【実施例1】
【0024】
本発明の実施例1に係るセラミック部品について
図1を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)は本発明の実施例1に係るセラミック部品の斜視図であり、(b)は
図1(a)中のA−A矢視断面図であり、(c)は
図1(a)中のB−B矢視断面図である。
実施例1に係るセラミック部品1Aは、
図1(a)に示すように、例えば、アルミナ(Al
2O
3)や、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックからなるセラミック板2aが積層されてなる多層セラミック焼成体2の中央に、凹状のキャビティ16が形成されて、このキャビティ16に、例えば、半導体素子や、発光素子や、水晶振動子等の電子部品5を搭載して収納するものである。なお、必要に応じて、キャビティ16に蓋6を覆設することにより、キャビティ16内に電子部品5を気密状態を維持しながら封止することができる。
そして、実施例1に係るセラミック部品1Aは、電子部品5を搭載した状態で、回路基板等に対して垂直(略垂直の概念も含む)に立設して実装するのに適した構成を備えている。
具体的には、実施例1に係るセラミック部品1Aは、矩形状の多層セラミック焼成体2であり、その外縁をなす4つの側面3のうちの互いに平行に配設される一対の側面3,3の全域は、焼成前のセラミックグリーンシート積層体を、
図1(b)に破線で示すようなダイシングソー14によりダイシングして形成されてなる切断面3aであり、かつ、セラミック部品1Aの外縁をなす残りの2つの側面3,3は、
図1(c)に破線で示すように、分割溝4に沿って多層セラミック焼成体2を破断してなる破断面3bであるものである。
なお、分割溝4は、焼成前のセラミックグリーンシート積層体7a(後述の
図3を参照)における個々の焼成前セラミック部品8a(後述の
図2,3を参照)の境界26上にブレードを用いて断面クサビ形に形成されたものである。
【0025】
上述のようなセラミック部品1Aにおいて、切断面3aは、多層セラミック焼成体2を構成するセラミック板2aの平面方向に対して垂直(略垂直の概念も含む)で、かつ、この切断面3aは凹凸の少ない平坦面であるため、回路基板上に、この切断面3aを接合面にしてセラミック部品1Aを立設すれば、回路基板上にセラミック部品1Aを垂直(略垂直の概念も含む)に実装することができる。
上述のような実施例1に係るセラミック部品1Aにおいて、切断面3aは、焼成前の柔らかいセラミックグリーンシート積層体をダイシングすることによって形成されるので、焼成済みの多層セラミック焼成体2をダイシングソー14により切断する場合に比べて、切断にかかる時間を短くできる。また、この場合、ダイシングソー14への負担が大幅に小さいので、ダイシングソー14の破損や磨耗を抑制でき、ダイシングソー14を長寿命化できる。これにより、実施例1に係るセラミック部品1Aを個片化する際の加工コストを削減できる。
さらに、切断面3aを形成するために、セラミックグリーンシート積層体をダイシングする場合は、高速回転するダイシングソー14を被切断面に押し当てて、ダイシングソー14との接触部分を削り取ってゆくという方法であるため、特許文献2に開示される発明のように切り刃を押し当てて切断する場合とは異なり、セラミックグリーンシートの切断面を平坦でかつ垂直(略垂直の概念も含む)にできるとともに、ダイシングソー14と接触する部分のセラミックグリーンシートが変形するのを防止できる。
従って、この点からも、実施例1に係るセラミック部品1Aに、回路基板等に垂直(略垂直の概念も含む)に実装する際の、接合面としての使用に特に適した切断面3aを形成することができる。
【0026】
なお、セラミックグリーンシート積層体をダイシングすることによって形成される切断面3aと、多層セラミック焼成体2をダイシングすることによって形成される切削面とは、「物」として明確に区別することができる。
この点については、本明細書の最後段において電子顕微鏡写真を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
また、実施例1に係るセラミック部品1Aが、上述のような切断面3aからなる側面3と、破断面3bからなる側面3の両者を備えているということは、実施例1に係るセラミック部品1Aが焼成時に完全に個片化されていないということを意味している。
すなわち、実施例1に係るセラミック部品1Aの場合は、その焼成時に、複数個の焼成前セラミック部品が直列に連結してなる短冊状の焼成前セラミック部品集合体にしておくことができることを意味している。
さらには、この短冊状の焼成前セラミック部品集合体に、めっき用電極の接続を可能にするための端子部を備えたダミー領域を一体に延設しておくことで、焼成済みのセラミック部品集合体を電解めっきすることが可能になる。
よって、実施例1に係るセラミック部品1Aによれば、電解めっきが施された製品として提供することもできる。
【0028】
なお、実施例1に係るセラミック部品1Aを電解めっきが施された製品とするためには、端子部を備えたダミー領域が延設される短冊状の焼成前セラミック部品集合体において、めっき導通用パターン11aが、切断面3aにより分断されていない状態である必要がある。
従って、このめっき導通用パターン11aは、実施例1に係るセラミック部品1Aにおいて、切断面3aと交差することがないように形成されている必要がある。この点については、以下に示す実施例2において詳細に説明する。
【0029】
さらに、
図1(a)に示すように、セラミック部品1Aは、その切断面3aに、多層セラミック焼成体2の内部(厚み部分)に配設される配線導体(図示せず)に接続される外部電極21を備えていてもよい。
この外部電極21は、切断面3aの一部を切欠いて形成される凹部24の表面に導体層22を備えたものである。
この外部電極21は、後段において詳細に説明するが、セラミック部品1Aの製造時に、セラミックグリーンシート積層体7a(後述の
図2,3を参照)を貫通して形成され、その内壁にビア導体層25(焼成後の導体層22)を備えてなるビア23(後述の
図2,3を参照)が、その中心軸方向に切断されることで形成されるものである。
さらに、特に図示しないが、この外部電極21は、セラミック部品1Aを回路基板に実装する際に、回路基板上の実装パッドに接続されて、電気信号の出入力に用いられるものである。
切断面3aに上述のような外部電極21を形成しておくことで、実施例1に係るセラミック部品1Aをより高性能でかつ付加価値の高い製品にすることができる。
【実施例2】
【0030】
次に、
図2乃至
図5を参照しながら本発明の実施例2に係るセラミック部品の製造方法について説明する。実施例2に係るセラミック部品の製造方法は、上述の実施例1に係るセラミック部品1Aの製造方法である。
図2(a)は本発明の実施例2に係るセラミック部品の製造工程を示す平面図であり、(b)はセラミックグリーンシート積層体に形成されるビアの部分拡大図である。さらに、
図3乃至
図5はいずれも本発明の実施例2に係るセラミック部品の製造工程を示す平面図である。なお、
図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
まず、
図2(a)に示すようなセラミックグリーンシート積層体7aの製造工程の一例について簡単に説明する。
図2(a)に示すセラミックグリーンシート積層体7aを構成するセラミックグリーンシートは、例えば、セラミック板2aがアルミナからなる場合は、アルミナ粉末にマグネシア、シリカ、カルシア等の焼結助剤を適当量加えた粉末を準備し、この粉末に、ジオクチルフタレート等の可塑剤と、アクリル樹脂等のバインダー、及び、トルエン、キシレン、アルコール類等の溶剤を加えて十分に混練した後、脱泡して粘度2000〜40000cpsのスラリーとする。そして、このスラリーを、例えば、ドクターブレード法等により、例えば、厚さ0.25mmのシート状に形成し、更に、適当な大きさにカットしたものである。
【0031】
このようなセラミックグリーンシートは、
図2(a)に示すように、焼成後に個片化されてセラミック部品1Aとなるセラミック部品パーツ領域9aと、このセラミック部品パーツ領域9aを囲んで形成されるダミー領域10aとからなり、個々のセラミックグリーンシートに、必要に応じて、上下層の電気的導通を形成するためのビア導体用貫通孔(
図2(a)には図示せず)や、半導体素子,発光素子,水晶振動子等の電子部品5を搭載するためのキャビティ16(
図2(a)には図示せず、
図1を参照)用貫通孔が、打抜き金型や、パンチングマシーン等を用いて穿設されている。
さらに、上述のような様々な目的に応じて貫通孔が形成されたセラミックグリーンシートに、必要に応じて、タングステン(W)や、モリブデン(Mo)等の高融点金属からなる導体ペーストをスクリーン印刷することにより、ビア導体,導体配線パターン,あるいは、めっき導通用等の導体印刷パターンを形成することができる。
このような導体印刷パターンが形成されたセラミックグリーンシートにおけるセラミック部品パーツ領域9aをその積層方向において一致させながら、複数枚重ね合わせて、熱と圧力をかけて一体に貼り合わせてなるものが
図2(a)に示すセラミックグリーンシート積層体7aである(セラミックグリーンシート積層体7aの作製工程)。
なお、実施例2に係るセラミック部品の製造方法では、めっき導通用パターンの形成方向が特に重要であるため、それぞれの製造工程を示す平面図である
図2乃至
図5中に、めっき導通用パターン11aおよびそれに延設される端子部15を記載している。
【0032】
また、先の
図1(a)に示されるような、多層セラミック焼成体2の切断面3aに外部電極21を有するセラミック部品1Aを製造する場合は、
図2(a),(b)に示すように、このセラミックグリーンシート積層体7aの製造時に、焼成前セラミック部品8aの境界26に、セラミックグリーンシート積層体7aを貫通するビア23を形成しておき、さらに、例えば、スクリーン印刷等を行なうことにより、このビア23の内壁に、ビア導体層25(焼成後に
図1に示される導体層22となる)を形成しておくと良い。
なお、
図2ではセラミック部品パーツ領域9aの全周を囲むようにダミー領域10aを設ける場合を例に挙げて説明しているが、端子部15が形成されない側辺におけるダミー領域10aの形成を省略してもよい。
【0033】
実施例2に係るセラミック部品の製造方法では、
図3に示すように、上述のようなセラミックグリーンシート積層体7aにおける、個々の焼成前セラミック部品8aの境界26のうち、めっき導通用パターン11aと交差して形成される境界26上に、図示しない切り刃を用いて分割溝4(
図3中においては破線で示す)を形成する(分割溝4の形成工程)。なお、この分割溝4を、セラミックグリーンシート積層体7aの上下面の両方から互いに対峙させながら対をなして形成することで(
図1(c)を参照)、分割溝4に沿って焼成済みの多層セラミック焼成体2を破断する際に、バリや欠けを生じ難くして、製品が不良品化するのを防止している。
次に、分割溝4を形成したセラミックグリーンシート積層体7aにおいて、めっき導通用パターン11aと平行に形成される焼成前セラミック部品8aの境界26上を、高速回転するダイシングソー14(
図1(b)を参照)により切断して、この境界26上に切断面3aを形成しつつ、セラミックグリーンシート積層体7aを切り分けて、
図4に示すような短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aを作製する(切断工程)。なお、
図3,4において、ダイシングソー14により形成される切断面3aは、一点鎖線により示している。
【0034】
この時、ダイシングソー14によりセラミックグリーンシート積層体7aに形成されるめっき導通用パターン11aを切断してしまわないよう留意する必要がある。万一、めっき導通用パターン11aが切断されてしまうと、焼成後に電解めっきを行うことができなくなってしまうからである。
すなわち、実施例2に係るセラミック部品の製造方法においては、
図3,4の記載からも明らかなように、セラミックグリーンシート積層体7aに形成されるめっき導通用パターン11aと切断面3aとが交差しないようにこれらを配設する必要がある。
より具体的には、その後の工程において電解めっきを行なう際に、電流が切断面3aの伸長方向に沿って流れるように、セラミックグリーンシート積層体7aにめっき導通用パターン11aを形成しておくことで、切断面3aの形成に伴うめっき導通用パターン11aの分断を防止できる。
【0035】
なお、本実施の形態においては、セラミックグリーンシート積層体7aに分割溝4を形成してからダイシングソー14により切断して切断面3aを形成する場合を例に挙げて説明しているが、分割溝4の形成工程と、ダイシングソー14による切断工程とを入れ換えてもよい。ただし、切断面3aを形成してから分割溝4を形成する場合は、手間がかかるので、作業性の点からすると分割溝4を形成した後に切断面3aを形成することが好ましい。
【0036】
このように、セラミックグリーンシート積層体7aがダイシングソー14により切断されてなるものが、
図4に示すような、短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aである。
この短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aは、複数の焼成前セラミック部品8aが直列状に連結されてなり、さらに、その長手方向両端に、端子部15を備えたダミー領域10aが一体に延設されたものである。
さらに、この短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aにおいて、個々の焼成前セラミック部品8aに形成されるめっき導通用パターン11aは、全てつながっており、その両端はダミー領域10aに延設される端子部15,15に接続されている。
このように、短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aに形成される切断面3aにより、めっき導通用パターン11aが分断されることがないようめっき導通用パターン11aを配設することで、その後の工程において、この短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aを焼成して成る短冊状のセラミック部品集合体13aを電解めっきすることが可能になる。
【0037】
そして、
図4に示すような、短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aを焼成してなるものが、
図5の紙面左側に示される短冊状のセラミック部品集合体13aである(焼成工程)。
この短冊状のセラミック部品集合体13aは、その長手方向両端に延設されるダミー領域10aに端子部15,15を備えているので、この端子部15にめっき用電極を接続して電解めっきを行なうことで、セラミック部品1Aにおける配線導体の露出部分の表面にめっき層(図示せず)を形成することができる。
なお、セラミック部品1Aにめっき層を形成する必要がない場合は、必ずしも電解めっきを行なう必要はない。
【0038】
実施例2に係るセラミック部品の製造方法においては、セラミック部品1Aの側面3に、多層セラミック焼成体2の積層面に対して垂直(略垂直の概念も含む)でかつ平坦な切断面3aを形成する必要性から、セラミックグリーンシート積層体7aをダイシングソー14により切断して短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aを作製している。
このようにセラミックグリーンシート積層体7aを短冊状の焼成前セラミック部品集合体12aにしてから焼成した場合、上述のようにその後の工程において電解めっきを確実に行えるという効果に加えて、セラミックグリーンシート積層体7aを切断することなく大判のシート状のまま焼成する場合に比べて、焼成時に、セラミックグリーンシート積層体が変形したり、寸法精度不良が起こるリスクを低減できる。
この場合、
図5の紙面右側に示すように、短冊状のセラミック部品集合体13aを分割溝4に沿って破断させて個片化されてなるセラミック部品1Aが、変形や寸法精度不良により不良品化するリスクを低減することができる。
【0039】
従って、実施例2に係るセラミック部品の製造方法によれば、先の
図1に示すような、互いに平行に配設される一対の側面3,3が、多層セラミック焼成体2の積層面に対して垂直(略垂直の概念も含む)でかつ平坦な切断面3aであり、残りの側面3に分割溝4に沿って破断されてなる破断面3bが形成されたセラミック部品1Aを、製造時の加工コスト及び加工時間を削減することで製造コストを廉価にしつつ、焼成による不良品化を抑止しながら、効率よく生産することができる。
なお、本実施例では、セラミックグリーンシート積層体7aに予め分割溝4を形成しておき、焼成後の短冊状のセラミック部品集合体13aを分割溝4に沿って破断させてセラミック部品1Aを個片化する場合を例に挙げて説明しているが、セラミック部品1Aを個片化させる手段として、上述の方法以外にもレーザーカットや、ダイシングを採用することもできる。この場合、分割溝4を利用してセラミック部品1Aを破断させて個片化する場合に比べて、設備の磨耗が起こりやすいので、製造コストが高くなるものの、寸法精度が高く外観の美しい製品を提供することが可能になる。
【0040】
ここで、実施例2の変形例に係るセラミック部品の製造方法について
図6乃至
図9を参照しながら詳細に説明する。
実施例2に係るセラミック部品の製造方法により製造されるセラミック部品1Aは、その外縁を形成する側面3のうちの2つに切断面3aが形成されているが、セラミック部品の使用目的によっては、切断面3aが一箇所にのみ形成されていればよい場合もある。また、ダイシングソー14による切断箇所が多いほど、加工設備の維持費や加工時間がかかり、これらは全て製造コストに反映されてしまうため、ダイシングソー14による切断箇所は少ない方が好ましい。
このような事情に鑑み、セラミック部品1Aの外縁を構成する4つの側面3のうちの1つのみを切断面3aとし、残りの3つの側面3を破断面3bとするセラミック部品の製造方法として開発されたのが、以下に詳細に示す、実施例2の変形例に係るセラミック部品の製造方法である。
実施例2の変形例に係るセラミック部品の製造方法は、上述の実施例2に係るセラミック部品の製造方法と実質的には同じであるため、ここでは実施例2に係るセラミック部品の製造方法との相違点のみを説明する。
図6乃至
図9はいずれも実施例2の変形例に係るセラミック部品の製造工程を示す平面図である。なお、
図1乃至
図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2の変形例に係るセラミック部品の製造方法において使用されるセラミックグリーンシート積層体7bでは、
図6に示すように、セラミック部品パーツ領域9bにおいて、紙面上下方向に配設される2列のめっき導通用パターン11bがダミー領域10bにおいて合流されて、その両端部に一対の端子部15が接続されている。
【0041】
そして、
図6に示すようなセラミックグリーンシート積層体7bを用いる場合は、
図7に示すように、めっき導通用パターン11bと交差する方向に形成される焼成前セラミック部品8bの境界26上に加えて、
図7の紙面上下方向に形成される焼成前セラミック部品8bの境界26上にも一列おきに分割溝4を形成した後に(分割溝4の形成工程)、一対の端子部15に接続される全てのめっき導通用パターン11bを含んだものが一まとまりとなるように、隣り合う端子部15の中間に配置される焼成前セラミック部品8bの境界26上をダイシングソー14により切断して、この部分に切断面3aを形成しながら、セラミックグリーンシート積層体7bを切り分けて、短冊状の焼成前セラミック部品集合体12bを作製する(切断工程)。
【0042】
この場合も、セラミックグリーンシート積層体7bに形成されるめっき導通用パターン11bがダイシングソー14により分断されないので、
図8に示すような、セラミックグリーンシート積層体7bを切り分けてなる短冊状の焼成前セラミック部品集合体12bを焼成したものを電解めっきすることが可能である。
また、セラミックグリーンシート積層体7bを切り分けてなる短冊状の焼成前セラミック部品集合体12bは、
図8に示すように、紙面上下方向に直列に配設される焼成前セラミック部品8bを2列備えた平板体であり、その長手方向両端に、端子部15を備えたダミー領域10bを一体に備えたものである。
さらに、
図8に示すような短冊状の焼成前セラミック部品集合体12bを焼成して多層セラミック焼成体2としたものを
図9に示した(焼成工程)。
図9の紙面左側に示される短冊状のセラミック部品集合体13bの長手方向両端部にそれぞれ形成される端子部15,15にめっき用電極を接続して電解めっきを行なうことで、配線導体の露出部分の表面にめっき層を形成することができる(めっき処理工程)。
そして、必要に応じて電解めっき処理された短冊状のセラミック部品集合体13bを、
図9の紙面右側に示すように、分割溝4に沿って破断して個片化させてなるものがセラミック部品1Bである(破断・個片化工程)。
このセラミック部品1Bは、その外縁を形成する4つの側面3のうちの1つのみが切断面3aであり、残りの3つの側面3は分割溝4を破断させてなる破断面3bである。
【0043】
上述のような実施例2の変形例に係るセラミック部品の製造方法によれば、セラミックグリーンシート積層体7bの縦方向(
図6,7中の紙面上下方向)における焼成前セラミック部品8bの境界26を1列おきにダイシングすることにより、外縁を形成する4つの側面3のうちの1つのみが切断面3aであるセラミック部品1Bを製造することができる。また、この場合も、セラミックグリーンシート積層体7bを切断するためのダイシングソー14の破損や磨耗を抑制でき、しかも、加工時間も削減できるので、セラミック部品1Bの製造コストを廉価にできる。
また、実施例2に係るセラミック部品の製造方法と同様に、短冊状の焼成前セラミック部品集合体12bとしてから焼成するので、焼成時の変形や寸法精度不良の発生を抑制して、セラミック部品1Bが不良品化するリスクを低減できる。
よって、高品質なセラミック部品1Bを廉価にかつ効率よく生産することができる。
【0044】
最後に、実施例1に係るセラミック部品1Aについて
図10乃至
図12を用いて説明を補足する。
図10(a)は本発明の実施例1に係るセラミック部品の試作品の切断面の電子顕微鏡写真であり、(b)はその切断面を側面側から見たイメージ図である。また、
図11(a)は本発明の実施例1に係るセラミック部品の試作品の破断面の電子顕微鏡写真であり、(b)はその破断面を側面側から見たイメージ図である。さらに、
図12(a)は、比較対象としての焼成後の多層セラミック焼成体をダイシングソーにより切断してなる切断面の電子顕微鏡写真であり、(b)はその切断面を側面側から見たイメージ図である。なお、
図10(b),
図11(b),
図12(b)のそれぞれには、平坦な状態の目安として破線を書き込んだ。
通常、多層セラミック焼成体2を構成するセラミック板2aは、粉体原料である、例えば、アルミナ粉と、焼結助剤として添加されるガラス質成分とからなる粒界17と、その空隙18とからなっている。
そして、実施例1に係るセラミック部品1Aの切断面3aでは、上述の通り、焼成前の柔らかいセラミックグリーンシート積層体7aの状態でダイシングソー14による切断が行なわれ、この後に焼成されて多層セラミック焼成体2が形成されるので、
図10(a),(b)に示されるように、セラミック部品1Aの切断面3aは、丸みを帯びた粒界17が敷き詰められたような状態となる。
その一方で、実施例1に係るセラミック部品1Aの破断面3bは、焼成済みの多層セラミック焼成体2が分割溝4に沿って破断されて形成されるので、破断面3bの状態は、
図11(a),(b)に示されるように、粒界17が引きちぎられて形成される断面19が不規則につながった状態となる
さらに、焼成後の多層セラミック焼成体2をダイシングソー14により切断してなる切削面の状態は、
図12(a),(b)に示されるように、粒界17が切断されてなる切削面20が敷き詰められて平面が構成されたような状態となる。
従って、実施例1に係るセラミック部品1Aの切断面3aと、破断面3bと、焼成後の多層セラミック焼成体2をダイシングソー14により切断してなる切削面とは、電子顕微鏡を用いて観察することにより容易に区別することができる。