(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6009984
(24)【登録日】2016年9月23日
(45)【発行日】2016年10月19日
(54)【発明の名称】分散型無線通信基地局システム及び分散型無線通信基地局システムの通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 88/08 20090101AFI20161006BHJP
H04W 92/00 20090101ALI20161006BHJP
H04B 10/2575 20130101ALI20161006BHJP
H04B 10/272 20130101ALI20161006BHJP
【FI】
H04W88/08
H04W92/00
H04B9/00 267
H04B9/00 272
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-75594(P2013-75594)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-204134(P2014-204134A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年8月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】柴田 直剛
(72)【発明者】
【氏名】桑野 茂
【審査官】
深津 始
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5913059(JP,B2)
【文献】
特許第5905813(JP,B2)
【文献】
特開2014−090346(JP,A)
【文献】
特開2010−239307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 −H04W 99/00
H04B 7/24 −H04B 7/26
H04B 10/2575
H04B 10/272
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と無線信号を送受信する基地局の機能が信号処理装置(BBU:Base Band Unit)と無線装置(RRU:Remote Radio Unit)に分割され、前記BBUと前記RRUとを光ファイバで接続して前記BBUと前記RRUとの間の伝送信号を光信号でRoF(Radio over Fiber)伝送する分散型無線通信基地局システムであって、
前記伝送信号の伝送量が増加して予め設定された第一の閾値に達したとき、前記無線端末に割り当てた無線周波数の無線帯域割当を変更する無線帯域割当変更機能と、
前記無線帯域割当変更機能が無線帯域割当を変更した後に前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させるサンプリング周波数変更機能と、
前記伝送信号を受信した際にサンプリング周波数が前記所定値から低下しているときに、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に復元するサンプリング周波数復元機能と、
を備えており、
前記無線帯域割当変更機能は、前記無線周波数が現在より密に配置されるように無線帯域割当を変更することを特徴とする分散型無線通信基地局システム。
【請求項2】
前記無線帯域割当変更機能は、前記サンプリング周波数変更機能がサンプリング周波数を低下させた後の前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、無線帯域割当を繰り返し変更することを特徴とする請求項1に記載の分散型無線通信基地局システム。
【請求項3】
前記無線帯域割当変更機能は、無線帯域割当を変更する繰り返し回数に上限を設けており、前記繰り返し回数が前記上限に達しても前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、一部の無線端末との無線信号を停止することを特徴とする請求項2に記載の分散型無線通信基地局システム。
【請求項4】
前記サンプリング周波数変更機能は、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させた後、前記伝送信号の伝送量が減少して予め設定された第二の閾値に達したとき、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に回復することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分散型無線通信基地局システム。
【請求項5】
前記無線帯域割当変更機能は、前記一部の無線端末との無線信号を再開することを特徴とする請求項3を引用する請求項4に記載の分散型無線通信基地局システム。
【請求項6】
無線端末と無線信号を送受信する基地局の機能が信号処理装置(BBU:Base Band Unit)と無線装置(RRU:Remote Radio Unit)に分割され、前記BBUと前記RRUとを光ファイバで接続して前記BBUと前記RRUとの間の伝送信号を光信号でRoF(Radio over Fiber)伝送する分散型無線通信基地局の通信方法であって、
前記伝送信号の伝送量が増加して予め設定された第一の閾値に達したとき、前記無線端末に割り当てた無線周波数の無線帯域割当を変更する無線帯域割当変更手順と、
前記無線帯域割当変更手順で無線帯域割当を変更した後に前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させるサンプリング周波数変更手順と、
前記伝送信号を受信した際にサンプリング周波数が前記所定値から低下しているときに、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に復元するサンプリング周波数復元手順と、
を行い、
前記無線帯域割当変更手順で、前記無線周波数が現在より密に配置されるように無線帯域割当を変更することを特徴とする分散型無線通信基地局の通信方法。
【請求項7】
前記無線帯域割当変更手順で、前記サンプリング周波数変更機能がサンプリング周波数を低下させた後の前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、無線帯域割当を繰り返し変更することを特徴とする請求項6に記載の分散型無線通信基地局の通信方法。
【請求項8】
前記無線帯域割当変更手順で、無線帯域割当を変更する繰り返し回数に上限を設けており、前記繰り返し回数が前記上限に達しても前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、一部の無線端末との無線信号を停止することを特徴とする請求項7に記載の分散型無線通信基地局の通信方法。
【請求項9】
前記サンプリング周波数変更手順で、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させた後、前記伝送信号の伝送量が減少して予め設定された第二の閾値に達したとき、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に回復することを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の分散型無線通信基地局の通信方法。
【請求項10】
前記無線帯域割当変更手順で、前記一部の無線端末との無線信号を再開することを特徴とする請求項8を引用する請求項9に記載の分散型無線通信基地局の通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信基地局の機能が信号処理部と無線通信部に分割され物理的に離れた構成である分散型無線通信基地局システム及びその通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラーシステムにおいて、セル構成の自由度を向上するため、基地局の機能を信号処理部(BBU: Base Band Unit)とRF部(RRU: Remote Radio Unit)に分割して物理的に離れた構成とする事が検討されている。この時BBU−RRU間において無線信号はRoF(Radio over Fiber)技術により伝送される。RoF技術は光伝送方法によりアナログRoF技術とデジタルRoF技術に大別できるが、近年は伝送品質に優れたデジタルRoF技術の検討が盛んであり、CPRI(Common Public Radio Interface)[1]等の標準化団体の下、
仕様策定が進められている。またBBU−RRU間の接続媒体として、同軸ケーブルや光ファイバ等が用いられるが、特に光ファイバによって接続する事により、伝送距離を拡大する事ができる。
【0003】
一つのBBUが複数のRRUを収容する事もできる。これにより、各RRUに必要なBBUを一つに集約する事ができ、運用/設置コストを削減することが可能となる。このような形態の一例として、
図6に示すよう、BBU−RRU間をPON(Passive Optical Network)システムで接続する形態が提案されている。PONの信号多重方法としては、TDM(Time Division Multiplex)、WDM(Wavelength Division Multiplex),FDM(Frequency Division Multiplex)等が選択できる。
【0004】
また、RRUが複数のアンテナを備えている場合は、一つのBBUが一つのRRUに対して信号を伝送する場合においても、BBU−RRU間で複数の無線信号が多重されて伝送される事となる。この場合の信号多重方法も、TDM、WDM、FDM等が選択できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】CPRI,“CPRI Specification V5.0”,Sep.,2011,http://www.cpri.info/spec.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LTE(Long Term Evolution)やWiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等のセルラーシステムにおいて、端末がユーザデータを送受信するためには、端末固有の通信チャネル(無線帯域)が必要である。この無線帯域の割当は基地局により行われる。LTEシステムを例に取ると、
図6に示すよう、基地局は最小1ms周期でスケジューリングを行い各端末へ無線帯域割当を行う。無線帯域割当はリソースブロック(RB: Resource Block)単位で行われ、1RBは180kHzの周波数領域、0.5msの時間領域で構成される。システム帯域幅が20MHzの場合には、周波数軸上に110個のRBが存在する。また1RBの中には、通常のサイクリックプレフィックスを想定すると、7シンボル(サイクリックプレフィックスを入れて1シンボル71.4μs)が挿入されている。一方基地局が端末へ送信する信号には、各端末向けのユーザデータだけでなく、制御情報(スケジューリング情報やACK/NACK判定結果等)、端末がチャネル推定を行うための参照信号(全端末向けに送信されるセル固有参照信号や、個別の端末向けに送信されるUE固有参照信号等がある)、各端末が基地局と同期を取るための同期信号等が送信される。
【0007】
参照信号等を用いて推定された基地局−端末間のチャネル品質情報は、基地局に集められる。基地局はこのチャネル品質情報を用いて、各端末へチャネル品質の良い無線帯域を割り当てるスケジューリングや、各端末が所要受信品質を満たすような変調方式/符号化率の決定を行う。
【0008】
BBU−RRU間のデジタルRoF伝送技術は本発明に関連する技術であり、以後、当該タイプを関連技術と呼ぶ。また、BBUで作成した無線信号のI軸Q軸ごとのデジタル信号(IQデータ)を光信号に変換してRRUへ伝送し、RRUで受信した光信号を無線信号に変換して、端末へと送信するリンクを下りリンクと呼ぶ。一方、端末が送信した無線変調信号をRRUで受信し、受信した無線信号を光信号に変換してBBUへ伝送し、BBUで受信した光信号をIQデータに変換して信号の復調を行うリンクを上りリンクと呼ぶ。
【0009】
関連技術のRRUの装置構成例を
図7に示す。RRU120は上りリンクの信号処理のため、無線信号の送/受信を行うアンテナ11と、送信/受信を切り替える送受切替部12と、受信した無線信号の信号電力を信号処理ができるレベルまで増幅する増幅器21と、無線信号をダウンコンバートするダウンコンバート部22と、ダウンコンバートされたアナログ信号をIQデータに変換するA/D変換部23と、IQデータに対してフィルタリング処理を行うベースバンドフィルタ部(上り)24と、IQデータとBBU−RRU間の制御信号を多重するフレーム変換部25と、電気信号を光信号に変換して送信するE/O変換部26を有する。送受切替部12は、FDD(Frequency Division Duplex)と、TDD(Time Division Duplex)のどちらにも対応できる。
【0010】
またRRU120は下りリンクの信号処理のため、BBU110から受信した光信号を電気信号に変換するO/E変換部31と、受信信号からBBU−RRU間の制御信号及びIQデータを取り出すフレーム変換部32と、IQデータに対してフィルタリング処理を行うベースバンドフィルタ部(下り)33と、IQデータをアナログ信号に変換するD/A変換部34と、アナログ信号をアップコンバートするアップコンバート部35と、電力を決められた送信電力まで増幅する増幅器36と、を有する。
【0011】
RRU120は、RRU機能部120aとONU機能部150に分けられる。RRU機能部120aは、送受切替部12、増幅器21、ダウンコンバート部22、A/D変換部23、ベースバンドフィルタ部24、ベースバンドフィルタ部33、D/A変換部34、アップコンバート部35、及び増幅器36を含む。ONU機能部150は、フレーム変換部25、E/O変換部26、O/E変換部31、及びフレーム変換部32を含む。
【0012】
関連技術のBBU110の装置構成例を
図8に示す。BBU110は、下りリンクの信号処理のため、チャネル品質情報を基に無線帯域割当/符号化率/変調方式を決定する無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90と、決定された符号化率を基にユーザデータ及び制御情報に対して誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)符号化を行うFEC符号化部53−4と、決定された変調方式を基にユーザデータ及び制御情報のビット系列を変調する一次変調部53−3と、一次変調部の出力を所定の無線帯域へマッピングするマッピング部53−2と、一次変調信号を二次変調する二次変調部53−1と、二次変調部により出力されるIQデータとBBU−RRU間の制御信号を多重するフレーム変換部51と、電気信号を光信号に変換して送信するE/O変換部52を有する。ここで、FEC符号化部53−4からマッピング部53−2までの処理である一次変調は、QPSKや16QAM等のシンボルマッピングである。二次変調部53−1の処理である二次変調は、CDMA変調のための拡散やOFDM変調のためのIFFTと考える事ができる。また、二次変調が存在せず一次変調のみ存在する場合もありえる。
【0013】
またBBU110は、上りリンクの信号処理のため、光信号を電気信号に変換するO/E変換部41と、受信信号からBBU−RRU間の制御信号及びIQデータを取り出すフレーム変換部42と、IQデータに対して二次復調を行う二次復調部43−1と、二次復調された信号の所定の無線帯域から信号を取り出すデマッピング部43−2と、デマッピングされた信号に一次復調を行う一次復調部43−3と、一次復調された信号に対してFEC復号化を行うFEC復号化部43−4と、デマッピングされた信号の一部からチャネル品質情報を取り出すチャネル品質情報抽出部43−5を有する。ここで、二次復調とは、二次変調部43−1がIFFT処理を行う場合にはFFT処理、二次変調部43−1が拡散処理を行う場合は逆拡散処理を指す。デマッピング部43−2からFEC復号化部43−4までの処理である一次復調とは、一次変調されたQPSKや16QAM等のシンボルに対して硬判定/軟判定を行う処理を指す。また、二次変調部が存在しない場合は、二次復調部も存在しない。
【0014】
BBU110は、BBU機能部110aとOLT機能部140に分けられる。BBU機能部110aは、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90、FEC符号化部53−4、一次変調部53−3、マッピング部53−2と、一次変調信号を二次変調する二次変調部53−1、二次復調部43−1、デマッピング部43−2、一次復調部43−3、FEC復号化部43−4、及びチャネル品質情報抽出部43−5を含む。OLT機能部140は、フレーム変換部51、E/O変換部52、O/E変換部41、及びフレーム変換部42を含む。
【0015】
CPRIでLTE(Long Term Evolution)信号を伝送する場合を例に取ると、システム帯域幅20MHzのシステムに対しては30.72MHzのサンプリング周波数が用いられ、またI軸とQ軸のそれぞれに対するデジタルサンプリングにおいて上り信号は4〜20ビット、下り信号は8〜20ビットの量子化ビット数が適用される。またフレーム変換部ではフレーム全体の1/16に制御信号が挿入され、さらに信号は8B/10B符号化した後に伝送される。8B/10B符号化とは、8ビットを10ビットに変換する符号化処理である。
【0016】
BBU−RRU間の帯域を有効に利用するため、送信される情報量を削減する処理(圧縮処理)を用いる場合も考えられる。例えば無線帯域の割当状況によっては、RRUに帰属する無線端末がいない場合もありえる。この場合には、BBU−RRU間で情報を伝送する必要が無い。そこで、無線帯域の割当状況に応じてBBU−RRU間の信号送信を停止するような圧縮処理を行う事により、BBU−RRU間の帯域を有効利用できる。また、常にシステム帯域幅にわたり無線信号が存在するわけではない。無線帯域の割当状況によっては、システム帯域幅のうち一部の帯域にしか無線信号が存在しない場合もありえる。この時は、折り返し信号成分が所望信号成分の信号品質をほとんど劣化しないよう、サンプリング周波数を低減し、送信情報量を削減できる可能性がある。そこで、無線帯域の割当状況に応じて、BBU−RRU間で用いられるサンプリング周波数の値を低減するような圧縮処理を行う事により、BBU−RRU間の帯域を有効利用できる。
【0017】
DBA(Dynamic Bandwidth Allocation:動的帯域割当)により、PON区間の上りリンク用の帯域を動的に各RRUへ割り当てる事ができる。DBAでは、各ONUが送信バッファ量をOLTへ送信し、OLTが収集したバッファ量から各ONUのデータ送信時刻及び時間を計算し、計算した情報を各ONUに通知し、各ONUが指定された時刻に指定された時間帯を用いてデータを送信する。これにより、通信トラヒックの少ないBBU−RRU間に割り当てられる帯域幅を少なくし、通信トラヒックの多いBBU−RRU間に割り当てる帯域幅を多くする事ができ、光アクセス区間の帯域を有効に利用できる。このようなシステムにおいては、PON区間の帯域を各BBU−RRU間の最大所要帯域の合計値より小さく設定しても、ほとんどの時間において帯域不足とならない。
【0018】
これは、BBUが複数アンテナを搭載する一つのRRUにデジタルRoF伝送する際も同じであり、各アンテナ宛のIQデータに対して個別に圧縮処理をかけると、BBU−RRU間の合計所要帯域の平均値が下がるため、BBU−RRU区間の帯域を各BBU−アンテナ間の最大所要帯域の合計値より小さく設定しても、ほとんどの時間において帯域不足とならない。
【0019】
圧縮処理を前提としたBBU−RRU間伝送では、BBU−RRU間のトラヒックが瞬時的に増大し、BBU−RRU間の所要帯域の合計値がBBU−RRU間の帯域の最大値(通信容量)を超える場合がある。この時、変調信号のIQデータの一部を伝送することができない。つまり、
図9に示すよう、無線変調信号のある時間区間の信号を伝送できない。OFDMのようなマルチチャネルシステムでは、周波数軸上には複数の無線端末の信号が存在しており、
図9のように信号を伝送できない時間が存在すると、関連技術は全ての無線端末の信号を正しく復調できない可能性があるという課題がある。また、無線変調信号のある時間区間の信号の振幅値が急激に減少することで無線帯域が広がりスプリアス発生の可能性があるという課題もある。
【0020】
そこで、本発明は、上記課題を解決するために、所要帯域がBBU−RRU間の通信容量を超える場合であっても任意の無線端末の信号を正しく復調でき、スプリアス発生を防止できる分散型無線通信基地局システム及び分散型無線通信基地局システムの通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するために、本発明は、BBU−RRU間の伝送信号のサンプリング周波数を低減できるように無線周波数の無線帯域割当を変更し、サンプリング周波数を低減することで、所要帯域をBBU−RRU間の通信容量以下とすることとした。
【0022】
具体的には、本発明に係る分散型無線通信基地局システムは、無線端末と無線信号を送受信する基地局の機能が信号処理装置(BBU:Base Band Unit)と無線装置(RRU:Remote Radio Unit)に分割され、前記BBUと前記RRUとを光ファイバで接続して前記BBUと前記RRUとの間の伝送信号を光信号でRoF(Radio over Fiber)伝送する分散型無線通信基地局システムであって、
前記伝送信号の伝送量が増加して予め設定された第一の閾値に達したとき、前記無線端末に割り当てた無線周波数の無線帯域割当を変更する無線帯域割当変更機能と、
前記無線帯域割当変更機能が無線帯域割当を変更した後に前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させるサンプリング周波数変更機能と、
前記伝送信号を受信した際にサンプリング周波数が前記所定値から低下しているときに、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に復元するサンプリング周波数復元機能と、
を備え
ており、
前記無線帯域割当変更機能は、前記無線周波数が現在より密に配置されるように無線帯域割当を変更することを特徴とする。
【0023】
具体的には、本発明に係る分散型無線通信基地局システムの通信方法は、無線端末と無線信号を送受信する基地局の機能が信号処理装置(BBU:Base Band Unit)と無線装置(RRU:Remote Radio Unit)に分割され、前記BBUと前記RRUとを光ファイバで接続して前記BBUと前記RRUとの間の伝送信号を光信号でRoF(Radio over Fiber)伝送する分散型無線通信基地局の通信方法であって、
前記伝送信号の伝送量が増加して予め設定された第一の閾値に達したとき、前記無線端末に割り当てた無線周波数の無線帯域割当を変更する無線帯域割当変更手順と、
前記無線帯域割当変更手順で無線帯域割当を変更した後に前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させるサンプリング周波数変更手順と、
前記伝送信号を受信した際にサンプリング周波数が前記所定値から低下しているときに、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に復元するサンプリング周波数復元手順と、
を行
い、
前記無線帯域割当変更手順で、前記無線周波数が現在より密に配置されるように無線帯域割当を変更することを特徴とする。
【0024】
本発明は、所要帯域が増加してBBU−RRU間の通信容量を超えそうなとき、BBU−RRU間で伝送される信号に対して、サンプリング周波数低減可能なように周波数を変更する。そして、サンプリング周波数を低減する。これにより、本発明は、BBU−RRU間の所要帯域を通信容量以下に保つことができる。本発明は、一部の無線端末の伝送速度が低下する可能性があるが、
図9のような、ある時間区間の全ての信号を伝送できない、という現象を回避することができる。
【0025】
従って、本発明は、所要帯域がBBU−RRU間の通信容量を超える場合であっても任意の無線端末の信号を正しく復調でき、スプリアス発生を防止できる分散型無線通信基地局システム及び分散型無線通信基地局システムの通信方法を提供することができる。
【0028】
各無線端末へ割り当てる無線周波数を近接するように再配置することで、折り返し信号と所望信号の周波数間隔が広くなるため、所望信号の品質劣化が小さくなり、サンプリング周波数をより低減できる。
【0029】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの前記無線帯域割当変更機能は、前記サンプリング周波数変更機能がサンプリング周波数を低下させた後の前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、無線帯域割当を繰り返し変更する。
【0030】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの通信方法は、前記無線帯域割当変更手順で、前記サンプリング周波数変更機能がサンプリング周波数を低下させた後の前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、無線帯域割当を繰り返し変更する。
【0031】
無線周波数の再配置を段階的に行うことでチャネル品質低下を最小限に止めることができる。
【0032】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの前記無線帯域割当変更機能は、無線帯域割当を変更する繰り返し回数に上限を設けており、前記繰り返し回数が前記上限に達しても前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、一部の無線端末との無線信号を停止することができる。
【0033】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの通信方法は、前記無線帯域割当変更手順で、無線帯域割当を変更する繰り返し回数に上限を設けており、前記繰り返し回数が前記上限に達しても前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、一部の無線端末との無線信号を停止することができる。
【0034】
所要帯域が、無線周波数の再配置だけではBBU−RRU間の通信容量に収まらない場合、一部の無線端末との無線信号を停止することで信号を伝送できない時間区間が発生することを回避できる。
【0035】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの前記サンプリング周波数変更機能は、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させた後、前記伝送信号の伝送量が減少して予め設定された第二の閾値に達したとき、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に回復することができる。
【0036】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの通信方法は、前記サンプリング周波数変更手順で、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させた後、前記伝送信号の伝送量が減少して予め設定された第二の閾値に達したとき、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に回復することができる。
【0037】
本発明は、所要帯域が減少してBBU−RRU間の通信容量を下回る場合、サンプリング周波数低減を解除する。BBU−RRU間の通信容量に余裕が生じた場合、すみやかにサンプリング周波数低減を解除し、通信品質に応じた無線周波数に戻すことで通信品質を回復させることができる。
【0038】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの前記無線帯域割当変更機能は、前記一部の無線端末との無線信号を再開することができる。
【0039】
本発明に係る分散型無線通信基地局システムの通信方法は、前記無線帯域割当変更手順で、前記一部の無線端末との無線信号を再開することができる。
【0040】
BBU−RRU間の通信容量に余裕が生じた場合、停止していた無線信号を回復させることで、全ての無線端末の信号を伝送可能とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、所要帯域がBBU−RRU間の通信容量を超える場合であっても任意の無線端末の信号を正しく復調でき、スプリアス発生を防止できる分散型無線通信基地局システム及び分散型無線通信基地局システムの通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】本発明に係る分散型無線通信基地局システムが備えるRRUを説明する図である。
【
図2】本発明に係る分散型無線通信基地局システムが備えるBBUを説明する図である。
【
図3】本発明に係る分散型無線通信基地局システムの動作例を説明する図である。
【
図4】本発明に係る分散型無線通信基地局システムの通信方法を説明するフローチャートである。
【
図5】本発明に係る分散型無線通信基地局システムの構成を説明する図である。
【
図6】LTEシステムの無線帯域割当手法を説明する図である。
【
図7】関連技術の分散型無線通信基地局システムが備えるRRUを説明する図である。
【
図8】関連技術の分散型無線通信基地局システムが備えるBBUを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0044】
(実施形態1)
本実施形態の分散型無線通信基地局システムは、無線端末と無線信号を送受信する基地局の機能が信号処理装置(BBU:Base Band Unit)と無線装置(RRU:Remote Radio Unit)に分割され、前記BBUと前記RRUとを光ファイバで接続して前記BBUと前記RRUとの間の伝送信号を光信号でRoF(Radio over Fiber)伝送する分散型無線通信基地局システムであって、
前記伝送信号の伝送量が増加して予め設定された第一の閾値に達したとき、前記無線端末に割り当てた無線周波数の無線帯域割当を変更する無線帯域割当変更機能と、
前記無線帯域割当変更機能が無線帯域割当を変更した後に前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させるサンプリング周波数変更機能と、
前記伝送信号を受信した際にサンプリング周波数が前記所定値から低下しているときに、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に復元するサンプリング周波数復元機能と、
を備えることを特徴とする。
【0045】
本実施形態の分散型無線通信基地局システムの通信方法は、無線端末と無線信号を送受信する基地局の機能が信号処理装置(BBU:Base Band Unit)と無線装置(RRU:Remote Radio Unit)に分割され、前記BBUと前記RRUとを光ファイバで接続して前記BBUと前記RRUとの間の伝送信号を光信号でRoF(Radio over Fiber)伝送する分散型無線通信基地局の通信方法であって、
前記伝送信号の伝送量が増加して予め設定された第一の閾値に達したとき、前記無線端末に割り当てた無線周波数の無線帯域割当を変更する無線帯域割当変更手順と、
前記無線帯域割当変更手順で無線帯域割当を変更した後に前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させるサンプリング周波数変更手順と、
前記伝送信号を受信した際にサンプリング周波数が前記所定値から低下しているときに、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に復元するサンプリング周波数復元手順と、
を行うことを特徴とする。
【0046】
図5は、本実施形態の分散型無線通信基地局システム301の構成を説明する図である。分散型無線通信基地局システム301は、BBU110と複数のRRU120との間をPONシステム130で接続する。
【0047】
詳細には、分散型無線通信基地局システム301は、1つのBBU110と複数のRRU120とを接続し、BBU110とRRU120との間を光信号でRoF伝送するPONシステム130と、
PONシステム130のBBU側にあり、BBU110で扱う信号形式とPONシステム130で伝送可能な信号形式とを相互変換し、PONシステム130での光信号の衝突を回避する送信タイミングを制御するOLT(Optical Line Terminal)機能部140と、
PONシステム130の前記RRU側にあり、RRU120で扱う信号形式とPONシステム130で伝送可能な信号形式とを相互変換し、OLT機能部140から指示されたタイミングで上り光信号を送信するONU(Optical Network Unit)機能部150と、
を備える。
【0048】
例えば、PONシステム130としてGE−PON(IEEE802.3ah)、10G−EPON(IEEE802.3av)等のTDM−PONシステムを適用する場合を考えると、OLT機能部140とは、下りリンクにおいてBBU110が出力するIQデータをEthernet(登録商標)フレームにマッピングして所定のタイミングで送信する機能や、上りリンクにおいて受信したEthernet(登録商標)フレームからIQデータを抽出する機能を含む。一方、ONU機能部150とは、下りリンクにおいて受信したEthernet(登録商標)フレームからIQデータを抽出する機能や、上りリンクにおいてRRU120が出力するIQデータをEthernet(登録商標)フレームにマッピングして所定のタイミングで送信する機能を含む。
【0049】
RRU120の装置構成例を
図1に示す。RRU120は、RRU機能部120aとONU機能部150に分けられる。RRU機能部120aは、
図7のRRU120aの構成に、伸長情報(下り)抽出部85、圧縮情報(上り)抽出部86、圧縮部82、伸長部81、及びベースバンドフィルタ部33−1をさらに備える。
【0050】
伸長情報(下り)抽出部85及び圧縮情報(上り)抽出部86は、BBU110が送信した圧縮/伸長情報をフレーム変換部32で取り出す。圧縮部82は、前記圧縮情報に基づきベースバンドフィルタ部(上り)24の出力信号に対してサンプリング周波数を低減する。伸長部81は、前記伸長情報に基づきBBU110で低減されたIQデータのサンプリング周波数を元のサンプリング周波数に戻す。ベースバンドフィルタ部33−1は、前記伸長情報に基づき伸長部81が出力した信号に対してエイリアス信号(折り返し信号)成分を抑圧する。
【0051】
関連技術のRRU機能部120aもベースバンドフィルタ部33を有している。本実施形態のベースバンドフィルタ部33−1は、ベースバンドフィルタ部33の機能にエイリアス信号成分を抑圧するという機能が追加されている。
【0052】
圧縮部82は、上りリンクに対する前記サンプリング周波数変更機能にあたる。伸長部81及びベースバンドフィルタ部33−1は、下りリンクに対する前記サンプリング周波数復元機能にあたる。
【0053】
BBU110の装置構成例を
図2に示す。BBU110は、BBU機能部110aとOLT機能部140に分けられる。BBU機能部110aは、
図8のBBU機能部110aの構成に、伸長部84、圧縮部83、所要帯域算出部92、及び圧縮/伸長制御部91をさらに備える。
【0054】
BBU110は、上りリンク及び下りリンクの信号処理のため、BBU−RRU間の下り、上り双方の所要帯域を計算する所要帯域算出部92を有し、所要帯域算出部92の算出した所要帯域がBBU−RRU間の通信容量を超えないように無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90で無線帯域割当を決定する。所要帯域の合計値は、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90の出力を基に算出しても良いし、上りリンクに際してはRRU120側から送信される帯域要求を基に算出しても良い。
【0055】
より詳細に説明する。所要帯域算出部92は、上りリンク及び下りリンクの信号処理のため、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90で決定された無線帯域割当情報に基づいてBBU−RRU間の下りと上り双方の所要帯域を計算する。また、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は、BBU110とRRU120との間の通信容量に基づく第一の閾値を持つ。第一の閾値は当該通信容量以下に設定されている。無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は、所要帯域算出部92が計算した所要帯域と第一の閾値とを比較し、所要帯域が第一の閾値に達したとき、無線帯域割当変更及びサンプリング周波数の低減の指示を行う。
【0056】
具体的には、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は、所要帯域が第一の閾値に達したとき、マッピング部53−2へ、現在の無線帯域割り当てからサンプリング周波数を低減可能な無線帯域割り当てへ変更する無線帯域割当変更指示を出す。マッピング部53−2は、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90が決定した無線帯域割当に基づき、無線周波数の再配置を行う。無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は決定した無線帯域割当をRRU120へも通知する。
【0057】
また、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は、所要帯域が第一の閾値に達したとき、圧縮/伸長制御部91へ、下りリンク及び上りリンクのサンプリング周波数を低減する指示を出す。サンプリング周波数の低減量は、帯域割り当ての変更状態に応じて変化する。圧縮/伸長制御部91は、サンプリング周波数低減指示を受け、圧縮部83へ下り信号のサンプリング周波数を低減する指示を行う。圧縮部83は、圧縮/伸長制御部91からのサンプリング周波数低減指示に基づき、二次変調部53−1の出力信号のサンプリング周波数を低減する。
【0058】
また、圧縮/伸長制御部91は、下り信号のサンプリング周波数が低減されていることを通知する伸長情報を生成する。さらに、圧縮/伸長制御部91は、RRU120で上り信号のサンプリング周波数を低減する指示である圧縮情報を生成する。圧縮/伸長制御部91が生成した伸長情報及び圧縮情報は、フレーム変換部51で多重されてRRU120へ送信される。RRU120は、伸長情報を受信することで下りリンクのサンプリング周波数が低減されているか否かを判断し、圧縮情報を受信することで上りリンクのサンプリング周波数を低減するか否かを判断できる。
【0059】
また、圧縮/伸長制御部91は、サンプリング周波数低減指示を受け、伸長部84へ、RRU120で低減された上り信号のサンプリング周波数を元に戻す指示を行う。伸長部84は、圧縮/伸長制御部91からのサンプリング復元指示に基づき、フレーム変換部42の出力信号のサンプリング周波数を元に戻す。
【0060】
無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90及び圧縮/伸長制御部91は、下り及び上りリンクに対する前記無線帯域割当変更機能にあたる。圧縮部83は、下りリンクに対する前記サンプリング周波数変更機能にあたる。伸長部84は、上りリンクに対する前記サンプリング周波数復元機能にあたる。
【0061】
なお、無線帯域割当変更及びサンプリング周波数低減は、所要帯域に応じて動的に変化させてもよい。また、無線帯域割当変更及びサンプリング周波数低減は、シンボル毎(
図6の例であれば、71.4μs毎)に判断してもよいし、スケジューリング周期の整数倍毎に判断してもよい。
【0062】
図3は、分散型無線通信基地局システム301の動作例を説明する図である。無線帯域割当変更機能は、無線周波数が現在より密に配置されるように無線帯域割当を変更する。BBU110は、所要帯域がBBU−RRU間の通信容量(又は第一の閾値)を超える場合、サンプリング周波数を低減できるように無線帯域割当を変更する。例えば、
図3(a)から
図3(b)のように、各無線端末の信号をなるべく近い周波数位置に再配置すれば、折り返し信号と所望信号の周波数間隔が広くなるため、所望信号の品質劣化が小さくなり、サンプリング周波数をより低減できる。
【0063】
図4は、分散型無線通信基地局システム301の通信方法を説明するフローチャートである。本通信方法の開始(ステップS01)とともに、繰り返し回数i=0をセットする(ステップS02)。無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は決定した無線帯域割当情報を所要帯域算出部92に通知する。所要帯域算出部92は所要帯域を算出し(ステップS03)、所要帯域がBBU−RRU間の通信容量以下か否かを判定する(ステップS04)。所要帯域がBBU−RRU間の通信容量以下であれば通信を開始する(ステップS05)。所要帯域がBBU−RRU間の通信容量以上であれば、iに1を加算し(ステップS06)、繰り返し回数の上限値i
thと比較する。iがi
thより小さければ、所要帯域算出部92は無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90に対して、無線帯域割当の変更要請を出す。
【0064】
無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は当該変更要請を受けて無線端末の信号周波数位置を変更する指示をマッピング部53−2へ出す(ステップS08)。なお、ステップS08において、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90がどの無線端末の信号の周波数位置を変更するかは任意である。ランダムに選択しても良いし、優先度の低い無線信号を選択しても良いし、無線区間のダイバーシチ利用の有無等により選択しても良い。この際、セミパーシステントスケジューリング等により、しばらく同じ周波数位置の無線帯域を割り当てられている無線端末が存在する場合は、その無線端末の信号の周波数位置を変更しないこととしても良い。
【0065】
無線帯域割当変更機能は、サンプリング周波数変更機能がサンプリング周波数を低下させた後の伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、無線帯域割当を繰り返し変更する。ステップS08の後、再び所要帯域を所要帯域算出部92で算出し(ステップS03から再実行)、所要帯域がBBU−RRU間の通信容量以下となるまで(ステップS05)、この動作をiが上限値i
thに達するまで繰り返す。この上限値i
thは任意に設定でき、動作のたびに周波数位置を変更する無線信号の数を増やす、または各無線端末の所要チャネル品質を下げる等しても良い。ここで、所要チャネル品質を下げるとは、例えば、
図6において、ある無線端末には通常複数のRBが割り当てられるところ、1つのRBのみ割り当てるようなことを指す。
【0066】
無線帯域割当変更機能は、無線帯域割当を変更する繰り返し回数に上限を設けており、繰り返し回数iが上限値i
thに達しても前記伝送信号の伝送量が第一の閾値以上である場合、一部の無線端末との無線信号を停止する。iが上限値i
thに達しても所要帯域が通信容量以下とならない場合には、任意の無線端末の信号を停止し(ステップS09)、繰り返し回数i=0にセットしなおし(ステップS10)、再度無線帯域割当を行う(ステップS08)。ステップS09での信号の停止は、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90が当該無線端末への帯域割当を行わない等の方法がある。なお、信号を停止された無線端末への信号及び無線端末からの信号は、後に再送処理がなされる。
【0067】
なお、ステップS09において、優先度が付加されている無線信号が存在する場合、優先度の高い信号に対する影響が最小化されるよう(優先度の高い信号を停止しないように)、停止する信号を決定する。例えば、信号のQoS(Quality of Service)順に高い信号を停止しないように決定してもよいし、高いスループットが求められる変調方式の信号が停止しないように決定してもよい。
【0068】
分散型無線通信基地局システム301は、
図3のように周波数軸上で無線端末への無線周波数の再配置をし、サンプリング周波数の低減を行うめ、BBU110とRRU120との間の伝送量を通信容量以内とすることができ、
図9のような、ある時間区間のIQデータを伝送できないことを回避できる。従って、分散型無線通信基地局システム301は、関連技術のように一部信号を伝送できずに振幅値が急激に低下して発生するスプリアスを抑えられる。
【0069】
本実施形態の分散型無線通信基地局システムの前記サンプリング周波数変更機能は、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させた後、前記伝送信号の伝送量が減少して予め設定された第二の閾値に達したとき、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に回復する。
【0070】
本実施形態の分散型無線通信基地局システムの通信方法は、前記サンプリング周波数変更手順で、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値から低下させた後、前記伝送信号の伝送量が減少して予め設定された第二の閾値に達したとき、前記伝送信号のサンプリング周波数を所定値に回復する。
【0071】
BBU−RRU間の下りと上り双方の所要帯域が通信容量を超え、無線帯域割当変更及びサンプリング周波数低減がなされた後、BBU−RRU間の下りと上り双方の所要帯域が低下して通信容量を下回った場合、サンプリング周波数を回復させる必要がある。このため、圧縮/伸長制御部91は、BBU110とRRU120との間の通信容量に基づく第二の閾値を持つ。第二の閾値は当該通信容量以下且つ第一の閾値以下に設定されている。そして、圧縮/伸長制御部91は、所要帯域算出部92が計算した所要帯域と第二の閾値とを比較し、所要帯域が第二の閾値を下回ったとき、サンプリング周波数の低減の解除指示を行う。具体的には、圧縮/伸長制御部91は、圧縮部83にサンプリング周波数の低減を中止する指示を出す。また、RRU機能部120aへサンプリング周波数の低減を中止した旨のサンプリング周波数情報を送信する。さらに、圧縮/伸長制御部91は、伸長部84にサンプリング周波数の復元を中止する指示を出す。このとき、無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部90は、チャネル品質を下げている無線端末がある場合、チャネル品質を戻すように無線帯域割当を変更する。
【0072】
ステップS09で無線端末の信号の送信を停止している場合、上述のようにサンプリング周波数の低減を中止する際、無線帯域割当変更機能は、一部の無線端末との無線信号を再開する。
【0073】
以下は、本実施形態の分散型無線通信基地局システムを説明したものである。
<課題>
関連技術では、BBU−RRU間のトラヒックが瞬時的に増大した際、BBU−RRU間の所要帯域が通信容量を超え、すべての無線端末の信号を正しく復調できない可能性がある。
【0074】
<解決手段>
BBU−RRU間の所要帯域が通信容量以下となるように、無線帯域の周波数位置を変更してサンプリング周波数を低減することで、一部無線端末の信号を品質劣化無く伝送することができる。
【0075】
<効果>
本実施形態は、サンプリング周波数を低減できるように無線帯域の周波数位置に制限をかけることで、BBU−RRU間の所要帯域を減少する事ができる。
【符号の説明】
【0076】
11:アンテナ
12:送受切替部
21:増幅器
22:ダウンコンバート部
23:A/D変換部
24:ベースバンドフィルタ部(上り)
25:フレーム変換部
26:E/O変換部
31:O/E変換部
32:フレーム変換部
33、33−1:ベースバンドフィルタ部(下り)
34:D/A変換部
35:アップコンバート部
36:増幅器
41:O/E変換部
42:フレーム変換部
43:変復調部
43−1:二次復調部
43−2:デマッピング部
43−3:一次復調部
43−4:FEC復号化部
43−5:チャネル品質情報抽出部
51:フレーム変換部
53−1:二次変調部
53−2:マッピング部
53−3:一次変調部
53−4:FEC符号化部
52:E/O変換部
81:伸長部
82:圧縮部
83:圧縮部
84:伸長部
85:伸長情報(下り)抽出部
86:圧縮情報(上り)抽出部
90:無線帯域割当/符号化率/変調方式決定部
91:圧縮/伸長制御部
92:所要帯域算出部(下り、上り)
110、111:BBU
110a:BBU機能部
120、121:RRU
120a:RRU機能部
130:PONシステム
140:OLT機能部
150:ONU機能部
301:分散型無線通信基地局システム