパラフィン組成物、およびカプセル壁として、モノマーの総質量に対してそれぞれ
40〜90質量%の、アクリル酸および/またはメタクリル酸の1つまたはそれより多くのC1〜C24−アルキルエステル(モノマーI)、
10〜60質量%の、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和架橋剤(モノマーII)、ここで、エチレン性不飽和架橋剤に対して少なくとも80%が3またはそれより多くのエチレン性不飽和基を有する架橋剤である、並びに、
0〜30質量%の、モノマーIとは異なる、1つまたはそれより多くの一価エチレン性不飽和モノマー(モノマーIII)
から合成されるポリマーを含むマイクロカプセルであって、前記パラフィン組成物が、パラフィン組成物に対してそれぞれ
35〜98質量%のn−オクタデカン、
1〜10質量%の少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物および/またはジイソプロピルナフタレン
1〜5質量%の>40℃の融点を有する少なくとも1つのワックス、および
0〜50質量%のn−ヘキサデカンを含むことを特徴とする、前記マイクロカプセル。
【請求項2】
マイクロカプセルが平均粒径1.5〜15μmを有し、且つ粒子の90%が平均粒径の2倍よりも小さい粒径を有することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロカプセル。
【請求項3】
パラフィン組成物が70〜98質量%のn−オクタデカンを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のマイクロカプセル。
【請求項4】
パラフィン組成物が、ジイソプロピルナフタレン、および/またはC20〜C24−脂肪族化合物としてn−エイコサンを含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項5】
パラフィン組成物が0〜25質量%のn−ヘキサデカンを含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項6】
パラフィン組成物が、パラフィン組成物に対してそれぞれ
70〜98質量%のn−オクタデカン、
1〜10質量%の少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物および/またはジイソプロピルナフタレン、
1〜5質量%の>40℃の融点を有する少なくとも1つのワックス、および
0〜25質量%のn−ヘキサデカン
を含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項7】
3つまたはそれより多くのエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和架橋剤が、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアクリレート、およびペンタエリトリトールテトラアクリレート並びにその工業的混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項8】
水性分散液の形態である、請求項1からまでのいずれか1項に記載のマイクロカプセル。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法であって、モノマー、ラジカル開始剤、無機の保護コロイド、およびパラフィン組成物から水中油型エマルションを製造し、且つ、重合を開始させる、請求項1からまでのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法
【請求項10】
前記無機の保護コロイドの割合が、パラフィン組成物とモノマーとの合計に対して0.5〜20質量%である、請求項に記載のマイクロカプセルの製造方法
【請求項11】
請求項1からまでのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの製造方法であって、モノマー、ラジカル開始剤、保護コロイド、および前記パラフィン組成物から、水中油型エマルションを製造し、且つ、モノマーの重合を、加熱によって開始させ、且つ随意にさらなる昇温によって制御することを特徴とする前記方法。
【請求項12】
結合建材中の潜熱蓄熱材としての請求項1からまでのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項13】
テキスタイルの改質用の潜熱蓄熱材としての請求項1からまでのいずれか1項に記載のマイクロカプセルの使用。
【請求項14】
伝熱流体中の潜熱蓄熱材としての請求項1からまでのいずれか1項に記載のマイクロカプセル分散液の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセルコアとしてパラフィン組成物、およびカプセル壁としてアクリル酸および/またはメタクリル酸のC1〜C24−アルキルエステル、エチレン性不飽和架橋剤並びに随意にそれ以外のモノマーから合成されるポリマーを含むマイクロカプセルに関する。さらに、本発明は、その製造方法、結合建材、テキスタイル、および伝熱流体におけるその使用に関する。
【0002】
近年、マイクロカプセル化された潜熱蓄熱体の分野において多様な開発がなされている。潜熱蓄熱体(多くの場合、PCM(phase change material)とも称される)の機能方式は、固体と液体との相転移の際に生じる転移エンタルピーに基づいており、これは周囲に対するエネルギー吸収またはエネルギー放出を意味する。従って、これを規定された温度範囲内において温度を一定に保持するために使用することができる。
【0003】
EP−A−1029018号およびEP−A−1321182号は、高度に架橋したメタクリル酸エステルポリマー製のカプセル壁と、潜熱蓄熱体コアとを有するマイクロカプセルを、結合建材、例えばコンクリートまたは石膏中で使用することを教示している。DE−A−10139171号は、石膏ボードにおけるマイクロカプセル化された潜熱蓄熱材の使用が記載されている。該マイクロカプセル壁は、メチルメタクリレートとブタンジオールジアクリレートとを保護コロイドとしての無機固体粒子の存在下で重合することによって合成される。
【0004】
多くの場合、潜熱蓄熱材としては、相転移を超えると溶融する有機パラフィンが用いられる。かかるマイクロカプセルが多孔質の建材、例えばコンクリートまたは石膏中で用いられる場合、不充分な緊密性を有するカプセルでは長期間にわたってパラフィンのわずかな漏出が観察されることがある。しかしながら、このような発散は殊に室内では望ましくないので、本発明の課題はより緊密なカプセルである。
【0005】
緊密性が改善されたマイクロカプセルは、例えばWO2008/071649号内に記載され、その壁は20〜80質量%のポリビニルモノマーを含有する架橋剤混合物を用いて架橋された。しかしながら、その壁は、全体のモノマーに対して70質量%までメタクリル酸を重合導入して含有する。このカプセルは、粒径1.5〜2.5μmの際、テキスタイルの分野において、洗浄耐久性に関して良好な緊密性および180℃で良好な蒸発率を示す。
【0006】
しかしながら、通常、建築分野において用いられるような、カプセルの大きさが1〜50μmであるマイクロカプセルは、石膏ボード中で処理される場合、不充分な緊密性を有することが示されている。従って、WO2011/004006号は、メチルメタクリレートとペンタエリトリトールトリ/テトラアクリレートとの重合によって合成された、改質されたマイクロカプセル壁が、使用される温度領域において発散が低減されたマイクロカプセルをもたらすことを教示している。
【0007】
しかしながら、マイクロカプセルが建築用途において発散が少なく、つまり、低い蒸発率を有し、それにもかかわらず高い熱容量>100、殊に>120kJ/マイクロカプセル1kgを有するという、さらなる改質が追求された。従って、本発明の課題は、溶融範囲22〜24℃、または25〜27℃において、高い熱容量および低い発散を有するマイクロカプセルを提供することであった。
【0008】
それに応じて、カプセルコアとしてパラフィン組成物、およびカプセル壁として、モノマーの総質量に対してそれぞれ
40〜90質量%の、アクリル酸および/またはメタクリル酸の1つまたはそれより多くのC1〜C24−アルキルエステル(モノマーI)、
10〜60質量%の、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和架橋剤(モノマーII)、ここで、前記エチレン性不飽和架橋剤に対して少なくとも80%が3またはそれより多くのエチレン性不飽和基を有する架橋剤である、並びに、
0〜30質量%の、モノマーIとは異なる、1つまたはそれより多くの一価(einfach)エチレン性不飽和モノマー(モノマーIII)
から合成されるポリマーを含むマイクロカプセルであって、前記パラフィン組成物が、パラフィン組成物に対してそれぞれ
35〜98質量%のn−オクタデカン、
1〜10質量%の少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物および/またはジイソプロピルナフタレン
1〜5質量%の融点>40℃を有する少なくとも1つのワックス、および
0〜50質量%のn−ヘキサデカンを含むことを特徴とする、前記マイクロカプセルが見出された。
【0009】
本願はさらに、その製造方法、並びに結合建材、テキスタイル、および伝熱流体におけるその使用に関する。意外なことに、該パラフィン組成物がカプセルの緊密性に影響を及ぼすことが判明した。
【0010】
本発明によるマイクロカプセルは、カプセルコアとして本発明によるパラフィン組成物、およびカプセル壁としてポリマーを含む。カプセルの平均粒径(光散乱によるD[4,3])は、1〜50μmである。好ましい実施態様によれば、カプセルの平均粒径は1.5〜15μm、好ましくは3〜10μmである。その際、好ましくは、粒子の90%が平均粒径の2倍より小さい粒径を有する。
【0011】
カプセルコアとカプセル壁の質量比は、一般的に50:50〜95:5である。70:30〜93:7のコア/壁の比が好ましい。
【0012】
好ましい実施態様の本発明によるマイクロカプセルは、パラフィン組成物に基づき、25〜27℃の温度範囲において固体と液体との相転移を有する。
【0013】
さらに好ましい実施態様において、マイクロカプセルはパラフィン組成物に基づき、22〜24℃の温度範囲において固体と液体との相転移を有する。
【0014】
パラフィン組成物は、主な成分として、n−オクタデカン、少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物、および/またはジイソプロピルナフタレン、並びに融点≧40℃を有する少なくとも1つのワックス、並びに随意にn−ヘキサデカンを上記の割合で含む。
【0015】
本発明によれば、n−オクタデカンは、パラフィン組成物に対して35〜98、好ましくは70〜98、および殊に75〜97質量%の量で用いられる。
【0016】
オクタデカンは通常n−オクタデカンとして、>90%の純度で用いられ、例えば市販されている。これは、総量に対してn−オクタデカン含有率>92%、好ましくは95%を有し、且つ、例えば商品名Parafol(登録商標) 18−97 (Firma Sasol Olefins and Surfactants GmbH)またはn−オクタデカン(Chevron Phillips、Roper Thermais)として入手可能である。
【0017】
しかしながら、オクタデカンを、n−オクタデカン含有率が少なくとも40質量%であるC18−パラフィン混合物の形態で用いることも可能である。パラフィン混合物が用いられる場合、該パラフィン混合物はそこに含有されるn−オクタデカン量が本発明による範囲であるように選択される。パラフィン混合物とは、一般式Cn2n+2を有するアルカンからの混合物であると理解される。数nは18〜32の範囲である。パラフィン混合物は、化石原料の真空蒸留の潤滑油カットから得られ、且つ、さらに精製されるか、またはフィッシャー−トロプシュ法によって(Sasol、Shell)得られる。最後に挙げられた方法の場合、大部分は分岐していないn−アルカンが得られる。かかるパラフィン混合物は、例えば名称Linpar18〜20(Sasol社)として入手可能であり、その組成物は45〜70質量%のn−オクタデカンおよび4〜12質量%のエイコサンを含有する。
【0018】
20〜C24−脂肪族化合物および/またはジイソプロピルナフタレンは、本発明によれば、パラフィン組成物に対して1〜10、好ましくは1〜5質量%の量で用いられる。
【0019】
適したC20〜C24−脂肪族化合物はn−エイコサン、n−テトラコサン、並びにC20〜C24−脂肪族化合物の混合物である。例としてホワイト油が挙げられる。ホワイト油とは、パラフィン油であると理解される。C20〜C24−脂肪族化合物としては、n−エイコサン並びにジイソプロピルナフタレンが好ましい。
【0020】
融点≧40℃を有するワックスは、本発明によれば、パラフィン組成物に対して1〜5、好ましくは1〜3質量%の量で用いられる。ワックスとは、本明細書の範囲においては20℃で固体であり且つ40℃より上で分解せずに溶融する物質であると理解される。この場合、それは液体の状態で低粘度である。適したワックスは下記である:
・ 植物性ワックス、例えば綿ろう、カルナウバろう、カンデリラろう、エスパルトろう、グアルマ(Guaruma)ろう、木ろう、コルクろう、モンタンろう、オーリクリーろう、米胚芽ろう、およびサトウキビろう、
・ 動物性ワックス、例えば蜜ろう、尾脂腺の脂肪、羊毛脂、シェラックワックス(シェラックを参照)、および鯨ろう、
・ 鉱物性ワックス; マイクロワックス、セレシン、オゾケライト
・ 硬質ワックス、例えば水素化ホホバろう(ホホバ油を参照)、モンタンろう、およびサゾールワックス、
・ 炭化水素ワックス、例えばポリアルキレンワックス(ポリオレフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス)、
・ ポリエチレングリコールワックス、および
・ アミドワックス。
【0021】
融点≧40℃を有するワックスの添加により、1つには、無極性物質の際に生じる結晶化の遅延が回避される。融点≧40℃を有するワックスとして、適した化合物としてSasolwax 6805、British wax 1357、ステアリン酸、およびクロロパラフィンが例として挙げられる。
【0022】
炭化水素ワックス(フィッシャー−トロプシュ(FT−)ワックス(フィッシャー−トロプシュパラフィン参照)およびポリオレフィンワックスがこれに含まれる)は、石炭の気化において、および石油化学的に取得される原料から高圧、中圧、および低圧重合法によって製造される。脂肪酸(C16〜C22)が、モノ−、ビス−およびポリアミドワックスのベースである。
【0023】
本発明によれば、n−ヘキサデカンは、パラフィン組成物に対して0〜50、好ましくは0〜25質量%の量で用いられる。ヘキサデカンの添加量は、パラフィン組成物の所望の溶融温度に依存する。22〜24℃の融点を有するパラフィン組成物についての実施態様によれば、n−ヘキサデカンの割合は、5〜20質量%である。25〜27℃の融点を有するパラフィン組成物についての他の実施態様によれば、n−ヘキサデカンの割合は、パラフィン組成物に対して0〜10質量%である。
【0024】
n−オクタデカンもn−ヘキサデカンも決して100%の純度では用いられないので、パラフィン組成物は、C20〜C24−脂肪族化合物でもなく、>40℃の融点を有するワックスでもない、その他の脂肪族の不純物、例えば、脂肪族化合物、例えばn−ヘプタデカン、n−ノナデカン、その立体異性体、並びにn−オクタデカンおよびn−ヘキサデカンの立体異性体を含有することがある。パラフィン組成物は、35〜98質量%のn−オクタデカン、1〜10質量%の少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物、および/またはジイソプロピルナフタレン、1〜5質量%の>40℃の融点を有する少なくとも1つのワックス、50質量%までのn−ヘキサデカン、および30質量%まで、好ましくは7質量%までのこれらとは異なる脂肪族化合物からなる。
【0025】
好ましくは、パラフィン組成物は、パラフィン組成物に対してそれぞれ
70〜98質量%のn−オクタデカン、
1〜10質量%の少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物および/またはジイソプロピルナフタレン、
1〜5質量%の>40℃の融点を有する少なくとも1つのワックス、および
0〜25質量%のn−ヘキサデカン
を含む。
【0026】
該混合物を、個々の成分から製造できる。しかしながら、例えば、エイコサンを既にオクタデカンと混合して計量供給することも同様に可能であり、なぜなら、C18パラフィン混合物の場合、それは既にオクタデカン中に含有されて存在し得るからである。
【0027】
通常、パラフィン組成物の成分を予め混合し、且つ、混合物として用いる。この場合、該混合物を50〜100℃の温度に加熱して、より良好な完全混合を溶融物中で達成することが推奨される。この場合、追加的に撹拌することができる。1つの処理方法によれば、オクタデカンを装入し、且つ、パラフィン組成物の残りの成分を計量供給する。
【0028】
好ましくは、パラフィン組成物(パラフィン組成物A)は、パラフィン組成物に対してそれぞれ
70〜85質量%のn−オクタデカン、
1〜10質量%の少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物および/またはジイソプロピルナフタレン、および
1〜5質量%の>40℃の融点を有する少なくとも1つのワックス、
5〜20質量%のn−ヘキサデカン
を含む。
【0029】
さらに好ましい実施態様によれば、パラフィン組成物(パラフィン組成物B)は、パラフィン組成物に対してそれぞれ
85〜98質量%のn−オクタデカン、
1〜10質量%の少なくとも1つのC20〜C24−脂肪族化合物および/またはジイソプロピルナフタレン、および
1〜5質量%の>40℃の融点を有する少なくとも1つのワックス、
0〜10質量%のn−ヘキサデカン
を含む。
【0030】
カプセル壁のポリマーは、一般には、モノマーの総質量に対して、少なくとも40質量%、好ましい形態においては少なくとも45質量%、および特に好ましい形態においては少なくとも50質量%、並びに一般に最高で90質量%、有利には最高で80質量%、および特に好ましい形態においては最高で75質量%の、アクリル酸および/またはメタクリル酸のC1〜C24−アルキルエステル(モノマーI)を重合導入して含有する。
【0031】
本発明によれば、カプセル壁のポリマーは、モノマーの総質量に対して一般に少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも15質量%、有利には少なくとも20質量%、並びに一般に最高で60質量%、有利には最高で55質量%、および特に好ましい形態においては最高で50質量%の1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和架橋剤(モノマーII)を重合導入して含有し、その際、エチレン性不飽和架橋剤に対して少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも95質量%、殊に100質量%は、3またはそれより多くのエチレン性不飽和基を有する架橋剤である。好ましくは、カプセル壁のポリマーは、モノマーIIとして、3またはそれより多くのエチレン性不飽和基を有する架橋剤のみを重合導入して含有する。
【0032】
それ以外に該ポリマーは、モノマーの総質量に対して、30質量%まで、好ましくは20質量%までの、殊に10質量%まで、特に好ましくは0〜5質量%の、モノマーIとは異なる1つまたはそれより多くの、一価エチレン性不飽和モノマー(モノマーIII)を重合導入して含有することができる。
【0033】
カプセル壁が、モノマーの総質量に対してそれぞれ
50〜70質量%の、アクリル酸および/またはメタクリル酸の1つまたはそれより多くのC1〜C24−アルキルエステル(モノマーI)、
30〜50質量%の、1つまたはそれより多くのエチレン性不飽和架橋剤(モノマーII)、ここで、エチレン性不飽和架橋剤に対して少なくとも80質量%が、3またはそれより多くのエチレン性不飽和基を有する架橋剤である、並びに、
0〜20質量%の、モノマーIとは異なる1つまたはそれより多くの一価エチレン性不飽和モノマー(モノマーIII)
から合成される本発明によるマイクロカプセルが好ましい。
【0034】
有利には、カプセル壁はグループIおよびグループIIのモノマーのみから合成される。
【0035】
モノマーIとしては、アクリル酸および/またはメタクリル酸のC1〜C24−アルキルエステルが適している。イソプロピル−、イソブチル−、sec−ブチルおよびtert−ブチルアクリレート、並びにイソプロピル−、イソブチル−、sec−ブチルおよびtert−ブチルメタクリレートが好ましい。特に好ましいモノマーIは、メチル−、エチル−、n−プロピル−およびn−ブチルアクリレート並びに相応のメタクリレートである。一般にメタクリレートが好ましい。
【0036】
3またはそれより多くのエチレン性不飽和基を有する架橋剤は、例えば、ポリオールとアクリル酸および/またはメタクリル酸とのポリエステル、さらにこのポリオールのポリアリルおよびポリビニルエーテルである。例えばトリメチロールプロパントリアクリレートおよび−メタクリレート、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアクリレートおよびペンタエリトリトールテトラアクリレート並びにその工業的混合物である、3またはそれより多くのエチレン性不飽和基を有する架橋剤が好ましい。ペンタエリトリトールテトラアクリレートは通常、ペンタエリトリトールトリアクリレートと少量のオリゴマー化生成物との混合物における工業的混合物中に存在する。
【0037】
エチレン性不飽和架橋剤の20質量%までが、2つのエチレン性不飽和基を有する架橋剤であってよい。好ましくは、ビニル−、アリル−、アクリルまたはメタクリル基を有する架橋剤が使用される。2つのエチレン性不飽和基を有する適した架橋剤は、例えばジビニルベンゼンおよびジビニルシクロヘキサン、および好ましくはジオールとアクリル酸またはメタクリル酸とのジエステル、さらにこれらのジオールのジアリルおよびジビニルエーテルである。例として、エタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、メタリルメタクリルアミド、アリルアクリレートおよびアリルメタクリレートが挙げられる。特に好ましくは、プロパンジオール−、ブタンジオール−、ペンタンジオール−およびヘキサンジオールジアクリレート、および相応のメタクリレートである。
【0038】
モノマーIIIとして、モノマーIとは異なる一価エチレン性不飽和モノマー(モノマーIII)が考慮に入れられる。適したモノマーIIIとしては、一価不飽和モノマー、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジンおよびスチレンまたはα−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルホスホン酸、マレイン酸無水物、2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび−メタクリレート、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、メタクリルニトリル、アクリルニトリル、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびジエチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。好ましくは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピリジン、スチレン、α−メチルスチレン、並びにアクリル酸およびメタクリル酸が考慮に入れられる。
【0039】
本発明によるマイクロカプセルは、いわゆる現場重合により製造される。マイクロカプセル形成の原理は、モノマー、ラジカル開始剤、保護コロイドおよびカプセル化されるべき親油性物質から、該モノマー、およびパラフィン組成物が分散相として存在する水中油型エマルションを製造することに基づいている。1つの実施形態によれば、ラジカル開始剤を分散後に初めて添加することが可能である。引き続き、モノマーの重合を加熱によって開始させ、且つ、随意にさらなる昇温によって重合を制御し、その際、生じるポリマーがカプセル壁を形成し、これがパラフィン組成物を取り囲む。この一般的な原理は、例えばDE−A−10139171号に記載されており、この内容を明示的に引用する。
【0040】
通常、マイクロカプセルは、少なくとも1つの有機の保護コロイドおよび/または無機の保護コロイドの存在下で製造される。有機の保護コロイドも無機の保護コロイドも、イオン性または中性であってよい。その際、保護コロイドを、単独でも、数種の同一または異なって帯電した保護コロイドと混合して使用することもできる。好ましくは、マイクロカプセルは、殊に有機の保護コロイドと組み合わせた、無機の保護コロイドの存在下で製造される。
【0041】
有機の保護コロイドは、好ましくは水溶性ポリマーであり、これは、73mN/mの水の表面張力を最大で45〜70mN/mに減少させ、ひいては閉じられたカプセル壁の形成を確実にし、並びに、0.5〜50μm、有利には0.5〜30μm、殊に0.5〜10μmの範囲の好ましい粒径を有するマイクロカプセルを形成する。
【0042】
有機のアニオン性保護コロイドは、アルギン酸ナトリウム、ポリメタクリル酸およびそのコポリマー、スルホエチルアクリレートおよび−メタクリレート、スルホプロピルアクリレートおよび−メタクリレート、N−(スルホエチル)−マレインイミド、2−アクリルアミド−2−アルキルスルホン酸、スチレンスルホン酸並びにビニルスルホン酸のコポリマーである。好ましい有機のアニオン性保護コロイドは、ナフタレンスルホン酸およびナフタレンスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物、並びにとりわけポリアクリル酸およびフェノールスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物である。
【0043】
有機の中性保護コロイドは、例えばセルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、アラビアゴム、キサンタン、カゼイン、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールおよび部分的に加水分解されたポリビニルアセテート並びにメチルヒドロキシプロピルセルロースである。好ましい有機の中性保護コロイドは、ポリビニルアルコールおよび部分的に加水分解されたポリビニルアセテート並びにメチルヒドロキシ−(C1〜C4)−アルキルセルロースである。
【0044】
本発明によれば、有利にはSiO2に基づく保護コロイドと、メチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースとの組み合わせが用いられる。その際、低分子メチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースとの組み合わせが有利な特性をもたらすことが示されている。本発明によれば、平均分子量(質量平均)≦50000g/molを有する、好ましくは5000〜50000g/mol、有利には10000〜35000g/mol、殊に20000〜30000g/molの範囲からのメチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースが用いられる。
【0045】
メチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースとは、非常に多様なメチル化度、例えばアルコキシル化度のメチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースであると理解される。
【0046】
メチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースは、公知のとおり、2つの反応段階によって製造される。第一の段階において、セルロースとアルキレンオキシドとのアルコキシル化が起きる。第二の段階において、メチルハロゲン化物を用いて、存在するヒドロキシル基のメチル化が起きる。これら2つの反応は通常、連続して起きるが、しかし、同時に行われてもよい。用いられたアルキレンオキシドおよびアルキル化剤のセルロースに対する化学量論組成次第で、セルロースの置換度が変化する。平均置換度(DS)は、どれだけ多くのヒドロキシル単位が1つのデヒドログルコース単位上で平均的にエーテル化されたかを示し、且つ、0〜3であり得る。モル置換度(MS)は、デヒドログリコース単位1つあたりのアルコキシ単位の平均数を示し、且つ、側鎖の構成によってアルコキシル化の間に3より大きくなることもある。
【0047】
最も好ましいメチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースは、平均置換度DS1.1〜2.5、およびモル置換度MS0.03〜0.9を有している。
【0048】
適したメチルヒドロキシ−(C1〜C4)−アルキルセルロースは、例えばメチルヒドロキシエチルセルロースまたはメチルヒドロキシプロピルセルロースである。特に好ましくはメチルヒドロキシプロピルセルロースである。かかるメチルヒドロキシ−(C1〜C4)−アルキルセルロースは、例えば商品名Culminal(登録商標)として、Hercules/Aqualon社より入手可能である。
【0049】
好ましくは、マイクロカプセルは、本質的な構成成分として、モノマー、ラジカル開始剤、無機の保護コロイドおよびカプセル化されるべき親油性物質を含む水中油型エマルションを製造し、且つ重合を引き起こすことによって製造される。随意に、昇温によって重合を制御し、その際、生じるポリマーが、パラフィン組成物を取り囲むカプセル壁を形成する。
【0050】
好ましくは、無機の保護コロイドは、無機固体粒子、いわゆるピカリング系である。この場合、かかるピカリング系は、固体粒子単独からなるか、または追加的に水中での粒子の分散性、または親油相による粒子のぬれ性を改善する助剤からなっていてもよい。作用の仕方およびその使用は、EP−A−1029018号並びにEP−A−1321182号に記載されており、これらの内容を明示的に引用する。
【0051】
無機の固体粒子は、金属塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、チタン、アルミニウム、ケイ素、バリウムおよびマンガンの塩、酸化物および水酸化物であってよい。水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび硫化亜鉛が挙げられる。ケイ酸塩、ベントナイト、ハイドロキシアパタイトおよびハイドロタルサイトも同様に挙げられる。特に好ましくは、SiO2に基づくシリカ、ピロリン酸マグネシウムおよびリン酸三カルシウムである。
【0052】
SiO2に基づく適した保護コロイドは高分散性シリカである。それらは、微細な固体粒子として水中で分散することができる。しかし、水中のシリカのいわゆるコロイド分散液を使用することも可能である。かかるコロイド分散液は、シリカのアルカリ性水性混合物である。この粒子は、アルカリ性のpH範囲で膨潤し、かつ水中で安定する。保護コロイドとしてこれらの分散液を使用するために、この水中油型エマルションのpH値を、酸を用いてpH2〜7に調整することが有利である。有利なシリカのコロイド分散液は、pH9.3で70〜90m2/gの範囲内の比表面積を有する。
【0053】
SiO2に基づく保護コロイドとして、8〜11の範囲のpH値で平均粒径が40〜150nmの範囲である高分散性シリカが好ましい。例として、Levasil(登録商標)50/50(H.C.Starck)、Koestrosol(登録商標)3550(CWK Bad Koestritz)、およびBindzil(登録商標)50/80(Akzo Nobel Chemicals)に言及できる。
【0054】
好ましい実施態様によれば、SiO2に基づく保護コロイドと、メチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースとの組み合わせが用いられる。その際、低分子メチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースとの組み合わせが有利な特性をもたらすことが示されている。本発明によれば、平均分子量(質量平均)≦50000g/molを有する、好ましくは5000〜50000g/mol、有利には10000〜35000g/mol、殊に20000〜30000g/molの範囲からのメチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースが用いられる。
【0055】
一般に、パラフィン組成物とモノマーとの合計に対して0.1〜25質量%、有利には0.1〜20、有利には0.5〜15質量%の量で保護コロイドを用いる。
【0056】
その際、無機の保護コロイドについて、好ましくはパラフィン組成物とモノマーとの合計に対して0.5〜20、有利には0.5〜18質量%の好ましい量が選択される。
【0057】
有機の保護コロイドは、マイクロカプセル(コアおよび壁)に対して好ましくは0.1〜10質量%の量で用いられる。好ましい実施態様によりSiO2に基づく保護コロイドと組み合わせて用いられるメチルヒドロキシ−(C1〜C4−)アルキルセルロースは、ここで、パラフィン組成物とモノマーとの合計に対して好ましくは0.01質量%〜1.0質量%、殊に0.05質量%〜0.1質量%の量で用いられる。
【0058】
ラジカル重合反応のためのラジカル開始剤として、通常の油溶性ペルオキソ化合物およびアゾ化合物を、モノマーの質量に対して0.2〜5質量%の量で目的に応じて用いることができる。油溶性とは、ここで、ラジカル開始剤が水中油型エマルションの油相の成分であり、且つそこで重合を開始させると理解される。
【0059】
ラジカル開始剤の凝集状態およびその溶解挙動に応じて、そのままで、しかしながら好ましくは溶液、エマルションまたは懸濁液としてこれを供給でき、そのことによって、殊に小さな物質量のラジカル開始剤を正確に計量供給することができる。
【0060】
好ましいラジカル開始剤として、tert−ブチルペルオキソネオデカノエート、tert−アミルペルオキソピバレート、ジラウロイルペルオキシド、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチル)バレロニトリル、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ジベンゾイル、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサンおよびクメンヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0061】
特に好ましいラジカル開始剤は、ジ−(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)−ペルオキシド、4,4’−アゾビスイソブチロニトリル、tert−ブチルペルピバレート、ジラウロイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキソネオデカノエート、およびジメチル−2,2−アゾビスイソブチレートである。これらは、30〜100℃の温度範囲において10時間の半減期を有する。
【0062】
さらに、重合のために、当業者に公知の調節剤、例えばtert−ドデシルメルカプタンまたはエチルヘキシチオグリコレートを通常の量で添加することも可能である。
【0063】
通常、重合を20〜100℃、有利には40〜95℃で実施する。所望のパラフィン組成物に依存して、水中油型エマルションは、コア材料が液状/油状である温度で形成される。相応して、分解温度がこの温度より高いラジカル開始剤を選択しなければならず、且つ同様に重合はこの温度の2〜50℃上で実施されなければならないので、随意に、分解温度がパラフィン組成物の融点を上回るラジカル開始剤が選択される。
【0064】
約60℃までの融点を有するパラフィン組成物についての通常の変法は、45℃の反応温度で開始し、それが反応の過程で85℃に高められる。有利なラジカル開始剤は、45〜65℃の範囲で10時間の半減期を有し、例えばt−ブチルペルピバレートである。
【0065】
目的に応じて、重合を常圧で実施するが、しかしながら、例えば100℃を上回る重合温度で減圧またはわずかに高められた圧力でも、つまり約0.5〜5barの範囲で作業してもよい。
【0066】
重合の反応時間は通常、1〜10時間、大抵は2〜5時間である。
【0067】
90〜99質量%の変換率での本来の重合反応に引き続き、通常、水性のマイクロカプセル分散液が臭気担体、例えば残留モノマーおよび他の揮発性の有機成分をできる限り含有しなくなるように構成することが有利である。これは自体公知の方式で、物理的に蒸留による除去(殊に水蒸気蒸留によって)、または不活性ガスを用いたストリッピングによって実現できる。さらに、WO9924525号内に記載されているように化学的に、有利には、例えばDE−A−4435423号、DE−A−4419518号およびDE−A−4435422号に記載されているようなレドックス開始重合によって行うことができる。
【0068】
さらにまた残存モノマー含有率を下げるために、1つの実施態様によれば、ラジカル開始剤を新たに添加することが必要であり、このことにより後重合の開始が定義される。好ましい実施形態によれば、カプセル形成に続いて、ラジカル開始剤としてペルオキソ二硫酸の塩を用いて後重合を開始させる。
【0069】
適した塩は殊に、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ナトリウム、およびカリウムである。
【0070】
ペルオキソ二硫酸のアルカリ金属塩は水溶性であり、且つ後重合を水相中もしくは水相から開始させる。ペルオキソ二硫酸の塩は、目的に応じて、モノマーの質量に対して0.2〜5質量%の量で用いられる。その際、それらを一度にまたは特定の時間にわたって計量供給することが可能である。
【0071】
後重合のための温度は一般に、60〜100℃である。後重合の時間は、通常、0.5〜5時間である。
【0072】
ラジカル開始剤として1つまたは複数のペルオキソ二硫酸塩を用いた後重合を有するこの好ましい実施態様によれば、特に臭気の少ないマイクロカプセルが得られる。
【0073】
必要な場合、後重合を、還元剤、例えば亜硫酸水素ナトリウムの添加によって、比較的低い温度でも実施することができる。還元剤の添加により、残存モノマー含有率をさらに低下することができる。
【0074】
有機の水溶性ペルオキソまたはアゾ化合物、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシド(それらの分解は、随意に還元剤、例えばアスコルビン酸の添加によって促進されることがある)からなる通常の後重合開始剤に対して、ペルオキソ二硫酸塩は、最終生成物において、明らかにより少ない量の臭気担体、例えばアルデヒドを示す。
【0075】
このように0.5〜100μmの範囲の平均粒径を有するマイクロカプセルを製造でき、その際、粒径を、自体公知の方式で、剪断力、攪拌速度、およびその濃度によって調整することができる。0.5〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、殊に3〜10μm、殊に3〜7μmの範囲の平均粒径を有するマイクロカプセルが好ましい(光散乱を用いたD[4,3])。
【0076】
本発明によるマイクロカプセルは、直接的に水性マイクロカプセル分散液として、または粉末の形態で加工される。本発明によるマイクロカプセルを、随意に、引き続き噴霧乾燥により単離できる。
【0077】
マイクロカプセル分散液の噴霧乾燥を、通常の方式で行うことができる。一般には、熱空気流の入口温度が100〜200℃、有利には120〜160℃の範囲であり、且つ熱空気流の出口温度が30〜90℃、有利には60〜80℃の範囲であるように行う。熱空気流中の水性ポリマー分散液の噴霧を、例えば一成分ノズル若しくは多成分ノズルを用いるか、または回転ディスクを介して行うことができる。ポリマー粉末の分離は、通常、サイクロンまたはフィルター分離器を使用して行われる。噴霧される水性ポリマー分散液および熱空気流を、有利には並行に導く。
【0078】
随意に、噴霧乾燥のために、噴霧助剤を添加して、この噴霧乾燥を容易にするか、または特定の粉末特性、例えば低粉塵性、流動性または改善された再分散性を調節する。当業者には多数の噴霧助剤がよく知られている。これについての例は、DE−A19629525号、DE−A19629526号、DE−A2214410号、DE−A2445813号、EP−A407889号またはEP−A784449号にある。有利な噴霧助剤は、例えば、ポリビニルアルコール型または部分加水分解されたポリビニルアセテートの水溶性ポリマー、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、このピロリドンのコポリマー、ゼラチンであり、好ましくはポリビニルアルコールおよび部分加水分解されたポリビニルアセテート並びにメチルヒドロキシプロピルセルロースである。有利には、噴霧助剤を添加しないで作業する。
【0079】
本発明によるマイクロカプセル粉末もしくはマイクロカプセル分散液を、潜熱蓄熱材として様々に用いることができる。潜熱蓄熱材は、定義によれば、熱伝達が行われるべき温度範囲内で相転移を有する物質である。本発明の課題により、本発明によるマイクロカプセルは、22〜24℃、もしくは25〜27℃の温度範囲内で固体と液体との相転移を有する。本発明によるマイクロカプセルは、高い融解熱を有し、且つ高い緊密性を示す。
【0080】
本発明によるマイクロカプセルについての広い用途分野は、鉱物質、ケイ酸塩質、またはポリマー質の結合剤を用いた結合建材中での潜熱蓄熱材としてのその使用である。その際、成形体とコーティング材料とは区別される。例えば、これらは、水性材料、および多くの場合、アルカリ性の水性材料と比較して、それらの加水分解安定性の点で優れている。鉱物質の成形体は、WO2011/004006号内に記載され、この開示を明示的に引用する。
【0081】
本発明によるマイクロカプセルは、セメント70〜100質量%および石膏0〜30質量%からなる鉱物質結合剤を含有する鉱物質の結合建材(モルタル状調製物)の改質のために適している。このことは殊に、セメントが唯一の鉱物質結合剤である場合に当てはまる。さらなる詳細に関しては、WO2011/004006号およびDE−A19623413号に教示される。典型的には、鉱物質の結合建材の乾燥組成物は、鉱物質結合剤の量に対して、0.1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは10〜30質量%のマイクロカプセルを含有する。
【0082】
好ましくは、本発明によるマイクロカプセルは、鉱物質のコーティング材料、例えばプラスター中の添加剤として使用される。屋内領域用のかかるプラスターは、通常、結合剤としての石膏から構成される。通常、石膏/マイクロカプセルの質量比は、95:5〜70:30である。もちろん、より高いマイクロカプセル割合が可能である。
【0083】
屋外領域、例えば外部ファサードまたは湿った空間のためのコーティングは、結合剤としてセメント(セメント状のプラスター)、石灰または水ガラス(鉱物質プラスターまたはケイ酸塩プラスター)、またはプラスチック分散液(合成樹脂プラスター)を、充填剤および随意に着色用顔料と共に含有することがある。マイクロカプセルの固体の合計の割合は、石膏プラスターについての質量比に相当する。
【0084】
さらに、本発明によるマイクロカプセルは、ポリマー成形体またはポリマーコーティング材料における添加剤として適している。これらは、加工の際にマイクロカプセルが破壊されない熱可塑性および熱硬化性(duroplastisch)のプラスチックであると理解されるべきである。例は、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタンおよびシリコーン樹脂、および溶剤ベース、ハイソリッドベースの塗料、粉体塗料または水性塗料および分散フィルムである。マイクロカプセル粉末は、プラスチックフォームおよび繊維に組み込むためにも適している。フォームについての例は、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ラテックスフォームおよびメラミン樹脂フォームである。
【0085】
さらに、本発明によるマイクロカプセルは、WO2005/116559号(この内容を明示的に引用する)に記載されるような、リグノセルロース含有成形体、例えばチップボード、MDFボードおよびHDFボード、コルクボード、またはOSBボードにおける添加物として適している。
【0086】
さらに、本発明によるマイクロカプセルが発泡性の鉱物質成形体中で加工される場合、有利な効果が実現される。
【0087】
鉱物質結合剤中へのマイクロカプセルの組み込みについての特に好ましい実施態様は、PCT/EP2010/059888号(WO2011/004006号)(この内容を明示的に引用する)に記載されるような、石膏の建設用ボードまたはマグネシアボードの改質である。
【0088】
さらには、本発明によるマイクロカプセルは、有利なことに、例えば、WO2011/004006号(その開示が明示的に引用される)に記載されるような、繊維およびテキスタイル製品を改質するための潜熱蓄熱体として適している。さらに、本発明によるマイクロカプセルは、伝熱流体の製造のための潜熱蓄熱体として適している。伝熱流体という用語は、本願の範囲においては、熱輸送のための流体とも、冷気輸送のための流体とも、冷却流体とも考えられる。熱エネルギーの伝達原理は、双方の場合において同一であり、且つ、単に伝達方向のみが相違する。
【0089】
以下の実施例により、本発明をより詳細に説明する。実施例におけるパーセントのデータは、特段記載されない限り、質量パーセントである。
【0090】
マイクロカプセル分散液の粒径は、Malvern Particle Sizer 3600E型、もしくはMalvern Mastersizer 2000を用いて、文献内に示されている標準測定法に従って測定した。D[v,0.1]値は、粒子の10%がこの値までの粒径(体積平均による)を有することを表す。相応して、D[v,0.5]は、粒子の50%が、およびD[v,0.9]は、粒子の90%がこの値より小さい/同じ粒径(体積平均による)を有することを意味する。スパン値は、D[v,0.9]−D[v,0.1]の差と、D[v,0,5]との商から得られる。D[4,3]値は、質量平均である。
【0091】
180℃での蒸発率(ADR)の測定
前処理のためにマイクロカプセル分散液2gを金属シャーレ内で2時間の間、105℃で乾燥させ、場合により生じ得る残留水を除去した。次いで、この質量(m0)を測定した。180℃への1時間の加熱後、冷却し、質量(mi)を測定した。m0に対する質量の差分(m0−m1)に100を掛けたものを蒸発率(%)とする。値が小さいほど、マイクロカプセルは緊密である。この際、蒸発率における比較は常に、比較可能なカプセルサイズおよび安定剤系で実施すべきであることに留意する。
【0092】
「Field and Laboratory Emission Cell」測定を用いたTVOC/SVOC値の測定 (FLEC測定)
石膏ボードからのVOC(揮発性有機化合物)の発散は、定義された貯蔵の後、FLEC測定を用いて検出され、且つ、GC/MSシステムによって、DIN ISO 16000−6、DIN ISO16000−10およびDIN ISO 16017−1に準拠して定性的且つ定量的に測定される。測定の過程で、石膏ボードは、底板を含む金属枠(内部寸法:10.5×14.0×1.5cm)内で、まず24時間、30℃で、乾燥キャビネット((Heraeus T 5042 EK)内で調整される。引き続き、該ボードを枠および底板と共に、ガス試料採取器(Desaga GS312)および温度測定ユニットを備えた乾燥キャビネットに入れ、且つ、枠上に載置されたシールを有するFLECアタッチメントを介して、10lの予め清浄化された空気を該ボード上に層流で流す。その排出空気を、Tenax TAで満たされた吸着管を介して導く。引き続き、該ボードから発散したVOCをTenax管から熱により脱着させ(熱脱着器: Perkin Elmer のTurbomatrix ATD(GC 6890およびMS 5973(Agilent)を装備)、または熱脱着器TD20 (GC/MS−QP 2010 S(Shimadzu)を装備))、且つ、ガスクロマトグラフィーで当業者に公知のとおり分析する。
【0093】
FLEC測定用の石膏ボードの製造
217.0gの焼き石膏(Stuckgips)、0.34gの促進剤および1.7gのデンプンを混合し、約15秒で、109.4gの水、203.0gの個々の実施例のマイクロカプセル分散液(固体含有率〜42質量%)、1.7gの液化剤、および0.2gのTego Foamex 1488からの水相の表面上に散布する。その後、泡立て器を用いてさらに30秒間混合して、合計45秒で石膏スラリー混合物を製造した。該石膏スラリーを、金属枠内(内部寸法10.5×14)(ガラスフリースが予め金属枠の底に敷かれている)に注ぎ、平らにし、ガラスフリースを表面に被せ、且つ、麺棒で押した。室温で30分後、該ボードを、排気キャビネット中、170℃で30分間、105℃で1時間、乾燥させた。その後、該ボードを約15時間、40℃で後乾燥させた。
【0094】
実施例
実施例1a
水相:
680g 水
165g 50質量%のシリカゾル(比表面積約80m2/g)
8g 平均分子量26000g/molを有するメチルヒドロキシプロピルセルロースの5質量%の水溶液
2.1g 2.5質量%の亜硝酸ナトリウム水溶液
4.2g 20質量%の硝酸水溶液。
【0095】
油相:
311.6g Linpar 18−20 (n−オクタデカンおよびエイコサンを含有するC18−パラフィン混合物)
9.6g エイコサン
110g n−ヘキサデカン(工業用(techn.))
8.8g 約65℃の融点を有する工業用パラフィンワックス
66.0g メチルメタクリレート
44.0g ペンタエリトリトール−テトラアクリレート(工業用、Cytec社)。
【0096】
パラフィン組成物のガスクロマトグラフィー分析(ガスクロマトグラフ: Agilent 5890 Ser. 2、カラム: Agilent 30m DB1、内径 0.25mm、0.25μm膜厚)は、組成物として、37.5質量%のn−オクタデカン、7.6質量%のエイコサン、24.7質量%のn−ヘキサデカン、9.3質量%のヘプタデカン、16.8質量%のノナデカン、1.3質量%のヘンイコサン、0.3質量%のドコサン、並びに2.5質量%の残分という結果であった。
【0097】
添加物1:
1.5g 脂肪族炭化水素中のt−ブチルペルピバレートの75%溶液
1.1g 水。
【0098】
供給物1:
22.0g 5質量%のNa−ペルオキソ二硫酸塩の水溶液
30.0g 水。
【0099】
水相を40℃で装入し、これに、溶融され且つ均質に混合された油相を加え、そして40分間、高速溶解攪拌機(ディスク直径5cm)を用いて3500rpmで分散した。添加物1を添加した。該エマルションを、アンカー攪拌機を用いて撹拌しながら60分で67℃に、さらなる60分以内で90℃に加熱した。生じたマイクロカプセル分散液に、攪拌しながら供給物1を90分にわたって90℃で計量供給し、且つ引き続き60分間、この温度で攪拌した。次に室温に冷却し、且つ水酸化ナトリウム水溶液で中和した。平均粒径D[4,3] 5.2μmおよび固体含有率43%を有するマイクロカプセル分散液が得られた。蒸発率(2時間105℃、1時間180℃)は29.1%であった。室温への冷却後、増粘剤を添加することにより、公知のとおり、クリーミングを防止できる。
【0100】
実施例1bおよび1c
実施例1と類似して、単にエイコサンを同量のBaysilone油(実施例1b、本発明によらない)もしくはホワイト油(実施例1c)に置き換えて、マイクロカプセルを製造した。無機の保護コロイドの割合は、全ての実施例において、固体に対して15質量%である。マイクロカプセル分散液の固体含有率、マイクロカプセルの大きさ、蒸発率(ADR)、並びに熱容量および石膏ボード中の発散は表1に示される。
【0101】
表1: マイクロカプセルの特性
【表1】
【0102】
実施例2a:
水相:
680g 水
192.5g 50質量%のシリカゾル(比表面積約80m2/g)
8g 平均分子量26000g/molを有するメチルヒドロキシプロピルセルロースの5質量%の水溶液
2.1g 2.5質量%の亜硝酸ナトリウム水溶液
4.0g 20質量%の硝酸水溶液。
【0103】
油相:
352g n−オクタデカン
13.2g ジイソプロピルナフタレン
66g ヘキサデカン(工業用)
8.8g 約65℃の融点を有する工業用パラフィンワックス
66.0g メチルメタクリレート
44.0g ペンタエリトリトール−テトラアクリレート(工業用、Cytec社)。
【0104】
添加物1:
1.5g 脂肪族炭化水素中のt−ブチルペルピバレートの75%溶液
1.1g 水。
【0105】
供給物1:
22.0g 5質量%のNa−ペルオキソ二硫酸塩の水溶液
30.0g 水。
【0106】
反応を、実施例1に記載されたとおりに実施した。平均粒径D[4,3] 3.8μmおよび固体含有率43.2%を有するマイクロカプセル分散液が得られた。蒸発率(2時間105℃、1時間180℃)は14%であった。FLEC中で測定されたSVOC値は、58μg/m3に達した。
【0107】
実施例2b〜d
実施例2aと類似して、単にジイソプロピルナフタレンを同量のホワイト油(実施例2b)もしくはナフタレン(実施例2c、本発明によらない)に置き換えて、マイクロカプセルを製造した。無機の保護コロイドの割合は、全ての実施例において、モノマーおよびパラフィン組成物の使用量に対して17.5質量%である。マイクロカプセル分散液の固体含有率、マイクロカプセルの大きさ、蒸発率(ADR)、並びに熱容量および石膏ボード中の発散は表2に示される。
【0108】
表2: マイクロカプセルの特性
【表2】
【0109】
実施例3(本発明によらない)
水相:
598.4g 水
145.2g 50質量%のシリカゾル(比表面積約80m2/g)
7g 平均分子量26000g/molを有するメチルヒドロキシプロピルセルロースの5質量%の水溶液
1.9g 2.5質量%の亜硝酸ナトリウム水溶液
3.7g 20質量%の硝酸水溶液。
【0110】
油相:
379.5g n−オクタデカン
7.7g 約65℃の融点を有する工業用パラフィンワックス
58.1g メチルメタクリレート
38.7g ペンタエリトリトール−テトラアクリレート(工業用、Cytec社)。
【0111】
添加物1:
1.5g 脂肪族炭化水素中のt−ブチルペルピバレートの75%溶液
1.1g 水。
【0112】
供給物1:
19.4g 5質量%のNa−ペルオキソ二硫酸塩の水溶液
26.4g 水。
【0113】
反応を、実施例1に記載されたとおりに実施した。平均粒径D[4,3] 3.7μmおよび固体含有率43.2%を有するマイクロカプセル分散液が得られた。蒸発率(2時間105℃、1時間180℃)は48.3%であった。FLEC中で測定されたSVOC値は、307μg/m3に達した。
【0114】
実施例4a
水相:
680g 水
165g 50質量%のシリカゾル(比表面積約80m2/g)
8g 平均分子量26000g/molを有するメチルヒドロキシプロピルセルロースの5質量%の水溶液
2.1g 2.5質量%の亜硝酸ナトリウム水溶液
4.1g 20質量%の硝酸水溶液。
【0115】
油相:
418.3g n−オクタデカン
12.9g エイコサン
8.8g 約65℃の融点を有する工業用パラフィンワックス
66.0g メチルメタクリレート
44.0g ペンタエリトリトール−テトラアクリレート(工業用、Cytec社)。
【0116】
添加物1:
1.5g 脂肪族炭化水素中のt−ブチルペルピバレートの75%溶液
1.1g 水。
【0117】
供給物1:
22.0g 5質量%のNa−ペルオキソ二硫酸塩の水溶液
30.0g 水。
【0118】
反応を、実施例1に記載されたとおりに実施した。平均粒径D[4,3] 4.0μmおよび固体含有率43%を有するマイクロカプセル分散液が得られた。蒸発率(2時間105℃、1時間180℃)は41.1%であった。FLEC中で測定されたSVOC値は、60μg/m3に達した。
【0119】
実施例4b〜g
実施例4aと類似して、単にエイコサンを置き換えてマイクロカプセルを製造した。無機の保護コロイドの割合は、全ての実施例において、モノマーおよびパラフィン組成物の使用量に対して15質量%である。マイクロカプセル分散液の固体含有率、マイクロカプセルの大きさ、蒸発率(ADR)、並びに熱容量および石膏ボード中の発散は表3に示される。
【0120】
表3: マイクロカプセルの特性
【表3】
【0121】
該実施例は、C20〜C24−脂肪族化合物の代わりのポリマーワックスは、悪い結果をもたらすことを示す。
【0122】
実施例5
水相:
680g 水
165g 50質量%のシリカゾル(比表面積約80m2/g)
8g 平均分子量26000g/molを有するメチルヒドロキシプロピルセルロースの5質量%の水溶液
2.1g 2.5質量%の亜硝酸ナトリウム水溶液
4.1g 20質量%の硝酸水溶液。
【0123】
油相:
321.2 n−オクタデカン
88g n−ヘキサデカン
22g エイコサン
8.8g 約65℃の融点を有する工業用パラフィンワックス
66.0g メチルメタクリレート
44.0g ペンタエリトリトール−テトラアクリレート(工業用、Cytec社)。
【0124】
添加物1:
1.5g 脂肪族炭化水素中のt−ブチルペルピバレートの75%溶液
1.1g 水。
【0125】
供給物1:
22.0g 5質量%のNa−ペルオキソ二硫酸塩の水溶液
30.0g 水。
【0126】
反応を、実施例1に記載されたとおりに実施した。平均粒径D[4,3] 3.9μmおよび固体含有率44.6%を有するマイクロカプセル分散液が得られた。蒸発率(2時間105℃、1時間180℃)は36.6%であった。FLEC中で測定されたSVOC値は、118μg/m3に達した。
【0127】
上記の教示に関して、本発明の多様な修正および変更が可能である。従って本発明は、添付の特許請求の範囲内で、この中で特に記載される以外の形で実施できることを前提とし得る。