(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、添付図面を参照して、本願の開示する液処理装置および薬液回収方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
まず、本実施形態に係る液処理装置の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る液処理装置の概略構成を示す模式図である。なお、以下においては、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。また、以下では、X軸負方向側を液処理装置の前方、X軸正方向側を液処理装置の後方と規定する。
【0013】
図1に示すように、液処理装置100は、搬入出ステーション1と、搬送ステーション2と、処理ステーション3とを備える。これら搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3は、液処理装置100の前方から後方へ、搬入出ステーション1、搬送ステーション2および処理ステーション3の順で配置される。
【0014】
搬入出ステーション1は、複数枚(たとえば、25枚)のウェハWを水平状態で収容するキャリアCが載置される場所であり、たとえば4個のキャリアCが搬送ステーション2の前壁に密着させた状態で左右に並べて載置される。
【0015】
搬送ステーション2は、搬入出ステーション1の後方に配置され、内部に基板搬送装置21と基板受渡台22とを備える。搬送ステーション2では、基板搬送装置21が、搬入出ステーション1に載置されたキャリアCと基板受渡台22との間でウェハWの受け渡しを行う。
【0016】
処理ステーション3は、搬送ステーション2の後方に配置される。かかる処理ステーション3には、中央部に基板搬送装置31が配置され、かかる基板搬送装置31の左右両側にそれぞれ複数(ここでは、3個ずつ)の処理部5が前後方向に並べて配置される。かかる処理ステーション3では、基板搬送装置31が、搬送ステーション2の基板受渡台22と各処理部5との間でウェハWを1枚ずつ搬送し、各処理部5が、ウェハWに対して1枚ずつ液処理を行う。
【0017】
第1の実施形態に係る処理部5は、ウェハWに対して薬液を供給することによってウェハWを洗浄する洗浄装置である。かかる処理部5の構成については、
図3を参照して説明する。
【0018】
なお、処理部5は、ウェハWに薬液を供給して液処理を行うものであればよく、洗浄装置に限定されない。
【0019】
また、液処理装置100は、制御装置6を備える。制御装置6は、たとえばコンピュータであり、図示しない制御部および記憶部を備える。記憶部には、基板洗浄処理等の各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御部は記憶部に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって液処理装置100の動作を制御する。
【0020】
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録されていたものであって、その記録媒体から制御装置6の記憶部にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記録媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
【0021】
なお、
図1では、便宜上、液処理装置100の外部に制御装置6が設けられる場合を示しているが、制御装置6は、液処理装置100の内部に設けられてもよい。たとえば、制御装置6は、処理部5の上部スペースに収容することができる。
【0022】
このように構成された液処理装置100では、まず、搬送ステーション2の基板搬送装置21が、搬入出ステーション1に載置されたキャリアCから1枚のウェハWを取り出し、取り出したウェハWを基板受渡台22に載置する。基板受渡台22に載置されたウェハWは、処理ステーション3の基板搬送装置31によって搬送され、いずれかの処理部5に搬入される。
【0023】
処理部5に搬入されたウェハWは、処理部5によって洗浄処理を施された後、基板搬送装置31により処理部5から搬出され、基板受渡台22に再び載置される。そして、基板受渡台22に載置された処理済のウェハWは、基板搬送装置21によってキャリアCに戻される。
【0024】
処理部5には、薬液の供給管と回収管とが接続される。処理部5は、供給管から供給される薬液をウェハWへ供給する。そして、ウェハWへ供給された薬液は、回収管経由で回収される。なお、最初にウェハWへ供給される薬液(未使用の薬液)には、酸素が混入していないものとする。
【0025】
ここで、処理部5の配管構成について
図2を参照して具体的に説明する。
図2は、処理部5の配管構成を示す模式図である。なお、
図2に示す配管や薬液タンク等は、たとえば処理部5の下部スペースに収容される。
【0026】
図2に示すように、液処理装置100は、供給管71と、回収管72と、ガス供給部73とを備える。また、液処理装置100は、切替バルブ74と、薬液タンク75と、ポンプ76と、ヒータ77と、流量制御機構78と、定圧弁79とを備える。
【0027】
まず、薬液の供給系について説明する。供給管71は、処理部5に薬液を供給する配管である。
【0028】
かかる供給管71は、両端部が薬液タンク75に接続されており、薬液タンク75とともに薬液の循環経路を形成する。そして、この循環経路から分岐する複数の分岐管が各処理部5にそれぞれ接続される。各分岐管には、流量制御機構78がそれぞれ設けられており、この流量制御機構78の開閉および薬液の流量を制御装置6が制御することによって、処理部5への薬液の供給が制御される。なお、流量制御機構78は、少なくともバルブを含んで構成される。
【0029】
供給管71には、ポンプ76およびヒータ77が設けられる。ポンプ76は、薬液タンク75に貯留された薬液を吸い上げて供給管71の下流側へ送り出す。ヒータ77は、供給管71内を流れる薬液を加熱する。なお、ここでは、ヒータ77が供給管71に設けられる場合の例を示したが、ヒータ77は、薬液タンク75に設けられてもよい。
【0030】
薬液タンク75に貯留された薬液は、ポンプ76によって循環経路を循環し、循環経路から分岐する分岐管を通って各処理部5へ個別に供給される。なお、循環経路内は、薬液で満たされた状態となっている。
【0031】
また、供給管71の全ての処理部5よりも下流側には、供給管71の内部の圧力を一定に保つ定圧弁79が設けられる。これにより、各流量制御機構78の開閉状況によらず、供給管71内を一定の圧力に保つことができる。
【0032】
なお、供給管71は、液処理装置100が備える残り3つの処理部5にも接続されるが、ここでは図示を省略する。
【0033】
つづいて、薬液の回収系について説明する。回収管72は、処理部5に供給された薬液を回収して薬液タンク75へ戻す配管である。かかる回収管72は、主管72aと、複数の分岐管72bとを備える。主管72aの下流側端部は薬液タンク75に接続され、複数の分岐管72bは各処理部5にそれぞれ接続される。なお、主管72aは、処理部5の配列方向に沿って水平に延在する部分を有し、かかる部分に複数の分岐管72bがそれぞれ接続される。
【0034】
分岐管72bの経路上には、切替バルブ74がそれぞれ設けられる。切替バルブ74は、液処理装置100外へ廃液を排出する排液管と回収管72とを切替可能に接続するバルブである。かかる切替バルブ74を設けることにより、処理部5で処理していない時に回収管72に酸素が入り込むことを防止することができる。切替バルブ74の開閉は、制御装置6によって制御される。なお、排液管から排出される廃液は、たとえば図示しない他の供給経路を介して処理部5へ供給される他の薬液であってもよいし、薬液タンク75から供給される薬液であってもよい。
【0035】
供給管71から処理部5に供給された薬液は、回収管72を通って薬液タンク75へ戻る。そして、薬液タンク75へ戻った薬液は、供給管71を通って再び処理部5へ供給される。
【0036】
ここで、供給管71および回収管72と処理部5との接続関係について
図3を参照して具体的に説明する。
図3は、処理部5の構成を示す模式図である。なお、
図3では、処理部5の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0037】
図3に示すように、処理部5は、チャンバ51内に、基板保持部52と、液供給部53と、回収カップ54とを備える。
【0038】
基板保持部52は、ウェハWを回転可能に保持する回転保持機構521と、かかる回転保持機構521を支持する支柱部材522と、支柱部材522を鉛直軸まわりに回転させる駆動部523とを備える。
【0039】
回転保持機構521は、チャンバ51の略中央に設けられる。かかる回転保持機構521の上面には、ウェハWの周縁部を把持する把持部521aが設けられており、ウェハWは、かかる把持部521aによって回転保持機構521の上面からわずかに離間した状態で水平に保持される。
【0040】
支柱部材522は、回転保持機構521の下部に設けられており、軸受524を介してチャンバ51および回収カップ54に回転可能に支持される。
【0041】
駆動部523は、支柱部材522の下部に設けられ、支柱部材522を鉛直軸まわりに回転させる。これにより、回転保持機構521に保持されたウェハWが回転する。
【0042】
液供給部53は、薬液を吐出するノズル531と、ノズル531を水平に支持するアーム532と、アーム532を旋回および昇降させる旋回昇降機構533とを備える。
【0043】
上述した供給管71は、かかる液供給部53に接続される。すなわち、薬液タンク75に貯留された薬液は、供給管71を通って液供給部53に供給され、液供給部53のノズル531からウェハWの主面へ供給される。
【0044】
回収カップ54は、薬液の周囲への飛散を防止するために、基板保持部52を取り囲むように配置される。かかる回収カップ54の底部には、排液口541が形成される。
【0045】
上述した回収管72は、かかる排液口541に接続される。すなわち、回収カップ54によって捕集された薬液は、排液口541から回収管72へ流入し、回収管72を通って再び薬液タンク75へ戻される。
【0046】
ところで、従来の液処理装置においては、薬液が回収管を通って薬液タンクに戻るまでの過程で、回収管の中で薬液が空気に触れ、これにより、薬液に酸素が溶け込んでしまうという問題があった。このように酸素が溶存した薬液を再び供給管へ流し、基板に供給すると、基板上に形成された配線を構成する銅などの金属が薬液中に溶存した酸素によって酸化されて、上記配線が腐食するおそれがある。
【0047】
そこで、第1の実施形態に係る液処理装置100では、
図2に示すように、回収管72にガス供給部73を設け、ガス供給部73から回収管72の内部に不活性ガスを供給することとした。回収管72の内部に不活性ガスを供給することで、回収管72の内部の酸素濃度を低下させることができるため、回収管72の内部において薬液に溶け込む酸素の量を減らすことができる。
【0048】
これにより、回収した薬液を再びウェハWに供給したとしても、ウェハW上に形成された配線が酸化されにくいため、上記配線の腐食を防止することができる。
【0049】
ガス供給部73は、N2供給源731と、このN2供給源731に基端部が接続されるとともに、先端部が回収管72に接続された配管732と、配管732の中途部に設けられた流量制御機構733とを備える。流量制御機構733は、少なくともバルブを含んで構成される。そして、制御装置6が流量制御機構733の開閉と窒素の流量を制御することによって、回収管72への窒素の供給が制御される。
【0050】
回収管72の内部は、供給管71とは異なり薬液で満たされてはいない。このため、ガス供給部73から回収管72の内部に供給された不活性ガスである窒素は、回収管72の内部に拡散し、これにより、回収管72の内部の酸素濃度が低下する。
【0051】
ガス供給部73の配管732と回収管72との接続部734は、切替バルブ74よりも回収管72の下流側に設けられることが好ましい。これにより、接続部734を切替バルブ74よりも回収管72の上流側に設けた場合と比較して処理部5内部の圧力を容易に制御することができる。
【0052】
なお、制御装置6は、薬液の流量に応じて窒素の流量を調整してもよい。具体的には、制御装置6は、回収管72側に切り替えられた切替バルブ74の数が増えるに従って流量制御機構733の開閉度合いが大きくなるように流量制御機構733を制御する。これにより、窒素の使用量を低く抑えることができる。
【0053】
また、ガス供給部73の配管732と回収管72との接続部734は、主管72aの最も上流側で接続する分岐管72bに設けられる切替バルブ74よりも主管72aの下流側に設けられることが好ましい。より具体的には、
図2に示すように、主管72aの最も上流側で接続する分岐管72bに設けられる切替バルブ74と、この
分岐管72bよりも1つ下流側で接続する分岐管72b
に設けられる切替バルブ74との間に設けることが好ましい。
【0054】
このように、切替バルブ74よりも主管72aの下流側、かつ、主管72aの上流にできるだけ近い位置に接続部734を設けることで、ガス供給部73から供給される窒素を効率的に回収管72内に拡散させることができる。
【0055】
なお、接続部734の位置は、上記した位置に限定されるものではない。たとえば、接続部734は、主管72aの長手方向中央部に設けてもよいし、主管72aの下流側端部(薬液タンク75との接続部)の近傍に設けてもよい。
【0056】
なお、液処理装置100は、残り3つの処理部5用の薬液回収系として、回収管72、ガス供給部73および切替バルブ74をもう一組備えている。そして、図示しないもう一つの回収管72は、
図2に示す薬液タンク75に接続される。このように、液処理装置100は、6つの処理部5(
図1参照)に対して、1つの薬液供給系と2つの薬液回収系を備えている。
【0057】
次に、ガス供給部73の配管732と回収管72との接続部734の構成例について
図4A〜
図4Cを参照して説明する。
図4Aは、接続部734の構成の一例を示す模式図であり、
図4Bおよび
図4Cは、接続部734の構成の他の一例を示す模式図である。
【0058】
図4Aに示すように、ガス供給部73の配管732は、回収管72の内部に飛び出ないように、具体的には、配管732の先端部が回収管72の内周面に対して略同位置に設けられるように回収管72に接続されてもよい。これにより、比較的簡易な構成で、回収管72の内部に窒素を供給することができ、薬液内の酸素を効果的に除去することができる。
【0059】
また、
図4Bに示すように、配管732は、先端部が回収管72の内部の薬液に浸かるように回収管72に接続されてもよい。これにより、配管732から供給される窒素が薬液を介して回収管72の内部に供給されることとなるため、酸素を窒素によって押し出す脱ガス作用によって薬液内の酸素を除去しつつ、回収管72の内部の酸素濃度を低下させることができる。
【0060】
また、かかる場合、配管732の先端部の形状を、孔部732aを多数設けた多孔形状としてもよい。これにより、かかる孔部732aから薬液中に気泡状の窒素を送り出すことができ、薬液内の酸素をより効果的に除去することができる。
【0061】
さらに、
図4Cに示すように、回収管72に液溜まり部721を形成し、液溜まり部721内に配管732の先端部を配置させることとしてもよい。このようにすることで、配管732の先端部を薬液に対してより深く浸漬させることができるため、脱ガスの効果をさらに高めることができる。
【0062】
次に、
図2に示す薬液タンク75の構成について
図5を参照して説明する。
図5は、薬液タンク75の構成を示す模式図である。
【0063】
図5に示すように、薬液タンク75は、天井部751aを有する箱形の本体部751と、本体部751の天井部751aに取り付けられた仕切板752とを備える。仕切板752により、本体部751に貯留される薬液と天井部751aとの間の空間200は、第1の空間201と第2の空間202とに仕切られる。なお、仕切板752を設けることにより、本体部751内における薬液の流路長を長くすることもできる。
【0064】
また、本体部751は、第1の空間201側の天井部751aに第1の排気口751bを備え、第2の空間202側の天井部751aに第2の排気口751cを備える。各排気口751b、751cには、図示しない吸気装置が接続される。また、本体部751の底部には、本体部751内における薬液の流路長を長くするための仕切板753が設けられる。
【0065】
また、薬液タンク75は、脱ガス部756を備える。脱ガス部756は、N2供給源756aと、このN2供給源756aに基端部が接続されるとともに、先端部が第2の空間202の下部の薬液内に入るように設けられた配管756bと、配管756bの中途部に設けられた流量制御機構756cとを備える。流量制御機構756cは、少なくともバルブを含んで構成される。そして、流量制御機構756cの開閉と窒素の流量を制御装置6が制御することによって、第2の空間202の下部の薬液に窒素が供給される。これにより、薬液中に溶存する酸素が脱ガス作用により除去される。
【0066】
なお、
図5では、配管756bの先端部を多孔形状としているが、配管756bの先端部の形状は、図示のものに限定されない。
【0067】
また、制御装置6は、薬液の溶存酸素量を測定する溶存酸素モニタの測定結果に応じて窒素の流量を調整することとしてもよい。具体的には、制御装置6は、薬液の溶存酸素量が多くなるに従って窒素の供給量が多くなるように流量制御機構756cを制御する。これにより、窒素の使用量を低く抑えることができる。なお、溶存酸素モニタは、たとえば、供給管71に接続されたポンプ76とヒータ77との間に設けてもよいし、薬液タンク75に設けてもよい。
【0068】
上記のように構成された薬液タンク75において、回収管72の下流側端部は、第1の空間201に連通し、供給管71の上流側端部は、第2の空間202の下部に連通する。
【0069】
ここで、第2の空間202は、脱ガス部756から供給される窒素によって窒素雰囲気となっている。一方、第1の空間201は、回収管72から流入する窒素によって概ね窒素雰囲気となるが、回収管72の内部は完全には窒素雰囲気に置換されていないため、第1の空間201にはわずかに酸素が存在する。薬液タンク75は、かかる酸素混じりの窒素雰囲気を第
1の排気口751
b経由で外部に排出することができる。
【0070】
また、仕切板752によって空間200を第1の空間201と第2の空間202とに仕切ることにより、第1の空間201に存在する酸素を第2の空間202へ流入することを防止することができる。これにより、薬液タンク75内において薬液に酸素が溶け込む量を減らすことができる。
【0071】
このような観点から、仕切板752は、第1の空間201が第2の空間202よりも小さくなる位置に設けられることが好ましい。
【0072】
供給管71の下流側端部は、第1の空間201の下部の薬液内に入るように設けられる。これにより、供給管71の下流側端部から薬液タンク75へ戻った薬液が供給管71の上流側端部へ流入するまでの流路長を確保しつつ、供給管71の下流側端部から薬液タンク75内に戻った薬液に第1の空間201中の酸素が触れることを防止することができる。
【0073】
上述してきたように、第1の実施形態に係る液処理装置100は、処理部5と、回収管72と、供給管71と、ガス供給部73とを備える。処理部5は、ウェハWに薬液を供給して液処理を行う。回収管72は、処理部5に供給された薬液を回収する。供給管71は、回収された薬液を処理部5に供給する。ガス供給部73は、回収管72の内部に向けて不活性ガスである窒素を供給する。したがって、第1の実施形態に係る液処理装置100によれば、ウェハW上に形成された配線の腐食を防止することができる。
【0074】
次に、第1の実施形態の変形例について
図6および
図7を参照して説明する。
図6は、ガス供給部73の変形例を示す模式図である。また、
図7は、回収管72の下流側端部の変形例を示す模式図である。
【0075】
上述した第1の実施形態では、
図2に示すように、ガス供給部73の配管732と回収管72との接続部734が一箇所のみ設けられる場合の例を示したが、接続部734の個数はこれに限ったものではない。
【0076】
たとえば、
図6に示すように、接続部734は、回収管72の流れ方向に沿って複数箇所に設けられてもよい。
【0077】
このように、回収管72の
流れ方向に沿った複数の箇所から窒素を供給することにより、回収管72の内部に満遍なく窒素を行き渡らせることができる。これにより、たとえば回収管72の内部に部分的に酸素濃度が高い場所が形成されることを防止することができるため、回収管72の内部の酸素濃度をより確実に低下させることができる。
【0078】
なお、ここでは、接続部734が
図4Aに示した構成である場合の例を示したが、接続部734は、
図4Bや
図4Cに示す構成であってもよい。
【0079】
また、上述した第1の実施形態では、回収管72の下流側端部が第1の空間201に連通する場合の例を示したが、これに限ったものではない。
【0080】
たとえば、
図7に示すように、回収管72の下流側端部は、第1の空間201の下部の薬液に連通させてもよい。これにより、回収管72から流入する窒素を用いて薬液タンク75内の薬液に溶存する酸素を除去することができる。
【0081】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について
図8および
図9を参照して説明する。
図8は、第2の実施形態に係る処理部の配管構成を示す模式図である。また、
図9は、脱ガス部の構成の一例を示す模式図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0082】
図8に示すように、第2の実施形態に係る液処理装置100Aは、第1の実施形態に係る液処理装置100が備える各構成要素に加え、脱ガス部80を備える。
【0083】
脱ガス部80は、N2供給源81と、このN2供給源81に基端部が接続されるとともに、先端部が供給管71に接続された配管82と、配管82の中途部に設けられた流量制御機構83とを備える。流量制御機構83は、少なくともバルブを含んで構成される。そして、流量制御機構83の開閉と窒素の流量を制御装置6が制御することによって、供給管71への窒素の供給が制御される。
【0084】
図9に示すように、脱ガス部80の配管82は、配管82よりも大径の継手部材85を介して供給管71に接続される。かかる継手部材85によって、供給管71を流れる薬液と配管82の先端部との間には空間300が形成され、配管82から供給される窒素は、かかる空間300を介して供給管71の内部に供給される。これにより、液密状態の供給管71の内部に窒素を供給することができる。このようにして供給管71を流れ薬液に窒素が供給されることにより、供給管71を流れる薬液中に溶存する酸素を除去することができる。
【0085】
なお、配管82と供給管71との接続部は、
図9に示した構成に限ったものではなく、
図4Bや
図4Cに示すような構成であってもよい。
【0086】
配管82と供給管71との接続部84は、供給管71の定圧弁79よりも下流側に設けられることが好ましい。これにより、圧力変動の影響を抑えることができるため、供給管71内部の圧力を容易に制御することができる。
【0087】
このように、第2の実施形態に係る液処理装置100Aは、供給管71内の薬液に不活性ガスである窒素を供給することによって、薬液中に溶存する酸素を除去する脱ガス部80をさらに備える。したがって、第2の実施形態に係る液処理装置100Aによれば、ウェハW上に形成された配線の腐食をさらに防止することができる。
【0088】
上述してきた各実施形態では、不活性ガスとして窒素を用いる場合の例を示したが、たとえばアルゴン等の他の不活性ガスを用いてもよい。
【0089】
また、上述してきた各実施形態では、供給管71および回収管72が複数の処理部5に接続される場合の例を示したが、供給管71および回収管72は、1つの処理部5のみに接続される構成であってもよい。
【0090】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。