(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の塩は、式(I−CC)で示される。
[式(I−CC)中、
Q
1及びQ
2は、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
X
1は、単結合又は−[CH
2]
k−を表し、該−[CH
2]
k−に含まれる−CH
2−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよく、該−[CH
2]
k−に含まれる水素原子は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい。kは、1〜17の整数を表す。
Y
1は、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基に含まれる−CH
2−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。ただし、Y
1はフッ素原子を含まない。
A
1及びA
2は、互いに独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表すか、A
1とA
2とが一緒になって炭素数3〜20の環を形成し、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及び環に含まれる水素原子は、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及び環に含まれる−CH
2−は−O−で置き換わっていてもよい。
Ar
1は、置換基を有していてもよい(m
4+1)価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表す。
B
1は、単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基に含まれる−CH
2−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
B
2は、酸の作用により脱離し得る基を表す。
m
1及びm
2は、互いに独立に、0〜2の整数を表す。
m
3は、1〜3の整数を表す。ただし、m
1+m
2+m
3=3である。
m
4は、1〜3の整数を表す。]
【0019】
本発明の塩は、式(I−CC−1)で示されることが好ましい。
[式(I−CC−1)中、
Q
1及びQ
2は、互いに独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
X
1は、単結合又は−[CH
2]
k−を表し、該−[CH
2]
k−に含まれる−CH
2−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよく、該−[CH
2]
k−に含まれる水素原子は、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい。kは、1〜17の整数を表す。
Y
1’は、炭素数1〜36の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜36の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜36の芳香族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数2〜18のアシルオキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基及び脂環式炭化水素基に含まれる−CH
2−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。該炭素数6〜20の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。
A
1及びA
2は、互いに独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表すか、A
1とA
2とが一緒になって炭素数3〜20の環を形成し、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及び環に含まれる水素原子は、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素で置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基及び環に含まれる−CH
2−は−O−で置き換わっていてもよい。
Ar
1’は、(m
4+1)価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を表し、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。
B
1は、単結合又は炭素数1〜6のアルキレン基を表し、該アルキレン基に含まれる−CH
2−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。
B
2は、酸の作用により脱離し得る基を表す。
m
1及びm
2は、互いに独立に、0〜2の整数を表す。
m
3は、1〜3の整数を表す。ただし、m
1+m
2+m
3=3である。
m
4は、1〜3の整数を表す。]
【0020】
ペルフルオロアルキル基としては、ペルフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロ−n−プロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロ−n−ブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、ペルフルオロ−tert−ブチル基、ペルフルオロ−n−ペンチル基、ペルフルオロ−n−ヘキシル基などが挙げられる。なかでも、ペルフルオロメチル基が好ましい。
【0021】
−[CH
2]
k−としては、炭素数1〜17のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、イソプロピレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基等が挙げられる。
【0022】
−[CH
2]
k−に含まれる−CH
2−が−O−又は−CO−で置き換わった基としては、例えば、
*−CO−O−X
10−、
*−CO−O−X
11−CO−O−、
*−X
12−O−CO−、
*−X
13−O−X
14−、
*−X
15−O−、
*−X
16−CO−O−、などが挙げられ、好ましくは
*−CO−O−X
10−、
*−CO−O−X
11−CO−O−、
*−X
12−O−CO−、
*−X
13−O−X
14−が挙げられ、より好ましくは
*−CO−O−X
10−が挙げられる。
ここで、*は−CQ
1Q
2−との結合手を表し、X
10、X
12〜X
14及びX
16は、単結合又は炭素数1〜15のアルキレン基を表し、X
11は、単結合又は炭素数1〜13のアルキレン基を表し、X
15は、単結合又は炭素数1〜16のアルキレン基を表す。ただし、当該アルキレン基に含まれる−CH
2−が置換された基において、上記の各基の主鎖を構成する原子数は、kと同じ、1〜17である。
【0023】
脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基などのアルキル基が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、イソボルニル基などが挙げられる。
【0024】
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基;トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等のアリール基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキトキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、2−エチルヘキトキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等が挙げられる。
【0025】
A
1とA
2とが一緒になって環を形成する場合、−S
+A
1A
2基としては、下記の基が例示される。
これらの式においては、
R
s1、R
s2、R
s3及びR
s4は、互いに独立に、水酸基又は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素を表す。なかでも、水酸基又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
t1は、0〜4の整数を表す。
t2は、0〜5の整数を表す。
t3は、0〜8の整数を表す。
t4は、0〜8の整数を表す。]
【0026】
Y
1(及びY
1’、以下同じ)が有していてもよい置換基としては、例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、水酸基、シアノ基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数2〜18のアシルオキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0027】
A
1及びA
2が有していてもよい置換基としては、例えば、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数3〜36の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0028】
Ar
1(及びAr
1’、以下同じ)が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
【0029】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ等が挙げられる。
【0030】
アルコキシカルボニル基とは、-COOR(Rはアルキル基を表す)で表される基であり、例えば炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基においては、Rは1〜6のアルキル基を表す。アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基等が挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。
【0031】
なお、本明細書では
、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」及び「(メタ)アクリロイル」は、いずれも、「CH
2=CH−CO−」及び「CH
2=C(CH
3)−CO−」の構造を有する化合物又は置換基を意味する。
【0032】
Q
1およびQ
2は、それぞれ独立にフッ素原子または−CF
3であることが好ましく、両方ともフッ素原子がより好ましい。
【0033】
A
1及びA
2は、好ましくはフェニル基及びナフチル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。また、A
1及びA
2は、双方ともフェニル基であることが好ましい。A
1及びA
2は、一緒になって炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜6の環を形成していてもよい。
Ar
1は、好ましくはフェニレン基が挙げられ、より好ましくは、p−フェニレン基である。
【0034】
B
1は、なかでも、*−O−C(R)
2−である(*は、Ar
1との結合位置を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す)ことが好ましい。
【0035】
B
2における酸の作用により脱離し得る基としては、B
1基との結合手が4級炭素原子となる基、つまり、B
1基における結合炭素に水素原子等の炭素原子以外の原子が結合していない基が挙げられ、それ自体が脱離し得る基であれば、該基が置換基を有していてもよい。ここでの置換基は、例えば、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基、炭素数2〜7のアシルオキシ基等が挙げられる。
なかでも、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシル基及び炭素数2〜7のアシルオキシ基等が好ましい。あるいは、フッ素原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基等が好ましい。
酸の作用により脱離し得る基は、例えば、式(B2−1)で表される基などが挙げられる。
[式(B2−1)中、
R
c1、R
c2及びR
c3は、互いに独立に、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜18の炭化水素基を表すか、R
c1、R
c2及びR
c3のうちの任意の2つが結合して炭素数3〜36の環を形成し、該環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基、炭素数2〜7のアシルオキシ基で置換されていてもよく、該炭化水素基及び環に含まれる−CH
2−は−O−又は−CO−で置き換わっていてもよい。]
また、環に含まれる水素原子は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシル基又は炭素数2〜7のアシルオキシ基で置換されていていることが好ましい。
ここで、炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、トリチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。
【0036】
R
c1、R
c2及びR
c3は、それらのうちの任意の2つが結合して炭素数3〜36の環を形成することが好ましい。該環は、好ましくは置換基を有さないか、ハロゲン原子、特にフッ素原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシル基又は炭素数2〜7のアシルオキシ基等の1以上の置換基を有するものであり、より好ましくは、置換基を有さないものである。
【0037】
R
c1、R
c2及びR
c3のうちの任意の2つが互いに結合して環を形成する場合、−C(R
c1)(R
c2)(R
c3)基としては、下記の基が挙げられる。環の炭素数は、好ましくは炭素数3〜12である。なお、以下の式において、R
c3は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基、炭素数2〜7のアシルオキシ基等の置換基を有していてもよい。
なかでも、式(W4)及び式(W12)が好ましい。
【0038】
B
2における酸の作用により脱離し得る基としては、具体的には、以下の基が挙げられる。
【0040】
式(I−CC)及び式(I−CC−1)で表される塩では、m
4は1であることが好ましく、m
1、m
2及びm
3は1であることが好ましく、さらに、1m
1〜m
4のいずれもが1であることがより好ましい。
【0041】
Y
1は、好ましくは水酸基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又は炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基で置換されていてもよい炭素数3〜36の脂環式炭化水素基である。
Y
1として、式(W1)で表される基〜式(W24)で表される基などが挙げられる。式(W1)〜式(W19)で表される基は、置換基を有していてもよい。なかでも、式(W1)〜式(W19)で表される基などが好ましく、より好ましくは式(W12)、式(W15)、式(W16)及び式(W19)で表される基である。
【0043】
式(I−CC)及び式(I−CC−1)におけるアニオンとしては、例えば、下記のもの等が例示される。
【0076】
本発明の塩のカチオンとしては、例えば、式(CC−a1)、式(CC−b1)、式(CC−b1’)、式(CC−c1)で表されるカチオン等が挙げられる。
【0077】
[式(CC−a1)、式(CC−b1)、式(CC−b1’)、式(CC−c1)中、
R
cは、互いに独立に、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数2〜7のアシル基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基、炭素数2〜7のアシルオキシ基を表す。
cは0〜8の整数を表す。cが2以上の場合、複数のR
cは同一でも異なってもよい。
A
1、A
2、m
1、m
2及びR
c3は前記と同じ意味を表す。]
なかでも、R
cは、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアルコキシカルボニル基、炭素数2〜7のアシル基又は炭素数2〜7のアシルオキシ基であることが好ましく、あるいは、フッ素原子、水酸基、炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基であることが好ましい。
【0078】
本発明の塩におけるカチオンとしては、好ましくは、式(CC−a2)、式(CC−b2)、式(CC−b2’)及び(CC−c2)で表されるカチオン等が挙げられる。
【0079】
[式(CC−a2)、式(CC−b2)、式(CC−b2’)及び(CC−c2)中、
P
32及びP
34は、互いに独立に、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数4〜36の脂環式炭化水素を表し、該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基、グリシジルオキシ基又は炭素数2〜4のアシル基で置換されていてもよい。
s及びtは0〜5の整数である。
R
c、R
c3及びcは前記と同じ意味を表す。]
【0080】
本発明の塩におけるカチオンとしては、より好ましくは、式(CC−a3)、式(CC−b3)、式(CC−b3’)及び(CC−c3)で表される塩等が挙げられる。
[式(CC−a3)、式(CC−b3)、式(CC−b3’)及び(CC−c3)中、
R
c3は前記と同じ意味を表す。]
【0081】
本発明の塩におけるカチオンとしては、例えば、以下のカチオンが挙げられる。
【0082】
本発明の塩では、上述したアニオン及びカチオンを任意に組み合わせることができる。
例えば、本発明の塩として、式(I−CC−1’)〜式(I−CC−16’)で表される化合物が挙げられる。
【0083】
[式(I−CC−1’)〜式(I−CC−16’)中、P
32、P
34は、前記と同じ意味を表す。]
【0084】
上記の組合せのうち、好ましくは以下の塩が挙げられる。
【0086】
本発明の塩は、当該分野で公知の方法によって製造することができる。例えば、B
1が−CH
2−O−、m
4=1である式(IA)で表される塩は、式(IA−4)で表される塩と式(IA−5)で表される塩とを溶剤中で反応させることにより得ることができる。
溶剤としては、クロロホルム等が挙げられる。
式(IA−5)で表される塩としては、特開第2008−165218号公報に記載された方法によって製造することができる。
【0088】
式(IA−4)で表される塩は、式(IA−3)で表される塩と式(IA−2)で表される化合物とを、触媒下、溶剤中で反応させることにより得ることができる。
触媒としては、炭酸カリウム、ヨウ化カリウム等が挙げられる。
溶剤としては、N,N’−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
式(IA−3)で表される塩としては、4−ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムクロライド等が挙げられる。
【0089】
式(IA−2)で表される化合物は、式(IA−1)で表される化合物とクロロアセチルクロリドとを、塩基触媒下、溶剤中で反応させることにより得ることができる。
塩基としては、ピリジン等が挙げられる。
溶剤としては、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
式(IA−1)で表される化合物としては、2−メチル−2−アダマンタノール等が挙げられる。
【0090】
また、本発明の塩は、例えば、特開第2008−165218号公報に記載された方法によっても製造することができる。
【0091】
本発明の酸発生剤は、本発明の塩を含有する。本発明の塩は、酸発生剤として使用する時、単独でも複数種を同時に用いてもよい。また、本発明の酸発生剤は、さらに、本発明の塩以外の公知の塩、本発明の塩に含まれるカチオン及び公知のアニオンからなる塩、並びに本発明の塩に含まれるアニオン及び公知のカチオンからなる塩等を含んでいてもよい。
本発明の塩以外の公知の塩としては、特開2006−257078号公報、特開2007−224008号公報及び特開2004−4561号公報に記載された塩等が挙げられる。レジスト組成物中での、本発明の塩と本発明以外の公知の塩との含有量のモル比は、99:1〜1:99である。
【0092】
本発明のレジスト組成物は、本発明の塩を含有する酸発生剤と樹脂とを含有する。樹脂は酸に不安定な基を有し、アルカリ水溶液に不溶又は難溶な樹脂であり、酸と作用することによりアルカリ水溶液で溶解し得る樹脂である。このレジスト組成物では、露光により、本発明の塩から酸が発生する。その酸は、樹脂中の酸に不安定な基に対して触媒的に作用して開裂させ、樹脂をアルカリ水溶液に可溶なものとする。このようなレジスト組成物は、化学増幅型レジスト組成物(以下「レジスト組成物」という場合がある)、特にポジ型のレジスト組成物として好適である。本発明のレジスト組成物では、酸発生剤として、さらに本発明の塩以外の公知の塩を併用してもよい。
【0093】
「酸に不安定な基」とは、酸と接触すると脱離基が開裂して、親水性基(例えば、ヒドロキシ基又はカルボキシ基)を形成する基を意味する。酸に不安定な基としては、例えば、−O−が3級炭素原子(但し橋かけ環状炭化水素基の橋頭炭素原子を除く)と結合した式(1)で表されるアルコキシカルボニル基が挙げられる。なお以下では、式(1)で表される基を「酸に不安定な基(1)」という場合がある。
【0094】
式(1)中、R
a1〜R
a3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素数3〜20の脂環式炭化水素基を表すかR
a1及びR
a2は互いに結合して炭素数3〜20の環を形成する。*は結合手を表す。
【0095】
脂肪族炭化水素基としては、例えばアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロへキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などのシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、下記のような基等が挙げられる。
式(1)では、脂環式炭化水素基の炭素数は、好ましくは炭素数1〜16である。
【0096】
R
a1及びR
a2が互いに結合して環を形成する場合、−C(R
a1)(R
a2)(R
a3)基としては、下記の基が挙げられる。環の炭素数は、好ましくは炭素数3〜12である。
【0097】
酸に不安定な基(1)としては、例えば、
1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、R
a1〜R
a3がアルキル基である基、好ましくはtert−ブトキシカルボニル基)、
2−アルキル−2−アダマンチルオキシカルボニル基(式(1)中、R
a1、R
a2及び炭素原子がアダマンチル基を形成し、R
a3がアルキル基である基)及び
1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、R
a1及びR
a2がアルキル基であり、R
a3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0098】
酸に不安定な基を有するモノマー(a1)は、好ましくは、酸に不安定な基(1)と炭素−炭素二重結合とを有するモノマー、より好ましくは酸に不安定な基(1)を有する(メタ)アクリル系モノマーであり、例えば、
(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、
(メタ)アクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−アルキル−2−アダマンチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキル、
α−クロロアクリル酸2−アルキル−2−アダマンチル、
α−クロロアクリル酸1−(1−アダマンチル)−1−アルキルアルキルなどが挙げられる。
【0099】
特に(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルが、得られるレジストの解像度が優れる傾向があることから好ましい。
(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルとしては、例えば、アクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−メチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−エチル−2−アダマンチル、アクリル酸2−イソプロピル−2−アダマンチル、メタクリル酸2−イソプロピル−2−アダマンチル、アクリル酸2−n−ブチル−2−アダマンチル等が挙げられる。
これらの中でも(メタ)アクリル酸2−エチル−2−アダマンチル又は(メタ)アクリル酸2−イソプロピル−2−アダマンチルが、得られるレジストの感度が優れ耐熱性にも優れる傾向があることから好ましい。
(メタ)アクリル酸2−アルキル−2−アダマンチルは、通常、2−アルキル−2−アダマンタノール又はその金属塩とアクリル酸ハライド又はメタクリル酸ハライドとの反応により製造できる。
【0100】
樹脂における酸に不安定な基を有するモノマーに由来する構造単位の含有量が10〜80モル%であることが好ましい。
【0101】
また、樹脂は極性の高い置換基を有する構造単位を含むことが好ましい。極性の高い置換基としては、水酸基、シアノ基、ニトロ基又はアミノ基等の置換基を有する炭化水素基や、−CO−O−、−CO−、−O−、−SO
2−又は−S−を有する炭化水素基が挙げられ、好ましくは水酸基又はシアノ基を有する脂環式炭化水素基や、骨格中の−CH
2−が−O−又は−CO−で置き換わった脂環式炭化水素基や、ラクトン環を有する基などが挙げられ、さらに好ましくは、水酸基を有する橋かけ脂環式炭化水素基や、骨格中の−CH
2−が−CO−O−又は−CO−で置き換わった橋かけ脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0102】
極性の高い置換基を有する構造単位としては、例えば、
水酸基を有する2−ノルボルネンに由来する構造単位、
(メタ)アクリロニトリルに由来する構造単位、
水酸基を有するアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、
p−又はm−ヒドロキシスチレン等のスチレン系モノマーに由来する構造単位、
アルキル基で置換されていてもよいラクトン環を有する化合物に由来する構造単位が挙げられる。
なかでも、水酸基を有するアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及びアルキル基で置換されていてもよいラクトン環を有する化合物に由来する構造単位が好ましい。
【0103】
水酸基を有するアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル等が挙げられる。
これらのモノマーは市販されているが、例えば、対応するヒドロキシアダマンタンを(メタ)アクリル酸又はそのハライドと反応させることにより、製造することもできる。
樹脂が水酸基を有するアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を含む場合、水酸基を有するアダマンチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位が、樹脂を構成する構成単位の合計100モル%に対して、5〜50モル%含有されることが好ましい。
【0104】
アルキル基で置換されていてもよいラクトン環を有する化合物に由来する構造単位としては、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトンに由来する構造単位、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトンに由来する構造単位、式(a)で表される構造単位、式(b)で表される構造単位等が挙げられる。
【0105】
(式(a)及び式(b)中、R
1及びR
2は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を表し、R
3及びR
4は、互いに独立に、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はハロゲン原子を表し、i及びkは、互いに独立に、1〜3の整数を表す。iが2または3のときには、R
3は互いに異なる基であってもよく、kが2または3のときには、R
4は互いに異なる基であってもよい。)
【0106】
(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン等のモノマーは、ラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいα−若しくはβ−ブロモ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸若しくはメタクリル酸を反応させるか、又はラクトン環がアルキル基で置換されていてもよいα−若しくはβ−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンにアクリル酸ハライド若しくはメタクリル酸ハライドを反応させることにより製造できる。
【0107】
式(a)で表される構造単位を与えるモノマー及び式(b)で表される構造単位を与えるモノマーとしては、例えば、以下のような水酸基を有するラクトンの(メタ)アクリル酸エステル、それらの混合物等が挙げられる。これらのエステルは、例えば、対応する水酸基を有するラクトンと(メタ)アクリル酸類との反応により製造することができる(例えば、特開2000−26446号公報参照)。
【0109】
ここで、(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトンとしては、例えば、α−アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−アクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、α−メタクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトン、β−メタクリロイルオキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0110】
樹脂が、アルキル基で置換されていてもよいラクトン環を有する化合物に由来する構造単位を含む場合、アルキル基で置換されていてもよいラクトン環を有する化合物に由来する構造単位が、樹脂を構成する構成単位の合計100モル%に対して、5〜50モル%含有されることが好ましい。
【0111】
極性の高い置換基を有する構造単位としては、特に、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチルに由来する構造単位、(メタ)アクリル酸3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチルに由来する構造単位、α−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトンに由来する構造単位、β−(メタ)アクリロイルオキシ−γ−ブチロラクトンに由来する構造単位、式(a)で表される構造単位又は及び式(b)に表される構造単位が、基板への接着性及びレジストの解像度が向上する傾向にあることから好ましい。
【0112】
KrFエキシマレーザー露光の場合は、樹脂が、p−又はm−ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーに由来する構造単位を含むことが好ましい。このような樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとアセトキシスチレン及びスチレンとをラジカル重合した後、酸によって脱アセチルすることによって得ることができる。
【0113】
樹脂が、スチレン系モノマーに由来する構造単位を含む場合、スチレン系モノマーに由来する構造単位が、樹脂を構成する構成単位の合計100モル%に対して、5〜90モル%モル%含有されることが好ましい。
【0114】
また、樹脂は、その他の構造単位を含んでいてもよい。
前記その他の構造単位としては、例えば、
アクリル酸やメタクリル酸等の遊離のカルボン酸基を有するモノマーに由来する構造単位、
無水マレイン酸、無水イタコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物に由来する構造単位、
2−ノルボルネンに由来する構造単位、
−CO−O−CH
2(R’)基又は−CO−O−CH(R’)(R”)基(R’及びR”は互いに独立にアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基を表す。)を有する化合物に由来する構造単位、
1−アダマンチル基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位等が挙げられる。
【0115】
2−ノルボルネンに由来する構造単位を含む樹脂は、その主鎖に直接脂環式骨格を有するために頑丈な構造となり、ドライエッチング耐性に優れるという特性を示す。2−ノルボルネンに由来する構造単位は、例えば対応する2−ノルボルネンの他に無水マレイン酸や無水イタコン酸のような脂肪族不飽和ジカルボン酸無水物を併用したラジカル重合により主鎖へ導入し得る。したがって、ノルボルネン構造の二重結合が開いて形成されるものは式(c)で表すことができ、無水マレイン酸無水物及び無水イタコン酸無水物の二重結合が開いて形成されるものはそれぞれ式(d)及び式(e)で表すことができる。
【0117】
(式(c)中、R
5及びR
6は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、カルボキシル基、シアノ基又は−COOU(Uはアルコール残基である)を表すか、R
5及びR
6が結合して、−C(=O)OC(=O)−で表されるカルボン酸無水物残基を表す。)
R
5及びR
6が−COOUである場合は、カルボキシル基がエステルとなったものであり、Uに相当するアルコール残基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜8程度のアルキル基、2−オキソオキソラン−3−又は−4−イル基などを挙げることができる。ここで、該アルキル基は、水酸基や脂環式炭化水素残基などが置換基として結合していてもよい。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
水酸基が結合したアルキル基、つまり、ヒドロキシルアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、例えば、炭素数3〜30程度のものが挙げられ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロデシル、シクロヘキセニル、ビシクロブチル、ビシクロヘキシル、ビシクロオクチル、2−ノルボルニル等が挙げられる。
【0118】
式(c)で表される構造単位を与える化合物としては、
2−ノルボルネン、
2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、
5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、
5−ノルボルネン−2−メタノール、
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物等の化合物を挙げることができる。
【0119】
なお、式(c)中のR
5及びR
6の−COOUが、式(1a)で表される基であれば、酸に不安定な基を有する構造単位である。
ノルボルネン構造と酸に不安定な基とを含むモノマーとしては、例えば、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル等が例示される。
【0120】
用いられるモノマーとしてはオレフィン性二重結合が同じでも酸に不安定な基が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基が同じでもオレフィン性二重結合が異なるモノマーを併用してもよいし、酸に不安定な基とオレフィン性二重結合との組合せが異なるモノマーを併用してもよい。
【0121】
樹脂は、重量平均分子量が10,000以上であることが適しており、好ましくは10,500以上、より好ましくは11,000以上、さらに好ましくは11,500以上、さらにより好ましくは12,000以上である。また、上限は特に限定されないが、重量平均分子量が大きすぎると、リソグラフィ性能が破綻し、欠陥が生じやすいことから、40,000以下が適しており、好ましくは39,000以下、より好ましくは38,000以下、さらに好ましくは37,000以下である。
この場合の重量平均分子量は、後述するように、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより求めることができる。
【0122】
本発明のレジスト組成物は、塩基性化合物、好ましくは、塩基性含窒素有機化合物、とりわけ好ましくはアミン又はアンモニウム塩を含有する。塩基性化合物をクエンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良することができる。クエンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げられる。
【0124】
式中、R
11、R
12及びR
17は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、該アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の水素原子は、ヒドロキシル基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
【0125】
R
13及びR
14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を表すか、R
13とR
14とが結合して芳香環を形成し、該アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアルコキシ基の水素原子は、ヒドロキシル基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
【0126】
R
15は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はニトロ基を表し、該アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアルコキシ基の水素原子は、ヒドロキシル基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
【0127】
R
16は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数5〜10シクロアルキル基を表し、該アルキル基及びシクロアルキル基の水素原子は、ヒドロキシル基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
【0128】
R
18、R
19及びR
20は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10シクロアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表し、該アルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の水素原子は、ヒドロキシル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基の水素原子は、炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい。
【0129】
アリール基としては、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル等が挙げられる。
【0130】
W’は、炭素数2〜6のアルキレン基、カルボニル基、イミノ基、スルフィド基又はジスルフィド基を表す。
【0131】
このような化合物として、具体的には、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−又は2−ナフチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−イソプロピルアニリン、イミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4−メチルイミダゾール、ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、ジ−2−ピリジルケトン、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジルオキシ)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、2,2’−ジピコリルアミン、3,3’−ジピコリルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称:コリン)などを挙げることができる。
【0132】
さらには、特開平11−52575号公報に開示されているような、ピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物をクエンチャーとすることもできる。
【0133】
本発明のレジスト組成物は、その全固形分量を基準に、樹脂を80〜99.9重量%程度、酸発生剤を0.1〜20重量%程度の範囲で含有することが好ましい。
また、化学増幅型レジスト組成物としてクエンチャーである塩基性化合物を用いる場合は、レジスト組成物の全固形分量を基準に、0.01〜1重量%程度の範囲で含有するのが好ましい。全固形分量とは、レジスト組成物から溶媒を除いた成分の合計量をいう。
レジスト組成物としては、さらに、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0134】
本発明レジストパターンの製造方法は、(1)本発明のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、(2)塗布後の組成物から溶剤を除去して組成物層を形成する工程、(3)組成物層に露光機を用いて露光する工程、(4)露光後の組成物層を加熱する工程、(5)加熱後の組成物層を、現像装置を用いて現像する工程、を含む。
本発明のレジスト組成物は、通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態でレジスト液組成物とされ、シリコンウェハなどの基体上に、スピンコーティングなどの通常工業的に用いられている方法によって塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で通常工業的に用いられている溶剤が使用できる。
【0135】
例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0136】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が用いられることが多い。
【0137】
本発明の塩は、レジスト組成物用の酸発生剤として好適に用いられ、中でも、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィならびにArF液浸露光リソグラフィに好適なレジスト組成物用の酸発生剤として用いることができる。
【実施例】
【0138】
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例および比較例中、含有量ないし使用量を表す%及び部は、特記しないかぎり重量基準である。
【0139】
樹脂の重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
装置;HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSKgel Multipore HXL−M 3本+ guardcolumn(東ソー(株)製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μL
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー(株)製)
【0140】
化合物の構造は、NMR(日本電子製EX−270型)、質量分析(LCはAgilent製1100型、MASSはAgilent製LC/MSD型またはLC/MSD TOF型)で確認した。
【0141】
実施例1:塩A1の合成
【0142】
式(I−CC−1−a)で表される化合物4.85部及びN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(I−CC−1−b)で表される塩6.30部をN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60.00部及び1N塩酸60.00部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層に活性炭2.0部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。
得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−1−c)で表される塩を得た。
【0143】
【0144】
ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチルエステル100部及びイオン交換水150部に、氷浴下、30%水酸化ナトリウム水溶液230部を滴下した。得られた混合物を100℃で3時間還流し、23℃まで冷却し、濃塩酸88部で中和した。得られた混合物を濃縮することによりジフルオロスルホ酢酸ナトリウム塩164.4部(無機塩含有、純度62.7%)を得た。得られたジフルオロスルホ酢酸ナトリウム塩1.9部(純度62.7%)及びN,N−ジメチルホルムアミド9.5部に、1,1’−カルボニルジイミダゾール1.0部を添加し、2時間撹拌して混合物を調製した。
【0145】
一方、3−ヒドロキシアダマンチルメタノール1.1部及びN,N−ジメチルホルムアミド5.5部に、水素化ナトリウム0.2部を添加し、2時間撹拌した。この溶液に、前記の混合物を添加した。得られた混合物を15時間撹拌し、生成した式(I−CC−1−d)で表される塩を含む溶液をそのまま次の反応に用いた。
【0146】
【0147】
式(I−CC−1−d)で表される塩1.81部を含む溶液に、クロロホルム3.2部及び式(I−CC−1−c)で表される塩2.61部を添加した。得られた混合物を、15時間撹拌し、イオン交換水で洗浄した。得られた混合物に活性炭1.2部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−1)で表される塩1.78部(純度100%、収率43%)を得た。式(I−CC−1)で表される塩を塩A1とした。
【0148】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 485.2
MS(ESI(−)Spectrum):M
− 339.1
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d
6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)1.35−2.02(m,27H)、2.10(m,2H)、2.25(m,2H)、3.85(s,2H)、4.42(m,1H)、4.96(s,2H)、7.28−7.38(m,2H)、7.70−7.90(m,12H)
【0149】
実施例2:塩A2の合成
【0150】
式(I−CC−2−a)で表される化合物4.09部及びN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(I−CC−1−b)で表される塩6.30部をN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60.00部及び1N塩酸60.00部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層に活性炭2.0部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。
得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−2−c)で表される塩を得た。
【0151】
【0152】
式(I−CC−1−d)で表される塩1.81部を含む溶液に、クロロホルム3.2部及び式(I−CC−2−c)で表される塩2.42部を添加した。得られた混合物を、15時間撹拌し、イオン交換水で洗浄した。得られた混合物に活性炭1.2部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−2)で表される塩1.24部(純度100%、収率32%)を得た。式(I−CC−2)で表される塩を塩A2とした。
【0153】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 447.2
MS(ESI(−)Spectrum):M
− 339.1
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d
6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)0.85(t,3H)、1.15−1.80(m,22H)、1.95(q,2H)、2.10(m,2H)、3.85(s,2H)、4.42(s,1H)、4.96(s,2H)、7.28−7.38(m,2H)、7.70−7.90(m,12H)
【0154】
実施例3:塩A3の合成
【0155】
式(I−CC−3−a)で表される化合物5.54部及びN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(I−CC−1−b)で表される塩6.30部をN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60.00部及び1N塩酸60.00部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層に活性炭2.0部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。
得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−3−c)で表される塩を得た。
【0156】
【0157】
式(I−CC−1−d)で表される塩1.81部を含む溶液に、クロロホルム3.2部及び式(I−CC−3−c)で表される塩2.56部を添加した。得られた混合物を、15時間撹拌し、イオン交換水で洗浄した。得られた混合物に活性炭1.2部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。さらに、得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。さらに、得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−3)で表される塩1.11部(純度100%、収率27%)を得た。式(I−CC−3)で表される塩を塩A3とした。
【0158】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 475.2
MS(ESI(−)Spectrum):M
− 339.1
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d
6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)0.84(t,3H)、1.15−1.80(m,22H)、1.95(q,2H)、1.95(s,6H)、2.10(m,2H)、3.85(s,2H)、4.42(s,1H)、7.26−7.36(m,2H)、7.70−7.90(m,12H)
【0159】
実施例4:塩A4の合成
【0160】
式(I−CC−4−a)で表される化合物3.81部及びN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部を仕込み、23℃で30分間攪拌した。得られた混合物に、炭酸カリウム1.66部及びヨウ化カリウム0.84部を仕込み、50℃で1時間攪拌した。得られた混合物を、40℃まで冷却し、式(I−CC−1−b)で表される塩6.30部をN,N’−ジメチルホルムアミド28.00部に溶解した溶液を1時間かけて滴下し、75℃で5時間攪拌した。得られた混合物を、23℃まで冷却し、クロロホルム60.00部及び1N塩酸60.00部を加えて攪拌し、分離した。回収された有機層をイオン交換水60.00部で水層が中性になるまで水洗を繰り返した。回収された有機層に活性炭2.0部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。
得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル20部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−4−c)で表される塩を得た。
【0161】
【0162】
式(I−CC−1−d)で表される化合物1.81部を含む溶液に、クロロホルム3.2部及び式(I−CC−4−c)で表される塩2.35部を添加した。得られた混合物を、15時間撹拌し、イオン交換水で洗浄した。得られた混合物に活性炭1.2部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−4)で表される塩1.08部(純度100%、収率28%)を得た。式(I−CC−4)で表される塩を塩A4とした。
【0163】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 433.2
MS(ESI(−)Spectrum):M
− 339.1
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d
6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)0.87(t,3H)、1.20−1.80(m,20H)、2.00(q,2H)、2.10(m,2H)、3.85(s,2H)、4.42(s,1H)、4.96(s,2H)、7.28−7.38(m,2H)、7.70−7.90(m,12H)
【0164】
実施例5:塩A5の合成
【0165】
ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチルエステル100部及びイオン交換水250部に、氷浴下、30%水酸化ナトリウム水溶液230部を滴下した。得られた混合物を100℃で3時間還流し、23℃まで冷却し、濃塩酸88部で中和した。得られた混合物を濃縮することによりジフルオロスルホ酢酸ナトリウム塩164.8部(無機塩含有、純度62.6%)を得た。得られたジフルオロスルホ酢酸ナトリウム塩5.0部(純度62.6%)、4−オキソ−1−アダマンタノール2.6部及びエチルベンゼン100部の混合物に、濃硫酸0.8部を加え、30時間加熱還流した。得られた混合物を冷却し、濾過した。得られた濾過残渣をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄することにより、式(I−CC−5−d)で表される塩5.5部を得た。
1H−NMRによる純度分析の結果、その純度は35.6%であった。
【0166】
【0167】
式(I−CC−5−d)で表される塩4.86部(純度35.6%)に、アセトニトリル15部及びイオン交換水15部を加えた。さらに、式(I−CC−5−c)で表される塩2.61部、アセトニトリル5部及びイオン交換水5部を添加した。得られた混合物を15時間撹拌し、濃縮し、得られた混合物をクロロホルム50部で抽出することにより有機層を回収した。回収された有機層をイオン交換水で洗浄した。有機層に活性炭1.2部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−5)で表される塩0.98部(純度100%、収率24%)を得た。式(I−CC−5)で表される塩を塩A5とした。
【0168】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 485.2
MS(ESI(−)Spectrum):M
− 323.0
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d
6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)1.45−2.02(m,19H)、2.25(m,2H)、2.29−2.32(m,7H)、2.53(s,2H)、4.96(s,2H)、7.28−7.38(m,2H)、7.70−7.90(m,12H)
【0169】
実施例6:塩A6の合成
【0170】
ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチルエステル100部及びイオン交換水150部に、氷浴下、30%水酸化ナトリウム水溶液230部を滴下した。得られた混合物を100℃で3時間還流し、冷却した。これを濃塩酸88部で中和した。得られた溶液を濃縮することによりジフルオロスルホ酢酸ナトリウム塩164.4部(無機塩含有、純度62.7%)を得た。
【0171】
得られたジフルオロスルホ酢酸ナトリウム塩30.0部(純度62.7%)、ヘキサヒドロ−6−ヒドロキシ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ〔b〕フラン−2−オン14.7部及びトルエン300部を仕込み、さらにp−トルエンスルホン酸18.1部を加え、12時間加熱還流した。その後、得られた混合物を濾過し、残渣にアセトニトリル100部添加して撹拌し、濾過した。得られたろ液を濃縮することにより、式(I−CC−9−d)で表される塩26.7部を得た。
1H−NMRによる純度分析の結果、その純度は28.6%であった。
【0172】
【0173】
式(I−CC−9−d)5.84部(純度28.6%)に、アセトニトリル20部及びイオン交換水20部を加えた。さらに、式(I−CC−1−c)2.61部、アセトニトリル5部及びイオン交換水5部を添加した。得られた混合物を15時間撹拌し、濃縮し、得られた混合物をクロロホルム50部で抽出することにより有機層を回収した。回収された有機層をイオン交換水で洗浄した。回収された有機層に活性炭1.2部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して燈色オイル状物として、式(I−CC−9)0.78部(純度100%、収率20%)を得た。式(I−CC−9)を塩A6とした。
【0174】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 485.2
MS(ESI(−)Spectrum):M
− 311.0
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d
6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)1.45−2.06(m,19H)、2.25(m,2H)、2.53(m,2H)、3.21(m,1H)、4.51(m,1H)、4.62(s,1H)、4.96(s,2H)、7.28−7.38(m,2H)、7.70−7.90(m,12H)
【0175】
実施例7:塩A7の合成
リチウムアルミニウムハイドライド10.4部及び無水テトラヒドロフラン120部を仕込み23℃で30分間攪拌した。次いで、式(A7−a)で表される塩62.2部を無水THF900部に溶かした溶液を氷冷下で滴下し、23℃で5時間攪拌した。反応マスに酢酸エチル50.0部、6N塩酸50.00部を添加、攪拌後、分液を行った。有機層を濃縮後、カラム(メルク シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:クロロホルム/メタノール=5/1)分取することにより、式(A7−b)で表される塩を84.7部(純度60%)を得た。
式(A7−c)で表される化合物3.51部、無水THF75部を仕込み23℃で30分間攪拌した。次いで、カルボニルジイミダゾール2.89部、無水THF50部の混合溶液を23℃で滴下し、23℃で4時間攪拌した。得られた反応液を、式(A7−b)で表される塩6.04部(純度60%)、無水THF50部の混合液中に54〜60℃で、25分間で滴下し、65℃で18時間加熱した。これを冷却した後、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、濃縮物をカラム(メルク シリカゲル60−200メッシュ 展開溶媒:クロロホルム/メタノール=5/1)分取することにより、式(A7−d)で表される塩2.99部を得た。
【0176】
式(A7−d)で表される塩1.21部を含む溶液に、クロロホルム4.79部及び式(I−CC−1−c)で表される塩1.73部を添加した。得られた混合物を、12時間撹拌し、イオン交換水で洗浄した。得られた混合物に活性炭1.0部を加えて攪拌し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、酢酸エチル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣にtert−ブチルメチルエーテル10部を加えて攪拌し、上澄液を除去した。得られた残渣をクロロホルムに溶解し、濃縮して、式(A7)で表される塩1.48部を得た。式(A7)を塩A7とした。
【0177】
MS(ESI(+)Spectrum):M
+ 485.2
MS(ESI(−)Spectrum):M
− 339.1
1H−NMR(ジメチルスルホキシド−d
6、内部標準物質テトラメチルシラン):δ(ppm)1.45−2.05(m,25H)、1.83(s,2H)、2.18(m,2H)、2.25(m,2H)、2.35(s,1H)、4.73(t,2H)、4.98(s,2H)、7.28−7.38(m,2H)、7.70−7.90(m,12H)
【0178】
〔樹脂(B1)の合成〕
式Aで表されるモノマー、式Bで表されるモノマー及び式Cで表されるモノマーを、モル比50:25:25の割合で仕込み、次いで、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを加えた。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%との割合で添加し、これを77℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで沈殿させる操作を3回行なうことにより精製し、重量平均分子量が約8000の共重合体を収率60%で得た。この共重合体は、次式の各モノマーから導かれる構造単位を有するものであり、これを樹脂B1とした。
【0179】
【0180】
〔樹脂(B2)の合成〕
式Eで表されるモノマー、式Fで表されるモノマー、式Bで表されるモノマー、式Cで表されるモノマー及び式Dで表されるモノマーを、モル比30:14:6:20:30の割合で仕込んだ。次いで、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを加えた。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1.00mol%と3.00mol%との割合で添加し、これを73℃で約5時間加熱した。その後、反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(4:1)に注いで沈殿させる操作を3回行うことにより精製し、重量平均分子量が約8100である共重合体を収率65%で得た。得られた共重合体は、次式の各モノマーから導かれる構造単位を有するものであり、これを樹脂B2とした。
【0181】
【0182】
実施例8〜17及び比較例1
表1に示すように、以下の各成分を混合して溶解することにより得られた混合物を孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルタで濾過することにより、化学増幅型フォトレジスト組成物を調製した。
【0183】
【表1】
【0184】
<酸発生剤>
酸発生剤C1:
【0185】
<クエンチャー>
クエンチャーQ1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテル 265部
2−ヘプタノン 20.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0186】
シリコンウェハに、有機反射防止膜用組成物(ARC−29;日産化学(株)製)を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、厚さ78nmの有機反射防止膜を形成した。次いで、前記の有機反射防止膜の上に、上記の化学増幅型フォトレジスト組成物を乾燥後の膜厚が85nmとなるようにスピンコートした。
組成物塗布後、得られたシリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表1のPB欄に示す温度で60秒間プリベーク(PB)した。
【0187】
このようにして化学増幅型フォトレジスト組成物の膜が形成されたシリコンウェハに、ArFエキシマステッパー〔FPA5000−AS3;(株)キャノン製、NA=0.75、σ=0.85、6%HTM〕を用いて、露光量を段階的に変化させて、コンタクトホールパターン(ピッチ210nm/ホール130nm)を露光した。
露光後、シリコンウェハを、ホットプレート上にて、表1のPEB欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベーク処理した(PEB)。
次いで、得られたシリコンウェハを、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間、パドル現像した。
有機反射防止膜を塗布した基板の上に形成された現像後のコンタクトホールパターンを走査型電子顕微鏡で観察した。その結果を表2に示した。得られたパターン等について、以下の評価を行った。
【0188】
実効感度:130nmのホールパターンが110nmのホール幅となる露光量とした。
CD均一性(CDU)評価:実効感度において、ホール径130nmのマスクで形成したパターンのホール径を、一つのホールにつき24回測定し、その平均値を一つのホールの平均ホール径とした。同一ウェハ内の、ホール径130nmのマスクで形成したパターンの平均ホール径を400箇所測定したものを母集団として標準偏差を求め、標準偏差が2.00nm未満の場合を○、標準偏差が2.00nmより大きい場合を×として判断した。
【0189】
フォーカスマージン(DOF)評価:実効感度において、ホール径が104.5nm以上115.5nm以下を保持するフォーカス範囲をDOFとし、DOFが0.40μmより大きい場合を○、DOFが0.32μm以上0.40μm以下の場合を△、DOFが0.32μm未満の場合を×として判断した。
これらの結果を表2に示す。
【0190】
【表2】